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中学校理科におけるイメージマップを活用した「指導と評価の一体化」の試み ―第2学年「気象とその変化」を事例として―

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(1)Title. 中学校理科におけるイメージマップを活用した「指導と評価の一体化」 の試み ―第2学年「気象とその変化」を事例として―. Author(s). 森, 健一郎; 栢野, 彰秀; 髙橋, 弾. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 66(2): 263-274. Issue Date. 2016-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/7859. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第66巻 第2号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 66, No.2. 平 成 28 年 2 月 February, 2016. 中学校理科におけるイメージマップを活用した「指導と評価の一体化」の試み ― 第2学年「気象とその変化」を事例として ―. 森 健一郎・栢野 彰秀*・髙橋 弾** 北海道教育大学釧路校 島根大学* 釧路市立幣舞中学校**. The Concept of the Lesson to Unify Instruction and Assessments in Lower Secondary School Science: A Case Study on“Climate Change”. MORI Kenichiro, KAYANO Akihide* and TAKAHASHI Dan** Department of Education, Kushiro Campus, Hokkaido University of Education *. Shimane University. **. Nusamai Junior High School, Kushiro. 概 要 本研究は, 「評価の結果によって後の指導を改善し,さらに新しい指導の成果を再度評価する」 という,いわゆる「指導と評価の一体化」を具体化させる研究の一つである。公立中学校第2 学年を対象に,「気象とその変化」単元の「空気中の水の変化」において,学習内容の節目ご とに「水蒸気」をキーワードとするイメージマップを作成させた。そして,授業者が予め作成 しておいたイメージマップと比較させ,気づいたことなどを振り返りとして文章記述させた。 さらに,振り返りの分析・検討に基づいた形成的評価を実施し,次時以降の指導計画に修正を 加え,授業実践を継続した。結果,「水蒸気」をキーワードとするイメージマップにおいて, 授業者の書いた語句との一致が多い生徒は,評価問題を正答できる傾向があるというデータが 得られた。したがって,指導計画にイメージマップの作成を位置づけ,授業者の書いた語句と 生徒が書いた語句との一致に注目した分析をすることは,形成的な評価の手法の一つとして有 効であることが明らかとなった。しかし,本研究は一つの単元の特定の箇所についての実践で あるため,他の学習内容における授業実践とその評価が今後必要である。. 263.

(3) 森 健一郎・栢野 彰秀・髙橋 弾. 1.序 論. 現在,学校現場において, 「指導と評価の一体化」 は十分に認識されているが,その一方で「真に学. 本研究のテーマは, 「授業者の書いた語句との. 習指導と評価が連携し合う授業構築と実践研究は. 一致についてのみ確認する」という簡素化された. 不十分である」との指摘もなされている2)。この. イメージマップの分析でも, 「指導と評価の一体. ことの原因として,栢野ら(2015)は次の3点を. 化」を図る授業実践が可能であることを検証する. 指摘している。. ことである。. ① 指導と評価を関連した一つのサイクルと捉. イメージマップは,もともとは視聴覚教育の分. え,当時学校現場で重要視されていたPDCA. 野で開発されたものである1)。近年,活用される. サイクルにむりやり埋め込んで運用しようと. 場面が広がり,理科教育の分野でも活用事例が見. したためではないか。. られるようになってきた。近年では,黒上(2014). ② 子どもにメタ認知を迫る方略は妥当であっ. らによって 「思考ツール」の一つとして紹介され,. た。しかし子どもが,何がどれだけ分かって. 小学校・中学校の「総合的な学習の時間」をはじ. どれだけ分かっていないのかが,適切に評価. めとした様々な場面で活用されるようになってき. できなかったためではないか。. た。イメージマップにおいて,生徒は中心に示さ. ③ 学習評価に多くの時間が必要であったとと. れたキーワード(以下,鍵概念)から連想された. もに,授業途中における評価が形成的評価3). 語句を同心円上に書き込む。そして授業者は,そ. に必ずしもなっていなかったためではないか。. の内容や配置を確認し,生徒がどのような語句か. これらを受けて,栢野ら(2015)は,児童生徒. ら鍵概念を体系づけているかを把握する。これに. の変容を能動的に評価できる「授業のあり方」と. よって,生徒のイメージの状況が可視化でき,さ. 「評価の方法」を提示している。本研究では,栢. らに,生徒の理解の進捗状況を把握することがで. 野ら(2015)が提示した「授業のあり方」と「評. きる。イメージマップは,その形式が簡便である. 価の方法」を適用し,その評価をおこなう。この. ことから,生徒のもっている科学的概念がどのよ. ことで,評価活動を指導の改善に生かす具体的な. うなものであるかを把握しやすい。図1は,ある. 方法を提示し,学校現場における理科指導の質を. 生徒が,本研究における授業実践の中で作成した. 高めることに寄与したい。. イメージマップである。これは,「水蒸気」とい う鍵概念で作成されている。. 2.先行研究について イメージマップは,現在研究の途上にある手法 であるので,活用方法が完成しているわけではな い。理科教育における先行研究も,「生徒自身が 自分の学習状況の変化を捉えるためのツールとし て用いる活用方法」や,「生徒が作成したイメー ジマップを授業者が見て,学習状況を把握すると いう活用方法」や,「生徒同士が自分の作成した イメージマップを比較し合い,意見交流を行う活 用方法」など,様々な試みがなされており,これ らは栢野ら(2012, 2011, 2010a, 2010b)によって 報告されている。ただし,これまでのイメージマッ. 図1 生徒が作成したイメージマップの例. 264. プを用いた授業実践では,生徒が記述した語句の.

(4) 中学校理科におけるイメージマップを活用した「指導と評価の一体化」の試み. すべてを拾い出して分類するという,まとまった. 第2学年の生徒を対象に,「気象とその変化」単. 時間を要する段階があり,学校現場での日常的な. 元の第2章「空気中の水の変化」において,イメー. 実践に結びつきにくいという課題があった。この. ジマップを活用して指導過程を評価し,その結果. 課題を解決するため,栢野ら(2013, 2014, 2015). に基づいて次時以降の指導計画に修正を加えると. は,生徒が作成したイメージマップを,授業者が. いう実践を試みた。. 予め作成しておいたイメージマップと比較すると いう方法を提案し,実践している。この方法では, 生徒が記述した語句のすべてを拾い出して分類す. 4.研究方法. るという作業がないため,学校現場の実践に導入. 本研究における授業実践は,以下のような流れ. することが比較的容易である。実践事例としては,. で構成した。. 小学校理科第4学年「水のすがた・水のゆくえ」. 1) 公立中学校第2学年1学級(21名)を対象に,. 単元において,詳細な実践とその評価が栢野ら. 「気象とその変化」単元の第2章「空気中の水. (2013, 2014)によってなされている。この実践. の変化」において,学習内容の節目ごとに「水. は公立小学校でなされたものである。中学校理科. 蒸気」を鍵概念とするイメージマップを作成さ. については,国立大学附属中学校での詳細な実践. せ,授業者が予め作成しておいたイメージマッ. とその評価が発表されている4)。また,栢野ら. プと比較する。そして,比較して気づいたこと. (2015)によって,国立大学附属中学校と公立中. などを振り返りとして文章記述する。図2は,. 学校における「気象とその変化」の実践の比較が. ある生徒が書いた振り返りの文章である。この. なされている。しかし現時点では,公立中学校に. 章の指導計画では,学習内容の節目ごとにイ. おける実践の概要については報告されているもの. メージマップを活用する場面を3回設定してい. の,その評価については述べられていない。そこ. る。これは,3回設定することで,計画,実践,. で,公立中学校における「気象とその変化」の実. 評価という一連の活動を繰り返すことができる. 践と評価について詳細に報告することとした。. のではないかという考えに基づいている。. 3.研究目的 公立中学校における「気象とその変化」の実践 とその評価について詳細に報告することが本研究 の目的である。形成的評価の具体例とその成果を 事例的に明らかにすることで, 「指導と評価の一. 図2 生徒の書いた振り返りの例. 体化」を図る授業実践例の一つを提示することが できると考える。「指導と評価の一体化」は,現. 2)授業者は,振り返りの分析・検討に基づいた. 行の学習指導要領のねらいの一つとして示されて. 形成的評価を実施し,次時以降の指導計画に修. 5). 「学校においては, いる。文部科学省の資料 では,. 正を加え,授業実践を継続する。そして,定期. 計画,実践,評価という一連の活動を繰り返すこ. 試験の一部を評価問題として用いる。形成的評. と」が示され, 「指導と評価とは別物ではなく,. 価を実施するにあたっては,「予め授業者が作. 評価の結果によって後の指導を改善し,さらに新. 成していたイメージマップに書かれた連想語」,. しい指導の成果を再度評価すること」が重視され. 「生徒が作成したイメージマップに書かれた連. ており,今後もこれらの方向性を具体化していく. 想語」,「生徒の振り返りに書かれた連想語」を. ことが求められている。ここでは,公立中学校の. 一覧表にまとめる。このことで,授業者の意図. 265.

(5) 森 健一郎・栢野 彰秀・髙橋 弾. が生徒にどの程度伝わっているのかを把握した. この章の指導では,授業者が作成したイメージ. いと考えた。そして,授業者の書いた語句との. マップを3種類用いる。つまり,生徒がイメージ. 一致が多い生徒と,評価問題を正答している生. マップを用いて比較と振り返りを行う場面が3回. 徒数をクロス集計し,フィッシャーの直接確率. 設定されている。授業者の作成するイメージマッ. 計算をおこなう。このことで,イメージマップ. プは,指導計画に基づいて,学習の節目ごとに定. に書いた語句が授業者の書いたものと一致する. 着が求められる語句を中心に構成される。1枚目. ことと,評価問題を正答できることとの間に,. に書き足すかたちで2枚目を,2枚目に書き足す. 何らかの関係があるかどうかを確認することが. かたちで3枚目を作成した。表1に第2章全体の. できる。. 指導計画を示す。 表1 授業者の授業づくりを含む授業展開の概要. 『自然の探究 中学校理科2』 (教育出版) 「気象とその変化」単元 第2章「空気中の水の変化」 ⑴ 対象生徒 第2学年 21名 ⑵ 実践期間 201X年2月~3月(授業時数:全11時間) ⑶ 単元のねらい ・結露などの日常的な現象の観察や露点の測定実験などを行い,水蒸気の凝結について理解する。 ・気圧の高度による変化について理解し, 減圧実験などにより水蒸気が水滴に変化することを体験からとらえる。 雲ができるときの気圧,気温及び湿度の変化を相互に関連づけて理解する。 ・降水現象から地球の水の循環について考察し,循環が太陽のエネルギーによって引き起こされることを理解す る。 ※斜体字は,授業時間外の授業者による準備など。 次. 学習内容. 時. . 授業展開の概要. イメージマップ1,2,3の作成. ○オリエンテーション 1 1 空気中の水蒸気. 2 3. ・イメージマップ活用の目的,方法を聞き,記入の仕方,振り返りの仕方の練 習を行う。 ・水が水蒸気に変化する様子を観察する(演示実験:霧吹きで内側をぬらした ポリエチレンの袋にドライヤーの温風をかける)。その後,水蒸気が水に変わ る条件について話し合う。 ・空気中の水蒸気がどのような時に水へ変化するのか考える。 ・実験 温度を変えて水蒸気を水に変える。 ・水蒸気が水に変化するとき,温度が関係していることを見いだす。 ◇イメージマップ1を作成する。 授業者の作成したイメージマップと比較し,振り返りを書く。. イメージマップ1と振り返りの分析・検討に基づいた形成的評価1の実施. 2 霧や雲の発生. 266. 4 ☆形成的評価1に基づく指導 ・飽和水蒸気量と温度(相対湿度)について,教科書中の図や表を参考にしな がら理解する。また,露点についても飽和水蒸気量と関連づけて理解する。 5 ・湿度の計算について,教科書や副教材の例題を解く。 ・霧や雲がどのようにできるのか考察する。 ・実験 霧をつくる(シャーレにぬるま湯を入れ,その上にドライアイスの冷 気をかける) ・雲の動きや形の変化から,雲が発達しているところでは,空気はどのように 6 動いているのかを考察する。 ・気圧の変化と空気の膨張について学習する。 ・高度によって気圧の変化する理由を話し合う。 7 ・実験 雲をつくる(容器から空気を抜くことで気圧を下げ,中の水蒸気を露 点以下にする) ・容器内の空気の温度変化,および凝結核の役割について考察する。 8 ◇イメージマップ2を作成する。 授業者の作成したイメージマップと比較し,振り返りを書く。.

(6) 中学校理科におけるイメージマップを活用した「指導と評価の一体化」の試み. イメージマップ2と振り返りの分析・検討に基づいた形成的評価2の実施 ☆形成的評価2に基づく指導 ・大気中の空気の上昇と下降によって起こる現象について考察する。 ・雲のでき方をもとに,雨や雪のでき方を考察する。 ◇イメージマップ3を作成する。 9 授業者の作成したイメージマップと比較し,振り返りを書く。. イメージマップ3と振り返りの分析・検討に基づいた形成的評価3の実施. 3 水の循環. ・教科書の図を参考に,雨や雪のでき方についてまとめる。 ☆形成的評価3に基づく指導 10 ・地球上の水は常に循環しており,この循環をもたらしているのが太陽のエネ ルギーであることに気づく。 ・水の循環が気象の変化を生じさせていることに気づく。 ・第2章のまとめ,副教材の練習問題に取り組む。 11. イメージマップを用いた活動を実施する時期. マップ3回分を図3~5として以下に示す。イ. は,実験・観察およびそのまとめに要する時数な. メージマップ中の※印は,連想語句の一つのまと. どを考慮して決定した。生徒は,授業者が作成し たイメージマップと自分が作成したイメージマッ プを比較して,さらに振り返りをすることで,自 己の理解の状況を把握することができる。授業者 が作成したイメージマップに書かれている語句 が,自分のイメージマップに含まれているかどう かを確認することは,生徒の学習内容の習熟度に 左右されないため,有効な方法であると考える。 なお,この比較と振り返りに要する時間は10分前 後である。導入時には15分から20分程度の時間が 必要であるが, その後は短時間で実施できるので, 従来の指導計画を変更することなく実施できる。 授業者は,生徒の作成したイメージマップを検. 図3 授業者が1回目に作成したイメージマップ. 討することで,生徒の理解の状況を把握すること ができる。 授業者が作成するイメージマップには, その単元や章の重要語句が必然的に含まれること になる。生徒のイメージマップに書かれた語句を すべて抜き出して分類することも有益ではある が,実際の授業運営においては現実的ではない。 本実践のように,授業者が書いた語句の有無に注 目することで,日常的に活用できるものになると 考える。この方法によって,単元の学習を進めな がら,短時間で形成的評価が実施できる。そして その評価は次時以降の指導計画に反映させること が可能である。授業者が予め作成したイメージ. 図4 授業者が2回目に作成したイメージマップ. 267.

(7) 森 健一郎・栢野 彰秀・髙橋 弾. 5.結 果 ⑴ イメージマップに書かれた語句の傾向 生徒に,自分が作成したイメージマップと授業 者が作成したイメージマップとを比較させ,振り 返りを書かせるという場面を3回設けた。そして 結果を表2~4のようにまとめた6)。表に示した ○印,◎印,V印,空欄は,それぞれ次のような 意味である。 ○印:生徒がイメージマップ中に連想語及び連想 系列を書き出している。 図5 授業者が3回目に作成したイメージマップ. ◎印:生徒が作成したイメージマップに加え,生 徒の振り返りにも記述がある。. まりを表し,表2~4中の※印と対応している。. V印:生徒が作成したイメージマップには書き出. 授業者は,回数を重ねるごとに連想語句のまとま. されなかったが,振り返りには書き出して. りが増加するようにイメージマップを作成した。. いる。. 表2 1回目のイメージマップの比較と振り返りの結果 1回目 ※1. ※1. 番号. 冷える. 水 (水滴). 霧. 雲. 気体. 見えない. 1. ○. ○. ○. 3. ○. ○. ○. 4. ○. ○. ○. ◎. 5. ◎. ○. ○. 6. ○. ○ ○. 液体. 結露. 2. 7. ○. ○. 8. ○. ○. 9. ◎. 10. ○. ○. 11. ○. ○. 12 13. ○ ○. 14. V. ○. ○. ○. ○. ◎ ○. ◎. ○ ○ ○. ○. ◎. ○. 16. ○. ○. V. 17. ○. ○. ○. 18. ○. ○. 19. ○. ○. 21. ○. ○. 15. 20. 268. ○. ○. ◎ ◎. ○. ○ ○. 凝結.

(8) 中学校理科におけるイメージマップを活用した「指導と評価の一体化」の試み. 空欄:イメージマップにも振り返りにも書き出し. 初では,「水から水蒸気への変化」に焦点が当. ていない。. てられているが,学習内容が最終的に「霧」や 「雲」につながるという意識が生徒に共有され. 1回目のイメージマップの比較と振り返りを検. ていないのではないか。. 討し, 「成果」と「課題」を授業者側で以下のよ. ・「凝結」についてはまったく書かれていない。. うにまとめた。さらに「次の授業で指導したいこ. 語句そのものの理解が不十分であると考えられ. と」についても具体化することができた。. る。. 【成果】. これらの成果と課題を受け,以下の点を次時以. ・ 「冷える」 , 「水」という語句が,イメージマッ. 降の重点とした。. プにも振り返りにも多く書かれたことから,温. 【次の授業で指導したいこと】. 度の変化が関連していることは認識された(ま. ・学習している内容が,最終的には「雲の正体が. たは, 一般常識として知っていた) と判断できる。. 水(または氷)であり,水蒸気(目に見えない. 【課題】. 気体)ではない」であることを「凝結」という. ・ 「霧」 , 「雲」があまり書かれていない。章の最. 語句を用いて説明できるように指導したい。. 表3 2回目のイメージマップの比較と振り返りの結果 1回目. 2回目. ※1 番号 冷える 1. ○. 2. 水 (水滴). ※1 霧. ○ ○. 3. ○. 4. ○. 6. ○. 8. ○. ○. 12. ○. 13. ○. 14. 20 21. 結露. 凝結 飽和水蒸気量 湿度. 温度. 露点. ○ V ○. ○. ○. ○. ◎. ○. ○. ○. ◎. ○ ○ ○ ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○ ◎. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. V. ○. ○ ○. ○ ◎. ◎ ○. 16. 19. ○. ○. V. 11. 18. ○. 液体. ○. 10. 17. 見えない. ○. 9. 15. 気体. ○ ○. ○. ○. ◎. 5 7. 雲. ※2. ○ ◎. ○. ○. ○. ○. ○ ○. ○ ○. ○. ◎. ○. ○ ○. 269.

(9) 森 健一郎・栢野 彰秀・髙橋 弾. 1回目の検討結果を踏まえ授業を行い,2回目. が,学習事項と結びつけられていない,または. のイメージマップの比較と振り返りを実施した。. 理解されていないと思われる(授業では触れて. 「成果」 , 「課題」,「次の授業で指導したいこと」. いる)。. は以下の通りである。. ・「飽和水蒸気量」の語句も少なかった。概念の. 【成果】. 理解がまだ不十分と思われる。. ・ 「気体」や「見えない」の記述が増加している。. ・全体として,イメージマップに書けていない語. これは,授業者が1回目のイメージマップの結. 句は,振り返りにも書かれていない。語句の意. 果を踏まえ,この単元の到達目標のひとつとし. 味や概念の理解が不十分であるため,文章記述. て「雲の正体が水(または氷)であり,水蒸気. に活用するまでに至っていないものと思われる。. (目に見えない気体)ではないことの理解」を. 【次の授業で指導したいこと】. 意識化したからだと判断している。. ・「結露」や「凝結」について,その成因が充分. 【課題】. に理解されていないと考えられる。理解を促す. ・ (見えない) 「気体」の対比である(見える) 「液. ために,成因を自分の言葉で文章化する場面を. 体」の記述がもっと多いと予想していたが,そ. 入れる。. れほどではなかった。. ・「飽和水蒸気量」の語句を覚えているか否かで. ・ 「結露」や「凝結」の語句は,記述がイメージマッ. はなく,この語句を活用して文章を記述できる. プにも振り返りにもほとんど見られなかった。. かどうかを評価のポイントとして指導をしたい。. 北海道の中学生には身近な現象であるはずだ 表4 3回目のイメージマップの比較と振り返りの結果 1回目. 2回目. ※1 番号 冷える 1. 水(水滴). ○. ○. ○. ◎. 2 3. ○ ○. 6. ○. ◎. ○. 8. ○. ○. ○. 9. ○. V ○. 11. ○. ○. ○. ◎. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. V. ○ V. ○ ◎. ○. ○ ○. V. V. ○. V ○. ○. ◎ ◎. 14. ○. ○. 15. ○. ◎. ○. 16. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ◎. ○. ○. ○. ○. ○. ○. 18. ○. V. ○. 19. ○. V. 270. 太陽 エネルギー 循環 V. ○. 21. 露点. ○. ○ ○. ※3 温度. V. 12. 20. 凝結 飽和水蒸気量 湿度. ○. 13. 17. ※2 結露. ○. ○. ○. 10. 気体 見えない 液体. ○. ◎. 7. 雲 ○. ○. 4 5. ※1 霧. 3回目. ○. ◎. ○. ○. ○. ○. ◎. V ○ ◎. ○. ○. ○ V. ○ ○. ○. V. ○ ○. ○. ○ ◎. ○. ○. ○.

(10) 中学校理科におけるイメージマップを活用した「指導と評価の一体化」の試み. 2回目の検討結果を踏まえた授業を行い,3回. 一つであるので,その理解に欠かせない「飽和. 目のイメージマップの比較と振り返りを実施し. 水蒸気量」と,それの理解の基本となる「割合」. た。 「成果」 「課題」, , 「次の授業で指導したいこと」. の習熟に努めたい(飽和水蒸気量の理解が曖昧. は以下の通りである。. だと,露点=0℃という誤解が生じると思われ. 【成果】. る)。さらに,状態変化を引き起こす「太陽エ. ・学習している内容が,最終的には「雲の正体が. ネルギー」にも着目できるように指導を工夫し. 水(または氷)であり,水蒸気(目に見えない. たい。. 気体)ではない」であることは意識化されたと ⑵ 評価問題を用いた分析. 思われる。 ・ (見えない) 「気体」の対比である(見える) 「液. イメージマップの比較と振り返りの記述につい. 体」の記述が,前回よりも増えているので,イ. ての質的な評価は前述の通りであった。量的な評. メージマップの分析を踏まえて指導した効果で. 価については,3回目の比較結果(表4)を対象. あると考えている。. とし,「表中でチェック(◎,○,Vの記入)が. 【課題】. なされた語句の数」に着目し,これを「授業者が. ・ 「結露」や「凝結」については,記述量が増え. 書いた語句との一致」とみなす。3回目のイメー. ていない。依然として,その成因が充分に理解. ジマップにおいて,授業者の書いた語句は16で. されていないと考えられる。また, 「飽和水蒸気. あった。一致がみられた語句数が最も多かった生. 量」 の語句もほとんど書かれていない。割合など,. 徒は9,少なかった生徒は2であり,学級の平均. この概念に関する基本的な内容(小学校の算数. は,5.0であった。この5.0を基準として,生徒を「一. の内容)の理解が不十分である可能性がある。. 致した語句が5以上」,「一致した語句が4以下」. ・太陽エネルギーによる水の循環については,ほ. の2群に分けた。この基準を適用したところ, 「一. とんど書かれていない。. 致した語句が5以上」の生徒は12名,「一致した. 【今後の授業(単元全体)で指導したいこと】. 語句が4以下」の生徒は9名となった。. ・「水の状態変化」が気象を理解するポイントの 表5 一致した語句数と評価問題の正誤についてのクロス表 評価問題の正誤 正. 誤. 合 計. 一致した語句が5以上. 9. 3. 12. 一致した語句が4以下. 2. 7. 9. 11. 10. 21. 合 計. 本実践の評価は,定期試験の一部を評価問題と. きところを「0℃」と書いてしまう誤答が多く,. して用いることでおこなった。評価問題を図6に. その点を改善することをねらいの一つとして実践. 7). 示す 。評価問題として,飽和水蒸気量に関する. をおこなった。本実践でも同様の点が課題になる. 設問と, 露点に関する設問を用いた。この設問は,. のではないかという予測のもとで形成的評価をお. 筆者らによる先行研究(栢野ら, 2011)から継続. こなった。実際,3回目のイメージマップの比較. 的に用いているものである。先行研究では,特に. と振り返りをした段階で,先行実践と同様に, 「飽. 露点に関する問題7において, 「露点」と書くべ. 和水蒸気量」の語句が少なかったため,「露点=. 271.

(11) 森 健一郎・栢野 彰秀・髙橋 弾. 図6 評価問題. 0℃」という誤解をしている生徒がいるのではな. 導を改善し,さらに新しい指導の成果を再度評価. いかという課題を見いだすことができた。3回目. する」という,指導に生かす評価の充実を具体化. のイメージマップの活用の後, 「飽和水蒸気量」と,. し,「指導と評価の一体化」を図る授業実践例の. 理解の基本となる「割合」の習熟を重点として授. 一つを提示することであった。実践研究の結果,. 業を進めた。. 「水蒸気」を鍵概念とするイメージマップにおい. 当該学級の21名中,問題7に正答できた生徒は. て,授業者の書いた語句との一致が多い生徒は,. 11名であった。 「一致した語句が5以上」の生徒. 評価問題を正答できる傾向があるというデータが. 12名のうち評価問題の問題7を正答できた生徒は. 得られた。一致した語句の「多い」「少ない」と. 9名, 「一致した語句が4以下」の生徒9名のう. いう表現は,平均値を基準にしたものであり,客. ち正答できた生徒は2名であった。これらの結果. 観的な指標としては不十分であるといえるが,学. をクロス集計したものが表5である。直接確率計. 校現場における日常的な活用を考えると,一つの. 算をおこなった結果,人数の偏りは有意であった. 方法として有効なのではないかと考える。本実践. (両側検定:p=.03)。したがって,「授業者の書. は,イメージマップに書かれた語句の状況を把握. いた語句との一致数」と「評価問題の正答」には. していくことで,形成的評価が可能になることを. 関連性があると判断された。. 示したといえる。生徒に振り返りをさせることで, 生徒自身も自己の学習状況を知ることができる。. 6.考 察 本研究の目的は, 「評価の結果によって後の指. 272. 授業者は,イメージマップの語句の重なりが少な い生徒の状況を把握し,関連づけられていない語 句に注目することで,次時以降の指導の重点を絞.

(12) 中学校理科におけるイメージマップを活用した「指導と評価の一体化」の試み. ることができる。結論として言えることは,「生 徒の作成したイメージマップを検討する際,生徒 が連想した語句と授業者の書いた語句との一致に 注目することが,単元や章のねらいが達成された. の継続視聴から」 『放送教育研究』10巻,1-20. 2)加藤圭司(2013) 「学習者のメタ認知を介して指導と 評価を一体化させる理科授業構築の視点」『科学的な思 考力や表現力を高める理科学習の指導と評価の実践事 例研究』東京教育研究所.. かどうかを判断する規準の一つになりうる」とい. 3)形成的評価とは,学習指導の途中において実施する. うことである。本研究によって,単元や章の指導. もので,その時点までの指導内容を学習者がどの程度. 計画にイメージマップの作成を位置づけ,授業者 の書いた語句と生徒が書いた語句との一致に注目 した分析をすることは,形成的な評価の手法の一 つとして有効であることが明らかとなった。. 理解したかを評価する方法である。この評価に基づい て指導計画を変更し,理解の足りない部分について, あるいは理解の足りない児童生徒に対して補充的な指 導を行うことが可能となる。 4)大山朋江(2014) 「 「指導と評価の一体化」の一体化 を図った中学校理科の授業実践-第2学年「空気中の 水蒸気の変化」-」『島根大学教育学部附属中学校個人 研究紀要』. 7.結 論. 5)2000年に教育課程審議会から出された答申「児童生. 公立中学校第2学年の生徒を対象に, 「気象と その変化」単元の第2章において,学習内容の節 目ごとに「水蒸気」を鍵概念とするイメージマッ プを作成させ,授業者が予め作成しておいたイ メージマップと比較させた。そして,比較して気 づいたことなどを振り返りとして文章記述させ た。授業者は,振り返りの分析・検討に基づいた. 徒の学習と教育課程の実施状況の評価の在り方につい て」 より。文部科学省のホームページに記載されている。 http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/ t20001204001/t20001204001.html(参照2015年9月27日) 6)表2~4中の番号は,生徒の出席番号とは異なって いる。 7)各設問の解答は次の通りである。問題1:呼気中の 水蒸気が水滴となってコップの表面に付かないように するため。問題2:55.6% 問題3:4g 問題4:凝. 形成的評価を実施し,次時以降の指導計画に修正. 結核にするため。問題5:水 問題6:A 問題7:. を加え,授業実践を継続した。さらに,定期試験. ①上昇 ②下 ③露点. の一部を評価問題として用いて検証のためのデー タとした。結果, 「水蒸気」を鍵概念とするイメー ジマップにおいて,授業者の書いた語句との一致 が多い生徒は,評価問題を正答できる傾向がある というデータが得られた。結論として,指導計画 にイメージマップの作成を位置づけ,授業者の書 いた語句と生徒が書いた語句との一致に注目した 分析をすることは,形成的な評価の手法の一つと して有効であることが明らかとなった。しかし, 本研究は一つの単元の特定の章における実践であ る。今回の研究成果をより一般的なものにしてい くためには,他の単元における授業実践とその評 価の蓄積が必要である。. 参考文献 栢野彰秀・大山朋江・髙橋弾・森健一郎(2015)「 「指導 と評価の一体化」を図る授業の構想と中学校理科にお ける実際⑵」 『島根大学教育臨床総合研究』14巻,127140. 栢野彰秀・山代佳菜美・廣島亨・森健一郎(2014) 「 「指 導と評価の一体化」を図る小学校第4学年「水のすが た」 ・ 「水のゆくえ」単元の理科授業づくり-イメージ マップの活用を通して-」『島根大学教育学部紀要』48 巻,11-26,2014. 栢野彰秀・廣島亨・森健一郎(2013) 「イメージマップを 活用した形成的評価に基づく授業づくりのための基礎 的研究-小学校理科第4学年「水のすがた」・「水のゆ くえ」単元を事例として-」『島根大学教育学部紀要』 47巻,29-40.. 註 1)水越敏行・吉崎静夫・三宅正太郎(1980)「映像視聴 能力の形成と評価に関する実証的研究:みどりの地球. 栢野彰秀・森健一郎・三宅正太郎(2012) 「イメージマッ プを用いた中学校理科学習支援に関する事例的研究- 第2分野「天気の変化」単元を事例として-」『北海道 教育大学紀要』62巻2号,105-118. 栢野彰秀・森健一郎・三宅正太郎(2011) 「イメージマッ. 273.

(13) 森 健一郎・栢野 彰秀・髙橋 弾. プを用いた学習支援に関する実践的研究-中学校理科 「天気の変化」単元を事例として-」『北海道教育大学 紀要』61巻2号,229-241. 栢野彰秀・森健一郎(2010a)「イメージマップを知識獲 得を促進するための学習支援ツールとして利用する試 み⑵-中学校理科「水溶液」単元を事例として-」『北 海道教育大学紀要』61巻1号,197-207. 栢野彰秀・森健一郎(2010b)「イメージマップを知識獲 得を促進するための学習支援ツールとして利用する試 み-中学校理科「水溶液」単元を事例として-」『北海 道教育大学紀要』60巻2号,109-124. 黒上晴夫・田村学・滋賀大学教育学部附属中学校(2014) 『こうすれば考える力がつく!中学校 思考ツール』小 学館.. (森 健一郎 北海道教育大学釧路校准教授) (栢野 彰秀 島根大学教授) (髙橋 弾 釧路市立幣舞中学校教諭) . 274.

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参照

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