奥 行 位 置
と
同 時性
の
知
覚
一
川
誠
*Dependency
of
the
subjective
simultaneity
upon
the
stimulus
depth
position
MakQto
IcHIKAwA
*Chiba
bTniversity
*
We
examinedhOw
theperceived
simultaneity and temporal order of two visual sti皿 uli depends upon the depth position of the stimuli speci 且ed by binocular disparity cue.
When twostlmuli were presented simultaneously at
different
depth
positionsin
front
of or around afixation
point
,
the observer perceived the rnoredistance
stimulus appearedbefore
the nearer stimulus(Experiment 1)
.
This illusory tempora 玉order was found only for sudden stimuluspresentation
〔Experiment 2)
.
Similar tendency was found in the processing for mot 正on−
in−
depth (Experiment 3).
For
the
invo!untary attention,
which was causedby
sudden presentation of a preced圭ng st血 ulus,
the e俛 ct of the preceding stimulus
,
which was presentedin
thedepth
space nearer than thefixation
point,
was larger than that of the stimulus,
which was presented in the more distant space than thefixation
point(Experiment 4).
These results suggestthat
a common processing,
.
which arerelated
to
the
detection
ofthe
motion−in−depth
underliesthese
bias
in
terms
ofthe
stimulusdepth
position
,
and therefore,
that,
in
order to understand thebasis
of the perception of the simultaneityand temporal order
,
we have to clarify the tempora 王bias in theprocessing
which are involved irlconducting the experimental task
.
Key
words l binoculardesparity,
rnotion−in−debth,
stimulus onset asynchorony,
temporal order,
visual attentiQn
1.
は じ め に 今 講 演で は,
両 眼 視 差 手 が かり によ っ て規 定された視 覚刺 激の 奥行的 位 置が,
刺激 提示にっ い て の同 時 性や時 間 順 序に関す る知 覚に影 響を及ぼ す こと を紹 介す る。 主 な実 験デー
タ は Ichikawa (2001,
2009 )において発 表さ れた もの で ある。 実験方法や統 計 的 分 析の詳 細は そ れ ら を参照 して いた だ け れ ば と思 う。 視覚 刺激の奥行 位 置が その刺 激の 時 間 的 特 性に 及 ぼ す 効 果 を 検討す ることに よっ
て, 我々 の 知 覚 体 験におい て時 間や空 間が どの よ う に構成さ れて い るのかに関す る 理解を どの よ う に 進 め る のかに関する考 察の材 料を提 供する こと も本 論の 目的で あ る。 刺 激の時 間 的 特 性に関す る知.
覚 は,
様々 な要 因によっ * Department of PsychologyChiba
University,
1−33Yayoicho ,
lnage,
Chiba
263−
8522て
,
実際の物理的な時間的特 性と は乖離する こ と が多く の研 究に よっ て報 告 さ れて い る。 こ の よ うな知 覚の基 礎 に はどのよ う な過 程 が あるの だ ろうか。
これ まで の研 究 に よっ て,
単一
の 心 的 な カ ウン ター
(e.
g.
,
Treisman,
1963)が幕 準と なっ て同 時 性や時 間 順 序の知 覚が決 定さ れる とい う考え方とは合わ ない研 究 結 果が多 く報 告さ れ て い る。 た とえ ば,
複 数の刺 激が連 続して提 示される場 合,
新規な刺 激ほ ど知 覚さ れ る持続時 間は長 くな るもの の,
その際,
ピッ チ や 7 リッ カー
率にっ い ての知 覚 は変 ら ない (Pariyadath &Eagleman ,2007
).
視 覚 刺 激に つ いて知覚さ れ る持続 時間の長さ は サ ッ ケー
ド に よっ て短縮さ れる (Morrone
,
Ross,
&Burr,
2005 )が,
視覚 刺 激 の代わりに聴 覚 刺 激を提 示 し た場合に はこ の よ う な サ ッケ
ー
ドによ る 短縮は 観測さ れ ない (Eagleman ,2005
).
強い恐 怖 を 感 じ る よ う な 場 合
,
その 間の 時 間は 長 く感 じ ら れ る もの の,
その 際に視 覚 情報 処理の 解像 度の 変化 (上 昇な ど)が認め られ る わ けで は ない (StetSQn,
Fiesta,
&242
基 礎 心 理 学 研 究 第 28 巻 第 2号 Eagleman,
2007 >.
異な る2っ の知 覚 様 相に1
っ ずっ 提 示 さ れた刺 激の 時間 的 関係にっ いて の 知覚の解像度は組 み合わ せ る知 覚 様相によっ て異なっ て い る。 た と え ば,
視 覚と聴 覚,
視 覚 と触 覚の組み合わ せ より も聴 覚と触 覚 の組み合 わせで よ り高い解 像 度と な っ て い る(Fujisaki &Nishida,2009
).
こ れ らの結 果は, 知覚様 相や時 間に 関する様々な知 覚 課 題の共通の基 礎にな る よ う な過程が あ る わ けで は な く,
様 相によっ
て知 覚さ れる持 続 時 間が 異 なること,
同 じ様 相であっ ても,
持 続 時間の知 覚 と時 間的 解 像 度と は 異 な る仕方で決 定さ れ るこ と を示 唆 して い る。 し た が っ て, 時 間に関 する知 覚の 基 礎にある過 程 に関して は,
知 覚 様 相や知 覚 課 題 ご とに個 別に検 討 する 必要が あ るもの と考えられ る。 本研究で は, 両眼視差が規定す る奥 行位置に よっ て,
視覚 刺激の出現 や変化とい っ た事象の同 時 性や時 間 順 序 の知 覚が どの ように影 響 を受 け るのかにつ い て心 理 物 理 学 的 な 方 法 を 用い て検 討 した。 こ れ まで の研究に よっ て,
視 覚 刺 激の 出 現 や変 化とい っ た事 象の 同 時性 や時 間 順序の知覚は様々 な要 因に よっ て影 響を受け るこ と が知 ら れて い る。 た と え ば,
強い刺 激ほど処 理が速 くな る こと(Anstis
,
2001 :Rogers & Anstis,
1972),
周辺視野よ り 中心視 野で 処理 が速く な る こ と (lchikawa,2002
;Mi −
trani,
Shekerdjiiski,
& Yakimoff,
1986 ),
注 意 を向けた位 置ほ ど あ る
…
定の間 隔の間は視 覚 的 処 理が速 くなること(
Hikosaka,
Miyauchi,
&Shimojo,1993
;Posner,
Snyder,
&Davidson,
1980;Shimojo ,
Miyauchi,
&Hikosaka,1997
)な ど が知ら れて い る。 本 研 究にお ける一
連の実 験は,
視 覚 刺激の同 時 性や 時 間 順 序の知 覚に影 響 を及 ぼ す 要 因に,
両 眼 視 差に よ っ て規 定さ れ る奥行 位 置 を 加え るもの で ある。 ま た,
視覚において同時 性や時 間順序の知覚 が どの よ うに決定 さ れ るのかにっ いて も,
重要な特 性が示さ れ る。 上述し たよ うに,
刺 激の偏 心 度は同 時 性や時 間 順 序の 知 覚に 影 響 を及 ぼす 要 因で ある こ とが 知 ら れ て い る (lchikawa,
2002
;Mitrani et aL,
1986
).
偏 心 度が高 く な る ほ ど受 容 野が大 きくな る た め,
同 じ刺 激 強 度で あ れ ば,
周 辺 視 野よ り も中心 視 野の方が刺激につ い て の神 経 信 号は強 くな るこ とが 予 測 さ れる。 周 辺 視 野よ り は中 心 視 野で 処 理が速い と い う特 性は,
強 度の強い 刺 激ほ ど 処 理 が速い とい う特 性に よっ て決め ら れて い るの か も し れ ない。 で は,
ほぼ同 じ偏 心 度で中 心 視 野に提 示さ れ る2
つ の刺 激にっ い て,
両 眼 視 差に よ っ て規定 さ れた奥 行 位 置は どうであ ろ うか? 注視点か らの奥行 次元 上で の距 離に対 応 して,
2
つ の刺 激の同 時 性や時間順序につ い て の知 覚は影 響を受け る だ ろ うか ?2.
実 験1
2.
1 刺 激 出 現の時 間 順 序の検 討 両 眼 視 差 を用い て様々 な奥 行 位 置に単一
の刺激を提示 し た場 合,
その知 覚 潜 時は奥行位置 によっ て異な るこ と が知ら れて い る。 すな わ ち,
両 眼 視 差 手が かりに よっ て 奥 行のあ る蜘 体の知 覚を成 立させるステ レオ グラ ム観 察 に おい て は,
注 視面よ り近い奥行を示す交差視差の方が よ り遠い奥行を示す非 交差視差よ り も奥行知 覚の 潜 時が 短い (Bradshaw ,
Rogers,
& De Bruyn,
1995;Mustillo,
1985 ;Patterson et al
.
, r 995).
注 意の移 動 も,
注 視面からよ り近い空 間へ の移 動の方が
,
よ り遠い 空間へ の移動よ りも速い (
Dowing
&Pinker,1985
;Gawryszewski ,
Riggio,
Rizzelatti
,
&Umilta,
1987;Miura,
Shinohara,
& Kanda
,
2002 >,
両 眼の眼球 運 動 も,
注 視 面か らよ り 近い空 間へ と視 線 を移動する輻 輳性の 眼球運動の方が, よ
り遠い空間へ と視 線を移 動す る開散 性の 眼球運動よ り も 速い 〔
Alvarez,
Semmlow ,
& Pedrone,
2005 ;Hung,
Zhu,
&Chiuffreda,
1997;Yang,
Bzucci,
&Kapoula ,
2002 >
,
単一
の刺 激にお け るこう し た奥 行 位置に よ る特 性を考慮する と, 注 視面か ら より近い奥行 位 置と注 視 面より遠くの奥 行位置に同 時に 2 っ の刺 激 を 提 示 し た 場 合
,
前 者の方がよ り速く出現 し た よ うに知 覚され るバ イ アス が あるこ とが 予測される。
そこ で,
実験1
で は2
っ の光 点 を 様々なSOA
(Sti
皿 ulusOnset
Asynchrony )のも とで提 示し
,
2 っ の刺 激が同 時に提 示 され た ように知 覚さ れる の に必 要なSOA を恒 常 法に よ っ て検 討 した。
2.
2 方 法2
枚の 鏡 〔10.
O
× ユ2.
5
cm )と2
台の15
イ ン チCRT
デ ィ ス プ レー
(Mitsubishi RD15 MII)をハ プ ロ ス コー
プ 的に組み合わ せた装 置を用い て刺 激 を 提 示 した。 刺 激 提 示は MacintQsh lifxと 2枚の ビデ オカー
ド(8 ・
24
ap・
ple▽ideo card )が 用い ら れ た
。
ディ ス プレー
まで の観 察距離は約
45cm
で あっ
た。 灰色 (76.
5cd
/m2 >の背 景を示す 2台の デ ィ ス プレー
そ れ ぞ れの 中心に赤い四角 形 (23.
8x23.
2 arc min ,37.
5 cd/m2 )が注 視点(FP
)と して提 示さ れ た。 画 面の 中 央 か ら56.
5arc
min 上方に,
注視点に対 し両 眼 視 差によっ て 異 なる奥行 位 置に 2っ の 白 色の 光 点 刺 激 (20.
8×2.
9 arc min,
118.
5 cdfm2 )が提 示さ れ た。 2っ の光 点 刺 激の 間の両 眼視差 を 5.
8arc
min に固 定するた め,
刺 激 問の 距離は一
方の 眼に提示 さ れ る画 像に おい て は 2.
9arc min,
も う一
方の眼に提 示さ れ る画 像におい て は8.
7arc
min で あっ た。 光点刺 激 間の 視 差 勾 配は 2/3 に固 定 さ れ た。
注 視 面に対する これ ら2 っ の光 点 刺 激の奥 行 位 置Most distant
tt
ロw−tt
−−・
−tt
−.
…
鼎算
Behind FP ArQコ 冂d FP Sn
−
front−
o「FP Nearest!
三
朧
゜no
o
’
D−一
唖o
心一
一
「
鵬
胤
節o
:踏
:o
Figure L Five conditions for the depth
position of the two stimuli
.
The
two stimuliwere presented on the
two
adjacentdepth
planes
.
関 係に は Figure 1に示 すよ う な 5段 階の 条 件 (Most
distant
,
Behind FP,
Around FP,
In−
front−
of FP,
Near・
est)を設けた。 刺 激が提示さ れ る
6
段 階の 奥行面と注視 点の あ る面と の間の両眼視差は,
交差視差と非交差視差 で そ れ ぞ れ 14.
5,
8.
7,
2.
9arc min で あ っ た。
2っ の刺激 が16ms
ス テ ッ プ で一
48〜48
ms の7
段 階のSOA
で 提示さ れ た (負の値は,
よ り観察者側の 刺激が もう一一
・
h
’
の 刺 激よ り も 遅 れて い ること を示す)。 そ れ ぞ れの 刺 激 は,
観 察 者が見かけの提 示 順 序を報 告 する た めのキー
を 押 すまで,
画 面 上に提 示されたま まで あっ た。
左 右の刺 激の う ち どち ら がよ り観察 者 側に提 示さ れ るか (2)×注 視面との奥 行関 係 (5)×2
つ の刺激 提示のSOA
(7
)の 70 通りの刺 激が ラ ンダム順に 1O回 ずつ 提 示された。
試行 開始 時に は注 視 点のみ が提 示さ れ てい た。
観察者 は,
注視 点に対して両眼 融舎の成立 を確認 し た ら,
キー
ボー
ド の ス ペー
スキー
を押 した。 その 2,
000・
−
2,
256ms 後に2
つ の刺 激 が 異 なるSOA
で提 示 された。 各 条 件の 刺 激は そ れぞ れラ ン ダ ム順で lo回 ずっ 提 示さ れた。
観 察者の 課 題は, 手 前と奥の刺激の う ち ど ち ら が よ り後に 見え た か を キー
押 しに よっ て報告する ことで あっ た。
実 験 目 的を知 ら な い 5名の学 部 生,
大 学 院 生が実 験に参 加 し た,
2.
3 結果と考察 各 観 察 者 にっ い て,
奥 行 条 件 ご とに Probit法 (Fin・
ney,
1971)を用い て,
相 対 的に観 察 者に近い光 点 刺 激が 先に提 示 された よ うに見え る確 率が 50% と な る SOA を 求め た。 そ の平 均 値 をF
[gure 2 に示 す。 両 眼 視 差に よ っ て奥 行 位 置 を規 定された単一
の刺 激に 対 する処理の 時 間 的 特 性を考 慮 する と,
2つ の刺 激 を 同 時に提 示 した場 合に は,
注 視 面よ り近い光 点 刺 激がよ り 遠い光 点 刺 激よ りも先に出 現した よ うに知 覚され る こと が期 待で きる。 と ころが,
Figure 2が示すよ うに,
実 際 の結 果に おいて は,
Areund
FP
条 件におい て,
注 視 点よ り遠い光 点 刺 激の方 がよ り近い 刺 激よ りも先に出 現し た ( の ∈ V >慧
⊆堊
コ£
の 」 o ← <O
の30
一
20
1Q
o
一
10Most
Around Nearest distant FP Behind ln−
front−
of FP FPDepth
pesition
conditionsFigure 2
.
Results of Experiment l.
Mean
and
SE
of theSOA
for
the perceptual simulta−
neity
.
よ う に知 覚さ れ る傾 向が見 出さ れ た
。
さ ら に,2
つ の刺激の どちら か
一
方が注視 面よ り近い 奥行 面に提 示さ れ るIn・
frent−
ofFP
条 件とNearest
条 件で も,
2っ の刺 激が同 時に提 示さ れ たよ うに見える ために は
,
よ り観 察 者に 近い空 間に位 置づ け ら れた光 点 刺 激 を もう一
方の光 点 刺 激よ りも先に提示す る必要が あり, その程度は,2
つ の 光点 刺 激の奥行 位 置が注 視 面か ら近づ くほ ど よ り顕著に なっ た。
これ らの結 果は,
異な る奥行位 置に提 示さ れ た2
つ の 刺 激の 出現の同時 性や時 間順序の知覚は,
単一
の刺 激に 対 する処 理の時 間 的 特 性か らは予 測で き ない ことを 示 し て い る。 複 数の事 象の同 時 性や時 間 順 序の知 覚は,
単一
.
一
の事 象に対 する知 覚 処理の時 間 特 性とは 別の仕 方で決 定 さ れて い るので あ る。3.
実 験2
3.
豆 異な る 奥 行 位置 にお ける様々な 事 象の時間順 序 知 覚 奥 行 位 置によ る見か けの同 時 性や時 間 順 序へ の 効果の 基 礎に は どのような過 程があるの だ ろ う か? こ の問 題 につ い て検 討 するた め,
実 験 2 と実 験 3 を行っ た。 実 験 2で は,
2つ の 奥 行 位 置で 様々な事 象を生 起させ,
奥 行 位 置がそれ ぞ れの事 象の同 時 性や時 聞 順 序の知 覚に どの よ うに影 響を及ぼすか検 討し た。
注 視 点 近 傍よ り,
観 察 者に よ り近い奥 行 位 置にお け る刺 激 出 現ほど 遅れて知 覚 される とい う特 性は,
突 然の刺 激 出 現に関して だ けで は な く,
様々 な事 象に関して も共 通に認め ら れる もの だろ うか。
も しそ う であ れ ば,
人 間の視 覚にお ける時 間は奥 行 位 置に対 応 して 歪んで い る とい うこと が考え られ る。
244
基 礎 心 理 学 研 究 第28
巻 第2
号 他 方,
より近い空 間にお ける事 象 が 遅 れて知 覚さ れ る と い う特 性が突 然の刺 激 出現 を含む一
部の 事 象だ けに限っ て生 じ るの で あ れ ば, こ の特 性は, そうし た一
部の事 象 の処理 を行 う過 程の特 性を反 映し たもの と考え るこ と が で きるだろ う。3.
2
方 法実験で は
,
実 験 Lと同 じ実 験 装 置が刺 激 提 示に用い ら れ た。 実 験 1と同 様,
光 点 刺 激の突 然の 出現の条 件が設 け られ た。
ま た,
それ 以外に,
あ ら か じ め異なる奥行 位 置に提 示 さ れて い た 2つ の刺 激の 色 彩が緑か ら青に変 化 する条 件と, あら か じ め異な る奥 行 位 置に提 示されて い た 2っ の光 点 刺 激が そ の奥 行 面 上で2,
9arc
min の 距 離を水 平 移動する条 件が用 意さ れ た。 そ れ ぞ れの 刺 激 は, 観察 者が 見 か けの時 間 順 序を報 告す るた めの キー
を 押す まで画 面 中に提 示さ れ た。 瞬 間 的 刺 激 提 示,
水 平 移 動,
色彩 変化の3
通りの条 件 そ れ ぞ れ にっ いて,
最初の 実 験と同 様に恒 常 法に よっ て,
異な る奥 行 面にお け る事 象が同 時に知 覚されるた め に必 要な時 間を測 定 し た。
2っ の刺 激の 間の両 眼 視 差 は, 実 験 1 と同様,5.
8arc
皿 inで あっ た。実験1
で 用い た5
通 りの 奥 行 条 件の うち注視面 近 傍の 3条 件(Be−
hind
FP ,
Around
FP,
In−
front−
of FP )が奥 行 位 置 条 件として 用い られ た。 それ ぞ れの刺激の出現や位 置もし く は 色 彩 変 化の 間に
16ms
ス テ ッ プで一
64’
v64 ms の 9段 階の 時間差条 件を 設 け た。 ま た,
この SOA 条 件で は手 前の 刺激が先に提 示さ れ た頻 度が 50%に な る点 を 求め ら れ な か っ た場 合,
64 ms ス テ ッ プ で一256〜256
ms の 9段階の時 間差条件で の 追加実 験を行っ た。 被験 者の 課 題は,2
っ の刺激の う ち,
後に出 現し たり位 置 移 動,
色 彩 を変 化さ せ た刺 激が手 前か奥の光 点 刺 激の ど ち らで あ っ た か を キー
押 しに よっ て報 告 するこ とで あっ た。3.
3 結 果 と考 察 Figure3
に示すよ う に,近い奧 行 空 間における事 象ほ ど遅れて知覚さ れ る とい う結果は,
突 然の刺 激 出 現に お いての み認め ら れ た。 この結 果は,
「知 覚にお ける同 時 性 30 20 10O10.
〔
巨
り
の
盈コ
建一
石 詰」
O=
き 雪局
Ω Φ一
〇
曇」
ε訊
琶 二 霍あ
箇
く Sudd3n.
P鳴5日蹴a 吐ig“ Nt5丁
一
⊥
τゴ
ー 上 酬 nd A噂
凵
nd I卩
.
剛心
f FP FP FP Sh愉.
posltjon 302010G一
tOiI
↑
Coier−
Change 8040o ー 冂1
[ 4 Benind舳
制 Inイ
旧
冖
ヒ.
nt ethind 働 鬮 L臣
剛.
Ct FP FP FP FP FP FP Depthpesition
cendi ヒbns
Figure
3.
Results of Experiment 2.
Mean andSE
of theSOA
for
the perceptual simulta−
neity.
や時間 順序が,
どの よ うな内 容の事 象で あっ て も,
奥 行 位 置に よ っ て 同じよ うに歪む 」 とい う仮説を否定す る も のである。 あ らか じめ異な る奥 行位置に提 示さ れて い た 刺 激に お け る 色彩の変 化や奥 行 面上で の位 置 移 動におい て は,
どの奥 行 位 置におい て も,
事 象 が 同 時に見え る た めの時 間は ゼロ と有 意な隔た り は なかっ た。 こ の こ と は, あらか じめ提示さ れて い た刺激における様々な 属 性 の変化は, 奥行位 置が知 覚の タイ ミングに一
貫 性のある 影 響を与えな い ことを 意 味 して いる。
実 験2
の結 果か ら,
よ り近い位 置ほ ど事 象が遅れて知 覚されるとい う傾 向は,
突 然の刺激 出現に関 する処
理に お け る特 性を反 映 して い るもの と考え られる。
突 然の刺 激 出 現に関 わる知 覚 と して は,
異な る位 置に刺激が提示 された場 合に駆 動 する 運動検出の 過程を考え るこ と がで き る だ ろ う。4。
実 験3
4.
1
奥行方向の運 動知覚に お け るバ イア スの検 討 ここまで の実験で は,
2 っ の刺 激は突 然 提 示され,
そ の位 置に提 示 さ れたまま であっ た。
この よ う な刺激 提示 であっ ても,
突 然の輝 度 変化が あ れ ば,
運動検 出の過程 は駆 動さ れ る と考え ら れ る。 で は,
2つ の刺 激がそれ ぞ れ一・
瞬だけ提 示される,
典 型 的 な仮 現 運 動 を 引 き起 こす よ うな刺 激の観 察において,
実 際に,
よ り 近い 刺 激 位 置 に提 示さ れ た刺激ほ ど遅れて見 え る とい う傾 向 (つ ま り は, 接 近 運動が 見 え や す い とい う傾 向 )が あ るの だろ う か。 この こと を検 討するた めに,
異な る奥行位 置に1
フ レー
ムの間 だ け光 点 刺 激 を 提 示 し,
実 験2
に も参加し た 観 察 者に は見 かけの運 動 方向を 答えて も ら う追 加 実 験を 実 施し た。4.
2
方法 実 験 刺 激は実 験2 の瞬 間 提 示 条 件と類 似 して い た が,
光 点 刺 激 は それぞれ 提 示 後16ms
で消 失し た。 実 験 2 と同 様の3
通 りの奥 行 位置条 件に 2つ の 光 点 刺 激が提 示 さ れ た。
2っ の 光 点 刺激 提 示のSQA
に 16ms ス テ ッ プで一48 〜48ms
の7
段階の条 件を設 けた。 これ まで と 同 様の方 法で,
2っ の光 点 刺激が様々 な SOA で提示 さ れた。
観察 者は,
見 か けの 運動 方 向をキー
押 し に よ っ て報 告し た。 4.
3
結 果 と考 察 被 験 者別に,
そ れ ぞ れの 奥 行 条 件ことに見かけの運 動 方 向が接近, 遠 離 半々 と なる ような刺 激 提 示の タイ ミン グがProbit
法に よっ て産出さ れ た。 そ の結 果よ り,
接 近 運 動が知 覚 さ れ や す く,
接 近 運 動 と 遠離運動の確 率が 半々 に な る た めの 刺激提 示の間 隔は観 察 者により近い奥
(
のE
)
ω ⊃一
コE
濡 」 Φ 」 而 Φ 匚 〉一
Φ ≧董
o 」 o ‘ =2
>8
晝 。 ⊆ 誇 く120
80
40
o
一
40
Behind Around In
−
front−
of FP FP FPDepth
position
eonditionsFigure 4
.
Results of Experiment 3.
Mean and
SE
ofthe
SOA forthe
perceptual simulta−
neity
、
行 位 置で大 き くな ること が認められた (Figure 4),
その 間 隔は,
突 然の 2つ の刺 激 出 現が同 時に 見え るた め の間 隔よ り も大き な もの であっ た が, 奥 行位置に よ る変化の 傾 向は突 然の刺 激 出現に対す る出 現 順 序の判 断と1
司様で あっ た。
これ らの結 果は,
奥 行 位 置における事 象の タ イ ミングが刺激の提 示される奥 行 位 置に よ っ て影 響 を受け る とい う特性が,
奥 行 方 向の 運 動 検 出 過 程におい て接 近 運 動が知 覚されや すい とい うバ イア スに基づ くこと を示 唆 するものである。 異なる 奥 行 位 置にお ける同 時 性 や 時 間順序の判 断において こ の よ う な特 性が あ ること が時 間 に関す る様々な知 覚の 基礎にあ る過 程の理解に対して持 っ 意 義につ い て は本 論の最 後の 章におい て考 察 する こと とする。5
. 実
験4
5.
1 先 行 刺 激 提 示に よる 促 進 効 果の検 討 視 覚 刺 激 を 瞬 間 的に提 示 してから数 十〜
数 百ms 後に 別の 視覚 刺激を提示する と,
後 者の 処理 が速め られ るこ と が知 ら れて い る。 先行提 示さ れ た刺激によ っ て注 意が 駆 動され,
注 意を向け ら れ た領 域に お ける処理 が 速 め ら れることに基づ く現 象 と考え られてい る。
線 分 刺 激 を 提 示 する前に,
線 分の ど ち らかの端 点に近い位 置に先 行 刺 激 を 提 示 ず る と,
線 が 先 行 刺 激 の側 か ら描 か れて い くよ う に 見 え る。 これ は,
物理的に は存在し ない時 間 的順序 性が生じ る錯視現 象で あり,
線 運 動 錯 視と呼 ば れて い る(
Hikosaka,
Miyauchi,
& Shimojo,
1993a }.
先 行 刺 激によ っ て 駆 動さ れ た不随意 的な注 意 (
Stimulus一
工nduced attention )に よ る促 進に基づ く現 象と考え ら れて い るeま た
,
観 察 者 が意識 的に向 け る 注 意 (Voluntary
atten−
tion)に よっ
て も線運 動錯 視が生 じ るこ と が知 ら れ ている(
Hikosaka,
Miyauchi,
&Shimojo,1993b
).
線 運 動に関 して は
,
注 意に よる促 進だ けで は な く,
仮 現 運 動の 過 程 の 介 在 も 知 ら れ て い る 〔Kawahara ,
Yokosawa ,
Nishida,
&Sato,
1996 >が,
先 行 刺 激 提 示によ り後 続の 視 覚 刺 激の処理 が促 進さ れる ことは多 くの研 究に よ っ て 示されてきており,
そのよ うな促 進が線 運 動 錯 視の生 起 に寄 与して い る もの と考え ら れて い る。 両 眼 視差に よ る奥行 空 闇の 中で先 行 刺 激を提 示 し た場 合,
そ の促 進は奥 行 空 間 上の近 さに よっ て決 まる の だ ろ う か ? あ るい は,
網 膜 上の 近さ に よっ て決ま るの で あ ろ う か ? こ の問題を検 討す る た め に, 両眼視差で規 定 さ れる奧 行空間 内に,
実 験 1 と同 様の 2つ の光 点 刺 激を 提 示 し,
その時 問 順 序の知 覚に先行 刺激の位置が 及ぼす 効 果を検 討する実 験 を行っ た。5.
2
方 法 実 験 装 置は実 験1,
2 と同 様で あっ た。 灰色の背 景 上に 実 験1
と同 様の赤い洪 視 点 と2
っ の 光点刺 激を提 示 し た。 光点 刺 激と注視点との間の 両 眼 視 差は, そ れぞれ交 差視 差と非交差視差で 29arc min で あっ た (実 験 1の Around FP と同 様の条 件 )。
それに加え,
2っ の四角形 の先行刺激 (26 ,
0
×25.
4arc
rnin)を提 示し た 。 注視 点に 対する2
っ の 先 行 刺 激の 両眼視差は交差 視 差も し く は 非 交 差 視 差で14.
4
arc min で あっ
た。 先 行 刺 激に関 して は,
奥 行 空 間 上 と網 膜 座 標 上で の近 さ が一
致 す る条 件と 不一
一
t一
致 で あ る条 件を 設 け た (Figure
5).
先 行 刺激と相対 的に近い光 点 刺 激との 間の網 膜上の 距 離 は,.
・
一
方の眼で 5.
8arc mln,
他 方の 眼で 17.
4 arc min (一
致条件 ),
もしくは一
方の 眼で 2.
9 arc min ,他方の眼で
20.
3arc
min (不一
致条 件)で あっ た。 先行刺激と相 対的に遠 い光 点 刺 激 との 問の網 膜上の距 離 は
,一
方の眼で 11
.
6arc min,
他 方の眼で 29.
O arc min (一
致 条 件 ),
も し く は一
方の 眼で 14.
5arc
min,
他 方の眼で 26.
1arC min (不
一
致 条 件 )であっ たa 光点 刺激と先 行 刺 激との 間の 両 眼 視 差 ヒの距 離は, 相 対的に近い方で
11.
5arc
min,
遠い方で 17.
3 arc min で あっ
た。各 試 行におい て
,
先 行 刺 激に対 する観 察 者の奥 行 知 覚 を安 定させ る た めに,
白 色 正 方 形の先 行 刺 激は試 行 開 始 か ら提 示 さ れた。
観 察 者は,
先行刺 激の 奥行 知 覚が安 定 し たの を確 認 して か らス ベー
ス キー
を押 し た。
その後200 〜300ms
後に先 行 刺 激 が50
ms の間 消 失 する こ と を手が か り提 示と し た。
そ の 50ms 以後に一
46〜
46 ms の7
段階のSOA
条 件で2
っ の光 点 刺 激が提 示された。
光 点 刺 激の 奥 行 位 置×手がかり と な る先 行 刺 激の奥 行 位 置 X奥行上の 近さ と網 膜 上の近さ の 8条 件が,
そ れ ぞ れ ラ ンダム 順で20
回 ずっ 提 示さ れ た。 各 試行において,
246
基 礎 心 理 学 研 究 第 28巻 第2
号 口厂
r
、
−
■ー
ヘ
ノ
。 ・.
(
)♂
辱
、
6
。’
(
)、
一
!
。せ
○
、
一
,
Nearer cueロ
◎
丶
一
,
。
6
、
齟
−
ノ
冖
、
−
■ー
ヘ
ノ
一
・ □ 口 昌O
!
「
、
!
6
More distant cue Figure 5
,
The
conslstent conditionin
close−
ness and
depth
order condition forthe
cue.
The closeness between the cue and stimuli in
retina1
irnage
wasinconsistent
with thecloseness
in
depth
dimension
in
the uppercolu皿 n while
it
was consistent with thecloseness in the depth dimension in the lower
column
.
観 察者は, 実験1
と同様の 仕 方で, 遠い光 点 刺激と近い 光 点 刺 激の ど ち ら が後に見え た か を キー
押しによっ て答 え た。
そ の キー
押 し と同 時に 2っ の光 点 刺 激が 消え,
次 の試行の先行 刺激が そ れ ぞれの奥行 位置に提示さ れ た。
あ ら か じ め提 示さ れて いた先行刺 激に対して意識的に 注 意を向 ける意 識 的 注 意 条 件 も設け た。 刺 激 条 件は,
上 述の 不 随 意 的な注 意を一
方の先 行 刺 激の 瞬 間 的 消 失に よ っ て 引 き起 こす 刺 激 駆 動 的 注 意 条 件と同 様,
光 点 刺 激 の奥 行位 置×手が か り と な る先 行刺 激の奥行 位 置×奥行 上の近さ と網 膜上の近さの 8 条件で あっ た。 刺激 提示は 64試 行か ら なる 10 ブロ ッ ク に分 けられた。
各ブロ ッ ク におい て は手がかり位 置 が 固 定されていた。 各ブロ ッ ク の開 始 前に,
観 察者は その ブ ロ ッ クで意識 的に注 意を向 け るべ き手が か り刺激の奥行 方向を指 定さ れ た 。 各 試 行 にお いて,
観察者 は,
指 定 さ れ た 奥行 位置の 夕一
ゲ ッ ト に注 意を 向 け た 後,
ス ペー
ス キー
を 押 し た。
その後200
〜
300 皿s の間 隔の 後,16
ミ リ秒ス テ ッ ッ プで64 〜64
ms の9
段 階のSOA
条 件で2
っ の 光 点刺 激が提示さ れ た。
観察 者は,
実 験1
と同様の仕 方で,
遠い 光点 刺 激と 近い光点刺 激の ど ち らが後に 見 え た か を キー
押しによっ て答え た。 キー
押し と同 時に2
っ の 光点刺激が消え,
次 の 試 行の先 行刺激 が そ れ ぞ れの奥 行 位 置に提示さ れ た。5.
3
結 果と考察 各手が か り条 件に お け る先 行 刺激に よ る促 進の程 度を 産 出 す る た めに,
各 手 が か り条 件と手が か り を 提示 し な 50蓮
・・葺
・・1
・・1
丗 Q T 丁 ⊥1
⊥圭
T
亠
Mo「e Nea「 More Nea「
Dls砲nt Cue Djstant Cue
Oue Cue 504a3020T
}
⊥T
一
1
N=
5 『0 王 oMo「e Nea「 More Near
Distant Cue D「stant Cue Oue Cue
T
一
上Figure
6,
Results
ofExperiment
4.
Mean
andSE for the
perceptual
simultane 正ty.
Stimulus−
induced attention condition (1eft)
,
and Volun−
tary attentiQn condition (right )
.
い条件に お いて
. 2
っ の光 点刺 激が同時に見え る た めに必 要なSOA を産出した (Figure 6)
.
Figure 6a は,
不随意 的 な刺 激 駆 動 的 注 意 条 件で は
,
注 視 点よ り近い空間に 提示された先行 刺激が手 がか りとなっ た場 合によ り大き な促 進 効果 が あっ たこ と を示唆 して いる。 ま た,
両眼視 差の規 定 する奥 行 空 間 上の近さ と網 膜 座 標 上で の近さが一
致し た場 合に,
よ り大 きな促 進 効 果があ っ た こ とが示 唆さ れ た。 手が か りと な る先 行 刺激の 奥 行位置×奥行上 の近さ と網 膜 上の近さの一
致の2
要 因の繰り返 しの あ る分 散 分 析を実 施し た とこ ろ,
2 要因の交互作 用は有 意 で は な か っ た が,
手がかり と な る先行 刺激の 奥行 位 置 [F(1,
4);13.
823,
p
<0.
05
]と奥行上の近さ と網 膜上の近 さの一
致 [F
〔1,
4)= IO.
981 ,p
くO.
05]の主 効 果がそれ ぞ れ有 意で あっ た。 これ らの結 果は,
奥 行 空 間と網 膜 座 標そ れぞれにおい て先 行刺 激に よ る情報 処理促進の効果が あ ること を意 味 して い る。 奥行空間上の近さと網 膜座標 上の近さが不一
致の条 件の結 果か らは,
今 回 扱っ た空 間 的 配 置に お い て は,
奥 行 空 間 内で の促 進の方 が 網 膜 座 標におけ る促 進よ り も強かっ た こと が う か が わ れ る。 他 方, あ ら か じめ提 示さ れてい た先 行 刺 激の一
方に意 識的 に 注 意 を向け さ せ,
同 じ よ うに2
つ の光点 刺 激の順 序 判断 を行わ せ た 意識的 注 意条 件で は,
2 つ の光 点 刺 激 の提 示が同 時に見え る ため のSOA
は 5〜15ms
の 範 囲 に と ど まっ た(Figure
6b
).
奥 行 位 置や網 膜座標.
ヒの近さ に よる有意 な効 果 も認め ら れ な か っ た。 これ ら の結 果 は,
刺 激 駆 動 的 注 意 と意識 的 注 意とで,
奥 行 空 間 内で の 情 報 処理促 進の仕 方が異なっ て い るこ と を示 唆して い る。6 ,
全体 的 考 察 6.
1 奥 行 次元 にお け る 異 方 性先 行 研 究が示 すよ うに
,
単一
の刺 激に対 して は,
注視点よ り遠い 空闇にお け る刺 激よ り は 近い 空間にお ける刺 激に対 して速 く処 理 さ れた(
Alvarez,
Semmlow ,
& Pe−
drono,
2005 ;Bradshaw,
Rogers,
& De Bryuyn,
1995 :DQwing &
Pinker,1985
;Gawryszewski,
Riggめ,
Riz−
zolatti
,
&U
皿ilta
,1987
;Hung ,
Zhu ,
&Chiuffreda,
1997 :Miura
,
Shinohara,
& Kanda,
2002 ;Mustillo,
1985 ;
Pattersorl
et aL,
1995 ;Yang,
Bzucci,&Kapoula ,2002
).
そ れに対し,
実験1,
2
の結 果が示す よ うに,
注視 面を挟んで2
っ の 刺 激を観 察 者に よ り近い奥 行 位 置と より遠い奥 行 位 置に瞬 間 的に提 示 し た場 合,
より近い刺 激の提示が遅れて 見え る傾 向が あ っ た。
また,
不随 意 的 注意に お いて は, 注 視点よ り も近い空間に あ る手が かり に よ る促 進の効果は,
よ り遠い空間にある手が か りの促 進 効 果よ りも大 きか っ た (実 験 4)。
2つ の刺 激におい て は観 察 者 側の刺激が遅れ て見え る とい う傾 向が,
瞬間的 に提 示さ れ た刺 激に対 して は接近 運動に見 え や すい とい う奥 行 方 向の 運 動の処 理 過 程の特 性 (実 験 3) を反 映 し て い るとすると,
異な る奥 行 位 置に提 示 さ れ た2っ の刺 激に対す る時 間 的知覚の 特 性は, 単一
の刺 激に対す る知 覚の時間 特性と も整合 的で あ る と言え る。 な ぜ な ら, ど ち らの特性 も,
視 覚 系に は注 視面よ り も近い空問におけ る事 象や変 化に迅 速に対 応 するバ イ アス が あることを 示 す ものだ か らで あ る。 注 視して い る点よ り遠い空間に突然刺 激が出現 す る場 合と比べ ると,
よ り近い空 間にお ける突 然の刺 激 出 現の 方が生 体に とっ て は よ り 危険で あ る 可能 性が高い。
注 視 点よ り 近い空間に突 然 提 示さ れ た刺 激が接近 運動に見え る とい うバ イア ス は,
視 覚系が潜在 的な衝突の危険性に 備え た もの に な っ て い る こと を示 唆して い る。 注 視 点よ り近い奥 行 空 間に お け る刺 激に対 するこ うした優 位 性や 偏 好は,
よ り近い空間におい て突 然 出 現し た刺 激に対 し て よりす ば や く対 処 することの 生 態 学 的 妥当性に対 応 し た もの と考え られ る。 実 験 4で は,
刺 激 駆 動 的 注意 と意 識 的 注 意と で,
奥 行 空 間 内で の情 報 処 理 促 進の仕 方が異なっ て い た。 刺 激 駆 動 的 注 意は,
よ り近い奥 行 空 間に お け る変 化に迅 速に対 応 する よ うバ イ ア ス が ある と い う知 覚 的 処理の特 性と対 応 して いるよ うである。 両 眼 視 差に よっ
て規 定される奥 行 空 間 上で の近 さ だ けで は な く,
網 膜 座 標 上で の近さに も影 響を受け る と いうこ と も,
先 行 研 究(Kawahara et al.
,
1996)が示 唆 するよ うに運 動 検 出の よ うな初 期 的な 処理 が刺 激 駆動 的注 意に よっ て引き起さ れ る知覚現象に 介 在して い る こと を示 唆 する。
他 方,
意 識 的に注 意を向 ける場 合,
その促 進 効 果に は奥 行 位 置や網膜 座 標 上の近 さ に よっ て は注 意によ る促 進 効 果へ の影 響は認め ら れ な か っ た。 刺激 提示によっ
て強 制 的に駆 動さ れ る刺 激 駆 動 的 注 意 と観 察 者の意 図に よっ て駆 動される意 識 的な注 意 の 基 礎に ある過 程の違いが反 映さ れて い るもの と考え ら れ る。6.
2
同時性 や時間 順序の知 覚の基 礎 本 論で紹 介 した実 験 1,
2,
4で は,
2っ の刺 激の出 現や2
っ の刺 激に関 する事 象の時間順序を判断させ た。
その 結果,
刺激位置と注 意に よっ て異な る奥 行位 置に お け る 同 時 性 や 時 間 順 序が影 響 を 受 けることが 示 され た。 先 行 研 究に よ る と,
視 聴 覚 刺 激の同 時 性 判 断な どに おい て も,
時間 順序 判 断と同 時 性 判 断 と は,
基 礎 に あ る 過程が 異な る可能 性が指 摘さ れて い る (Fujisaki
&Nishida,
2009 ).
本 研 究 結 果 は,
時 間に関 する様々 な知 覚 課 題 別 に,
様々 な知 覚 様 相の特 性が どの よ うに関与し て い るか を整理する必要が あ ること を示して いる。 異な る 奥行 位 置にお け る事 象の同 時 性や時 間 順 序,
持 続 時 間に つ い て の 知 覚 に 関 する先 行 研 究 (Eagleman ,
2005
;Fujisaki &Nishida,2009
;Pariyadath
&Eagle・
man
,
2007 ;Stetson,
Fiesta,
&Eagleman ,2007
)は, 時 問に関連し たの知覚は単
一
の時 間 知 覚の様 相の よ う な も の に よ っ て 成り立つ の で はな く,
事 象の内 容に よ っ て (あ るい は,
事 象の 内 容に対 応し た処理過程の 特 性に よ っ て), 同時 性や時間的順序の知 覚の基礎に あ る 過程 が異な るこ と を 意味して い る。 ま た,
こ こ で紹 介 し た実 験1,2,
3 の結 果は,
瞬 間 的 な輝 度の変 化に よ っ て運 動 検 出過程が駆 動す る よ う な事 象の 場 合,
同 時 性 や時 間順序 に関す る知 覚は, 接近 運動が 見 え やすい とい う奥行方 向 の運動に関す るバ イア ス の影響を受 けること が示 唆さ れ た。
これ らの結 果か ら,
時 問に関 連 し た様々 な知 覚は,
視 覚 的 運 動 情 報の処 理 過 程の よ う に,
各 知 覚 様 相におけ る様々な刺 激 属 性の処理 に お け る時 間 的特性の総 合の 結 果に よっ て決 定さ れ ること が推 察さ れ る。 今 後,
時 間に 関 する知 覚の基 礎過 程を 理解 するうえで,
様々 な属 性の 処理 にお ける時 間 的 特 性が時 間に関 する知 覚に どの よ う に寄 与 して い る のか を整 理 する こと が重 要で ある こと を 指 摘で き る。 引 用 文 献Aivarez
,
T.
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Sem 皿 low,
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ini・
248
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