海外実習報告
0601236515 京都大学医学部医学科6回生 赤埴 未宝
期間:9/5/2016 – 10/2/2016 実習病院:UCSD Medical Center 診療科:hepatology (liver center)
1. きっかけ 僕はもともと移植外科、特に肝臓移植に興味がありました。肝臓移植は、日米でも制 度の違い、件数の違い、献体か生体かの違い、など多いに比較できる部分があり、それ を学生の内に目の当たりにできることは、自分の将来のキャリアにおいても非常に有意 義なものになる、と考え、UCSD の肝臓内科に応募させていただきました。 2. 書類準備 去年が UCSD 受け入れの初年度であったため、去年の先輩は色々苦労されたみたい です。ただ、今回は、先輩に定期的に連絡していつ何をすべきか、などを丁寧に教えて いただいたため、特に苦労はなかったです。やることといえば、はやめに京大医学部教 務の留学担当の方と話をしつつ、UCSD のホームページに書いてある書類を締め切り までに揃えて国際便で提出するだけです。 必要書類は以下の8つです。 ①application form
②list of clinical experiences ③evaluation letter
④health record
⑤proof of personal health and accident insurance ⑥proof of medical malpractice
⑦Dean’s letter
ワクチン接種が一番律速段階になると思うので、はやめに動き出すとよいでしょう。 3. 持ち物 携帯は現地でprepaid 式のものを購入しました。普段のポリクリの時の荷物で基本問 題はありません。聴診器はよく使うので、常に携帯しておくべきでしょう。 4. 実習前に勉強したこと 基本的に病名や薬剤名、処置などの病棟で使う医学英語は、USMLE Step 1・2CS を 勉強していればそこまで問題になることはないと思います。もちろん、何のことかわか らないこともあるので、その時その時に調べたり質問したりして理解していくとよいで しょう。 略語に関しては初めは苦労するかもしれませんが、使う略語もそこまで多くないので、 滞在中に慣れていくものと考えます。 留学1ヶ月前ほどに先方の河野先生にアメリカの肝臓のガイドラインを送っていた だき、勉強しました。ただし、実際に先に読んだところで、すぐに覚えて A/P をたて られるほど賢くもなかったので、自分の担当症例の A/P を考えるたびに、また、他の 先生の症例などのカルテをみながら、A/P のたて方を実際に掴んでいく、という感じで した。 5. 実習について 1,2 週目は外来でした。基本的に、1週目は主にシャドウイングして問診、身体所見、 カルテ記載の流れを理解しました。また、一週間の中に、肝臓移植カンファ、教育カン ファ、病理カンファ、画像カンファ、など様々なカンファレンスがあり、勉強になりま した。 2 週 目 か ら 、 本 格 的 に 予 診 を と っ て 、 カ ル テ 記 載 を し た 後 に 、attending に presentation して、A/P のチェックを受けて、最後に直したカルテのチェックを受ける、 という流れを繰り返しました。カルテ記載に関しては、しっかりしたものでなければ useless なものになってしまう、と何度も注意され、厳しくチェックしていただきまし た。予診に関しては、follow up の場合もあれば、新患の時もありました。
3、4週目は病棟業務でした。3週目はDr.Kono が attending で、他に fellow が二 人、そして med student というチーム構成でした。構成は各週ごとに変わっていきま した。担当患者は初めは一人でしたが、徐々に少しずつ増えていきました。基本的には、 朝の回診前に一人で患者のもとに行き、interview, 所見をとってカルテ記載します。 そして回診のときに presentation して、当日の plan を議論して、という流れでした。 肝臓内科という性質上、看護師だけではなく、transplant team と合同で回診すること もありました。Post –transplant の患者を担当した時、15人くらいのメンバーの前で
の発表などもあって、緊張したこともありました。上手くできた時は、fellow に褒めて らったりして嬉しかったです。特に UCSD はカルテ記載に厳しく、私の患者を担当し ている fellow にほぼ必ず書いたカルテをチェックしてもらっていました。少しずつ成 長して最終週までには A/P まで含めてある程度しっかりしたものを書くことができた ように思います。 4 週目は Dr.Mendler が attending でした。3週目と同じ流れで、2週連続で病棟だ ったので、患者の状況などもよく理解することができました。 病院に行くときに見た朝焼けで す。夕日ではありません。 6. 休日 河野先生はよく私のことを気にかけてくださり、日本人女性によるガレッジセール チャリティやBBQ に参加させていただいたり、先生のご家族と San Diego の観光に連 れていただいたりしました。
また、resident の先生と仲良くなり、5人ほどで、世界最大級の San Diego Zoo や、 サーフィンに連れて行ってもらったりしました。
ある週末には、ナースプラクティショナー向けの学会があり、UCSD の肝臓内科の 先生方も講演されるということで、私も参加し、大変勉強になりました。
肝臓の学会にて 最終日に先生のご家族と 先生のご家族とみた最終日のsunset beach 7. 最後に 肝臓が好きだったこともあり、非常に勉強になった実習でした。ただ何より単純な医 学知識だけではなく、ここで臨床をするのにどれほどの英語力が必要なのかを痛感でき
たことは自分にとって大いにプラスになりました。 こちらの医学生3回生でもpresentation を立派にして、意見をやり取りしているの をみて、一戦力として扱われていることを痛感しました。もちろん、日本の医学教育の スタイルが違うものなので、presentation が初めは下手であることは仕方なく、当然の ことで、落ち込むことではないですが、一歩外に出れば、自分の意見を堂々と発言する 練習を毎日積んでいる医学生がいるという事実は、将来の学会発表などを考えた時に少 しでも危機感を感じさせてくれるのではないでしょうか。 Dr.Kono は日本の肝臓領域は優れているのに、それを表現する力が乏しいから、世界 に上手く発信できていないことを嘆いておられました。もちろん、私は日本が大好きで 日本の医療に貢献したく思っています。でもそうであるからこそ、自らの素晴らしさを 正確にアピールする力が、米国のstandard にも対応できる力が必要ではないのだろう か、と感じました。表現力という壁のために世界にアピールできないことは無念でしか ありません。 また、私は、ここで4 週間実習する中で、多国籍軍な世界に少し魅力を覚えました。 多国籍なのが当たり前で、やる気のある人達がチャンスを得ていく世界。この中で、私 達が英語で物事を説明しようと思った場合、第二言語である以上、論理一貫して説明せ ざるを得なく、日本語で話すときのように、なあなあでごまかして話すことはできない ことがほとんどでしょう。これは自分にとってはなかなか新鮮で面白い体験でした。 同時に、日本で優れた医療が施されていることは事実です。ただし、アメリカに、や る気のある人が集まり、莫大なお金が投資され、色々なmix がおきて、新しいものが うまれることには何の疑念も浮かびませんでした。孤立してしまわないように、常に世 界に目を向ける姿勢も大事であると感じました。 この実習では想像していた以上に多くのことを得ることができました。来年以降 UCSD に行かれる方で何か質問があれば私に連絡してください。 ([email protected])来年以降、東京の虎の門病院で勤務予定ですが、今 回得たことを最大限活かして勤務する所存です。ここに至るまでにお世話になった、医 学教育推進センターの方々、教務の方々、受け入れてくださった河野先生に最大限の感 謝を示して筆を置かせていただきたく思います。