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山田美和編「東アジアにおける移民労働者の法制度 -- 送出国と受入国の共通基盤の構築に向けて」 (新刊紹介)

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Academic year: 2021

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策と法︱民主化改革下の移住労働者法 運用と ﹁人権﹂概念普及の課題﹂ ︵奧 島美夏︶では、送出国としての存在が 大きい同国の労働者保護のための法改 正を詳細に分析し、その効果と限界を インドネシア人労働者自身の人権概念 の展開とともに論じる。第三章﹁フィ リピンの労働者送り出し政策と法︱東 アジア最大の送出国の経験と展望﹂ ︵知 花いづみ︶では、伝統的に移民労働者 の送り出しを国家政策としてきた同国 の制度について、とくに日比間の移動 に着目して論じる。第四章﹁タイにお ける移民労働者の受け入れ政策の現状 と課題︱メコン地域の中心として﹂ ︵山 田美和︶では、東アジアにおいて労働 者の送出国でもあり受入国でもあるタ イの受入国としての政策に着目し、移 民労働者に対する暫定的な施策ではな く長期的政策の必要性を論じる。第五 章 ﹁ベトナムにおける国際労働移動 ︱﹁失踪﹂問題と労働者送り出し・受 け入れ制度﹂ ︵石塚二葉︶では 、ベト ナム政府にとって海外労働者派遣の主 要な課題である労働者の失踪問題に着 目し、主な受け入れ先である日本と韓 国の制度との相互関係を論じる。第六 章﹁カンボジアの移民労働者政策︱新 興送出国の制度づくりと課題﹂ ︵初鹿 野直美︶では、同国から送り出される 労働者について、受入国との合意にも とづいた正規ルートに焦点をあて、正 規ルートがありながらもそれが使われ よる労働移動の制度 構築が活発になされ ている点である 。同 時 に 共 通 の 問 題 点 は 、 各国の移民労働 者政策が移民労働者 を期間限定の一時的 な労働力であること を前提とするゆえに、移民労働者の人 権や厚生の観点からその是非が問われ ていることである。 序章は、東アジア各国の移民労働者 政策の多様性、移民労働者をめぐる国 際的および地域的枠組みを概観し、二 国間合意・斡旋業者・非正規移民とい う共通の問題点、移民労働者政策と人 身取引対策の関係性を論じる。問題意 識を共有する各章は以下のとおりであ る。第一章﹁中国の労働者送り出し政 策と法︱対外労働輸出の管理を中心 に﹂ ︵小林昌之︶では 、中国政府が労 働輸出として管理している対外工事請 負と対外労務協力に焦点をあて、なか でも上位受入国である日本との関係に 着目し、受入国の市民社会が送出国の 制度にも影響を与えると論じる。第二 章﹁インドネシアの労働者送り出し政 東アジアがASE ANを中心に自由貿 易協定で繋がりつつ ある現在 、経済的相 互依存の高まりと同 時に労働力の需要と 供給における相互依 存が高まり 、その労 働力市場のあり方が問われている。 本書は、移民労働に関する東アジア 各国の法制度および政策を分析し、共 通の問題点を抽出し、そして共通の課 題として、東アジア経済圏の形成にお ける人の移動、なかでも低熟練労働者 および非熟練労働者に関する法制度の 共通基盤を構築する可能性を探る。各 章で中国、 インドネシア、 フィリピン、 タイ、ベトナムおよびカンボジアをと りあげる。 東アジア各国は多様な移民労働者に 関する政策を有しているが、その制度 や実態を精査すると、多くの共通点が 見いだせる。それは、労働力の移動に ついて、送出国と受入国の二国間で覚 書を締結したり、受入国による特定の プログラムで労働者の送出国を指定し たりなど、多国間ではなく、二国間に ずに問題が生じる制度的理由を分析す る。第七章﹁東アジアにおける外国人 雇用法制の考察﹂ ︵今泉慎也︶では 、 東アジアにおける主要な外国人労働者 の受け入れ先である韓国、 台湾、 マレー シア、シンガポールおよび香港の法的 枠組みを概観し、外国人雇用の問題は 受入国のみならず、グローバルに影響 する問題であることを指摘する。 さて日本政府は、この四月に﹁外国 人技能実習制度﹂について、東京オリ ンピックの開催に向け建設業での人手 不足を補うため、受け入れ期間の現行 三年から五年への延長を緊急措置とし て決定、さらに六月には法務大臣の懇 談会が制度の見直しに関し、期間延長 や業種拡大、受け入れ先の監視強化を 盛り込んだ報告書をまとめたという 。 東アジア市場なしに存在しない日本 は、国内の労働現場に多くの外国人を 受け入れながら、けしてそれを労働者 受け入れと呼ばない﹁外国人技能実習 制度﹂をいまだ有している。日本の制 度がいかに現在のグローバル社会から 異質であるか。東アジアにおける経済 連携を強めようとする日本は、その移 民労働者に関する政策のあり方こそが 問われている。本書がその議論の一助 となれば幸いである。 ︵ や ま だ   み わ / ア ジ ア 経 済 研 究 所   法・制度研究グループ︶

山田美和

山田美和

東アジアにおける移民労働者の法制度

︱送出国と受入国の共通基盤の構築に向けて︱

研究双書№六一一

55

アジ研ワールド・トレンド No.226(2014. 8)

参照

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