中国の大学生の自尊感情と愛着スタイルとの関係に関する青年心理学的研究
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(2) て自尊感情水準に主効果が見られ. であると推察された。ここから,不安定な愛着ス. (F(2,247)=7.50,p〈.001),L群>M・H群という. タイルを改善するためには,自尊感情を高める. 関係で有意差が認められた。しかしながら,きょ. ように働きかけると有効であることが推測でき. うだいの有無の主効果は見られなかった。. る。. 愛着スタイル尺度得点を従属変数とし,性別. 愛着におけるきょうだいの有無について. と自尊感情水準を独立変数とする二要因分散分. きょうだいの有無に愛着スタイル得点の有意. 析を行ったところ, r見捨てられ不安」におい. 差は認められなかった。このことから,きょう. て,自尊感情水準に主効果が見られ. だいの有無と愛着スタイルに直接的な関連はみ. (F(2,247):8.40,p〈.OO1),L群>H群という関係. いだせなかった。中国では伝統的な「家」の意. で有意差が認められた。親密性の回避」におい. 識がまだ強く残っていると推測できろう。一人. て,自尊感情水準に主効果が見られ. っ子政策が実行されている中国には,大学生は. (F(2,247):8.40,p〈.001),L群〉H群という関係. いとこがいる。そして,同世代のいとこがきょう. で有意差が認められた。しかしながら,性の主効. だい的な役割を果たすと考えられる。従って,. 果は見られなかった。. 一人っ子政策によりきょうだいの不在を補うた. 考 察. めにいとこと頻繁に付き合う結果として,一人. 自尊感情と患者スタイルとの関連について. っ子と非一人っ子の愛着スタイルには差がない. 本研究の分析結果より,自尊感情高得点群の. と言えるだろう。. 愛着スタイルの中に見捨てられ不安と親密性の. 愛着における性差について. 回避得点が有意に低く、自尊感情の高さが愛着. 性別に愛着スタイル得点の有意差は認められ. スタイルの安定に関連しているといえる。遠藤. なかった。青年期は友人関係を中心とした対人. (2006)は,自尊感情の高い人は自分の個入的な. 関係の比重が大きくなる。中国の大学生は親元. 要請を重要他者に理解してもらえるということ. から離れて寮生活をする。4年間の寮生活を順. を明らかにした。そのため,今回の結果により,. 調に送るために,男女どもは対人関係を大切に. 自尊感情の高い人は自分のことを一般他者に受. する態度があると考えられる。そこで,男性は他. 容してくれると確信しているといえる。一方,. 者に対する「拒否」が低くなり,女性は「見捨て. 遠藤(1999)は自尊感情の低い人は対人関係に対. られ不安」が低くなるであろう。. する評価の低さを自己に帰属させ、受容期待を 低下させることを指摘した。自尊感情が相対的. 主任指導教員 浅川 潔司. に低い人は,見捨てられ不安の傾向がある。そし. 指導教員 浅川 潔司. て,高い自尊感情は愛着不安定を改善する要因.
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