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2017年度「若手研究者特別委員会」の活動

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DOI: http://doi.org/10.14947/psychono.36.44

2017年度「若手研究者特別委員会」の活動

山 田 祐 樹

九州大学

The activities of the Young Researchers Committee of

the Japanese Psychonomic Society in 2017

Yuki Yamada

Kyushu University

This note is a short report on the activity of the Young Researchers Committee of the Japanese Psychonomic

Society (JPS) in 2017. As the highlighted activity of the committee in 2017, we held the oral session of the 36th

an-nual meeting of JPS. Eight young researchers were selected as the finalists from 17 entries and made presentations

on their studies that have already been published in peer-reviewed journals. One of the finalists who got the most

votes from audience was awarded as the Young Psychonomic Scientist of the Year 2017.

Keywords: Young Researchers Committee of JPS, Young Psychonomic Scientist of the Year 2017, PsyPo

若手研究者特別委員会とその2017年度の活動

学問はその担い手の新陳代謝によって発展する。それ

は基礎心理学についてももちろん同様であり,多様な若

手研究者の活躍は本分野の発展に不可欠なことである。

それでは,若手は実際に活躍できているのだろうか?こ

の問いに対しては,日本基礎心理学会に所属する各研究

室を対象とした網羅的な調査が1つの朗報をもたらして

いる。その中で,基礎心理学分野で博士の学位を取得し

た研究者の予後は比較的明るいことが判明したのである

(四本,2015)。しかし「若手」には学部生や大学院生も

含まれるはずだ。実はその「博士の学位を取得する」ま

でに数々の困難が存在していて,その過程においてド

ロップアウトしたり,研究が停滞し続けたりしている者

が多く存在する現状は無視できない。おそらく,多大な

努力や犠牲や幸運の末に学位取得に至れた者はそのまま

明るい未来を歩みやすいという,いわば“graduation

bias”のようなものが存在する可能性が隠れているので

ある。基礎心理学分野のさらなる発展のためには,未来

を担うすべての若手研究者が直面している余計な困難や

障壁をできるだけ取り払い,彼らの創造的で豊かな研究

活動を推進するための機能が必要である。

そのような要請のもと,若手研究者特別委員会 (若手

会) は日本基礎心理学会に所属する若手の研究・教育活

動や交流の支援を目的に 2013年12月に設立された (和

田,2015)。2017年度の若手会メンバーは有賀敦紀 (広

島大),市川寛子 (東京理科大),牛谷智一 (千葉大),小

川洋和 (関西学院大),三枝千尋 (花王),白井述

1

(新潟

大),田谷修一郎

2

(慶應義塾大),日高聡太 (立教大),

山田祐樹

1

(九州大),四本裕子 (東京大) の10名である

(あいうえお順)。また,若手会担当理事である石金浩史

(専修大) の手厚いサポートを受けている。

若手会はこれまで3度のサテライトオーラルセッショ

ンを主催してきたが,2017年度は同様の催しを,日本基

礎心理学会大会の中に位置づけられる「オーラルセッ

ション」として開催した。そのほか,日本学術会議若手

アカデミーでの

発表,ポータルサイト“PsyPo”の運営,

キャリアパス関連事業 (田谷,印刷中) など精力的な活

動を行った。

Copyright 2018. The Japanese Psychonomic Society. All rights reserved.

Corresponding address: Kyushu University, 744 Motooka,

Nishi-ku, Fukuoka 819–0395, Japan. E-mail: yamadayuk@

gmail.com

1

副委員長 (2015年11月∼2017年12月)

2

委員長 (2015年11月∼2017年12月)

(2)

第36回大会オーラルセッション

若手会は毎年サテライトオーラルセッションという企

画に最も注力してきた。このセッションの目的は日本基

礎心理学会に所属する若手に口頭発表を行う機会を与え

ると同時に,聴衆として同世代の優れた研究に接する機

会も設けることである。応募資格は,今年も例年になら

,学位未取得者ないしは学位取得後10年以内の本学

会会員であること (入会の意思を持つ者でも応募可だ

が,当日までに入会手続きを完了する必要がある),お

よび3年以内,すなわち2014年以降に第一著者か責任著

者として『基礎心理学研究』もしくは英文雑誌に厳密な

査読を経て論文が採択・掲載されていることとした。そ

してその論文の内容 (後にその研究の発展があればその

内容も加味してよい) について第一発表者として発表し

ていただく,という要件で募集を行った。この「査読付

き論文として受理済の研究,およびその発展についての

内容を発表すること」は本セッションを最も特徴づける

ものである。つまり,比較的制限の緩い一般的な口頭発

表のセッションのようなものではなく,研究内容を論文

にまとめ,厳密な査読を通過させ,学術誌に掲載させる

だけの技量を持つ発表者のみが登壇できる,ある種の

「選抜大会」の性質を帯びているのである。このように

本セッションは応募の時点で通常の学会・研究会より高

いハードルを設けているが,それにもかかわらず本年は

17件の応募があった。これは昨年度と同様の水準であ

る (田谷,2017)。

すべての

応募のそれぞれについて若手会委員10名が

内容・方法別に3段階で評定し,その合計値を評価値と

した (評価者が連名者であるなど,関係が深い応募につ

いては評定しなかった)。この結果,評価の高かった順に

学生から3件,その他から5件の計8件を採択し (Figure 1),

第一発表者がファイナリストとして登壇した (Table 1a

and 1b)。本年度のファイナリストも大学院生,ポスド

ク,大学教員と様々な立場の方によって構成され,発表

された内容も伝統的な心理物理学,認知機能,動物・昆

虫行動,脳機能測定を用いた社会的認知研究などバラエ

ティに富んだものとなった。

今年度のオーラルセッションは 2017年12月1日に日

本基礎心理学会大会の主催校である立命館大学の和田有

史氏を会場幹事として開催された。参加者総数は77名,

うち本学会会員は59名であり,これは過去最多であっ

た。

本セッションは発表の持ち時間を30分に設定してお

り,充実した発表と質疑応答がなされた (発表20分,質

疑10分)。素晴らしかったのは,各発表者が完璧に持ち

時間を守り切ったことであった。この種のセッションで

(司会の介入なしに) すべての話者が時間通りに話をま

とめるのはとても珍しい。このことも本セッションの発

表者が優れた選抜者であったことの証左ではないかと考

えている。各発表後,聴講者には発表についてフィード

バック用紙の記入を依頼した。セッションの終了後にそ

れらの用紙が発表者に手渡され,フロアの評価が伝えら

れた。また各聴講者は,もっとも優れた発表を1件のみ

選定し,投票した。その際の審査基準としては,(1) 研

究課題あるいは研究方法に独創性が認められること,

(2) 研究成果に発展性が認められること,(3) プレゼン

テーションが優れていること,の3点が教示された。

オーラルセッション後に実施したカクテルセッション

では,若手研究者間の活発な交流がなされた。また,得

票結果に基づき,最も優れた発表として武藤拓之氏を

The Young Psychonomic Scientist of the Year 2017として表

彰し,副賞として3万円分の金券を贈呈した。なお,こ

れまでの最優秀発表者のインタビューは近影とともに若

手会のホームページに掲載されているのでぜひご覧頂き

たい

(http://psychonomic.jp/young/)。また,先述のよう

に本セッションは応募資格のハードルが高く,8名の

ファイナリストに選ばれることそのものが難しい。そこ

で最優秀発表者以外のファイナリストもその功績を称え

るべく,日本基礎心理学会大会の総会で彼らの簡単な紹

介を行い,セッションに参加しなかった本学会会員にも

広く氏名と研究内容を周知した。ちなみに,過去のファ

イナリストの氏名についても若手会のホームページに掲

載している。

若手科学者サミットでの発表

2017 年 6 月 2 日,日本学術会議にて開催されたポス

ターでの研究発表会「第2回若手科学者サミット」に参

Figure 1. The finalists of the present oral session (+α).

(3)

Ta

ble 1a.

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発表順 第一発表者 連名発表者 発表 タイトル 要旨 1 上田竜平 柳澤邦昭 蘆田 宏 阿部修士 浮気 欲求 の 顕在 的 ・潜 在的抑制機構 の 関係性 ( 目的 )一夫一妻的関係 を 脅 かしうる 浮気的関係 への 欲求 が ,能動的 に 抑制 されるものか ,自動的 に 抑制 されるものかに ついては 一貫 した 説明 が 得 られていなかった 。本研究 では 研究間 の 調停 を 目指 し ,浮気相手 となる 異性 の 魅力 に 応 じて , 2 つの 抑制機構 の 関与 が 調整 されるという 仮説 を 検討 した 。( 方法 )交際関係 にある 男性 を 対象 に , fMRI のスキャン 中 に 浮気−一途潜在的連合課題 ( IAT ) と , go/n o-g o 課題 を 実施 した 。 IAT は , カテゴライズの 反応時間 から 潜在的姿勢 を 推 定 できる 課題 として , go/n o-g o 課題 は ,反応抑制時 の 前頭前野活動 から 抑制機能 を 予測 できる 課題 として , それぞれ 広 く 用 いら れて いる 。 その 後 ,呈 示 さ れた 異 性 と 「 ど れく らい デート して みた いと 思 うか 」 を 評定 する デー ト 評 定課 題 を 実施 した 。( 結果 )反応抑制時 の 前頭前野活動 が 高 いほど ,低魅力異性 に 対 する 浮気欲求 が 抑制 されていた 。一方 ,高魅 力異性 に 対 する 欲求 を 抑制 する 場合 にはさらに ,浮気 に 対 するネガティブな 潜在的姿勢 が 強 いことも 必要 であることが 示唆 された 。 これら 2 つの 抑制機構 に 優 れる 個人 は ,実生活 でも 相対的 に 長 い 交際関係 を 持 つ 傾向 が 示 された 。(結 論) 浮気欲求 の 抑制 には ,能動的・自動的 な 機構 の 双方 が ,対象 となる 異性 の 魅力 に 応 じて 関与 することが 示唆 された 。 2 大北 碧 永澤美保 茂木一孝 菊水健史 イヌにおけるヒト 視線 の 機能 の 解明 本研究 では ,最古 の 家畜動物 であるイヌとヒトの 異種間 コミュニケーションにおける 視線 の 機能 を 明 らかにした 。 まず 研究 1 では , イヌはヒトの 視線方向 からヒトの 注意状態 を 推測 できるのかを 明 らかにするため , ヒトがイヌに 視線 を 向 ける 直視条件 と ,異 なる 場所 に 視線 を 向 ける 逸視条件 で , イヌの 要求行動 の 頻度 に 差 があるのかを 検討 した 。要求行動 は , イヌがヒトの 注意 をひくために 行 う 行動 と 考 えられており , もしイヌがヒト 視線 から 注意状態 を 推測 できるならば , 逸視条件 の 方 が 直視条件 よりも 要求行動 が 増加 すると 予測 した 。結果 は 予測 に 反 して ,直視条件 の 方 が 逸視条件 よりも 要求行動 が 増加 したことから , ヒト 視線 はイヌにおいて ,注意状態 の 推測 に 寄与 するだけでなく , イヌの 行動 を 増加 さ せる 報酬性 をもつことが 示唆 された ( O hk ita et a l., 2016 )。 そこで 研究 2 では , イヌにおけるヒト 視線 の 報酬性 を 直接検討 するため , イヌがある 行動 を 行 った 直後 に ,直視写真 を 呈示 する 条件 と ,逸視写真 を 呈示 する 条件 の 行動頻度 を 比較 した 。結果 は ,直視条件 において 逸視条件 よりも 行動 が 増 加 したことから , イヌにおいてヒト 視線 は 報酬機能 をもつことが 示唆 された 。家畜化 により , イヌがヒトと 環境 を 共有 し 進化 したことによって 獲得 された 機能 であると 考 えられる 。 3 吉本早苗 竹内龍人 Jesel Ga rci a Fan g J ian g A rn old J . W ilk in s M ic hae l A. W ebs ter 視覚的不快感 の 時間特 性 目的   光 源 の 明滅 に よ る フ リッ カ は 時 に 不快 感 を 喚起 し , 光 感 受性 発作 を 誘発 す ること が あ る が , その 原因 とな る 時 間 特 性 は 明 らか で な い 。空 間 次 元 に おいて は ,空 間 周 波 数 ス ペ クト ル が 自 然情景統計量 ( 1/ f) か ら 乖離 し て お り ,特 に 中域 の 周 波数帯域 で 振幅 が 大 きい 場合 に 不快 感 が 喚起 さ れ ること ,一 方 で 位相 の 変調 は 不快 感 に 影響 し な い こと が 報告 され て い る 。本 研 究 では ,時 間 次 元 に お ける 不快 感 に つ い ても 空間 次 元 と 同 様 の 特徴 が 見 ら れ るか 検討 す ること を 目的 とし た 。 方法 輝度変調 フリッカの 振幅 と 位相 を 操作 し ,一対比較法 によりフリッカがもたらす 不快感 を 推定 した 。 結 果  フリッカの 時間周波数 スペクトルが 1/f を 示 さず ,中域 の 周波数帯域 ( 15 H z前 後) の 振幅 が 大 きい 場合 に 不快感 が 上昇 した 。 また ,不快感 の 上昇 に 伴 い 不自然 さの 印象 が 強 まった 。 さらに , フリッカの 位相 がランダムに 変化 する 場 合 に 不快感 が 上昇 した 。 これは , フリッカにおける 輝度変調 パターンの 規則性 によるものではなかった 。 結論  空間次元 と 同様 ,時間次元 における 不快感 も 自然情景統計量 を 利用 するような 機序 により 生成 されることが 示唆 された 。一方 で ,空間次元 とは 異 なり ,位相 が 重要 な 役割 を 担 っている 可能性 がある 。 4 武藤拓之 * 松下戦具 森川和則 身体化 された 空間的視 点取得 ──運動 シミュレー ション 説 の 証拠── 空間的視点取得 とは ,自分 の 視点 とは 異 なる 視点 から 見 た 物体 の 空間的位置関係 を 把握 する 認知過程 である 。本研究 は , 空間的視点取得 の 際 に ,取得 する 視点 の 位置 まで 自分 の 身体 を 心的 に 移動 させる 運動 シミュレーションが 行 われること を 5 つの 行動実験 で 実証 した 。実験 の 結果 ,心的 な 移動 の 方向 と 一致 する 側 の 足 や 手 を 前 に 出 して 反応 した 時 に ,不一 致 な 側 の 足 や 手 を 前 に 出 して 反応 した 時 よりも ,空間的視点取得課題 の 反応時間 が 短縮 することが 示 された (視 点・ 反 応一致性効果 )。 この 視点 ・反応一致性効果 は ,移動 とは 無関連 な 指 の 動作 を 用 いた 時 には 生 じなかった 。 また ,視点 ・ 反応一致性効果 は 想像上 の 移動経路 と 反応動作 が 整合 した 時 のみ 生 じ ,単純 な 空間的刺激反応適合性 や 感覚運動干渉 で は 説明 できないことも 示 された 。 さらに ,足 と 手 の 反応時間 を 比較 したところ ,空間的視点取得 を 必要 としない 単純 な 課題 では 手 の 反応 が 足 よりも 速 いのに 対 し ,空間的視点取得課題 では 足 の 反応 が 手 よりも 速 いことが 示 された (足 の 優 位性 )。以上 の 結果 は ,空間的視点取得 の 際 に 運動 シミュレーションが 行 われることを 裏付 ける 証拠 であり ,空間的視点 取得 が 身体性 に 根差 した 認知過程 であることを 示唆 している 。

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発表順 第一発表者 連名発表者 発表 タイトル 要旨 5 横山武昌 Sr ika nt h P adm al a Luiz P es so a Ap pet iti ve-a ver siv e co m pet itio n in v isu al se le ct iv e a tten tio n Le ar ne d s tim ul us-r ewa rd a ss oci at io ns infl uen ce h ow v isuos pa tia l a tten tio n i s a llo ca te d, s uc h t ha t s tim uli p re vio us ly p air ed w ith r ewa rd a re fa vo re d in si tu at io ns in vo lv in g limi te d r es our ces a nd co m pet itio n. A t t he s am e t im e, t as k-ir re le va nt em ot io na l s tim uli g ra b a tten tio n a nd di ver t r es our ces a wa y f ro m t as ks. H ow ev er , in ves tiga tio ns o f h ow r ewa rd le ar nin g a nd n ega tiv e s tim uli a ffe ct v isu al p er cep tio n a nd a tten -tio n h av e b een co nd uc te d in a l ar ge ly in dep en den t fa shio n. W e h av e r ecen tly r ep or te d p er fo rm an ce-b as ed m on et ar y r ewa rd s r ed uce n ega -tiv e s tim uli in ter fer en ce d ur in g v isu al p er cep tio n. H er e, w e in ves tiga te d h ow s tim uli a ss oci at ed w ith p as t m on et ar y r ewa rd s co m pet e w ith nega tiv e em ot io na l s tim uli d ur in g a s ubs eq uen t v isu al a tten tio n t as k w hen, cr itic al ly, n o p er fo rm an ce-b as ed r ewa rd s w er e a t s ta ke . I n E x-per im en t 1, d ur in g t he le ar nin g p ha se , p ar tici pa nts s ele ct ed b et w een t w o s tim ul us c at eg or ies t ha t w er e p air ed w ith hig h- a nd lo w-r ewa rd pr ob ab ili ties. In th e tes t p ha se , w e co nd uc te d an RSVP ta sk w her e a ta rg et stim ul us wa s p re ce de d by a ta sk-ir re le va nt neu tra l o r n ega tiv e im ag e. W e f oun d t ar get s tim uli p re vio us ly a ss oci at ed w ith hig h r ewa rd r ed uce d t he in ter fer en ce eff ec t o f p ot en t, n ega tiv e im ag es. I n E xp er -im en t 2, t hi s r es po ns e p at ter n p er sis te d des pi te t he fac t t ha t t he r ewa rd m ani pu la tio n wa s ir re le va nt t o t he t as k a t h an d. O ur r es ul ts dem -on stra te r ewa rd-a ss oci at ed s tim uli r ed uce t he de let er io us im pac t o f n ega tiv e s tim uli o n b eh av io r. 6 寺尾勘太 水波 誠 Pr edic tio n er ro r th eo ry in in se cts; co m pa ra tiv e a na lys es pr od uce in sig hts f or gen era l le ar nin g ru les In a ss oci at iv e le ar nin g in m amm al s, i t i s w ide ly accep te d t ha t t he di scr ep an cy , o r er ro r, b et w een ac tu al a nd p re dic te d un co ndi tio ne d s tim u-lu s ( US ) det er min es w het her le ar nin g o cc ur s. C om plet e e viden ce f or t he p re dic tio n er ro r t he or y, h ow ev er , h as n ot b een o bt ain ed in a ny le ar nin g sys tem s: P re dic tio n er ro r t he or y s tem s f ro m t he fin din g o f a b lo ck in g p hen om en on, b ut b lo ck in g c an a lso b e acco un te d f or b y ot her t he or ies, s uc h a s t he a tten tio na l t he or y. W e dem on stra te d b lo ck in g in c la ssic al co ndi tio nin g o f a n o do r a nd p at ter n w ith wa ter r e-wa rd or sa lt wa ter av er siv e US in cr ic kets an d ob ta in ed ev iden ce to rej ec t t he at ten tio na l t he or y. T o ob ta in fur th er ev iden ce su pp or tin g th e pr edic tio n er ro r t he or y, w e co ns tr uc te d a n eura l m ode l t o m at ch t he p re dic tio n er ro r t he or y a nd e va lu at ed i t: t he m ode l p re dic ts t ha t p ha r-m aco log ic al in ter ven tio n o f o ct op amin er gic/do pa min er gic t ra nsmi ssio n d ur in g a pp et iti ve/a ver siv e co ndi tio nin g im pa irs le ar nin g b ut n ot fo rm at io n o f r ewa rd/a ver siv e US p re dic tio n i ts elf r es pe ct iv ely , a nd i t t hu s p re dic ts n o le ar nin g in s ubs eq uen t t ra inin g. W e o bs er ve d s uc h a n “ au to-b lo ck in g” , w hic h co uld b e acco un te d f or b y t he p re dic tio n er ro r t he or y b ut n ot b y a lter na tiv e t he or ies. O ur r es ul ts s ug ges t t ha t o ct o-pa min e/do pa min e n eur on s m edi at e r ewa rd/a ver siv e p re dic tio n er ro r sig na ls, r es pe ct iv ely , in cr ic kets. O ur r es ul ts p ro duce f ur th er in sig hts fo r e vo lu tio n o f le ar nin g m ec ha ni sm s dep en din g o n t he p re dic tio n er ro r. 7 中山遼平 本吉 勇 視覚刺激 の 意識的 検出 における 加速 度情報 の 役割 我々 は 知覚意 識 の 成立 に とっ て 重 要 な 役割 をも つ と い わ れ る 運動 情報 の 実体 を 探 って いる 。本 研 究 で は ,重 要 なの は 運動 で は なく 加速度 で はな いか と い う 仮説 を 検討 した 。 運動刺 激 の 速 度変化 に 対 する 検出 感 度 は 速度 変調 の 時 間 周波 数 に 対 し てロ ー パ ス 特性 を 示 すこ とか ら ,視 覚 系 は 加速度 を 検出 で き な いと 考 えら れ てき た 。 し かし ,運 動 を 注意 で 追跡 で きな いよ う に 統制 す ると , 視覚系 は 速度 変調 に 対 して 強 い バ ン ドパス 特性 を 示 した 。 こ れ は 初 期 視覚系 が 本 質的 に 加速度 に 感度 を も つ こと を 意味 する ( N ak ay am a & M ot oy os hi, 2 01 7)。 視 野 闘 争 や 視 覚探索 に お ける 標 的 検出 が 身体 座標 に お ける 運動 に 強 く 影響 さ れ る こと を 示 した 別 の 結 果( N ak ay am a et a l., 2 01 6a , b ) も 合 わ せ ると , 身体座標 上 で の 過 渡的 な 運動 が 意識 的 知 覚 を トリ ガ す る と 考 え るこ とが でき る 。 また ,運 動 刺 激 が 一定 のリ ズ ム で 離 散化 して 知覚 され る 新 錯 視 の 分析 か ら , 過 渡 情報 の トリ ガ が な い 場 合 ,知 覚 意識 は 4– 8 Hz の 周期的 な 処 理機構 に より 更新 さ れ ると い う 可能性 を 見 出 し ても い る ( N ak ay am a et al ., un de r r ev ie w )。 8 中島亮一 横澤一彦 ある 空間位置 に 向 き 続 けた 注意 はそ の 位置 での 変化検 出処理 を 促進 する 背景  変化検出処理 には ,変化前物体 と 変化後物体 それぞれに 注意 を 向 けることが 重要 である 。 では ,変化 の 前後 を 通 じて 持続的 に 注意 を 向 けていた 場合 ,何 が 起 こるのだろうか 。本研究 では ,注意 が 持続的 に 向 く ・向 かない 状況 を 実験的 に 確認 し , その 時 の 変化検出成績 を 比較 した 。 方法  ある 位置 に 注意 を 向 け 続 ける 状況 を 作 るために ,単一物体 の 変化検出課題 (変化生起 の 有無判断) を 行 った 。 そして , 変化前物体 と 変化後物体 の 位置関係 ( 同位 置 ・異位置 ) と ,変化前後 のブランク 時 間(実 験 1) あるいは 変化前物体 の 呈示 時 間(実 験 2) を 操作 した 。注意 が 変化前物体 の 位置 に 向 き 続 けていた 場合 ,変化後物体 が 異 なる 位置 に 出現 すると ,注意 を 移動 させる 必要 があり ,変化検出成績 は 低下 する 。 これにより ,注意 がある 位置 に 向 き 続 けていたかを 確認 できる 。 結果  注意 の 持続 はブランク 時間 によって 規定 される 。 つまり ,注意 はブランク 時間 が 短 い 場合 にみ 特定 の 位置 に 向 き 続 け ることが 明 らかになった 。 そして ,持続的 な 注意 は , その 位置 での 変化検出処理(変化生起 の 検出 のみ ) を 促進 した 。 結論  持続的 な 注意 は 変化 の 瞬間 の 知覚 と 関連 しているという 推測的 な 仮説 があるが ,本研究 から ,注意 による 変化検出 の 促進 が 変化 の 瞬間 の 知覚 につながることがわかった 。

(5)

加した。この研究会は分野を問わず国内諸学会の若手部

会代表が集まり,それぞれの研究内容について相互に紹

介しあい,交流を深めることを目的とする (髙瀨,2017)。

日本基礎心理学会若手会からは慶應義塾大学の田谷修一

郎氏 (若手会委員長) が代表して発表を行った。本研究

会では聴衆も各若手部会の所属者であることが多いた

め,各発表に対しては専門的な視点からの質疑よりも,

若手会の運営に関する情報交換の方が多くなされる側面

がある。とりわけ日本基礎心理学会若手会が驚かれるの

は,テニュアの若手10名にて運営しているという体制

についてであった。ほかの若手部会では,大学院生・ポ

スドクにより運営がなされているか,あるいは若手の学

会理事または世話人1名を主担当者として全若手・学生

会員を構成員としていることが多い。それぞれの体制に

はそれぞれの特徴があるのだが,本会の長所は政策の実

現力と機動性を兼ね備え,かつ特定層へのバイアスが生

じにくいという点であると思われる。この長所を活かし

て活動に取り組んで参りたい。

その他の活動

引き続き“PsyPo (サイポ)”を運営している。PsyPo

とは,国内の心理学研究室のウェブページへのリンクを

集約し,どこで誰がどのような研究を行っているか,効

率よく検索できるようにすることを目的としたポータル

サイトである。2018年1月現在PsyPoにはおよそ20の研

究室が登録されており,登録研究室は随時募集してい

る。登録のための条件と方法などについてはPsyPoサイ

ト (http://webpark1842.sakura.ne.jp/PsyPo/) を参照された

い。なお現在,本サービスをさらに有効化できないか継

続して議論中である。

また2017年12月2日に日本基礎心理学会大会にて 「企

業が心理学に期待するもの,心理学が企業に貢献できる

こと」と題したシンポジウムを「実験心理学者としての

多様なキャリアパスを考える特別委員会」と共催した。

詳細は田谷 (印刷中) にて報告されるが,このように本

委員会は若手のキャリアパスに関しての改善策も模索し

ている。

今後の活動

2018年度も日本基礎心理学会第37回大会準備委員会の

協力のもと,専修大学を会場としてオーラルセッション

を行う予定である。2017年度オーラルセッション後のカ

クテルセッション中の挨拶にて山田が発言したように,

従来のオーラルセッションの魅力と機能を保ちながら,

さらなる改良を加えていきたいと考えている。本イベン

トは次で5回目の開催となり,回を重ねるごとに聴講者

も増え,知名度・注目度ともに高まっている。また今回

初めて大学院生が最優秀発表者となったことで,「ポス

ドク以上の人々のための祭」感もかなり低下したのでは

ないだろうか。今後,学生からのチャレンジが激増する

ことを期待している。さらに本イベントをグレードアッ

プするために,選考過程や運営方法に関して最適化を実

施する。そしてそれだけでなく,ストリーミング中継

(某元ファイナリストAさん発案),アプリベースの投票

システムの導入 (某山田発案),さらには年齢制限を撤廃

したフル代表戦の開催 (某元最優秀発表者Bさん発案)

など,新たな試みについても議論を進めていきたい。ま

ずはいったん,あらゆるアイデアをタブーなしで募り,

それを吟味してみるつもりである。

なお,2018年度より委員長 (山田) と副委員長 (有賀

氏・三枝氏) を交代し,本委員会の体制も3期目へと突

入する。「売り家と唐様で書く三代目」というように,

この時期に何かが起こるかもしれないことは民間伝承や

古今東西の多くの歴史的事実が警告してくれている。そ

んな懸念を払拭するため,決して失速せず,間を置か

ず,若手研究者に資するあらゆる奇策を考案・実施して

いく所存である。そしてそのために必要なのは若手自身

からの声である。どのような要望や批判やただの感想で

もかまわないから,いつでも我々に話しかけて欲しい。

引用文献

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学術の動向,22, 110–111.

田谷修一郎 (印刷中).企業が心理学に期待するもの,

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取得者進路調査 基礎心理学研究,34, 176–179.

Table 1a. The oral session of the 36th annual meeting of JPS abstract (Session 1). 発表順第一発表者連名発表者発表タイトル要旨 1上田竜平
Table 1b.  The oral session of the 36th annual meeting of JPS abstract (Session 2). 発表順第一発表者連名発表者発表タイトル要旨 5横山武昌Srikanth Padmala Luiz PessoaAppetitive-aversive competition in visual  selective attention

参照

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