理 学療法 学 第
29
巻 第4
号105
〜
ll2
頁 (2002
年 )原 著
運 動 学 習 過 程
に お
け
る
主
観 的 運 動 理 解
の
変 容
*宮
本 謙 三
* *岡
部
孝 生
竹 林
秀
晃
宮
本 祥 子
宅
間
豊 井
上
佳 和
上
野 真 美
要 旨
理
学 療 法
に おけ
る運 動 分析
で は,
測 定 す
る こ との困 難 な運 動 者
の主観 的 側 面
より も
,
外 部
か ら観 察
さ れ る 測定
可 能 な 客観
的 情報
を よ り重 視
してき
た。 し か し, 人 間の運動
は物
理学 的 運 動 法 則
に従
っ てい ると同
時
に,
運 動 者
の主観
が反 映
さ れ た もので あ る た め,
運動 指
導
に 際 し て は「
……
な感
じ で」 と
い った 主 観 的
で曖 昧
な指 導 言 語
も 重要 性
を帯
びてい る。
運動
の学 習
と は 動 き を 頭で理 解 す る だ け で は な く「
身 体 が 理 解す
る」
こと
でもあ り
,
運 動 指 導
に は運 動 者
の主 観
とし
て生 起 し
てい る内 な
る変 化
を把 握 す
る こ とも有 用
であ
ろう
。
本 研 究
は,
運 動 学 習 過 程
にお け
る運 動 者
の運 動 感 覚 的 印 象 を言 語 化 す
るこ とで抽 出
し,
プロ トコ ル分 析
を 用い て 学習
段 階 と 主観
的 運動
理解
の 関係 性
を検
討 したも
の であ
る。方 法
は,
健 常 男 子 学
生7
名
を対 象
に,一
輪 車 直 進 走 行
を 運動 課
題 と し て約
1
ヶ月間
の練 習
を 行っ た。
期
間 中 は毎
回「
何 を 感
じ た か」
「
何
が変
わ っ た か」 「
どう
いう感
じ が し た か」
とい っ た 運動
感覚
的印象
を自 曲記
載
で求
め た。
こう
して得
ら れ た運 動 表
象
を
,設 定
さ れた
5
つ の カテゴ リー
(
空 間 的
,
力 量 的
,
時 間 的
,
視 覚 的
,
心 理 的) 分 類
と,
類
似
し た内
容
を集約
し た カテ ゴ リー
分 類
の2
つ の方 法
で整 理
し,
運 動
の学 習 段 階 と 表 象 数
の変 化 を検 討 した
。 その結果
,
設 定 カテ ゴ リー
にお け る 表象
数の 分 布には一
輪 車の 運 動 特 性 が 反 映 さ れ てい る と 思われ た。
また集 約 さ れ
たカ テゴ リー
か ら は,
学 習 段 階
に よっ て運 動 感 覚 的 印 象
の特 徴 的 変 化
が存 在 す
る こ と が確
認 さ れ,
運 動指 導
にお ける学 習の焦 点 化 を
可能
にす
るも
の と考
えら れ た。今 後
は,
理学 療 法
におい て も 運動 感
覚 的 印 象
を指 標
に し た 運 動指
導
の可能 性
が期
待
で き るも
の と 思われる。 キー
ワー
ド運 動 学 習
,
運動 感 覚
的印 象
,
運動 指
導 方法
はじ め
に理 学 療 法
に おけ
る運 動 指 導
は,
客 観 的 な 機 能 評 価
に基
づ いた合
目的 な 治 療
とし
て展 開 さ
れてい る。そ
こ で は 人 間の身 体
運動 も基 本 的
に は物 体 運 動
と同 様
に みな
さ れ,
身
体機 能
を 細 分化
し て定 量 的
に 測定 す
ること
で,
より客
観
的 な 評 価に近づ こ う と してい る。
こ の 考 え 方 は,
要 素還 元 主 義
とし
て今
日の科 学 観
の巾核
をな す も
の であ り
,
より科 学 的 な 理 学 療 法 を追 究 し
てゆく う え
で の基 本 的
立場
で あ る。 し か し, こう
し た数 値 化
さ れ た客 観 性 だ け
で 人 聞の運 動 が 十 分 に 理 解 で き る わ け で は ない。 人 間の運 “The
Changes
ofSubjeetive
Impressions in the Process of MotorLearning
韓
土 佐リハ ビ リ テ
ー
シ ョン カ レッ ジ 理 学 療 法 学 科(〒781
−
5453高 知 県 香 美 郡 香 我 美 町 山 北2833)Kenzo Miyamo しo
,
RPT.
MEd,
Takao Okabe.
RPT,
HideakiTakebayashi
.
RPT,
Shoko MiyamDしG,
RPT,
Yutaka Takuma,
RPT,
Yoshikazu lnoue
,
RPT,
MEd.
Mami Ueno,
RPT ;Depurしment ofPhysicat Therapy
,
Tosa RehabititationCo
]lege(受 付EI 2001年9月3日/ 受 理日 2002年3月16日)
動
は物 体 運 動
とし
て物 理 学 的 法 則
に支 配 さ
れてい る と同
時
に,
人
間の織 り成 す 「
動 き」
とし
て運 動 者
の主観
が反
映
さ れ てい る か ら で あ る。
理
学 療 法
や スポー
ツ運動
に お け る 運動 学
習 で は,
客 観
的に測 定
さ れ た数 値
を 基にい く ら 説 明 さ れて も,
頭 で は理 解
でき
るが 身 体
は理 解
でき な
い という
こ と が よくあ
る。
自
ら得 た 運 動感 覚
的印 象
と客 観 的
測定
に より示
され たも
のが,一
致
す
る と は 限 ら ない の で あ るD
。
運動 学 習
に おい ては,
運 動 結 果
と数 値 化
さ れ た 測定
結 果
の誤 差
を参 考
にしな
が らも
,
運 動 結 果
と運 動 者
の運 動 感 覚 的 印 象
を
一
致
さ せ よう
とす
るこ と が求
め ら れる。 こう し
た観 点
か ら人 間
の運 動 を 理 解 す
るた
め に は,
外 部 か ら測 定 さ
れ る客 観
的 運動 評
価 と と も に, 運 動者
の内
部 か ら得
られ る 主観
的 運動 評 価
の両者
が不
可欠
で あ ろう
。
人
間
の運動
を 理解 す
る た め に,
運動
者
の主
観
的部 分
に焦 点 を 当
て よう
とす
る試
み は近 年 数 多 く報 告
さ れて い る2)。運 動
イメー
ジの ス ポー
ツ ト レー
ニ ングへ の導
入 はも
と より
,
認知 科 学
の領 域で はRotand
ら3)の運 動 イメ106
理 学 療 法 学 第29
巻 第4
号一
ジ と脳 活 動
の変 化
に関 す
る報 告
以来
,
イメー
ジ と運 動
学 習
の関 係 性
が明 ら
か にされ
つ つあ
る4)5)。
し
かし
, こう
し た研 究
は 運動 学 習
の生
理学
的
理解
を深
めてく
れ るも
の の,
運 動 指 導 方 法 を 直 接 的
に導 き出 し
てくれ る も
の で はな
い 。一
方
,
現 象 学
6>7)を基 盤 と
し て発 展
し てき
た ス ポー
ツモ ルフォ ロギー
(morphology of movement )注D の領 域
で は,
運 動 者
と括 導 者
の問
主観 性
注2)に重 き
を置
い た運 動 指 導
の方 法 論
が検 討 さ
れてき
た が,
バイ
オメ カニ クス的
運動
理解 を基 本
に してい る理学 療 法 士
に とっ て,
理解
し 難い 面 も少
な く ない 8−
i⊥)。
そ し て 理学 療
法
の領
域におい ては,
運 動 指 導
に学 習 者
の主観
を活
か そう
とす
る報 告
はこれま
で のと
ころ皆 無
であ
る。
今
回我
々 は,
運動 学 翌
において運動 者
自
身
の主観
的 な運 動 理 解 が
,
どの よう な 変 容 を
た ど るのか を 明 ら か
にす
るた
め,
学 習 過 程
での運 動 感 覚 的 印象 を言 語 報 告 と し
て 抽 出 し た う え で その 分 析 を 試 み た。
「
人 は 語 るこ と が でき
る より 多 く
の こ と を知
る こ と ができ
る」
という
Po
且anyii2 )の言 葉
は,
身 体
が理解
した こ とを言 葉
で語
り尽 くす
こ とは できな
い こ とを意 味
してい る が,
身 体 知
と いう運 動 者
の内 な
る世 界 を 探
る た め に は,
や はり言 葉
に 頼 ら ざ る を 得 ない。
内 観 心 理学
を構 築
し たWundt
は,
心 理 学 的 分 析
に おい て表 出 さ
れ た言 語 を指 標
にそ
の内 面
を把 握 し
よう
と試
み,
そ
の方 法 論
は プロト
コ ル分 析
注3) と して今
El
でも
発 展 的 に 用 い ら れてい る13)。
本 研 究 は,言 語
と し て表
出 さ れ た もの を手 掛
かり
に,
運動 者
の中
で 生 じてい る変 化
を捉
え よう
とす
る の であ
る。運 動 学 習 とは 本 来 運 動 者
の主 観
の中
で繰 り広 げ
ら れ る極
め て個 別 性
の高
いも
の であ
る が,
言 語 報 告
か ら得
ら れ た 主 観の 変 容 に 共 通 す る 傾向
が 認 め ら れ る もので あ れ ば,
運 動 感 覚 的 印 象
か らの学 習 経 過
の把 握
や,
印 象 を指
標
に した指 導
の可能 性
が 開 けるも
の と考 え
られる。
運動
障 害
を有 す
る人々へ の適 応
を視 野
に入
れな
が らも
, その前 段 階 と し
て健 常 者 を 対 象
にした 運 動 学 習 過 程
での検 証
が 本 研 究の 目 的 で あ る。
な お,
「
運動 感 覚
的印 象 」
と は体 性 感 覚
の量 的測 定
と して導 き出 さ
れ る ような
生理 学 的 概 念
で はな く
,
予 測 的
な意 味
で の運 動
イ メー
ジ でも
ない。 運動 体 験
の一
部
と し て事 後 的
に生
じ た あ りの ま ま の 運動 感 を 意 味
し て お り,心
理学 的
に は 運動 内 観 と 言
わ れ るも
の で あ る。
ま
た,
我
々 は道 具
の使 用
に際 し
て,
熟 練 す
るにつ れ身 体
と道 具
に一
体
の運 動 感 覚 を
生じ
る よう
にな
る。Neisseri4
)は こ れを 「
知 覚
の延長 」
と述べて い る が,
運動 感 覚
的印 象
は そう
した 概念
を も含
め た もの と して 位置
づ け てい る。
対 象 と方 法
1
.
対 象 被 験 者
運 動 者
の内 面
に生起
した運動 感 覚 的 印象 を 言 語 化 す
る に は一
定
の自
己観 察 能 力
が 必要
であ り,小 学 生 低 学 年
以下
で は適 切
な表
出 が困 難
と さ れてい る 15)。一
方
,
運動
経 験
の豊 富 な 者
や運 動
の表 現 方 法 を 理 解 し
てい る者 は
, より適
格
な自
己観察
が 可能 と
考
え
ら れ る。
よっ て,
対
象
被 験 者
とし
て理 学 療 法 学 科 男 子 学 生
7
名
(
平 均 年 齢
22
,
7
歳 )
の協 力 を得
た。2
.
運 動 課 題
運 動 感 覚 的 印 象
の言 語 化
に際
して は,
日常 的 動 作
とし
て自 動 化
さ れ た 運動
で は困 難 性
が増 す
と考
え
ら れて お り⊥6),
健 常 者
を対
象
と し た今
回の実 験 で は非
日常
的 な運 動 謀 題
を設 定 す
る こ と が望
ま しい と考
え ら れる。加
え て表 出
さ れ る言 語
デー
タを
でき
るだ
け多
く収 集 す
る た め には,
運動
の獲 得
に比較 的 長 期 問
の練 習
を 必要
とす
る課
題 が 適 し
て い る。これ らの
条 件 を検 討 した 結 果
,
非
日常 的
かつ学 習
に一
定 期 問の練 習 を 必 要 と す る 「一・
輪車
走 行」
を 運 動 課 題 と して設 定 し
た。 こ の運 動
は,
身 体
が分
か る体 育 授 業
とし
て,
小学 校 体 育
に近 年 急 速
に広
が っ たも
の でも
ある。 そ して一
輪 車 走 行
の学
習段
階の 同定
につ い て は, 日本
一
輪
車
協 会
の 認定 基
準
17)を
参 考
に表
1
に示 す
よう
な3
段
階(
走行 前 段
階,
走行 段
階,
上 達段
階)
を 設定
し た。
3.
運 動 感 覚 的 印 象
の収 集 方 法
一
輪 車
走行
の練 習
期 間 は 約1
ヶ月 間 に わ た り,1
日 あ たり
1
〜
2
時 間
,
延
べ30
〜
35
時 問
の練 習
を行
っ た。被
験 者
に は実 験
の目的
を充 分
に説 明
し た 上で,
練 習
を通 し
て「
何 を
つ か んだ
か」 「ど
んな 感
じ がした
か」 「
何
が変 わ
っ た か」
など
,
身体
が感
じ たま ま を毎
回自 由 記 載
で求
め た。
同 時 に 習 熟 状 況 をビ デ オ カメ ラに 収 録 し た。
な お,
被 験 者 間
の運 動 感 覚 的 印 象
に関 す
るやり
とり
は極 力 行
わ ない よう指
示 し た。
4.
分 析 方 法
言 語 報 告の 分 析 は
,
自 由 記 載 に よ り収 集 さ れ た 運 動 表象
を内 容
ご との カテ ゴリー
に分 類
した。分 類
カテ ゴ リー
につ い て,
MeinetS
)は図 形 的 諸 徴 表
,
力 動 的 諸 徴 表
,
心
理的 諸 徴 表
の3
群 を 提
示 し,
「
運動 経 過 を 規 定
し評 価
し てい く 諸 カ テゴ リー
は, 無作 為
に 徴表
を 反 映 す る の で表
1一
輪車
走行
の学 習段
階 走 行 前 段 階 走 行 段 階 上 達 段 階 壁 につ か まりな が ら5m 進 め る 誰 かにさ さ えて も らっ て進 め る一
人で3m
乗 れる一
人で 20m 乗れる一
人 で50m
以 上 乗 れ る8
の 字 を ほ ぼ 正確に 描 け る30
回 以 上アイ ド リン グ が で き る 日本一
輪 車 協 会 認 定基準冏 を改 変.
運 動 学 習 過 程にお け る 主 観 的 運 動 理 解の変 容 107 は
な く
,
運 動 課 題
をでき
る だけ最 善
の解 決
にも ち
こ め る 本質
的 な諸 徴 表 を表 す
こ とに なる」
と述
べ てい る。ま
た 田中
15)は,
表象
分
類 を視
覚
的表象
と
運動 的
表 象
に分 類
したう
えで,
さ らに運動
的表 象
を 空間
的,
時
間 的,
力
的 に 下位 分 類
し てい る。本 研 究
で はこれ
らを参 考
に,
空 間
的表象
,
力 量 的
表象
,
時 問 的 表 象
,
視 覚 的 表 象
,
心 理 的
表 象
の5
つ を設 定
カテ ゴ リー
と して用い た (表2
)。
また
,
こ の設 定
カ テ ゴリー
と は無 関 係
に類 似
し た表 象
を集
約
し,
でき
あ がっ た代 表 的
なカテゴ リー
に対
し独 自
の命
名
を し た う えで ,集
約カ テ ゴリー
と して整
理 した(
表
3
)
。そ し て
,
この2
つ の枠
組 み につ い て表
出 頻度 を指 標
に学 習 段 階
ご との変化
を検 討
し た。
な お,
表
出 頻 度の算 出 に際 し
ては
,
毎
回の練 習
で同 様
の記 載
が認
め ら れ る た め,
同一
学
習段 階
に おけ
る同
一
内 容
の表 象
につ いて は1
回 と みな
し た。結
果
運
動
課
題の到
達 度
は練 習 期 間 内
に被 験 者
7
名
の内
6
名
が 上 達段
階に,
1 名
が 走 行段
階 に 到達
し た。
ま
た 運動 感
覚 的 印 象
の記 述 内 容
につ い ては,
言 語
的表 現
が明 確
で な いも
の は除 外 した
。そ
の結 果
,
運 動 感 覚 的 印 象
の表 出 数
は 全 体 で150
項 目,一
人当
り 平 均21
,
4
(
±2
.
9
)
であ
っ た。学 習 段 階 別
表
出数
も 走
行前
段
階45
,走 行 段 階
56
, 上 達段 階
49
と 比較
的 均等
で あっ た。
よっ て表 出
さ れ た総 計
150
項 目
の全て を分 析 対 象
と して採
用 し た。
1
.
設 定
カテ ゴ リー
別の表 出 頻 度 と学 習 段 階
に よ る変 化
(
表
4
)
設 定
カテ ゴ リー
別
の表 出 割 合
で は,
樂 間 的 表 象 (
83
項 目 〉 と 力 量 的表 象
(
35
項
目)
が多 く
,
視 覚 的 表 象
や 心 理 的表 象
,
峙
問 的表
象
は 少 な か っ た。
ま た, いず
れの設 定
カ テ ゴ リー
におい ても学 習 段 階
に よ る特徴
的変化
は認
め ら れな
かっ た。こ の こ
と
か ら運 動 遂 行 中
にお け
る意 識
の大 部 分
は,
上 半身
の運 動方 同
といっ た空
間的 表 象 と
,
足 部 荷 重 な
どの力 量 的 表 象
に向 け
ら れ て おり
,一
輪
車
課 題の運動 特 性
とし
て理 解
でき
た。一
方
,
学 習 段 階
ご との表
出 数の変 化
に つ い て は特 徴 的 変 化 を見
い出 す
こと はできず
,
設 定
カテ ゴ リー
と
いう枠 組
み が学 習 段 階
に よ る変 化 を把 握 す
る上
では適 切
では ない と考
え ら れ た。
2.
集 約
カテ ゴ リー
別
の表 出 頻 度
と学 習 段 階
によ る変 化
(
表5
)類 似
し た表 象
を集
め た集 約
カ テゴ リー
の代表
的 なも
の とし て は,
ペ ダ ル
荷
重に関
する表 象
,
上
半 身
・
腰の 回旋
に関 す
る表 象
,
一
ヒ肢
で のバ ラ ンス に関
す る表 象
,
表
2設 定カ テゴ リ
ー
と 表 象 内 容’
設 定カテ ゴ リー
表 象 内 容1
) 空 間 的 表 象2
) 力 量 的 表 象3
) 時 間 的 表 象4
)
視 覚 的 表 象5
)
心 理 的表 象
「体 を 前に倒 すとこぎだ せ る」 「
腕
を前 後
に振ってバラン ス を とる」
「腰の ひね りでバ ラン ス を と る」 「体 は 棒 状に まっす ぐ」 「股でサ ドルを挟む と まっ すぐ乗れ る」 「体の屈 伸 を 使っ てい る」・
・
… ・
「左 右の足に均 等に体 重 を か け るこ と を意 識 してい る」 「どの くらい の強 さで踏め ば良いの か難しい」「
サ ド ルに しっ か り体 重 をか け る」 「足 はペ ダルにの せるだ けの感 覚 」 「腰に重 心 を感じ る と安 定 する」
… ・
… ・
「
と に か くゆっ く り」 「
テ ン ポ よくス ピー
ドをつ ける」 「踏み込 むタイミング が 難 しい」 「一
連の動 き と し て こ ぐ」
…
…
「視 線 を前に して遠 くを み る」 「目線は前へ 」 「目標 物 を 決め る と 上手
く行 く」 「
目線
を下向
きか ら前
にする と上 手 くい っ た 」・
「
恐
怖感
が減っ てきた」
「適 度の緊 張 感 がよ い」 「心にゆ とりが出 来た」 「落 ち 着 くこと」 「練 習へ の抵 抗感が な く なっ た」
… …
表3
集 約カ テ ゴ リー
と表 象 内 容 集 約 カ テゴリー
表 象 内 容 1)
ペ ダル荷
重 2) 上 半 身・
腰の回旋3
) 上 肢バ ラン ス4
)体
の前傾5
>サ ドル荷 重 「どのくらい の強さ で踏めぱよい のか難 しい 」 「均等に 体 重 を か け ること を意識 し てい る」…
「腰のひ ね りでバ ランス を と る」
「
方向
は体を 回 し,
後
か ら腰を 回す」
tt・
・
「手 を 広 げて バ ランスをと る」 「腕 を 振っ てバ ラン ス を と る」… ・
「体 を 前に倒 す とこぎだせ る」 「前 傾 した 方 がペ ダルを 出 しやすい」・
…
「サ ド ル に しっか りと体 重 をか ける」 「殿 部 を 浮かすとバ ラン ス をとりやすい」・
…
108
理 学 療 法 学 第29巻 第4号 表4
設定カテゴリー
と 学 習 段 階 別 の 表 出 数 裹5
集 約 カ テゴリー
と 学 習 段 階 別の 表 出 数 走行前段
階 走行
段 階 上達段 階 合 計 走 行 前 段 階 走 行段 階 上達 段 階 合 計 空 間 的 表 象 力 擔 的 表 象 時 闘 的表 象
視 覚 的 表 象 心 理 的 表 象 そ の 他尸
ひ23221
2102
「り
36031
81
君
り211
21831
354792
ペ ダル荷 重 上半 身・
腰の回旋一
ヒ肢バ ラ ン ス 体の前 傾 サ ドル荷 重 そ の 他 1357 △」
尸
D ユ ー31043
尸
D 1111
−尸
D 弓 0273
r ひ99197
211 ⊥ρ
0計
45
56
49
150
二
冒45
56
49150
臆_ 肅_.
_
_
圜
刃
=
「鬮
一
L
−
一
:w /e’
.
嚶
1 ] 輿 図 1 走行 前 段階 外 部 (写 真 )か ら は体の前 傾や腰の捻れ が観 察さ れ る。一・
方,
意識 は体
の前
傾 とペ ダル へ の均等荷
重に向
け ら れてい る。
一.
.
一
1Ψ
卩
1
籔
翻
一劉
曝
鸛
.
騨
一 一図 2
走行
段
階 バ ランスを保持
しなが ら の方向操作
が観察
され る。 意識はペ ダ ル荷 重に代 り上 肢バラン ス や 腰の回 旋 に 向 け られ ている が,
上 達するに つれ意 識さ れ なくなる。賑
渭
靂鋼
図3 上 達 段 階 アイ ド リン グ で は 進行 方 向と 逆方 向へ の体の傾 斜が観 察さ れ る が,
意 識はされて いない。
こ の段 階で の 意 識の向 け 方には多 様 性 が あ る。
体
の前
傾 に関
す
る表象
,サ ドルへ の
荷
重 に関 す
る表
象
,
の5
つ が抽
出 さ れ た。 そ して,
各
カテ ゴ リー
につ い て学 習 段 階
に よ る表 出 数
の変 化
をみ る と, ペ ダ ル荷 重
,
上半 身
・
腰
の回 旋
,
体
の前 傾
の3
項 目
につ いて は特 徴 的
な 変 化
が認
めら
れ,
サ ドルへ の荷 重
や上 肢
バ ラ ン スで は大 き
な変化
が 認 め ら れ な かっ た。
こ こか ら読 み 取 れ る こ と は
,
まず 第
1
に,
左 右 両 側へ の均 等 荷 重
と体
の前
傾による ス ター
ト は,
走 行 前 段
階か ら 意 識 が向 け
ら れており
コ ツ と して生起
してく
る(
図
1
)
。 そ して習 熟
につ れて徐
々 に自動 化
さ れ,
二つ の表 出
頻 度
は減 少
してく
る。 これは,
これ らに向 け
られ てい た意 識 を新
たな 運 動 課 題
に向 け だ
した
こと を意 味 す
る。第
2
に,
上 半 身
の 回旋
は走 行 段
階 に な ると方 向 性
の コ ン ト ロー
ル の た め意 識 さ
れ やす く な
る(
図
2
)
。第
3
に,
上肢
で のバ ラン スや サド
ルへ の荷 重
は,
どの段 階
にお
い てもあ
る程 度 意 識
が向 け
ら れてい る。これ ら
を総 合 す
ると
,学
習段
階ごと
の感
じと
ろう
とす
る意
識の向
け方
に,
あ る程
度 共 通 す る 特 徴 が あ るこ と を意 味
し,
身 体
へ の「気
づき」 あ
るい は「
コ ツ」 を学 習 す
る際
の,
各 段 階
におけ
る要 点
と思
わ れ る。ま た
,
上達 段 階
で は表 象 内 容
の多 様 化
に伴
い カ テゴ リー
別
の表 出 数
が少 な く な り
,
そ
の他
の項 目
に分 類 さ れ
て いる表 象
が増 加 し
てい る。 この点
につ い て は運 動
の習 熟
に伴
い記 述 量
が滅 少 す
ると
いう報 告
IS)が あ る一
方
で,
習熟
に よ り表
象
が 増加 す
る という報 告
15)も
み ら れ, よ り難
度の高い一
輪 車 課
題 まで設定
し た一
ヒで検
討
す る必要
迎 動 学 習過 程 に お け る 主 観 的 運動理解の変 容 ユ
09
があ
る。考 察
運 動
モ ルフ ォロ ギー
の領 域 で は,
運 動 の観 察 を他 者 観
察
と自
己観 察
に大
別 してい る 19)。 人問
の 運 動 を 分 析 す る場 合
に は,
動 き を外 部
か ら観 察 し運 動 力 学 的 な
フ ィー
ドバ ッ ク情 報 を得
ること
は,
運 動
の他 者 観 察
に よ る分 析
的 理 解
とし
て有 用
であ
る。 し か し,Meine18
) が指 摘
し てい るよ う
に,
運 動 遂 行 時
に お け る 運動者
の意 識
がど
の よ う な 運 動 を投 企
2°) し,
何
を感
じ な が ら 動 き を 修 正 し よう
と し てい るのか は,外 部
か ら計 測
さ れた 数 値
で は読
み取
る こ と はでき な
い。学 習
者
の意
図的 な動 き な
のか
,
偶
然の動 き
なの か,あ
るい は無 意 識
的 な 反 応 なQ
か は 定量 的 分 析
か ら は 明 ら か にす
ること
は難
しい。け れ
ども指
導 者
は運 動 観 察
の中
か ら その運 動の意 味 を 理解
し,
次
な る学 習 課 題
の焦 点 化 を促 さ な け
れ ば な ら ない。
単
に 遂行
動作
のプ
ロセ スを示 し
,
結 果
の良 し悪
し を指 摘 す
る だ け で はな く
,
どう
す れ ば良
い のかを伝 え な く
て はな
ら ない の であ
る。運 動 者
の学 習 過
程
を 理解 す
る た め に は,
そ
の運 動 を共
感 的
に理 解 し
,
内 な
る変 化
を共
に感
じ取
っ て 行 か な くて は な ら ない。運 動 者
の中
で繰 り広 げ
ら れ る変
化 を 捉 え る に は,
自
己観 察
に基
づく
ことにな
るが,
こう
し た内
な る変 化
は 運 動 者 固有
のも
のであ り
,
他 者 が 立 ち 入
る ことの でき な
い「
暗
黙知 」
t2)の世 界 で あ る。 し か し,
より多
く
の自己 観 察
か ら内 な
る変 化
に共 通 す る 特 徴 が 見い 出 せ るのであ
れば
,
そ
れ は指 導
におい て活 用 す
る 意味
が あ ろう
。一
方,
共 通 性 が 存 在 し ない の であれ ば,
ま
さ に運動
者 固 有
の「
暗
黙 知」
と し て一・
般 化
の困 難 な も
の と考
え ざ るを得 な
い。 以 下,
こう
し た観 点
か ら考 察 を加 え
るこ と とす
る。1
.
運動 感 覚 的 印 象
によ る運 動 特 性
の理 解
今
回の一・
輪 車 学 習で は,設 定
カ テ ゴ リー
の出現
頻 度に おい て 空 間 的表象
と力 量 的 表 象
が大 勢 を 占
め た。 これ は高 度
なバ ラ ン ス能 力 を求
め ら れ る という
一・
輪 車 操 作
の運
動 特 性 を 反 映 し
たも
の で,
ス ピー
ドが要 求
さ れる体 操
の 回転 技
の よう な 運 動 課
題 と は 異 な り, 静 的コ ン トロー
ル が 基 本 となっ てい るため と考
え ら れ る。
こ
う
し た 運動 特 性
の理 解 は
,
細 分 化 さ
れ た測 定 結 果
か ら導
き 出 してく
ること
は難
しく
,
運 動 を全 体
と して捉
え る ことで可 能にな る と 思 わ れ る。
そ し て,
運動 学
習に際
し
て課 題
の有 す
る運 動 特 性
を理 解
し て お く こ と は,効 率
的 な 学 習 を 可能
にす
る。同
じ特 性
を有 す
る類 似 し た 運動
は 学 習 転 移 を もた らす
こ とが考
えら れ,
難 度
の低い運 動 を 通 し て 目標 とす
る課 題
に近
づく
こ とも
で き よう
。 運 動 特 性の 類 似 性の把握
は指 導 者
の経 験
に よる とこ ろが多
い が, その妥 当 性 を 裏 付 け
るため には 運動 感 覚
的 印象
の類似 性
が一・
つ の目安
にな
る と考 え
ら れ る。ま た
,
運動 感 覚 的 印 象
か ら運 動 特 牲
の理 解
ができ
る こ と は,
学 習
の焦
点 化 や 指導
言語
の確 立 と
い っ た点
で運 動
指 導
に活 用
でき
る可 能 性
が あ る。
理 学療 法
で は生 活 動 作
の特 性 を 運動 感 覚 的
な観 点
か ら整
理す
る ことで,
理 学療
法
プログ ラムを構 築 す
る際
の参 考
にな
るも
の と考
え ら れ る。2.
学 習 段 階
と運 動 感 覚 的 印
象
の変容
渠 約
さ れ た代 表 的 運 動 表 象
と学 習 段
階の関連
で は,
表
5
に示 す
よう
に特
徴
的 な変 化 を確 認
でき
た。 これ は 運 動者 が 同 じ
よう な 運 動
感覚
に意
識を 向 け
,類 似 し
た運 動 感
覚 的 印 象 を得
る とこ ろ に学 習
が 成 立 してい ること を 示 唆
してい る。 よっ て,指 導 者 が
こ のよ うな 運 動 感 覚
の獲 得
に学 習
を 焦 点 化 さ せ ること
で,
効 率 良
い指 導 が 可 能
にな
ると考
えら れ る。
す
な わ ち,
運 動 者 がつ か み 得た「
コ ッ」
と
でも言 う
べき運 動 感覚 的 印 象
を,
より共
感
的
に 理解 す
るこ と が で き るの で あ る21)。こ の
観 点
か ら一・
輪 車 走行
に おける運 動 感 覚
的指 導
を 概観 す
る と,
まず
学 習
の初 期 段 階
であ
る走 行 前 段 階 (
図
1
)
で は,
ペ ダ ルへ の左 右 均 等 荷 重 と 体 幹の前
傾 が重 要 な
ポ イン トであ
る。 ペ ダルを
こぐ
こと に よ る前 後 左 右
の荷 重
量
の変 化
が,
バ ラン スを崩 す 大 き な 要 因
で あ る こと
は容
易
に想 像
で きるが,均 等 荷 重
へ の気
づ き と 踏 み 込 ま ず に ス ター
トす
る た めの前
傾姿 勢
へ の気
づきが 大 切 な点
であ
る。
こ の時 期
の表
象
はこ の2
点
に集 中
し てい るが
,
実 際
の動 き と
し ては
,
上 肢
の外 転
や体 幹
の 回旋
運 動 が出
現 し て いる。
ビ デ オ映 像
か らは上 肢
の過 緊張
と代 償
的バ ラン スの動 き,
直 進保 持
の た め の体 幹
回旋
な ど が 頻繁
に認 め ら れ るにも
か か わ らず
, 学 習者
の意 識
はそ
の現 象
に向
か っ ていな
いの であ
る。従
っ て指 導
に際
し ても
,
こ の段 階
での体 幹
の 回旋
に よる修
正や上 肢の過 剰 な 動 き を指 摘 す
るこ と よりも
,
ペ ダル の均 等 荷 重
と前
傾ス ター
トに集
中 さ せ るこ と が 望 ま しい と考
え られる。
次
の走 行段
階(
図2
)
は一t
人で の直 進 課 題 が 可 能 に な る 時 期 で あ り,
前 段 階
で み ら れ た体
の前 傾
へ の意 識
は減
少
し,
代
っ て上 半 身 や 腰 部の回旋 と
上肢
で の バ ラ ン ス に意 識
が向
かう
。一
人 での直
進 走行
の獲 得
はバ ラ ン スを維
持
しな が ら
の方 向 性
の操 作
を 必要
と す る。 そのた めペ ダ ル の踏 み込
み によ る左 右
バ ラ ン ス の歪 み を,
一
輪 車の向
き を 修 正す
ること
で対 処
し よう
とす
る た め,
上半 身
や 腰部
の 回旋
と して表
現 さ れ ている。
そ し
て上 肢
の動 き
は効
率 良
い回旋
の た めの先 行 的
な動
き と 思 わ れ る。 こ の上 半
身
回旋
によ る方 向 修
正も
上 達段
階 に な る と減 少
し,
「
8
」
の 字 課 題 など で は上半 身
を傾 斜 す
る ことで方向
をコ ン ト ロー
ルす
ると
いう表 象 も
み ら れてく
る。最 後
の上 達 段 階 (
図
3
)
は,
決
し て一
輪車
の技 術 的 最
高 水 準 に達
してい る わけ
で は ない が,
運 動感 覚 的 印 象
か110 理 学 療 法 学 第
29
巻 第4
号 ら は 上達
に伴 う変 化
が見
受
け
ら れ る。前 段 階 ま
で の運 動
表 象
は徐
々に滅 少 し
,
5
つ の代 表 的 表 象
の割 合
は急 激
に減 少 す
る。
運 動の習 熟 につ れ 言 語 報 告 が 減少 す
る 傾向
は これま
で にも指 摘 され
てい るが
,
今
回の一
輪 車 運 動
で は表 象
の多 様
化 が み ら れ る もの の,
上 達 に 伴 う 表 出 頻 度の減
少
は認
め ら れ ていな
い 。 こ れ は新
たな 課 題
に向 け
た運
動 感 覚 的 印 象
が 生 じた た め と思
わ れ,
身 体
が学
びつ つあ
る こと を物 語
っ てい る と考 え
られ る。
そ して表
象
の多
様
化
は, より高 度 な 走 行 指
導
に おいて は個 別 性
が増 す
こ とを意 味
して い る。
以 上 が
運 動 感 覚 的 印 象
から得 られ
た主 観 的 な運 動 理 解
であ
る が,
解 釈
に際
して の カテゴ リー
分 類 や 学 習 段 階の設 定
は,明
確
な基
準
が存在 す
る わけ
で は ない。言 語 表 現
は 本 来 個 別性
の高い もの であり
,
こと さ ら細 分 化
し たカ テ ゴ リー
は意 味
を持
たな
い。措 導
に活
用でき
る ことを
目安
に,
運 動 課 題
に応
じ た設
定
が重
要
で あ る。
3
.
運 動 療 法
へ の応 用
理 学 療 法
で は,
これ ま
で運 動 感 覚 的 印 象 を 指 標 と
し た 運動 療 法
の試
み は極
め て少
ない 22)。
その 理由
は,
健 常
者
と 異 なり
運動 麻 痺
や感 覚 障 害
,
高 次 脳 障 害 な
どの多 彩
な障
害
が存 在
してい る た め と考
え ら れるが,
加 え
て運 勁
感 覚 的 印 象
の客 観 的 理 解 が 困 難
であ
ることも要 因
であ
ろう
。運 動 療 法
に際
し て は,
筋 活 動
や 関節 角 度
の変 化 とい っ た数 値 化
さ れ た情 報 も確
か に有
用 で あ り, 知 識 と して は 理解
さ れ や すい。
し か し 実際
の指
導
場 面
で は,
関 節 角 度
の差異
や筋 活 動
の過 不 足
を詳 細
に指 摘 さ
れても
,実 感
とし
てイ
メー
ジでき な
い こと も少
なく
ない。「
……
な感
じ で」 「
グッと力
を 入 れ て 」 とい っ た 主 観 的で抽象
的 な 言葉
が,臨
床
に おい て は重 要
性
を帯
び てい る。ま
た,
主観
的 運動
経 過 と 客観
的 運動 経
過 が大 き く異
な るこ とも
よく
あ る が,
運動 学 習
の成
立には目標 運 動
と計 測
され た客 観
的 な 運 動 結 果 を
マ ッチ ングさ
せ るだ け
で はな く
,自
ら感
じ
とっ た主 観 的 運 動 経 過 を も
マ ッチ ング さ せ る 必 要 が あ る。 セ ラ ピス トは運動 者
の内
な る変 化
を 把 握 し,
運動
を共 感 的
に 理解
し たう
え で,患 者
の 主観
に訴
え な く て は ならな
い のであ
る。
今
回の結 果 は,
そう
し た 主観
を 重 視 し た指
導
に際
して,
指 導
の焦 点 化 や 指 導 言 語
の共 通 化
に寄
与 す
るも
の と考 え
ら れ る。さ
ら に,
運 動 麻 痺 を有 す
る患 者
に おいて も 運 動 感 覚 的印 象
が指 導 上 重 要
であ
る こと
は 間違
い ない。
脳
卒
中片 麻
痺 患 者 を例
に取
ると
,
自
らの運 動 を どの よう
に感
じ とり
,
どの よ う な 変 化 が あっ たの か を 理解
する こ と がで き れ ば,
運 動 を指 導 す
る際
に何
に意 識 を向 け
るのか を 的 確
に指 示 す
る ことが でき
る。
ま
た,
ス ポー
ツ運 動 に おい て は自
己の運動 経 過 を
正確
に 認 識 す る 能力
の高
い者
ほ ど 運動
’
修 正 能 力 が 高
い と言 わ れ
てお り
,
運 動 感 覚 的 印 象 を 意 識
さ せ ること
で その認
識能
力
を
高
め るこ と自体
も,
有
効
な トレー
ニ ングに なり得
る可 能 性
があ
る。し か し
,
運動 療 法
にこう
し た考
え を 活
かす
た め に は,
片 麻痺
患 者の運 動感 覚
的印 象
を 理解 す
る必要
が ある。記
述 内 容 を基
にした研 究 手 法 が
,
患 者
のも
つ言 語 表 現 能 力
に左 右 さ
れる こ とは容 易
に想 像
でき
る。
理 学 療 法 学 生 を
対象
と し た今
回の研 究
で は専 門
的表 現 も見 受 け
ら れ,一
般
人 を対 象
と し た場 合
に は異 な
っ た様 相
にな
るであ
ろう
。
ま して片 麻 痺
患者
に おけ
る運 動 感 覚 的 印 象
と なる と,
多 彩 な 障 害 像
か ら は極
め て個 別 性
の高
いも
のと推 察
さ れ る。け れ ど も
,表 現 能 力
の格 差
に基
づいた表
象
内 容
の差
異 は,
学 習 過 程の 相 違 を 意 味 す る もの では ない。
表 現
さ れ る言 葉
は異 な
るも
の の,
感 じ取 ら な け れ
ばな らな
い運
動
の質
に違
い は ない と考 え
ら れ る。 運動 者
の表
現能 力
を見
越 し た 上 で, 言 語表 現
を共 有
し共 感
的 理解
の轜
を 広げ
るこ と が大 切
であ
る。障 害 を有 す
る場 合
の学 習 過 程
の理
解
は今 後
の大 き な課 題
であ
る が , 運動 感 覚 的 印 象
の言 語
化 能 力 を 高
め たう え
で検
証 す る こ と も可 能 で あ ろう
。
以
上,
運 動 学 習
にお け
る主 観 的 な 運 動 理 解
につ いて検
討 を加 え
たが
,
プロト
コル分 析
に よ る記 述 言 語
の解 釈
に は,
感 覚
や 運動 を 言 語
で表
現す
るこ との限 界 がつ き ま と っ てい る。印
象
の抽
出作 業
は 運 動 を 意 識 的 に 言 語化
し た もの であ り,
その成 否 は 個 人の言 語化
能力
や言 語 概 念
に 依 存 してい る。
その た め 運動 指 導
に際
しては,
主観 的 運
動
理解
の過 程
を参 考
に しな
が ら「身 体
が理 解 す
る」
こ と の個 別 性
の 上 に,
展 開 して いく
こ とが重
要であ る。
人 間 の運動
学
習 と
は,主
観
に よっ て客観
を 理解
す
る営
み でも
あ り,
理 学 療 法 に おい て も客 観
的分 析 結 果
を 主観 的
運動
と関係
づ けていく
こ とが大 切
であ
ろう
。謝 辞
:本 研 究
に際 し
ご指 導
いた だ
いた 高 知 大 学 教 育 学
部 助
教授
神
家
一
成 先
生 に深
謝い た し ます
。 注 ユ)ス ポー
ッ モ ル フ ォ ロ ギー
(Morphology Qf movement )は現
象
学を基 盤と し,
人 間の運 動 を 知 覚 され る現 象 形 態と その構造特 性に 基づ い て研 究 する学 問 領域である。
人の動 きを全 体と し てあ りのま まに捉 えようとする立 場であ り,
運 動を要 素に細 分 化 する ことで理 解 しようとする 自然 科 学 的 立 場とは相 容 れ ない考 え方であ る。
注2> 間 主 観 性 とは現 象 主 義 哲 学に お け る概 念で あ る。
運動 指導に おいては
,
客 観 的 事象
に反し てい な が らも指導 者
と学
習 者の問 にのみ 了 解 で き る 正確な 伝 達 応答を さ してい る。
注
3
)
プロ トコ ル分 析(
Protocoi
Ana
[ysis)と は,
言 語 行 動 を分析対象
とす
る研究技 法
を指
して いる。
課 題 遂 行 者の意 識 を 内省的 に言語化 するこ とで記 録し対 照デー
タとの関 係 性 を 分 析 する ものや,
会 話にお ける相 互の発 話 内 容や発 話 時間 を 分 析 するものなど がある
。
言 語 能 力に制 約さ れ ること,
意 識 化 され ない 処 理 が 存 在 する こと
,
結 果の一
般 性が確 証 で き ない こと な ど の 問 題 が 指 摘 さ れ てい る が,
知1的 活 動の内 的 プロ セスを 追
う手 続
きと し て有効 性
が認め ら れて い る。
統 計 学 的検 定 方 法では ない た め,
デー
タ処理の方 法は運動 学習過 程に おける主 観 的 運 動 理 解の変 容
ll1
研 究 内 容に応じて選 択さ れ る。
文献
D
小 田伸 午 :身体 運 動に お け る右と左.
京 都 大 学 学 術 出版 会,
1998
,
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287
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内 藤 栄一
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Larsen
B
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:SuppLementary
motor areaand other corticat areas
in
organization of voluntarymovements
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during
motor performance andmotor imagery ;
Afunctiona
【magnetic resonanceimag
−
ing
study.
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112
mp\tsza#
rg29tsas4e
<Abstract>
The
Changes
ofSubiective
Impressions
in
the
Process
ofMotor
Learning
'
Kenzo
MIYAMOTO,
RPT,
MEd,
Takao
0KABE,
RPT,
Hicleaki
TAKEBAYASHI,
RPT,
Shoko
MIYAMOTO,
RPT,
Yutaka
TAKUMA,
RPT,
Yoshikazu
INOUE,
RPT,
MEd,