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ジャム及びマーマレード中のソルビン酸の高速液体クロマトグラフィーによる迅速定量

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Academic year: 2021

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(1)横浜国大環境研紀要11:47−51(1984). ジャム及びマーマレード中のソルビン酸の高速液体. クロマトグラフィーによる迅速定量 A HighPerformance Liquid Chromatography fbr Rapid Determination Of Sorbic AcidinJam and Marmalade. 後藤 由里*・梁 祖 瑞**・猪子 正憲*・松野 武雄* YuriGoTO*,Zu Yu LIANG**,MasanoriINOKO*. and Takeo MATSUNO*. SynopsIS ArapidandsimplemethodfbrthedeterminationofthesorbicacidandsorbatesinJam andmarmaladewasstudiedbymeansofhighper払rmanceliquidchromatography.. Bythismethod,tediouspretreatmentssuchasextractionandfiltrationwereomittedso that the time required for analysis could be within30min.Halfofthe examined non− preservejamsandmarmaladescontainedlessthan500mg/kg ofsorbicacid,butpreserve. JamS did not containit.. 魚肉乾製品及び漬物等で1g/kg以下,ジャム,ケチャ 1・緒. 食品にほ悪変防止,加工改質,噂好増進,栄養強化 などの目的で,食品製造の過程で食品添加物が混入さ. ップ等でほ0.5g/kgと規制されている。 ところで食品中の食品添加物を分析するにあたって. は,いかに迅速簡易に分析するかが問題となる。ソル. れることがある。悪変防止の目的で添加されるもの. ビン酸及びその塩類の分析法は,従来から数多く報告. ほ,防虫剤,殺菌剤,保存料及び酸化防止剤がある。. されており,“衛生試験法”や“0疏cialMethods of. このうち抗生物作用を有し,微生物の繁殖を抑制する. Analysis”などでは,次のような方法が述べられてい. ため使用される保存料として,ソルビン酸,安息香酸,. る。. プロピオン酸,デヒドロ酢酸が許可されているが,ソ. ① 薄層クロマトグラフィーによる定性分析. ルビン酸ほ微生物阻止作用が強く,安全性も高いため. ② 紫外部吸収スペクトルによる定性及び定量分析. 多くの食品に使用されている。. ③ ガスクロマトグラフィーによる定性及び定量分. わが国では,ソルビン酸のほかその塩類であるソル ビン酸カリウムの使用も許可されている。なお,わが. 析. いずれの場合も煩雑な前処理が必要であり,分析に. 国のソルビン酸及びソルビン酸カリウムの使用基準. 時間がかかるほか,多量の溶媒の使用,誘導体化など. は,何れもソルビン酸として表示されており,魚肉ね. 問題点が多い。これに比べ,Nelson等1)によって報告. り製品等は2g/kg以下,くん製品で1.5g/kg以下,. された高速液体クロマトグラフィー(High Perfbr− manceLiquidChromatography,以下HPLCと略記. *横浜国立大学環境科学研究センター環境計測工 学研究室. する)を用いた甘きつ類中のソルビン酸の分析ほ,分. DepartmentofEnvironmentalMonitoringTech−. 析の簡易化の点で大きな前進をもたらした。また上田. nology,InstituteofEnvironmentalScience and. 等2)は,固形試料や懸濁試料をpH9.2緩衝溶液で抽. Technology,Yokohama NationalUniverslty,. 240 Yokohama **現在:中国軽工業省食品発酵研究所 atpresent:FoodandFermentInstitute,Minis−. tryofLightIndustry,China. (1984年6月 30日受領). 出した後に,グラスファイバーフィルターでろ過ある いは遠心分離したろ液あるいほ上澄液をさらにメンブ. ランフィルターでろ過し,HPLCで定量した。簡易な 物理的操作ではあるが,やはり抽出操作を必要として. いる。以上述べたように,固形物あるいは懸濁状物質.

(2) 48. については何らかの形で前処理を必要としている。そ. 3A型,検出器:紫外分光光度計SPD−2A型,記録. こで筆者等は,固形物試料中のソルビン酸及びその塩. 計:クロマトパックCR−1A型,ホモジナイザー:(株). 類の迅速分析法を検討することにした。分析対象試料. 国産遠心器H−100−D型,シェーカー:(株)常盤製作. としては,下記に示す理由からジャム及びマーマレー. 所製TS式. 2.4.HPLC条件. ドを選んだ。. ① ジャムは果実の果肉に砂糖を加えて煮沸,濃縮. 分析カラム:ZORBAX ODS(5FL,150×4・6mm),. したものである。主としてリンゴ,アンズ,イチゴ及. 移動層:水(pH=2.2リン酸)一メタノール=1:1・76,流. びブドウ等が材料となるが,これら果実中に含まれて. 速:0.8ml/min,検出波長:258nm,感度:0・08∼0・16. いるペクチンと,酸及び糖質によりゼリー化されたも. AUFS,カラム温度:室温. のである。したがって,糖度も60∼70%と高く,pH. 2.5.試験溶液の調製. も 3.4∼3.8 とそのままで保存性はかなり高い。. しかし価格を安くするため製品中の果実分を低く. 1)non preserveスタイルのジャム:試料5・Og. を50mりと色管に正確にはかり取り,600C,40mJ温. し,寒天を添加したり,糖分を少なくしたものもあり,. 水を加えシェーカーで15分間振とうした。試料が常. それらには多くソルビン酸及びその塩類が保存料とし. 温になったところで蒸留水を加え全量を50mJとし,. て添加されている。一方,マーマレードも同様に果汁. 手でよく振り混ぜた後,10分間放置し,ジャム中に混. を絞ってゼリーをつくり,それに果肉または果皮の薄. 入している果皮,栗毛及び種子等を沈殿させた溶液を. 片を混入したものである。. 試験液とした。. ② 一方,ジャム及びマーマレード中のソルビン酸. 2)preserveスタイルのジャム及びマーマレード:. を定量する方法ほ,現在のところ見当らない。また固. 試料約40gを採取し,10,000r・p.m・でホモジナイザ. 形物中のソルビン酸を分析するには,前にも述べたよ. 一に5分間かけた後,ホモジナイズした試料5gを. うに煩雑な前処理を必要としている。. 50mJ比色管に正確にはかり取り,以下1)と同様の操. そこで,本報文でほ試料を抽出,ろ過,遠心分離等. の諸操作を行うことなく,直接分離定量する方法を新 たに開発することを目的とした。. 作を行った。 3)回収率:試料1.00g当りソルビン酸カリウム. 500〃gを添加した場合の回収率は,前述の1)及び2) の操作での温水を20m=旧え,シェーカーで15分間. 2.実. 験. 振とうした。冷後,蒸留水を加え全量を25mJとし,. 2.1.試薬及び試料. 標準液(ⅠⅠⅠ)25m仁を加え全量を50m仁にした後,十. 酸化防止剤としての試薬ほ,東京化成製試薬特級ソ. 分に振り混ぜた。以下1)と同様の操作を行った。試. ルビン酸,ソルビン酸カリウム及びソルビン酸ナトリ. 料1.00g当りソルビン酸カリウム100〃g添加した場. ウムの3種類を用いた。試料としてほ,国内及び外国. 合の回収率は,前述の1)及び2)の操作での温水を. で市販されている12種類のジャム(イチゴ,キウイ. 30mJ加え,シェーカーで15分間振とうした。試料が. 及びアンズ)及び5種類のオレンジマーマレードを用. 常温になったところで蒸留水を加え全量を45m7と し,標準液(ⅠⅠⅠ)5m仁を加え全量を50m7にした後,. いた。. 2.2.標準溶液の調製. ソルビン酸100mgを精秤し,1Jメスフラスコに移 し,ついでメタノールで1000mJにメスアップした。 以下この溶液を標準液(Ⅰ)とした。また,精秤したソ. 十分に振り混ぜた。以下1)と同様の操作を行った。 2.8.HPLC系におけるソルピン酸及びその塩類の 最大吸収波長. 検出器の波長を2∼5nmずつ,200nmから300nm. ルビン酸カリウム100mgのそれぞれを2つの1Jメ. まで設定し,標準液(Ⅰ),(ⅠⅠ),(ⅠⅠⅠ)及び(IV)5〆. スフラスコに移し,1つはメタノールで,他は蒸留水. をHPLCに注入した。. でそれぞれ1000mJにメスアップした。ソルビン酸カ リウムをメタノール中に溶解したものを標準液(ⅠⅠ), 蒸留水中に溶解したものを標準液(ⅠⅠⅠ)と以下称す. る。ソルビン酸ナトリウムについても精秤した100 mgを1Jメスフラスコに移し蒸留水で1000mJにメ スアップしたものを標準液(IV)とした。 2.3.装. 置. 高速液体クロマトグラフ:(株)島津製作所製LC一. 2.丁.HPLCによる定量. 2.4.に記した条件で分析した。なお,定量は標準液 (ⅠⅠⅠ)とのピーク面積比により行った。. 2.8.ソルピン酸及びその塩類の定量 ソルビン酸の含有が認められたジャム 5g を 2・5.. の方法で調製した。つぎにこの試料をイオン交換樹脂 IRA402を充填した内径10mm¢,長さ30cmのクロ. マト管中に通じ,この流出液5FLlをHPLCに注入し.

(3) 49. ︵ご空l吾 巾 ︶ 巾 聖 句 葛 巴. L_−∴− (1) ●+¶. ⊂. 二:. パ. し_J」____ (3). 5min. 5 minn. Fig.2.Chromatograms of severalkinds of. jams and marmalade(In three kinds of 200. 250. SamPles except jam(L),SOrbic acid was. 300. WaVelength(nm). COntained.). −○−:SOrbicacid(inmethanol) −△−:POtaS9umsorbate(inwater) 「▲−:匹)lasslum SOrbate (inmethanol) −ロー:SOdiumsorbdte(inwater) Fig.1.Absorption wavelength:わr sorbic. acid,POtaSSium sorbate and sodium sor−. (1):StraWberryjam(D),(2):kiwijam(H),. (3):StraWberry jam(L),(4):marmalade (P).. −COOH:ス=210nm付近の弱い吸収 (3). CH3(CH=CH)2CHCOOH lmax=258nm(4) (4)式に示されるようにソルビン酸は共役ジュン結. 合を持っているので少なくとも ス=217nm以上の波. bate.. 長を呈すると考えられる。一方,(3)に示すようにカ た。また,標準液(ⅠⅠⅠ)についても同様の操作を行っ. ルポキシル基の波長は ス=210nm 付近の弱い吸収で. た。. ある。そこで,本実験に用いた258nmの吸収波長ほ ジュン結合にカルポキシル基の簡素の打電子が共役. 3.結果及び考察. したことよりさらに長波長側にシフトしたことによっ. 3.1.HPLC測定条件の検討. て生じたものであると考えられる。このことは1,3−ブ. タジュンにさらにCH=CHを共役した(2)に示され. 現在までに報告されたHPLCによる分析法でほ,. る化合物はスmax=268nmに持っていることからも裏. カラムモードとして逆相分配クロマトグラフィーとゲ ルバーミ. ューシ. ョンクロマトグラフィー(GPC)があ. 付けられよう。. る。GPCは高価であり日常分析にほあまり適して. また,Fig.1に示したソルビン酸及びその塩類で. いないと考え,汎用性があり一般に用いられている. スmaxが異ならないのは,HPLCの移動相が酸性なの. ZORBAX ODS4.6mmIDx15cmを採用した。移. で,カラム入口部分で迅速にソルビン酸に移行してし. 動相の組成は蒸留水とメタノールからなり,その蒸留. まうと考えられる。また,このことはソルビン酸及び. 水に対する体積比を1.76 とし,リン酸を用いてpH. その塩頬の保持時間が3.1分で殆んど異ならないこと. を2.2に調製し移動相の速度を0.8mJ/minとした場. からも裏付けられよう。. 合,ソルビン酸のピークがシャープとなることが判っ. 3.2.市販ジャム及びマーマレードの定量. た。上述の条件におけるソルビン酸及びその塩類の保. 定量に先立ってnon−preSerVeスタイルのジャム. 持時間は3分前後で早くも遅くもないことから,上述. (A)を用いて,メチルアルコール,エチルアルコール,. の条件を分析条件として採用した。. ヘキサン,水及び600Cの温水に対する溶解能を調べ. つぎに,ソルビン酸及びその塩類の吸収波長をFig.. たが,ジャム中のペクチンほ上記の何れの有機溶媒に. 1に示す。Fig.1から判るように何れのソルビン酸及 びその塩類の最大吸収波長は258nmに存在すること. も溶けなかった。また,ペクチンほ水に対しても難溶 で,30分の振とう時間でも未溶解の部分が残ってい. が判った。この最大吸収波長が分子のどのような構造. たが,温水には容易に溶解した。そこで温水がジャム. から由来するかを以下の様に考察した。. の溶剤として最適であることが判り,以下本実験では. H(CH=CH)2Hlmax=217nm. (1). H(CH=CH)3H スmax=268nm. (2). 溶剤として600Cの温水を用いることにした。. ジャムを温水で処理した試験溶液をHPLCに注入.

(4) 50 TabIel.Concentration ofsorbic acid,pOtaS−. siumsorbateandsodiumsorbateinvarious jam and marmalade. malade. Concentration or. Sample. C,. PreSerVatives (%). Recovery (%). つJ つJ. 7. つJ 4. 4. 1. 0 1. つJ ‘U. l つJ. 2 0ノ l 1 7 2 つJ 00 1 4 7. 2 4 つJ. 値500mg/kg以下,または検出下限界以下であった。 Table3に示される10試料のCv値は1試料を除い. 2 2 5 ′ん U. 5. に供せると思われる。. 4. マーマレード5種いずれのソルビン酸含有量も許容. 7. 1. 1 2. ら判るように,国産ジャム6種,外国産ジャム6種,. であり,開発した分析法は迅速分析法として十分実用. 5. つJ. 酸含有量を求めた結果をTable3に示す。Table3か. 体を通して回収率は略々100%,Cvほ1∼7%の範囲. nフ. 108 98.2. 99.4. ∠U. 1. (Q). 106. 試料1.00g当り100/Jg添加した場合の回収率が. 7. Orange. 5. (P). つJ. (0). Orange. 1. Orange. っJ. 5%,6試料が100%±10%以内,1試料が80%であ. 91.6. ′﹂U. (N). 4. (M). 99.7. Cv (%). 2. ︵. ︶. Orange Orange. つぎに,市販ジャム及びマーマレード中のソルビン. ′﹂U. ︵. ︶. (K). た Table2 において回収率は8試料について100±. 500〃g添加したそれと比較して余り良好でないが,全. 4. ︵. ︶. E二F. (J). 準偏差Cv値は3試料を除いて5%以下であった。ま. った。Cv値は2試料を除いて5%以下であった。. つJ一〇ノ ▲qノ 0 q/ ∩フ ▲フ 1. ︵. ︶. H I. ︵. ︶. G. ︵. 102. D. 10%以内であった。また,同一試料5検体における標. 102 105 102 98.5 94.3 102 104 100 99.8. ︶. 5%以内であったが,その4試料についても100%±. StraWberry StraWberry StraWberry StraWberry StraWberry kiwi aprlCOt PreserveJam StraWberry StraWberry Marmalade. ︵. Tablelにおいて4試料を除いて回収率は100%±. Sけawberry. ︶. 合の回収率をTable2に示す。. NonpreserveJam StraWberry. ︵. を添加して回収率を求めた結果を Tablelに,試料 1g当り100/瑠のソルビソ酸カリウムを添加した場. 1. (%). ︶. OアQ. つぎに,試料1g当りソルビン酸カリウム 500/増. 5. Recovery ︵. N. いて分析が十分にできることを示している。. 4 つJ. Sample. AおC. M. 温水でジャムを処理した試験液に対してHPLCを用. 4 0 1 1 1 5 2 1 1. つJ. malade. ︶. ︵. のについてほ,ピークほ生じていない。このことは,. 3 nフ 2 nフ l ′b 2 5 3 ‘U 007. l. 1. Table3.Recoveries(%)ofpreservatives ad− ded atlevels of500FLg/g tojam and mar−. 示されるように,保存料を含むものについては,ソル ビン酸の保持時間にピークが生じており,含まないも. つJ. 1. ︶ ︶ ︶ ︶ I K L ︵ ︵ ︵ ︵. .1.7一.8.4. 0. (M) (N) (0) (P) (Q). 4. 1 0 1 0 0 1 1 1 1 1. 1. 一一一. Marmalade Orange Orange Orange Orange Orange. 102 80.6 4. 00つん05. ′h﹀ ∧U. aprlCOt. PreserveJam StraWberry()) StraWberry(K). 106 98.2 107 103 102 94.4 103 95.0 93.6. Cv (%). ︵U 2 0 5 つJ Oノ 0 つJ 1 5 つJ. kiwi. A B C D E F G H I. NonpreserveJam StraWberry StraWberry StraWberry StraWberry StraWberry StraWberry StraWberry. ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵. 1 2. ︶. した場合のクロマトグラムをFig.2に示す。Fig.2に. 00ノーJnフ54 .2.9一.〇.2一.4.9一. 2 2. ︶ ︶ G H I ′llヽ ︵ ︵. ︶. D D D40月18 N N N 4031N2925. F. N.D.:nOt detected.. ・′LU 48。監267荒37.荒. E. Orange. D. Orange. C. Orange. ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵. Orange. ︶ ︶ ︶ ︶ ︶ ︶. Orange. ︶ ︶ ︶ A B ︵ ︵ ︵. StraWberry StraWberry StraWberry StraWberry StraWberry StraWberry StraWberry kiwi aprlCOt Preserve Jam m StraWberry StraWberry StraWberry Marmalade. Sample ︶ ︶ ︶ ︶ ︶ ︶ ︶ ︶ ︶. (mg/kg). NonpreserveJam. Table2.Recoveries(%)ofpreservatives ad− ded atlevelsoflOOFLg/g tojam and mar・.

(5) 51 ラム圧力が高くなった。しかしソルビソ酸の保持時間. は異ならなかった。そこで高圧によるカラムの劣化を 防ぐという意味で,カラム圧力が180kg/cm2になっ たところで新しいフィルターと交換した。汚れたフィ ルターはメタノール中に浸漬し超音波洗浄して再使用. StraWberryjam(A)A) IRA 402 resin Fig.3.Identification ofsorbic acid by uslng ionexchangeresin.. できることも併せて確認した。. ヰ.総. 括. (1)ジャム及びマーマレード中に保存料として添 加されるソルビン酸及びその塩類の定量分析ほ従来,. 抽出等の煩わしい前処理が必要であった。そこで本研. て何れもたかだか3%以下であったことから,分析値. 究では試料を直接分離定量する方法を検討・開発し. の再現性は良いと思われる。. た。. ソルビン酸及びその塩類の同定方法としてイオン交. 換樹脂IRA402を用いた結果をFig.3に示す。Fig.. (2)分離にはとくに高速液体クロマトグラフィー. (HPLC)を用い,検出器にほ紫外吸光光度計を用い. 3から判るように,ソルビン酸を含んだジャムの試験. た。HPLCの移動相には水とメタノールを1:1.76の. 液をIRA402陰イオン交換樹脂を貫流させて得た流. 体積比にし,PHを2.2に調節したものをZORBAX−. 出液からのクロマトグラム上にはソルビン酸のピーク. ODSカラムに0.8ml/minの流速で通じ258nmの波. は不検出であり,木方法はソルビソ酸の同定に用いる. 長で測定した。. ことが可能なことが判った。 つぎに,ジャム中のソルビン酸ほ開封後どのような 挙動を示すか調べた。ジャム(A)について開封直後. (3)試料の中,nOn−PreSerVeスタイルはそのま ま,果実の残っている PreSerVeスタイル及びマーマ レードについてはホモジナイザーで均一にした後用. 及び開封90日後のソルビン酸含有量は480mg/kgで. いた。試料の調製は溶剤に600C温水を用い,10倍に. あったものが90日後では431mg/kg迄に減少した。. 希釈,振とうした後,放置しその上澄液を採取し,. このことほジャム中に添加されているソルビン酸がジ. HPLCへ注入した。. ャムの劣化を防く、、ため消費されることによると考え. (4)定量にあたっては100mg/Jソルビン酸カリ. た。したがって,ソルビン酸含有量の測定は開封直後. ウム水溶液をHPLCへ注入して得たクロマトグラム. に測定することが望ましいことも判った。. のピーク面積と試料のピーク面積との比により添加さ. また,本分析法の定量下限界を明らかにするため 以下の実験を行った。すなわちHPLCに注入できる. れているソルビン酸量を求めた。. (5)その結果,実測した市販ジャム及びマーマレ. 試料溶液ほ10〃Jで,また吸光光度計の最大感度を. ード中のソルビン酸含有量は何れも許容値の500mg/. 0.005AUFSに設定して,ノイズピークの3倍のピー. kg以下,または検出下限界以下であった。. クを定量下限界のピークと見なした場合,ジャム中の ソルビン酸濃度 2.5mg/kg が検出下限界であると考. リウム,ソルビン酸ナトリウムの区別は不可能である. えた。. が,法的規制はソルビン酸量として示されているので. つぎに,本実験は何ら遠心分離や抽出操作等をしな いで良好なHPLCのタロマトグラムを得ることがで. 区別の必要ほないと思われる。. きた。この原田ほ,本実験に使用したカラム入口に2. 範囲であり,木方法は実用に供せるものと思われる。. 〃mのフィルターが取りつけてある。実験にあたり試. (6)開発した方法でほソルビン酸,ソルビン酸カ. (7)回収率ほ略々100%でCv値は1.1∼7%の また,開発した方法では分析所要時間は,諸操作を. 料中に不純物があることほ先に述べたが,これらの不. 含め30分以内であり,また分析下限界も2.5/瑠/gと. 純物は沈殿させ,上澄液をHPLCに注入した。しか. 比較的低く,迅速定量分析法として非常に有効である. し肉眼観察できない不純物はHPLCに注入されたが,. ことが判った。. 本実験では定量を簡略化するため,このカラムにある. 文. 献. フィルターを利用して不純物のカラム内への流入を防. いだ。この方法はクロマトグラムに対して何ら影響を 及ぼさず,分析の迅速化に大きく寄与した。なお試料 を多数注入した場合,次第にフィルターが日詰りしカ. 1)G.L.Park&D.B.Nelson,JournalofFood Science,46,1629(1981). 2)上田雅彦,間崎真典,食品衛生学雑誌,1$,278 (1977)..

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