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4.0 はじめに ビーム溶接の特長を説明する - レーザビーム溶接 (LBW) - 電子ビーム溶接 (EBW) 自動車用アルミ材料の溶接事例も合わせて説明する これらの加工技術は両方とも 溶接の他にアルミニウム材料の切断と表面処理の目的にも使用される 電子ビーム溶接は深くて狭い溶込みを高速で作ること

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(1)

EAA アルミニウム自動車マニュアル – 接合編

4. ビーム溶接

目次:

4. ビーム溶接

4.0

はじめに

4.1

レーザビーム溶接

4.1.1 レーザ光源 4.1.1.1 CO2レーザ 4.1.1.2 固体レーザ 4.1.2 レーザビーム溶接プロセス 4.1.2.1 熱伝導溶接 4.1.2.2 深溶込溶接 4.1.2.3 ツインレーザ溶接 4.1.2.4 リモートレーザ溶接 4.1.2.5 チューブ、プロファイル及びテーラードブランクのレーザ溶接 4.1.2.6 レーザデポジット溶接 4.1.3 レーザ溶接欠陥 4.1.4 継手の種類 4.1.5 溶加ワイヤ 4.1.6 レーザ溶接用シールドガス 4.1.7 アルミ合金レーザ溶接の特性

4.2

電子ビーム溶接

4.2.1 真空電子ビーム溶接 4.2.2 非真空電子ビーム溶接 4.2.3 アルミ合金の電子ビーム溶接

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4.0 はじめに

ビーム溶接の特長を説明する。 - レーザビーム溶接(LBW) - 電子ビーム溶接(EBW) 自動車用アルミ材料の溶接事例も合わせて説明する。これらの加工技術は両方とも、溶接の他にアル ミニウム材料の切断と表面処理の目的にも使用される。 電子ビーム溶接は深くて狭い溶込みを高速で作ることができる。電子ビーム溶接は通常、真空チャン バ内で行うが、非真空下での電子ビーム溶接も可能である。電子ビーム溶接は総熱入力量が少なく、 アルミ合金の中では最高レベルの溶接強度が得られる。溶接部と母材金属間の温度勾配が大きいため に限定的に冶金学的変化が起こる。溶加材が使用されない場合は、突合せ溶接部に粒間割れが生じる ことは殆どない。 レーザ溶接の場合も同様な溶接特性が得られるが、溶込み深さと溶接速度は共に電子ビーム溶接の場 合と較べてかなり小さい。アルミ合金は反射率が大きいため、レーザビームとアルミニウムを効率よ く結合するためには比較的高いパワー密度が必要となる。しかし高出力のレーザシステムが商品化さ れたことにより、レーザビーム溶接は現在ではアルミニウムの一番汎用性の高い融接技術となってい る。溶接速度は供給するパワーの大きさに比例するが、この他に溶接材料の種類と厚さにも依存する。 レーザビーム溶接は多様なアプリケーションに使用されるのに対して、電子ビーム溶接の用途は限ら れている。工業用途に限った場合、電子ビーム溶接に対してレーザビーム溶接が優っている点は次の 通りである。 − レーザビームは空気中を伝播することができる(真空である必要はない)。 − 標準ロボットを使用して簡単に自動化することができる。 − 作業の安全面の要求レベルは高くない(X 線は発生しない)。 − レーザビームは光ファイバケーブル内を伝送することができ、光りファイバケーブル間で、 そして、ワークステーション間で共有することができる。

4.1 レーザビーム溶接

レーザの工業利用が始まったのは 1970 年代の初頭からである。それ以降、レーザは様々な分野で の利用が拡大している。過去 20 年間、レーザ溶接は自動車産業に不可欠の組立技術にまで成長した。 大きな加工速度、小さな熱入力、小さな加工歪、そして、アプリケーションのフレキシビリティの故 に、車体製造現場等においては理想的な組立技術であることが証明済である。レーザ溶接は非常に高 品質の溶接を提供でき、さらに、生産性が高く、自動化も容易である。 レーザ溶接は熱源としてレーザビームを使用する融接技術である。レーザビームは局部的に高いパワ ー密度(1 MW/cm2以上)を発生するので狭くて深い溶込みの溶接を高速で行うことができる。レ ーザ溶接は熱入力を局部に限定して熱影響部を小さくすることができ、そのため、大きな加熱/冷却 速度を得ることができる。 アルミ材料のレーザ溶接を鋼材料の場合と同じ条件で初めてテストした時、アルミ材料の高い初期表 面反射率と熱伝導率、そして、低沸点成分の蒸発により溶込不足、気泡、ポロシティ、溶接金属割れ (一部の合金の場合)等、様々な欠陥が生じた。これらの問題は高出力レーザの出現、ビーム集束系 の改良、及び、ビームの高品質化により、現在、ほぼ解決し、高いパワー密度による安定したキーホ ール溶接を行うことが可能となっている。 レーザ溶接システムはレーザ発生器、ビームデリバリーパス(開放形又は光ファイバ)、集束光学系 (通常はロボット化)、シールドガス供給装置、溶加材供給装置(オプション)、冷却装置及び溶接 品ハンドリング装置からなる。通常、光ファイバケーブルはコア直径が 25~1000μm のライトパ イプ沿いに光を搬送する。溶接品に照射するレーザビームのサイズ(パワー密度)は光ファイバケー ブルと集束光学系によって決まる。

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レーザ溶接セル (出典: Trumpf) 自動車分野では、鍛造及び鋳造のアルミ合金部品の厚さはそのほとんどが 4mm 未満である。レーザ ビーム溶接は各種プロセスのそれらのアルミ合金部品の溶接に頻繁に使用されている。しかし、アル ミ材料のレーザビーム溶接はポロシティ、合金元素の喪失、熱処理合金の凝固割れ等、未だ幾つかの 課題が残っている。 基本的にレーザ溶接は他の融接方法と変わらず、従って、アプリケーションに応じて溶接条件を調整 しなければならない点も、他の溶接方法の場合と同様である。レーザ溶接は工業用固体レーザを使用 した場合、アルミ部品の厚さ(自動車の場合は 0.5~4mm)によらず適用可能で、溶接速度は 2~ 10m/min 以上とすることが可能である。レーザ溶接はさらに、溶込み深さが 10mm 以上の用途に も適用可能である。レーザのスポットサイズは 0.2mm~10mm 以上の範囲で調整可能であるが、 溶接に使用するのは小さなサイズのみである。溶込み深さは供給パワーに比例する他、焦点位置によ って変わる。溶込み深さは焦点位置が溶接部品の表面から僅かに下がった位置にある時に最大となる。 アルミ合金は反射率が大きいので、特に熱伝導溶接の場合等、光学コンポーネントとレーザの損傷防 止のため、レーザビームを僅かに傾けて当てる必要がある。但し、レーザの種類によっては後方反射 に対する強度が他より優っているものがある。 アルミ車体のハイパワーダイオードレーザビーム溶接 (出典:アウディ) レーザビーム溶接の光学系は人体への高い安全レベルが要求される。現在の工業用固体レーザは人間 の目に見えないレーザ光を発する。クラス 4(非閉囲)のアプリケーションの場合、レーザビームの 被ばく防止のため、安全管理や個人防護具の着用等、特別な安全対策が必要である。最大の危険はレ ーザビーム又はその散乱光が目に入ることである。そこで、オペレータは目の保護具を着用するか、 又は、特殊なスクリーンを使用して目を保護しなければならない。

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4.1.1 レーザ光源 溶接に使用するレーザは主に、固体レーザと気体レーザの 2 種類である。レーザはさらに波長や光 質等により細分類することができる。分類上、一番重要なパラメータは発光モードである。 − 連続波モード レーザ媒質が連続で励起され、連続波のビームが発生する。 − パルスモード 利得媒質がバースト的に励起され、短いレーザパルスが発生する。レーザパルスのパワー、 期間及び周波数は材料加工の重要なパラメータである。 レーザ溶接装置のオペレーションモードは溶接継手の種類に応じて変えなければならない。レーザビ ーム溶接の種類は下記を参考に選ぶこと。 マルチキロワット連続波 CO2レーザが 1970 年代初頭に開発され、その時に金属材料のシーム溶接 が実用化された。1980 年代に入ると大出力の CO2レーザによる炭素鋼の深溶込(キーホール)溶 接が普及した。しかし、アルミ部品の溶接については CO2 レーザはあまり普及しなかった。これは アルミ材料の場合、比較的長波長(10.6μm)で高い反射率を示すことが原因であった。より安定 した波長 (1.06 μm)のフラッシュランプ励起 Nd:YAG レーザ(イットリウムをネオジム(Nd) でドープしたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)レーザ)は当時、パワー不足と極 端な低効率のために実用化に至らなかった。1990 年代半ばに入ると、キロワットレベルのパワー と高効率を誇るダイオード励起 Nd:YAG レーザが開発された。これにより、アルミニウムのレーザ 溶接が脚光を浴びるようになった。これは、波長が 1.06 μm の時のアルミ合金中へのレーザ光エ ネルギーの吸収量が波長が 10.6 μm の時と較べて 3 倍となるためであった。しかし、それでもダ イオード励起 Nd:YAG レーザはビームの質が悪く、そして、高価だったために普及しなかった。 2000 年初頭に入ると、大出力のイッテルビウム光ファイバレーザ(ディスク&ダイオードレーザ) が出現し、高品質なビームと、そして、メインテナンスコストが下がったこともあって、アルミ部品 のレーザ溶接が注目され始めた。 レーザ名 媒質 波長[μm] パワー ビーム 品質 発振効率 CO2 気体(CO2) 10.6 中~高 高~中 低(10%) ファイバ 固体(Yb でドープされた クオーツファイバ) 1.075 高 高 高(25 – 35 %) YAG 固体(Nd:YAG) 1.064 中 中 低~中(5 – 25 %) ディスク 固体(Yb:YAG) 1.030 高 高 高(25 – 35 %) ダイオード 固体 0.9 – 1.07 高 低 最高(45%) 汎用工業用レーザの種類と特性 アルミニウムの溶接の場合に高出力のレーザパワーが必要となるが、これにはアルミ材料の反射率が 高いことと熱伝導率が高いこと以外にも理由がある。それは吸収スペクトルである。一般に、金属は 紫外線(UV)を吸収しやすく、赤外線(IR)を吸収しにくい。鉄と鋼は他の金属と違い、比較的 IR を吸収しやすい。そのため、鉄や鋼は固体レーザや CO2レーザによる溶接性がよい。一方、アルミ ニウムの場合は、波長が短いほど吸収されるレーザのエネルギーが大きくなる。そのため、アルミニ ウムの溶接の場合は、一般に固体レーザの方が効率的である(逆に溶込深さが 6~8mm 以上の場合 は CO2レーザの方が有利)。

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固体レーザはその種類(製品)によって波長が幾分違っているが、製品の特性を左右するパラメータ としてはレーザの放射強度の差、レーザビームの質の差、及び、後方反射に対する耐性の方が重要で ある。ビームの質とは真のガウスエネルギー分布を有するビームを発生する能力のことであり、これ によってビームの集束をいかにタイトに行えるかが決まる。ビームの質はレーザの種類、光学系内の コンポーネント、そして、これらのコンポーネントの汚染の程度に依存する。ビームの質は切削加工 の場合に最高レベルの質が要求されるが、溶接の場合はそれほど高い質は要求されない。溶加材を使 用した溶接の場合は、ビームの質はさらに悪くてもよい。固体レーザ溶接法は個々の用途に応じて費 用対効果が一番高い方法を慎重に検討しなければならない。 4.1.1.1 CO2レーザ CO2レーザの場合、通常、ヘリウム、窒素及び CO2の 3 種類の混合ガスを使用してレーザビームを 発生させる。高圧/低電流の電源を使用してレーザ媒質を励起する。レーザコンポーネントの汚染を 防止し、そして、レーザの要求性能を確保するためには、レーザガスの純度が極めて重要である。レ ーザの性能に特に悪い影響を及ぼすのは水分と炭化水素である。 レーザビームの波長は 10.6μm であり、遠赤外スペクトルのレンジであり、従って、目には見えな い。CO2レーザは連続波とパルス波のいずれのモードでも使用可能である。クオーツガラス製の光 ファイバケーブルは本波長のレーザビームを吸収して破壊する危険がある。そこで、この場合は光フ ァイバケーブルに代えて剛性の高いレンズとミラーからなる系を使用しなければならない。ミラー系 は慎重なアラインメントとメインテナンスが必要である。 CO2レーザはその信頼性と耐久性の高さの故に、材料加工技術の一つとしてその地位を確立してい る。但し、大量のガスが必要であり(シールド CO2レーザは除く)、大電力を要し、そして、冷却 を要する高温ガスを大量に発生することから、電力変換効率は 10~12%と低い。 CO2レーザヘッド(左)とミラー光学系(右): 集光ミラーはレーザ光を 90°曲げる機能も果たしている (出典: Trumpf) 集光ミラー レーザビーム 屈曲ミラー ノズル クロスジェット

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CO2レーザは大出力の高度に集束した直径約 10~20mm のビームを供給する。赤外光は殆どの金 属が十分に吸収しないが、一方、大出力(>20kW)と、そして、小さな集束ビームを組み合せたレ ーザはキーホール溶接に必要なパワー密度を発生させることができる。 4.1.1.2 固体レーザ 固体レーザの場合、光源ランプ又は複数のダイオードレーザからの光が結晶媒質上に合焦(励起)されて、そし て、近赤外レーザの小さな、高度に集束したビームを発生する。使用する波長は 1μm オーダの波長であり、 ガスレーザの場合と較べるとかなり短い波長である。 固体レーザのパワースペクトルは 20W~10kW 以上の範囲である。レーザの種類により、固体レーザは連続波 モード又はパルスモードで作動する。後者の場合、パルス時間はミリ秒、ピコ秒又はフェムト秒のオーダであり、 そのため、様々なアプリケーションに対応可能である。レーザビームを溶接部に供給する方法としては光ファイ バが一般的である。 Nd:YAG 固体レーザはフラッシュランプ又はダイオードからの光で励起される棒状材料からなる。構造が簡単 で、そして、消耗材のコストが安いダイオード光源レーザと較べて、フラッシュランプを使用するレーザは効率 が悪い(電気的効率は僅かに 2-3%であり、光源ランプは 2~3 ヶ月に一度交換しなければならない)。一方、 ダイオード励起レーザは初期購入価格が高い。ダイオード励起レーザは比較的ビームの質が悪く、そして、パワ ーレベルが平均的なことから、その用途は殆どが熱伝導溶接である。 ファイバレーザはコンセプト的にはダイオード励起固体レーザに似ているが、異なっているのはイッテルビウム でドープしたグラスファイバを使用してレーザ光を発生させる点である。発生したレーザは別のグラスファイバ 系によって使用場所に送られる。ビームの質は高く、そのため、ビームは小さな点に集束させることができ、そ のため、キーホール溶接に必要なパワー密度を得ることも可能である。ファイバレーザは狭い溶接シームを作る ことができ、さらに、溶接速度も速いことから、特に薄板の溶接を中心にロボット溶接に採用されるケースが増 えている。 ダイオードレーザは 1µm 波長レンジのものが最近になって開発されている。高出力ダイオードをベースとして、 ダイオードレーザは一つのブロックの中に多数の電子コンポーネントを並べることにより高出力を得ることが できる。ダイオードを出力ファイバに直接結合することにより、電力変換効率を上げることができ、同時にフレ キシビリティも増している。ダイオードレーザのビーム品質は比較的低いが、それでも金属溶接の分野では普及 が進んでいる。ダイオードレーザ溶接は正確で、そして、目で見た範囲で完全な溶接シームを作ることができ、 さらに、エネルギー効率が高く、そして、非常に高効率である。ダイオードレーザは薄板金属の熱伝導溶接に一 番よく使用されている。ダイオードレーザシステムはコンパクトな故にロボットアームに直接載せることが可能 な他、比較的高速で動かすことも可能である。さらに、冷却状態を維持することも容易である。 ディスクレーザはダイオード励起による小形の Yb:YAG(イッテルビウム: イットリウム・アルミニウム・ガー ネット)ディスクを使用する。発生したレーザはグラスファイバ系を経由して使用場所に送られる。ディスクレ ーザは固体レーザとダイオードレーザの両方の長所を組み合せたものである。ディスクレーザの場合、レーザ媒 質としてディスクを使用することによって高品質のビームが得られ、さらに、励起ソースとしてダイオードレー ザを使用して励起エネルギーを得る。ディスクレーザは大パワーを連続で出力でき、これにより最高のプロセス 性能が得られる。高品質のビームが得られるので遠距離のレーザ溶接が可能であり、さらに、狭い焦点光学系の アプリケーションにも対応可能である。 ディスクレーザ(左)とダイオードレーザ(右)の光学系の設計 (出典: Trumpf)

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固体レーザは使用場所とは無関係に設置場所を選ぶことができる。可撓ファイバケーブルを使用して レーザビームを使用場所まで導き、そして、セットアップが簡単な光学系を使用してレーザビームを 溶接品に集束する。レーザビームは大してパワーを失わずに 100m 以上も離れた場所に到達するこ ができる。但し、光ファイバケーブルの敷設長さはファイバのコスト、敷設ルート、ハンドリングロ ジスティクス、予備品等の面からの制約を受ける。一つのレーザから複数の加工ステーションにレー ザ光を送ることも可能である。 固体レーザ用溶接光学系 (出典: Trumpf) 4.1.2 レーザビーム溶接プロセス レーザ溶接法は大きく熱伝導溶接と深溶込(キーホール)溶接に分類できる。熱伝導溶接は溶接物へ のエネルギー入力が小さいのが特徴で、そのため、溶解するのは表面付近が中心である。エネルギー 強度が大きく増加すると、材料が沸点を超えて加熱し、金属ベーパが閉じ込められたキーホールが形 成される。レーザ光を溶接材料上で動かすと、深溶込レーザ溶接が形成される。キーホール溶接(溶 込深さが大きく、熱影響部が比較的小さい溶接)はメリットが大きく、そのために工業分野で大きく 普及した。但し、材料の蒸発が少ない熱伝導溶接は、プロセスの高い安定性と、そして、気泡とスパ ッタのない高品質な溶接が得られ易いことから、こちらも普及した。 連続レーザ光とパルスレーザ光のいずれも溶接に対応可能である。短くて強力なパルスによるレーザ 溶接はスポット溶接に最適であるが、シーム溶接にも適用可能である。この“低温”溶接プロセスは 特に熱入力量を制限して変形を低く抑えなければならないコンポーネントに適している。大出力レー ザ光源を使用したレーザ溶接は高融点材料や熱伝導率の高い材料の溶接に適している。 レーザビーム溶接設備は 2 グループに分類することができる。レーザヘッドを溶接シーム沿いに動 かす時は通常、ロボットを使用して動かす。最近では、リモートレーザビーム溶接も頻繁に使用され るようになってきた。この場合、レーザスキャナを使用して、シームに沿ったレーザビームの移動制 御が行われ、従って、ロボットアームをシームに追従させる制御は不要となる。リモートレーザビー ム溶接の利点は高速と高精度な溶接プロセスである。 4.1.2.1 熱伝導溶接 熱伝導溶接は低パワー密度によるレーザ溶接の代表的なモードである。熱伝導溶接では、接合する材 料はレーザビームを表面から吸収することで溶解し、そして、その溶解した材料が両方の材料を接合 する。溶込深さは 1~2mm 未満の範囲であり、溶融金属の蒸発はない。最大溶接深さは材料の熱伝 コリメーション レンズ 半透明ミラー 集光レンズ/ 対物レンズ 保護メガネ モニタリング 機能へ クロス ジェット

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導率によって制限される。熱を素早く放散できない場合は、処理温度が蒸発温度以上にまで上がり、 溶込深さが急激に大きくなり、深溶込溶接の様相を呈するようになる。 熱伝導溶接は通常、薄板の溶接に使用する(突合せ継手、ラップ継手)。熱伝導溶接はさらに密封溶 接やハーメチックシールにも適用可能である。さらに、露出(可視)コーナ部の溶接にも適している。 レーザ溶接は滑らかな丸い溶接ビードを作ることができるので、溶接後の研磨や仕上げ作業は不要で ある。溶接の幅は必ず溶込深さよりも大きくなる。熱影響部は比較的広く、そして、溶融部と母材金 属間の境界部分は滑らかで、そして、なだらかである。 熱伝導溶接は比較的大きなパワーレンジに対応でき、そのため、最適なパラメータ/溶接結果が得ら れるようにパワーを調整することが可能である。熱伝導溶接はパワーの制御と、そして、溶込みを浅 く保つことによって、熱影響に弱い薄板の溶接に最適な条件で使用することができる。さらに、熱伝 導溶接はキーホール溶接が適さない揮発性合金(マグネシウムや亜鉛等)を含むアルミニウム合金の 溶接にも適している。 熱伝導溶接(概要) 4.1.2.2 深溶込溶接 深溶込溶接は金属の種類によっては 106W/cm2以上の極めて大きなパワー密度を必要とする。金属 温度が沸点以上に上昇すると金属ベーパが発生し、その圧力によってビーム周囲に溝ができる。一方、 周囲の材料は溶け続ける。その結果、深くて狭く、そして、ベーパが閉じ込められた細孔が溶融金属 中に形成される。細孔の大きさはレーザビームの焦点の直径の約 1.5 倍である。水圧、溶融部の表 面張力及び細孔内の蒸気圧は平衡に達し、その結果、細孔(キーホール)は崩壊を免れる。レーザビ ームはキーホールの壁で数回反射する。溶融した金属はレーザビームの大部分を吸収し、これによっ て深くて狭い溶接が得られる。キーホール溶接の場合、アルミニウム溶接時の反射の問題は克服でき る。レーザビームが継手に沿って進んでいくと、キーホールもそれと一緒に材料内を進んでいく。溶 融金属はキーホールの周辺を流れて、そして、その中で凝固する。 深溶込溶接は高効率と高速溶接が特徴である。そして深くて狭い、内部構造が一様な溶接が作られる。 溶込深さは溶接幅の 10 倍以下である。熱影響部は比較的狭く、そして、歪は最小である。深溶込溶 接は深い溶接が求められる場合や、複数枚の材料を重ねて溶接する場合等に用いられる(突合せ、コ ーナ、T、ラップ、フランジ溶接等)。 但し、深溶込溶接にも問題はある(不安定なビーム、キーホールの振れ、キーホールの閉塞(ポロシ ティ)等)。対照的に、レーザ熱伝導溶接は概して安定であり、アルミニウムやアルミニウム合金の 溶接に好んで用いられる。 レーザビーム 溶融金属 溶接方向 凝固部 母材

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深溶込溶接時の蒸気を閉じ込めた細孔(“キーホール”) 4.1.2.3 ツインレーザ溶接 溶接の質とプロセスの安定性を増すための一つの方法は 1(2 焦点法)又は 2(“Twistlas”法)の レーザからの 2 焦点レーザビームを使用する方法である。これにより位置精度とギャップ精度の高 い溶接が得られるので、特に、突合せ溶接に有効である。さらにキーホールの安定性も増して、揮発 成分がキーホールを通じて外部に放出される可能性が大きくなる。 2 焦点レーザ溶接と Twistlas レーザ溶接 (出典: Trumpf) 4.1.2.4 リモートレーザ溶接 リモートレーザ溶接はミラーをスキャンしてビーム位置を正確に制御し、そして、溶接間の切り離し を迅速に行う。リモートレーザ溶接は生産性が高くてフレキシブルな生産ラインの構築を可能にし、 量産ラインでの高速で正確な、そして、従来の溶接方法よりも費用対効果の高いレーザビーム溶接を 可能にする。リモートレーザ溶接の利点はコンポーネントへのアクセスが片側からで済むことと、そ して、抵抗スポット溶接と比較してプロセス速度が最大で 15 倍も早いことである。 レーザビーム 溶接方向 金属蒸気 母材 凝固部 溶融金属 キーホール Twistlas 2 焦点 光ファイバ ケーブル コリメーション レンズ ウェッジ 焦点レンズ

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スキャナ溶接 (出典: Trumpf) スキャナ溶接はレーザヘッド又は溶接品を動かしてビームのポジショニングを行う方式の溶接方法 である。ビームのガイドは移動式のミラーを使用して行う[1]。ビームはミラーの角度を制御するこ とによって動かす[4]。レンズシステム[2]を追加することにより、焦点を Z 方向にも動かすことが できる。これにより、三次元形状のコンポーネントを溶接する場合、レーザヘッドと溶接品のいずれ も動かさずに完璧に溶接することが可能である。ビームソースには大出力、高品質ビームのディスク レーザが使用される。レーザユニットから出たレーザ光は 1 以上の可撓光ファイバレーザケーブル を使用してプロセスステーションに導かれる。 実施可能な溶接の種類はプロセスフィールド[3]によって制限される。溶接速度と溶接物上での焦点 直径は光学系のイメージングプロパティ、ビームの入射角度、ビームの品質、及び、材料によって異 なる。 溶接物の軸を動かす場合と較べて、スキャナ溶接は低コストで高速溶接を実現することができる。但 し、スキャナ溶接の難点はプロセスフィールドの大きさである。溶接の場合、レーザビームの焦点ス ポットサイズはエネルギー密度の点から 500μm 前後でなければならない。従来、レーザビームの スポットサイズは反射光学系又は光透過光学系を使用して制御され、そして、焦点距離は 50~ 400mm の範囲に制限されてきた。そのため、比較的フラットで小形の物しか溶接できなかった。 そこで、リモートレーザ溶接を普及させるためには焦点距離を長くして作業範囲を拡大することが条 件となった。焦点スポットサイズは生のビームの直径と質によって決まることから、高品質で大直径 の生のレーザビームが必要であった。そのため、長年、リモートレーザ溶接はビーム搬送システムに 反射光学系を使用するハイパワーCO2レーザ以外には適用できなかった。かくして、スキャンヘッ ドが固定でなければならなかったため、普及が進まなかったのである。 現在、固体(ダイオード、ディスク、ファイバ)レーザシステムの採用によりビームの品質が向上し、 さらに、光ファイバによる搬送システムとビーム拡大テレスコープの採用により焦点スポットサイズ 直径を大きくできるようになり、さらに、焦点距離は 1.5~2.25m まで伸ばすことができるように

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なっている。焦点レンズの焦点距離が長いため、ミラーの小さな偏差によっても面内に長いパスが生 じ、そのため、溶接場所が変わっても超高速で焦点スポットのポジショニングを行うことができるよ うになっている。超高速での並進移動により、ビームのオフ時間はほぼなくなり、レーザユニットの 稼働率は 100%に近い値となっている。 スキャナのミラーは溶接品の X 軸と Y 軸の方向に焦点スポットを動かす。焦点調整は偏向ユニット を通過させた後にレンズシステムを使用して行うか、又は、リモート溶接の場合のようにスキャナヘ ッドの手前の可動式焦点レンズを使用して行うかのいずれかである。最新の高い動力性能を誇るドラ イブユニットを使用した場合は、光学系は固定したまま、可動レンズが高い精度で、そして、高速で Z 軸上を動き、スポット位置に移動する。これにより、レーザは三次元方向に高速で移動できるよう になって面間移動の問題が解消され、さらに、これまでアクセスできなかった場所の溶接スポットに ビームを当てることができるようになった。 レーザビーム位置を精密制御できる 2 ミラー式スキャナ 2 つのミラーを使用して、レーザビームをプロセスフィールド又は空間内のいずれの場所にも置くこ とができる他、任意の線上を動かすことができる。本装置は焦点の上下方向の位置を制御するために 線形駆動軸に取り付けた焦点光学系、及び、焦点を水平面内で動かすための円錐角度が±20°の 2 つの偏向ミラーからなる。これにより、スポット溶接とシーム溶接は溶接品と焦点光学系を固定した まま行うことができる。リモート溶接のプログラミングのフレキシビリティにより最適な溶接のパス とシーケンスを実現でき、作業時間を短縮でき、そして、熱による溶接品の歪を抑えることができる アプリケーションを実現することができる。 さらに、プログラマブル焦点光学系は工業用ロボットを使用して溶接品上を誘導することができる。 ロボットを使用することによって作業空間が大幅に増え、真の意味での三次元溶接が可能になる。ダ イムラーが開発した“RobScan”プロセスは高速/高性能なスキャナ光学系とロボットのフレキ シビリティを組み合わせたものである。ビームソースとしてディスクレーザを使用しているので、レ ーザビームは可撓光ケーブルを使用してレーザヘッドに導くことができる。溶接シーム間のポジショ ニング時間はスキャナミラーとロボット運動の同時スーパーインポーズにより短縮可能である。“オ ンザフライ溶接”とも呼ばれるシステムである。 光ファイバケーブル テレスコープ(干渉フィ ルタ付) スキャナミラー CNN カメラ 平面光学系 (安全ガラス付)

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スキャンヘッドをロボットで制御する溶接システム (出典: Trumpf) ロボットアームの先端に取り付けたスキャンヘッドは 2 個の電子制御ミラーを使用して、正確に焦 点が合わされたレーザビームを溶接スポット間で高速移動する。但し、システムは各溶接スポットで 停止することはなく、数センチ間隔のスポット間を連続で移動していく。具体的には、鋼製ロボット アームはコンポーネント沿いに連続で移動していき、この間、レーザビームはスキャンヘッドによっ てコンポーネント沿いに誘導されていく。 ドアパネルのリモート溶接:直線ステッチとホッチキス溶接 (出典: ダイムラー) リモートレーザ溶接の技術開発が現在、急ピッチで進んでいる。この他、フォルクスワーゲンの “laser stir(レーザ撹拌)”溶接も開発が進んでいる。リモートレーザ溶接の場合、一般には、ギ ャップの幅は 0.2mm が上限とされている。スキャンヘッド内部に配置した 2 つのミラーによりレ ーザビームの焦点調整を高速且つ高精度で行うことができる。これにより、円形のギャップに沿う方 向にビームを誘導することができる。これによって生じる“ゆらぎ効果”によって溶融池がレーザで かき混ぜられ、その結果、溶融金属の量が増えて 0.5mm までの開先を溶接することができる。 さらに、リモートレーザ溶接は製造寸法誤差を減らすことができる。通常の溶接法と較べて溶接品へ の熱入力が小さく機械的応力も小さい。従って、形状の変形も小さくて済む。ポジショニングとクラ ンプの装置の数が少ないことも溶接品の寸法安定性の向上に寄与している。一方、高品質を期すため に溶加材を加える、あるいは、シールドガスを使用しなければならない場合は、作業の複雑さが増す。

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焦点距離が大きくなることで、レーザビームの動きとワイヤ供給メカニズムの間のコーディネートが 不要になる(互いの干渉を考えないで済む)。一つのソリューションとして溶加材を含有した特殊な 多層アルミシート材料(セクション 4.1.5 参照)が開発されている。 まとめとして、リモートレーザ溶接はマルチキロワットレーザビーム、工業用ロボット及びレーザス キャンシステムからなる高速の金属ジョイニング技術であり、不稼働時間ミニマムで、且つ、高速で 溶接品全体の全てのレーザ溶接を一体的に行う技術である。スキャナを使用することで溶接と溶接の 間の待ち時間を 1 秒未満に短縮でき、そのため一定時間内の溶接回数を増やすことができる。ロボ ットを使用することで、溶接品の位置(向き、姿勢)を変える作業を最小限に減らしながら、スキャ ナを溶接品周囲の必要な場所に移動することができる。今後、開発がさらに進むことでリモートレー ザ溶接はさらに重要な役割を果たすようになる。 4.1.2.5 チューブ、プロファイル及びテーラードブランクのレーザ溶接 従来の融接技術と較べて、チューブやプロファイルの縦方向レーザ溶接は溶接速度が早くなっており、 そのメリットは大きい。さらに、質的改善もみられる。レーザビーム溶接の場合、熱入力が少ないの で溶接シームが狭く、熱影響部が小さく、そして、合金元素の損失が少なくて済む。溶接シームのミ クロ組織は細粒の組織であり、そのため、熱処理を行わずに大きな変形を伴う加工を施すことが可能 である。 チューブの全周レーザ溶接 (出典: Trumpf) レーザ溶接はアルミニウムの高品質テーラードブランクの溶接(製造)にも適している。過去におい て各種レーザのラボテストが行われ、その結果、特に結果が良かったのは 2 つのダイオードレーザ を使用して行う両面同時溶接であった。レーザを 2 つ使用することで作業速度が増すだけでなく、 欠陥(ポロシティ、高温割れ等)を予防し、さらに、最適な形状の溶接シームが得られる。

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アルミニウムのテーラードブランクのダイオードレーザ溶接 (出典: ThyssenKrupp) 4.1.2.6 レーザデポジット溶接 レーザクラッディング又はダイレクトメタルデポジションとも呼ばれるレーザデポジット溶接では、 溶加材(ワイヤ又は粉末等)と、そして、母材の表面がレーザ照射によって溶ける。このようにして 冶金学的に結合した表層が作られる。 レーザデポジット溶接は(半)完成品の表面欠陥の補修溶接に使用できる他、摩耗や腐食からの保護 層を形成する目的や、さらには、網目形状部品の製造(溶接ビードによる成形)にも使用することが できる。レーザビーム溶接を使用して溶加材と母材金属間の精密で高品質な接合を得ることができる。 低熱入力、高速加熱/冷却、及び、レーザビームエネルギーの精密制御により、溶接品の熱負荷を最 小限に抑えることができる。レーザデポジット溶接は用途に応じて手動と自動のいずれでも使用でき る。 a) 手動レーザデポジット溶接 手動レーザデポジット溶接では、溶接工が溶加材を手で動かして溶接箇所に導く。溶加材として主に 使用されるのは細いワイヤである。レーザビームによってワイヤが溶け、そして、それが母材表面の 溶けた部分とつながって強い接合が得られる。溶接部はアルゴンガスを使用して大気から遮断する。 溶接接合部は最終的に研削、平削り等により元の形状に加工する。 溶加ワイヤを使用した手動レーザデポジット溶接 (出典: Trumpf) 保護メガネ レーザビーム 溶接方向 シールドガス 溶着金属 溶融部 溶加ワイヤ 母材

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b) 自動レーザデポジット溶接 溶加材は機械的に溶接箇所に導かれる。溶加材はワイヤとすることもできるが、通常は金属粉末が使 用される。金属粉末は気泡や割れを生じることなく、層をなすように母材金属に溶接される。冷却後、 溶着した金属層は機械加工することが可能である。レーザにより母材表面に溶融池が作られる。金属 粉はノズルで溶融池に供給され、これを繰返して溶着金属層が次々と形成されていく。 粉末溶加材を使用した自動レーザデポジット溶接 (出典: Trumpf) レーザクラッディングの場合、金属粉は同軸ノズル又は側部ノズルから供給する。母材を動かすこと によって、レーザから外れた部分の溶融池が凝固する。これを繰返して固体金属を形成していく。こ れが一番ポピュラーな方法であるが、母材を固定してレーザ/ノズルを動かすシステムもある。使用 する粉末は通常、金属の粉末であるが、セラミック粒子が使用されることもある。 同じ原理のレーザによる表面溶解によって、アルミニウム材料の表面を改質することができる。この 場合は、レーザはそれほど深くまで到達せず、母材表面の構造又は表層の物性を変化させるだけであ る。基本原理はレーザによる表面の溶解とアロイングである。表面の再溶解により表層のミクロ組織 を改質したり、あるいは、表層に張力を与えることができる。紛末を加えることにより、表層の成分 を変更して、例えば、硬度を上げることができる(鉄粉を加える等)。例えば、固いセラミックの微 粒子を表面に散布することによって摩耗強度を大幅に改善することができる。これらの技術を使用し て様々なミクロ組織を作ることができる。例えば、比較的薄いレーザ溶解層を実質的にレーザ影響が ゼロの母材金属(大きなヒートシンク)と接触させて凝固させることができる場合は、極端に大きな 冷却速度を適用してミクロ組織を作ることができる。 4.1.3 レーザ溶接欠陥 通常のアーク溶接の場合の凝固速度 (102~103 ℃/sec)と比較して、レーザ溶接の凝固速度は (105~106 ℃/sec)と早い。そのため、溶接金属は殆ど、非常に細粒のミクロ組織を呈する。 高い流動性の溶融アルミニウムの粘度が下がるとアンダービードの脱落や垂れが起こるので、適切な 溶接ポジションに関するプロセス設計においてはそのための特別な注意が必要である。溶融不良、ク レータ割れ、材料放出、溶接スパッタ、形状欠陥(ずれ、アンダカット等)等の一般的な融接欠陥と は別に、アルミニウムのレーザ溶接の場合、以下に示す 4 種類の内部欠陥を生じる危険がある。こ れらの欠陥が発生した場合は、詳しい調査が必要となる。 − ポロシティ − 割れ − 介在物 − 合金元素の喪失 金属粉 溶接方向 レーザビーム 溶着金属 溶融部 溶融池 母材 シールドガス

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アルミ合金に生じるガスポロシティは、その殆どが水素によるものである。水素ポロシティは通常の アーク溶接で起こった場合と較べて事態が深刻である。これは、冷却がより高速で起こるため、閉じ 込められた水素の拡散が妨げられるという好ましくない影響がでるためである。水素ポロシティの過 度の生成/成長を防止する対策としては溶接速度を下げる方法が有効である。水素ポロシティを抑え るもう一つの方法はパワー密度を大きくして凝固時間を伸ばし、水素が放出されやすくすることであ る。但し、ベストの方法はスタート材料の選定、材料の貯蔵要件、表面処理、プロセス条件等を最適 に実施/管理することによって水素ポロシティが生成しないようにすることである。 しかし、表面処理、レーザパラメータ、シールドガス及び溶加材をいかに正しく選定/実施したとこ ろで、アルミ合金はキーホールレーザ溶接後にポロシティを生じやすい材料である。一般に、気泡は 不規則、又は、チューブ形状を呈し、キーホールパス内に生じることが多いのであるが、水素の気泡 は概して一様に分布する。溶接過程によるポロシティが一番発生しやすい場所は不安定なキーホール が形成されている領域である。そのため、キーホールは可能な限り安定な状態に維持しなければなら ない。そのためには溶接速度を上げ、そして、溶加ワイヤを増やせばよい。 アルミ合金の多くは凝固温度レンジが広く、温度膨張係数が大きく、そして、凝固収縮が大きいため に溶接割れを起こしやすい。冷却時に溶接部の収縮を抑制すると継手部に引張応力が生じ、それが割 れの原因となる。高温割れには凝固時に溶融部に発生するもの(凝固割れ)と、局部的な液化により 隣接部に発生するもの(液化割れ)の 2 種類がある。高温割れは溶加ワイヤを追加することで防止 できる場合が多い。これは溶接部の金属成分を割れやすいものから改質するということである。 レーザ溶接の外部欠陥と内部欠陥 レーザ溶接アルミ合金に含まれる介在物の主なものは酸化物である。キーホールレーザ溶接では、不 安定なキーホールがシールドガスを閉じ込めたり、あるいは、シールドが不完全なために空気までも 閉じ込めることがある。そのため、酸化物の粒子がキーホールのベーパ内に形成されることがある。 さらに、表面の酸化皮膜の粒子が溶接池に閉じ込められることもある。 さらに、レーザ溶接用の大きなパワー密度によりアルミニウムよりも蒸気圧が高い低融点の合金元素 (マグネシウムや亜鉛等)だけが蒸発することがある。このような一部の合金元素だけが蒸発する現 象はキーホールレーザ溶接と熱伝導レーザ溶接のいずれでも起こりうる。合金元素の喪失は、溶融池 の溶融金属の温度を左右する要因であるレーザビームのパワー密度を制御することによって抑える ことができる。合金元素の喪失を減らすもう一つの方法は溶加材を使用することである。溶加材を使 用することで喪失のあった合金元素を補充することができ、さらに、凝固割れを防ぐことができる。 蒸発した元素がキーホールから放出される時に、それに引っ張られる形で溶融金属も一緒に放出され ることがあり、この場合は、その部分に空洞とスパッタが残る。対策としては焦点スポットサイズを 大きくするか、又は、溶接速度を小さくして、損傷を起こさずにベーパを排出できるようにすること である。 突沸、クレータ 割れ 溶接スパッタ 溶融不良 アンダカット ポロシティ ミスアラインメント

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4.1.4 継手の種類 レーザ溶接の特徴は溶接速度が早いこと、溶込深さが大きいこと、そして、熱入力が小さいことであ る。そのため、レーザ溶接はオーバラップジョイントの溶接に適している。長い直線溶接には溶接速 度が早いことが有利に働く。一方、リモートレーザ溶接の場合、高速で精密なビームの移動制御によ り溶接スポットを希望の位置に正確に移動することができる。溶接の要求強度と材料の最大許容熱入 力量によって、連続溶接、スポット溶接、ショートライン(ステッチ)溶接及び小円溶接のいずれも 可能である。レーザ溶接のもう一つの利点は高いアクセス性である。レーザ溶接の場合、アクセスは 片側だけでよく、そして、狭い場所での溶接が可能である。 下記の 2 点は特に重要なメリットである。 - 小さなフランジ幅(コンポーネントの寸法、重量及びコストの減少) - 連続溶接による強度と剛性のアップ、及び、荷重と応力に合わせた溶接形状の最適化 レーザ溶接継手は MIG(GMA)溶接の場合と較べて溶接部を大幅に小さく、そして、薄くすること もできる。但し、従来の方法に対してコストと生産性の両面からメリットを最大とするためには、コ ンポーネントの設計仕様をレーザジョイニング法に適した仕様とする、又は、(既存品の場合は)そ のように見直す必要がある。 レーザ溶接は抵抗スポット溶接の場合(左)と較べてフランジが小さく、又は、フランジをなくす ことができ、さらに、設計改良(重量減又は強度アップ)が可能である(右) 継手形状と溶接の品質を確保するためには、多数の加工条件とフィットアップ条件を満足させなけれ ばならない。レーザ溶接が適しているシートメタル溶接継手の例を以下に示す。

レーザ溶接

抵抗スポット

溶接

レーザ

溶接

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レーザ溶接が適しているシートメタル溶接継手 (出典: Trumpf) 特定の用途においては、継手の構造(種類)は作用する応力の種類(引張、圧縮又はせん断)に応じ て選ぶこと。殆どの継手はせん断荷重に弱く、従って、できるだけせん断荷重を受けない構造としな ければならない。 但し、プロセスに固有な注意対策も必要である。例えば、突合せ継手は大きな溶接強度、高い溶接効 率(高速又は省電力)、及び、少ない材料消費がメリットであるが、一方で、高い位置決め精度が必 要なことと、開先加工とフィットアップの条件が厳しいことが難点である。溶融面積が小さいために 熱影響部も小さくなり、さらに、溶接歪も小さくなる。一方、オーバラップ継手は部材のポジショニ ングの裕度(許容誤差)は大きいのであるが、強度、溶接効率及び材料消費量の面では不利である。 ラップ継手のラップ溶接 突合せ継手のシーム溶接 荷重の種類 使用可能な継手の種類 圧縮 せん断 引張

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継手の種類 溶融部 位置公差 突合せ継手の シーム溶接 + - ラップ継手の ラップ溶接 - + T 継手のシーム溶接 + - T 継手のラップ溶接 - + フランジのシーム溶接 + - フランジのラップ溶接 - + レーザ溶接継手の特性 レーザ溶接で最も重要な要件は接合面のフィットアップの正確さである。接合面どうしが離れすぎて いると、溶接材料が不足して開先が埋まらない、あるいは、アンダカットが生じる等の原因となる。 レーザ溶接の場合の継手寸法公差 (出典: Trumpf) 但し、ギャップの公差は個別に検討して決めること。フィットアップの精度を上げるためには、例え ば、エッジの精密せん断加工や、あるいは、特殊なクランプ器具(溶接部付近のローラ等)を使用す る等の方法がある。さらに、レーザビームを制御することで溶接精度を上げることができる。例えば、 スポットサイズの拡大(レーザ光源のパワーが十分にある場合)、ビームスプリッティング(ツイン スポット)、レーザビームのウィービング/ウォブリング等が有効である。さらに、溶加ワイヤを使 用する、あるいは、他に方法がなければレーザ溶接と MIG(GMA)溶接のハイブリッド溶接法を適 用することも有効である。 もう一つの重要なポイントはポジショニングの公差である。レーザビーム下の継手位置はレーザスポ ットが継手から外れないように十分に正確でなければならない。この位置ずれの公差はビーム焦点の 直径によって決まる値であるが、この他に継手の設計仕様も少なからず影響する。そこでシームトラ ッキング装置が使用される場合が多い。 突合せ継手: ギャップ: 薄い方の部材の厚さの 3-10% オフセット: 薄い方の部材の厚さの 5-12% オーバラップ継手: ギャップ: 上側の部材の厚さの 5-10%

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最適な固定具/クランプ装置を使用することが成功の鍵である。加工済の部品(成形/加工済の管材 や押出成形部品)や網目形状部品(鋳造品)を溶接(ジョイニング)する場合等、ポジショニングや インターロックの装置等と組合せることにより、レーザ溶接システムの可能性がさらに広がる。 4.1.5 溶加ワイヤ レーザビーム溶接は溶加材を使用せずに行うのが望ましい。但し、多くの場合、冶金学的理由により、あ るいは、ギャップを大きくとらなければならない場合等、溶加材を使用しなければならない。レーザ溶接 の特性により、溶加ワイヤを使用した場合にはアラインメントや生産性(特にリモートレーザ溶接の場合) について新たな制約が生じる。レーザスポットを小さくして、そして、溶接ギャップを狭くするためには 溶加ワイヤの供給動作に高い精度が要求される。実際のシステムでは、ビームと溶加ワイヤのポジショニ ングのメカニズムと、そして、光学式シームトラッキング装置の間に複雑な調整が必要となる。 アルミニウム合金のレーザ溶接の場合、特にパルスレーザ溶接の場合には凝固割れが問題となりやすい。 熱処理不能なアルミ合金の殆どは溶加材なしで連続波モードによる溶接が可能であるが、一方、熱処理可 能な合金の溶接の場合は溶加材が必要である。溶接割れを予防し、そして、溶接継手部の機械的特性を確 保するためには、溶加材の選定が極めて重要である(セクション 2.4 参照)。一般に、アーク溶接に適し た溶加金属合金はレーザビーム溶接にも適している。Si 含有溶加ワイヤ(EN AW-4043 や 4047 等) は自動車用の EN AW-6xxx 合金や EN AW-5xxx 合金のレーザビーム溶接に使用されている。構造用 EN AW-5xxx 自動車用合金(Mg < 3.5 %)は溶加材なしで使用可能でるが、EN AW-5356 や EN AW-4043 の溶加材と一緒に使用することも可能である。その他の時効硬化アルミニウム合金用の溶加 材についてはセクション 2.4.1)を参照のこと。 実用的には、ワイヤ供給装置はレーザヘッドと一緒にロボットアームに取り付けられる。ある実例によれ ば、ワイヤ予熱装置(ホットワイヤ装置)を使用することによってプロセスがより安定し(高品質とスパ ッタのない溶接)、そして、溶接速度を上げることができる。レーザホットワイヤ法では、レーザビーム は母材金属のみを加熱する。この場合は予熱されたワイヤが供給されて、そして、母材金属に溶接される。 一方、コールドワイヤモードでは、レーザビームは母材金属と溶加材の両方を加熱し、そして、それらを 一緒に溶接する。 ホットワイヤ(左)とコールドワイヤ(右)によるレーザ溶接 (出典: Fronius) ロボット 制御 ロボット 制御

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別の方法として、溶加金属はレーザ金属デポジット法を使用して粉末の状態で供給することができる。 これは溶加材の金属粉を直接溶融池に投入する方法である。

リモートレーザ溶接では、上記の溶加材の供給方法は両方とも適用できない。これは、レーザヘッド と溶接位置の距離が離れすぎているためである。この問題はリモートレーザ溶接用自動車車体シート 合金 Anticorodal®-200 RW (Novelis Fusion™ alloy 8840)の開発によって解決された。本自

動車車体材料は自動車の外板ボディに使用する Novelis Fusion™プロセスベースの多層 AlMgSi シー ト材料(特許)である。本多層合金には溶加材なしのリモートレーザ溶接を適用することができるが、 EN AW- 6xxx 合金の場合は、それができない。さらに、本多層合金の場合、4mm ギャップの溶接 が可能である。溶接継手の種類については、様々な継手(オーバラップ、突合せ、エッジ、エッジオ ーバラップ、T 継手等)に適用できることが試験済である。本多層合金は一般的(モノリシック)な アルミニウムシート及び押出成形合金にも溶接可能である。但し、この場合は多層合金 Ac-200RW (8840)を上にして、クラッド合金が溶接継手に流れ込みやすくしなければならない。

溶加材なしでレーザ溶接できる Multi-layer Fusion™alloy 8840 (出典:ノベリス) 4.1.6 レーザ溶接用シールドガス レーザ溶接におけるシールドガスの主な役割は溶融池を酸化及びその他の環境汚染から保護するこ とである。ルートギャップ付の完全溶込溶接の場合、ルート部もアルゴンガスでシールドすることに より垂れ、アンダーフィル及びシャープアングルを予防しなければならない。さらに、シールドガス は CO2レーザの場合に(レーザパワーを吸収する)プラズマの発生を防止する他、プロセスの安定 化と、さらには、レーザ光学系をヒュームやスパッタから保護する役割も果たす。 シールドガス供給ノズル

同軸/側方

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ガスを溶接部に供給する場合、同軸ノズル、環状ノズル又は側方(サイドジェット)ノズルを使用す ることができる。シールドガスを正しく供給するためには層流の状態を保持して流さなければならな い。シールドガスの流速が早すぎると乱流が生じ、ガスに空気が巻き込まれる原因となる。 シールドガスの種類によって溶接の品質と生産性に大きな影響がでる。アルミ部品のレーザ溶接の場 合、シールドガスにはアルゴン、ヘリウム、又は、アルゴンとヘリウムの混合ガス(アルゴン 50% 以下)を使用するのがよい。なお、特定の用途の場合、性能がよいのは混合ガスである。 元々は純粋ヘリウムガスが使用されていた。これはヘリウムガスを使用した場合に最適の保護性能が 得られることと、実施が容易だったからである。現在では、レーザ溶接とアーク溶接で使用するシー ルドガスの種類に違いがなくなってきている(セクション 2.5 参照)。 4.1.7 アルミ合金レーザ溶接の特性 現在、鍛造アルミ合金のレーザ溶接については、技術的問題はほぼ皆無である。特に自動車産業で一 般に使用されている EN AW-5xxx 合金と EN AW-6xxx シリーズ合金のレーザ溶接は全く問題ない。 但し、EN AW-6xxx 合金の場合は高温割れの防止のため、一般には溶加材(又はその他の対策)が 必要である。 レーザ溶接アルミ合金の機械的物性は継手の種類(形状)、フェース及びルート部のビード形状、溶 融部の金属成分(溶加材の有無)、及び、熱の入力量に依存する。溶接部では、合金系の種類によっ ては、加工硬化と熱処理によって得られた母材金属部の強度が失われることがある。これは Mg と Zn を含む合金の一部の元素が蒸発することによるもので、溶接金属の強度を低下させる原因となる。 溶接断面直交方向の引張強度についは、溶接欠陥(アンダカットやポロシティ等)による断面積の減 少により引張強度が低下する場合もある。 EN AW-5xxx シリーズ合金のレーザ溶接の場合、溶接断面直交方向の引張強度は母材金属の強度の 80-100%を維持でき、 破断伸び値の低下は僅かである。溶接断面直交方向の引張強度の低下は熱 影響に起因する焼きなまし効果によるものである。EN AW-5xxx 合金は通常、溶加材なしで溶接す るが、継手の強度と延性を改善したい場合は溶加材(EN AW-5356 等)を使用することができる。 熱処理可能な EN AW-6xxx (AlMgSi)合金の場合、溶接断面直交方向の引張強度及び破断伸び値 がさらに大きく低下する。これは硬化析出物の局部的溶解と歪硬化の喪失によるものである。熱影響 部も溶接中のオーバエイジングによって軟化する。熱処理可能な合金については、溶接後の時効処理 により引張強度をさらに増すことができる。 アルミニウムの溶接の場合、特別な表面処理は不要であるが、ポロシティが異常に増えないようにす るための対策は必要である。ポロシティの主な原因は溶接金属の凝固中に発生する水素ガスである。 水素ガスは潤滑剤中の水分、大気中の水分、母材金属の表面の酸化物、又は、母材金属中の水素が発 生源である。どんな合金を溶接する場合でも、上質な溶接が得られるためには、表面のクリーニング と、そして、最適な不活性ガスによる溶融池のシールドが重要である。 アルミニウムの鋳造品をレーザ溶接する場合、水素の存在が問題になることがある。MIG(GMA) アーク溶接はダイカスト鋳造材料の溶接に適しているが、一方、より高速で行うレーザ溶接の場合は 比較的大きな気泡が不規則に分布するというトラブル(継手品質異常)が生じることがある。高品質 な真空ダイカスト法により製造した鋳造材料のみに、レーザ溶接法は適用可能である。

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アルミニウムダイカスト鋳造材料のレーザ溶接部のガスポロシティ (出典: Alusuisse)

4.2 電子ビーム溶接

電子ビーム溶接は高エネルギーの電子をタイトに集束したビームを使用して行うジョイニング技術 である。タイトに集束した電子のビームを 105W/mm2以上のパワー密度で溶接物に当てる。これ により溶融金属が蒸発し、そして、電子ビーム溶接の特徴である“溶接細孔”又は“キーホール”が 形成される。電子ビーム溶接は最小のパワーにより、熱影響部が最小の、そして、非常に狭くて深い 溶込みの溶接を作ることができる。溶接品は全体に、概して低温で安定した状態が保たれる。 高エネルギー密度のレーザ溶接と電子ビーム溶接は供に深くて狭い溶接ビードを作ることができる。 但し、これらの 2 つの溶接法には大きな違いがある。レーザは約 0.1 eV のエネルギーの光子を使 用して加熱するのに対して、電子ビームは 105eV レベルのエネルギーを持つ粒子を使用する。レー ザ光のビームは金属表面の蒸発によって生じるプラズマ中の自由電子と容易に相互作用を起こし、こ れにより、入射したビームの一部が焦点ぼけを起こす。一方、電子ビームの電子はエネルギーが大き いためにプラズマによって大きく偏向されることはない。そのため、レーザ溶接よりも電子ビーム溶 接の方がエネルギーをより効率よく結合することができる。 ビームは電子ビーム発生器によって製造/制御される。電子は約 2500℃ に加熱したタングステン フィラメントの陰極から発生する。陰極と陽極間には 150 kV 以下の電圧が印加され、これにより、 溶接品に向かう電子が加速される。電子ビームは電磁レンズにより高パワー密度でスポットに集束さ れる。電子が溶接品に衝突すると、その運動エネルギーの大部分は熱に変換され、残りの僅かの部分 が X 線となる。 細く集束した電子ビームのエネルギーはアルミニウム材料の深い場所まで到達する。最初のフェーズ では、ビームスポット位置に照射された高エネルギーのビームによって材料が溶ける(A)。その中 央部の材料は蒸発し、そして、溶融金属で囲まれたキーホールに導かれる(B)。ビームは蒸気の溝 を通って溶接品の深い位置まで到達する(C)。ビームが前方に動くと、キーホール前方の金属が溶 け、そして、溶けた金属がキーホールの後方に流れ込んで、そして、凝固して溶融金属を作る(D)。 High-Q-Cast® 通常のダイカスト鋳造材料 強制排気なしで製造した ダイカスト鋳造材料 鋳造材料中の残留ガス成分 (定性的)

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電子ビーム溶接 (出典: Steigerwald Strahltechnik) 溶接品によるエネルギー吸収量は入射角度、材料の種類、及び、表面状態とはほぼ無関係である。そ のため、電子ビーム溶接の電力変換効率は高い(全補助負荷を含め> 50 %)。 コンポーネントの形状により各種の溶接形態があり、連続溶接、不連続溶接及びスポット溶接のいず れも可能である。 真空(左)及び非真空(右)電子ビーム溶接 (出典: Steigerwald Strahltechnik) 照射 距離 [m m ] 照射 距離 [m m ]

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4.2.1 真空電子ビーム溶接 従来より、電子ビーム溶接は真空チャンバ内で行われてきた。ビーム発生器はチャンバに取り付けら れている。通常のビーム発生器を使用する場合、電子ガンの真空は 10-4以上が必要である。工業シ ステムの場合、チャンバの圧力は 10-2mbar~10-4mbar の範囲である。多くの場合、真空での溶 接はメリットが大きいのであるが、大形部品や高い生産性が要求される場合においては、真空チャン バの使用が妨げとなって効率を上げることができない。制約要因としてはポンプのサイクルタイムが ある。ポンプのサイクルタイムはツインチャンバを使用することにより短くすることができる。 電子ビーム溶接は完全溶込と部分溶込のいずれにも対応可能である。電子ビーム溶接は低熱入力によ り高性能な溶接継手を形成することができる。狭い溶融部と熱影響部のおかげで溶接品の歪は最小と なる。深さ-幅比 50:1 と溶接深さ最大 300mm を実現可能である。シングルパスの高速(>>10 m/min)溶接により、大きな溶込を得ることができる。通常は溶加材は不要であるが、必要に応じ て溶加材を使用した溶接も可能である。真空溶接はクリーンで再現性のある溶接を担保できる他、溶 融金属の保護の目的も果たす。機械化(又は自動化)は信頼性と再現性を保証する。 真空電子ビーム溶接は電子ビームの発散を抑えることができる。ビームパワー100kW 以上とスポッ ト直径 0.1~1mm の時のパワー密度は極めて大きい。ビーム方向の制御は電磁偏向又は機械的方法、 又は、その両方の組合せによる。これにより、溶接方向を素早く変更することができ、高速での溶接 と組み合わせて溶接時間の短縮を図ることができる。プログラマブルな偏向装置の周波数調整により ビームを振動させることができ、これによって溶接部とルートギャップ部からのガス抜けを改善する ことができる。ポロシティを最小限に抑えるためには、ガス抜けのため、細孔を長くすることが重要 である。 継手の種類としてはラップ継手と突合せ継手が望ましい。この他、溶込みを改善するための溶融池支 持継手、ポジショニングガイド付継手、及び、その他の特殊形状継手も使用可能である。 4.2.2 非真空電子ビーム溶接 非真空電子ビーム溶接はチャンバがオリフィスシステムに代わっている点を除けば真空電子ビーム 溶接と同じである。電子ビームは小さなオリフィスで仕切られた複数の真空ステージを経由してガン コラムから放出される。この場合、オリフィスシステムとビーム発生器コラムは常時真空のため、真 空を立てるための時間は不要となる。ビーム発生器内部の高い真空(10-4 mbar)の電子ビームはソ フトバキューム(10-2 mbar)とラフバキューム(< 1 mbar)を経由して大気圧(1000mbar) のビームとなる。 非真空電子ビーム溶接と真空電子ビーム溶接のその他の違いとしては、後者の場合、レンズ電流を変 えることによって溶接品までの照射距離を広範囲(~2000mm)に調整できることである。非真空 電子ビーム溶接の場合は、溶接品までの照射距離は固定である。電子ビームは直径が 1mm~2mm のオリフィスシステムの外側のノズルに集束される。この小さなノズルにより、ラフバキュームレン 突合せ継手の電子ビーム溶接 突合せ継手: ポジショニングガイド付継手: 溶融池支持継手: 溶込みを改善できる継手:

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ジおよびビーム発生器に到達する蒸発金属が少量に制限される。加えて、オリフィスはビームと直交 方向のプロセスガスのクロスジェットによりシールされる。これにより、安定した溶接が可能になる。 溶接品までの距離の違いはビーム発生器の位置を動かして調整する。 電子ビームはノズルから出た後、周囲空気中の気体分子と電子の相互作用によって拡散/発散する。 電子ビームのパワー分布により、照射距離 25mm の範囲内でのキーホール溶接が可能である。熱に よるオリフィスの変形を防止するため、最低照射距離(> 5 mm)は守ること。 非真空電子ビーム溶接では、通常、シールドガス(He、Ar)による溶融池の保護が必要である。さ らに、ワーキングガスによりノズルとビーム発生器の汚染を防止すること。ワーキング/シールドガ スとしてはヘリウムガスを使用するのが望ましい。ヘリウムガスは原子の直径が小さいので、電子ビ ームの拡張が最小となる。ガスの量と照射距離はビームパラメータ(ビーム電流と加速電圧)と同様、 重要なパラメータである。これらのパラメータは全て、溶接速度、溶込深さ及び継手品質に影響する。 非真空電子ビーム溶接の場合、深さ-幅比が 5:1 の深溶込溶接が可能である。非真空電子ビーム溶接 は大気圧下での大深度シングルパス溶接が可能であり、真空電子ビーム溶接の場合と同様、低歪/高 品質の溶接を得ることができる。拡散性/高エネルギーの電子ビームによる溶接は溶加材なしでのル ートギャップ溶接が可能であり、そして、照射距離と汚染の影響を受けない。継手の設計仕様、材料 厚さ及び溶接速度によっては、ギャップの大きさは 0.1~1mm まで対応可能である。必要なら溶加 材を使用することができる。但し、この場合は溶接速度を下げなければならない。 非真空電子ビーム溶接の場合の溶接速度と溶込深さの関係 (出典: Steigerwald Strahltechnik) 非真空電子ビーム溶接は、以前は薄板(< 5 mm)専用であった。非真空電子ビーム溶接はフランジ 継手とオーバラップ継手に適している。材料の体積が大きいため、開先精度はあまり要求されず、さ らに、比較的大きなギャップを使用できる。テーラードブランク継手の場合、ギャップの大きさは 0.2~0.3mm まで許容される。 突合せ溶接の場合、溶加材を使用しない場合は、ギャップは 0.1mm 未満でなければならない。 深溶込溶接のレンジ 高速溶接のレンジ 溶接速度[m/min] アルミニウム 鋼 溶接深さ

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非真空電子ビーム溶接に適した継手の種類 (出典: Steigerwald Strahltechnik) 電子ビーム溶接で一番重要なことは X 線からの防護対策である。真空電子ビーム溶接では真空チャ ンバが保護の役割を果たすが、非真空電子ビーム溶接の場合は溶接機が置かれている作業場所を鉛の 壁で遮蔽しなければならない。 4.2.3 アルミ合金の電子ビーム溶接 アルミ合金の電子ビーム溶接はレーザビーム溶接の場合と同じ要領で行うことができる。電子ビーム に固有な問題は特にない。電子ビーム溶接はアルミニウムと鋼等、異種材料間の溶接にも適用可能で ある。エネルギー入力を精密に制御できるので、高耐久性の溶接-はんだ継手を作ることができる(こ の場合、鋼部材は固体のままで、その上でアルミニウム部材が溶解する)。 突合せ溶接 エッジラップ継手 テーラードブランク 二重フランジシーム ラップ継手 ラップ継手

参照

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