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5.シンポジウム「Conservation Biology of Freshwater Crayfish-New challenge starting from Japan, East Asia-」を企画して(The Crustacean Society Summer Meeting in Japanと日本甲殻類学会第47回大会の合同大会を振り返って)

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82 η

le

Crustacean Society Summer

M eeting in ]apan

と日本甲殻類学会第

47

回大会の合同大会を振り返 って

全職金畿に

c;n

c

Ot

JAP

A}J

写真2 合同大会組織委員長 (上,馬場敬次熊本大学 名誉教援) と日本甲殻類学会会長 (下 i度遺 精 一東,

9

は藤巻亮氏と森上需氏の撮影). 最後に ,こ の大会の開催に際して準備段階から 開催当日,事後処理まで大会を支えて頂いた実行 委員,会員,ボランテイア ,学生,院生の方々の ご協力に深く感謝致します. 以下では,合同大会の朝合 彰事務局長より大 会の総括をご報告 いただくとともに,参加者やシ ンポジウム企画者等から寄せられた記事を掲載し ます. 参加 されなかった会員各位に大会の雰囲気 が少しでも伝われば幸いです 写真 3 歓迎パ ーティー . 写真 4 故杉浦千里氏による甲殻類細密画の展覧会

2.

合同大会の総括

朝倉 彰 ( 神戸大学大学院理学研究科) は じ め に 百

le Crustacean Society (T C S)

は,

1979

年 に アメ リカの甲殻類研究者を中 心 に設立され,

1986

年より世界を 北米,南米, オセアニア,アジア , ヨーロッパの

5

つ の 地 区 に わ け, そ れ ぞ れ に 地 区 会 長

(RegionalGovernor)

を置き , 全 体 会 長

(President)

の も と 国 際 的 活 動 を 展 開 し て き た その大会は当初はアメ リカで行われていたが,最 近はメキシコ,オーストラリア , ポーランド, ブ ラジル,イギリス,チリなど世界中で開催される に歪 った.

T C S

は, アジア地域での大会開催を

(2)

ηle Crustacean Society S u m mer M eeting in ]apanと日本甲殻類学会第47回大会の合同大会を振 り返って 83 かねてより希望していた それはアジアには日本 甲殻類学会や中国甲殻類学会などの大きな甲殻類 の学会,シンガポールなどの活発な甲殻類学のグ jレープなどがあり , また各国に多数の甲殻類研究 者がいるからである . そして2002年にアメリカの W iI1iansburg で開催された T C S の評議員会にお いて,日本甲殻類学会がホストとなって日本での 開催が決定した. 東 京 大 会 の 概 要 と 組 織 今回の大会の会場は東京海洋大学品 川 キャン れ た 25の固から340名の参加があり, 260の講演 発表があった 発表は甲殻類のあらゆる分類群に わたり,内容も非常に多岐にわたった . 概要,組 織,および、協力団体などは下記のようである . 日時:2009年9月20日(日)- 24日(対 場所 : 東京海洋大学品川キャンパス

主催 : 百le Crustacean Society . 日本甲殻類学

A :z;;; 共催 : 東京海洋大学,井上科学振興財団, 阻W l Breeze, (株 )総合コンサルタント「ズコ一 社

J

, ( 株) 太平洋総合コンサルタント,生物 研究社, 日本動物学会 後援 . 日本遺伝学会, 日本進化学会, 日本動物 学会, 日本生物科学者協会, 日本水産学会, 日本サンゴ礁学会, 日本生態学会,応用生態 工学会,日本ベントス学会, 日本プランクト ン学会, 日本生物地理学会, 日本動物行動学 会,個体群生態学会,日本付着生物学会, 日 本水産増殖学会,日本土壌動物学会 組織委員会 : 馬場敬次,渡遺精一,和田恵次, 浜 崎 活 幸 , 土 井 航 , 小 西 光 一, 朝 倉 彰 ( 事務局長) 開催地代表者: 浜崎活幸 寄付金 : 小 田原基金,小 田原慶子,秋 山 貞, 青木{憂和,馬場敬次, 一寸木肇,花村幸生, 林 健一, 伊 藤 円 ,伊谷行,川田晃弘, 菊池泰二,古賀庸憲,久米

i

羊, 三島伸治, 南 保 暢 聡 , 布 村 昇 , 大 塚 攻 , 小倉雅寛, 斉藤知己,重松玲子,嶋永元裕,諸喜田茂 充,下村通 誉,篠宮幸子,鈴木幸子,田中 宏典,田 口道夫,田 中克彦,W e n W a n g (王 文) ,山口 隆男 ,遊佐陽一, 日本動物学会, 生物研究社 デサイン ・根本佳織( ポスター,講演要旨集, Tシャツ) 杉浦千里絵画展: 増田美希 (杉浦千里の作品保 存会) ボランティア : 中島利栄,大木良字,山上亜紀 雄,松尾知,鞍橋綾子,本吉 一,村上由 香子,藤巻亮,橋本美紗子,夏井琴絵,森 上 需 エクスカーション: 葛西臨海水族園,松 山俊 樹,染谷実紀,小林美紀,須之部友基,佐土 哲也 ウエブサイト :作成 . 朝倉 彰. 写真提供: 池 田 等 , 古 賀 庸 憲 , 太 田 秀 , 田 中 克 彦 , 古 瀬 浩 史 , 十 五 夜 (h仕p://ju-goya.com/) , Hoshino-S (http://www.s-hoshino.c o m/) , T o m o. Yun (http://www.yunphoto.net) 企画されたシンポジウム (オーガナイザー,所属) 下記のようなシンポジウムが企画され,原則 として6名の演者に よって発表がなされたが,そ のシンポジウムに深い関連を内容をもった一般講 演者も

I

symposium-related presentationJ と冠し て,発表を行い,シンポジウムに参加 した .

Life History Migrations of Freshwater Shrimps: Ecological and Adaptive Significance (Raymond T Bauer, Univ. 1ρuisiana, U.S.A. & Hiroshi Suzuki, Kagoshima Univ., ]apan) Phylogeog raphy and Population G enetics in

Decapod Crustacea (Christoph D. Schubart,

Univ. Regensburg, Germany)

Speciation and Biogeography in Non-Decapod Crustaceans (Christoph Held, Alfred W egener Ins

t

.

Polar Mar. Res., Germany)

Crustacean C hem o reception: Identification of C u es and th eir Applications (Charles D erby, G eorgia S

t

.

Univ., U .S.A., & Miguel V. Archdale, Kagoshima Univ., ]apan)

(3)

84 η1e Crustacean Society S u m mer M eeting in Japan と日本甲殻類学会第 47 回大会の合同大会を振り返って Systems (Antonio Baeza, Smith. Trop. Res.

Inst U.S.A) ,.

Ecology and Behavior of Peracarids: Progress and Prospects (Masakazu Aoki, Tsukuba Univ., ]apan) and Martin T hiel (Univ. Catolica Norte, Chile)

Reproductive Behavior of D ecapod Crustaceans (Keiji W a d a, Nara W o m e n's Univ., ]apan, &

Satoshi W a d a, Hokkaido Univ., ]apan)

T h e N e w Perspective on Barnacle R esearch

foshi Yamaguchi, Chiba Univ., ]apan.) Symbiosis in Crustaceans: Diversity and

Evolutionary Trends (Susumu O h tsuka, Hiroshima Univ., ]apan)

Current Status of Fish eries and Biological

K nowledge of Snow and Tanner Crabs Genus Chionoecetes in the World (Hiroshi Motoh,

]apan)

Diversity and Ecology of Thalassinidean Shrimps (Gyo Itani, Kochi Univ., ]apan) Impacts of H u m a n Exploitation on Large

D ecapod Resources (faku Sato, Fish. R es.

A gen., ]apan)

Biology of A nomura III (Fernando Mantellato, Univ. Sao Paulo, Brazil

&

Christopher Tudge, Smithson. Inst., U.S.A.)

Conservation biology of freshwater crayfishes. - new challenges from ] apan , Eastern Asia (Tadashi Kawai, Wakkanai Fisheries Experimental Station) 今 回 の 学 会 の 特 色 と 成 果 また今回の学会中に,世界の甲殻類学会を代表 する人たちによる今後の国際甲殻類学会の運営に 関する会議がもたれたのも,ひとつの特筆すべき ことである. たとえば国際甲殻類学会の歴代の会

長 (RafaelLemaitre, Frederick R. Schram, Darryl

L. Felder, ]ens Hoeg, Gary C.B. Poore),ブラジ ル甲殻類学会の会長と前会長 (Dra Paula Beatriz de Araujo, Fernando L. Mantelatto),中華人民共 和 国 甲 殻 類 学 会 の 名 誉 会 長 と 会 長 (Ruiyu Liu, ]ianhai Xiang) らの参加である.

今回の会期中に

70

の学生による発表があり,こ れに対して大変にすぐれた

4

つの発表に対して, 国 際 甲 殻 類 学 会 学 生 賞 が 授 与 さ れ た 受 賞 者 は Adriana Radulovici CUniv. Q uebec),竹下文雄 (北 海道大学) , Maria Celia Malay (Univ. Florida),尾 崎有紀 ( 奈良女子大学) の各氏である . また会期 中に,長年にわたる甲殻類学に対する偉大な 貢献 を た た え る 百1e Crustacean Socieザs Excellence in Award Research の 受 賞 式 が あ り , Darryl L.

Felder 教授 (Univ.lρuisiana) に授与された 今回の成果はオランダの Brill 社より,原著論 文および総説を 2010年に出版する予定で,当該 分野における最高水準の最前線の研究成果を集大 成した論文集になると期待される. そして甲殻類 のさまざまな基礎的分野の研究の発展に寄与する ばかりでなく,水産科学,地球環境の保全,遺伝 学,神経生理学等の幅広い応用的分野への利用が 期待される . またアジア太平洋地域の研究者と, 欧米の研究者のこの学会での交流に基づく共同研 究・プロジェク ト研究の推進や,アジア太平洋地 域の若手研究者の育成 ・人材開発と,臥米地域へ の留学のいっそうの推進が期待される . 会 計 の 中 間 報 告 以下に会計の中間報告をさせていただ く. 下 記にあるように

494

万円ほど,黒字になっている ように見えるが,今回の学会の成果はオランダの Brill 社 から出版することになっており,それに 関わる出版費,および予め申し込んでいる人たち への発送費は,わが学会が出費することになって おり,それがまだ支出されていないためである. なお会計を集計するにあたってご尽力いただいた 浜崎活幸さんと土井 航さんに,厚く御礼申し上 げます.

(4)

ηle C rustacean Society S u m mer M eeting in ]apan と日本甲殻類学会第47回大会の合同大会を振り返って 85 平成22年4月20 日現在 収入

3. 開催地を代表して

項 目 金 額 ( 円) 浜崎活幸 (東京海洋大学海洋科学部) 日本甲殻類学会補助金 ¥2,050,000 小田原基金補助金 ¥2,000,000 はじめに T C S 補助金 ¥202,619 井上学術振興財団補助金 ¥800,000 個人・団体寄付金 ¥535,000 参加登錦 ・懇親会 ・T シャツ・パスツア一 千7,728,504 大学品 川 キャンパスにおいて, 百le Crustacean Society S u m m e r Meeting in ]apan (T C S) と日本

甲殻類 学会 第47 回大会の合同大会が開催され, 論文集予約申込 別刷 ・絵葉書売り上げ 展示ブース業者 利息 合計 支出 項 目 招待後援者補助金 昼食,懇親会,軽食代 Tシャツ製作代 Welcome reception 補助 東京海洋大学会場使用料 講演要旨集印刷代 絵葉書作成代 論文集B riIl 支払い分 参 加 登 録W e b 作成費, W e b 受付 + 後処理業務,サーバー使用料 クレジットカード手数料+ 参加登 録料出納管理費 消耗品+ 茶菓子代 パス代 エクスカーション+ レンタル資材 ボ、ランティア交通費 雑費 (郵送費,銀行手数料など) 合計 ¥2,133,000 ¥254,000 ¥145,000 千2,189 金 額 ( 円) ¥4,948,500 ¥2,463,900 ¥255,525 ¥82,000 干163,485 干452

340 干106,890 ¥687,803 ¥258

639 ¥75,536 ¥168,840 ¥886,100 ¥268,445 ¥92,380 h 0,910,383 いた . 世 間はシルバーウィークで浮き足立つ中, へとへとになりながら,どうにかこなした4 日間 だった . ここでは,準備から当日の動きなど,会 場関係のドタパタ劇を紹介したい. 事前準備 合同大会の打ち合わせが本格化したのは2007 年の秋頃だから ,随 分と早い時期から取り組み 始めたことになる まずは学内の講義棟や会議室 などを仮予約し ,会場を押さえた. 国立大学法人 になってから会場費が徴収されるようで,予算の 乏しい状況ではで、きるだけ節約する必要がある 海洋大との共催であれば,会場費が半額になると のことなので,海洋大に共催を申請し,許可され た. その問に ,参加費や寄付の振込みなどのため に,品川駅前の銀行で口座を開設しようとしたも のの,法人としてすんなり口座を開設するのは簡 単ではなく,大学から 割りと距離のある大きな支 庖で日本甲殻類学会, T C S などの説明資料を持 参してようやく口座開設にこぎつけた. さて,発表会場は確保できたので,次は昼食と パンケットの心配である. 国際学会では昼食 ・パ ンケット付なのが普通である . 大規模な日本水 産学会などが開催される際には大学生協が営業 差額 するので,今回も昼食には生協食堂とパンケツ ¥4,939,929 トには大講堂を使えるだろ うと安心していたとこ ろ,生協から参加人数が少なければ営業しないと のこと . どれだけ参加するのだろう 生協の担当 者と少し様子をみましようとの話になった. とこ ろが,生協食堂が入居している大学会館が改修の ため休業するとの連絡があり , しかも新装開庖は

(5)

86

ηle Crustacean Society S u m mer M eeting in ]apan と日本甲殻類学会第 47 回大会の合同大会を振り返 って ちょうど合同大会が終了した翌週になるとの話に 唖然となった. また,大講堂で秋に開催される予 定の「全国豊かな海づくり大会」に天皇 - 皇后両 陛下がご列席されることから,これまた大改修す るとのこと . 日ごろの行いが悪いのか, なんとも めぐり合わせの悪いこと . 参加人数が多いと窮屈 になるが,楽水会館の大ホールをパンケット会場 にするしかない. また,昼食は同ホールでケータ リング業者によるビ、ユツフェ方式も検討したが, 予算の関係とポスター会場設営の関係で却下. 結 局,昼食はランチボックスで対応することにし, 洋風にできないかと種々検討したものの, これ また緊縮予算の関係で日本スタイルのお弁当数種 (+ ペ ッ トボトル ) を用意し,生協の仮庖舗ホー ルでと っていただくことにした . 開催1 年程前までに会場や昼食・パンケァト 関係の方針を決めたのはよか ったが,開催年の新 春から3月末にかけては, 卒業論文 ・修士論文, 新学期からは講義,研究室学生への 対応などで パタパタし ,あっという聞に夏休み その簡に招 待講演者数名に旅費補助を事前送金するなどの対 応があ ったものの ,ほとんど準備 らしい ことはで きず( やらず) ,大会期間中に販売する予定のT シャツだけは早めに業者に発注したが,業者の対 応が不親切. ちょっと大丈夫かなと不安がよぎり つつ, 8月末にはインドネシアへ出張し , ピンタ ンビールを飲みながら「ヤシガニサンプルをゲッ ト」と 喜んだのも束の間,帰国しでもT シャツ の仕上がりはまだで,業者に督促の連絡を入れ, どうにか聞に合うといった状況に青ざめながら本 番に向けて取り組みを開始した. 本番直前 本番まであと 2 週間にな って ようやく本格始 動. 名札などの消耗品や茶菓子を発注し,組み あがっていた講演プログラムをにらみながら, 各会場担当などの役割分担を決める. 最大

5

会 場を使って相当数の講演があるのを再確認して, 少し気が滅入りながら,人 員配置を考えるが,我 が増殖生態学研究室学生 (12名) を総動員しでも 足りない. 大会組織委員であ った集団生物学研究 室の博士研究員 ・土井 航さん,同研究室の博士 研究員 ・宇 佐 美 葉 さ ん 博 士 後 期 課 程 学 生 ・川 田晃弘さんの応援を得てどうにか対応するしかな い. 受付名簿( 同伴者有無,パンケット参加, T シャツ ・エクスカーション・論文集申し込み入 名札,会場案内,領収書等々を急ぎ分担しながら 作成した大会組織委員会事務局長の朝倉 彰さ んから「国際学会における英語表現

J

なる資料を いただき,予め学生にレクチヤーする予定であ っ たが,そんな余裕もない. 開催3 日前には銀行 口座より招待講演者への旅費補助などに必要な現 金を引き出し ,大量の新札を珍しがりながら学生 の手を借り補助金額を封筒につめて厳重に金庫に 保管したいよいよ本番に突入である. 大丈夫か な ? ? 9 月14 日の週は学部の定期試験があることか ら,大会会場の準備は本番直前の9 月19 日 (土曜 日) にやるしかない. おまけに受付会場に予定 している楽水会館大ホールを他の団体が夕方ま で使 っていることから,杉浦千里絵画展用と業 者ブース用のパネルを朝9時には大ホールの倉庫 から慌しく搬出し,受付と受付会場内に設置予定 の

Brill

社,

T C S

本部, リプリント販売のブース は夕方に設置することとした . 講演に使う P C な どレンタル資材を業者から受け取り,各会場に設 置 ・確認し,講演会場,昼食会場などの案内を張 り出しながら,講義室の机などを移動して絵画展 や業者ブースを整えた . 気になるのは受付会場で ある . 大ホールを使用中の団体がなかなか帰らな い. 様子を見に行くと,何と缶ビールと乾き物で 宴会をや っているではないか. 勘弁してよ! と叫 びながら事情を説明し,会場の設営に 着手 して19 時過ぎにはようやく終えることができた. 明日は いよいよ 受付開始だ. 交通トラブルなど何かある といけないので,大学から 二駅ほどのビジネスホ テルに投宿し,明日の本番を待つ. いよいよ 本番 9 月20 日( 日) ,当日は快晴. 朝

M

さんのご紹介で 参集いただいた英語の堪能なボランティアの方々 と対面したが,十分な打ち合わせができないまま に続々と受付会場に大会参加者が訪れ始め,なし 崩し的に 受付開始となる. 和田恵次先生の応援も

(6)

百1e Crustacean Society S u m mer M eeting in ]apanと日本甲殻類学会第47回大会の合同大会を振り返って

87

得て心強い. 招待講演者,事前登録外国人・日本 人別に 受け付け,金庫番をしながら 当日 申し込み のエクスカーション, T シャツ販売なども同時に 対応する. また,宇佐美さんを中心に講演ファイ ルの受け付けも始まる . 何せ皆始めての経験で, 地に足が着かない状態であったが,池袋で開催さ れるウエルカムレセプションへの最終バスの時刻 がすぎる頃には落ち着きを取り戻し,大ホール内 のリプリントや絵葉書販売会場も18時頃には撤去 してどうにか

1

日目が終わった. 初日の受付人数 は参加登録者よりもかなり少ないので,講演発表 が始まる翌日の受付が一番混雑することが予想さ れる. 翌日は講演・コーヒーブレイク会場に学生 を貼り付けなければならないので,受付会場がや や手薄になるが, 1 日目をどうにかこなした自信 からか,

r

どうにかなるさ」と自分に言い聞かせ ながら宿へと向かった

9

21

日間,

2

日目. ほほ終日 受付は混雑,会 場ではプロジェクターの電源が入らないわ,大 変│ 楽水会館と講演会場の講義棟を何度も往復し どうにか対応した. 脚が棒になった. その間,

11

時には業者からお弁当を受け取り,学生を貼り付 けて昼食会場を準備し,

12

時過ぎか らぼちぼちお 弁当タイムの始まり. ちょっと小ぶりなお弁当で 物足りない方も多かったかもしれないが,海外か らの参加者も器用にお箸を使いながら食事されて いるところをみて一安心した. 受付会場に参加者 が使用できるように

P C

やプリンターを配置し , ネットにつながるようにする予定であったが,対 応が間に合わず,研究室に案内して対応したり, 参加証明書の発行を希望される海外からの参加者 も比較的多く,急逮作製したりした. 夕方には各 会場係の学生から1 名ずつ招集して翌日開催され るポスター会場を設営すると, 1 日目の口頭発表 が無事終わったとの連絡が学生から続々と入って きた . どうにか山場を越えることができた 当日 の参加l費やリプリント売り上げなどの現金収入を 確認して金庫にしまい,無事終了である. 9月

22

日附 ,

3

日目. 受付もほぼ終了 し,午後 は学会関連の総会とポスタ一発表なので,かなり 気分が楽になった. ポスター発表は大盛況で、活発 な議論が交わされていた. 今回の学会で唯一私が みることができた学会発表らしい風景であった. 夕方に出した軽食はあっという間に完食し,会場 係としては終了時刻の19時30分には早々に会場を 閉めたいとこ ろであったが,熱心な方が多く,な かなか帰っていただけなかったが,

20

時までには どうにか終わることができた. 明日はパンケ ッ ト の会場に使用するので,当初予定ではその日のう ちにパネル等を撤収する予定であったが,皆へと へとになっていたので,翌日早朝から片づけるこ ととし,解散した 9

23日附, 4日目 いよいよ最終日である. 学生の頑張りでどうにかここまできた. 全会場を 使 つての講演も無事進行し,夕方には閉会式とパ ンケットが予定されている パンケット会場の準 備状況をみなが ら,閉会式が始 まると, 翌日から の講義再開に備えて会場の現状復帰に着手した 絵画展示室,業者展示ブース, レンタル資材を 撤収し,掃除を終えたのは,パンケ ッ トが始ま っ てかなり時聞が経った頃だ‘った. 急ぎ会場へ向か い,学生たちと混雑している 中で乾杯してしばし 食事をとった. いよいよパンケットも終盤に向か い,合同大会も終わりである. 会場を片づけ,大 ホールの机や椅子を現状復帰し,ょうやく長かっ た4 日聞が無事終わった 最後に 合同大会は筆者と学生にとって貴重な体験で あったが,欲を 言 えば,もっと学会参加者,特に 海外からの参加者と 学生の交流が図れればよか っ たと感じている. 昼食やパン ケットなど十分な対 写真5 受付風景.

(7)

88 ηle Crustacean Society Su m mer Meeting in ]apan と日本甲殻類学会第471111大会の合同大会を振 り返っ て 写真6 シンポジウム発表会場. 写真7 ポスタ一発表会場. 応ができない面も多々あ ったことと思われるが, 少人数で対応せざるを得なかった状況をご理解い ただければ幸いで、ある . それなりの参加人 数でしかも国際学会の会場 担当をどうにかこなせたのも,ボランティア諸氏 (中島利栄,大木良字,山上亜紀雄,松尾 知, 鞍橋綾子,本吉 一,村上由香子,橋本美紗子, 夏井琴絵) 並びに海洋大諸氏 (土井 航,宇佐美 葉,川田晃弘,小川シンチャ百合 iJ度溢隆司,杉 山 輝,村上友羽 ,今井彰彦,吉村綾子,金子敬 明,山下朔太,石川琢真,井上拓郎,石橋裕作, 田中健宏) のお陰である. 学生の若い力の偉大さ を再認識した4 日間でした . ここに記して感謝申 し上げます. 写真8 パンケ ッ トー 写真9 海洋大スタ ッフ.

4. 合同大会に参加して

丹羽信彰 (ネ111戸市立六甲アイランド高等学校) ミナミヌマエピの研究を始めてもう30年近く になる. これまで,C A N C E Rの前身, 日本甲殻 類 学 会ニュース 第13号 (1989) に 「ミ ナミヌ マエピを追 って」 として,草創期の研究の様子 を綴 った. カニに関しては「付着生物のついたカ ニ

2

J

(短報: マガキの付着したチチュウカイ ミド リガニおよびフジツボの付着したイソガニ ) Cancer 10, 23-24. (2001) などに発表させても らっている . さて,昨年は

5

15

日(鎚兵庫県立神戸高校から 表面化 した新型インフルエンザ騒動で,我が六甲 アイランド高校も 一週間休校・閉鎖となり,教師 による学校の消毒など大変で、あ った. そんな異常 な緊張感の中, 9 月20 日からのT C S 国際甲殻類

(8)

百le Crustacean Society Summer M eeting in ]apanと日本甲殻類学会第47回大会の合同大会を振り返 って 89 学会参加と なった. とめどもなく流入する 輸入外来種の生物群の 中で,甲殻類に関して ,食用として輸入される ものは加工されるため野外への拡散の可能性は ないが,生き餌は分散し生態系に重大な影響を 与える可能性がある. 著者は先に,兵庫県夢前川 水系菅生 川で中国固有のヒルミミズ CHoltodrilus truncatus) が 付 着 し た カ ワ リ ヌ マ エ ビ 属 工 ビ

(Neocaridina spp.) を 発 見 し た (Niwaet al.

2005) . 後の調査でこのヒルミミズの付 着するエ

ピは姫路を中心とする東西6 0 k mの限られた河川 に分布している事も判 明 した (Niwa& Ohtaka,

2006) . このことから,中国からの釣り餌として 生きた輸入エピ商品名ブツエビ: カワリヌマエピ 属エピ (Neocaridina spp.) に付 着したヒルミミ ズが非意図的に日本に輸入され,淡水域に分散し た可能性が高いと考えられる . この発見がきっか けとなり ,大学や研究所の研究者5 名との共同プ ロジ、エク ト: 平成19年度科学研究費補助 (基盤研 究B ) 課題番号19310150

I

外来個体群の侵入・分 散に伴う淡水エピ類の遺伝子汚染と共生システム の撹乱

J

(代 表者. 滋賀県琵琶湖環境科学研究セ ンター西野麻知子博士) に発展し,研究は大きな 広がりを見せた. 今回のT C S参加目的の1つは , こ の 研 究 成 果 の 発 表 に あ っ た そ れ ぞ れ① 著者 (丹羽 ) が兵庫県菅生 川 のホス トのN eocaridina spp. 上のヒルミミズ (H. truncatus) とエビヤド リツノムシ (Scutari・ella spp.) の共生関係を発表 し,②西野麻知子博士のNeoca行dina spp.の圏 内 への侵入と分散などの総括的な発表があ った ③ 東北大学の池田実博士と遠山裕子さんのホスト のNeocaridina spp. のミ トコ ンドリア D N A解 析 結果の報告があ った そ し て④弘前大学のヒルミ ミズの専門家大高明史先生はトルコでの国際水生 貧毛類シンポジウムで中国での調査結果など,分 野別に,それぞれの結果を報告した. 各演題は次 のようである.

①Nobuaki Niwa: Seasonal changes of two ectosymbiotic w o r m s Holtodrilus truncatus (Branchiobdellida) and S cu tariella spp . (T em n ocephalida) on the host shrimp Neocaridina spp. from the Sugo River, western ] apan .

2009-9-22, S9-P3,15: 40-19: 30.

②Machiko Nishino, Nobuaki Niwa, Minoru Ikeda,

Hiroko T o h y a m a, Akifumi Ohtaka: Invasion and dispersion of alien freshwater shrimps,

Neocaridina spp. (Caridea

Atyidae) and its ectosymbionts into ]apan. 2009-9-23, R o o m C

G-C2, 10 : 20-10: 40

①Hiroko T o h y a m a, Minoru Ikeda, Nobuaki Niwa, A kifumi Ohtaka, Yongde Cui Hong-Zhu W a n g, Machiko Nishino : Suspected invasion of freshwater atyid shrimp from China into ]apan revealed by mitochondrial D N A analysis. 2009-9-22, GP-3, 15・40-19 :30.

④i.Akifumi Ohtaka, Machiko Nishino, Nobuaki Niwa, Minoru Ikeda, Hiroko Toyama, Yong-De Cui, H o n g引1 u W a n g, Zhi-Yong W a n g,

Rong-Bin Chen: Coexistence of ectosymbiotic branchiobdellidan s (Annelida, Clitellata) and T em n o cephalidans (Platyhelminthes,

Turbellaria) on atyid shrimps in China. 2009-10,国際水生貧毛類シンポジウム( トルコ) . さて ,会場の東京海洋大学に 向かう途上, 出発 の神戸空港から羽田空港までのスカイマーク便の 機内から見た 美 しい富士山が印象に残 った 大会 はご存知のとおり大盛会で,参加者340名程で, 何処の会場も国際色豊かな外国人のエピ ・カニの 研究者で一杯だ った. 滞在の3 泊 4 日間,昼間は 大学で英語漬けになり,夜は目黒のホテ ルに戻 っ ても, 頭から英語が離れなかった . 世界中の甲殻 類のすばらしい研究者が一堂に会しての夢の大会 であ った. ルイジアナ大学の R aymond T Bauer 博士と記念スナ ップ撮影が 出来て ,よ い思い出 にな った ( 写真10). どちらかと言えば横浜国大 の リスク評価国際会議 (Niwa& Ohtaka, 2006)

のような緊張感はなく,フレンドリーな 雰囲気で あった. これまで,

I

ミナミヌマエピ」の同 定依 頼でNeocaridina spp.の標本を送 って下さ った, 当時,千葉県立博物館の朝倉彰さん,神 奈川県 の一寸木肇さん,静岡県のNeocaridina spp.の標 本を送って下さ った,東京海洋大学の宇佐美 葉 さん,そして,日本甲殻類学会の主要メンバー ・ 馬場敬次先生l . 度迭精 一先生,村岡健作先生,

(9)

90 百le Crustacean Society Summer M eeting in ]apan と日本'013殻類学会第 47 回大会の合同大会を振り返って 山口隆男先生そして,元京都大学フィー ルド科学 教育研究センタ ー舞鶴水産実験所の坂本三和さん や大阪工業大学の三橋雅子さんなど, 学会を彩る これまでのたくさんの方々に西野博士を紹介出来 たことも今回の1 つの成果です 初日の池袋のサ ンシャイン水族館見学は,品川の大学から貸切の パスが出て,ゆっくり観覧出来た . ザリガニシン ポにおいてロシアのサハリン ・オーストラリア ・ ニュージーランドのザ リガニの話があった . ウエ ルカムレセプションは6 時30分から朝倉さんの乾 杯の音頭「チアーズ」で始まった . 皆さんと歓談 は出来たが,帰りの品川行き貸切りパスの 出発時 間が

9

時と遅いので,私は途中で出た . サンシヤ インから J R 池袋駅まで遠くて,荷物を 一杯両手 に持って大変だ、った . 講演や学会のビデオ記録は テープ5本にわたった. オランダのライデン博物 館に何回も調査に行かれた ,熊本の山口隆男先生 の基調講演「シーボルトとファウナジャポニカ」 は圧巻で,江戸時代の参勤交代の海岸の図には, 日本の能が出て, 日本らしさが出て,多彩なエ ビ・カニの岡など綴密な解説は見るもの ・聞くも のを圧倒した . ま た,デンマークのJensT. H oeg 輸入されているエビは

Neocaridina

spp. のみなら ず,平行して輸入されている商品名シラサエビ (Palaemonidea spp.主にスジエピ類) や海産のク ロダイ釣りに使われるイソガニは中国山東半島青 鳥付 近で現地の「ほりこ

J

(採集者) によって周 年採集され輸入されている. 2006年当時,中国産 イソガニが枯渇すると,やや大きいベトナム産 の赤いカニが上海経由で関空に入荷していた . タ コ釣りに使われたが,採算が合わずすたれて,幸 い現在は全く入荷していない. おびただしい外来 種の甲殻類が日本国内に輸入されている . 税関も 品名 ・数量はチェックしているが,実態、は分かっ ていない. そこで,この種の調査は今後も続ける つもりである 今 回,エビの輸入元の中 国に行き 青島( チンタオ) の 7th lnternational Crustacean Congress ( 国際甲殻類学会第 7 回大会 ) にも参 加して 警鐘を鳴らす ことに した 演題は次のよ う で あ る . Nobuaki Niwa:

In

vasion and dispersion routes of alien freshwater shrimps,

N eocaridina

spp. (Caridea, Atyidae) and P alaemonidae spp. (Caridea), imported into Japan.

博士のガラパコ守スで有名なチャールズ ・ダーウイ

ンの講演はフジツボの詳細な観察で,非常に参考 豪華な

TCS

国際甲殻類学会に参加させて頂い になった. 会場でいつもお会いする藤田喜久さん ともお会い 出来たが, しばらく振りのテナガエピ の益子計夫さんなど,懐かしい方々との再会も大 きな喜びであった かつての共同研究者の上野正 樹博士や現在も親交のある大富さんとはじっくり お話が出来た . 考えてみれば,ほほ毎回参加の日 本甲殻類学会の集大成,これま でに知り合ったほ とんどの研究者の皆様 と再会出来,さながら同窓 会のようで,鮮やかに彩られた甲殻類研究者の集 いの感があった パンケットも豪華で話が盛り上 がり最後を飾った せっかく東京に来たので築地 のマグロも見学したかったが,翌日 ,直ぐ勤務が あったので,

fl

は品川20時37分発の新幹線「のぞ み」でネ11戸に戻っ た ( 熟睡して終点の岡山まで寝j 過ごさないように注意した )• ))IJ刷りも事前にか なり多量に浜崎先生に宅急便で送って販売事業に も協力した. 兵庫県明石市の釣り餌輸入卸業者によると, て有り難うございました . また,こ のC A N C E R に執筆の機会をお与え 下さ り,格別のご配慮を 下さった日本甲殻類学会副会長朝倉 彰博士, C A N C E R 編集委員長村岡健作先生に厚くお礼申 し上げます. 写真10 ルイジアナ大学の Raymond T. Bauer 博士と の記念スナ ップ写真.

(10)

T he Crustacean Society S u m mer M eeting in ]apanと日本甲殻類学会第47回大会の合同大会を振り返って 91 文 献 丹羽信彰,1989. ミナミ ヌマエビを追って. 日本甲殻類 学会ニュー ス 第13号. 丹羽信彰 - 佐名 川洋之・小川 毒太郎 ,2001. 付着生物 のついたカニ2例( 短報 : マガキの付着したチチユ ウカイミドリガニおよびフジツボの付着したイソガ ニ). Cancer,10・23-24

N iw a, N ., & Ohtaka, A ., 2006. Accidental introduction of symbionts with imported 仕eshwater shrimps. In:

F. Koike, M. N. Clout, M . K aw amichi, M目D e Poorter,

& K. Iwatsuki (eds.), Assessment and C ontrol of Biological Invasion Risks. I U C N, G land, pp. 182-186. Niwa, N., Ohtomi, ]., Ohtaka, A., & G elder, S. R.,

2005. T he first record of th e ectosymbiontic branchiobdellidan H otodrilus truncatus (Annelida, C litellata) and on the fresh water shrimp N eocaridina denticulata denticulata (Caridea, Atyidae) in ]apan. Fisheries Science, 71: 685-687

5. シンポ ジウム

r

Conservation

Biology of Freshwater Crayfish

- N e w challenge starting from Japan,

East Asia-

J

を企画して

川井唯史 (稚内水産試験場) 国際甲殻類学会の東京大会では在来ザ リガニ類 の保全をテーマにしたシンポジウムを2009年9月 20日に池袋のサンシャインシティで開催した. 以 下,詳細を報告する . 講演者の紹介 世 界 に は 国 際 ザ リ ガ ニ 学 連 合International Association of Astacology なる組織がある . 日本 にも2010年現在,会員が7名いて ,主 な研究領域 は養殖業と保全であり ,生態,分類,病理等も含 まれる. シンポジウムのメンバーは当連合の現会 長であるジェームス ・ファーセJam es Furse氏で ある . またファーセ Furse 氏と同じ研究室で東 オース トラ リアの希少在来種保全の研究に取り組 むコーグラン Jason Coughran博士も参加 した . 両名は

I

Crustacean M o n o g r a p hJ の編集も担当 してもら っている . そし て両氏は オース トラ リア 在来の糠の多いザ リガニ類Euastacusの保全 に関 する貴重な報告書を IU C N に提 出 しており ,豪 州の希少在来ザリガニ保全の旗手とな っている . またニュージーラン ドの水 圏研 究所 National Institute of W a ter and Atmosphere ( 頭文字をと っ て,通称 ニワ) のパー キン博士 Parkyn Stephanie も参加 してもらった . パ ーキン博士は 一度, 来 日してザ リガニ類の保全 に関 して講演をしても らっているので,二度目の来日となった . なお, ニュージーランドと 言 えば環境保全の先進国であ り,パーキン博士は在来ザ リガニ類と環境の関係 をモ ニタ リングしている サハリ ン 水 産 海 洋 研 究 所 Sakhalin R esearch Institute of Fisheries and O ceanography ( 通称サフ ニロ ) のラパ イ博士 Labay S Vjacheslav は,水産 面 と環境保全が御専門である . サハ リン産の在来 ザリ ガニ類の研 究を長く続け,数多くの論文を執 筆されているが,発表された論文は日本人にとっ ては難しいロシア語で書かれている. そのため, 今回の英語での発表は期待が大きいものであった

アメ リカ ザ リガニ生息地の視察

日本では在来固有種のニ ホンザ リガニ よ りも外 来種のアメ リカザ リガニの方が有名で、あること は, 海外 のザリガニ専門家にとっ ては 良く 知 られた事 実と思われる . そこで,シンポジウムに先立ち , アメリカザ リガニが最初に持ち込 まれた大船市の 岩瀬地区を訪れた ここでは日本にアメ リカザ リ ガニを持ち込んだ関係者である栗田慎一氏のお宅 を訪問 し,伝統のある生息地? でのザ リガニ採り を楽し んだ. ここで印象的な光景としては,日本 で 「ザリ ガニ 採 り」と 言 えば,子どもが泥だらけ になっての遊びか外来種の除去活動になるが,今 回の海外招聴者は捕まえたアメ リカザ リガニに 円 love you!J と言いながらキスして,優しく放流し ていた. さすが,世界的なザリガニ研究者であり, その振る舞いには正直,驚かされた ( 写真11) サ ンシャインシティでの発 表 本シンポジウムは ,本 大会の会場があ る品 川 の東京海洋大学から離れた池袋のサ テラ イト 会場 で行い, 一般市民も無料で入場を可能 と し た 立 地のよさもあ ってか学会参加者に加 え,多くの市 民が参加して下さり ,延べ150人以上の入場とな り,予想以上の盛況であった . 甲 殻類の保全に関

(11)

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ηle Crustacean Society S u m mer M eeting in ]apanと日本甲殻類学会第47回大会の合同大会を振り返 って する 国際 シンポジウム で多くの方が会場に足を運 んで下 さっ たことは,本 当に感謝しなければなら ない . 会場では 4 名の 各講演者からの熱の入った 発表が展 開 され,最後に パネ ルデイスカッション で幕を 閉 じた. 詳細は C rustacean Monograph, そして東 海大 学 出版会から 刊 行される 『小

)1

1

の エピ ・カニ 保 全学 (仮

)J

で公表される運びであ る. そして発表に華を添えたのが,会場に貼付 さ れた各種のハ イレ ベルな研究発表用ポスターであ る( 写真12) シンポジウムの後には 同 じサンシャ インシティ にある ,サンシャ イン水族館の見学 も行 った. 大 都会の真中で学会を行い,その直後に水族館 の見 学を行えるのは ,恐らくは日本だけではな いだろ うか? シンポジウムは, 日本の特色を上手く表現 できていたと思われ,大きな成功 であったと思っ ている . 写真11 アメ リカザリガこ が最初に持ち込まれた場所 での採集 (上),現地での集合写真 (下). 最 北 の 市 民 と ザ リ ガ 二 保 全 を 語 る このシンポジウ ムには続 きがある . ロ シアのサ ハ リンナト│ から来日さ れたラパイ 博士は,フ ェ リー を使 って日本最北の地であ る稚内 から帰国した . そ こで, 9月23日,稚内市 では 地元の子ども達と ザ リガニ保全を通じた交流会を行い ,市民とザリ ガニを 通 じた環境保全の勉強会を開催した .

i

稚 内子ども向然の家」の協力により ,稚内市の市民 が,ロ シアの専門家と共に生息地に入り,ニホン ザリ ガニ採集を楽しんだ. その様子が目新しかっ たのか,地方新聞とラジオ番組の取材を受けて い たほ どであった . もちろんラパ イ博士も日本での ザリ ガニ採集に感激し,

I

北海道島とサハ リン鳥 は共通点が多いことが実感できた」とコメン卜し ていた ( 写真13). 午後からは市民講座として ,稚 内北星学園大学 にて市民に対して 甲殻類を通じての環境保全につ 写真1 2 ポスターの様子を撮影する国外からの来場者 (上),サンシ ャインシティでの講演,右から順番に, ラバイ,パーキン,ファーセ ,コーガン氏 (下).

(12)

ηle Crustacean Society S u m mer M eeting in ]apanと日本甲殻類学会第47回大会の合同大会を振り返って

93

いての講演が行われた. なお, 当大学はサハ リ ン州、! と隣接していることもあり,ロシア語の教育 に大変力を入れている . そし て大学から全面的な 協力が得られ,岩本和久教授のロシア語通訳によ り,市民は興味深く聞き入っていた. ラバイ 博士 の来日は,日本の学会員以外の市民にとっても, 極めて実りの多いものであった. 評 価 と し て , 環 境 コ ン サ ル タ ン ト 会 社 の 奮 闘 今回のシンポジウムを企画 ・実行して感じたの は環境コンサルタント会社各位の期待以上の大活 躍であった . こ こは,改めて感謝の意を表して, その水準の高さには敬意を表したい. まず第 1 に コンサルタン トの方が協賛の形で多大な御援助を 頂き,お陰でアクセスの良いサンシャインシティ で開催することができ,結果として多くの市民へ の普及が果たせた. またサンシャイン水族館を格 写真1 3 稚内市民とラバイ博士がニホンザリガニ生息 地にて採集を楽しむ (上), 稚内北星大学での市民へ の講演の様子(下) 安で楽しみ, 同 じサンシャインシティでのウエル カムド リン クで国外の参加者を歓迎することがで きた. また,協賛以外にも会場運営での人的な援助も 頂いた . これはシンポジウム運営にと って大変 な 力となった . なお,民間企業の環境コンサルタン ト会社は,業務の1 つとして,開発工事などが行 われる際に環境への影響の有無などを調査してい る. そこでは甲殻類学上 極めて貴重な知見が得 られていることが多い. そのため ,組織と しては 公立の研究機関ではない民間企業ではあるが,今 後の甲殻類保全の領域では一層重要な 役割を占め ていくものと思われる . 会場に展示されたポスターの多くは ,民間企業 の方が業務上として行った内容の公表が可能な部 分で,甲殻類学上の成果を披露したものであり, その学問的な水準の高さに国外の研究者は舌を 巻いていた. これは決して社交辞令では無い. そ の証拠として ,国外からの参加者の数名は,ポス ターが日本語で書かれていたに も拘 らずデジタル カメラで撮影をしていた. また私は嬉しい誤算を 抱えている. 民間企業の方の活躍が,あまりにも 素晴らしいため,国外のザリガニや淡水エピ類の 保全の関係者からは「近い将来,日本でザリガニ や淡水エピ類の保全の国際シンポを,コンサルタ ント会社の協力のもとで開催したい」と強く打診 されてい る しかも,それは一件だけではない 本シンポジウムをき っかけに, 日本の甲殻類学 における淡水エピ・カニ類保全の領域が,民間企 業の協力の下で,国 際化 に向けて更に一歩前進し たことは間違いない. 謝 辞 敷地内でのアメリカザリガニ採りを許可頂いた 栗田慎一氏,栗田氏のお宅への訪問の調整をして 下さった小林弥吉氏,運営に関して各種の協力を 頂いた阿部直己氏を始めとし た(株) 建設環境研究 所の皆様,キューイ ・ブ リーズK iwi Breezeの熊 木智啓氏,サンシャイン水族館,稚内自然、の家, 本原稿に対して貴重な御助言を頂いた( 株) 水土舎 の薪藤暢宏氏に深謝する .

参照

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