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サブサハラアフリカ初のオープンデータの取り組み -- ケニア政府の事例 (特集 オープンガバメント・データ整備の動向を追う -- 開発途上国を中心に)

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Academic year: 2021

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サブサハラアフリカ初のオープンデータの取り組み

-- ケニア政府の事例 (特集 オープンガバメント・

データ整備の動向を追う -- 開発途上国を中心に)

著者

岸 真由美

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

268

ページ

23-24

発行年

2018-01

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00050110

(2)

特 集

オープンガバメント・データ整備の動向を追う

―開発途上国を中心に―

ケニア政府がケニア・オープンデータ・ポータル (Kenya Open Data: http:// www.opendata.go.ke/)

を開設したのは2011年7月である。これは低所得国で は初めての事例だった。また地域的には、サブサハラ アフリカでは初、アフリカ全体では2011年4月に開設 したモロッコに次いで2番目だった。オープンデータ の取り組みに対する世界各国の動向をみると、先駆者 のアメリカ政府とイギリス政府が2009年にポータルを 立ち上げている。日本は2011年に東日本大震災を機に オープンデータに対する関心が高まり、2012年に政府 が「電子行政オープンデータ戦略」を策定、2013年12 月にようやく試行版ポータルを開設している。ケニア は2011年当時、世界で22番目にポータルを開設してお り、世界的にもオープンデータへの取り組みはかなり 早かった。 ●オープンデータの取り組みの背景 ケニアがオープンデータの取り組みを打ち出した背 景には大きく2つの要因がある。 1つは、ケニア政府が2008年に発表した長期開発戦 略『ケニア・ビジョン2030』(以下、「ビジョン2030」 という) である。「ビジョン2030」 では、 ケニアは 2030年の中所得国入りを目指して、⑴毎年平均10%の 経済成長率、⑵公平な社会発展とクリーンで安全な環 境社会整備、⑶説明責任のある民主的政治システム、 の3つの柱を目標に掲げた。そのなかで経済成長と民 主的な政治システムを実現するための手段として重点 が置かれたのが、情報通信技術産業の振興と政府サー ビスの電子化であった。 もう1つは、各種政府データに対する需要が高まっ ていたことである。2000年代後半のモバイルマネー サービスM-PESAの普及や、情報共有プラットフォー ムUshahidi(注:ケニアで選挙の不正を監視するため に開発されたシステムで、のちに東日本大震災の際に 災害・復興情報集約システムとして利用された)の成 功にもみられるように、ケニアでは情報通信技術を用 いた民間部門や市民団体などの活動が活発になってお り、政府データを経済開発や社会開発に役立つ形で加 工し、利用することへの関心が高まっていた。また、 世界銀行などの国際機関やGoogleといった民間企業が ケニア政府とパートナーシップを結び、データ編集や データの利活用などの面で積極的に取り組みを支援し た。 また2010年8月施行の新憲法に情報アクセス権が盛 り込まれたことも、この取り組みを後押しした。新憲 法第35条で、国民が政府保有の情報にアクセスする権 利を有し、政府は国家に影響を与える重要な情報を公 表すると定められたのである。 ●データの公開状況 ポータル開設時のデータセット数は約160。2009年 の国勢調査、中央・地方レベルの政府予算・支出、医 療・保健、教育・学校に関するデータセットが公開さ れた。開設から6年の2017年11月現在、データセット 数は605件まで増えたが、決して多いとはいえない。

World Wide Web Foundationが毎年発表するThe Open Data Barometer(http://opendatabarometer. org/)は、各国政府のオープンデータの取り組みをラ ンク付けしている。ケニア政府は同報告で例年サブサ ハラアフリカではランキング1位である(2016年は21 カ国中、2017年は25カ国中のランク)。しかし世界全 体でみると、2016年は92カ国中42位、2017年は115カ 国中35位と、上位3分の1にも入っていない。 実はケニアに限らず、サブサハラアフリカ諸国の同 報告書でのランキングはそろって振わない状況である。 ケニア以外の国で上位半分に入っている国は、2016年

岸   真 由 美

サブサハラアフリカ初の

オープンデータの取り組み

―ケニア政府の事例―

23

アジ研ワールド・トレンド No.268(2018. 2)

(3)

Open-Data-Kenya-Long-Version 2017年10月16日ア クセス).

② "Open Data in Kenya: Setting the Pace for Africa,"

Google Public Policy Blog, August 5, 2011 (https://publicpolicy.googleblog.com/2011/08/

open-data-in-kenya-setting-pace-for.html 2017年11 月1日アクセス).

③ W o r l d W i d e W e b F o u n d a t i o n , O p e n D a t a Barometer 3rd Edition: Regional Report Africa, 2 0 1 6(h t t p : / / o p e n d a t a b a r o m e t e r . o r g / doc/3rdEdition/ODB-3rdEdition-AfricaReport.pdf 2017年11月2日アクセス).

④ W o r l d W i d e W e b F o u n d a t i o n , O p e n D a t a Barometer 4th Edition: Sub-Saharan Africa R e g i o n a l S n a p s h o t , 2 0 1 7(h t t p : / /

opendatabarometer.org/doc/4thEdition/ODB-4thEdition-RegionalReport-Africa.pdf 2017年11月2 日アクセス).

⑤ Greg Brown, "Why Kenya’s Open Data Portal Is Failing and Why It Can Still Succeed," Sunlight Foundation Blog, September 23, 2013 (https://

sunlightfoundation.com/2013/09/23/why-kenyas- open-data-portal-is-failing-and-why-it-can-still-succeed/ 2017年11年2日アクセス).

⑥ " K e n y a P a s s e s L o n g - A w a i t e d A c c e s s t o Information Bill," CIO East Arica (distributed by allAfrica.com), September 1, 2016 (http:// allafrica.com/stories/201609010660.html 2017年11 月2日アクセス). がルワンダ(46位)、2017年は南アフリカ(46位)の みである。 同報告書はアフリカ諸国のランキングが全体的に低 い理由をデータの質と量にあると指摘する。たとえば ケニアの場合、保健・教育などに関するデータは誰で も自由に編集・加工、再配布が可能なオープンライセ ンスで提供されているにもかかわらず、データの量が そもそも少ないのである。 ●さらなるデータ公開に向けた課題 オープンライセンスで質の高いデータの量がなかな か増えない原因はどこにあるのか。前掲の報告書では、 アフリカ諸国ではオープンデータ政策に長期的に取り 組むための体制が確立していなかったり、予算・人的 リソースが不足していたりする点が課題として指摘さ れている。公開している行政データを定期的に更新し て常に最新にしておくためには、各行政機関からデー タが集まってくる仕組み、適切なデータを作成する技 術をもつ人員の配置、そして予算が必要である。アフ リカ諸国では、開発援助によりオープンデータの取り 組みが始まるケースがあるが、援助プロジェクトが終 了するとその後の取り組みが継続しないことも多い。 ケニアの場合、行政のトップである大統領は積極的 にオープンデータ政策を推進しているが、各行政機関 の末端までそれが浸透していない。この原因としては、 情報公開制度の未整備が以前から指摘されてきた。ケ ニアの公務秘密法は政府が持つ秘密の漏えい行為に刑 事罰を科していることから、行政機関は情報の公開に 後ろ向きだった。憲法に定められた情報アクセス権を 保障し、行政機関に情報の公表を求める情報公開法は、 新憲法施行から6年経った2016年にようやく成立した。 今後こうした法整備がケニア政府のオープンデータ政 策を後押しするのか、その行く末を見守りたい。 (きし まゆみ/アジア経済研究所 図書館) 《参考文献》

① Hanif Rahemtulla et al., Open Data Kenya: Case Study of the Underlying Drivers, Principal Objectives and Evolution of One of the First Open Data Initiatives in Africa. Long Version, 2011 (https://www.scribd.com/document/75642393/

参照

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