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拒絶過敏性と社会的スキルが社交不安症状に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P2-34 364

-拒絶過敏性と社会的スキルが社交不安症状に及ぼす影響

○中村 美咲子1)、伊藤 理紗1)、佐藤 秀樹1)、小澤 優璃1)、若杉 美樹1)、小関 俊祐2)、鈴木 伸一3) 1 )早稲田大学大学院人間科学研究科、 2 )桜美林大学心理・教育学系、 3 )早稲田大学人間科学学術院 【目的】 大学生に多く見られる不安症の一つに,社交不安症 (SAD)がある(三宅・岡本, 2015)。SADとは,他者に よって注視されるかもしれない社交状況に関する著明 または強烈な恐怖または不安を特徴とした疾患である (APA, 2013)。SAD症状に関連する要因として,拒絶過 敏性があげられる。拒絶過敏性は,重要な他者から拒 絶されることに対する過敏な傾向と定義されており, 拒絶過敏性とSAD症状との間に正の相関が示されてい る(Harb et al., 2002)。また,拒絶過敏性に焦点を 当てた心理療法の示唆のために,具体的な行動的反応 を明らかにする必要がある(巣山ら,2014)。SAD症状 に関連する行動的反応の要因として社会的スキルが考 えられる。社会的スキルとは,対人関係を円滑に運ぶ ために役立つスキルと定義されており(菊池, 1988), 社会的スキルとSAD症状との間に負の相関が示されて いる(Trower et al., 1978)。また,拒絶感があると 社会的スキルが低い(大久保・青柳, 2005)ことから, 拒絶過敏性と社会的スキルとの間に負の相関が想定さ れる。さらに,拒絶過敏性が高い者は重要な他者から の拒絶を感じやすい(Downey & Feldman, 1966)。以 上より,拒絶過敏性が高い者は,重要な他者からの拒 絶を感じやすいため,社会的スキルが低くなり,SAD 症状が高くなると考えられるが,これはまだ検討され ていない。そこで本研究では,拒絶過敏性と社会的ス キルとSAD症状の関連を検討することを目的とした。 本研究の仮説は,「拒絶過敏性が高い者は社会的スキ ルが低くなり,SAD症状が高くなる」こととした。 【方法】 参加者 首都圏の私立大学生・大学院生186名(男 性75名,女性106名,不明 5 名,平均年齢21.71±3.27 歳)。SAD症状 日本語版Liebowitz Social Anxiety Scale(LSAS;朝倉ら,2002)を用いた。この尺度は, 社会的状況の恐怖感の程度と回避の程度を測定してい る。 社 会 的 ス キ ル Kikuchi’s Scale of Social Skills 18 items(Kiss-18;菊池,1988)を用いた。 拒絶過敏性 日本語版Interpersonal Sensitivity Measure(IPSM;巣山ら,2014b)を用いた。調査手続 き 大学の講義終了後の時間を用いて,調査に関して 目的や意義を十分に説明した。その上で,回答を持っ て同意とみなす旨を伝え,最終的に同意を得られる場 合は,配布した質問紙に回答・提出するよう求めた。 分析方法 まず,本研究の対象者の特徴を把握するた

め,Kiss-18, IPSM, LSASの記述統計量を算出した。 次に,社会的スキル,拒絶過敏性,SAD症状との関連 を検討するために,相関分析を行った。次に,社会的 スキル,拒絶過敏性がSAD症状に及ぼす影響を検討す るために,Kiss-18,IPSMを予測変数,LSASを目的変 数とした重回帰分析を行った。最後に,社会的スキ ル,拒絶過敏性,SAD症状の各変数間の関係性を検討 するために,共分散構造分析を行った。倫理的配慮  早稲田大学「人を対象とする研究に関する倫理委員 会」の承認を得て実施された(承認番号:2017-134)。 【結果】 各変数の関係について検討するため,pearsonの積 率相関係数を算出した。その結果,LSASとIPSMとの間 に中程度の正の相関(r = .52, p < .001),LSASと Kiss-18との間に中程度の負の相関(r = -.50, p < .001)が認められた。IPSMとKiss-18との間には中程 度の負の相関(r = -.41, p < .001)が認められた。 拒絶過敏性,社会的スキルがSAD症状に及ぼす影響を 検討するために,IPSM,Kiss-18を予測変数,LSASを 目的変数とした重回帰分析を行った。その結果,回帰 式全体の説明率はR2 = .37と有意であった(p < .001)。また,IPSMの影響,およびKiss-18の影響が有 意であった(順に,β = .38, p < .001;β = -.35, p < .001)。拒絶過敏性,社会的スキル,SAD 症状の関係を検討するため,共分散構造分析を行っ た。なお,本研究のモデルは飽和適合度であるため, モデルの適合度については言及しない。各変数を観測 変数として設定し,仮説モデルを検討した結果,全て の因果係数は有意であることが示された(いずれもp < .001)。そして,因果係数は「拒絶過敏性」から 「SAD症状」で.38という値が得られ,「拒絶過敏性」か ら「社会的スキル」で-.41,「社会的スキル」から「SAD 症状」で-.35という値が得られた。 【考察】 本研究の結果から,拒絶過敏性がSAD症状に直接及 ぼす影響と,拒絶過敏性が社会的スキルを媒介して SAD症状に及ぼす影響が支持された。拒絶過敏性が直 接SAD症状に影響を及ぼすプロセスは,仮説とは異な る結果であった。拒絶過敏性の高い者は拒絶を避ける ことに最大の価値をおく(Downey & Feldman, 1996)。 また,拒絶過敏性の傾向が高い者は破局的思考があま り緩和されないため,他者からの評価を自分の脅威と して過大評価する傾向があると示されている(小野・

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P2-34 365 -古川,2010)。つまり,拒絶過敏性が高い者は,重要 な他者のささいな行動を拒絶とうけとりやすい傾向が あると考えられる。そのため,拒絶過敏性の高い者 は,拒絶される場面を回避する可能性が考えられる。 そのため,社会的スキルを使用する状況にならずに, SAD症状が高まる可能性が考えられる。拒絶過敏性が 社会的スキルを媒介してSAD症状に影響を及ぼすとい うプロセスは,仮説を支持する結果であった。この理 由として,他者に疎まれている考えをさす被拒絶感の 高い者は被拒絶感の低い者よりも社会的スキルが低い (徳永ら,2013)ことから,拒絶過敏性が高い者は重 要な他者からの拒絶を感じやすいため,社会的スキル が低い可能性がある。また,社会的スキルが欠けてい る者は対人場面で他者に好ましい印象を与えられず, 他者から肯定的に評価されないと結論付ける(Leary, 1982)。そのため,本研究においても,拒絶過敏性が 高い者は些細な事でも重要な他者から拒絶されたと感 じるため適切な社会的スキルを行えず,対人場面で肯 定的な評価が得られないと考えるためSAD症状が高く なる可能性がある。本研究の限界点としては,拒絶を 予期した場合は拒絶過敏性が他要因に及ぼす影響が異 なる(Downey et al., 2004)のに対して,拒絶を予 期する場面と予期していない場面を一緒にして,拒絶 過敏性と社会的スキルを検討した点があげられる。今 後は,実験場面において,拒絶を予期した場面での拒 絶過敏性と社会的スキルとSAD症状の関連と,拒絶を 予期していない場面での拒絶過敏性と社会的スキルの 関連をそれぞれ検討する必要がある。

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