HoneybeeScience(1997)
ネパ ールの養蜂振興事業
アジア養蜂研究協会大会 の開催 にあた って
イ ン ド,中国の2大国に挟 まれた,北海道の 約2倍 の広 さを持っ ネパ ールのEg土 は自然環 境 ・生態系 の違 いによ り大 き く3つ に分 け ら れ る (図 1).中国 (チベ ッ ト)国境 につ らなる 8,000m級 の山々のすそ野 である標高3-4,000 mの ヒマラヤ山岳地域 (国土の15%)は寒冷な 気候である,その南側 は ヒマ ラヤ山麓か らヒマ ラヤ山脈の前山で,東西 に走 るマハバ ラー ト山 脈 に至 るまでの地域で,中部丘陵 ・山地などと よばれ,国土 の 68% を しめ る温暖 モ ンスー ン 気候地域である. イ ン ドと国境を接す る南部 タ ライ平原 (標高 60-280m) は国土面積 の約 17%を占める亜熱帯気候 の低地,かつてはマラ リヤが猛威 をふ るい人間が定住 し難 い熱帯 ジャ ングルだ ったが,現在 は豊 かな穀倉地帯 となっ ている. ミツバチ種 ネパ ールには多様 な ミツバ チが分布 して い る.在来種 は トウヨウ ミツバチ,オオ ミツバチ, コ ミツパテ, ヒマ ラヤオオ ミツパテの4種,セ イ ヨウ ミツバチは近年輸入 され, カ トマ ンズ盆 地内の養蜂家が試験的に飼養 し, タライへの移 動養蜂 もお こなっている. トウヨウ ミツバチは 亜熱帯か ら亜温帯,温帯 と広 く分布 してお り, この種の今後の科学研究 に貴重な遺伝子資源 と 考 え られ る. ヒマ ラヤ オ オ ミツパ テ は標 高 3,000m以上 の高地温帯地域 にのみ生息す る. ハ リ ナ シ バ チ (Melipona spp.,Trigona spp.)は亜熱帯気候 の タライ平原 と標高 1,200 mまでの渓谷地域 に生息す る.Meliponaを飼 養す る農民 も少数で はあるがみ られる.K.
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養蜂植物 国内の大 きな標高差を反映 し養蜂植物 は多様 で豊富 にある. ヒマラヤの高山帯 にはシャクナ ゲ属やサ ラソウジュ,多 くの花木がある.中間 山地の農耕の行われている谷間にはナタネ, ダ イズ,他 の豆類など温帯性 の穀物 と園芸作物が ある.亜熱帯 のタライ平原 にはライチー,マ ン ゴーなど熱帯性の蜜源植物 がみ られ る. カ トマ ンズ盆地では流蜜期が年3回ある. 1)2-3月にはユーカ リ, ブラシノキが開花す る. この時期 に ミツバチは建勢 し,多数分蜂す る. この ときの状態 は次の時期のハチ ミツ生産 に大 きく影響す る. 2)4-5月には多 くの養蜂家がハチ ミツを収穫 す る. この流蜜期 の前 には蜜源不足 の乾季があ り,後 にはやはり ミツバチが不得意 な雨季が く る. 3)9月か ら11月末が最後 の流蜜期で この時期 には ヒマラヤザクラ, ソバの仲間, ヒマワ リ, アワダチ ソウの仲間などが開花す る. トウヨウミツバチによる養蜂 養蜂 は山岳地域 に住む小規模農民が,土地 に 図 1 ネパールの国土依存 せず に食物 と収入 を入手 で きる手段 で あ る.多 くの農家の婦人や 自分 の土地す ら所有で きない,生存可能 ぎりぎりの レベルで生活す る 人 々に,農作業以外の新 たな雇用機会 を提供で きる. またネパ ールの人 々は トウヨウ ミツバチを用 いた養蜂を伝統文化 の一部 としていた.農民 は 家庭で蜜蜂を飼 い,昔か ら農作物育成 と関係づ けて考 えて きた.裕福 な農家の多 くは家庭で数 群の蜜蜂を飼 っている. 村落地域ではほとんど固定巣板の,特 に丸太 巣箱や家屋の壁厚を利用 した巣箱が多 く,新 し い養蜂技術 の導入が望 まれる.都市やその周辺 地域の農家では可動巣枠式巣箱が多 い. トウヨ ウ ミツバチを飼 う可動巣枠式巣箱 は大半がイ ン ド式ニュー トン巣箱 の
A,B
タイプを基 に,辛 を加えた形である.新 しく紹介 された トップバ ー式の丸太巣箱 は材料が地元で入手で き,作 る の も易 しいので,小規模農民で も手が届 くもの として多 くの関心を集めた.最近養蜂 に取 り組 むNGO
か ら, やはり地元 の資源を活用 した, 稲 わ らの巣 箱 が紹 介 され た (後 述KNSN
参 照). 伝統的な固定巣板 の巣箱では季節管理が行わ れないが,可動巣枠式巣箱 (トップバー,普通 の巣枠巣板 とも) は養蜂 の講習を受 けた研修生 が所有 して,定期的に巣箱内の観察,給餌,巣 の分割や分蜂のコン トロール,逃去や群 の移動 防止対策,近代的 な採蜜 法 な どを実施 して い る. 地理 的 に見 ると,国土 の中部 を横切 る高度1
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500m
の亜温帯地域 が伝統 的 に養蜂 の適地であ り, これより南の タライは避寒 に向 いている.標高が高 い養蜂限界地で見 られる ミ ツバチは体長が大 きく,性格 は温和で,短 い春, 夏,秋 の間に多量 の-チ ミツを貯える. ネパール産ハチ ミツは ミツバチ種別 (オオ ミ ツバチ, コ ミツパテ, ヒマラヤオオ ミツバチ, トウヨウ ミツバチ),季節別 (春夏秋冬)および 地域削 (南部 タライ,中間山地,北部 ヒマラヤ) で分類で きる,熟練 した養蜂家な らナ タネ, ラ イチー, ミカ ンなど単一蜜源のハチ ミツも生産 できる.ミツパテの病害敵
ネパールでみ られ る ミツバチの病気 としては タイサ ックブルー ド病, ヨーロッパ腐姐病があ り, タイサ ックブルー ド病 の被害 は深刻 であ る. ミツバチへギイタダニ,マツテ ン, スズメ バチの類の害 も侮れない.ネパール養蜂の現状
ネパールではセイ ヨウ ミツバチを飼 う企業養 蜂家 は限 られた数である.多量 の資本投下が必 要で,労働集約的な形態 はその多 くが村落地域 の農民である国内の大多数 の養蜂家 には不向 き である. また訪花先での ミツバチの競合,あ ら たな病気 の蔓延の危険な どを考慮 して,国内の 養蜂振興事業 は トウヨウ ミツバチを用いてすす め られている.ODA による援助,国際組織,国 内NGO
など多様 な組織が養蜂 を用 いた村落開 発援助活動を展開 しているのが, ネパールの養 蜂の特色 といえよ う.政府の養蜂事業 と トウヨウミツバチに
よる養蜂開発計画
(BDP) A.養 蜂 研 修 振 興 援 助 プ ロ ジ ェ ク ト ( BET-RESP)か らミツパチ開発セクション(BDS)へ
養 蜂 研 修 振 興 援 助 プ ロ ジ ェ ク ト( BET-RESP)は1987年∼1993年 の6年間にオラン ダ政府の援助を受 けて,主 に トウヨウ ミツバチ 養蜂 の研修 と振興 のための基盤整備を目的に設 立 された. 中級 レベル指導者 の育成,視聴覚教材制作, 中部丘陵地域 に適 した新 しい巣箱開発などを行 い,蜂異類 と ミツパテ生産物 の販売 と簡単な検 査のできる養蜂販売店 も開いた, このような多 様 な活動 と研修事業 に農民,開発事業従事者,NGO
な どか ら千人以上 が参加 し,2
千箱以上 の新 しい巣箱が蜂具などとともに提供 されてい る. 主要 な養蜂植物の形態 を調べ,顕微鏡写真, 植物標本の作製,検索用花粉源調査,-チ ミツ の品質検査などを行 った.ハチ ミツの年間国内総生産量 は67t, 蜂 ろう は
5t
とやや少 な く,蜂群 あた りの年 間ハチ ミ ツ生産 は5kg以下であった.一方, トウヨウ ミ ツパテの中には1シーズ ンで 20kg以上生産す る優良群 も見っか り,今後の研究開発 の可能性 を示 した. オランダの援助終了を受 けて, 1994-95年 にネパール政府 の トウヨウ ミツバチによる養蜂 開発計画 (BDP)が始 まった.農業省内にあ ら たに ミツバチ開発セクシ ョン(BDS)が設 けら れ, カ トマ ンズ近 郊 ゴダワ リの旧BETRESP 施設 を継続使用 し,さらに国内5開発地域内の 75地区で養蜂振興活動 を開始 した. B.ラジニクンジャ養蜂事務所 (王立蜂場) 王立蜂場 はカ トマ ンズ中心部 か ら北東 に約 10km,ゴカルナの王立公園 (ゴカルナ森)内に あ り農業省が管轄 してい る.1997年か ら トウ ヨウ ミツバチの養蜂企業育成 をめざす蜂場経営 が始 まった. ここではまず販売用蜂群,-チ ミ ツ,蜂 ろうの生産 を成功 させ, いずれ トウヨウ ミツバチのモデル蜂場 とす る計画である. 非政府系養蜂活動組織のはたらき A.国際総合山岳開発セ ンター (ICIMOD) 国際総合山岳開発 セ ンター (ICIMOD) はヒ ン ドゥークシ ・ヒマ ラヤ (HKH)地域 の山岳社 会がその地域環境の劣化 に伴 い,急速 に生活 レ ベルが低下 しているとの国際的な幅広 い認識 に 基づいて, 1981年 に設立 された. 総合的な山 岳地域開発のための国際組織 としては最初,か つ唯一 の もので あ る.山岳地域 にお け る経済 的,環境的に健全で,持続可能なェコシステム を普及 させ,HKH地域 の山岳社会 の生活水準 を引き上 げることをめざ してお り,学術的調査 研究を現場の開発事業 に直結 させて,各地威 に 最適な条件を兄 いだそ うとしている.ICIMOD は情報 の収集 と,交換,研究調査,研修及 び助 言 の4つ の柱 を中心 に,山岳農業 システム研 究 ;山岳天然資源研究 ;山岳企業 と社会整備研 究の3テーマに基づいて活動を行 っている. トウヨウ ミツバチを もちいた養蜂 プロジェク ト 養蜂 は山岳農業 システム研究の特別 プロジェ ク トである.HKH地域 内の各国の養蜂形態 と 実状 を調査 したところ, トウヨウ ミツパテを も ちいた養蜂 は急速 に衰えつつあ り, トウヨウ ミ ツバチの生息数 も種の維持が難 しいほどに減少 していることがわか った.主 な原因は, より生 産性の高 いセイヨウ ミツバチの この地域への導 入 と各種の病気の発生,害敵 の存在である. この地域の トウヨウ ミツバチを絶滅か ら救 う ために,ICIMOD はオース トリア政府の技術援 助を受 けて,"トウヨウ ミツパテ (在来種)の保 存 による養蜂の開発 と振興"事業 に取 り組んで いる, この事業 には研究活動 と研修,普及活動 の2本柱がある. 1)養蜂研究 HKH地域 の養蜂植物資源調査,作物 の花粉媒 介研究,それに トウヨウ ミツバチ飼養 に適 した 巣箱形態の試験を行 っている.養蜂植物資源調 査では HKH地域内の多様 な農業生態 ゾー ンの 養蜂植物 を調査 し,その花粉 スライ ドの制作, 花粉検索 デー タベースと HKH地域 の重要養蜂 植物 目録を作成中である. 作物への花粉媒介研究では, トウヨウ ミツバ チが農,園芸作物の送粉作業 に果たす役割や, 各種作物での トウヨウ ミツバチとセイ ヨウ ミツ パテの働 き方 の違 いを しらべ, ミツバチを作物 の花粉媒介 に利用す るためのマニュアルの整備 を している. 後述KNSN
との共同研究か らラデ ィッシュ, マスター ド, ゴマ,その他 の作物の生産量が上 がることがわか った. リンゴ, アーモ ン ド,柑 橘類,ナシ,疏菜頬 に対す る送粉昆虫 としての ミツバチの持つ可能性 は大 きい. 図2 養蜂研修で熱心にノー トをとる参加者図3巣箱の中を観察 して生態を学ぶ トウヨウ ミツバチの巣箱 は各生態 ゾーンに最 適な形を見つけることを目指 し, ジュムラ (西 ネパール山岳地域) とゴダワ リ蜂場 (中央ネパ ール, カ トマ ンズ盆地)で試験を続けている. ジュムラ, カ トマ ンズ盆地周辺,およびポジプ ール (東ネパール,中間山地)でのタイサ ック ブルー ド病研究 はまもな く完了 し,来年 は各地 でこの病気対策の講習を開催す る予定である. 2)養蜂研究,普及活動 ネパール国内で新 しい養蜂技術を取 り入れる講 習を実施 している.可動巣枠による飼養,稲わ ら巣箱制作,蜂病対策,女王蜂養成法,花粉媒 介の実施法,それにその土地で行われてきた従 来の方法の改善などをテーマに, カ トマンズ盆 地のバ クタプール,西ネパール山岳地域のジュ ムラ,それに極西 ネパール中間山地のダデ ィル ドラで行われた. 新 しい養蜂技術の習得 と平行 して,各地域で 活動す るNGOの協力で蜂 ろうを利用 した- ン ドク リームやろうそ くの作 り方の講習 も行われ た. ミツバチ生産物の市場での販売を有利 にす るための活動や,その他 の養蜂振興 に もNGO は大 きな役 割 を果 た して い る.一例 と して ICIMOD と協力 して養蜂研修事業 を行 って い る団体の活動を紹介する.
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ク リシ-ニランタラータ サ ンスタ ネパ ール (KNSN) KNSNの前 身 は 1986年 6月 に設立 され た ネパール持続可能な農業研究所(INSAN)であ る.1990年 11月に国の民主化が進むのに会わ せ,ネパールの非政府系活動団体 (NCO)へ と 衣替え し,名称 も現在のネパール語の ものにな った.1975年 にオース トラ リアの生態学者 ビ ル・モ リソンが提唱 した永続農業(
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-ure)の理念 にそって,永続性があり,かつ環境 も維持できる健全な開発を振興 し,現在 ネパー ルで行われている,農薬に依存 した持続的でな い農業形態か ら脱却 し,それによって良 くない 影響を受けている人々と,彼 らの文化,環境, それにネパールの経済を救 う途を探 っている. KNSN は情報を収集,出版,広報 し,さらに 研修活動,振興事業, コンサル ト事業などを通 じて,永続農業の理論 と実践,及びその関連課 題の普及 に務 めている .活動の拠点 としてネパ ールの代表的 自然環境 ・生態系 に属す る3ヶ 所 (アマ ドゥワ/ タライ, キラティチャップ/ 中部丘陵,それにパ トゥレタール/ カ トマ ンズ 盆地)に永続農業 モデル農園 (PCD)を持 って いる.KNSN とICIMOD はこれまでに傾斜地 農業技術, ローコス トの水利技術などの共同研 修事業をモデル農園で行 ってきたが,新 しい養 蜂を基礎 に初期 には人的資源の活用, さらには 雇用を目指す養蜂振興研修計画にも共同で着手 した. 1) トウヨウミツバチの保存による養蜂振興 研修計画 研修 目的 :人材育成 は開発事業の大切な要素で あ り,研修計画 の意 味 は大 きい.ICIMOD と KNSN指導者の助力のもとに, 1996年 5月か ら1997年 6月 の間 に 10種 の講 習 を実施 し た.主な目的は-①養蜂技術の理論 と実習,② 研修 に参加 した農民が新 しい可動巣枠式巣箱を 用 いる養蜂 の振興指導者 となるよ う動機づ け る,③ より良い品質の-チ ミツなどの ミツバチ 生産物を収穫できるよう援助す る,④新たな収 入源を得て,彼 らの家計がさらに自立 したもの になるようにする,などである. 関心を持つ農家の婦人が研修に参加で きるよ う特に計 らった.またネパールでは制度 として のカース トは以前 に廃止 されているが,村落社 会では今 も継続 してお り,被差別カース ト出身 者 は研修,開発 プログラムに参加する機会を得 に くいので,我 々の研修 にはとくに これ らの 人々も参加す るよう配慮 した.研修内容概略 a)農民のための養蜂一般研修 :養蜂のは じめ 方, ミツバチの生活史, ミツバチ生産物 とその 利用,蜂場管理 など養蜂全般の理論が教え られ た.蜂群管理法の実習授業では参加者が持 って いる成功,失敗の経験を互 いに披霜 した.稲わ ら巣箱製作のデモ ンス トレーションも行われ, 他に群の分割法,合同法,はかの巣箱への移動 法,採蜜法,ろうそ く製作, スキ ンク リーム製 作などを研修 した. b)女王蜂養成法研修 :女王蜂養成 と蜂群管理 は養蜂研修の主要な部分である, 2週間の研修 の8割を実習にあてたが,これまでず っと養蜂 を生業 としてきた人が初めて女王蜂養成の技術 を学ぶなど,有意義であった. C)稲わ ら巣箱製作研修 :農民か らの要請 に応 じ
KNSN
は稲わ ら巣箱製作研修を4
回実施 し た.オース トリアのPechhacker博士
,Hutti -nger夫妻 の指導 によ り始 まった稲わ ら巣箱製 作 は,KNSN
スタッフの技術が次第に向上 し, 以下の新たな工夫をするまでになった. 1.初期 モデルでは巣箱 の底板が縫 いっけてあ ったが,中が掃除 しやす いよ う分離型 に し た . 2.細 い竹製の隔王板を取 り付 けて, スズメバ チの侵入を防 ぐように した. 3.内部 にボール紙で内壁をっけ, ミツバチが わ らの隙間すべてをろうで塗 り込めようとす る手間を減 らした. 4. わ らを縫 う糸はナイロン製だったが, 糸端 が ミツバチに刺 さるので,麻糸を使 うように した. 図4稲わら巣箱の製作実習 5.上置 き巣箱を使 うときは巣箱上部 に木枠を 置 く. 農作業がないときにこの巣箱づ くりで収入が 得 られれば有益な技術 といえよう. d)養蜂指導者研修 :完全 に参加型の研修で,参 加者 は新 しい知識,技術 を最大限吸収 しようと 積極的な態度で臨んでいた.養蜂研修経験者が 多 く,上級者向け講義,技術指導にも支障はな か った.参加者 はPCD
農園 にある試験中の改 良巣箱について,多方面か ら検討 し自分の意見 を述べたり,指導者の質問に答える,討議内容 をまとめて発表す るなど実際的な訓練 を受 け た.研修で取 り上 げた項 目は蜂群管理, ミツバ チ,その他の昆虫の導入, ミツバチの種類,逃 去 とその防止対策,分蜂 とその調節,分蜂群回 収法,分蜂群の扱い方,可動巣枠式巣箱の基本 と改良,伝統巣箱,改良巣箱か らの採蜜法 と処 理法,-チ ミツ,蜂 ろうの品質管理 と販売方法, 病害敵対策一予防 と対処法,などである. e)継続復習研修 :毎月地域 の農民 のために 1 日養蜂継続復習研修を開いた.実際に蜂を飼い 始めて生 じる疑問や問題点を仲間で話 し合 った り,I
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やKNSN
の養蜂指導者 に技術 的 課題を訊ねる.知識 と経験を共有 し蜂仲間とし ての強い意識を育成する,たいへん役に立っ研 修 といえる. 2)蜂群増加計画KNSN
は養蜂プロジェク ト活動区域に住み,研 修を終了 した農民 に稲わ ら巣箱 に入れた10群 の ミツパテを蜂群増加計画の母群 として配布 し た.養蜂研修 には興味があり,参加 したが自分 の蜂をいろいろな理由か ら持 っていない農民が いたか らである.増加計画 はある種の循環計画 で,農民は手持ちの蜂群が3群以上 になると 1 群 をKNSN
に返却す る約束で, この1
群 は区 域内のあ らたな農民に配布 される. こうして次 第に多数の農民が蜂群を持つことを目指 してい る. 3)地域にある知識の収韓 アジアの古 い文明で-チ ミツは薬 として使わ れていた.ハチ ミツや蜂 ろうの利用法は多岐に わたっており,それ らを記録する努力が続 けら図5 修了証 を手 に記念撮影 れて い る.以下 に数例 を上 げ る. 薬効 :研修参加者 か ら新 たな- チ ミツや蜂 ろ うの利用法 が知 らされ る こともあ る. あ る農家 の婦人 は肝臓結石 や胆 の う炎 で苦 しむ人 の治療 に使 った とい う.新鮮 な カ ブで作 った器 に入 れ て,一 晩お いた- チ ミツを一 日4回, スプー ン 2杯 づ っ,2- 3か 月続 けて飲 めば,石 が溶 け て,尿 とと もに出 るとい うことで あ る.効果 の 真偽 はさ らな る研究 を待 ちた い. 蜂 ろ うを菜種油 と混ぜ て ク リーム状 に した も ので産婦 の胸 をマ ッサー ジす ると母乳 が良 く出 るとい う. この ク リームは牛,山羊 な ど ミル ク を しぼ る動物 の乳房 に も良 い. や けどの手 当 に も使 え る. イ ン ドの伝統 医療 で は- チ ミツバ タ ーが外科手術 に多用 された.傷, や けどの応急 手 当 と して現在 も使 われて いる. - チ ミツは浸 透圧 が高 いので混入 す る微生物 の水分 を奪 い, 成長 を妨 げ,消毒,防腐効果 があ る. また傷 口 を乾 かす働 き もあ り,化膿 した傷, ひ どい擦 り 傷,潰癌,特 に切 り傷 に良 く効 く. - チ ミツは 糖尿病患者 を含 めあ らゆ る人 が毎 日摂 って も差 し支 えな く,我 々の先祖 は天 の食 べ物 とも呼 ん だ. 信仰 :ヒン ドゥー教 で はすべての人生儀礼, 年 中儀礼 で捧 げ物
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「パ ンチ ャム リッ ト」 が必 要 で あ るが, これ は ヨー グル ト, ミル ク, - チ ミツ,ギー (牛乳 か らとった溶 か しバ ター),そ れ に砂糖 でつ くると古 い 「ヴェー ダ」 に書 かれ て いる.- チ ミツは幼児期 か ら死 に至 るまで, 人 の一生 のあ らゆ る機会 に使 われて きた. 蜂 ろ うの使用法 :巣礎,高級 な ろ うそ く,型 枠材料, ア ジアに伝統 的な染色法で あ るバ テ ィ ックの防染剤 と して, つや 出 し,保護剤, ロー プに染 み込 ませ る, な どが あ る. ア ジ ア養 蜂 研 究 協 会 大 会 の 開 催 来 年3月 に カ トマ ンズで第4回 ア ジア養 蜂 研究協会大会 が ICIMOD との共催 で開かれ る. トウ ヨウ ミツパ テ養蜂 の伝統文化 を持っ ネパ ー ルに新 しい養蜂技術 が どの様 に取 り入 れ られて いるか, その特徴,社会 的効果 はなにか,現在 直面 して い る問題点 は, そ の解決策 はないのか な ど,多 くの方 に ご覧 いただ きたい. ア ジアの ミツバ チ とその養蜂 に関心 を持 つ方 々が一 同 に 集 い,多 くの知識 と経験 を分 か ち合 い,知恵 を 出 し合 う今回 の会議 が,今後 の発展 に役立つ も の とな るよ う,心 を込 めて準備 し皆様 をお迎 え したい
. (著者 の住所 は下記参照) (翻訳 榎本ひとみ) 参考文献 Allen, M_F.1995.Bees and beekeep ing inNepal.BeeWorld76 (4):185-194.
(礼)国際農林業協 力協会. 1993.アジアの養蜂:82-85.
中村純.1987. ネパールの養蜂-チェパ ン族開発事 業の現場か ら一. ミツバチ科学 (3):124-133.
KK,SHRESTrlA and E,PELINCK.Promotion and developmentofbeekeepinglnNepal-uponhol -ding4thConferenceofAsianApiculturalAss o-ciation.HoneybeeScwnce (1997) 18 (4):1531 158.internationalCentreforintegrate dMoun-tain Development(ICIMOD),G.PO.Box 3226,
Kathmandu,Nepal
Uponholdlng4thConferenceofAsianApic u-1turalAssociation,thearticledescribesthesit u-ation of beekeeping and its development ln Nepal,the host country of the conference. Largepartofbeekeeplng lSStilldependingon ApISCeranainNepal,sothatbeekeepingexte n-sion lSalso implemented with thenativebees. Extension worksaredoneby government,i n-ternationalandlocalnon-govemmentorganiza -tions(NGOs).