繰返し加熱による鋳鉄の材質改善
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(2) . 平成 5年7月. 北海道教育大学紀要 (第2部A) 第44巻 第1号 i i ionエ ー A) VO1 44 I ty ofEducat t Journalof H0kkaido Univers on(Sec ・ . , No. Ju1 y ,1993. 繰返し加熱による鋳鉄の材質改善 三. 谷. 舟. 之・相. 諭*・ 長. 馬. 北海道教育大学札幌校機械工学研究室. 淫. 徹**. 札幌 0 2 0. *北海道大学工学部機械材料学研究室. 札幌 0 60. **北海道教育大学釧路校機械工学研究室. 釧路 0 85. i ive lmprovements in Castlron by Cycl ic Heat tat ing Qual M[asayukiルロTAN1 , M[akoto SOHMA and Tohru NAGASAWA. Abstract. Cas ing to higher temperature, shows a tendency to t iron, sub jected to repeated heat increasei l l i i i h b nVo ume,t ere y a so ncreas ng nbrittleness. Butpreviouslyit wassuggestedthat ies o fcastiron wereimproved by a sma l lnumber of heating cycles and may Varlous propert. f ial materials. 工nthi of erthe potentialto become new indust r s paper,the properties ofthree. FC・00 cast irons (. , FC20Q and FCV) which were subjected to 20 cyc1es of heat-treatment. between room temperature and950 degC i igatedin deta l i r wereinvest ‐ . n ai . Threei i bl ronsincreasedi ththeheating. Larges tforFCIO0andleast ni rrevers eVolume wi. thFCV. Genera l l lpropertiesand wi y ca ,theVariousproperties deteriorated. Butthe mechani ion capaci f FC200increased by only l~2 heats. ty o attenuat. Thereforet hi sheatediron may. be considered fornew materialsin brakerotors.. 1. 緒. 言. 2 ) )が生じて材質が劣化 鋳鉄を高温で繰返し加熱すると不可逆的に体積が膨張, すなわち成長現象1 ) すなわち片状黒鉛鋳鉄 では するが, 低回数の加熱 ではむしろ諸性質が向上する傾向が認められた3 。 おおよそ4%, 球状黒鉛鋳鉄では 6 ~ 8%の線成長によっ ても引張強さは, 鋳造のままより大きく , また減衰性も増大する傾向が得ら れた。本研究では片状黒鉛鋳鉄についてこの現象を改めて確かめ , 工業的立場から新たな材料, 例えば強度と減衰性 が重要視される自動車のブレーキ材料としての適 応性について検討した。 すなわち鋳鉄製ブレーキ材料は, ブレーキ作動中に大きな歪み応力ととも ) これは熱応力の繰返しによって破壊 が に加熱冷却の熱サイ クルによっ て激しい熱疲労を受ける4 。 生じる疲労現象 で, 問題の解決には熱応力を減少させることが必要 である。 ところで熱応力は 縦 , (83).
(3) . 三谷 府之・相馬. 徹. 詞・長浮. ) 係数の低下によっ て減少し, これはまた音速に対応する5 。 一方, 繰返し加熱した鋳鉄の内部は に空隙化するので音速が低下して, その結果熱応力を減少すると考えられる。 すなわち鋳鉄は, 数の繰返し加熱による成長によっ て強度が上がり内部構造が空隙化して有益な工業材料となり 可能性が考えられるのでこれについて検討した。. 2. 実 験 方 法 0 ) と CV 鋳鉄 実験に使用した鋳鉄は, 片状黒鉛鋳鉄 (FCIO0 , FC20. CV) の3種類で顕微鏡組. ,、を 図 1 に 示 し た。 FCIOO は, 長 い 片 状 黒 鉛 と パ ー ライ ト 基 質 か ら な っ て い る。 ま た 黒 鉛 の 周 辺 に J 、量 の フ ェ ライ ト が 析 出 し て い る。 FC200 の 黒 鉛 片 は, FCIOO より短く またパーライ トは級密な. , .相を呈している また 黒鉛周辺のフェ ライ ト量は減少した これに対して FCV の黒鉛は短く ン , 。 。 , た粒状化しているのも見られる。 基質はほとんどフェ ライ トで, パー ライト量は少ない。 表1は, ) ヒ学組成を示す。 FCV には Mg が含有されているが, これによっ て上述の黒鉛が形成される6 。 熱処理用 試験片は, 直径30(mm) の丸棒素 材の中心部か ら機械加 工により採取 した 小25× 00(mm) 丸棒 で, 両端面に耐熱鋼を打ち込み, 不可逆膨張の正確な測定を期 した。 熱処理は, 予 950℃ に加熱した電気炉で30min 恒温加熱した後, 室温のレンガボッ クス中で30mi n 冷却した。 ー れを1回の加熱として20回ま で行っ たが 適宜な回数加熱後 不可逆膨張量 (線成長量) 引張 , , , 重さ, 硬さ, 密度, 減衰能, 音速の測定と顕微鏡組織の観察を行っ た。 音速は, ND テスターを用い )を測定した。 振動子径は1omm, 深触子周波数は5MHz )と横波伝播速度(VT 縦波伝播速度(VL して深触媒質としてマシン油を使用した。 減衰能は, 図2に示したように超音波探傷器 (クラウ ) の ブラウン管上に描かれた一般的減衰能曲線 (AC 波形) の一番目と二番 トクレーマ社製 USIPII 目の反射波の高さ B, と B2 を測定して, 201 /B2 )/2t og(B.. して求めた。 なおtは, 試料の厚さである。 また, 音速と密度から縦弾性係数 (E) を. き 態 遊 嬉. つきミニ …て. 一 竪ン, .噸競 . ・ ・ ; 堅く 縄 - 聴園 ‐ ,. . . FC200. FCIOO. 図1 鋳造のままの顕微鏡組織 表1 鋳鉄の化学組成, mas s% Mg . S C S i Mn P I G . 1 4 4 0 0 4 9 0 0 0 0 2 4 1 7 7 2 . . . ・ . 0 5 5 0 0 2 7 7 50 7 72 1 5 0 1 . . . , ・ 0 2 0 0 1 3 0 4 60 3 60 0 6 0 1 02 5 0 9 2 . 3 . . , , , .. T C , 1 1 ) 3 F C I O O 片状黒船鋳鉄( . ) 2 6 2 0 0 9 F C 片状黒船鋳鉄( . ) F CV CV鋳鉄(. (84). . . FCV. . .
(4) . . 85. 繰返し加熱による鋳鉄の材質改善 E=pVT2{ 3-1八VL/VT )2-1}. 発信波 第1回底面反射波. に代入して求めた。. . . X o PX=Po e-α. B2 3. 3-1. B3. 実験結果. B4. ×. 線 成 長 量 およ び 熱 膨 張 曲 線. 図3は, 線成長量 (不可逆膨張量) と加熱回数との. 吻:減衰定数. 関 係 を 示 す。 い ず れ の 鋳 鉄 も 加 熱 と と も に 平 均 成 長 量. 品:音 波の最 初の音圧. x: 〃 伝ば距離. が減 少す る 傾 向 を 示 す が,ほ ぼ 連 続 的 に 成 長 が 増 大 し,. 鋳鉄内部が次第に空隙化したことが理解できる。 成長 量は,FCIOOが最大で20 回 の 加 熱 で 3.4% の 線 成 長 が. R:距 離×の音 波の音圧. 図2 一般的減衰能曲線 (Ac波形). 生 じ た。 こ れ に 対 し て FCV は FCIOO の お お よ そ 6o%, FC2oo は, 50% に 減 少 し た。 す な わ ち 耐 熱 性 は, FC200 が 最 も 良 い。 本 実 験 では 大 型 の 電 気 炉 で 繰 返 し加 熱 を して, 室 温. で長さの測定を行い, その結果を図3に示したが, 高 温 で加熱中の膨張傾向 は 図3からむ ま理解できないo. 騰. 於 扮し棚 胴では,.の. およそ50%に減少した。 これに対して事前加熱ととも. 。. 45 3.0. 一 ー E 線成長量 一-- 平均成長量 ---- df q. 、. 、 決望 -. \ \ミ. ム. も温. ≧4. に膨張傾向 ( 600℃) が減少し, 6回の事前加熱の1回 目の膨張は, 著 しく減少した。 1 5回では, 2 回 の 加 熱 ま で 減 少傾 向 が 生 じ 全 膨 張 が著 しく 減 少 し た。 一 方, FC200は膨張傾向は少ないが,FCIOO に 類 似 した 曲 線 を 描 い た。 こ れ に 対 して FCV は, 事 前 加 熱 と と も に 膨. 、. f 0 0 0.0 .0 o 2 4 6 84o ,5 加熱回数, 回. 2 o. 図3 線成長量曲線. 張が減少するが, 加熱の終段まで加熱・ 令却曲線の傾 きの差が大きいのが特徴的で, FCIO0や FC200には見られない傾向を示した。 図5は, 熱膨張曲線の解析から得られた事前加熱回数に対する長さの増加量 (3回加熱後) を示 す。 FCIOOは, 鋳造のまま(0回)の膨張が著 しいが1回以降は, 減少して FC200の膨張傾向にほぼ 等しくなっ た。 これに対して, FCV の膨張減少傾向は, 3つの鋳鉄の中で最小で,1 5回における膨 張は, FCIOOのおおよそ200%また FC200 では600%にも達した。. (85).
(5) . . . 三谷 府之・相馬. 86. 詞・長浮. 徹. : i 畿 0回. 1 5回. 1. ー. 1. - 11 廻 メキ. 1 .. O6 O 08 0 〇「 O O7 O6 O O9 O 0 O 6凹 7 0 O O 0 08側 9凹1 〇 7凹 8閲 9 O Oつ 0 08 O O O 6凹 7 0側 〇 09仰「. 1 6回. 1回. 1 5回. 1. ー. 〆. 〆. 11. o o l ・. FC200. 0 06 0 07 0 09 0 08 0 0, 0 0 06 o o9 o o, o8 o7 0 o 07 o o o6 o o o8 o o9 0 07 0 08 09 o ol 0 0 01 o o o6 o o o 8 0 0 - - 1 o回 1回 5回 1 5回 7 0 o. 1. ー. 孝 2 0 0. 0 0 1. 1. FCV. ・. 0 06 08 0 07 0 0 09 o o, o 0 o o o o 07 0 08 0 0 0 06 1. 0 0 0 「. 0. 1. 〇 〇7 9 0 0? 〇 〇 8閲 9餌 他閃 0 0 06. 加熱温度, ℃ 50~6 0 0℃, 3回) 図4 熱膨張曲線 (Ar中, 9. 加熱に伴う密度, 空隙量, 超音波速度の変化 図6は, 線成長量に対する密度と空隙量の関係 で,. 3ー2. 4 0 0. 日. . 長 一. 各値は, 成長傾向にほぼ対応している。 密度は, 成長 と共にほぼ連続的に減少したが, 成長量が一番大きい. 300. FCIOO が FCV を上回り,FCV の密度が一番小さかっ. 20 0. FCV ノノ. 10 0 0. ‐. 0. 5. 0. 『 ー 15. 加熱回数, 回 図5 事前加熱回数に対する長さの 増加 量 (3回加熱後). た。これは,成長傾向とは異なるが,FCV の組織にフェ ライ トが多い事に起因していると考えられる。 空隙量 )結果であ は成長量と化学組成から理論的に算出した8 るが, 成長とともにほぼ連続的に増大していることか ら, 密度の変化とともに鋳鉄内部が次第に空隙化して い る こ と が 確 か め ら れ る。 ま た FCIO0 と FC200 の 値. が接近して密度ほどの差が見られなかっ た。 さらに, FC200 , FCIOO そして FCV の順序に大きく なっ てい (86).
(6) . . . 繰返し加熱による鋳鉄の材質改善. . ー. 密 度. . R H4. ウ‘. FCV に接近 して, 両者の差が減少した。 横波伝播. もが 6 5メド .. 速度と縦波伝播速度も加熱とともに減少したが横. 2.〇 つ.〇 線成長量,%. 波伝播速度の減少傾向は, 縦波伝播速度より緩慢 で, また値そのものも小さい。 なお装置の不調に よっ て FCIOOは,加熱4回ま でしか測定ができな か っ た。. 3-3. I. - ー ー ー - - - 空 隙量--. . . 擾. A 4. そして加熱とともにほぼ連続的に減少した力功ロ熱 後 半 で は, FCIOOの 減 少 傾 向 が 大 き く なっ て. RU. る。 密度は, 図6に示した通り FC20 0が一番大き く, 次 い で FCIO0 , 一 番 小 さ い の は FCV で あ る。. RU. 図7は, 加熱回数に対する密度並びに横波伝播 速度と縦波伝播速度の 関係 を示 した グラフ であ. ( = U. るが, これは上述の密度の場合と同じ理由による と考えられる。. 87. 図6 線成長量-密度, 空隙量. J. 1 i1 倖 「 . 加熱に伴う鋳鉄の減衰能曲線. 図8は, 超音波探傷器のブラウン管上に描かれ た各鋳鉄の A.C 波形で, 事前加熱の0, 1, 5及. いずれの鋳鉄も加熱0回 (鋳造のまま) に対して. 艇. 韓. ‐. 事前加熱1回では同じ反射 回数における反射波の. 明瞭に示していると考えられる。 この傾向は, 加 熱とともに進み,1 5回の加熱では反射波の減少が 著 し い。. c y y 三一ー[ ー… … , --, , R. 横波伝播速度 ] F E言 - CV. ‐ 縦波伝播速度 , 一・ 目1 1 J 十. FCV ‘. D. ●:FC I O O 0:FC2 0 0 O:FCV. 、ぷ当一 I 覇 」1- 1 ,, …, ・“. 減衰能は, 前述したように図2の AC 波形の- 番目と二番目の反射波の高さを実測して, 前述の 式に代入して求めた。 その結果については, 後述 する。. FC 2 0 0 F 2 0 0 …. 爺C 2o o. ぎ編l i 宇賀== iふ〒 - の\日 もHX. 高さが減少, あるいはほとんど消失傾向 である。 これは加熱1回によっ て減衰性が増大したことを. J. 6.5:. の\日 も日X. び15回の場合について代表して示した。探傷器の. 性能が十分 でなく, ノイ ズの混入が見られるが,. 竪ミ ミ. b 0 70 .(. 0 2 4 6 8「 0 つ5 加熱回数, 回. 2 0. 図7 加熱回数-密度, 横波伝播速度, 縦波伝播 速度. 3-4. 加熱に伴う諸性質の変化. 図9は, 3種の鋳鉄の加熱回数に対する諸性質の変化を示す。 FCI OOの引張強さは加熱とともに わずかに増大し, 加熱6回では鋳造のままに比較しておおよそ15%増大した その後はわずかに減 。 少 して, 20 回では鋳造のままにほ ぼ等しくなっ た これに対して縦弾性係数は 加熱により減少し 。 , たが1回の加熱によ る減少が著しく, その後の変化はわずか であっ た。 ブリネル硬さは 加熱とと , もに連続的に減少した。 さらに減衰能も減少したが, 加熱2回までの減少傾 向が最大で その後は , , 緩慢になっ た。 FC200 は, FCI O 0とは異なる変化を示した。 すなわち, ブリネル硬さと縦弾性係数は 加熱とと , もに減少したが, 引張強さは, 1回の加熱でおおよそ20%増大した後は, ほとんど変化が見られな (87).
(7) . . 88. 三谷 府之・相馬. 諭・長浮. 徹. lo 22. - 一「 ;; ‘ ; ≧ ≦ ‐r「 品 . . ムー ] 6 O 20 ,ヨ \ .. 叫隈 隠 に 画. A ‐ C C 2 0 0 ‐ t F s a s. F V A C C ‐ ‐ L s a s. モ. 5 - .O. 寸T T く篭き 善 三 言. F C I O 0 ‐ IH 【 e a. 1 ,. 餐. m 0 6. . 望 も- 瀬墜塑激礎 I ×. - 2 G日\. ぬ エ. . . かっ た。 また減衰能は, 1回の加熱で鋳造のまま 0%も増大した後は鋳造のままにほ ぼ等し より6. 2. A.C 波 形 (As‐Cas t: 鋳 造の ま ま, heat: 回). . 図8 超音波探傷器のブラウン管上に描かれた. 20. 件ト 6 凶出 粒選 、 . ..◆- ・●. ・ 1. 9 . Y 1 5日 F C ‐ t 弧. 0 . ) r F C 2 1 ←…{ L e a. 0. い6回の加熱まで大きな減少傾向を示した。 そし. 19. た後 は加 熱と とも に 減 少 した が20 回 の 加 熱 に. 1. よっ ても鋳造のままにほぼ等しかっ た。 縦 弾性係 数はほぼ連続的に減少した。 ブリネル硬さは引張 強さの場合と同じく1回の加熱で増大した後, 急 激な減少傾向を示した。 減衰能は, 他の鋳鉄と異 なり10回ま で増大して, 鋳造のままのおおよそ 200% に 達 した。 そ の 後 は 減 少 し た が,20 回 加 熱 に よ っ て も 鋳 造 の ま ま よ り 50% も 大 き か っ た。. 件 ト 6 m工 霜轡」、 1I. であ る。 こ れ が 1 回 の 加 熱 で 50kgf/mm2 に な っ. 串. E日\ 勝 るー ×. 澱滋塾敢馨 - N. 200 9 1 1. FCV の引張強さは, 一番大きく, 4okgf/mm2. 3ー5. r. 2,. ^ U 0 ^ ‘. に な っ た。. 1 へ ‘. て 20 回 の 加 熱 では, 鋳 造 の ま ま の お お よ そ 50%. 麹鮒を [. -1-」-11-L --= 111ヒ. 1 . ‐ F C ・ 1 1 ( 1 - 1 1 1 日 5 日 t ー a 鴎 じ. 0 0 0 .. 0 日日\ 楊ヱ . 粒瀬田一 かゆ 5 N. 隠匿鰹. 纂. 1 0‐ lo ‐ ・. 1 ‐ 5日 F C 1 0 凪 ビ. ,. 奇 溺. -. Y ー 』 巨 出 上 ‐, ‐窪 霊 ‐ふ き 減衰能 微 掌 ‐. . -. 、. 0 2 4 6 6「0. 15. 20. 加熱回数 ,回 図9 鋳鉄の加 熱こ伴う 謝生質の変化. 加熱に伴う縦弾性係数の減少傾向. 図10は, 超音波速度に対する縦弾性係数の変化を示したもので, 横波伝播速度及び縦波伝播速度 ともに音速の減少とともに縦弾性係数が減少している。 音速の減少は, 鋳鉄内部が空隙化した結果 を示すもので, 熱応力を削減する上で, 繰返し加熱は, 有効な方法であることが理解 できる。 また より正確な縦弾性係数は,縦波伝播速度の測定により得られることが両直線の傾きから考えられる。 OOが最も縦弾性係数が小さいので, 熱応力の軽減には効果的であ さらに, 3者の鋳鉄のなか で FCI る。. 8) (8.
(8) . 89. 繰返し加熱による鋳鉄の材質改善. 図11は,加熱回数に対する縦弾性係数減少量と 参考として引張強さの変化を示してあ る。 FCIOO. 横波伝播速度-. 縦弾性係数. の場合は, 加熱4回までであるが, いずれの鋳鉄 も加 熱とともに 縦弾性係 数 が減少 した。 特 に, FC200 の 10 回加熱ま で著しいのが注目さ れる 。. ま た FCV もほ ぼ連続的に20回の加 熱ま で減少. . ←. r. し, 減少量は, おおよそ25%になっ た。 一方, 引 張強さは,前述のように20回の加熱によっ ても鋳. . :FC I O O. 造のままにほぼ等しいことから低 回数の繰返し加. 十ト. 0 0:FC2 0 0:FCV. 熱による鋳鉄の有益な材質改善の可能性が大であ ると理解できる。. 縦弾性係数. 一----一一. 『.0 2‐0 3.0 4.0 5.0 3m/ 超音波速度,×10 s. 3ー6 加熱に伴う顕微鏡組織変化. 図1 0 超音波速度と縦弾性係数との関係. 2は, 各鋳鉄の加熱1回と20回加熱した顕 図1 微鏡組織変化を示している。 FCIOOは, 1回の加 熱によっ て黒鉛周辺のフェ ライ ト析出量が増大し た。 また, 基質の パー ライ トは繊密な様相を呈し て い る。 こ れ に 対 し て, 加 熱 と と も に パ ー ライ ト. が分解するとともに片状黒鉛が肥大化する傾向, さらに基質中に粒状小黒鉛の析出が観察された。. 一 引率辛さ = ,. 1 牛 ↓声抄. FC200も類似した傾向であるが, フェ ライ ト析出 量およ びパーライ トの分解傾 向が FCI OOより 少 ない。 また両鋳鉄ともに加熱により黒鉛周辺に酸 化の影響がわずかに見られるようになっ た。 一方. 者Hー. FCV の 場 合 は, 1 回 の 加 熱 に よ っ て パ ー ライ ト の. 析出量が増大した。 そして加熱にしたがっ て パー ライ トは分づ解するが,20回の加熱によっ てもかな り残っ ているとともに,繊密な様相を示している。 さらに基質中には再分布した粒状小黒鉛が観察さ れたが, 酸化 の影響は, ほとんど見られなかっ た。. 」きき ;… - - -. 一 軒 デ 〇24 68仰. 4. 考. つ5 2〇 加熱回数, 回 図11 加熱に伴う縦弾性係数減少傾向. 察. 2 種 類 の 片 状 黒 鉛 鋳 鉄 FCIO0 と FC200 , さ ら に コ ン パ ク ト バ ミ キ ュ ラ ー 鋳 鉄 FCV を静止空気中. で室温と950℃の間を繰返 し加熱を20回行うと不可逆膨張 (成長) が次第に増大して 一般 的傾向 , として密度, 音速, 減衰能並びに引張強さ, 縦弾性係数 ブリネル硬さが減少した これは黒鉛不 , 。 )によっ て見掛けの膨張が生じ 鋳鉄内部が空隙化した結果である 可逆移動機構9 , 。 不可逆膨張は, FCI OOが最大で, 次いでFCV, FC20 0の順序 に減少し, FC2 00は FCI OOのおお よそ50% であっ た。 FC200の耐熱性が一 番優れているのは, 黒鉛片が短く その表面積も小さいの , で再分布黒鉛量が一番少なく, 成長が抑制された結果 である。 (89).
(9) . . 90. 三谷 略之・相馬. F CIOO. 詞・長揮. 徹. F C2 00. FCV. 糠員回. 餐 璽園欄圃翻 璽 欝 慶亜 轟 謬鰯樽憂 一丁 ベ r.・ ▼. 濠目回 o N. 雷園 純薬. 請 極鉛懇. 1瓢. 守コ噂糧 」. 」. ℃. 園・ 翻 経 纏園闘能.鯛 -, - - -. 鰹 三糟 艶霊 隠避園 犠鴎灘 墓. . ・. -. 翻圏 -謬 -. g 艶陵墓 ′ ・ “ 叩. .. 図1 2 加熱に伴う顕微鏡組織変化. 密度の変化は, 成長に対応し鋳鉄内部が次第に空隙化する様子を直接 的に示しているが, 最大成 Oの密度が FCV より大きいのが注目される。 これは, 基質組織の違い でFCV の 長を示した FCIO ト量が多いことに起因していると考えられる フェ ライ 。 また ブリネ ル硬さの変化も鋳鉄内部の空隙 化を示しているが,FCV の場合加熱1回で25%も増大した。 これは, 鋳造後の再加熱による炭 素溶 O0や FC200より多く, また冷却速度も鋳 造後より速いので級密な け込み量がパーライ ト地の FCI パーライ トが多量に析出したことによる。 減衰能は, 前述のように加熱とともに減少したが, FC200の場合は1回の加熱で約60%も増大し 00% 0回の加熱で, 約1 た後, 連続的に減少した。FCV の場合は, 加熱とともに連続的に増大して 1 も増大した後, 減少した。 しかし20回の加熱でも鋳造のままより50%も大きかっ た。 この傾向は, 酸化の影響の受け方によると考えられる。 すなわち, FC200は, 1回の加熱によっ て鋳鉄内部がわ OOより細かいので外部 酸化性雰囲気の侵入が抑制され, 振動を ずかに空隙化するが, 黒鉛片が FCI l o ) しかし 吸収する空隙が確保される。 , 2回以上では空隙量がさらに増大するが酸化の影響 が進ん で減衰能が減少したと考えられる。 FCIOOの場合は, 酸化の影響を受けやすい大きな黒鉛片のため に加熱始めから減少したのであろう。これに対して FCV の場合は黒鉛が短く, 部分的に粒状化して いるの で酸化の影響 が他の鋳鉄よりも受けにくいの で加熱とともに減衰能 が増大したと考えられ る。. 引張強さは,いずれの鋳鉄も1回の加 熱によって増大した後,減少したがその傾向はわずか であっ た。 1回の加熱による増大は基質 パー ライ トの撤密化で, その後の減少は パーライ トの分解およ び 酸化の影響によると考えられる。 一方, 熱応力低減に寄与する縦弾性係数は加 熱とともに減少した。 すなわち FCIOO は, 1 回 の 加 熱 で13%, FC200 は 3 %, そ して FCV は 7 % であ っ た。 2 回 の 加 熱 OO は 1 ~ 2 回, 0%にも達 した。 したがっ て特に FCI では FCIOO は, おおよそ15%, FC200は1 FC200は2回の加熱で熱応力を低減し, 耐熱疲労性が向上する材質に変化することが分かっ た。 こ れは簡単な熱処理によっ て鋳鉄の付加価値と高めること ができることを示すとともに, 特に FC200 は高強度でしかも減衰能 が大きいのでブレーキ・ローター材料の付加価値を十分高めることができ 0) (9.
(10) . 繰 返 し加 熱 によ る 鋳 鉄 の 材 質 改 善. 91. ることを示唆する。また FCV は繰返し加熱とともに減衰能が増大し縦弾性係数が減少し, しかも引 張強さはほとんど変化しないことから高温加熱中に過酷な熱衝撃を受けるような機械部品の新たな 材料として注目される。. 5. 結. 鋳鉄を繰返し加熱すると不可逆的に体積が増大し, 材質が劣化するが, 低回数の加熱では諸性質 )おいて示唆された。 本研究では3種の鋳鉄 を向上させ, 新たな工業材料となり得る可能性が前報3 , F 2 ℃~室温 FCIO 0 C 0 0およびF C V の繰返し加熱 ( 9 5 0 2 0回 ) にともなう諸性質を詳細に調べて , , 特に, 減衰能の増大と熱応力の低減に有効な材料に改質できるかどうかについて検討した。 得られ た結果をまとめると次のようになる。 1) 3種の鋳鉄は加熱とともに体積が不可逆的に膨張 (成長) した。 最大の成長は, FCIOO で次い で FCV (FCI OOのおおよそ60%) で, 最小は, FC200(FCI OOのおおよそ45%) であっ た。 また 一般的に加熱によっ て諸性質が連続的に減少した。 OOの引張強さは, 加熱とともにわずかに増大して, 加熱6回で15%増大した。 その後は, 2)FCI わずかに減少して20回では鋳造のままにほぼ等しくなっ た。 減衰能は, 連続的に減少したが, 加熱 初期の2回までが著しかっ た。 注目されることは, 縦弾性係数の減少傾向が1~2回で大きく, お およそ1 5%にも達した。 3)FC200の引張強さは, 1回の加熱でおおよそ20%増大した後はほとん ど変化が見られなかっ た。 減衰能は1回の加熱で60%も増大したのが注目される。 2回以上は, 連続的に減少し, 6回以上で 鋳造のままを下回っ た。 縦弾性係数は, 加熱とともに減少して,10回の加熱で25%,20回では30% にも達した。 4)FCV の引張強さは, 3つの鋳鉄のなか で一番大きく,40kgf/mm2 で, こ れ が 1 回 の 加 熱 で 25% も増大した。 その後は, 加熱とともに減少したが, 20回の加熱・でも鋳造のままにほぼ等しかっ た。 減衰能は, 連続的に増大し10回で鋳造のままのおおよそ2 00%になっ た。またその後は減少したが, 20回の加熱によっ ても鋳造のままより50%も大きかっ た。縦弾性係数は加熱ともに連続的に減少し て, 20回の加熱で鋳造のままより25%減少した。 5)縦弾性係数の減少傾向から FCIOOは加熱1~2回, FC200は2回で熱応力を低減し, 耐熱疲労 生が向上する材質に変化することが分かっ た。特に FC200は高強度で減衰能にも優れているのでブ レ ー キ ・ ロ ー タ ー 材 料 と して 十分 に使用 できると考えられる。. 6)FCV は繰返し加熱とともに減衰能が増大し縦弾性係数は減少したが引張強さはほとんど変化し ないことから高温加熱中に過酷な熱衝撃を受けるような機械部品の新たな材料として注目される。. 文. 献. i dge ionsofthe Amer icanlns ing Eng i t 1896 1) A.E.outerbr t ) : Transac n neer s .of Mi ,26( ,176 llns 1 1( 1909 2) H.F.Rugan & H.C.H.Carpenter t ) :Journ fthel ron & Stee ‐ . , No ,29 3) 相馬, 長岡:鋳物, 55( 19 83 ) 9 9 1 , i i 4) A.Fukano & H.Mat su :SAE Techn caIPaper860634. (91).
(11) . 92. 三谷 緒之・相馬. 諭・長揮. 徹. 1 97 1 ) 5 5) 門間ら:金属便覧 (丸善) ,( , 52 ) 47 19 9 2 6) 井ノ山, 山本, 川野:反応論からみた鋳鉄 (新日本鋳鍛造協会) ,2 ,( 3( 1 97 1 ) 1 0 8 7) 相馬, 長岡:鋳物, 4 , 97 ) 0 8) 相馬, 長岡:鋳物, 4 5( 1 3 , 43 l 1969 9) K.Nagaoka t Me ta ) :AFS Cas s ResearchJoumal ,( ,9 ,145. ) 1( 1 97 3 1 10 ) 渡辺, 大平:鋳物, 4 , 81. 2) (9.
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