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300 る enzyme-linked absorbent assay(elisa) 測定キッ トを新たに作成し 敗血症の診断法としての有用性について報告してきた 7 ~ 9) Ⅰ. 敗血症診断マーカーとしてのプレセプシンの意義 健常者 敗血症患者 および感染を合併しない SIRS 患者のプレセプシ

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新規に保険収載された検査法:

敗血症診断マーカーとしてのプレセプシンの意義

Significance of Presepsin for sepsis diagnostic marker

はじめに

 敗血症は全身性炎症の臨床的および検査的徴候が 伴って起こるが、非感染性炎症の症例も類似した徴 候と症状を示すことがあり、臨床所見のみに基づい て感染を診断することは難しい。敗血症において細 菌を検出することは、明確で特異的であるとはいえ、 容易に得られるわけではなく、時間を要し、また敗 血症の臨床徴候と同時に現れないこともある。した がって、敗血症と臓器機能障害の早期診断を可能と し、早期の特異的治療を行うことが可能となるよう な診断マーカーを同定することが重要である。  炎症反応は生体の一般的な反応で、治癒過程にお いて中心的役割を果たす。液性因子、細胞性因子、 分子的因子からなる炎症反応の目標は細菌感染から の防御や組織破壊の抑制、および宿主の生存である。 体温の変化や低体温、白血球増加、白血球減少、頻 脈、低血圧、換気障害等は組織炎症の臨床徴候でも ある。しかし、それらの徴候は本来非感染性でもみ られ、敗血症に特異的でもなければ感度も高くない。  WHO の報告では、世界中の死亡原因の約 25%が 敗血症によるとしている。敗血症症例の死亡率は、報 告されている症例調査では 21.6 ~ 50.8%と非常に重 篤な病態である。そのためにも敗血症の早期診断は、 特異的治療の早期実施のため重要である。したがって、 生化学的/免疫学的マーカーをモニタリングし、早期 診断をし、適切な治療を迅速に行うことが必要である。  敗血症診断に望まれることは、1. 感度および特 異度が高い、2. 感染と非感染を区別できる、3. 予知 能がある、4. 重症度を反映する、5. 生物学的に筋 が通っている、ことである。 岩手医科大学医学部救急医学・ 岩手県高度救命救急センター

Department of Critical Care Medicine, School of Medicine, Iwate Medical University. Iwate Prefectural Advanced Critical Care and Emergency Center.

えん

どう

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あつ

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とう

まさ

ゆき

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すず

 泰

やすし

Shigeatsu ENDO Gaku TAKAHASHI Masayuki SATO Yasushi SUZUKI

 分子量 55kDa で glycosylphosphatidylinositol

an-chor型の骨髄性糖蛋白である CD14 は、1990 年に

LPS-LBP複合体と結合する重要な細胞表面受容体

として同定された1)。in vitro、in vivo での両研究

において、エンドトキシンに対する免疫反応の調節に おける CD14 の重要な役割が明らかとなっている2) その後、CD14 はグラム陽性ペプチドグリカン、リ ポタイコ酸、リポ蛋白、ミコバクテリアのリポアラ ビノマンナンなど、他のいくつかの保存された表面 細菌リガンドとの反応において、これらと結合して 細胞活性化を仲介することが示された3)。CD14 は “パターン認識受容体”の典型例を示していること が提示された3)。soluble CD14(sCD14)はマイクロ モル濃度でヒトを含む哺乳類の血清中に認められ る。その役割は lipopolusaccharide(LPS)や他の細 菌リガンドと結合し、内皮、上皮細胞など CD14 を 有さない細胞を活性化させることである。  sCD14 はエンドトキシンと LPS-binding protein (LBP)複合体の細胞膜上のレセプターであり、低 濃度エンドトキシンの細胞内シグナル伝達を担うと されています。そして、血漿中にはその可溶分画が 存在し、それが 49kD と 55kD の 2 つの形態に分け られることが Basil らによって報告されている4) われわれは、これまで 55kD の sCD14 が多臓器不 全症で上昇することを報告した5)。一方、13kD 形 態のものの由来は、感染症などの刺激で膜表面上の CD14が切り離されて出てくるものと考えられてい る。産生機序としてライソゾーム酵素であるカテプ シン等が関与している可能性が、酵素阻害剤の実験 から推定されている6)  この sCD14-ST をわれわれは presepsin(PSEP : プレセプシン)と命名した。これを特異的に測定す

(2)

る enzyme-linked absorbent assay(ELISA)測定キッ トを新たに作成し、敗血症の診断法としての有用性 について報告してきた7~ 9)

Ⅰ. 敗血症診断マーカーとしての

プレセプシンの意義

 健常者、敗血症患者、および感染を合併しない SIRS患者のプレセプシンについて検討すると、敗 血症患者のプレセプシン値は健常者と感染症を合併 しない全身性炎症反応症候群(systemic inflamma-tory response syndrome : SIRS)患者のプレセプシ

ン値に対して有意に高値を示した7, 8)。また、プレ セプシン値は、プロカルシトニン値、エンドトキシ ン値などと相関関係がみられ、敗血症の有用な診断 のツールに成りうることが示された7, 8)  プレセプシンの敗血症診断能力は、他の液性因子 と比較して最も優れたものであることも示された。 さらに、患者の病態の推移をもプレセプシン値はよ く反映していた。一方、C-reactive protein(CRP) や interleukin 6(IL -6)は敗血症から離脱しても高 い値で推移することがあり、敗血症の診断マーカー としては不十分のように思われる。  プロカルシトニンは、最近本邦においても敗血症 の診断マーカーとして用いられるようになってきた が9, 10)、敗血症の診断マーカーとしてはプレセプシ ンがプロカルシトニン、CRP、IL-6 より優れている (図 1)10)。プロカルシトニンは感染徴候のない外傷 初期でも、外傷刺激に対する生体反応の重症度を反 映して上昇するため、必ずしも感染症特異的に上昇 するわけではない。  一方、感染を合併しない SIRS 患者のプレセプシン 値は低値であり、侵襲の大きい外傷患者の場合であっ ても感染を合併していなければ高値を示さない。この 点はプロカルシトニン、tumor necrosis factor(TNF)、 IL -6、あるいは interleukin 8(IL-8)などの炎症性サ イトカインなどに比べ疾患特異性が高いといえる。

Ⅱ. 重症度の評価および治療効果の判定

としてのプレセプシン測定の意義

 プレセプシンは敗血症の診断能力として他の液 性因子と比較して最も優れたものである9, 10)。さら に、患者の病態の推移をもプレセプシンはよく反映 している。プレセプシン値は acute physiology and

chronic health evaluation II score(APACHE II ス

コア)および Sequential organ failure assessment

score(SOFA スコア)といずれも有意な相関関係が みられた(図 2)11)。プレセプシンが敗血症という 侵襲に対する生体反応の指標になる可能性を示唆す ることが経時的に観察してもうかがえるものと思わ れる(図 3, 4)12, 13)。CRP、IL -6 は 1 ~ 2 日遅れて 上昇し APACHE II スコアとは若干ずれが生じてい た。プレセプシンが敗血症という侵襲に対する生体 図 1 敗血症時の各種診断マーカーとの比較 プレセプシン ROC area : 0.817 エンドトキシン ROC area : 0.702 IL-6 ROC area : 0.625 プロカルシトニン ROC area : 0.744 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

False positive rate(α)

Sensitivity ( 1-β ) 図 2 プレセプシンはAPACHE IIスコアとSOFAスコアと 強い相関関係が認められる。 0 5 10 15 20 0 1,000 2,000 3,000 4,000 SOFA ス コ ア 0 20 10 30 40 50 0 1,000 2,000 3,000 4,000 APACHE II ス コ ア プレセプシン(pg/ml) プレセプシン(pg/ml)

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反応の指標になる可能性を示唆するものと思われる。  また、プレセプシンを測定することは治療効果の 判定にも有用である(図 5)14)。このことはプレセプ シンを測定することにより敗血症治療の開始、ある いは終了の時期を決定することが可能となるのかも しれない。 図 3 80歳代の男性。大腸穿孔による汎発性腹膜炎患者で ある。敗血症性ショックから多臓器不全症候群に 陥った。経過中のプレセプシン値とAPACHE IIスコ アおよびSOFAスコアはほぼパラレルに推移した。 2,000 1,500 1,000 500 30 20 10 0 CRP( mg/ml ), APACHE II ス コ ア , SOFA ス コ ア プ レ セ プ シ ン( pg/ml ), IL-6 ( pg/ml ) 0 1 2 3 4 5 6 病日 presepsin CRP SOFA score IL-6 APACHE II score 0 40 図 4 80歳代の男性。熱傷治療中に敗血症性ショックを合併 した。APACHE IIスコアは33であった、経過は良好で 炎症反応も速やかに低下した。APACHE IIスコアとプ レセプシン値はほぼパラレルに推移している。 3,000 2,000 1,000 0 30 20 10 15 10 5 0 0 SOFA ス コ ア 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 (−)(−)(−)(−)(+)(+)(+)(+) (−) (−) (−)(−)(+)(+)(+)(+)(+)(+) (+) (+) 15 16 病日 Blood culture skin culture APACHE II score SOFA score 33 PMX-DHP APACHE II ス コ ア presepsin プ レ セ プ シ ン( pg/ml ) 図 5 IVIG施行時にプレセプシン値の低下とAPACHE IIスコアは ほぼ同時に低下している。 p<0.05 p>0.05 p<0.05 p<0.05 p<0.05 APACHE II ス コ ア 0 10 20 30 40 50 1,000 500 0 0 1 3 5 days 0 1 3 5 days p<0.05 p>0.05 p>0.05 p<0.05 p<0.05 プ レ セ プ シ ン( pg/ml )

(4)

Ⅲ. 全血によるプレセプシンの

迅速診断法の開発

 臨床の現場においては、敗血症診断の早期治療開 始のためにもより迅速で簡便な診断法が求められる。  われわれは PATHFAST を用いた化学発光酵素免 疫測定法によるプレセプシンの測定法を開発した15~ 17)。本法の特徴はなによりも前処理を必要としない、 「全血を用いた自動測定」を可能としたことである。  全血と血漿のプレセプシン値を比較すると、全血と血 漿におけるプレセプシン値はほぼ一致する(図 6)18) また、従来の ELISA によるものと同様の結果を得 ることができ、本測定装置を用いることにより、よ り迅速かつ簡便に敗血症診断が可能となった。  全血を用いてプレセプシンを測定することによ り、簡便でかつ短時間(約 15 分)で敗血症診断が可 能となり臨床の現場において非常に有用なツールと なるであろう(図 7, 8)18)

Ⅳ. プレセプシンの有用性

 プレセプシン値は病態の重症度を良く反映してい ることは前述したが、他の液性因子と比較してもそ の有用性が示された(図 9)19)  プレセプシンは感染を伴わない外傷患者あるいは 周術期では上昇しないことも分かっている(図 10)。 図 6 血清と全血におけるプレセプシンの値は ほぼ一致している。 whool blood ( pg/ml ) serum(pg/ml) y = 0.9093x + 291.8 0 5000 10000 15000 20000 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 18000 r=0.996, p<0.0001 n=24 図 7 全血によるプレセプシンは敗血症の 重症度を良く反映している。 100 1000 10000 294.2±121.4 333.5±130.6 721.0±611.3 817.9±572.7 1992.9±1509.2 P<0.05 P<0.05

normal SIRS local infection sepsis severe sepsis P<0.01 P<0.05 プ レ セ プ シ ン( pg/ml )

(5)

図 8 全血によるプレセプシン値はAPACHE IIスコアと 有意な相関関係がみられる。 100 1000 10000 0 ― 10 11 ― 20 >21 n=23 n=59 n=22 430.4±268.9 866.1±823.4 1322.4±1286.8 APACHE II スコア APACHE II スコア 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 0 5 10 15 20 25 30 35 40 p<0.01 R=0.42 P<0.01 P<0.01 プ レ セ プ シ ン( pg/ml ) プ レ セ プ シ ン( pg/ml ) 図 9 SOFAスコアとプレセプシンの推移は他の マーカーと比べてパラレルな推移を示す。 プレセプシン プロカルシトニン(PCT) IL-6 CRP D7 D3 D0 D7 D3 D0 100 1,000 10,000 SOFA経過良好群 プ レ セ プ シ ン( pg/mL ) SOFA経過不良群 <0.01 <0.01 <0.0001 D7 D3 D0 D7 D3 D0 0 0 1 10 100 1,000 SOFA経過良好群 PCT ( ng/mL ) SOFA経過不良群 <0.01 <0.0001 <0.0001 <0.01 <0.0001 <0.0001 D7 D3 D0 D7 D3 D0 0 10 100 1 1,000 SOFA経過良好群 CRP ( mg/mL ) SOFA経過不良群 <0.0001 <0.0001 <0.0001 <0.01 D7 D3 D0 D7 D3 D0 1 1,000 1,000,000 100,000 10,000 100 10 SOFA経過良好群 IL-6 ( pg/mL ) SOFA経過不良群 <0.0001 <0.001 <0.0001 <0.0001 <0.0001 <0.0001

(6)

おわりに

 プレセプシンは採血から測定結果まで 20 分以内、 かつ測定手技が簡便である。外傷や重症熱傷、手術 侵襲など SIRS 状態に影響を受けにくい。従来のマー カーに比べ感染症診断能が優れている。重症感染症 患者の病態把握に優れている事などから、敗血症の 診断マーカーとして優れているものと思われる。今 後、ステロイドの影響、ウイルス感染症、深在性真 菌症、維持透析患者などについても更なる検討が必 要であろう。  重症度がさまざまに異なる敗血性の早期診断は、 特異的治療の早期実施のため重要である。敗血症と 重症敗血症では全身性炎症の臨床的および検査的徴 候が伴って起こるが、非感染性炎症の症例も類似し た徴候と症状を示すことがあり、臨床所見のみに基 づいて感染を診断することは難しい。細菌培養の結 果を得るまで時間を要し、また敗血症の臨床徴候と 同時に現れないこともある。したがって、敗血症と 臓器機能障害の早期診断を可能とし、早期の特異的 治療介入が可能となるようなマーカーを同定するこ とが重要である。以前は敗血症の診断に生化学的 マーカーや免疫学的マーカーは有効でなかった。理 想的なマーカーは感度と特異度が高く、扱いやすく なければならない。血漿中濃度は症例の予後だけで はなく敗血症の病期とも相関していなければならな い。 そのような観点からプレセプシンを測定する ことは現時点では敗血症の診断・治療に最も有益な 方法と思われる 。 今後広く臨床の場で用いられる事 を期待している。

文  献

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図 10 側弯症の周術期のプレセプシンと 他のマーカーの推移 0.0 0.2 1.0 5.0 25.0 125.0 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 0 1 2 3 4 5 6 7 (−) (−) (−) (−) (−) (−) (−) (−) (−) (−) (−) (−) (−) (−) (−) (−) 8 プレセプシン PCT IL-6 CRP SIRS プ レ セ プ シ ン( p g/mL ) PCT (ng/mL )/CRP ( mg/L )× 10/IL-6 ( pg/mL ) プレセプシン : 250pg/mL CT : 0.846pg/mL IL-6 : 107pg/mL CRP : 0.31pg/mL 動脈血培養 創部培養 来院時

(7)

CD14 subtype which as is anew diagnostic marker for sepsis. Jpn Crit Care Endotoxemia 2005 ; 9 : 446-450.(in Japanese)

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newly soluble CD14 subtype as a marker for sepsis. J In-fect Chemo 2005 ; 11 : 234-238.

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CD14 subtypes substantially reflect the severity of sepsis

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図 8 全血によるプレセプシン値はAPACHE IIスコアと 有意な相関関係がみられる。1001000100000  ― 1011 ― 20>21n=23n=59n=22430.4±268.9866.1±823.41322.4±1286.8APACHE II スコア APACHE II スコア0500100015002000250030000510152025 30 35 40p&lt;0.01R=0.42P&lt;0.01P&lt;0.01プレセプシン(pg/ml)プレセプシン(pg/ml) 図 9 SO

参照

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