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自閉症幼児へのセルフビデオモデリングを用いた母親へ向けたポジティブな感情語・表情の表出 : 母子相互作用の変容

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Academic year: 2021

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(1)自閉症幼児へのセルフビデオモデリングを用いた母親へ向けたポジティブな感情語・表情の表出                  ∼母子相互作用の変容∼                                         特別支援教育学専攻.                                           1こ身軽コース.                                        M10089J稲葉綾乃          I.問題と目的. 表情の表出を評価した。評価の基準として,「母親の顔を.  自閉症児の愛着行動の少なさは,母親のストレッサーと. 見る」「笑顔の表出」「感情語の表出」が同時に行われてお. しても報告されている。さらに,愛着行動の少なさは,母. り,さらに対象児の自発であるものとした。. 親の子どもへの関わりを一方向的なものとし,その関わり.   2)母子相互作用の評価. が減少していく恐れがある。そこで本研究では,セルフビ. 母子相互作用は,・1セッションごとに,母親(子ども)の言. デオモデリングの方法を用いて,自閉症幼児の母親へ向け. 語,非言語刺激に対して,子ども(母親)が3秒以内に相手. たポジティブな感情語と表情の自発的な表出を行うこと. に向けて表出した言語,非言語反応を評価した。内容は,. による,母子相互作用の促進を目的とする。あわせて,感. ①「言語(母)→応答なし(子)」,②「言語(母)→言語(子)」,. 情語の獲得にセルフビデオモデリングを用いることの有. ③「言語(母)→非言語(子)」,④「非言語(母)→言語(子)」,. 効性や,セルフビデオの作成方法について検討する。. ⑤r言語(子)→言語(母)」,⑥r言語(子)→非言語(母)」.            II.方法. ⑦「非言語(子)→言語(母)」の7種類とし,それぞれの発.  1.対象児 2歳6ヶ月時に自閉症の診断を受けた,4. 語数を測定した。. 歳の男児とその母親。新版K式発達検査では,DQ49で.  3)質問紙による評価. あった。言語・コミュニケーションの特徴として,オウム.  母親の子どもの特徴に関するストレスの程度を知るた. 返しての返答が多く.時折質間内容とは異なることもあっ. め,育児ストレスに関するr日本版P呂renting Stress. た。」語文が多くあいさっや,「おねがい」等の要求がで. Inaex(PSI)」を行った。回答は4または5段階評定で「子. きるが,視線を合わせることが困難であった。モデルを提. どもの特徴に関わるストレス」7下位尺度,38項目と「親. 示することで.言語模倣,動作摸倣が可能であった。. 自身に関わるストレス」8下位尺度40項目であった。.  2.実施期間および場所 20狐年4月∼9月まで,週1.          皿.結果及ぴ考察. 回対象児の家庭に訪問し介入を行った。.  1)標的行動.  3.研究デザイン及び手続き.  おやっ場面及び母子遊び場面における,べ一スライン,.  べ一スライン,介入(セルフビデオモデリング),般化・. 介入,般化・維持プローブでの生起及びその反応内容(感. 維持プローブからなる,行動間マルチプルベースラインデ. 情語・表情・視線)についてFig.1に示した。対象児はセ. ザインであった。介入は,おやつ場面,母子遊び場面の順. ルフビデオモデリングを通して,視線・感情語・表情≡の一. に行った。. 連の行動を形成し,自発的な表出が可能となった。.  1)べ一スライン.  これは,「おいしい」という感情状態を促すような状況.  おやつ場面及び母子遊び場面で標的行動が生起するか. と母親の存在があり(先行条件),対象児が母親に向けて「お. どうかを測定した。. いしいね」と述べ(行動),母親が笑顔で応える(後続条件).  2)介入(セルフビデオモデリング). という3つの要素が,感情語rおいしい」の報告言語行動.  家庭で,毎日その場面の直前に,ビデオ視聴を行った。. を形成したといえるだろう。「たのしい」においても同様. そして,セルフビデオモデリング後の各場面における標的. のことがいえる。. 行動を測定した。.  介入1の視線や表情が伴わないセッション(4,8,11).  3)般化・維持プローブ. においては,感情語の表出後に,母親に顔を過剰に接近さ.  標的行動が介入と同場面または他場面で生起するかど. せるものであった。視線と感情語が同時でないことに対し. うかを評価した。. ては,ビデオを修正し,行動の変容を行った。.  4.評価方法.  介入2においては,視聴中には「たのしい」を表出して.  1)標的行動の評価. いたが,自発・応答ともにセッション6以降,表出しなか.  おやつ場面と母子遊び場面において,ギおいしい」rたの. った。ここで,子どもが積極的に遊べるよう,セッション. しい」というポジティブな感情語と,対象児の視線の方向,. 20より,rバランスホール」rどっちだ」rシャボン玉」の. 一170一.

(2) 3つから対象児が選択した遊びを行った。その結果,セッ. 介入前後において,大きな変化は見られなかった。しかし. ション20より,比較的安定して感情語が表出するように. ながら,対象児と母親の視線が合う回数も増加し,さらに,.  r食事中,以前はあわてて急いで食べさせていたが,今は,. なった。.  2)般化・維持について. 食事自体が楽しくなった。私自身も対象児のことをよく見.  介入1において,介入開始と同時に,場面間・対人間で. るようになったと思う。」と感想を述べていたことからも,. の般化がみられ,2ヵ月後,3ヵ月後と安定して維持を示. 質的な面での変化がみられ,感情語の自発が,子どもに対. した。. する母親の関わり方や見方に影響を与えることが示唆さ.  夕食場面で父親や祖母に向けた表出や,幼稚園の給食で. れた。これらは,獲得された行動の表出により,感情語を. の他児や教師に向けた表出等,場面・人・対象物の異なる. 自発し成立する回数が増加するといった母子相互作用が. ものへの般化がみられた。一方で,介入2に関しては,場. 促進されたことからもいえるだろう。. 面間・対人間での般化がみられたが,表出頻度は少なく,.           lV.総合考察. 約1ヵ月以降維持されなかった。.  今回行った,感情語・表情・顔を見るといった行動を形.  また,母親が対象児の妹に授乳している際に「かわいい. 成して新たな一連の行動を表出することを目的としたセ. ね」.トランポリンで遊んでいる際にrおもしろいね」と. ルフビデオモデリングの方法が,その行動の獲得及ぴ表出. いった数種類の感情語が表出された。. とともに母子相互作用の促進にも影響するということが.   rおいしい」の自発的な生起回数がrたのしい」の生起. 示唆された。さらに.般化・維持の面においても有効であ. 回数に比べ多かったことや,般化・維持の面でも,「おい. るといえるだろう。. しい」が多かったことにおいて,『おいしい」と「たのし.  また,ビデオ作成の際に,感情語の表出が何を弁別刺激 として表出しているのかについても,詳細を検討していく. い」の先行条件の違いが考えられる。また,「おいしい」. は報告言語としてだけではなく要求言語としても機能し たと考えられ,それが維持された要因のひとつになったと. ことが今後の課題である。. 趾・1舳       唱蔦. 考えられる。対象児は,感情語の種類の般化において,感 情語・視線・表情の一連の行動を獲得し,母親の笑顔を誘 発させることを学習した口今後,対象児の内的事象(私的 刺激)が他者に観察可能な公的刺激となっている場合に,. 公的事象が生起している際の他者からの感情語の言語刺 激が,対象児の感情語の獲得・般化を促すと考えられる。.                   帖,}■,1−j 1∼1雪 55∼”1舳蛇昭洲呈州…蝿理洲1亟盟   “^ト1                        廿工},   ●,  ■. [ミ]’.  3)母子相互作用.  介入1における母子相互作用の内容・発語数について. 他. Fig.2に示した。べ一スライン期(セッション1,2)では,. 母親の言語刺激に対し,子どもが無反応であるこ一とが最も. 多かったが,セッション数を追うにつれ,母親の言語刺激 のみで,相互作用が成立しないものは減少し,子どもの自. 発的な言語刺激に対して母親が言語で反応することが増 加した。感情語の獲得が,対象児の母親への働きかけを積. 2重{…筍言垂3師……12堀払相…岳”一1竃且葭粥童1理艶挫鴉珊至言……挽饅31型蝿明書…寵鶉堀韮9田珀素螢.                         他,壬”I一一      Fiε.1意何駅白鋤の生起の有無と反応内容. 維肌たllろに1揖色を付け1生起し棚りた1ころば白1比. 極的にしたとともに,対象児の自発的な表出や,母親の言 葉に対する応答が,母親のコミュニケーション意欲を高め,.  }6. 関わり方にも変化が見られたことが考えられる。.  14  王2                   銅{蝪噌一線引…繕激掲1.  セッション14では,子どもの言語内容においてrおい しい,お母さん」といった対象を特定する言葉が表出され た。このことからセルフビデオモデリングを用いた感情語 の獲得は,単なる命名反応ではなく,特定した聞き手(母 親)の方を見る報告言語行動として獲得されだといえるだ. ^10                嗣②慧一葦竃用・一沸器繕㈱ 望 締 s                   竈⑬官醐判→言翻醐 槻. 鵜昌           “⑳非言書蔓徽→言譲洋1.  4                密働蓄藩倒→非言書勇㈱                 国⑯貢潟1時}今霜害書{子1.  ユ.                 ■⑦粛毒蕎一働:→肪審なし.  o    …  2  3  豊  王4  1皇  セツシ…1ン数t国,. ろう。  Fig.2介入11=おける母子相互作用の反応内容と発語籔.              主任指導教員 井澤信三.  質問紙「日本版Pamn七皿g S位ess I11dex⑫SI)」では,.              指導教員井澤信三 一171一.

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