第7群:29
不 妊 夫婦 の 治 療 生 活 お よ び
夫婦 関係 の認 知 に関す る分析
○ 聖路加看護大学 森 明子
東京女子医科大学看護短期大学 村本 淳子
I.は じめに 生殖医学 ・技術の進歩によ り,不 妊治療の概念 は大きな変換を遂げて きた。新 しい治療方法,治 療の場の 拡大は不妊の夫婦に妊娠 ・出産の可能性 をも拡大 したかの よ うに迫 っている。 しか し,多 くの不妊夫婦に とって妊娠 ・出産までの道の りは 遠く,治 療を選択 し継続す る患者 としての生活の 過程は決 して容 易な ものではない.不 妊 とその治 療の体験は不妊の原因 や治療法の種類 によっても 異な るが,男 女個人各 々の自己同一性や結婚生活 ,夫 婦関係な どに さまざまなス トレスフルな影響 を及ぼす ことが指摘され てい る。治療 を受 けてい る不妊夫婦の そ うした現状 を記述的に明 らか に し 看護の視 点で課題 を確 認す ることは今後 の研究や 支援を検 討する上で役 立つと考 える。 本研究 の目的は次の とお りであ る。 1.不 妊夫婦の妻の 不妊および治療に対す る体験 認知,妻 による夫お よび夫婦間の体験の認知 を明 らかにする 2.不 妊夫婦の夫 の不妊および治療に対す る体験 認知,夫 に よる妻 および夫婦間の体験の認知 を明 らかにす る II.方 法 1.対 象:設 定 した条件は,1)医 学的な診断 を受 け,不 妊治療 を受けは じめてか ら1年 以上経過 し 現在治療 を継続 している,2)過 去に流産,出 産の 経験がな い,と した。先行調査 として,不 妊夫婦 の妻54名に不妊 とその治療の体験に関する質問紙 調 査を行 い,そ の回答 の中で面接調査 の承諾 が得 られた8名 を対象 とした. 2.期 間:1994年11月 ∼1995年5月 3.デ ータ収集方法:妻 への面接は,家 庭を訪問 して,ま たは研究者の勤務す る施設において,実 施 した 。妻へ の面接後,夫 への質問紙 を手渡 し, 妻 を通 して夫 に調査 を依頼 した。 質問内容は,1)不 妊/治 療に伴い治療上 ・生活 上遭遇す る問題,2)不 妊/治 療についての選択, 3)不妊の意味づけ ・評価,4)夫 婦間の一致 ・不一 致および夫婦関係 を軸 とした半統制型 とした.許 可が得 られた場 合はテープ レコーダに録音 した。 4.デ ー タ分析方法:得 られ たデー タは記述資料 とし,内 容分析 を行 った。夫 側のデータは質問 紙 に記述 された 回答 を用いた。 III.結果 対象者は,1不 妊専門ク リニ ック施設 に通院す る妻8名 および夫2名 であった 。対 象者 の年齢は 平均34.3歳(妻)で あ った。不妊の原因(妻 の報 告による)は,排 卵障害,卵 巣 ・子宮の腫瘍性疾 患な どが3名,精 子減少症が5名(夫 婦が合わせ 持つ1組),原 因不明が1組 であ った 。妊娠 を希 望 してか ら受診,検 査 を受 けるまでの期 間は,1 年未満1名,1∼2年6名,4年1名 であ った。 治療期間は,1年1名,2∼3年1名,3∼4年 3名,4∼5年1名,8年1名 であ った 。治療は ,ホ ルモン剤や漢 方薬 による薬物療法,配 偶者間 人工授精,体 外受精が行われ,男 性不妊では,夫 に も薬物療法が行われ ていた 。 1.妻 の不妊お よび治療 に対す る体験認知,妻 に よる夫お よび夫 婦間の体験認知 1)不妊/治 療に伴い治療上 ・生活 上遭 遇す る問題 (1)治療 と関連す る問題 と反応 8名 全員 に転院の経験があ った.そ の理由は, 治療方法の進展を求めた,病 院 ・医師に対す る不 満,医 師の紹介による ものであ った 。治療の場( 過去に治療 を受けた場 を含む)に 対 しては肯定的 ,否 定的反応 とがあ り,要 因には,施 設の特性や体制,医 師 や看護 婦の態 度が挙げ られた 、 「完全 予約制なのです ご く楽 」 「医師の専門外だ ったの でほお りだ された感 じだ った 」 「待 ち時間が長 く ,医 師 と話 す時 間が短か った 」 「不妊専門ではな い病院では精神面のケアが薄か った」 「態 度の悪 い医師 もいた 」 「個室ではな く,医 師 も代 るので 尋ねに くか った 」 「看護婦 にや さ しく声 をかけて もらうと安心,心 強 い 」 「看護 婦 と世間話がで き る とい うのが気分的 にす ごく楽 」 「看護 婦が恐い と悪いこと して るわけ じゃな いがそ うい う気持ち になる 」 「看護婦の接 し方が冷た く,人 間 じゃな い とい う感 じだ った 」な どだ った。 受けている治療に対す る反応には,要 因 として ,診 察法 の特性,治 療に用 い られ る薬剤,説 明や 情報提 供の しかたや同意の得かたがあ り,さ らに 不妊原因,治 療方法 の関連が推 察 された 。内診に 対 し,否 定的反応 を示 したのは2名 で,「 私だ っ て嫌 」 「嫌な ことを させ られ てる と思 う」と,そ れ ぞれ双方の原因,男 性不妊 の妻 で,人 工授精 を 受 けていた。治療に用い られ る薬剤 に対 し,「 排 卵誘発剤で太 り,体 型が変 り,嫌 だった」のは1 名で,薬 が将 来自分のか らだに何 らかの影響 を及 すのではないか と不安に思 う者が4名 いた 。 うち 1名 の男性不妊で人工授精 を受けている妻 は 「せ っか く健康に生 まれて きたのに 自分のか らだがか わいそ うでつ らい」と述べていた 。医師 の説明や 情 報提供,同 意の得かた については,6名 が言及 した。 「素人向けに省略せ ず説明 して欲 しい 」 「 その施設での成功率な どのデータ,治 療 に伴い起 こ りうる気持ちの変 化,あ き らめ る人 に関す る情 報 も欲 しいが得 られない 」 「薬品名は処方時 も言 われない し,積 極的に聞かない 」 「知 りたい こと 全部 を細か く聞 ききれない,夫 に報告 し質 問され て も説明できない こ とが ある」 「手順の概 要のみ 説 明され,そ の時 にな ってわか ったこ とは先に知 っておきたいこ とだ った 」な ど,医 師の行 う説明 や 情報提供に対す る不満,非 充 足感があ った 。ま た,人 工授精 を受 けている妻2名 は,医 師が判断 した人工受精の実施時期 と自分のか らだで感 じる 排卵時期の不一致 を主張で きな いことによるス ト レスを訴 えていた。 (2)生活上遭遇す る問題 と反応 フル タイム有職 者3名,パ ー トタイム有職者3 名,無 職2名 で あった。無 職の者 も自営業の手伝 いや サークル活動な どを行 っていた。 フル タイム の全員が通院の継続,治 療方法 の転換 に関 し,仕 事 との葛 藤に悩み,う ち1名 は退職 を決意 してい た。パ ー トタイムの うち2名 ももっと仕事や 他の 活動 に打 ち込みたい気持 ちがあ り,中 途半端感が あ った。性周期 に感情や行動 が左右 され ることに 言 及 した者は2名 で,男 性不妊 の妻は 「排卵 日や リズム をいつ も気 に し,自 分 のか らだ を観測 して しまい,生 理 が くる とが っか りす る。生理が くる といいや と動 く」,女 性不妊 の妻 は 「生理が くる と自分 を責めて しま う」 と述べ ていた 。旅行 や リ ク レー シ ョンに関 しては,予 定 ・実 現 しづ らい と 否定的,消 極的な者 と,少 しの休 みで も計画 ・実 行 してい ると積極 的な者 とがいた。性生活 に関 し ,さ まざまな反応がみ られた 。 「人為 的。 自然 に 子 どもがで きていれ ば意 識 しな かったのに 」とい う者,[凍 結を始め てか らは縛 られ てる感 じ」 「 自分の 中で何かが変 り,嫌 にな った。体外受精 に なった らSEXなしで もで きることで も変 ったか も 」と,治 療方法 との関連 も示唆 す る者,「 排 卵 日 に うるさい と寝て しま う。女 か らは言いに くい 」 「夫 もわか って くれてい るのでいつだ よと言 って い る」と,夫 との関係で言 及す る者がいた 。親戚 ・知人な ど周囲の人 との関係について もさまざま な反応がみ られた 。子 どもにつ いて聞かれ ること が ある者 と聞かれ ない者がお り,不 妊期間 と関連 していた 。これ に対 し,「 あま り気にな らない 」 「うっ とお しい 」 「避 けた い 」とい う反応が あっ た 。不妊で あることを話 せ る者 と話せな い者(話 した くない,話 す こ とを制限 してい る,制 限され てい る)が いた 。いず れ も不妊原 因,治 療方法, 親戚づ きあいの範囲,同 胞の性別,仲 間(不 妊の 人)の 有無,本 人や 周囲の人の価値観,関 係の質 な どが関連 していた 。気持 ちが乱され る人 々の 出 来事は,身 内の妊娠 ・出産が もっ とも多 く,「 シ ョック」 「うらや ま しさ 」 「よろこべない 」とい
う反応だった 。 2)不妊/治 療 についての選択 最初の受診 に積極的だったのは,8組 すべて妻 だった 。初回の受診施設を身近な人の紹介や近隣 であることによって選択 した者7名 に対 し,不 妊 治療で知 られていることで選ん だ者は1名 だ った 。不妊に関する知識 を得て受診 した者 は2名,な か ったとい う者 が5名 だ った 。夫が検 査を妻 と同 時期に受 けたのは4組,後 に受けたのが4組 で, その中には受ける よう勧め られなかった り,採 取 に失敗 した ことで先延 ば しにな った場 合が あった 。治療を中断 した経験のある者は3名 いた。理 由 は,薬 剤の作用で太 った,検 査 のや り直 しが嫌だ った,不 安や疑問 をもった,で あった 。現在の治 療に対する考 えと して,こ こまで とい う線 を引い ている者は2名,子 どものいない人生 を並行 して 考えてい る者は4名,と にか く続 けたい と考えて いる者は2名 だ った 。線 を引いてい ると述 べた1 名は,「 もうあきらめ ようと思 ってい る」とす で でに医師に告げた ことがあ り,も う1名 は,「 生 むだけでな く育て る年齢があ り,い ろんな意味で 負担があるので続 けるわけにはいかな い。子 ども のいない人生で も十分思い切れる と思 ってい る」 と述べていた。 とにかく続けたい と述べたのは, 治 療期間が もっ とも短い者 ともっとも長い者だ っ た。前者は,「 まだ新参 者の よ うな もの 」と述べ ,後 者は,治 療 も 「自然に したい 」と治療以外の 生活の楽 しみを重視 し,不 妊 に対 し 「精神的には そこに埋 もれ まい と思 っている 」と述べていた。 治療方法の転換 ・選択の際に,あ る妻は 「他院に 移 ると,人 工授精,体 外受精への道が できてお り ,そ この紹介でまた移 るとい っきに体外受精の話 にい って しまった 」と述べてお り,医 師 の認識 と 夫婦の認識 が連動 していない場 合もみ られた 。 3)不妊 の意味づけ ・評価 不妊体験にお ける肯定的な意味づ けについて, あると述べた者6名,な い と述べた 者2名 だった 。その内容 は,「 人生の多様性 を認め られ るよう にな った 」がもっ とも多 く,「 世間に不妊の人が いることに思い及ぶ に至 った 」 「人の痛みがわか る,人 が 傷つ くことを した くない 」が次 ぎ,「 夫 との仲が深 くな った 」 「生殖 の しくみが勉強で き た 」であった。時間の経過に伴 う不 妊に対す る気 持ちの変化 も認め られた 。 「今はそれ ほ どせ っぱ 詰 まった気持 ちがな くな り,自 分 で認め られ るよ うになってきた 」 「縁 がないんだ と思 うよ うにな ってきた」 「他に子 どもと接す る機会 はある と思 うように して る し,思 うよ うにな って きた 」 「病 院に行きだ してか らます ます子 どもが欲 しい気持 ちが強 くな って くる気 がする 」 「2人の子 どもが 欲 しい とい う単純な気持 ち と周 りにつぶ され そ う だか ら子 どもがいて くれた らいい とい う気持 ちが 半 々になった」な どであ った 。 4)夫婦間の一致 ・不一致,夫 婦関係 一致 していると述べた妻5名 ,不 一致があると 述べた妻3名 だ った 。不一致 点は,治 療に協力 し て欲 しいのに協力的ではない,自 分は もしか した ら子 どもはで きないか もしれ ない と思 ってい るが 夫はいつ かで きると思 っている,夫 は体外受精 を す るな ら非配偶者間人 工受精 を望 む と言 うが 自分 は体外受精 を望み,養 子 縁組の方が いいとい うも のだ った。それ ぞれ順 に,双 方 の原因,女 性不妊 ,男 性不妊 の夫婦だ った 。夫について言及 された こ とで,も っ とも多か ったのは,「 は っき り言い た くないのだろ うか 」 「直接気持ち を言わない 」 「聞いて もあま り答 えて くれない 」 「表面 にだ さ ないので内面的な ことはわか らない 」 「話合った こ とはない 」 「聞いてみた ことはない 」な どで, 不妊や治療 に関する夫 の思 い,意 見 を妻が知 りに くい,知 っていない状況 があるこ とが推測 された 。また,女 性不妊の妻 の中には夫に対 してす まな い気持 ちや負い 目があった り,男 性不妊の妻の 中 には夫 に対 してわか って欲 しい気持 ちや責めて し ま う気持 ちを向けて しま うとい う者 もいた。夫の 成績 が一定せず,採 取 した時の体調 と結果の不一 致 に納得 しにくい夫の気持 ちに気づ き,慰 め方 に 戸惑 う者 もいた。離婚を考 えた り,口 に した こと の ある妻 もいた 。 2.夫 の不妊 および治 療に対す る体験認知,夫 に よる妻お よび夫婦間の体験認知
不妊原因の認 識が夫に行 われ ている治 療 と一致 ていない場合がみ られた 。夫 は2名 とも夫婦間の 意見,気 持 ちのずれ を感 じたこ とがあ ると回答 し ,う ち1名 か らはその内容の記述 が得 られた 。こ の夫の感 じるずれは,自 分は妊娠や不妊は夫婦の 問題の範疇 ととらえてい るが妻 は他者 との関係に 発展 させ るこ とだ と し,こ う した点か ら他者 との 関係 について考 えられた ことは よか った と述べて いた 。 IV.考 察 1.妻 の不妊および治療 に対す る体験の認知,妻 による夫お よび夫婦間の体験の認知 今 日では,で きるだけその夫 婦の不妊原 因や治 療に合った不妊専門の医療 施設にアクセスできる よ うに援 助す ることが重要であ ると考 えられた 。 そ して,日 常の診療 の中で も看 護者のかかわ り次 第で女性の情緒 をよ りよく保つ ことに貢献できる 可能性がわかった 。女性 にとって不妊/治 療は, 特に職業生活,性 生活,他 者 との関係 に影響する ので,こ れ らを重要 なポ イン トと し,そ の女性 の もつ背 景を踏まえた助言 を提供で きるよ うな体 制 が施設 内にある と当事者 には さ らに有益で あろ う 。 また,治 療に関す るイ ンフ ォーム ドコンセ ン ト のあ り方 に疑問が生 じた 。人工授 精の例が示す よ うに,女 性 自身 もか らだについて感 じているこ と が あ り,そ うした情 報が医療者 と十分に共有され ておらず,ほ ぼ一方的 に医療者の判断で決め られ ,進 め られているのではないか とい う点で ある。 そのため女性に精神的な ス トレスが生 じていた 。 薬剤の作用 に関 して も同様 で,半 数 の女性 が不安 を抱 えたまま使用 してお り,問 題があ る。さ らに ,治 療方 法の移行時の選択に際 して も,医 師の認 識 と夫婦の認識 が連 動 して いな い例が あった 。半 数以上 の女性が不妊治療 にdead lineを設けた り子 どものいない人生 を想定 しつつ過 ごしていた。治 療に よる出産率の割合か らも考 えると,選 択 肢の 一つ として そ うい う方向があ ることを医療 者 も提 示 し,女 性 の気持ちの変 化に添 った援助 を考 える 必要があ る。従 って,治 療の中止や継続 を決定 し た他の女性 に関す る情 報の提供 も重 要で ある。半 数以上の女性 が不妊 体験 を肯定的 な側 面か ら評価 してい た。一女性 が成長する可能性の ある体験 と して認め る視 点を もつ こ とも必要で ある。 妻か らみた夫婦間の不一致 は少数の妻 に不妊原 因にかかわ らず 認識 され ていた 。 しか し,不一 致 点 の内容 には不妊原 因がかな り影響 している と考 え られた 。また,不 一致 が認識 されてい るか らと いって夫 婦関係の質の良否 をここでは問 えない。 妻 は不妊 や治 療に関す る夫 の思い,意 見を知 りに くいため,知 らない可能性 もあ るこ とが わかった 。夫 婦に とっての人生,生 活上かな り重要 な選択 を行 っていなが ら,夫 の意見,あ るいはその背後 にある思いや気持ち を直接たずね た ことのない妻 も多か った 。また,夫 が採取 した 時の体調 と結果 の不一致に納得 しにくい状 況に妻 が気づ いてい る 例では,妻 自身 も夫のサポー トの しかたに戸惑 っ ていた 。夫 にとって役 に立つ情 報を どの よ うに妻 が得た らよいのか,今 後の課題で ある。 2.夫 の不妊お よび治 療に対す る体験 の認 知,夫 による妻お よび夫婦間の体験の認知 夫が述べた不妊原因が 自分 に行 われ てい ると述 べた 治療 内容 と一致 していな い例 では,医 師や妻 か ら正 確な診断 につ いて説明 されて(伝 えられて )い な いか,認 め ていないか,ど ち らかの状況 に よると考 えられ た 。どち らに して も男性不妊 につ いて考 える一つの手がか りにな る と思 われた 。ま た,ず れが あると述べた夫 たちの思いや気持ちは 妻 とどの よ うに通 じあ うこ とがで きるのか,そ こ に どんな関わ りがで きるのか,今 後の課 題で ある V.お わ りに 不妊夫婦の妻お よび夫 の,不 妊や その治療,生 活,夫 婦 関係 に関す る体 験の認知 を記述的 に分析 した。その結果,治 療に関す るインフ ォーム ドコ ンセ ン トのあ り方,女 性の体験や気 持ちに添 った 支援 のあ り方,夫 婦間 に もた らされ る影響,夫 へ のかかわ りな どについて の課 題が確認で きた 。
第7群:30
授乳環境に関す る情緒工学的基礎研究
-授 乳室 における椅子の適正配置に関す
る研究-所属 愛媛大学医学部看護学科 ○後藤幸子 同上 竹下由紀 福井県立大学看護短大部 大川洋子 I 緒 言 授乳は出産後の褥婦に とってよろ こびの ある楽 しい行 為であ る。授乳の 場 となる室内環 境の快適 性 が確 保 されて いなけれ ば褥婦の 身体的,精神的 負担は大 きい。既研究の 授乳室の 室内環 境評価 か らプライバ シーの確 保,コ ミユニケー シ ョンの し に くさが指摘 され た1)。 またプ ライバ シーや コ ミユニケーシ ョンの適正 化 を図 るこ とは人間同士 の位置関係 を調節 してい くこ とであ り,椅子の配 置や位置 が重 要な要素 とな る ことが示 された2)。 そ こで本稿 では授 乳室 におけ る授乳椅子の 配置 が,褥婦相互の 心理 的関係性 を形成す る上で重要 な要素 とな る ことに着 目 し,授乳用椅 子の適正 な 配置等 につ いての要求条件 を抽 出す るこ とを 目的 として,これ を実験 的手法に よって導 き出す こ と を試み た。 II 方法 方法は レバ ー トリーグ リッ ド法 を応用 した。椅 子の 配置 を7パ ター ンに分類 し,4人 を単位 とし て設定 した(図1)。 この7つ の配置 例 をカー ド化 して被験者に 示 し, 好 ましい と思わ れ る順 に順位付 けを して も らう。 次に,順位付けの理 由 を上位 と下位の グルー プ別 に した上で 説明 を求め て録音 し,説明 言語か ら説 明要因の整理,分 類,分 析 を行 い、適 正配置 に関 わ る要求条件 として抽 出 した 。また授 乳経験の有 無等に よる結果 の比較検 討 を行 い,褥婦特有の要 求条 件を抽出 した。 調査 は平成7年10月 ∼11月 に実 施。被験 者は, 授乳経験の あ る褥婦34人(初 産婦13人,経 産婦 21人),授 乳経験の ない女子 大生30人 であ る。 1.対 向 配置 2.L型配置 3.飼 め配置 4.同 行 配置 5.背 反 配置 6.直 列配置 7.翻 み配 置 圖1 椅 子の配置例 III結果 (1)配 置 例 パ タ ー ン の 順 位 付 け の 傾 向 全 体 で は,1位 はL型 配 置(25人),2位 は 斜 め 配 置(19人),3位 は対 向 配 置(17人),4 位 は 囲 み 配 置(19人),5位 は 直 列 配 置(23 人),6位 は 同 行 配 置(27人),7位 は 背 反 配 置 (31人)と な っ た 。 そ れ ぞ れ 共 通 して,1位 に L型 配 置,4位 に 囲 み 配 置,7位 に 背 反 配 置 が 抽 出 され た 。2位 で は共 通 して 抽 出 され た 斜 め 配 置 と,女 子 大 生 がL型 配 置,褥 婦 が 対 向 配 置 と な っ た 。結 果 か ら見 た 順 位 付 け の 傾 向 と して,女 子 大生は 「好 ましい 」と考 え る配 置例 が似通 ってい る の に対 し,褥 婦では 「好 ましくない」と考 え る配 置 例が似通 って いた。結果 順 位に-3か ら+3の 得 点 をつけ,順 位の 得点化 を行 った結果 を表1に 示 す 。 表1 配 置 例別に 見た得 点 の平 均値 (2)尺 度 距離 と配 置例の グル ープ化 配置 例の評価の 差異 を明確 にす るため,一 対比 較法の応用 と してサ ース トンの ケースVの 計算式 に当 てはめ3),順位 の尺度化 を試み,ま た授乳 経 験の 有無 に よる評 価の違 い を よ り明 確にす るた め,尺 度 距離の差 が0.05以 下の 配置例 を グル ー プ化 し,比 較 した(図2)。 その結果,褥 婦 は女子 大生 に比べ てr好 ま しい」と考 える配 置 と 「好 ま しくない 」 と考 える配置 の評 価 に差 が明 確 で あ り,「好 ま しい」 と考 える配置例 間の差は ほ とん ど見 られ ない こ とがわか った。 (3)理 由付 けの言葉 理 由付 けの 言葉 は。個 々の配 置例に対 して使わ れ た言葉 を抽出 し,好ましい理 由 と好 ま しくな い 理 由 に分類,さ らに多 く使わ れ た言葉 を取 り上 げ,選 択 言語か ら一 定の要 求条件 を抽出 した。 褥婦 と女 子大生 との 選択の 比較 をす る と,女子 大生 は 「見 えるが見 られに くい」配置 を求 めて お り,「見 える」,「見 られ る」,「見 えな い」,「見 られに くい」とい った理 由か ら判断 し,順 位付 け ていた。一方,褥 婦 は、プ ライバ シー も重視 して いるがそれ 以上に 「見 える」,「話せ る」ことを求 め ていた 。褥 婦では,他 者の 「赤 ちゃんの様子 が 見 え る」,「見 て参考に な る」とい った ことを求め て いた(図3)。 (4)出 産回数 ・授乳室 経験の有 無に よる比較 初 産婦 と経 産婦に 分け,順位の 尺度化 を行い比 較 した。言葉 か ら要 求条 件 を分 析す る と、初 産婦 の場 合 「見 られ る」こ とに抵 抗があ りな が ら 「見 た い」,「話 したい」要 求が強 く見 られ た。一方, 出産 回数 が2回 以 上に なる と「見 られ る」こ とよ り 「堅 苦 しくない 」 こ と,等 の 要求 が見 られた 。 授乳 室経験の 有無の 違 いは、 「囲み 配 置」の 評 価 に大 きく現れ た。授 乳室経験 者(27人)は 「見 られ る」こ とに対す る抵 抗感 よ り,安 心 して授乳 で きる環 境 を求め てお り,より作業 性に 目が向 け られて いた。 IV.考 察 授乳室に おけ る椅子の適 正配置につ いて実 験的 手法 で,人 間同士の 位置 関係の7パ ター ンの 配置 例 か ら,褥 婦 に特 有の 要求 を抽出 した 。授乳室 に おけ る授 乳椅子 の配 置や位 置は,褥婦 同 士の心理 や行動に直接関わ る重要 な要素 である ことが示 さ れた。褥婦 が求め てい る椅 子の配 置へ のニ ーズは 空 間の認知 で もある。L型,対 向,囲 い型配 置が 好 まれて いる ことは、他者の 動作 が見 える、目が 合 った時会 話がで きる位 置,つ ま り 「見 え る」, 「話せ る」 とい った心理 的空 間 として認 知 し,親 近感,安 心感,連 帯性 を重 視 した椅 子の配 置 を求 め てい ると推察 され る。また授 乳 は乳房 を露 出す る動 作 を伴 うことか ら,プライバ シーの確 保 も重 視 してい るが,よ り褥婦 同士の 仲間意 識 が伺われ る。また,授 乳室 での授乳 経験 や出 産回数 が増 え る と 「見 られ る」ことによ る羞恥心や 抵抗 を感 じ る とい うよ り,他 者の 状況 を見 た り,参 考 に した りとい った 作業性,さ らには対 話 しなが ら楽 しく 授乳 で きる環 境に 目が向け られて いる ことが 伺え る。 授 乳室におけ る適 正な椅子配 置 と しての要 求条 件は 「見 えるが見 られに くく,連 帯 感 が感 じられ ,安 心 して授乳行 為が行 え る」 こ とであ った。 授乳室 で行われ てい る授乳の 場は,褥婦 に とっ ては集 団での作 業の場 とな り,また乳房 を露 出す る とい う行為の特性 を もつ情 況下での他者 との関 係 性の 中で行為す る。つ ま り授乳 作業 は、他者の 視 界の下 での行為 とな る ことか ら、視覚 によ って 授 乳空間 を意識す る行 為 とい える。その空 間認知 は、当然の こ となが ら情緒 が含 まれ る4)。
図2 尺度 距 離(授 乳経 験 の有 無 による比較) A B C D E F G 図3 配 置 例 間 の グ ル ー プ間 の 差 異(授 乳 経 験 の 有 無 に よ る此 較)
それ は,見 た り,話 した り,聞 いた り,触 れた り す る ことに よって得 る感覚(知 覚)情 緒 を感官の 作業で 自分の周 囲を取 りまい ている空 間的配置 と して 認知 してい る。空間の あ る部 分,つ ま り椅子 に注意 を向け て視線 を走 査 し,看護 を展開す るこ とは ま さにそ こに在 る もの を確 認 し,空間の実 在 を指向す る ことであ る。これ らの こ とか ら 「椅 子 の 配置」を介す る環境刺 激は,褥 婦に とって情緒 面 におい て大 き く影 響す るエ レメン ト5)とな る と いえよ う。 V.ま とめ 本研 究結果 で次の こ とが明 らかに なった 。 (1)椅 子の配 置例 を順 位の得点 でみ る と,褥 婦, 女子大生 共に 「最 も好 ま しい」と考 え る配 置はL 型 配置,2位 は褥婦 で は対 向配 置 で,女 子大生 は,斜 め ・囲み配 置であ った。背反 配置 は褥婦, 女子 大生 ともに 「最 も好ま しくな い」とい う評 価 で あった。 (2)椅 子の 適正配 置に関わ る要求条 件では,女 子大生 はr見 えるが見 られ に くい」配置 を求め て お り,褥 婦で は 「見 える」、「話せ る」配置 を求め てい る。 (3)順 位尺度化 での初産婦 と経産婦 を比 較では, 初 産婦は 「見 られ る こ と」に抵抗 あ るが,「見 た い」,「話 したい」要求 が強い。経産 婦は ブ ライバ シーの確 保 も重 視 して いるが 「見 られ る」ことよ・ り 「堅苦 しくな い」こと,を 挙げ てお り、連帯感 や 親近感 に関心が高 い。 (4)授 乳 室での 経験が ある褥婦 は,囲 み型配 置 の 評価が高 い。r見 られ る」 こ とに対す る抵 抗が 少 な く,親 しい雰囲 気,ゆ と りや 空間 についての の授 乳環境 を求め てい る。 おわ りに 快 適6)な授 乳環境の 設計計 画の提案 を 目途 に。看 護学 と情緒 工学的視点 か ら追究 して きてい る。今 回 は椅子の 配置の あるべ き方 向性 を求め た。 今 後の 課題 と して,褥 婦 間の距 離,相 互 関係, 周辺環 境 との 関係 とい った問題 が挙 げ られ る。 ま た母児 同室 制が6割 を占め る現 在,病 室 での 授乳 環境につ い て も検 討すべ き課題 であ る。 引 用 ・参 考 文 献 1) 大 川 洋 子, 後 藤 幸 子: 早 期 産 褥 期 の 授 乳 行 為 に 関 す る 人 間 工 学 的 研 究-椅 子 に 関 す る 対 象 の 意 識 調 査, 母 性 衛 生, vol.31, No4, P.639. 2) Yukiko Goto, Yoko Okawa: Reserch on the Sp
atial Layout of Breast-Feeding Facilities Abstracting User Requirements by the Minia ture Garden Method, 24th ICM, P.33, (1996) 3) 日 科 技 連 官 能 検 査 委 員 会 編: 官 能 検 査 ハ ン ド
ブ ッ ク, P471, 日 科 技 連, (1990)
4) 箱 崎 総 一: 空 間 と 情 緒, P.152, SD選 書 166, (1990)
5) Albert E.Scheflen: HUMAN TERRITORIES, (19 76), 桃 木 暁 子 他 訳, ヒ ュ ー マ ン テ リ ト リ ー, P.7, 産 業 図 書, (1989) 6) 長 町 三 生 編: 快 適 科 学, 海 文 堂, P.108-109 (1992) 7) 後 藤 幸 子: 産 褥 期 の 椅 子, ベ リ ネ イ タ ル ケ ア vol.12, No11, P19-35, メ デ イ カ 出 版(1993) 8) 加 藤 力, 後 藤 幸 子: イ ン テ リ ア エ レ メ ン トの ヒ ュ ー マ ン フ ァ ク タ ー に 関 す る 研 究-そ の3授 乳 椅 子, 第4回 日 本 イ ン テ リ ア 学 会(1992)
第7群:31
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育 児 不 安 」 に関 す る質 問紙 の検 討
○高知女子大学 岸田佐智 高知市保健センター 森下安子 北村朋子 高知女子大学 時長美希 1 は じめ に 核 家族 化 や育 児 の孤 立 化,育 児 に関 す る学 習機 会の 減 少 な どに よ り,養 育 者 の育 児 不安 の 増 大, 対 処 能 力の 低下 とい った 傾 向 が見 られ てお り,養 育 者 の育 児 力 を高 め る育 児 支援 活 動 の 強化 が 必要 とされ てい る1)。 高知 市 で は,従 来 か ら受 診率 も 80-91.5%と 高 い4ヶ 月児健 康 診 査(以 下4ヶ 月健 診 とす る),1歳6ヶ 月児健 康 診査(以 下1.6健 診 とす る),3歳 児健 康 診 査(以 下3歳 健 診 とす る) の各乳 幼 児 健康 診査 を学 習 の機 会 と捉 え,育 児 不 安 の減 少 をね らい と して 健康 学 習 を行 って きた 。 しか し,育 児不 安 を抱 えて い る対 象者 の介 入 を実 施 す る ため の ス ク リー ニ ング は不 十分 であ った 。 育 児不 安 に 関す る研 究 は 様 々 に実 施 され て い る2-6)が ,未 だ 十分 な質 問紙 の 開 発が され てお らず, 効 果的 にア セ ス メ ン トす る用 具 が 緊急 に必要 と さ れて い る。 そ こで,現 在 ま で,研 究者 らが育 児 不 安 に関 す る調 査 を実 施 し分析 した 結果 を基 に して 7,8) ,各 乳幼 児 健診 時 に 活用 で き る育 児 不安 に関 わ る質問 紙 の検 討 す るた め,そ の 信頼 性 を中心 に 分 析 を行 ったの で報 告 す る。 II 概 念 枠組 み の検 討 育児 不 安 に関 す る92文 献 か ら,育 児不 安 に 関 す る項 目を抽 出 す る と とも に,過 去1年 間 の電 話相 談 表,健 診票 の 相談 内 容,お よび 家庭 訪問,育 児相 談 な どで気 にな った 母親 の 発 言 を高 知 市の 全 保 健婦 か ら集め,分 析 を 行 い,育 児 不安 の 要素 と要 因 の 関係 図 を作 成 した 。 そ の結 果,《 育 児 不安 》 を,「 育 児 心 配 」 「マ タ ニ シテ ィ」 「育 児 状態 不 安 」 の3要 素 か ら構 成 さ れ,年 齢,職 業,学 歴,育 児経 験,児 の 特 性,役 割 意 識,サ ポ ー トネ ッ トワー ク,特 性 不 安,経 済, 妊 娠 の背 景,情 報判 断,に 影 響 され る もの と して 考 え た。(図1参 照) III 研 究方 法 1.デ ー タ収集 方 法 平 成7年9月 現 在 の 住民 基 本 台帳 名 簿 か ら,平 成7年10月5日 ∼11月10日 の 間 の4ヶ 月健 診 対 象 者 の養育 者261人,1.6歳 児 健 診対 象 者 の 養 育 者 253人,3歳 児 健 診 対 象者 の 養育 者231人 の合 計745 人 を抽 出 した。 そ の 対 象者 に 対 して,本 研 究 の 目 的 依 頼文 を同封 した 調査 質 問紙 を,健 診 前 に郵 送 し,健 診 来 所時 に回 収 した 。 3.質 問 紙 の作 成 概 念枠 組 み を基 に して,主 要 概 念 に つ い て定 義 され た それ ぞれ の 概 念 を測 定 す るた め に 質 問 項 目 を作 成 した。 図1育 児不安の構成要素 と要員の関係 図「育 児心 配 」 は,養 育者 が児 の ニー ドを把 握 し な が ら身体 上 の 世話 を行 う際,育 児 に関 す る知 識 や 技 術 不 足 か ら生 じる心 配 で あ る と考 え た。 そ こ で,ヘ ン ダー ソ ンの 基本 的 ニー ドの14項 目9)を 参 考 に して,先 の文 献 と全 保 健 婦 か らの収 集 した相 談 内 容 の中 か ら,日 常生 活 上 の 世話 に関 わ るカ テ ゴ リー と して 『生 活 』 と し,〈 呼吸 〉 〈栄 養 〉 〈排泄 〉 〈活動 〉 〈睡 眠 〉 〈衣 服 〉 〈体 温 〉 〈清 潔 〉 〈安 全 〉 〈伝達 〉 を10サ ブ カテ ゴ リー と した。 社 会 性 や しつ け に関 わ るカ テ ゴ リー を 『学 習 』 と し,さ らに児 の 健康 に関 す る 『健 康 』 の カ テ ゴ リ ー を考 え た。 『生活 』19項 目,『 学 習 』7項 目, 『健 康 』13項 目の 合計39項 目か ら な る,〔1.非 常 にそ うで あ る〕 か ら,〔5.全 くそ うで な い〕 の5段 階 の ラ イ カー ト評 価 の 自記 式 質 問 紙 を作 成 した。 質 問 内容 は各 発達 段 階 に応 じて 授 乳量 を食 事量 に変 え る等 の操 作 を行 った。 各 健診 の項 目数 は 同数 と し,39点-195点 の 範 囲 で表 され,心 配 が 強 くなれ ば 得点 が高 くな る よ うに配 点 した。 「マ タ ニシ テ ィ」 は,養 育者 と して の 児 に対 す る情緒 的 な側面 を示 す も の10)で,児 や育 児 へ の思 い 入 れ の状 態 を示 す もの であ る。 親 子 関 係 や児 へ の 愛 着 に関 わ る文 献 を基 に,「 児 へ の思 い 入 れ 」, 児 を養育 す るた め に 必要 な 「育 児 へ の思 い 入 れ 」, その 育 児 を して い る養 育 者 と して の 「自 己の 承認 」 の3サ ブ カ テ ゴ リー か ら構成 さ れ る。 そ れ ぞれ11 表1 育 児 不 安 の 各 構 成 要 素 の 健 診 児 別 平 均 得 点 項 目,4項 目,5項 目の合 計20項 目か ら な り, 〔1.非 常 にそ うで あ る 〕 か ら,〔5.全 くそ う で ない 〕 の5段 階 の ライ カ ー ト評 価 の 自記 式 質 問 紙 で あ る。思 い入 れ が 低 い ほ ど得 点 は 高 くな る よ う配 点 し,20点-100点 の範 囲 で表 され る。 「育 児 状態 不 安 」 は,養 育 者 が育 児 を す る とい う生 活 条 件 に おか れ た とき の一 時 的 な情 緒 状 態 と した11)。 関 学版STAI(State Trait Anxiety In-ventory)は 今の 状 況 を示 して お り,そ れ を育 児 の 状況 に置 き換 え,質 問 紙 を修 正 した。20項 目か ら な り,〔1.全 く感 じて い な い 〕 か ら 〔4.は っ き り感 じて い る 〕の4段 階 の ラ イ カ ー ト評 価 の 自 記式 質問 紙 を作 成 した 。育 児 状態 不 安 が強 い ほ ど 得 点 は高 くな る よ う配 点 し,20点-80点 の 範 囲 で 表 され る。 3.デ ー タ分析 方 法 分 析 は,統 計 パ ッケー ジHALBAUを 用 い て,構 成 概 念毎 の基 本統 計,相 関 係数,信 頼 係 数 を算 出 し た 。 IV 結果 1.対 象者 の特 性 分 析 は4ヶ 月 児,1.6歳 児,3歳 児 の 養 育者 合計 745人 うち,分 析 可 能 な 回 答 を得 られ た546人 を対 象 と した。 対 象者 の平 均 年 齢 は,30.2歳 で,4ヶ 月健 診 は29.3歳,1.6歳 児 健診 は30.3歳,3歳 児健 診 は31.2歳 で あ った。 就 業 状 況 は,主 婦 が 4ヶ 月児66.3%,1.6歳 児61.0%,3歳 児 は 50.3%で あ った 。 今 回 健診 対 象者 の 出 生 順 位 は,第1子 の 割 合 が,4ヶ 月児52.9%,1.6歳 児52.9%, 3歳 児 は54.5%で 各 健 診 で の 差 は な か った。 2.育 児 不 安 の 各構 成 要 素 の平 均 得 点(表1 参 照) 《育 児不 安 》 に関 して,各 構 成 概 念 毎 に 4ヶ 月児,1.6歳 児,3歳 児 の 養 育 者 そ れ ぞ れ の平 均 得 点 お よび 標 準 偏 差 を算 出 した 。 「育 児 心 配 」 の 各健 診 毎 の 平 均 得 点 に は有 意 差 はな く,「 マ タ ニ シ テ ィ」 は4ヶ 月 が 一 番 高 く,3歳 が 一番 低 く有 意 差 が 見 られ
表2 育児不安構成概念の相関係数行列
た 。 「育 児 状 態 不 安 」 は,3歳 児 が 一 番 高 く,4 ヶ 月 が 一 番 低 か っ た 。 「育 児 心 配 」 の 得 点 は,39 -195点 の 範 囲 に 対 し4ヶ 月 児 は40-174点,1.6歳 児 は43-177点,3歳 児 は45-131点 の 範 囲 で 分 布 して い た 。 「マ タ ニ シ テ ィ」 は20-100点 の 範 囲 に 対 し, 4ヶ 月児60-100点,1.6歳 児53-100点,3歳 児59-1 00点 に 分 布 して い た 。 「育 児 状 態 不 安 」 は20-80点 の 範 囲 に 対 し,4ヶ 月 児21-67点,1.6歳 児20-65点, 3歳 児20-73点 に 分 布 して い た 。 3.育 児 不 安 の 構 威 概 念 間 の 相 関 関 係(表2参 照) 《育 児 不 安 》 の 構 成 概 念 間 の 相 関 係 数 を算 出 し た 。 そ の 結 果,「 マ タ ニ シ テ ィ」 と 「育 児 状 態 不 安 」 は 高 い 相 関 が あ り,養 育 者 が 児 や 育 児 へ の 思 い 入 れ の 状 態 が 低 い と,育 児 に関 す る不 安 な状 態 は 高 くな って い る。 また,「 育 児心 配 」 と 「育児 状 態不 安 」 はい ず れ もr=0.3 か ら0.38で やや 相 関 が み られ,育 児 の心 配 が 高 けれ ば,育 児状 態 に 関 す る不 安 も高 くな っ て い る。 「育 児心 配」 と 「マタ ニ シテ ィ」 は r=0.24か ら0.39で,や や相 関 が 見 られ るが, 年 齢 に よ りそ の 相 関 が 異 な っ て 現 れ て い る 。 4.質 問 紙 の 信 頼 性 の 検 討 《育 児 不 安 》 に 関 す る 質 問 紙 の 内 部 一 貫 性 に つ い て 信 頼 性 係 数 を 算 出 した(表3参 照)。 「育 児 心 配 」 のCronbachα 信 頼 係 数 は,対 象 者 全 体 で0.939,『 生 活 』 の カ テ ゴ リ ー は0. 886,『 学 習 』 は0.851,『 健 康 』 は0.888で あ っ た 。4ヶ 月 児 は0.951,『 生 活 』 は0.908, 『学 習 』 は0.852『 健 康 』 は0.908で あ っ た 。 1.6歳 児 は0.943,『 生 活 』 は0.879,『 学 習 』 は0.865,『 健 康 』 は0.978で あ っ た 。3歳 児 は0.925,『 生 活 』 は0.867,『 学 習 』 は 0.854『 健 康 』 は0.851で あ っ た い ず れ も, Cronbachα 信 頼 係 数 は0.85以 上 で あ り,育 児 心 配 に 関 す る 内 部 一 貫 性 は 保 た れ て い た 。 「マ タ ニ シ テ ィ」 のCronbachα 信 頼 係 数 は,対 象 者 全 体 で0.870,『 児 へ の 思 い 入 れ 』 の カ テ ゴ リ ー は0 .769,『 育 児 へ の 思 い 入 れ 』 は0.734,『 自 己 の 承 認 』 は0.716で あ った 。4ヶ 月 児 は0.835, 『児 へ の 思 い 入 れ 』 は0.704,『 育 児 へ の 思 い 入 れ 』 は0.684,『 自 己 の 承 認 』 は0.739で あ っ た 。 1.6歳 児 は0.890,『 児 へ の 思 い 入 れ 』 は0.797, 『育 児 へ の 思 い 入 れ 』 は0.796,『 自 己 の 承 認 』 は 0.712で あ った 。3歳児 は0.873,『 児 へ の 思 い 入 れ 』 は0.773,『 育 児 へ の 思 い 入 れ 』 は0.734, 『自 己 の 承 認 』 は0.681で あ っ た 。 表3 育児 不安 に関す る質問 紙 の信頼 性4ヶ 月児 の 『育児 への 思 い 入れ 』 と3歳 児 の 『自 己の承 認 』 に関 して0.6点 代 と若 干 低い も の の 他 は,い ずれ も0.7以 上 を示 し,内 部 の一 貫性 は高 い と言 え よ う。4ヶ 月児 の 『育 児 へ の 思 い入 れ 』 と3歳 児 の 『自 己 の承 認 』 に関 して 分析 を進 め て い く必要 があ る。 「育児 状 態 不安 」 のCronbachα 信頼 係 数 は,対 象 者全 体 で0.900,4ヶ 月 児 は0.905,1.6歳 児 は 0.896,3歳 児 は0.901で あ り,い ず れ も非 常 に 高 い 内部 一 貫 性 が保 た れ て いた 。 V 考 察 1.養 育 者 の対 象 の 選 定 対 象者 に 関 して,今 回は4ヶ 月児,1.6歳 児,3 歳 児 の養 育者 を対 象 と した が,本 来 育 児 不安 を強 く感 じる時期 は,通 常施 設 か ら退 院 後 一週 間 お よ び 生 後1ヶ 月 と言 わ れて い る12)。 したが って, 《育 児 不 安 》 を測 定 す る場 合 に は,乳 幼 児 の 健 康 診 査 の み で はな く,新 生 児 の時 期 に も 目を向 け た 調 査 をす る必 要 が あ る。 今後 は,《 育児 不 安 》 を 新 生 児 の養 育者 に も応 用 で き るも の に した い。 2.構 成 概 念 間 の関 係 今 回,《 育 児 不安 》 は 「育 児 心 配 」 「マタ ニ シ テ ィ」 「育 児 状態 不 安 」 か ら な る と考 えた。 「マ タ ニシ テ ィ」 「育 児 状態 不 安 」 は 各健 診 い ず れ も 高 い相 関 があ り,そ の概 念 構 成 に つ いて 類似 して い る と考 え られ る。 しか し,「 育 児心 配 」 は 「マ タ ニシ テ ィ」 「育 児 状 態不 安 」 とやや 相 関 は あ っ た もの の,同 一 の構 成概 念 と して考 え て良 い か問 題 で あ る。 「育 児 心 配 」 は基 本 的 ニ ー ドに 焦 点 を 当て て お り,他 の2概 念 は情 緒 的 側 面 に焦 点 を 当 て て い る ため,今 後 概 念構 成 につ い て の検 討 を重 ね る必要 があ る。 3.構 成 概 念 の 内部 一貫 性 の 問 題 《育 児 不 安 》 に関 して は,ほ ぼ 内部 一 貫性 は保 た れ て いた が,「 マ タ ニシ テ ィ」 に関 して,4ヶ 月児 の 『育 児へ の思 い 入 れ』,3歳 児 の 『自己 の 承認 』 につ い て若 干 低 か った 。 ま た,「 育 児心 配 」 の全 体的 内 部 一貫 性 は,い ず れ も0.9以 上 を 示 してお り,そ の類 似項 目に 関 す る質 問 事項 を検 討 す る 必 要 が あ る 。 VI ま と め 全 質 問 紙 に 関 して,比 較 的 高 い 内 的 一 貫 性 が 示 さ れ,信 頼 性 に 関 し て 評 価 さ れ た 。 今 後 は,検 討 課 題 に つ い て さ ら に 分 析 を進 め,ま た 今 回 十 分 分 析 さ れ て い な い 妥 当 性 に 関 し て の 検 討 も 進 め 留 こ と で,質 問 紙 の 洗 練 を す る 必 要 が あ る 。 謝 辞 本 調査 を行 うに あた って,協 力 を して 下 さ っ た養 育 者 の 皆様,高 知市 の 保 健 婦 の皆 様,ご 協 力 あ りが と う ご ざい ま した。 なお,本 研 究 は,平 成7年 度 先 駆 的 保 健 活 動研 究 助 成 に よ る助 成 を得 て 行 った研 究 の一 部 で あ る。 引用 ・参考 文 献 1) 大 崎 富士 代 他: 出産 ・育 児 に関 わ る母 子 看 護 援助 シ ステ ム に関 す る検 討, CNAS Hyogo Bulletin, 2, p.39 -52,1995. 2) 川井 尚 他: 育 児 不 安 に関 す る基 礎 的 検討, 日本 総 合 愛育 研 究所 紀 要, 30, p27-39, 1994. 3) 金野 マサ子: 乳 幼 児 を もつ 母親 の育 児 上 の 困 り ご と-愛 媛 県 にお け る実 態 調査(第1報), 第24回 日本 看護 学 会集 録, 小 児看 護, p.114-117, 1993. 4) 田辺 恵子: 乳 幼 児 を もつ 母 親 の育 児 に関 す る意識 調査, 母 性衛 生, 34(1),p.52-56, 1993. 5) 中川 美子: 母 親 の育 児 不 安 に つ い て-幼 児 の 母親 を対 象 と して, 保 健 の科 学, 32(8), p.541-545, 1990. 6) 島 田 三恵 子 他: 育 児 中 の母 親 の不 安 に 関 す る研 究 -STAI得 点 と属 性 等 との 関連, 母 性 衛 生, 31(2), p.221-227, 1990. 7) 北 村 朋子 他: 健康 診 査 時 に お け る養 育 者 の 育 児不 安 の相違-4ヶ 月, 1.6歳, 3歳 児 時 点 での 比 較, 第27 回 日本 看護 学 会 集録, 母 性 看 護, p.74-76, 1996. 8) 森 下 安子 他: 住民 主 体 型 の 乳 幼 児健 康 診 査 シ ス テ ム の確 立 と新 た な保 健 婦 活 動 の 検 討, 平 成7年 度 先駆 的 保健 活 動交 流 推 進 事業, 先 駆 的 保 健 活動 研 究 助 成 小 委 員会 報告 書, 日本 看護 協 会, p.295-318, 1996. 9) Henderson, V., Basic Principles of Nursing Care,
International Council of Nurses , 1969, 湯槙 ます, 小 玉 香津 子訳, 看 護 の 基本 と な る もの 改 訂版, 日本 看 護 協 会出 版 会, 1973.
10) 横 尾 京子: 産 褥 期 の母 子 関 係-maternicityに つ い て-助 産婦 雑 誌, 32(9), p568-571, 1978.
11) 曽我 祥子: STAI (The State-Trait Anxiety Inven-tory)に つ いて 看 護 研 究, 17(2), p.107-116, 1984. 12) 厚 生 省 児童 家 庭 局母 子 保 健 課: わ が 国 の母 子 保 健
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自然 分 娩 の 骨 盤 出 口部 に お け る
産 道 の形 態 変 化 と助 産 術
○ 日本赤 十字看護大学大学院 博士 後期課程 村 上明美 I.は じめ に 近 年,自 然 分 娩 に対 す る社 会 的 ニ ー ズ は,世 界 的 に急 速 に 高 ま りつ つ あ る。 我 が 国 に お いて は,施 設 分 娩 の約98%は 医 師 の 立 ち会 い の も とで 行 わ れ て い る1)。 現 在,医 療 施 設 で行 わ れ て い る分 娩 管 理 の医 療 介 入 で,最 も一 般 的 な もの に,分 娩 第II期 の会 陰 切 開 術 が あ る 。 多 くの 産科 医 が,会 陰 切 開 術 の 必要 性 を主 張 す る 一 方 で,そ の 正 当 性 に 疑 問 を投 げ か け る意 見 も存 在 す る2)3)4)5)。 この よ うな潮 流 の 中 で,少 数 な が ら地 域 の助 産 所 にお いて は,現 在 で も医 療 介 入 な しに 自然 分 娩 を主 体 と した援 助 を提 供 し続 けて い る 。 しか し, 会 陰 切 開術 に異 論 を 唱 え る助 産 婦 の主 張 に は,理 論 的 な根 拠 が 示 され て は お らず,そ の 論 旨 は経 験 的 な ものが 主 で あ る と言 って も過 言 で は な い。 だ が,女 性 が 本 来 も って い る子 供 を産 む能 力 を 十 分 に発 揮 で き る よ う援 助 す る こ と が,助 産 婦 の 独 自 の機 能 で あ ると す る な らば,助 産 婦 に は,産 婦 に生 じて い る分 娩 時 の 生 理 的 ・身 体 的現 象 を理 解 した うえで の支 援 が 求 め られ る。 そ こで 今 回 は,会 陰 切 開 の是 非 を検 討 す る以 前 に 、助 産婦 の立 場 か ら,自 然 分 娩 を選 択 した産 婦 の分 娩 第II期 骨 盤 出 口部 に お いて,産 道 に どの よ うな形 態 変 化 が生 じて い る の か,そ の現 象 を 明 ら か にす る こ と を 目的 に研 究 を行 っ た。 II.方 法 1.対 象 茨城 県 内 の 開業 助 産 所Aに お い て1995年6月 か ら10月 に分 娩 予 定 の 産 婦 に,研 究 の主 旨 と母 児 の 安 全 性 及 び プ ラ イバ シー の保 持 を説 明 し,研 究 へ の承 諾 が 得 られ た10名 を対 象 と した。 この 施 設 で は 自然 分 娩 を志 向 して お り,分 娩 時 産 婦 は,自 己の 身 体感 覚 に 自由 に反 応 して,自 分 が最 も楽 だ と感 じる体 位 で 自由 に,か つ 自然 に分 娩 して い る。 今 回 の対 象 者 の分 娩 歴 は,初 産4名,経 産6名 で あ り,分 娩 体 位 は,側 臥位6名,坐 位2名,四 つ ん這 い2名 で あ っ た。 2.デ ー タ収集 及 び分 析 方 法 会 陰 部 及 び陰 門 部 の 「伸 び」 を力 学 的 に 測定 ・ 分 析 す る手 法 を用 い た。 分 娩 第II期,排 臨 の時 点 で 図1の よ うに,対 象 の 会 陰 部 及 び陰 門 部 をa∼eの5区 間 に 区分 す る よ うに標 点 を うち,そ の標 点 間 距 離 と会 陰 部 及 び 陰 門 の 形 状 の変 化 を継 続 的 に写 真 機 及 び ビデ オ カ メ ラ で撮 影 した。 図1.標 点 の う ち 方 写 真 及 び ビデ オ の 映 像 を も と に,各 症 例 ご と に 標 点 間距 離 の変 化,各 標 点 間 の 対 数 歪 の変 化,会 陰 部 及 び 陰 門 の形 状 の 変 化,及 び そ の症 例 の模 式 図 を作 成 した 。 そ の 一 症 例 を 以 下 に示 す(図2-1,2,3,4参 照)。図2-1. 症 例(2)の標点間 距 湿 の変 化 図2-2. 症 例(2)の各標 点 間 の対 数歪 の変 化 図2-3. 症 例(2)の会陰部及び陰門の形状の変化 図2-4. 症 例(2)の模式 図 歪 とは,固 体 に力 が加 わ った と き の 長 さ や形 状 の 変 化 率 の こ と で,対 数 値 に換 算 す る こ とで変 化 の 経 緯 を知 る ことが で き る。 本 研 究 で は,対 数 歪 の値 か ら,産 道 の変 化 を 以 下 の よ う に解 釈 した 。 正 の値;伸 び て い る=伸 展 負 の値:縮 ん で い る=縮 退 0の 値:変 化 な し な お,全 症 例 の模 式 図 と,各 区 間 の 相 対 的 な 対 数 歪 を示 す と以 下 の よ うに な る(図3)。 図3.全 症 例 の 模 式 図 と各 区 間 の 対 数 歪 III.結 果 作 成 した 図 を も と に産 道 の 形 態 変 化 につ い て分 類 を行 い,関 連 因 子 を 検 討 した結 果,以 下 の こ と が 明 らか に な った 。 1)会 陰 及 び 陰 門 の部 位 に よ り 、伸 展 の 程 度 に
違 い が 認 め られ た。 全 症 例 に共 通 して,児 頭 娩 出 の 際 に,交 連 合 近 くの 陰 門部 が 最 も 伸 展 す る と い う現 象 が み られ た 。 2)分 娩 体 位 に よ り,産 道 の伸 展 の仕 方 に違 い が認 め られ た。 児 頭 娩 出直 前 の 陰 門 の形 状 は,側 臥 位 分 娩 の 場 合 は雨 滴形,坐 位 分 娩 の場 合 は 縦 楕 円 形,四 つ ん這 い分 娩 の場 合 は 円 形 で あ った 。 肛 門 ∼交 連 合 間 は,側 臥 位 分 娩 の 場 合 は 全 体 が伸 展 した が,坐 位 ・ 四 つ ん這 い の場 合 は部 分 的 な伸 展 が認 め ら れ た 。伸 展 の程 度 は,坐 位 分 娩 の方 が 四 つ ん這 い分 娩 よ り も大 きか っ た。 3)交 連 合 近 くの 陰 門 部 は,児 頭 娩 出 まで伸 展 し続 け る傾 向 が 認 め られ た が,そ れ 以 外 の 部 位 は,陣 痛 に 合 わ せ て伸 びた り縮 ん だ り し なが ら伸 展 した 。 しか し,側 臥位 の場 合 は こ の特 徴 が現 れ に くか っ た。 4)開 大 途 中 の 陰 門 の形 状 は,初 産婦 の 場 合 は 縦 長 に,経 産婦 の場 合 は円 形 に開 大 す る傾 向 が 認 め られ た。 ま た,初 産 婦 は経 産婦 よ り も会 陰 裂 傷 の 発 生 率 が 高 か っ た。 IV.考 察 以 上 の 結 果 よ り,以 下 の 命 題 を導 き 出 す こ と が で き た。 1)娩 出力 が 陰 門 の 中心 に向 け て垂 直 方 向 に働 い て い れ ば,陰 門 周 囲 に均 等 に力 が加 わ る た め陰 門 は 円 形 に 開 大 し,ま た,肛 門 ∼交 連 合 間 の伸 展 は小 さ くて す む。 従 って,肛 門 ∼交 連 合 間 の伸 展 及 び陰 門 の形 状 を観 察 す れ ば,娩 出 力 が どの 部 位 に,ど の よ うな 方 向 で働 い て い るの か を予 知 す る ことが 可 能 と な る 。 そ うす れ ば,会 陰 裂 傷 を予 防 す ・ る た め に,会 陰 保 護 に よ っ て,娩 出力 を 陰 門 の 中心 に垂 直 方 向 に働 くよ うに修 正 す る こ と が可 能 と な る 。 つ ま り,会 陰 保 護 は, 娩 出力 を骨 盤 誘 導 線 に沿 って,陰 門 の 中心 に 向 け て垂 直 方 向 に働 か せ る と い う方 向調 整 機 能 を も っ て お り,会 陰 の裂 傷 予 防 を 図 るた め の重 要 な助 産 術 で あ る と考 え る こ と が で き る。 2)drive angle(脊 柱 と子 宮 の な す角)が 小 さ い と,児 頭 の勉 出 が 容 易 で あ る と い わ れ て い る1)。McRoberts体 位 な どの 大 腿 部 を屈 曲 す る体 位 を と る こ とでdrive angleを 小 さ くす る こ とが 可 能 で あ る6)。 産 婦 が 自主 的 にdrive angleを 調 節 で きれ ば,娩 出力 は その 産 婦 自身 の 骨 盤 誘 導 線 に沿 って,陰 門 の 中 心 に 向 けて 垂 直 方 向 に働 きや す くな り,陰 門 周 囲 に均 等 に力 が 加 わ るた め、 陰 門 は円 形 に 開 大 し,か つ,肛 門 ∼交 連 合 間 の 伸展 は小 さ くな る と思 わ れ る。 児 頭 は最 小 周 囲長 で 娩 出 が 可 能 とな り,産 道 伸 展 は 最小 で す む の で あ る。 産 婦 がdrive angle を 自由 に調 節 で き る分 娩 体 位 は四 つ ん這 い で あ る。 す な わ ち,四 つ ん 這 い は,児 頭 周 囲 長 の 産道 通 過 を よ り小 さ くす る分 娩 体 位 で あ る と考 え られ る 。 3)軟 産 道組 織 が 硬 い と骨 盤 底 筋 群 の抵 抗 は大 き く,娩 出力 は 骨 盤 誘 導 線 か らず れ て骨 盤 底 方 向 に向 か うた め,会 陰裂 傷 を生 じや す い。 反 対 に,軟 産 道 組 織 が 軟 らか い と骨 盤 底 筋 群 の 抵 抗 は 小 さ く,娩 出力 は前 方方 向 に向 か うた め,会 陰 裂 傷 は 生 じに く い。経 産 婦 よ りも初 産 婦 に会 陰裂 傷 の発 生 が高 率 に認 め られ るの は,初 産 婦 の ほ うが経 産 婦 よ りも骨 盤 底 筋 群 の抵 抗 が 大 きい た め と考 え られ る。 従 っ て,妊 産 婦 に は,妊 娠 中 か らの軟 産 道 を軟 らか くす る た め の 妊婦 体 操 の指 導 や,分 娩 第I・II期 に骨 盤 底 筋群 の 抵 抗 を小 さ くで き る よ う リラ ッ クス を促 す 働 きか け な どが 必要 とな る。 4)四 つ ん 這 い は,側 臥 位 ・坐 位 に比 べ,児 頭 勉 出時 の陰 門 は ほ ぼ 円 形 に 開大 し,肛 門 ∼ 交 連 合 間の 伸 展 の程 度 も小 さ い こ と か ら, 勉 出力 が 骨 盤 誘 導 線 に沿 って 陰 門 の 中心 に 向 けて 垂 直 方 向 に働 き や す く,産 道 に均 等 に加 わ りや す い体 位 で あ る と考 え る こ とが で き る。 従 って,3つ の分 娩 体 位(側 臥位
・坐 位 ・四 つ ん這 い)の う ち,産 道 の伸展 が力 学 的 に最 も合 理 的 な体 位 は 四 つ ん 這 い で あ る と い え る 。 V.ま と め 以 上 の命 題 を も と に,こ れ ま で助 産 婦 が実 践 し て き た分 娩 介 助 技 法 を分 析 す る と,具 体 的 にか つ 理 論 的 に そ の技 を解 説 す る こ と が可 能 とな る。 例 え ば,側 臥 位 分 娩 で は,勉 出力 が 陰 門下 方 ∼ 肛 門 に か け て の 広 い範 囲 に加 わ る た め,助 産 婦 は 会 陰 保 護 に よ って 会 陰 部 を 軽圧 す る。 これ は,骨 盤 誘 導 線 か らず れ た勉 出力 を,陰 門 の 中心 に 向 か わ せ よ う とす る娩 出力 の方 向 調 整 で あ る。 坐 位 分 娩 で は,交 連 合 近 くの陰 門 部 は強 く引 っ 張 られ,児 頭 は最 小 周 囲 長 以 上 で勉 出 され る。 こ の と き助 産 婦 は,Ritgen変 法 な ど を用 いて第3回 旋 を助 け る こ と に集 中 して い る。 交 連 合部 に極 力 力 が 加 わ らな い よ うに介 助 して い る の で あ る。 四 つ ん這 い分 娩 で は,産 婦 は 自 らdrive angle を調 節 す る こ と が可 能 で あ り,力 学 的 合理 性 を も って,児 頭 周 囲 長 を小 さ く して勉 出 す る こ とが で き る た め,助 産 婦 は 自 然 の児 頭 娩 出 を待 ち,特 に 会 陰 保 護 を した り,回 旋 を助 け た り しな い。会 陰 保 護 の要 ・不 要 を判 断 して い る の で あ る。 今 後,助 産婦 は,自 然 分 娩 を選 択 した産 婦 に対 して,本 研 究 で 示 され た これ らの命 題 を,自 らの 助 産 計 画 に 活 用 して,具 体 的 に実 践 した り,自 己 評 価 す るの に役 立 て る こ と が で き るだ ろ う。 そ し て,そ れ らの 積 み重 ね が,助 産 婦 の技 の伝 承 に も つ なが って い く もの と考 え る。 本 研 究 の結 果 は,産 婦 自 らが あ らゆ る事 柄 に対 して 積 極 的 な選 択 を行 い,満 足 で き る 自分 の お産 を 作 り出 そ う と す る 「ア ク テ ィブバ ー ス 」 の考 え 方 を支 持 す る も の で あ る。 さ らに,こ れ まで 開 業 助 産 婦 が実 践 して きた 助 産 行 為 は,分 娩 時 の 産 婦 の生 理 的 ・身 体 的 メカ ニ ズ ム合 わ せ て,産 婦 が 最 も子 供 を産 み や す い よ うに行 わ れ て きた 深 い意 味 の あ る技 で あ っ た こ と を論 証 で きた こ と は,自 然 分 娩 を推 奨 して い く うえ で,そ の助 産 実践 を理 論 的 に支 持 す る裏 づ け と な る だ ろ う。 しか し,本 研 究 で は,立 体 的 に変 化 す る分 娩 現 象 を 平 面 的 な映 像 で と らえ た た め,デ ー タ そ の も の に 誤 差 が 存 在 す る の は 明 らか で あ る。 ま た,対 象 が 少 な い こ と,陰 門 全 周 の 測 定 で は な い こ と, 3つ の 分 娩 体 位 の み の比 較 で あ る こ とな ど,多 く の 限 界 を抱 え て い る。 今 後,こ れ らの 問題 を解 決 し,研 究 結 果 の検 証 を重 ね て い くこ と で,分 娩 時 の産 婦 の生 理 的 ・身 体 的現 象 が さ ら に解 明 さ れ, 助 産 実 践 の さ らな る裏 づ けが 可 能 と な る だ ろ う。 分 娩 時 の ケ ア の質 の保 証 や 向 上 に つ なが る もの と 信 じて い る。 参 考 ・引用 文 献 1) 国 民 衛 生 の 動 向 ・厚 生 の 指 標 臨 時 増 刊, 43(9), 46, 1996 2) 進 純 郎 ・瑪 依 努 爾 ・松 下 径 広 ・荒 木 勤: 会 陰 切 開, ペ リ ネ イ タ ル ケ ア, 12春 季 増 刊, 157-161, 1993 3) 藤 原 敏 郎: 会 陰 切 開 の コ ツ, 産 婦 人 科 治 療, 55(6), 642-643, 1987 4) 千 村 哲 朗: 会 陰 切 開 術 の ル チ ー ン 化 と 問 題 点, 助 産 婦 雑 誌, 39(9), 50-53(790-793), 1988 5) 工 藤 尚 文 ・江 尻 孝 平 ・峠 好 子: 会 陰 切 開 の 母 体 適 応, ペ リネ イ タ ル ケ ア, 冬 季 増 刊, 19-24(1551-1556), 1988 6) 寺 尾 俊 彦: 産 道 と 分 娩 体 位, 産 科 と 婦 人 科, 3, 57-65(353-361), 1995
第8群:
33
男性 助産婦職 希望 につ いて
-母 性看護 学実習終了後 の男子 学生629名の調 査結果 の分析-自治医科大学看護 短期 大学 内藤和子 I.は じめ に 男 性 助 産 婦(あ る い は 助 産 士)導 入 の 是 非 に つ い て10年 ほ ど前 に 盛 ん に 議 論 され た が,時 期 尚早 との 理 由 で制 度 化 は され な か った 。 た だ し男 子 学 生 に も母 性 看 護 学 実 習 を 取 り入 れ る とい うカ リキ ュ ラ ムが 決 め られ,平 成4年 以 降 実 施 され て い る 。 母 性 看 護 学 実 習 を終 了 した 男 子 学 生 の,男 性 助 産 婦 に 対 す る 意 識 調 査 を 行 っ た の で報 告 す る。 目的:母 性 看 護 学 実 習 終 了 後 の 男子 看 護 学 生 の, 男性 助 産 婦 に 対 す る 制 度 の 是 非 お よ び 希 望 の 有 無 とそ の要 因 に つ い て 意 識 調 査 を行 う。 用 語 の定 義:男 性 助 産 婦 … 保 健 婦 助 産 婦 看 護 婦 法 第3条 に 定 め る助 産 婦 の 定 義 を男 子 に あ て は め て用 い る。 仮 説: 1.男 性 助 産 婦 の 制 度 が あ っ た 方 が 良 い とい う意 見 が 多 い で あ ろ う。 2.た とえ 制 度 が あ っ た と して も,男 性 助 産 婦 に な りた い学 生 は 少 な い で あ ろ う。 3.な りた い 学 生 は,母 性 看 護 学 実 習 が 影 響 して い る で あ ろ う。 4.な りた くな い 学 生 は,母 性 看 護 学 実 習 以外 の 理 由 に よ り,な りた く な い 者 が 多 い で あ ろ う。 II.方 法 対 象:母 性 看 護 学 実 習 を 終 了 した 男 子 看 護 学 生 。 方 法:全 国 の 看 護 学 校 に 対 象 学 生 の 有 無 と人 数 を 問 い 合 わ せ,回 答 の あ っ た学 校 に,調 査 者 宛 の 返 信 用 封 筒 に 入 れ た ア ン ケー ト用 紙 を 送 り,学 生 に 渡 して貰 う よ う依頼 した 。 ア ン ケー トは 選 択 肢 を主 と した 自記 式 で あ る。 調 査 期 間:1996.1.12か ら3.31ま で 分 析 方 法:項 目 別 に 集 計 を 行 い,統 計 的 分 析 に は HALBAUを 用 い た 。 III.結 果 全 国267校940名 に 配 布 し,629名 の 有 効 回 答 を 得 た(有 効 回 答 率66.9%)。 1.回 答 者 の 概 要 平 均 年 齢26.3歳(19歳-51歳,標 準 偏 差5.4),学 歴 は 「高 卒+准 看 護 学 校+進 学 コ ー ス 」 が402名 (64.1%),次 い で 「高 卒+看 護 学 校3年 課 程 」164 名(26.2%)が 多 か っ た 。結 婚 は 既 婚 者160名(25.5%), 職 歴 で は 「あ る 」 が424名(67.6%)で あ っ た 。 2.制 度 の 是 非 男 性 助 産 婦 制 度 が あ っ た ほ うが よ い か に 対 し て 「あ っ た ほ う が よ い 」209名(33.3%),「 な い ほ うが よ い 」144名(23.0%),「 ど ち ら と も い え な い 」 274名(43.7%)で あ っ た 。 3.男 性 助 産 婦 職 希 望 の 有 無 「も し も 制 度 が あ っ た ら 男 性 助 産 婦 に な り た い か 」 と い う 問 い に 対 し,「 な り た い 」(以 下 な り た い 群 と い う)は84名(13.4%),「 な りた く な い 」(以 下 な り た く な い 群 と い う)は399名(63.6%),「 ど ち ら と も い え な い 」 は144名(23.0%)で あ っ た 。 4.男 性 助 産 婦 職 希 望 の 有 無 に 影 響 す る 要 因 実 習 に 関 連 し て な り た い 要 因(6)・ な り た く な い 要 因 (2),実 習 以 外 の な りた い 要 因(5)・ な り た く な い 要 因(2),ケ ア の 受 け 手 を 仮 定(2),制 度 の 是 非(3) の4領 域(6領 域 に 細 分 化)20要 因 を あ げ た 。 男 性 助 産 婦 職 希 望 の 有 無 に つ い て 「ど ち ら と も い え な い 」 を 除 い た な りた い 群 と な り た く な い 群 の2 群 に 分 け て 上 記 の 要 因 を カ イ2乗 検 定 し た 結 果 を 表 示 し た(表1)。実 習 関 連 の な りた い 要 因 に 「母 性 実 習 が影 響 した 」 「分 娩 介 助 した い 」 が 上 位 を 占 め,実 習 以 外 で は 母 性 看 護 学 が好 き」 「組 織 の 改 革 が で き る 」 が 多 か っ た 。 「赤 ち ゃ ん が 好 き 」 「同姓 の 立場 か ら父 親 へ の 援 助 が で き る 」 の2要 因 以 外 は2群 間 に 有 意 差(P<0.01)が 認 め られ た 。 5.制 度 の是 非 に 関す る 要 因 男 性 助 産 婦 職 制 度 の 是 非 に 関 して,表1に 示 し た 要 因 と の相 関 の 強 い も の を 抽 出 した(表2)。 これ に よ る と,表1で 分 け た 実 習 関 連 の 「分 娩 介 助 を した い 」(な りた い 群),「 生 理 的 ・感 覚 的 に 受 け つ け な い 」(な りた くな い 群),実 習 以 外 の 「組 織 の 改 革 」(な りた い 群),「 男 は 出 産 に 関 わ る べ き で な い 」(な りた く な い 群)と,各 領 域 か ら1つ ず つ あ げ られ た 。 さ らに,「 妻 が 分 娩 介 助 され る と した ら賛成 か 」 は ケ ア の 受 け手,「 男 女 平 等 」 は制 度 の 是 非 か ら各1要 因 が 抽 出 され た 。 6.ケ ア の 経 験 の 有 無 と拒 否 の 有 無 との 関 連 母 性 看 護 学 実 習 の 特 徴 的 ケ ア8項 目 を示 し,経 験 の 有 無,拒 否 の 有 無 を調 べ た(表3)。 経 験 で きた 項目 は,妊 婦 の 腹 部 の 測 定,褥 婦 の 子 宮 の観 察,褥 婦 の 全 身 の観 察 の 順 で あ っ た。 し か し,悪 露 交 換(陰 部 の 清 潔)は226名(36.4%)と 低 率 で あ っ た 。 ま た,拒 否 され た ケ ア の第1位 は 悪 露 交 換221名(47.0%),第2位 は授 乳 介 助134名 (26.5%)で あ っ た 。 これ らの 項 目に つ い て 経 験 の 有 無 と拒 否 の有 無 との 関 連 を み る と,全 項 目 にお い て 有 意 差(P<0.01)を 認 め た。 つ ま り,拒 否 され た 項 目は 経 験 して い な か っ た 。 ケ ア を 行 うこ と に抵 抗 を感 じる ケ ア は,悪 露 交 換485名(81.0%)が 群 を 抜 い て 多 く,次 い で 乳 房 観 察,授 乳 介 助 の 順 で あ っ た 。 IV.考 察 1.制 度 の 是 非 制 度 の 是 非 を 男 性 助 産 婦 職 希 望 の 有 無 に 影 響 す る 要 因 との 関 連 で 相 関 を み る と,「 男 が 出 産 に 関 わ る べ き で はな い 」 が 第1位 で あ っ た。 これ は永 年 に わ た る,出 産 に男 性 が 関 わ ら な い とい う我 が 国 の慣 習 を ま だ 意 識 と し て持 続 して い る結 果 で あ り,「 生 理 的 ・感 覚 的 に 受 け つ け な い」 も こ れ に 関 連 して い る も の と思 わ れ る 。 「男 性 助 産 婦 職 が な い の は 男 女 平 等 に 反 す るjは 理 論 と して の 平 等 論 と して 上 位 に 位 置 した と考 え る。 「組 織 の 改 革 」 と 「分 娩 介助」 の 占 め る 順 位 は 男 性 が 助 産 婦 に な りた い 動 機 の 順 位,つ ま り, ケ ア よ り も,組 織 改 革 へ の 意 識 を も っ て い る と も 考 え られ る。 2.男 性 助 産 婦 職 希 望 の 有 無 に 影 響 す る要 因 希 望 の 有 無 に 影 響 す る 要 因 を 実 習 と実 習 以 外 に 分 け て検 定 を行 った 結 果,実 習 で は 母 性 看 護 学 実 習 が 影 響 して い た。 な りた い 群 は 助 産 婦 業 務 の 核 とな る 分娩 介 助 を 行 う こ とお よび 助 産 婦 の 姿 か ら 希 望 して お り,な りた くな い 群 で は,女 性 中 心 の 産 科 にい る こ と 自体 に違 和 感 を感 じ,生 理 的 ・感 覚 的 に受 け つ け な い と反 応 し,心 理 的 に 実 習 を受 け 入 れ て い な い こ とが 明 らか とな っ た 。 実 習 以 外 の 要 因 に つ い て み る と,な りた い群 で は,「 母 性 看 護 学 が 好 き 」 や 「母 性 の 教 員 に 憧 れ る 」 が あ げ られ,学 内 にお い て す で に 母 性 へ の志 向 が 高 ま っ て い た と考 え る。 男 性 助 産 婦 職 希 望 の 有 無 に 関 わ らず,同 性 と し て父 親 へ の 援 助 が で き る と考 え て い る。 こ れ は 近 年 増 加 して い る,夫 の 分 娩 参 加 や 育 児 参 加 な どの 傾 向 を 反 映 し,同 性 に 関 与 で き る 事 項 と考 え た の で あ ろ う。 な りた く な い 群 で は 「男 は 出 産 に 関 わ るべ きで ない 」 とい う慣 習 を支 持 して い た 。 そ して,資 格 を得 て も就 業 困 難 を あ げ て い た。 看 護 学 校 卒 業 を 控 え て 看 護 士 の 就 職 先 を探 す 段 階 で,看 護 婦 よ り 限定 され た厳 しい 現 実 か ら,助 産 婦 で は さ ら に困 難 と指 摘 す る者 が い た 。 この 他 に ケア の 受 け 手 を 仮 定 した 質 問 に対 して, 希 望 の 有 無 に よ る 差 が認 め られ た。 こ れ は助 産 婦 と して ケ ア を提 供 す る一 方,逆 の 立 場 で あ る ケア の 受 け 手 に な る こ と も受 け 入 れ て お り,意 識 に矛 盾 は な い と 考 え る。 3・ ケ ア 経 験 の 有 無 と拒 否 の 有 無 お よ び 抵 抗 を 感 じ る ケ ア ケ ア8項 目中,生 殖 器 に 直 接 関 与 す る ケ ア は悪
露 交 換 ・乳 房 の 観 察 ・授 乳 介 助 の3項 目で あ る。 この3項 目に つ い てみ る と,経 験 の 有 無 に お い て 悪 露 交換,授 乳 介 助,乳 房 の 観 察 の 順 に経 験 で き な か っ た。 これ は対 象 か ら拒 否 され て経 験 で きな か っ た こ と を意 味 して い る。 また,抵 抗 の 有 無 で み る と,悪 露 交 換,乳 房 の 観 察,授 乳介 助 の 順 で 強 い抵 抗 を 感 じて い た 。 生殖 器 に 直 接 関 与 す る ケ ア は ケ ア 提 供 者 に 強 い 抵 抗 が あ り,ケ ア の 受 け手 か ら拒 否 され 経 験 で き ない こ とが 多 か っ た。 こ の こ と は生 殖 器 の ケ ア を 中心 と した リプ ロ ダ クテ イブ に 関 す る業 務 を行 う助 産 婦 職 に あ っ て は,慎 重 な 検 討 が 必 要 で あ ろ う。 V.結 論 1.男 性 助 産 婦 職 制 度 の 是 非 に つ い て,「 あ っ たほ うが よ い」 は33.3%,「 な い ほ うが よ い」 は 23.0%で あ っ た。 しか し,「 ど ち ら と もい え な い 」 と態 度 を 保 留 した 者 が43.7%を 占め,最 も多 か っ た 。 2.男 性 助 産 婦職 希 望 の 有 無 で は,「 な りた い 」 が84名(13.4%),「 な りた くな い 」 が399名(63.6%) 「ど ち ら と もい え な い 」 が144名(23.0%)で あ っ た。 3.男 性 助 産 婦職 を希 望 す る群 で は 母 性 看 護 学 実習 が 影 響 して い た。 助 産 婦 職 の 核 と もい え る分 娩 介 助 を行 うこ と,助 産 婦 の 姿 へ の 憧 れ が 影 響 要 因 の 上 位 を 占 め た 。 実 習 以 外 で は 「母 性 看 護 学 が 好 き 」 「母 性 の 教 員 に憧 れ る」 な どの 要 因 が あ げ れ,学 内 です で に 母 性 看 護 学 志 向 が 強 い 。 4.男 性 助 産 婦 職 を希 望 しな い 群 で は 「男 が 出 産 に 関 わ るべ き で は な い 」,資 格 を 得 て も 「就 業 困 難 」 が 希 望 しな い 要 因 で あ った 。 5.ケ ア の 経 験 お よ び 抵 抗 を感 じ るケ ア で は, 生 殖 器 に 直 接 関 わ る ケア に 対 す る経 験 が 少 な く, ま た,学 生 が 抵 抗 を感 じて い た。 以 か ら,仮 説1は 否 定 され た 。2・3・4は 支 持 され た。 全 国 の 協 力 して い た だ い た 男 子 看 護 学 生 お よび 看 護 学 校 の 教 師 の 皆様 に深 謝 い た しま す 。 表3.ケ ア の 経 験 の有 無,ケ ア を 行 う こ と に 対 す る 抵 抗 の 有 無 数 字 は 名,()内 は%を 示 す
表1.な りた い 群 ・な りた くな い群 別 影響 要 因 (数 字 は 「は い 」 の%)
表2.男 性助 産 婦 制 度 の 是 非 との 関 係
*.3は ケ アの 受 け 手 とな っ た場 合 の 仮 定 の 質問 で あ る