CGによるカラー・グラデーション研究
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(2) . 平成4年7月. 3巻 第1号 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第4 I i i i lof Hokkaido Univers t ty ofEducat Jouma onIC) VOL43 on(Sec . ,No. Jul y ,1992. C G に よ る カ ラ ー ・ グラ デー シ ョ ン 研 究 ing D 4e A Study of Color Gradation on the Si thodby CG. lnulat 山. は. じ. め. 田. 一. 美. に. 技術革新に伴う社会の急激な変化や, 色彩問題の多様化によって, 色彩研究の方法と方向性に大 きな変化が生じつつある. 本研究では, 新しい技術を応用した色彩調和感覚の形成はどうあるべき か. その1つの試みとして, 現代脚光を浴びているCGを用いてカラー・グラデーショ ン研究を進 め る. 今 日, C G は カ ラ ー ・ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 容 易 に し, 実 際 場 面 で の 配 色 や 構 成, カ ラ ー ・ コ. ーディ ネイ ショ ンにおいて模擬的造形実験を可能としている.そこで本稿では,1においてカラー・ 1ではカラー・グラデーシ グラデーショ ンに深くかかわる色彩の諸相について若干の 整理をする. 1 Vに 1 1ではCGによるカラー・ グラデーショ ン研究の方向性を示す. I ョ ンの調和理論を概観する. 1 おいてカラー・グラデーショ ンの特徴を生かして作品化の方法を探る. Vにおいてその事例作品を 紹介し, CGによるカラー・ グラデーショ ン研究の課題について検討 する. 1. 色彩の諸相 (色をどう整理するか) ( 1 ) 3属性について 色彩についは, 自然科学, 色彩論, 技術 (工学) , 化学, 生物学, 医学, 心理学, 芸術, 哲学等, 本稿では 種々の研究の観点から取り扱われているが, , 造形芸術の観点から, 主として造形表現の 研究法にかかわっ て色彩を取り扱う. まず, 色彩とは何かといえば,「通常は光によっ て刺激された 視覚系の感覚である. そして色は, 光のある部分の波長を吸収し, 残りの部分の波長を反射したり, 透過したりして目を刺激する物体色と, 太陽光や電燈光のように最初から一定の定まっ た波長によ 988.P.1 66 )される. CGに関して色彩は, もっ ぱらこ 1添,1 っ て目を刺激する光源色とに大別」 01 の後者の 「光源色」 に属するため, その特徴を理解する必要 がある. まずはその前提として, 物体 色の造形研究とのかかわりで, 通常説明される色の3属性について述べておこう. )で あ る が, 色 の 3 属 性 に よ っ i )と 彩 度(Chroma 3属性とは, 色 相(Hue)と 明 度(Value ghtness ,l て色を記号化したのはマンセルである. では今日, この属性について, どのような説明がなされて. いるか. その一例を引用してみよう. ①. (色相H Hu. 色相は, 原色5色すなわち赤 (R) , 青 (B) , 紫 (P) と , 黄 (Y) , 緑 (G) 0色とし, さらに1 0色の各色間を10等 その中間5色, YR, GY, BG, PB, RPと合せて1 ) 00等分する. (宮下,1 963 分して円周を1 色相は, 赤, 黄, 緑, 青などの色の質の相違を表し, 一定の波長成分が卓越しているかどうかに 371.
(3) . 山. 田. 一. 美. よ っ て, 赤, 黄 な どの 定 性 的 な 区 分 が 可 能 に な る. (千 々 岩,1983.P‐16). ② (彩度 C Chroma)色の鮮やかさの程度を示す値で, 白, 灰, 黒を含まない色の純粋さをいう. (中略) クローマとはマンセルの色体系においての呼称であっ て, 明度を経て (たて) 軸とし, 46 ) 彩度を緯 (よこ) 軸とする. (宮下,P. i 同 じ明 度 を も つ 無 彩 色(achromat )か ら 特 定 の 色 相 方 向 へ ど れ だ け 離 れ て い る か を 表 す. cness (千 々 岩,P‐16). ③ (明度 V Value)色の明るさを明度という. つまり色の有効度であっ て, 調和, 配色に対して 0段階とし, 白-白灰-中灰-黒に区分し, 極めて必要な尺度の役目をする. 一般に明度段階は1 41 0~20としている. (宮下,P. ) (中略) 1から1 0までとする. 日本色彩研究所の区分は1 b l i )は区別して使われることも 物体表面の反射率の高低によっ て決まる. 明度と明るさ( t ne s s gh 6 ) あるが, 感覚的には同じものをさしている. (千々岩,P.1 色彩では, マンセル体系に関してのみ唯一の明確な尺度となる. マンセルによれば, 色彩の明る さとしての明度を定義している.マンセル以外の色彩体系に関しては別にはっ きりした意味はない. フ ラ ン ス 語 と し て 使 わ れ る バ ル ー ル に は, も っ と 広 い 意 味 が あ る. (ア ル バ ー ス, P‐79). ここでアルバースは, 3属性について 「明度」 の使用法の混乱から, 明度が尺度を意味するもの としてふさわしくないとする. 彼は 「光の強度」 という用語を用いている. また, こう した表し方 はどちらかというと, 「物体表面の色の見え」 をいうのに用いられ, 「発光体の色の見え」 をいう場 合には, 色合い (主波長または補色主波長に対する) , 心理的輝度 (輝度に対する) , 飽和度 (純度 に対する) などが使われることがある. ( 2 ) 造形表現にかかわるその他の属性 カッ ツは, 対象の性質と関連した色の知覚現象について次のような種類をあげている. 対象の性 質は, 造形表現上きわめて重要な要素なのでここに示しておく. lm Co l )青空の色のように, 物体には属さず, 空間中の不定な面に広がっ て見え, ① (面色:Fi or ②. 7 ) そのまでの距離もはっ きりしない色 (千々岩,P‐1 (表 面 色 :SurfaceCo l ) 不透明な物体の表面に見られる色 r o . 面の組織が固く, 面色のように ) 突き通せる感じはない. (千々岩,P.17. ③. l ) 水の深みをながめるときに見られるように, 色が空 (空間色 : Volunne Color, Bulky co or 間内にくまなく広がり充ちているような現れ方. ガラス容器に着色液が入っ ているときの見えも 8 ) これと同じである. (千々岩,P.1. ④. 「 i lor t ty」 (そ の 他 の 属 性)カ ッ ツ は, こ の 他 に「鏡 映 色 Mi nos rroredCo re」「光 輝 Lt 口ni 」 光 沢 Lus 「灼 熱 G1ow な ど を あ げて い る 」 .. また, 色の整理方法として, 系統別に 「色相」 と 「トーン」 による分類基準がある. この分類基 準によっ て, より造形感覚的に, 技能上から身近に, そして色を各系統別におおまかにとらえ, 整 理 す る こ と が で き る よ う に な っ た. こ れ ら の ト ー ン に は, ビ ビ ッ ドト ー ン, ブ ライ ト ト ー ン, ブ ィ ー プ トー ン, ライ ト ト ー ン, ダ ル ト ー ン, ダー ク トー ン, グレイ ッ シ ュ ト ー ン, ペ ー ル トー ン な ど. があるが, 色相を固定して明度と彩度の変化により形成される. このトーン (色調) という用語の 372.
(4) . CGによ る カ ラ ー ・ グラ デー シ ョ ン研 究. 暗清調. . B 中影度; ! ;低彩度i 無彩色. ) (C1 earcolor. 準無彩色. 図 I P C C S の トー ン 区 分 図 『 ( 公共の色彩を考える』 より引用). 図2 宮下孝雄による色調分類 28 より) (P .. Y. G ----”“ - ‘ - - - - ~R -- - -‐ - -- --. C. 図3. ′ 、 , ′ ′ 、 ・ / 、 ′ 、 、′ BV. M. 988年) 1添泰宏, 1 減法混色の 三原色と加法混色の三原色 (点線) との関係 01. 使用は, 絵画表現上においての意味と若干, ニュ アンスが異なっている. しかし, 色彩を理解する 上で重要な属性の1つであり, 色彩学として, 重要な研究領域である. また, トーンに対する認識 は, 日本において古くから重視されていたことも知られている. 例えば, 伝統色名にその実例を多 くみることができる. 「薄色 (うすいろ)」 「半色 (はしたいる)」 「濃色 (こ●いろ)」 などは, 紫系の トーンを形容する語であり, 藍染めの色名 に用いられる 「標 (はなだいろ)」 には, 薄・淡・浅など をつけて, 「薄標」 「淡標」 「浅標」 「次標」 「中標」 「深標」 「濃標」と言い表すなど, 染めの濃淡によ るトーンの違いを微妙に言い当て表記している. 図1は, 日本色彩研究所により開発され一般化し ている代表的なトーン分類図である. また, 図2は, 宮下による色調分類を合わせて引用し示して 373.
(5) . 山. 田. 美. お き た い. ( 3 ) 混 色 につ い て. CGの使用に深くかかわる造形表現上の問題として, 「混色」の効果があげられる. この混色には 「減法混色」 と 「加法混色」 があり この問題について研究者の幾つかの指摘や解説を示したい . ,. ① 減法混色 水彩絵の具, 半透明な印刷インク, フィ ルター状のものを重ね合せて混色する場合, 混色した色 は, 明度が減ずる. このような混色を 「減法混色」 と呼んでいる. この際の減法混色の三原色は, 黄Y, 緑みの青C (シアン) , 紫みの赤M (マゼンタ) の3色である. この混色により, かなりの多 くの色を作ることができる.. ② 加法混色 「加法混色一 の場合の3原色は 赤R 緑G 青緑BVであり, この3色を重ね合わせると白に , , , なる. 両方の3原色は, 互いに補色関係にある (図3) . キュッ パースによる 「加法混色」 の説明では, 加法混色の出発点は黒である. それは可視電磁波 の不在に対応するという. 加法混色の終点は白である. それは等エネルギースペ クトルと全色彩の 総計に対応する. 2つの加法原色を混ぜると1つの減法原色の色調が生じる. 1つの2/3色は2 つの1/3色からできている. オレンジ赤と緑の加法混色は黄を生じ, 緑とすみれ青ではシアン青 を, すみれ青とオレンジ赤ではマゼンタ赤を生じる. 3つの加法原色すべての加法混色は白を生 じ 0強度段階に分割すると, 混合によ る. 白はス ペクトルの3/3に対応する. 加法原色をそれぞれ1 っ て1000の色彩が得られる. これは, 加法混色で, 視野に白い基準光があり, それゆえに眼の順応 がさまたげられているときにのみ知覚可能である. カラー・テレビは加 法混色の原理に基づいてい る. 使用されている加法原色のオレンジ赤, 緑, すみれ青は, 赤, 緑, 青とも呼ばれる. (キュッ パ ー ス,P.150). カラーテレビの色は, 加法三原色だけで色再現を行っているが, その場合は, 三原色が重なって いるのではなく, 三色の輝く蛍光素子が細かく並置され, それを一定の距離以上から眺めると混色 6 1添,P.16 ) して見える仕組みとなっ ている. これを 「並置的加法混色」 という. 01 6 3 青( B 緑( G 5 4 ) 7 ( 原刺激 ) R 0 0 r u n un)と す を赤( , un , また, 混色に用いる原色 ,435‐8r , .l 55 ) る表色系をCIEのRGB表色系と表記する. (千々岩,P,. 1 1. カ ラ ー ・ グラ デ ー シ ョ ン と 色 彩 調 和. ( ) カ ラ ー ・ グラ デー シ ョ ン 1 (グラデーショ ン) ion)の 概 念 に つ い て, 幾 つ か 取 り 上 げ て み よ う. 例 え ば, 『新 版 デ ザイ ン グラ デー シ ョ ン(Gradat. ハン ドブッ ク』 (朝倉書店)によれば, グラデーショ ンは服飾デザインの原理の1つとして記述され て い る. そ れ に よ れ ば, グラ デー シ ョ ン は リ ズ ム の 中 の 1 つ で あ り, 「文 様 の 大 き さ を 増 や した り,. 加えたり, 色をぼかしたりする場合で変化の面白さや, マーチン グリズムより優しい美しさがあり, 7 )と指摘されたりする. その他, グラデーショ ンに関する記述を以下に示 す 5 運動感がある」 (P‐1 374.
(6) . CGによ る カ ラー ・ グラ デー シ ョ ン 研 究. と, .「グラ デー シ ョ ン な ど は, 漸 移 と し て リ ズム の 一 種 で あ り, レ ピ テ ー シ ョ ン も そ の 最 も 単 純 な 形 と. してリズムを表している. しかしリズム感は, 表現するときの気持ちや感情の抑揚として, 自由 に表現させることが多く, 一本の線や筆跡からリ ズムとして, 作者の心の状態が伝わっ てくるこ 991 ) とがある」 (天形,1 こう した造形美の秩序としての グラデー ショ ンの説明に加え, 美術文化の側面から記述している 例を示しておこう. 「色 が あ る 系 列 に 沿 っ て だ ん だ ん に 規 則 的 に 変 化 し て い く こ と を グラ デイ シ ョ ン(gradat ion)と い. う. この グラデイ ショ ンは自然の中によく 見られる. 例えば樹の幹の陽光の当っ た部分は明るい色 に見え, 蔭の暗い部分へ向かっ てだんだんに明度が変わっていく グラデイ ショ ンが見られる. グラ デイ ショ ンによる配色は古くからあり, 既に飛鳥も奈良時代の寺院建築の彩色に緩綱 (うんげん) 彩色がみられる. また藤原時代の鎧の配色に例えば萌黄匂い (もえぎにおい) というように, 上部 が濃い色から下にだんだん色をうすく していく配色がある. この種の配色方法はいるいるな染織物 に 広く 用 い ら れ て い た. 匂 い と い う こ と ば は グラ デイ シ ョ ン の 意 味 を い い 表 わ し て い た. こ の よ う. なグラデイ ショ ンに沿っ た配色の選び方は, 自然の秩序に従っ ているので調和しやすい.」 (細野, 1973.P.23). (表現に生かされる色彩効果) このように, グラデーショ ンは我々の色彩感覚のひとつであることを照明する指摘は多い. グラ デーショ ンは絵画でも利用される. 絵画では, 同一色相, 類似色相, 対照色相, 同一類似明度, 明 度の対比, 同一類似のトーン, 対照トーン, 彩度などで微妙な明暗と調子が規則的に変化して美し いリズムをつくりだすことができる. また, 写真にみる グラデーショ ンでは, 一般に, 写真画像の 光陰部から陰影部まで, 漸次, 移行していく濃淡の変化の具合いを意味している. この場合は, 濃 淡の変化が緩やかで, 豊富なものが調和のよいグラデーショ ンとして評価される. 写真では, 内眼 で知覚される明暗差の段階に比べ, 段階が狭く なりがち, 豊富なグラデーショ ンに整える必要が生 じる の で あ る. 2 ( ) 色のグラデーシ ョ ンと調和感. (調和の原理) で は, グラ デー シ ョ ン は, 色 彩 の 調 和 と どう か か わ っ て い る の だろ う か. こ れ に 関 係 して, 日 本. 色彩研究所の細野氏は次のように述べている‐ 「結局色の調和は造形全般の中で考えられることだから それを探るには 造形の原理として認 , , められていることから類推して考えていけるであろう. 造形の原理は, 造形を構成している色, 形, 線, 面, 材質などの各要素の, 組立てにおける統一と変化, バランス, 秩序によって得られる調和 だといわれる. ひとまず色だけを抽象してこれと同じように考えていれば, 色の調和は配色を構成 i lance i ), 秩 序(order ) し て い る色と色の間における統一と変化(Un t ety), バ ラ ン ス(Ba yand Var ) に よ る と い え る.」 (細 野,1973.pp.20-21. 「調和理論」 は今日まで種々提案されているが 細野氏の提案は実践的であり 実態とかなり一 , , 致している点で意味がある. そこで, 細野氏の調和のための配色法を箇条書きに抜きだしてみる. 細野氏は, 美の造形原理から, このように確認している. 細野氏は, さらに実感できるレベ ルで, 375.
(7) . 山. 田. 一. 美. 配色による調和感について次のように指摘してまとめている. 組合わせられる色と色との間に何か共通性や類似性があれば配色の統一感が得られる. ①. こ と.. 色の共通性として代表的なものは,「色相の共通性」「トーンの共通性」「明度の共通性」 「彩度の共通性」 「感じの面での共通性」 などである . ③ (同系色の配色について) 同系色の配色は, 従来, 主として色相の共通な配色のこと ②. をさす. 色相がそろうので統一はとれや すい. まとまりすぎると, 単調さはまぬがれな い. 調和感は適度の変化があるとき生まれるので, 同系色をもちいた配色では, トーン や質感で変化をつ ける必要がある. (トーンが同系列の配色) トーンの共通性, 類似性により統一感が得られやすい. 多. ④. 彩 な 色 相 を用 い た 配 色 で, 統 一 感 を も た せ る に は, 「ト ー ン を そ ろ え る こ と」 「彩 度 を そ ろ え る こ と」 で 調 和 感 が得 ら れ や す い. 「 「 lo≦ (類 似 の 調 和 Harmony ofAna n ′ に つ い て) 「色 相」 彩 度」 トー ン」 の 共 通 性,. ⑤. 類似性によっ て主に統一感をもたせ, その中に 「変化」 を加味するような調和のとり方 がある. この種の 配色では, 似たもの同志の配色なので, 「おだやかな感じ」の調和が得 ら れ や す い.. ⑥. 「 lo ) HarmonyofAna (対照の調和 HarmonyofContrast きけ 法 と 反 対 の 調 和 法. 変 化の面白さ」 を主にねらう. その中に統一感を加味する調和 法. 例えば, 性質の対照的. な色を組合せ, 相互に引立てあう効果をねらっ た配色となる. 強いアトラクティ ブな感 じの調和感がえられやすい. (反対色の配色)による調和法. ⑦緑の草むらと赤い花;色相の反対色による組合せ. の白と黒との組合せ; ”)水色と濃い紺色の組合せ;トーンの対照的な配色.色相が類似.(. ⑦. 無彩色系という共通性があり調和感がえられやすい. 回朱色とベー ジュ の配色;彩度の 強い色と弱い色の配色‐ 色相が類似しているので調和する. ⑧ (環境等から受ける調和感の影響) 配色が適用される物・場所によっ て類似の調和法 が適する場合もあれば, 対照の調和の方が適する場合もある. ( 3 ) 配色バランスの原理 次に, 細野氏によっ てまとめられた 「配色バランスの原理」 について, 先ほどの 「調和の原理」 と同様に整理しておきたい. (色と面積とのつりあい) 高彩度の色による大きな面積の画面の中に, 彩度の低い小面横の色を配置する 方法でバランスを とるとこはむずかしい. 反対に, 彩度の低い大画面の中に, 彩度の高い小面積の色を配置する方法 は, 前者と比較して調和感を得るのに有効である. (色の配置上のつりあい) 明 快 に 区 分 す る と こ と は で き な い が, シ ン メ トリ ッ ク な バ ラ ン ス と ア シ ン メ ト リ ッ ク な バ ラ ン ス. による方法がある. 376.
(8) . CGによ る カ ラ ー ・ グラ デー シ ョ ン 研 究. ①. シ ン メ ト リ ー(Symmetry) 左 右 相 称 と い わ れる. 上 下 左 右 と も 同 じ 格 好 の も の. シ ン メ トリ ー に よ る バ ラ ン ス を 「均 整」 と も いう. こ の 場 合 の バ ラ ン ス は 「安 定 さ」 を 意 味 す る.. ②. ア シ ン メ ト リ ー (Asymmet ry) シ ンメ トリ ー で な い 形 で バ ラ ン ス を と っ て い る も の. こ の バ ラ ン ス を 「均 衡」 と も い う‐ 「安 定 さ」 で は 説 明 し き れ な い 「一 種 の 不 安 定 さ の 中 ) を い う. に あ る 動 的 な つ り 合 い」 (細 野, P.21. 色の配置, 配合上の バランスは 「均衡」 に関係 する. 「均衡」 は, 造形のもととなる素材の 「材質感」 「色や形の重さ感」 「強さ感」 「コントラスト感」 「動き」などの諸要素が相互作用によっ て生み出す 造形上の バランスである. 全体としての「みえ」の問題に関わり, 「色だけの バランス」として分離, 抽出して考えることは適当でない. (カ ラ ー ・ バ ラ ン ス の よ さ). 主に色の混合上でのバランスのこと. カラーテレビ, カラー写真, カラー印刷などの色表現では, 3原色混合によりすべての色を表現しようとする. 「カラー バランスがよい」という表現は, 3原色 の強さの関係がよいといわれていて, 青みかかっ たり, 赤みかかっ たりせず, 無彩色が無彩色らし く再現されている様子のことである.. (補色残像現象) かたよっ た特定の色相だけを見る状態におかれると, 生理的にもバランスを欠き, 反対色を誘発 して バランスを保とうとする現象が起こる. それによっ て, かたよっ た色相だけを見る状態は不快 感をともなう. 色の世界は 「自然の秩序」 に支配されているからである. 色彩調和体系はこの秩序 にそうものがふさわしい. ISequence) (色の自然な順列;Na t ura 虹の色にも見られるように, 色相が移行するにつれて, 同じ程度の色味の強さ (彩度) でありな がら, 明度が変わっ ていく. これを 「色の自然な順列」 という. l (等価値色I ) t S0va en オストワルトの指摘した系列. 色立体上で傾斜した環に沿って並ぶ色は, それぞれに彩度がそろ うので調和 しやすい. この系列を 「等価値色」 という. トーンの同じ色の組合せが調和しやすいの は, 「自然の順列」 に従っ た等価値系列にきわめて近い関係にあるからである. form Chroma ) (ユ ニ フ ォ ー ム . ク ロ マ ;Uni. 色立体上で, 中心軸から等距離の円筒で切断した断面 には, 彩度のそろった色が表れる. この等 彩度面の色を相互に組み合わせた配色を 「ユニフォ ーム・クロマ」 の配色といい, 調和しやすい. lor Co‐ordi (カ ラ ー . コ オ ー デ ネ イ シ ョ ン ;Co i nat on). 多色であっ ても, 全体的な調和が保たれるように配色を調整することを 「カラー・コオ ーディ ネ イ ショ ン」 という. 色の世界の秩序を保つことがもっ とも大切である. 配色全体を調和よく調整す ることが必要となる. (トー ン ・ コ ー ディ ネ ー シ ョ ン) 377.
(9) . 山. 田. 一. 美. コ ー ディ ネ ー シ ョ ン の な か でも, と く に トー ン を 基 準 に 調 和 を は か る こ と を 「トー ン ・ コ ー プ ィ ネ ー シ ョ ン」 と 呼 ぶ.. に) カ ラ ー ・ コ ー デ ィ ネ ー シ ョ ン の 方 法 (カ ラ ー ・ コ ー ディ ネ ー シ ョ ン). ここで, 先に配置 バランスの原理の項目で触れたカラー・コーディ ネーショ ンについて, 多少, 詳細にまとめておきたい. こ の カ ラ ー ・ コ ー ディ ネ ー シ ョ ン に 関 し て, そ の 取 り 扱 い が 重 要 で あ る と い う 指 摘 は, 小 池 氏 と. 細野氏の論評に見出すること ができる. 小池氏と細野氏は, 身辺の色彩の取扱だけでなく, 環境色 彩計画には欠くことのできない重要な概念であると位置づけている. 両氏の指摘を引用すると次の 通りである. 「現代は昔と違っ て動的な世界である 昔の静的な世界とは明らかに違う世界に私たちは住んで . い る と いう こ と を 考 え る の が, 現 代 の カ ラ ー コ オ ー ディ ネ イ シ ョ ン の 考 え 方 で あ る‐」 (小 池・細 野, P.113). 「美的秩序とは 調和に関しての表現上の要諦である 色彩調和に関しての研究は昔からかなり . , 多くの積み 重ねがあるけれども, その中には現代の ダイナミズの中で通用できにくいようなものも あるし, 根源的な点で通用できるもの もあっ て, それらを選り分けることをしておかなければなら ない. 抽象的な色の組み合わせに, 音楽における協和音・不協和 音のような調和色・不調和色の関 係があるのでは ないかとして, それを探ろうとする研究は, 今ではあまり役に立た ないことでネ グ レクトしてよいと思う. 現代の環境では, 2色ぐらいの配色で納まる状態はほとんどあり得ない. 多色 の 組 み 合 わ せ が 普 通 の こ と に な っ て い る か ら で あ る.」 (小 池 ・ 細 野,pp.113一114). このように, 表現上の要諦として 大切なこととして, 具体的には, 環境色彩計画の方法として, 小池氏らは① 「バランス (均衡)」 ② 「リズム, ムー ブメ ント (流動感)」 ⑧ 「ユニティ (まとまり 感)」 ④ 「バラエティ ー (変化感)」 ⑤ 「色・形・材質感の同時相補性」 をあげる. それらの主張は 次の通りである. 「バランス (均衡)」 造形上の感覚的なバランスをいう. シンメトリッ クな並行の意味の バランスのことではない. 配 色上の感覚的なバランスは, ノンシンメトリッ クな均衡の バランスであっ て, 動的な近代的な均り 合い感をいう. 「その バランスとは, 配色される各色のもつ軽重感や強弱感, 地と図の関係, コント ラストの強弱感による緊張・弛緩による感じなどと, 各色の占める分量や配色関係などを, 全体の. ①. 構想の中で均衡を保つように計画することから生まれる快適感覚をいうのである. 現代の都市には そ の バ ラ ン ス が 崩 れ て い る か ら, 快 適 では なく な っ た の で あ る. 現 代 の カ ラ ー コ ー ディ ネイ シ ョ ン に は, こ の 意 味 で の バ ラ ン ス が 是 非 必 要 な こ と に な る.」 (小 池 ・ 細 野,P.114) 「リ ズ ム ム ー ブメ ン ト (流 動 感)」 ,. ②. 都市とは人々 が動きながら感じとるものである. セッ トバッ クの空間が続いていたり, 並木がず っ と 続 い て い た り, 高 い ビ ル ディ ン グ が あ っ た り, 時々 き わ だ っ た ラ ン ドマ ー ク が あ っ た り して,. そのシーケンス (連結) にメロディ やリズムが感じられるような全体の構成に遭遇する時は, 快適 感をおぼえるものである. このよう な流動感とリ ズム感も美的秩序のひとつと考えられるものだか 378.
(10) . CGに よ る カ ラー ・ グラ デー シ ョ ン 研 究. ら, 街 の カ ラ ー コ オ ー ディ ネ イ シ ョ ン に も そ の 辺 の 配 慮 が 必 要 と さ れ る. グラ デイ シ ョ ン (漸 進 的. な変化) やレペテイ ショ ン (反復) を加えることも, リズム感を表現する上に役立つことである. (小 池 ・ 細 野,pp.114一115). ③. 「ユニティ (まとまり感)」 住宅地区, 商業地区, 商店街, 界隈など都市の中であるまとまりをもっ た地区には, 色彩面でも. まとまり感を主にしたカ ラーコオーディ ネイショ ンが考えられる. それも1色や2色で地区全体を 統一してしまうのでは なく, 多色の中でのまとまり感を表現することだから, 優位な色相なりトー ン範囲の類似 性によってまとまり感を表現することになる. しかもその中には, 多少の変化を加味 しておくことが調和表現のこつだから, ある色相範囲でまとめようとする 時は, その範囲の中でト ) 15 ーンに多少の変化を加味するという配慮 が大切なこと (小池・細野,P.1 ④. 「バラエティ ー (変化感)」 歓楽街, 遊園地など, 人々 が変化のおもしろさや活気のある楽しさを求めて集まる場所には, バ. ラ エ テ ィ ー を 主 に し た カ ラ ー コ オ ー ディ ネ イ シ ョ ン を 考 え る 必 要 が あ る. 色 彩 で バ ラ エ ティ ー を 表. 現しようとすれば, 対照的な配色を主に考えることになる. それもどちらかというと色相の対照性 が主になる. この場合あまり多くの色相を用いれば混乱の印象をもたらすだけである. 特にフィ ー リングやムー ドというエモーショ ナルなイメージ面での特徴づけが大切 なことになるから, やたら に多くの色を用いることがいいわけではない. 色相の種類は4種類ぐらいにとどめておくほうがよ く, トーンも, 例えばライ トトーンとストロン グトーンというような多少の変化のある組み合せを 考えるのはいいが, やたらに多くのト『 ンの組み合せを用いることはひかえたほうがよ い. (小池・ 細 野,P.115). 「色・形・材質感の同時相補性」 「私たちの視界に入る物は 色・形・材質感の同時相補性によるものである このことを考えず , . にただ色彩だけにこだわって見ているのでは, 環境の美しさはとらえられにくい. (中略)従って環. ⑤. 境の景観は, 色や形の上の遠近透視だけでなく, 色彩遠近としてもテクスチャ ー遠近としても知覚 されるのである. 近く で見ると粗いテクス チャーを感ずる物も, 遠く に見る時は密なテクスチャ ー と感ずる. それが遠近の印象につな がっているのである. 環境の中に見られるさま ざまな物の色も, フラッ トな色だけでなく, ラスター (光沢感効果のあ る色) , トランス ペアレ , ルミノス(光輝感効果のある色) , イリデッセント(玉虫調効果のある色) ント (透明感効果のある色) など, さま ざまな色の現われ方をするもの (ガラスとか プラスティ ッ クスなど) があっ て, 今やそういう 材質感効果をもつものが都市の中で多用されている. 材質感に 変化のあるものが多用される場面では, 色彩はしぼったほう がよいこともある. また光線に関しても, 明るい光や, 薄暗い光や, 曇っ たかすんだ光など, さま ざまな光線下で物 の見えの印象は変わってくる. このような知覚の諸様相に着目した色彩調和理論をフェーバー・ビ レ ン は New Pe i i t rcep on sm として指摘しており, そういう表現上の新しい領域を踏まえた上で, 6 ) 色彩調和のより広い可能性を追求することが大切だとしている.」 (小池・細野,P.11. 379.
(11) . 山. 田. 美. m. グラデーシ ョ ン研究法 ( 1 ) 色料によるグラデーシ ョ ン方法 造形表現として グラデーショ ンを研究する方法はどうか. 平氏は, グラデーショ ン研究の重要性 を次のように指摘している. 「どのようにすれば色彩感覚がよく なるのかといえば 第一に色彩体験の量を増やすことである , . (中略) 第二に徹底的に絵の具を実験することである‐ どのような色を混ぜ合わせるとどうなるの か, どのような塗り方をすればよいのか, 配色の効果はどうか, 陰影の使い分けはどうか, 空気遠 990 ) 近法と色彩の グラデーショ ン, 質感の表現等と, やるべきことは山ほどある.」 (平,1 それでは, この グラデーショ ンについて, 実際にどのような方法があるのか. 次にアルバースと ニコルソンの示している色料を使っ たグラデーショ ン研究法をまとめておく. (アルバースの方法) アルバースの グラデーショ ン研究法は, 次のような方法を提案する. 色彩の明度を判別する感度 開 発 の た め に, 「hws , い わ ゆ る 灰 色 段 階 と か, あ る い は グ レイ・ス ケ ー ル と か い わ れ る も の を つく. って学習する. これらは白と黒の間, あるいはより明るいものと暗いものとの間の, 段階的な上昇 7 や下降を実祭に示してくれるものである」 (アルバー ス, P.1 ) アルバースは, 灰色の切抜き紙をグラデーショ ンに並べる. その 「グラデーショ ンが柔らかに見 ) ものとなる. また, 店で売 えれば見えるほど, その研究は価値があり, 他を信服させる」 (P.17 っている灰色の紙のセッ トに頼らないことが唾ほ しいと指摘する. これらのセッ トでは選択が限ら れてしまうからである. 悪くすると不均衡な階段グラデーショ ンしかない. それよりも, アルバー スは, 大衆雑誌の白黒写真から豊富に得られる 「灰色の紙」 に注目している. (ニ コ ルソ ン の 方 法) ニ コ ルソ ン は, カ ラ ー を 変 え る 方 法 と し て, 減 法 混 色 の 理 論 を も と に, 次 の 4 つ を 示 し て い る.. ① ②. 白を加えていって明るく していく (明るさの変化) 黒を加えていって暗く していく (暗さの変化). ③. 強さを変える (色の純粋さの変化). ④ 他の色を混ぜる また, 「明暗度の位置づけ」 に関する理解と表現方法として, 「まず最初に, トーン (明るさ) の違 いを段階的に1 0等分にします. 黒いインクを入れたお皿のなかに, りんごを1晩立ててつけたとこ ろを想像してく ださい. そうすると, 黒インクがりんごに徐々にしみ込んでいきます. 翌朝, 同じ 0枚の輪切りにしてみたのが66ページの図です‐ りんごは明るさのグラデーショ ンがつい 厚みで1 た輪に切れます. りんごの上の部分は黒インクがしみないので, 白いままで残っ ています. この状. 態を0度, いちばん底は黒くしみている状態なので10度と呼びます. そして, 1枚の輪切りの部分 は, 平 面 全 体 が 同 じ調 子 に 染 ま っ て い ま す.」 (ニ コ ル ソ ン,pp.66一67)と い う 説 明 を す る. そ して, ニ コ ル ソ ン は, カ ラ ー ・ グラ デー シ ョ ン を つく る 練 習 の 方 法 を 示 し て いる.. ①. 明るさに違いだけでグラデーショ ンをつくる方法.(無彩色) . カラーのトーンを測る. 雑誌などを切り抜いて, 白から黒までの無彩色のトーン・ グラデーショ ンをつくる. 0 は 白 で 10 は 黒. こ の 10 段 階 に トー ン の 変 化 の つ い て い る カ ラ ー チ ッ プ を 切 り 抜 い て 貼. 38 0.
(12) . CGによ る カ ラ ー ・ グラ デー シ ョ ン石汗究. っ て いく.. ②. 色のついたもので グラデーショ ンをつくる方法. (有彩色) . ①と同様にトーンをはか ってみる練習. 今度はほんの 少々彩りのあり, あまり強い色でないものを選び, 雑誌を 切 り 抜 い て グ ラ デ ー シ ョ ン を つ く る.. ③. 色合いの違いでグラデーショ ンをつくる方法. (有彩色) . 非常に明るい色のついたも の で も, ト ー ン の 違 い を 判 断 で き る か どう か 試 し て み る. 色 の 明 る さ ・ カ ラ ー の つ き 具 ) 合 い に 惑 わ さ れ な い こ と. 暗 さ と 明 る さ だ け で判 断 す る. (ニ コ ル ソ ン,P‐71. ( 2 ) 色光によるグラデーシ ョ ン方法 (カ ラ ー シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 方 法). アルバースやニコルソンのように, 色料において グラデーショ ン研究を行う方向の他に, CGと 深く関わる 「色光による グラデーショ ン研究」 の可能性はどうか, 以下, この視点から, 「カラー・ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 方 法」 「コ ン ピ ュ ー タ ・ フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ 法」 「C G に よ る 方 法」 に つ い て, 簡. 単に述べておきたい. 「カ ラ ー シ ミ ュ レ ー タ ー」 と は 写 真 に 撮 っ た 対 象 物 を ス ク リ ー ン に 映 写 して お き そ の 映 像 上 , ,. で色をさま ざまに変化させて見ようとする装置である. カラーシミュ レーターの3チャ ンネルに入 れ る カ ラ ー シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 用 ス ライ ド (C S S) は, 光沢や材質感の表現, 配色数など, 対象物 に応じて, さま ざまに加工される. 大画面で鮮明な映像が得られ, しかも簡単な写真技術でCSS ができるというメリ ッ トがあり, 大規模な景観構造物の色彩計画用ツールとして評価された. これ 9 63年にトヨタ自動車工業の委託で日本色彩研究所が開発したものであっ た. その後, インダ は, 1 ストリアルデザイン, 建築デザイン, 環境デザイ ンなど, 色彩設計用ツールとして多様な分野で活 用されてきた. 現在, 国内の企業, 研究機関, 学校などに設置されているという. また, このカラ ーシミュ レーターが最も有効に活用されているのは 「環境色彩計画」 の領域である. 多くの場合, 89‐参照のこと) 9 橋梁や建物などの建築物の環境色彩事前評価に使われている. (児玉,1 (コ ン ピ ュ ー タ ・ フ ォ トモ ン タ ー ジ ュ 法). 建築現場の景観写真に, コンピュ ータを活用して作成した対象物の絵を合成する方法である. そ の工程は橋梁の場合, 次の通りである. 「地図や橋梁の構造図などで建築現場を撮 影する地点を正確に定め, その位置から現地景観の写真 を撮り, 大きめのカラー プリ ントを作成しておく. 一方, 橋梁の構造設計図のデータをコンピュ ー タに入力し, 景観写真の撮影地点である視点にお ける橋梁の透視変換計算を行ない, XY プロッ タ で線図を描かせる. この線図をスムージングして, 細部も整えた精巧な透視図にし, 景観のカラー プリントに重ね合わせてトレースして, プリント上に線画を描き, 更に陰影や日照部分などの明暗 3 9 ) を加味して, デザイナーがドローイ ングを行ない, 原稿完成となる.」 (児玉, P‐1 (CGによる方法) コ ン ピ ュ ー タ に よ る 色 彩 は, 機 器 の 発 展 に と も な っ て グラ フ ィ ッ ク ・ ディ ス プ レイ 装 置 の 色 彩 出. 963年には, CAD/CAMの基盤となるスケ ッ チ パッ ド方式 力機能が急速に高まっ てきている. 1 (Ske tch‐PadSys tem)が, M I T の サ ザ ー ラ ン ドに よ り 開 発 さ れ た. こ れ は, 「コ ン ピ ュ ー タ と 人 間 がC R T に 接 続 さ れ た ライ ト ペ ン や ジ ョ イ ス ティ ッ ク, ト ラ ッ ク ボ ー ル な どの フ ァ ン ク シ ョ ン キ ー 381.
(13) . 山. 田. 一. 美. を通じて対話できるという画期的なシステムで, 人間がCRTに向かって自由に図形や絵を描き, 縮小・拡大・移動・回転変換などの機能に加え, これを自由に変更したり修正できるという便利な シス テ ム」 (色 彩 の 事 典,P.427) であ る. こ う し て 思いのままに色をぬっ たり, ぼかしや透明色な. どさま ざまな絵画的 技法が可能となっ た. しかし, コンピュータによる色彩画像は, 絵の具や印刷 イ ンキの色材と異なっている. CRTの色彩は物体色ではなく, 光源色でり, カラーテレビや照明 の色彩と同様に, 加 法混色の特徴をもつ. コンピュータによるカラー画像は, 三原色 であるR, G, 80万色の最大表 Bの濃度で表現されるので, R, G, Bの各色に8ビッ トずつ用意しただけで, 16 示可能色数となる. 豊富な出力能力をもっ ているので, すでに開発されているアプリケーショ ン・ ソフトを使い, グラデーショ ンという美的秩序の1つを研究することが可能な段階にある.. IV. C G に よ る カ ラ ー ・ グ ラ デ ー シ ョ ン 作 品 化 の 方 法. こう したCGによるカラー・グラデーショ ン研究の技術的, 造形表現的環境を考慮に入れながら, 実際にCGによるカラー・グラデーショ ンの造形表現上の研究を進めてみた. 作品制作にあたっ て は北海道教育大学函館分校美術専攻2年生の色彩学授業を発展させた. 以下の項目は, その作品化 に向けてのア プローチであり, その研究過程を示すものである. { 1 ) 使用 ア プリ ケ ー シ ョ ン・ソ フ ト. 北海道教育大学函館分校の AVCC 室内に設置してある Macintoshllを用 い, 次 の 3種類のア プ リ ケ ー シ ョ ン・ソフ ト に よ り カ ラ ー・ グラ デー シ ョ ン 作 品 を 作 成 す る. VIDEO PAINT, Mac 3 D, シ ーバミ ノレ3 D.. 2 ( ) 作品化のための条件 カ ラ ー ・ グラ デー シ ョ ン を 用 い て, 平 面 と 立 体 の 作 品 を シ ミ ュ レ ー ト し な が ら 制 作 す る. 作 品 化. の過程において, 色光による色彩調和をはかる. その際の美的秩序の形成要素として, リズム, パ フ ンス, ユニ プィ ー, バラエティ ー等の感じを大切にする. 制作の過程として次の段階を想定し, 制作に生かす. ( 3 ) VIDEO PAINT によるグラデーシ ョ ン作品化の方法 (操作上の注意と有効なツール) 次 に, ア プ リ ケ ー シ ョ ン・ソ フ ト の 中 で も 利 用 しや す い, VIDEO PAINT の活用法を整理してお. く. 操作上の有効なツールについて箇条書きに説明すると次の通りである. ここでは使用頻度の高 いものについて説明する. まず, VIDEO PAINT を立ち上げる. それによって, 左側にアイ コン, 上部に使用可能な色が表示される. ① (アイコン) 「ア イ. コ ン」 : 画 面 左側 に あ る 小 さ な 四 角 で 区 切 ら れ た 絵. どれ を 選 べ ば, どん な こ と が で き る か, な ん と なく わ か る よ う に な っ て い る.. 「鉛 筆」 382. : マ ウ ス の 軌 跡 の 通 り に, 指 定 し た 色 に よ っ て 描 く 機 能 を も つ..
(14) . CGに よ る カ ラ ー ・ グラ デー シ ョ ン 研 究. 「ノ・ケ 」. 「鉛筆」 より太い線を描く . 太い線を描くのに有効だが, 直線しか描けないので色を塗る道具とし. 「ノぐケ ツ」 「消 し ゴ ム 」. て使用した方がよい. 線ないし色面などで囲まれた範囲を, 指定色によって塗りかえる. カーソルを所定の場所に移動し, マウスをクリッ クして描かれている. 「スフ0レ ー」. 形態を消去する. クリッ クしたままマウスを動かすと, マウスの軌跡 通りに空白部をつくることができる. ス プレー状の点描 (ス パッタリングのような効果) を描くことができ. 「筆 」. る. マ ウ ス を 往 復 さ せ る て 重 ね 塗 り す る こ と が で き る. 「3 D 」. ▲. 3D効果. バース(線遠近法による表現) , 球体, 三角錐の3種を表現 で き る. アイ コ ン を ダ ブ ル ク リ ッ ク す る こ と に よ っ て 表 示 さ れ る ツ ー. ルを選びクリ ッ クする. 「手」. 「四角形・円形」. 表示されている画面を動かす (表示画面は全画面の3/4程度の大き 「 「 さ) . アイコンをダブルクリ ッ クすると 矢印」 が 手」 の形に変わる ので, それを画面 上に置き, クリッ クしたままマウスを動かす. 3種類ある. 全体を塗りつぶしたもの, 外枠だけもの, 外枠と内側が 他の色で塗られているもの. 使用法は, アイコンをダブルクリ ックす ることで, そこを起点として円形 (ないし四角形) を任意の大きさに 描く こ と が で き る.. 「アイ コ ン 上 部 の 点線 」. ②. 画面効果をつける際に用いる.. (色の指定方法). 初期画面の最上部に数色容易されている. 使用したい色面にカーソルを移動しクリッ クする. そ れによっ て, 左上方にある枠の中に指定した色が表示される. あとは, アイコンの操作によっ て形 と色をつける. 使用したい色がない場合, 画面上の色が表示されている部分をクリ ッ クする. この操作で幾つか の色群が表示されるので好みの色を探すことができる. それでも, 気に入っ た色を探せない場合に は, カーソルを任意の色面上でダブルクリ ッ クする. この作業でRBGと明度に関して, 自分の好 きな色を混色してつくることができる.. V. 作品化事例. (写真図版及び作品の解説参照. 作品事例l a,b ~ 4 a,b). 終 わり に. CGによるカラー・ グラデーショ ン研究は, 機器の使用が容易にできるものにとっては, 比較的 表現しやすい研究課題である. しかし, CGを扱う操作上の熟練度は, 作品化において不可欠な条 件となる. また, シミュ レーショ ン段階で比較的できばえのよい作品がえられても, 実際に手で塗 る作業に入ると 大きな違いを強く感じざるをえ ない. キーボー ド操作で着色・配色できる利 点は高 383.
(15) . 山. 田. 一. 美. い も の の, シ ミ ュ レ ー シ ョ ン と し て 実 作 に ど れ だ け 活 用 でき る か が 今 後 の 課 題 と も なろ う .. (引用文献・注) ・宮下孝雄 ( 1 9 63 ) 「基本配色学」 光生館.P.40 ※服飾デザインの原理として, a‐プロポーション,. b‐バランス. (シ ンメ トリカ ル・バラ ンス, ア ンシ ンメ トリカ ル.バラ ンス) 、 c.リ ズム (マー チ ン グリ ズム, グラ デー シ ョ ン, フ ロ ーイ ン グリ ズム, ラ ディ エ ー シ ョ ン, トラ ンジ ッ シ ョ ン, ア クセ ン ト) , d.ハーモニーの4種類をあげている. . 97 .ジョセフ.アルバース ( 1 2 ) 「色彩構成 配色による創造」 ダヴィッ ド社‐ .細野尚志 ( 7 lofColorName 19 3 ) 「色の調和感」 (日本色彩研究所編 「色名事典」 Manua 8 s . 日本色研事業‐ 昭和4 年.P P‐20‐24 所収) .ハラルト・キュッパース ( 1 97 5 ) 「色彩 起源・体系・応用」 (富家直訳) 美術出版社. ・ロジャー・ニコルソン ( 1 9 81 ) 「デザインの発想」 文化出版局. ・千々岩英彰 ( 9 83 ) 「色彩学」 福村出版‐ 1 ・川上元郎他編 ( 1 9 87 ) 「色彩の事典」 朝倉書店. 「 .川添泰宏 ( 1 9 8 8 ) 色彩」 (慶田長治郎編 「デザインの事典」 朝倉書店‐pp‐ 6‐16 9所収) 16 ・小池岩太郎・細野尚志監修 ( 89 ) 「公共の色彩を考える」 背蛾書房. 1 9 ・児玉 晃 ( 19 89 ) 「色彩景観を予見するカラーシミュレーション方法」 (小池岩太郎・細野尚志監修 「公共の色彩を考 36所収) える」 青餓書房‐P.1 .平 不二夫 ( 99 0 1 ) 「造形のための眼・表現・技術の基礎編」 青蛾書房.P. 87 991 .天形 建 ( 1 ) 「構成学習の方法と内容」 (真鍋一男.宮脇理編 「造形教育事典」 建束社.1 9 91年.P. 241所収). (参考文献) .大智 浩 ( 1 9 57 ) 「ひとと色彩」 東部書房‐ ・塚田 敢・山口正城 ( 9 60 1 ) 「デザインの基礎」 光生館‐ 1 9 62 ) 「デザインの色彩計画」 美術出版社. .大智 浩 ( .VJHC ( 7 ) 「色彩論」 (大智 浩訳) 美術出版社‐ 19 1 ・福田邦夫r佐藤邦夫 ( 1 97 1 ) 「色彩デザイン入門一 風山社. 「 .豊口克平 ( 2 197) インテリアデザイン事典」 理工学舎. .田口 卯三郎 ( 1 97 4 ) 「色彩学入門」 高腸書院. .小磯 稔 ( 197 5 ) 「色彩の科学」 美術出版社. .芸術教育研究所編 ( 1 98 0 ) 「描画のための色彩指導」 禁明書房. .戸井田道三 ( 98 6 ) 「色とつやの日本文化」 筑摩書房. 1. (付記) ツールの説明と注意に関して, 北海道教育大学函館分校美術専攻の臼潮哲司君に協力を得 た. ま た, カ ラ ー ・ グラ デー シ ョ ン 作 品 は, 次 の 4 名 の 2 年 次 学 生 の 制 作 に よ る も の で あ. る. 鏡 由佳 (作品l a b) , 鹿島恵子 (作品2 a b) , 佐々木志 , 釜石貴子 (作品3 a b) 保 (作品4 a b) . (カラー・ グラデーショ ン作品事例の解説) ・作品事例l a b (la) 外側から徐々に明度を低くした. 途中から青だけの グラデーショ ンではつまらないので, 色相を変えて紫を使っ ての明度の変化も加えた. 青の明度の一番明るい部分 (中心部) に紫の一番 明度の低いものをおき, そこから上に向かって明度を高く した. 彩度は変えてない. (lb) 3Dの円柱を使っ て, ゆるやかな波のような形を描いた. 左からだんだん小さくしていっ た. 色 は レイ ン ボー カ ラ ー か ら 2色を選んで使った 明度を変えなかっ たので プリントしてみた , ‐ 384.
(16) CGに よる カ ラ ー ・ グラ デー シ ョ ン研 究. ら, まっ たく色の変化が出ていなかっ た. 円柱の色の変化が, 線で分けられるようなものではなく, ゆるやかに変化していくようにし, 円柱の感じを出せた. ・作品事例2 a b (2a) 下地は薄い緑色のグラデーショ ンで, 右から2番目から一番明るく ペールトーンからダル トーンへ変わっ ている. 上段では, 左から明るい青から暗い色へと変化する. 下段は, 浅いターコ イ ズからダルトーンへ変わる. 右隅の方で一度ペー ルトーンに戻して, また暗い色へ変えた. 全体 的に青系統, 緑系統の薄い色や浅い色を貴重とした グラデーショ ンで 「穏やかさ」 を感じれるよう に した.. 8 (2b) 地は薄い緑青で明度1 , 彩度3~4位. 形は球・立方体・円錐の3種類で, 陰は控えめにし た. 球はうすい緑青からビビッ ドトーンの青, ビビッの青紫へと徐々に変化する. 広い立体的空間 を表すために陰の他, 形の大きさで工夫した. グラデーショ ンを楽しむためにはもっ と密度の濃い 配列で, たくさんの色相を使っ た方がよいと考える. ・作品事例3 a b. (3a) 赤に灰色を徐々に加え, 色相は変えず, 明度と彩度を変えていっ たグラデーショ ンで, 楕 円を少しずつ大きくさせながら左から右, 又左へと表現した. この2本の帯により, 交差するよう に表現した. (3b) 一つの球の中で, 緑という色相は変えず, 彩度と明度だけ変え, それが遠くの方から手前 の方に放物線を描くようにし, 奥行きを出すようにした. 同じように左上から右下, 又右上から右 下に流れている二本の帯も青という色相は変えず, 一つの球の中の彩度と明度を変え, 上から下に 徐々に球が小さくなるようにし, 立体感を出すようにしたグラデーショ ンである. ・作品事例4 a b (4a) 奥から手前に広がって, 段差がついている感じをグラデーショ ンで表そうとした. 手描き でゆがんでおり, また色の面でも形の面でもあまり統一性がないことから良い効果は得られなかっ た. 同じ形の連続で表した方が, グラデーショ ンの効果がよく出たかもしれない. (4b) 背景にもグラデーショ ンを用いて奥行きのある感じを出そうとした. また, 球体を際立た せようとして背景との明度差をはっ きりとつけ, 色も補色に近いグラデーショ ンにしてみた.. 385.
(17) . 山. 田 一 美. カラー・ グラデーショ ンによる平面的作品 (a群) と立体感・空間感を条件とした作品 (b群) 揺る- , - エー. . . . . 二 、. . .. - . ,・. l. ,. . . 作品事例l a. 作品事例lb. . g. ず 「 め) ま 響き --. 三瀦. ・ ”-. i d L. . . . . . 作品事例2 a. 作品事例2b. 作品事例3 a. 作品事例3b. i艶 - 当, 電1. ー戸 ーー .. . ● 三 で‐ )-- -- 一. -- -. 1 1. ′ ′. -. . き i “- . . 作品事例4 a 6 38. -( . 作品事例4 b.
(18)
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