• 検索結果がありません。

インドネシア・イスラームを理解する (ライブラリ・コーナー)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "インドネシア・イスラームを理解する (ライブラリ・コーナー)"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

インドネシア・イスラームを理解する (ライブラリ

・コーナー)

著者

土佐 美菜実

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

244

ページ

71-71

発行年

2016-01

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00003044

(2)

71

  アジ研ワールド・トレンド No.244(2016. 2)   今やインドネシアが世界最大のイ スラーム人口国であるということは よく知られているかもしれない。ラ マダンやハラールなど、近年ではイ スラームに関する事柄がムスリムで はない者にとっても身近になりつつ ある。ただ、彼らムスリムたちの生 活はその国や地域によってさまざま である。以下では、インドネシアに おけるイスラーム的日常や社会生活、 あるいは政治事情を知るための二〇 〇〇年以降に出版された日本語文献 を紹介する。どの文献も読みやすい ため、このテーマを学ぶ良いきっか けにしてもらえれば幸いである。   倉沢愛子著『インドネシア   イス ラ ー ム の 覚 醒 』( 洋 泉 社   二 〇 〇 六 年) は基礎的知識から日常生活、社 会現象、そして国際関係に至るまで イスラームに関わる種々のトピック を取り上げている。たとえばインド ネシアにおける人口爆発への対策と して政府は家族計画を推進している。 最 初、 イ ス ラ ー ム 側 は こ れ を 生 命 ( = 神 の 摂 理 ) へ の 介 入 と 捉 え 否 定 的だったものの、問題の深刻さゆえ に計画的な出産の重要性に次第に理 解を示すようになり、家族計画の成 功が家庭の幸福に結びつくという考 えのもと、イスラーム側も家族計画 への参与を促すようになった。近代 化、グローバリズム、開発などの昨 今の社会変容に対してイスラーム的 価値観を損なわずに、時にはその価 値観を強く打ち出して歩み続けるイ ンドネシアの諸相を知る一冊である。   小林寧子著『インドネシア   展開 す る イ ス ラ ー ム 』( 名 古 屋 大 学 出 版 会   二〇〇八年) は植民地期の価値 形成に始まり独立後の発展と今日の 動向に至るまで、インドネシア社会 におけるイスラーム化の進展を明ら かにした大作である。またイスラー ム教義や法に明るくない読者でもイ ンドネシアのイスラーム近現代史を 理解しやすいように書かれている。 独立後を論じる本著の後半部分では、 男女平等や宗教的寛容の理念に則っ てイスラーム法を近代法へ歩み寄ら せようとする法制定の動きを追って いる。結果として、多妻婚や異宗教 間婚姻については国内で大きな論争 を呼び、明白な決着がつかなかった ことなど、世俗的近代法体系のなか でイスラーム法が再定式化されてい く過程とそこで生じた課題が丁寧に 論じられている。   西野節男・服部美奈編『変貌する イ ン ド ネ シ ア・ イ ス ラ ー ム 教 育 』 ( 東 洋 大 学 ア ジ ア 文 化 研 究 所   二 〇 〇七年) ではイスラーム寄宿学校プ サントレンを中心に、経済発展や都 市化、そして宗教教育への関心の高 まりにともなうイスラーム教育の多 様化がテーマとなっている。一般学 校( ス コ ラ ) と 宗 教 学 校( マ ド ラ サ)とイスラーム寄宿学校(プサン トレン)が学校教育制度の発展のな かでそれぞれに役割を担い、イスラ ーム教育の現代的なあり方を確立し ていく様相を考察している。また、 かつては男子のみを受け入れてきた いくつかのプサントレンに女子部が 新設されるという事例を紹介し、現 代的なニーズに応えるプサントレン の姿を明らかにしている。イスラー ムの女子教育については、 服部美奈 著『インドネシアの近代女子教育   イスラーム改革運動のなかの女性』 (勁草書房   二〇〇一年) も詳しい。   新井和広著「商品化するイスラー ム―『雑誌アル=キッサ』と予言者 一 族 」( 倉 沢 愛 子 編 著『 消 費 す る イ ンドネシア』慶應義塾大学出版会   二〇一三年) では、イスラーム雑誌 『 ア ル = キ ッ サ 』 を 対 象 に、 イ ス ラ ームの商品化について論じている。 イスラーム知識の程度に関わらず幅 広い読者層を想定したこの雑誌が、 大衆のニーズを探りながら内容やス タイルを変え、最終的には預言者一 族サイイドの商品力の高さを見出し て他のイスラーム雑誌と差別化して いく過程が詳述されている。このほ か、 宗 教 者 の ポ ス タ ー や 祈 祷 の C D・DVDなど『アル=キッサ』独 自の豪華な付録についても紹介され ており、これらの付録がどこまで読 者の購買意欲をかきたてるのか気に なるところである。一方、同著収録 の 野中葉著「イスラーム的価値の大 衆化―書籍と映画に見るイスラーム 的小説の台頭」 では、イスラーム的 価値を大衆へ根付かせた小説や映画 を取り上げている。これらの媒体が 民主化やグローバル化を通じて新た な価値創出の拠り所となることでイ ンドネシアのイスラーム化が進み、 同時に伝統的宗教権威に代わってイ スラームの理想像を人びとに提供し ていることを指摘している。   最後に、宗教市場の様相と政党の 選挙戦略を扱った 見市建著『新興大 国インドネシアの宗教市場と政治』 ( N T T 出 版   二 〇 一 四 年 ) を 紹 介 したい。宗教組織や政党・政治家な どの供給側と、宗教活動への参加者 や有権者といった需要側の相互作用 によるイスラームを中心とした「市 場」の形成を明らかにしている。イ スラーム主義政党の台頭や「セレブ 説教師」の求心力など、初の庶民出 身大統領ジョコ・ウィドドを誕生さ せた近年の市場動向を様々な角度か ら論じている。 ( と さ   み な み / ア ジ ア 経 済 研 究 所   図書館)

インドネシア・イスラームを理解する

土佐   美菜実

参照

関連したドキュメント

権利 Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア 経済研究所 / Institute of Developing.

権利 Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア 経済研究所 / Institute of Developing.

権利 Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア 経済研究所 / Institute of Developing.

1 Library, Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization (3-2-2 Wakaba Mihama-ku Chiba-shi, Chiba 261-8545). 情報管理 56(1), 043-048,

発表者,題名,発表・発行掲載誌名,発表・発行年月 ○Shinji Tokunaga, Toshiyuki Araki: “Wallerian degeneration slow mouse neurons are protected against cell death

雑誌名年月日巻・号記事名執筆者内容 風俗画報189012.10女力士無記名興行

題名、 発表・発行掲載誌名、 発表・発行年月、 連名者(申請者含む) Hiroyuki Kubo, Yasushi Ishibashi, Akinobu Maejima, Shigeo Morishima, "Synthesizing Facial

This paper aims to clarify the features of the descriptions of Japan in Chinese geography textbooks. Japan and China share a long-term relationship. The descriptions of Japan in