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microRNA-33を遺伝的に欠失させると、複数の抗炎症メカニズムを介して炎症と腹部大動脈瘤形成が緩和される

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Academic year: 2021

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Title

Genetic Ablation of MicroRNA-33 Attenuates Inflammation

and Abdominal Aortic Aneurysm Formation via Several

Anti-inflammatory Pathways( Abstract_要旨 )

Author(s)

Nakao, Tetsushi

Citation

Kyoto University (京都大学)

Issue Date

2018-01-23

URL

https://doi.org/10.14989/doctor.k20801

Right

許諾条件により本文は2018-10-01に公開

Type

Thesis or Dissertation

Textversion

ETD

(2)

京都大学

博士( 医 学 )

氏 名

中 尾 哲 史

論文題目

Genetic Ablation of MicroRNA-33 Attenuates Inflammation and Abdominal Aortic Aneurysm Formation via Several Anti -inflammatory Pathways (microRNA-33 を遺伝的に欠失させると、複数の抗炎症メカニズムを介して炎症 と腹部大動脈瘤形成が緩和される) (論文内容の要旨) 背景:大動脈瘤は無症状のまま径が拡大し、一旦破裂すると 8〜9 割死亡するという 重大な疾患である。大動脈瘤治療薬の標的として、血管組織を破壊して脆弱性を惹起 するプロテアーゼやそのシグナル伝達に関わる分子と考えられていたが、これまで臨 床試験で有効性を示せた薬剤はない。大動脈瘤に関与するプロテアーゼには非常に多 種あり、特定の分子の阻害では不十分であったことがその理由であると考えられる。 そこで、より上流である血管炎症の抑制が重要な可能性がある。 microRNA(miR)-33 は様々な標的遺伝子を転写後調節により抑制し、脂質代謝や炎症 を悪化させる。また、miR を制御する核酸医薬技術が臨床応用されつつあるため、今 後の創薬の対象となりうる可能性がある。そこで、miR-33 を抑制すると大動脈瘤の形 成を抑制できる、と仮説を立てて検証した。 方法:まず、ヒト大動脈瘤壁における miR-33 の発現量を測定した。次に、マウス大 動脈瘤モデルとして、①炎症の惹起を主体とする塩化カルシウム塗布モデル、②脂質 プロファイルの悪化を伴う ApoE ノックアウトマウスに高コレステロール食とアンギ オテンシンⅡを負荷するモデルを用い、miR-33 ノックアウト(KO)マウスにおける 大動脈瘤形成について検討した。また、大動脈瘤に関与する主な細胞種としてマクロ ファージ(Mφ)および血管平滑筋細胞(VSMC)について、また、抗炎症効果を有し miR-33 との関連が濃厚な HDL-C について、それぞれin vitroで miR-33 が炎症に与える影響 とそのメカニズムを検討した。Mφは腹腔内にチオグリコレートを投与して採取した。 VSMC はマウス大動脈から酵素処理を用いて単離した。また、血清からポリエチレング リコールを用いて HDL-C を含む分画を回収した。最後に骨髄移植実験を行い、骨髄由 来の細胞およびその他の細胞腫の miR-33 が大動脈瘤形成に与える影響を評価した。 結果:ヒト大動脈壁では、周辺部より中心部で miR-33a-5p が上昇していた。in vivo においては、いずれのモデルにおいても、KO マウスでは野生型と比較して大動脈瘤が 形成されにくかった。また、KO マウスの大動脈瘤壁では、炎症の誘導に重要な Mφ(CD68 陽性細胞)の数が減少し、Mφ遊走を惹起する主なケモカインである MCP-1 の発現が 低下していた。MMP9 は大動脈瘤壁では主に Mφから分泌され、大動脈瘤進行に寄与す る代表的なプロテアーゼであるが、KO マウスでは CD68・MMP9 二重陽性領域が減少し ていた。

in vitroにおいては、KO マウス由来の腹腔内 Mφにおいて gelatin zymography に より評価した MMP9 の活性が低下し、qPCR で評価した M1 マーカー遺伝子の発現が低下、 M2 マーカー遺伝子の発現が上昇していた。この差は JNK 阻害薬で消失したことから、 JNK の活性低下によるものであることが示唆された。KO マウス由来 VSMC においては、 MCP-1 の発現が低下しており、この差は p38 MAPK 阻害薬で消失したことから、p38 MAPK の活性低下によることが示唆された。また、KO マウス由来の HDL-C は、野生型由来に 比べて、Mφおよび VSMC において、それぞれ MMP9、MCP-1 の発現をより低下させた。 最後に、骨髄移植実験では、ドナーおよびレシピエントのいずれで miR-33 が欠損 しても、大動脈瘤の形成が抑制された。 結論: miR-33 の抑制により、複数の抗炎症メカニズムを介して大動脈瘤が抑制され た。miR-33 は、大動脈瘤の新規創薬標的として有用な可能性がある。 (論文審査の結果の要旨) 脂質 代 謝お よ び動 脈硬 化の 進 展に 重 要な microRNA であ る miR-33 の 大動 脈 瘤形 成 お よ び 破 裂 に お け る 役 割 を 検 討 し た 。 ま ず 、 病 態 へ の 関 与 を 調 べ る 目 的 で 、 大 動 脈 瘤患 者 の miR-33a-5p の 発現 量 を測 定 した とこ ろ、周 辺領 域 より 中 心 領域 で 発現 量 が 高か っ た。

次に 、miR-33 欠 損( KO)マ ウス を 用い て検 討 した と ころ 、Angiotensin II お よ び 塩 化 カ ル シ ウ ム 負 荷 に よ り 誘 発 さ れ る 大 動 脈 瘤 の 形 成 お よ び 破 裂 が 野 生 型 に 比 較 し て抑 制 され た。KO マウ スの 大 動脈 瘤 壁中 では 、野 生型 より マ クロ フ ァー ジ は浸 潤 が 少な く matrix metalloproteinase 9(MMP9)、Monocyte Chemotactic Protein-1(MCP-1) の 発 現 が 野 生 型 よ り 少 な か っ た 。 次 に 、 骨 髄 移 植 実 験 を 行 い 、 骨 髄 由 来 細 胞 及 び 骨 髄由 来 以外 の 細胞 の、 いず れ で miR-33 が 欠 損 して も 大動 脈 瘤形 成が 抑制 さ れた 。 これ ら の原 因 を探 る目 的で 細 胞実 験 を行 なっ たと こ ろ、miR-33KO マ クロ フ ァー ジ では MMP9 の 発現 が 減 少し て いた 。 また 、 miR-33KO 血 管平 滑 筋細 胞 の MCP-1 の発 現 が減 少 して い た。 これ ら の結 果 より 、miR-33 が血 管 壁に お ける 炎症 と 大動 脈 瘤形 成 、破裂 に 関わ っ てい る こと を 示し た。 以上 の 研究 は 、血 管炎 症に お ける microRNA-33 の役 割 の解 明 に貢 献 し、 大 動脈 瘤 の病 態 解明 に 寄与 する とこ ろ が多 い 。 したがって、本論文は博士(医学)の学位論文として価値あるものと認める。 な お 、 本 学 位 授 与 申 請 者 は 、 平 成 2 9 年 1 2 月 1 1 日 実 施 の 論 文 内 容 と そ れ に 関連 し た試 問 を受 け、 合格 と 認め ら れた もの であ る 。

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