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(1)

6

2

次元リーマン積分の定義

と基本性質

6.1

2

次元可測関数

この節においては2変数の可測関数の概念を定義し,その基本性 質を調べる.次節において2変数の可測関数に対してリーマン積分 の概念を定義する.可測関数の定義とリーマン積分の定義における 極限移行はムーア・スミス極限の意味の極限移行を考える必要があ る.これに関しては5.2節を参照してもらいたい. R2において, 2次元ジョルダン測度空間(R2, B, µ)が定義され ているとする. いま, R2の集合Eは可測集合であるとする.このとき,単に, E は可測であるということがある. いま,集合Eを可算個の可測な部分集合E1, E2, E3, · · · の直和 に分割する. すなわち, E1, E2, E3, · · · はどの二つも互いに交わら ず,その直和集合がEに等しいとする. これを (∆) : E = E1+ E2+ E3+· · · (6.1.1) と表す. 今後, Eの可算直和分割は可測部分集合による分割のみを考える ことにする. このようなEの二つの分割∆と∆があったとき, ∆ が∆の細 分であるとは, ∆の小部分集合はいずれもどれかある∆の小部分 集合に含まれていることをいう.分割∆のどれか一つの小部分集合

(2)

を二つの可測部分集合の直和に分割することによって, ∆の細分が 得られる.∆の任意の細分はこのような二分割による細分を可算回 繰り返して得られる. Eの二つの分割∆と∆に対し, ∆が∆の細分であるとき, ∆≤ ∆′ であるとおくと,これは半順序になっている. いま,集合Eの可算直和分割の全体を∆ = ∆(E)と表すと,これ は細分によって定義される半順序に関して有向集合になる. すなわち,これは次の条件(1)∼(4)が成り立つことを意味する: いま, ∆, ∆′, ∆′′∈ ∆ とするとき, (1) すべての∆∈ ∆に対し, ∆≤ ∆が成り立つ. (2) ∆≤ ∆′, ∆′ ≤ ∆ならば, ∆ = ∆が成り立つ. (3) ∆≤ ∆′, ∆′ ≤ ∆′′ならば, ∆≤ ∆′′が成り立つ. (4) 任意の二つの元∆, ∆′ ∈ ∆に対し, ある∆′′ ∈ ∆が存在し て, ∆≤ ∆′′, ∆′ ≤ ∆′′が成り立つ. このことは次のようにして証明できる. (1)∼(3)が成り立つことは明らかであるから, (4)が成り立つこと を証明する. いま, Eの二つの可算直和分割∆, ∆′ ∈ ∆(∆) : E = E1+ E2+ E3+· · · , (∆′) : E = F1+ F2+ F3+· · · によって与えられているとする. このとき,可算直和分割∆′′を (∆′′) : E = i=1 j=1 EiFj

(3)

によって定義すると, 明らかに, ∆′′∈ ∆であって, ∆≤ ∆′′, ∆′ ′′が成り立つ. ここで,単関数の定義を与える. 定義 6.1.1 可測集合E上で定義された関数f (x, y)が単関数で あるとは, Eの可算直和分割∆: (∆) : E = E1+ E2+ E3+· · · (6.1.2) に対し, f (x, y) = j=1 αjχEj(x, y) (6.1.3) と表されることをいう. ここで, αj は実数であって, 必ずしも互い に異なる必要はない. χEj(x, y)は集合Ejの定義関数を表す. この とき,単関数f (x, y)f(x, y)と表す. 特に,可測集合Eの有限直和分割に対応する単関数f (x, y)を階 段関数ということがある. 図 6.1.1 Eの可算直和分割 注意 6.1.1 関数f (x, y)はその定義域と値域およびその対応の ルールを定めることによって定義される. このとき,単関数f (x, y) の値域は高々可算集合として定まっているが,単関数f (x, y)に対す

(4)

る式(6.1.3)のような表現に関しては,式(6.1.2)のようなEの分割 の仕方が無数にあるのに対応して,無数に多くの表現の仕方がある. このとき,可測関数の定義は次のように述べられる. いま, R = R∪ {±∞}を拡大実数の集合であるとする. ここで, 考えるE上の関数f (x, y)Rに値をとる関数であるとする. こ の関数f (x, y)は拡大実数値関数であるという. このとき, E(∞) = {(x, y) ∈ E; |f(x, y)| = ∞} と表し,集合E(∞)の点をf (x, y)の特異点であるという. 定義 6.1.2 集合ER2の可測集合であるとする. このとき, E 上で定義された拡大実数値関数f (x, y)が可測関数であるとは,次の 条件(i), (ii)が成り立つことであると定義する: (i) E(∞) ∈ Bであって, µ(E(∞)) = 0である. (ii) 一つの単関数の有向族 {f(x, y); ∆ ∈ ∆} が存在して, E\E(∞) 上広義一様収束の意味でムーア・スミスの極限移行 lim ∆ f(x, y) = f (x, y), (x, y)∈ E\E(∞) (6.1.4) が成り立つ. 定義6.1.2の条件(ii)は次の条件(iii)が成り立つことを意味する: (iii) E\E(∞)に含まれる任意の可測有界閉集合Kと任意のε > 0に対し,ある∆0 ∈ ∆が存在して, ∆0 ≤ ∆なる任意の∆∈ ∆に 対して, |f(x, y)− f(x, y)| < ε, ((x, y) ∈ K) (6.1.5) が成り立つ. 表現を簡略化して,可測関数f (x, y)に対して, f (x, y)は可測で あるということがある.

(5)

注意 6.1.2 式(6.1.4)において用いられたムーア・スミス極限 は, Eの可算直和分割を細かく,細かく,限りなく細かく分割を続け たとき,広義一様収束の意味でのf(x, y)の極限関数がf (x, y)に 等しいことを意味している. 注意 6.1.3 可測集合Eの可算直和分割∆が式(6.1.1) で与えら れているとき, Eiの直径を δi= sup{d(p, q); p, q ∈ Ei} (6.1.6) と表す.ここで, d(p, q)R2の2点pqのユークリッドの距離 を表す. そのとき, δ = δ(∆) = max 1≤i<∞δi (6.1.7) とおくと,ムーア・スミス極限の意味で, lim ∆ δ(∆) = 0 (6.1.8) が成り立つ. 注意 6.1.4 いま, ∆0をの部分集合族で, ムーア・スミスの 意味で, lim ∆0 δ(∆) = 0 (6.1.9) が成り立っているとする. このときにも, ∆0とが共終であると いうことは一般にはいえない.一般に, δ(∆)が0に収束するという ことは,分割の集合0に対して,位相的な性質ではない. 極限移行 は位相的な性質であるから,リーマン積分を定義するときにムーア・ スミスの極限移行を用いなければならない理由はこの点にある. 例 6.1.1 集合ER2の可測集合であるとする.E上定義され た単関数f (x, y)と連続関数f (x, y)は可測である. 証明は例2.1.1と同様である.

(6)

定理 6.1.1 集合ER2上の可測集合であるとする.関数fgE上定義された可測関数であるとする.このとき,次の関数も E上定義された可測関数である. すなわち, (1) f + g. (2) f − g. (3) f g. (4) f /g. ただし, Eの各可測有界閉集合上で,ある定数δ > 0が 存在して,|g| ≥ δが成り立つとする. (5) αf . ただし, αは実定数とする. (6) |f|. (7) sup(f, g). (8) inf(f, g). (9) f+= sup(f, 0). (10) f−=−inf(f, 0). 定理 6.1.2 集合ER2上の可測集合であるとする.関数列 {fn}E上の可測関数の列であって,ある零集合E0に対し,関数 fE\E0上広義一様収束しているとする. このとき,関数fE 上で可測関数である. 例 6.1.2 閉区間[0, 1]× [0, 1]において定義された関数f (x, y), (x, y)が有理点のとき1, (x, y)がそれ以外のとき0なる値をと るとする. このとき, f (x, y)は可測関数ではない.ここで, (x, y) が有理点であるとは座標xyがともに有理数のことを意味する.

6.2

2

次元リーマン積分の定義

本節において, 2変数の可測関数のリーマン積分の概念を定義する. R2において, 2次元ジョルダン測度空間(R2, B, µ)が定義され ているとする. 一般に,積分領域は区間とは限らない2次元可測集合を考える.

(7)

平面R2の部分集合Eは可測集合であるとする. このとき, E上定義された拡大実数値可測関数f (x, y)に対して 2次元リーマン積分を定義する.以下のように, 二つの場合に分け て定義を行う. (1) f (x, y)が単関数である場合 このとき, Eの一つの可算直和分割 (∆) : E = E1+ E2+ E3+· · · (6.2.1) に対し, f (x, y)f (x, y) = j=1 αjχEj(x, y) (6.2.2) と表されている. ここで, αj ∈ R, (j ≥ 1)であるとする. このとき, f (x, y)E上の2 次元リーマン積分を,関係式 ∫ ∫ E f (x, y)dxdy = j=1 αjµ(Ej) (6.2.3) の右辺の級数の和によって定義し,左辺の記号で表す.ここで,右辺 の級数は絶対収束していると仮定する. 式(6.2.3)の右辺の値は, 単関数f (x, y)を式(6.2.2)のように表 す表し方に依存せず一意に定まる. したがって,式(6.2.3)による2 次元リーマン積分の定義は意味がある. (2) f (x, y)が一般の可測関数である場合 このとき,関数f (x, y)E上定義された一般の可測関数である とすると, 関数f (x, y)に対して, E\E(∞)上で広義一様収束する 単関数の有向族{f(x, y); ∆∈ ∆}が存在する.ここで, ∆E の可算直和分割の全体のつくる有向集合を表す.

(8)

ここで,ムーア・スミスの極限 I = lim ∆ ∫ ∫ E f(x, y)dxdy (6.2.4) が存在するとき,この極限を関数f (x, y)E上の2次元リーマン 積分といい, I = ∫ ∫ E f (x, y)dxdy (6.2.5) と表す. このとき, この値If (x, y)に広義一様収束する単関数の有向 族{f(x, y); ∆ ∈ ∆}の選び方によらないと仮定する. 有向族 {f(x, y); ∆∈ ∆}の選び方の多様性は単関数f(x, y)の値域の 選び方の多様性である. また, f (x, y)の2次元リーマン積分を重積分ということがある. 直感的には, ムーア・スミス極限は, Eの可算直和分割を限りな く続けて, Eを細かく,細かく,限りなく細かくなるように分割を続 けたときの極限であると考えられる. 上に定義したように, E上の可測関数f (x, y)の2次元リーマン 積分の定義はE上の単関数の積分による近似の方法を用いて行って いる. このとき, 2次元リーマン積分(6.2.5)の値If (x, y)に広義一 様収束する単関数の有向族{f(x, y); ∆∈ ∆}の選び方に依らな いとき, f (x, y)の2次元リーマン積分は絶対収束するという. これ に対し,式(6.2.5)の値If (x, y)に広義一様収束する単関数の有 向族{f(x, y); ∆∈ ∆}の選び方に依って異なるとき, f (x, y)の 2次元リーマン積分は条件収束するという. 式(6.2.4)のムーア・ス ミス極限が発散するとき, f (x, y)の2次元リーマン積分は発散する という. 極限値(6.2.4)が絶対収束するとき, f (x, y)は集合Eにおいて積 分可能であるという. 積分可能な関数が可測関数であることは前提 として仮定されている.

(9)

特に,可測関数f (x, y)Eにおいて積分可能であることと,可 測関数|f(x, y)|Eにおいて積分可能であることは同値である. 注意 6.2.1 重積分はジョルダン測度による積分であるから,積 分変数x, yの表現には特別な意味はない. したがって,重積分を表 す積分記号として, I =E f (x, y)dxdy という略記号を用いることがあることを注意しておく. ここで,特に狭義リーマン積分の定義の場合について一考する. いま, ER2の可測有界閉集合であるとし, f (x, y)E上の有 界可測関数であると仮定する 特に, Eの有限直和分割 (∆) : E = E1+ E2+· · · + En に対して,単関数f(x, y)として, f(x, y) = nj=1 f (ξj, ηj)χEj(x, y), ((ξj, ηj)∈ Ej, 1≤ j ≤ n) (6.2.6) をとると, f (x, y)E上の2次元リーマン積分が存在するならば, I = ∫ ∫ E f (x, y)dxdy = lim ∆ ∫ ∫ E f(x, y)dxdy = lim ∆ nj=1 f (ξj, ηj)µ(Ej) (6.2.7)

(10)

が成り立つ. すなわち,リーマン積分はリーマン和 R∆= nj=1 f (ξj, ηj)µ(Ej) (6.2.8) のムーア・スミス極限に等しい. 特に, Eが閉区間K = [a, b]× [c, d]のとき,この重積分を ∫ b ad c f (x, y)dxdy (6.2.9) と表すことがある. 式(6.2.5)において, Eを積分領域, f (x, y)を被積分関数, x, yを 積分変数という. このとき,定積分Iは積分変数には無関係である. 次に,ダルブーの定理と可測関数の積分可能条件について考察する. いま, ER2の有界可測集合とする. 関数f (x, y)E上有界 な可測関数とする. 集合Eの有限直和分割を (∆) : E = E1+ E2+· · · + En (6.2.10) とする. 部分集合Ei におけるf (x, y) の上限と下限をそれぞれ Mi, mi とし, 集合E におけるf (x, y) の上限と下限をそれぞれ M, mとする. このとき, g(x, y) = ni=1 MiχEi(x, y), (6.2.11) h(x, y) = ni=1 miχEi(x, y) (6.2.12) とおくと, E上広義一様収束の意味におけるムーア・スミス極限と して,等式 lim ∆ g(x, y) = f (x, y), (6.2.13) lim ∆ h(x, y) = f (x, y) (6.2.14)

(11)

が成り立つ. いま, g(x, y)h(x, y)E上の2次元リーマン積分をそれ ぞれS, s∆とする.すなわち, S∆= ∫ ∫ E g(x, y)dxdy = ni=1 Miµ(Ei), (6.2.15) s∆= ∫ ∫ E h(x, y)dxdy = ni=1 miµ(Ei). (6.2.16) であるとする. ここで, µ(Ei)はEiのジョルダン測度を表す. この とき, mµ(E)≤ s≤ S≤ Mµ(E) (6.2.17) が成り立つ. ここで, µ(E) <∞であるから, Eのすべての分割∆に対し,{s}{S}は有界である.したがって, S = infS, s = sup s(6.2.18) が存在する.ゆえに,不等式 s≤ S (6.2.19) が成り立つことがわかる. このとき,次が成り立つ. 定理 6.2.1 (ダルブーの定理) 上の記号を用いるとき, ムーア・ スミス極限の意味で,等式 lim ∆ s= s, limS= S (6.2.20) が成り立つ. 以下に関数f (x, y)の積分可能条件について考察する.

(12)

定理 6.2.2 集合ER2の有界可測集合とし, f (x, y)E上 の有界可測関数とする. このとき, f (x, y)E上積分可能である ための必要十分条件はs = S なることである. 上の記号を用いる. vi = Mi− miを分割∆の部分集合Eiにおけ るf (x, y)の振動量という. このとき, V= S− s∆= ni=1 viµ(Ei) (6.2.21) であるから,条件s = Sと,ムーア・スミスの極限の意味で, lim ∆ V∆= lim∆ ni=1 viµ(Ei) = 0 (6.2.22) とは同値である. ゆえに,次を得る. 定理 6.2.3 Ef (x, y)は定理6.2.2と同じであるとする.こ のとき, f (x, y)が積分可能であるための必要十分条件は, ムーア・ スミスの極限の意味で,等式 lim ∆ V∆= lim∆ ni=1 viµ(Ei) = 0 が成り立つことである. 系6.2.1 Ef (x, y)は定理6.2.3と同じであるとする. このと き,等式 lim ∆ V∆= lim∆ ni=1 viµ(Ei) = 0 が成り立つことと, 任意のε > 0に対し, あるEの分割∆ が存在 して, V∆= ni=1 viµ(Ei) < ε (6.2.23)

(13)

が成り立つこととは同値である. 命題 6.2.1 R2の有界可測集合Eにおいて関数f (x, y)が積分 可能ならば, Eの任意の可測部分集合E′においてもf (x, y)は積分 可能である. 証明 定理6.2.3の系において, E′の境界によるKの分割∆0の 細分∆を考えればよい. // ここで, 2次元リーマン積分の存在定理として次の定理を示す. 定理 6.2.4 R2の可測有界閉集合Eにおいて連続な関数は積分 可能である. 証明 有界閉集合Eにおいて連続な関数は一様連続であるから, 任意のε > 0に対し,分割∆をδ = δ(∆)が十分小なるようにとれ ば, vi = Mi− mi < εとできる. ゆえに, V∆= ni=1 viµ(Ei) < εµ(E). (6.2.24) εは任意であるから,系6.2.1により結論を得る.// 命題6.2.2 R2の可測有界閉集合Eにおいて有界可測関数f (x, y) の不連続点の集合Bの測度が0ならば, f (x, y)Eにおいて積分 可能である. 注意 6.2.2 定理2.2.5の後の注意2.2.2と同じことが言える.

(14)

6.3

2

次元リーマン積分の基本性質

本節において, 2次元リーマン積分の基本性質について考察する. 定理 6.3.1 集合ER2の可測集合であるとし, 関数f (x, y)g(x, y)Eにおいて積分可能であるとする.このとき, 次の (1)∼(6)が成り立つ: (1) α, βが定数ならば, αf (x, y) + βg(x, y)Eにおいて積分 可能で,次の等式が成り立つ: ∫ ∫ E {αf(x, y) + βg(x, y)}dxdy = α ∫ ∫ E f (x, y)dxdy + β ∫ ∫ E g(x, y)dxdy. (6.3.1) (2) E = E1+ E2がEの直和分割ならば,次の等式が成り立つ: ∫ ∫ E f (x, y)dxdy = ∫ ∫ E1 f (x, y)dxdy+ ∫ ∫ E2 f (x, y)dxdy. (6.3.2) (3) f (x, y)≥ 0ならば,不等式 ∫ ∫ E f (x, y)dxdy≥ 0 (6.3.3) が成り立つ. さらに, f (x, y)が内点(x0, y0)∈ Eにおいて連続で, f (x0, y0) > 0ならば,次の不等式が成り立つ: ∫ ∫ E f (x, y)dxdy > 0. (6.3.4)

(15)

(3) f (x, y)≥ g(x, y)ならば,不等式 ∫ ∫ E f (x, y)dxdy≥ ∫ ∫ E g(x, y)dxdy (6.3.5) が成り立つ. さらに, f (x, y)g(x, y)Eの内点(x0, y0)において連続 で, f (x0, y0) > g(x0, y0)ならば,次の不等式が成り立つ: ∫ ∫ E f (x, y)dxdy > ∫ ∫ E g(x, y)dxdy. (6.3.6) (4) |f(x, y)|Eにおいて積分可能で,不等式 ∫ ∫ E f (x, y)dxdy ≤ ∫ ∫ E |f(x, y)|dxdy (6.3.7) が成り立つ. (5) f (x, y)g(x, y)Eにおいて積分可能である. (6) Eにおいて,|g(x, y)| ≥ k > 0となる定数kが存在するなら ば, f (x, y) g(x, y)E において積分可能である. 定理 6.3.2 (積分の第一平均値の定理) 集合ER2 の可測有 界閉集合であるとし,関数f (x, y)Eにおいて有界かつ積分可能 であるとし, f (x, y)Eにおける上限と下限をそれぞれM, mと する.このとき,等式 ∫ ∫ E f (x, y)dxdy = αµ(E) (6.3.8) を満たす実数αが存在する. ただし, m≤ α ≤ M であるとする. 特に, f (x, y)が有界閉領域Eにおいて連続ならば, α = f (x0, y0) となる点(x0, y0)がEにおいて存在する.

(16)

証明 定理6.3.1(3)によって, mµ(E) = ∫ ∫ E mdxdy≤ ∫ ∫ E f (x, y)dxdy ∫ ∫ E M dxdy = M µ(E). (6.3.9) ゆえに,式(6.3.8)を得る. 後半は連続関数に対する中間値の定理によって明らか.// 定理6.3.2を拡張して次の形の平均値の定理が成り立つ. 定理6.3.3ER2の可測閉領域とし, Eにおいて,関数f (x, y) は連続で,関数φ(x, y)は有界かつ積分可能で,弱い意味で一定の符 号を有するならば,ある点(ξ, η)∈ Eに対し,等式 ∫ ∫ E f (x, y)φ(x, y)dxdy = f (ξ, η) ∫ ∫ E φ(x, y)dxdy (6.3.10) が成り立つ. 上の定理の証明において必要な一つの結果を補題として次に述 べる. 補題6.3.1 集合ER2の可測有界閉領域であるとするする. こ のとき,関数f (x, y)Eにおいて有界かつ積分可能ならば, f (x, y) の連続点がEにおいて少なくとも一つ,したがって稠密に存在する. 証明は1変数の場合と同様である. 定理6.3.4 集合ER2の有界可測集合であるとし, K = [a, b]× [c, d]Eを含む有界閉区間であるとする. 関数f (x, y)Eにお いて有界かつ積分可能であるとし, f∗(x, y) =    f (x, y), ((x, y)∈ E), 0, ((x, y)∈ K\E) (6.3.11)

(17)

とおく. いま, χE(x, y)Eの定義関数であるとし,形式的に f∗(x, y) = f (x, y)χE(x, y) と表す. このとき,次の等式が成り立つ: ∫ ∫ E f (x, y)dxdy =b ad c f (x, y)χE(x, y)dxdy. (6.3.12)

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