• 検索結果がありません。

文書情報標準化ガイドライン.PDF

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "文書情報標準化ガイドライン.PDF"

Copied!
62
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

文書情報標準化ガイドライン

2002 年 3 月 社団法人 日本土木工業協会 CALS/EC 特別委員会 CALS/EC 部会 文書情報標準化ワーキンググループ

(2)

目 次

1 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2 文書情報標準化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 2-1 文書情報標準化の取り組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 2-2 第一段階(既存帳票の整理) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 2-3 第二段階(標準化できる帳票の抽出) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 2-4 第三段階(情報項目の整理) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 2-5 第四段階(電子化方法の検討) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 3 文書情報標準化の取り組み例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 3-1 事例−1(帳票の標準化) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 3-2 事例−2(グループウェアの導入例) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 3-3 事例−3(Web 利用のグループウェアの導入例) ・・・・・・・・・・・・・・・ 19 4 文書情報標準化の要素技術 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 4-1 アプリケーションの利用1(帳票型) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 4-2 アプリケーションの利用2(リレーションDB型) ・・・・・・・・・・・・・・ 25 4-3 アプリケーションの利用3(グループウェア) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 5 おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35 巻末資料 留意すべきこと ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36

(3)

1 はじめに

建設 CALS/EC が導入されてきてから、建設分野において様々な情報化関連施策が推進され てきています。その中で重要なキーワードは「標準化」です。それでは、建設 CALS/EC の導 入に伴って、なぜ「標準化」が重要なキーとなるのでしょうか。 文書について、「標準化」というキーワードで整理し、その意味について考えてみます。 (1) 文書情報 標準化の対象は帳票のフォームそのものであったり、フォーム内の項目であったりします。 フォームは見栄えに関係することで、重要なのは項目であることは言うまでもありません。 例えば、帳票を作成するフォームが区々であった場合、業務を行う実務者が混乱しますし、 また作成された帳票の内容をチェックすることも時間のかかることになってしまいます。ま た、項目の意味付け(内容)がバラバラの状態であれば正確な情報伝達はできません。 (2) 文書の伝え方 工事途中で文書をやり取りするような動的な方法と、竣工書類のように成果物を残す静的 な方法、それぞれについての標準化があります。前者は、相手があることですから、伝え方 が相手に理解されていなければ十分な情報伝達もできず、業務そのものが停滞します。後者 は、建設 CALS/EC の一環として「工事完成図書の電子納品要領(案)」によって方向付け がなされています。 (3) 文書の作成方法 個人で作成する方法と複数の人が関わって作成する方法があり、後者はネットワークの利 用が考えられ、これらの標準化はアプリケーションに依存することが大きいと思われます。 ここにおける標準化は、組織内外で文書情報が円滑にやり取りできるのであれば組織内にお いて同一のアプリケーションを選択することも一つです。また、教育などの投資を考慮する のでは同一とした方が有利です。 文書を取り扱う場合、「標準化」をキーワードとして整理してみましたが、この中から読みと れることは、「標準化」は全ての業務の効率化に繋がるということです。本書では、文書情報の 標準化について(1)文書情報に焦点をあてて、各組織の取り組みにおいて参考となるようにガイ ドラインを編纂しました。以下に本書の構成を示します。 Ø 文書情報標準化の取り組み 取り組みのシナリオを想定し、各段階で生じる問題点(疑問に思う点)について留意す る事項として示し、巻末の資料集としてまとめました。 Ø 文書情報標準化の例 実際行われている文書情報標準化の実施例を紹介し、取り組む場合の参考としました。 Ø 文書情報標準化の要素技術 文書情報標準化の各要素技術としてデータベースやグループウエアについて紹介し、標 準化の理解を助けるようにしました。 Ø 留意する事項(巻末資料) 留意する事項について、その状況を会話形式で想定し、問題解決ができるような情報を 用意して、標準化の取り組みの助けとしました。 特に、留意する事項(巻末資料)は、遭遇する様々な問題点について実体験を基にその状況 を会話形式で想定し表現しており、実務者が文書情報の標準化について理解を深めることがで きるように配慮しています。

(4)

2 文書情報標準化

2−1

文書情報標準化の取り組み

建設 CALS/EC、ISO、そしてIT(情報技術)化などの新たなシステムが導入される中で、 各組織は標準化の取り組みを進めつつあります。従来は、個々の組織単位で内部的に標準化を するだけで良く、組織間の整合性は別段意識する必要がありませんでした。しかし、建設 CALS/EC に代表されるように組織間の情報のやり取りの標準化を目指す動きと相まって、IT の基盤であるネットワーク技術の進歩が標準化の動きを加速させています。 標準化については、建設 CALS/EC の中心となる考え方であるデータ交換という視点が重要 です。しかし、現在この標準化がまだ模索中の段階においては、業務を行っている実務レベル ではその取り組みが見えづらくなっているのも事実です。そこで、具体的に、文書の中の帳票 について、標準化を行う取り組みについて考えることとしました。 標準化についての取り組みについて、以下の4段階のシナリオを想定しました。 (1) 第一段階(既存帳票の整理) 業務で使用している帳票に着目して標準化を進めます。各組織のマ ニュアルや手順書を基に既存の帳票の洗い出しを行い、また、その時 の帳票は業務内容から区分することが肝要です。 (2) 第二段階(標準化できる帳票の抽出) 各組織で集められ整理された帳票を基に重複している帳票の排除、 標準化の対象帳票を抽出します。帳票の標準化の視点は、各組織に跨 って使用される、又は組織内で日常的に繰り返して使用するなどがあ げられます。 (3) 第三段階(情報項目の整理) 標準化の対象帳票の情報内容から重複項目の整理を行います。情報 項目の整理を行う際、帳票を利用する関係組織の関連把握もワークフ ローを考慮する上で必要です。 (4) 第四段階(電子化方法の検討) 対象帳票の電子化の方法を検討します。帳票の情報の内容によって どのようなアプリケーションが適するか、組織全体及びユーザの情報 リテラシイの程度によって検討します。

×

項 目 A 項 目 B 項 目 C 情報項目

(5)

2−2

第一段階(既存帳票の整理)

業務で使用している帳票に着目して標準化を進めます。 (1) 帳票の分類 既存の帳票の整理にあたっては、組織内で処理される帳票と組織外へ提出される帳票に分類 されます。また、組織外へ提出する帳票は、通常は外部の組織、例えば監督官庁や発注者など から定められる場合があります。特に、工事現場においては発注者別に種類の異なる帳票を要 求され、建設工事に携わる実務者を悩ますこととなっています。

組織内

組織内

建 設 会 社 の

     社 内 帳 票

協 力 会 社 の 帳 票

組織外

組織外

発 注 者 の 帳 票

例えば諸官庁へ の提出帳票 重 複 書 類 内 外 別 々 に 作 成 す る 帳 票 図-1 帳票の分類 組織においては、組織内外に対して同様な内容の帳票を重複して作成している例が多々見ら れるます。しかし、組織外の帳票は建設工事全体に亘る標準化の動きを待つとして、又はその 動向に合わせることとして、まず組織内の既存帳票の整理から取り掛かることにします。 留 意 す べ き こ と 1-1 現場の発注先や監督官庁に提出する帳票はどうするのか。 1-2 発注者の標準帳票は利用できないのだろうか。 1-3 提出させた(入手した)帳票はどうするのか。 (2) 既存の帳票整理 組織内の既存帳票を組織で定めたマニュアルや手順書などから整理します。この場合、帳票 を定めているものには、どのようなマニュアルや手順書があるか調査することが必要です。特 に最近では、各組織が ISO の認証取得に際して様々な手順書(規定書)が作成されており、そ の中で定めた帳票と従来からある帳票との整合性が問題となることが多々あります。 また、帳票の整理にあたっては、それぞれの帳票についてどのような性格を持ったものか整 理することも重要です。 a) 一組織のみで使用される帳票 b) 組織に跨って利用される帳票 c) 日常業務で繰り返し使用される帳票(頻度の多い) d) 年数回使用される帳票(頻度の少ない) 整理の例を表-1 に示します。

(6)

表-1 整理の例 A B C D E F G H 帳票の順序 1 2 3 作成・承認 ●   保管 ● 書類の順序 1 2 3 4 5 作成・承認 ● 保管 ● 帳票の順序     1 作成・承認 ● 保管   ● 帳票の順序 3 1 2 4 5 作成・承認 ● 保管   ● 帳票名 様式の主管部署 関係部署 使用頻度 ○回/月 多い ○回/月 多い 年2回 少ない ○回/月 多い 職員配置計画人員表 人事部 土木部 品質管理部 契約書・請書確認表 営業部 ○○説明報告書 ○○目標報告書 一組織に跨って利用される帳 票か否か 帳票の流れ 留 意 す べ き こ と 1-4 マニュアルや手順書で定められていない帳票がある場合、どのように調査すれ ば良いだろうか。 1-5 帳票を整理する際に参照する仕事の手順もまちまちの場合どうするのか。 2−3

第二段階(標準化できる帳票の抽出)

整理された帳票から標準化できるものを抽出する段階です。 (1) 重複帳票の整理 既存の帳票を調べると、組織内の各部署(例えば会社の支店別)別に全く同じものを異なる の帳票として取り扱っていたり、表現が少し違うだけで帳票が複数枚になっていたり、重複し た帳票が散見します。このような帳票群から、「いるもの」「いらないもの」を分け、なるべく重 複帳票を無くすることが肝要です。さて、この作業で問題となるのは、組織内の各部署の反応 です。特に各部署で作成した帳票をなくすことは、業務内容に関わる問題となるので抵抗感が 強いのが実状です。この場合、組織の標準化の強いリーダーシップが求められることは言うま でもありません。 部 署 間 で の 重 複 帳 票 の 整 理 留 意 す べ き こ と 2-1 重複している帳票の発見やその整理はどうしたら良いのか。 2-2 各部署の協力が得られない場合はどうすれば良いだろうか。

(7)

(2) 標準化できる帳票の抽出 標準化できる帳票を抽出するため、帳票の種類を2つに分けて検討します。 1) 統一帳票(組織内で統一された帳票) 統一された帳票とは、組織内で統一された帳票で、帳票の情報項目の内容が全て同じで、全 ての組織の業務で必ずこの帳票を使用するものを指します。なお、認証などに関係する印鑑欄 などは部署において異なることもあるため必ずしも統一を強制はしません。 2) 参考帳票(組織内で参考として使われる帳票) 参考帳票とは、組織内で統一された帳票であるが、場合によっては組織外の定められた帳票 を使用するものを指します。つまり、標準化の第一段階で分類した組織の内外に関係する帳票 です。敢えて組織内の帳票ではなく外部の帳票を利用することも可能で、帳票作成の効率化と いう視点で見なすべき必要があります。 留意すべきこと 2-3 ISO などの組織内で定めた帳票と組織外へ提出する帳票の作成の二重化を防 ぐことができないだろうか。 2−4

第三段階(情報項目の整理)

(1) 情報項目の定義 帳票の情報項目の中で様々な名称が記載されていますが、その名称や意味づけが統一されて いないことが良くあります。例えば、工事名や工事名称とか呼ばれ同じ意味づけで用いられて いる場合や、工事名といっても契約単位の工事を指すのか複数契約の工事を指すのか良く迷う 所です。その他の例として、印鑑の欄の名称は、帳票をどのように回すか、言い換えればワー クフローを決める重要な項目です。 このように情報項目の名称や意味づけを定義しておくことが重要です。特に、これがなされ なければ、将来的なワークフローを考慮したシステムなどはできません。 (2) 帳票内容から重複項目の把握 様々帳票の内容から重複している情報項目を整理する必要があります。図-2 に示すように帳 票1から3に表現されている情報項目を基に統合帳票が出来上がる場合もあります。 帳票1 帳票2 帳票3 総 合 帳 票 項 目 A 項 目 A 項 目 A 項 目 B 項 目 B 項 目 C 項 目 C 項 目 A 図-2 情報項目の整理

(8)

下表は,1999年に建設省の各地方建設局の帳票を調査した結果をまとめたもので,例として 「工事打合簿」の情報項目を地方建設局別に比較した結果を示しています。このような方法を 用い,地方建設局の部分を複数の帳票にすれば,重複項目の把握が可能です。 表-2 (3) 情報項目の整理 以上の作業の次に,今後帳票の標準化を図る上で,”情報項目”のグルーピング化という視点 で情報項目の整理を行います。 この視点で,各帳票が持っている”情報項目”には,どのようなものがあるか,区分の例を 以下に示します。 1) 管理情報(インデックス) 管理情報とは,様々な帳票に重複して使用される情報で,項目自体の名称の標準化や定義付 け,そこに記載される情報自体の標準化やデータベース化,リスト化等が必要となるものです。 これに属するものとしては,次のようなものが考えられます。 ・文書の種類 稟議書,報告書,出勤簿等 ・文書番号 ・作成部門・作成者 部門や社員のコード,名称,作成日(日付の表記方法) ・回議者リスト 作成,審査(確認),承認,確認,決済(ワークフロー) ・工事区分 工事名称,工号,発注者区分 東北地建 関東地建 北陸地建 中部地建 近畿地建 中国地建 四国地建 九州地建 全てに 共通 名 称 発議者 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ 発議年月日 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ 発議事項 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ 工事名 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ 内容 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ 添付図 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ 発注者処理・回答 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎   同 年月日 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ 請負者処理・回答 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎   同 年月日 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ 総括監督員印 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 主任監督員印 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ 監督員印 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ 現場監督員印 (欄のみ) ○ ○ ○ ○ ○ 現場技術員印 監督補助員印 ◎ 現場代理人印 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ 主任(監理)技術者印 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ 指定様式の有無 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 備 考 : 

(9)

2) 本文情報 本文情報とは,文字通り帳票の本文の情報です。本文情報として,標準化された定型文書の 形式(例えば,リストから選択して完成させるチェックシートのような構成や,雛形提供で部 分的に記入させる形式等)を用いると,情報入力時の作業量を減らしたり,記入間違いを防ぐ ことができます。また,帳票によっては,記入する内容が自由なもののありますが,できるだ け記入する内容を項目分けした方が標準化も容易となります。これに属するものとしては,次 のようなものが考えられます。 ・工事報告書 出来高金額,進捗率,出来高工程表,状況写真,特記事項 3) 添付書類情報 添付書類には,本文で説明しきれない詳細な内容や,参考となる資料等が付けられます。 一般的に,添付する資料の種類に関して標準化は可能ですが,添付資料自体の内容を標準化す ることは困難です。このような特性を考慮し,添付資料の内容で標準化可能なものを本文情報 に移行したり,これとは逆に,標準化が困難なものを添付資料とすることも考えられます。ま た,電子化という観点では,添付されるデータの形式も標準化の検討対象となります。これに 属するものとしては,次のようなものが考えられます。 ・稟議書 見積書,カタログ ・購買文書 参考図面 (4) 帳票の関係組織の関連把握 帳票の流れに沿って,データの入力,承認,閲覧という視点から関係組織の関連把握を行い ます。帳票の流れとは,言い換えればワークフローに相当します。 この作業の際には,ワークフローの区分をあらかじめ定義付けておくことが必要です。以下 に,その一例を示します。 1) 作成 帳票の作成権限を有する者で,作成された帳票の内容の正否に関して責任があります。ここ で注意したいのは,帳票の作成権限とは,帳票を作成する作業自体を指すものではなく,帳票 作成に関して責任・権限を持つということです。従って,帳票が部署間をまたぐ場合には起案 部門長,一つの部署内で回る場合には起案者というような捉え方が一般的となります。 また,作成者と併せて,データ自体を入力(記入)やチェックする人も明確化しておいた方 が良いと考えられます。 2) 審査(確認) 帳票の確認や審査を行う責任・権限を有する者で,最も多くの人や部署が関わっているとこ ろとなります。調査の際には,審査対象としている帳票の範囲,審査の目的,審査の内容,差 し戻しの有無(ホールドポイントなのか),代理者の存在の有無などを明確化しておくことが, 後の検討作業を考えても重要な要素となります。 また,同じ帳票でも内容によって審査者が変化したり,組織構成が異なるため本社と支店等 でフローが異なるなど,ローカルルールにも注意が必要です。

(10)

3) 承認(決済) 最終的な責任・権限となる承認(決済)行為は,一つの帳票に対して原則として一人とする のが一般的です。複数の承認者が存在する場合は,誰が最終権限者なのかを明確化しておきま す。最終権限者が常に社長となるような場合は,その前段階での最終権限者を明確化し,後の 作業で権限委譲を検討することも考えられます。 なお,承認行為が速やかに行われないと業務が滞ってしまう恐れがありますので,実際の業 務においても言えることですが,代理者を明確化しておくことが必要です。 4) 閲覧 紙ベースのフローでは,審査なのか閲覧なのかが区分されず,帳票がまわっているケースも 存在するので,審査者の調査時点で閲覧者が抽出されることもあります。 閲覧に関しては,閲覧時に帳票の原本を変更することがないため,閲覧する責任者という視 点ではなく,その帳票の閲覧を許される権限者や部署の範囲を明確化するという視点で整理す ることが重要です。 留意すべきこと 3-1 組織内においてなぜ全ての情報項目を統一できないのだろうか。 3-2 情報項目を設定する部署はどこになるのだろうか。 2−5

第四段階(電子化方法の検討)

第三段階の“情報項目の整理”や“帳票の関連組織の関連把握”を調べ終わると電子化方法 の検討に入ります。 電子化の方法には、単純に電子データ化するものからデータベース を利用した本格的システム構築や、グループウェアを利用したワーク フローシステムまで多岐に渡ります。 電子化方法の検討段階では、 ・データベースを利用するかしないか。 ・利用者の対象範囲をどうするか、管理者は誰か。 ・クライアントサーバシステムかインターネット経由か。 ・既存の基幹系システムや人事システムとの連携はどうするか。 などさまざまな問題を決めなければなりません。 その中で、文書の電子化の始めとして“既存アプリケーションの利 用”また、文書データに限った“データベースを利用した電子化”、 稟議書や回覧データを関連組織で承認や閲覧を行う “ワークフロ ー”について紹介します。 (1) 既存のアプリケーションの利用 帳票の電子化の一番簡単な方法は、既存のアプリケーションの利用です。 Excel や Word で雛型を作成し、利用者がその雛型に必要事項を入力する事で帳票の電子 化を行ないます。 雛型を既存アプリケーションで作成する場合は、利用者の入力作業が簡単に出来るよう 配慮する必要があります。

(11)

また、帳票間の共通項目を関連付けることをマクロなど使えば出来ますが、その後の変 更・更新作業が煩雑になるので余り勧められません。 項目の関連付けられない事で利用者の効率化は半減しますが、簡単に電子データを交換 するメリットを考えれば、既存アプリケーションの利用も検討する必要はあります。 図-3 は Excel の雛型の例です。紙の帳票イメージそのままを Excel の雛型として作成 し、利用者は項目を入力すると電子データが作成できます。 図-3 Excel の雛形例 留意すべきこと 4-1 外部から提出された紙の資料はどのように電子化するか 4-2 電子納品との関係はどうなるのか。(使用ソフトの選択) 4-3 Excel の雛型を貰ったがうまく入力出来ない、どうしたら良いか。

(12)

(2) データベースを利用した電子化 既存アプリケーションを利用した場合、手書きによ る識別不能な文字が減少し、書類の作成速度を向上さ せるために選択リストを利用したりすることができ、 効率的に帳票を作成する事ができます。 しかし、Excel や Word で雛型を作成した場合、工事 名や施工場所、発注先等の項目は帳票の作成の度に入 力する必要があります。Excel や Word では、コピー& ペースト等を利用することになりますが、あまり効率 的とはいえない状況です。 さらに作成した帳票を閲覧する場合、紙で作成した 場合と比較して保存スペース及び劣化の問題は解消し ますが、検索機能がないために、帳票が多量の場合、 目的の書類を抽出するのが困難です。 このような場合、データベースを利用すれば、共通項 目の二重入力などが防げるだけでなく、効率的に帳票の 作成・整理や、第三段階で行った情報項目の整理に基づ いたシステムを作成し、データの蓄積を行うことができ ます。 データベースには、複数のデータベースを連携して、 あたかも一つのデータベースとして扱い、データの管理 を効率的に行うリレーショナルデータベースと、帳票の 利用に特化した帳票型のデータベースがあります。 データベースを利用した電子化にあたっては、情報 (データ)の量や、情報の利用方法によって最適なソフ トを選択するだけでなく、開発費やデータベースソフト の費用が掛かるので、どこまでデータベースで電子化す るかを費用対効果で検討する必要があります。 詳細は要素技術の章4.1を参照 留意すべきこと 4-4 異なる帳票に同じ事を書かなくてもよい方法はないのだろうか。 4-5 新しいシステムを作るのは良いが教育やサポートはどのすれば良いのか。 (3) ワークフローの活用 ワークフローとは、複数の担当者がネットワークを利用して企業内の文書を回覧したり、 稟議書を廻したりするためにのシステムです。 紙の文書を各自が確認しながら順番で回覧して行くと相当時間が掛かりますが、ワーク フローを使うと複数の人が同時に閲覧出来るので時間の短縮にも繋がります。 今までの稟議書は、出張などで決裁者が不在の場合、決裁が止まったり次の人に回らな いでビジネスチャンスを逃す事も考えられますが、ワークフローの活用により出張先でも 所長        住所  ○○県○市  請負金額 ○○○円 工期 ○年○月○日 発注先 ○○○   ・  ・  ・  工 事 名  ○○工事 工 事 名   住所    発注先    工事名  ○○工事 コ ピ ー & ペ ー ス ト     図-4 既存アプリケーション 所長        住所  ○○県○市  請負金額 ○○○円 工期 ○年○月○日 発注先 ○○○   ・  ・  ・  工 事 名  ○○工事 工 事 名  ○○工事 住所  ○○県○市  発注先 ○○○   工事名  ○○工事 同 じ 入 力 項 目 は 反 映 さ れ る     図-5 データベースソフト

(13)

決裁出来たり物理的な決裁時間が短縮されるので、うまく活用するとビジネススピードが 上がります。 しかし、ワークフローは権限者の取り決めが大切になります。 留意すべきこと 4-6 ワークフローやデータの共有についてはどう考えればよいのか。 4-7 ワークフローへの登録は誰がするのか。

(14)

3 文書情報標準化の取り組み例

3−1

事例−1(帳票の標準化)

ここでは、2章で示した1から4段階までの標準化作業を、実際組織内で取り組んだ例を紹 介します。この取り組みによって、組織内、いわゆる社内の本社・支店・現場で使用されてい る帳票について整理・削減を行い、標準できる帳票の抽出、そして帳票型データベースによる システムを展開することが可能となりました。 (1) 帳票の整理 書類の簡素化という取り組みの中で、重複帳票の整理統合、不要帳票の排除を目的として、 社内の各支店で使用されている全ての帳票の洗い出しを行いました。この洗い出しにおいては、 各支店へのアンケート調査とヒアリングを行い、現在使用している全帳票に対して削減可能、 未使用、重複帳票、使用帳票に分けて整理しました。 図-6 に帳票の整理の結果を示します。 支 店 別 使 用 帳 票 0 100 200 300 400 500 600 700 800 帳 票 数 削 減 可 能 帳 票 未 使 用 変 更 使 用 使 用 帳 票 削減可能帳票 47 79 66 32 39 69 74 60 90 74 59 未 使 用 65 43 204 164 101 168 148 53 75 79 169 変更使用 19 22 45 61 37 64 53 23 53 30 43 使用帳票 573 560 389 325 351 403 429 568 486 521 433 A B E F G H I J K L M (定 形 帳 票   対 象 7 0 4 種 類 ) 土木主体 の支店 建築主 体の支 店 この図に示すように、各支店において使用している帳票にバラツキのあることが分かります。 特に、支店別に未使用の割合が大きくことなっており、この大小が少なからず仕事の効率性に 結びついていると言っても過言ではありません。なぜ、このようになったかは、各支店の仕事 のやり方に違いがあったこと、別の見方をすれば帳票について特定している手順書や要領書の 内容が不統一だったことがあげられます。一方、ISOの導入に伴って、このような各支店別 に不統一な帳票が明確になってきたことも事実であり、帳票の統一に伴って手順書や要領書の 統一が図られるのは必然です。 (2) 標準化できる帳票の抽出 以上の整理の結果、当初定めた定形帳票の内、20∼30%は削減できる可能性があり、そ れぞれの帳票の主管部署にヒアリングを行い最終判断を仰ぎました。この場合、重要なことは、 全社の業務を俯瞰できる部署に帳票の判断の責任を預けることです。また、帳票の正確上、一 部署の判断では決められない場合もあり、その場合は複数部署の協議が必要となります。 図-7 に、その結果を示します。 図-6 支店別使用帳票

(15)

図-7 整理の内訳 図-7 に示すように、重複と不要を含めて約40%が帳票の削減対象となり、標準化できる帳 票が整理されました。特に、労務安全に関する帳票が多いことが窺われます。これについては、 法的に用意しておかなければならない帳票が多く、特に現場業務に関係するもので、今後、こ れらの帳票に着目して、効率的な帳票作成や整理の方法を模索することが優先課題となりまし た。各部署のヒアリングの例を以下に紹介します。 • ○○検討会による施工計画審査と労基署に提出するための施工計画届審査(安衛法第 88 条)を統一する事ができないだろうか • 工事災害と労働災害の書類を調整して統一出来ないだろうか。 • 現場で行われている○○協議会を教育・指導の会議体と考え、安全管理・品質管理・環 境管理を含めた3つの内容を合わせることができないだろうか。 「社内と社外の帳票を統一して利用できないか」という意見にも見られるように、組織の外 に合わせた方がより効率化が図れるのでは、という考え方に標準化に携わっている関係者の意 識が変わってきました。また、「別の会議体を合わせて業務を行う」という業務のやり方にまで 踏み込んだ取り組みもされてきました。このように、帳票の標準化活動から見えてきたのは、 リエンジニアリングそのものであった分けです。 (3) 帳票の電子化の第一歩(帳票の雛形の公開) 労務安全やISOに関係する主要な帳票について帳票の雛形を、ワープロや表計算ソフトを 用いて作成しました。なお、帳票の作成について2種類のソフトを選んだのは、入力を行う場 合、帳票の性格上ワープロに適するもの、又は表計算ソフトに適するものがあり、ソフトを統 一することは使用上不都合が生じると判断したためです。

(16)

図-8 帳票の雛形公開 図-8 に示すように、社内のイントラネットに該当帳票を公開して、各組織(本社、支店、現 場)が使用できるようにし、各組織から帳票内容について意見を募りました。その結果、新た な業務の重複による不要な帳票の発見、帳票内容の整理が進みました。 (4) 帳票の電子化(帳票型データベースの利用) 以上の取り組みの結果、帳票の雛形の中の項目が整理され固まってきたことを受けて、より 業務の効率化を目指して、帳票型データベースをを利用して全社の帳票の電子化を進めました。 帳票型データベースは、4章の文書情報標準化の要素技術で紹介します。 データベースの設計にあたっては、表-3 に示すように項目別のマトリクス表を作成し、共通 項目を抽出することから始めました。 表-3 マトリクス表の例 項 目 書 類 名 工 事 名 称 企 業 先 設 計 者 設 計 者 住 所 工 期 工 事 場 所 工 事 概 要 請 負 者 名 請 負 者 住 所 別 途 工 事 ○○説明報告書 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 御見積書 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 見積質疑応答書 ○ ○ ○ ○ 落札報告書 ○ ○ ○ ○ ○ 帳票型データベースとして、ラインテック社の「書類の達人」を利用しました。このソフト は、共通項目を入力しておけば、複数の帳票に亘って項目内容が自動的に表示され、また、作 成帳票の履歴管理機能など入力・整理作業の効率化が図れます。また、外部帳票を組み込まれ ており、社内外の帳票を同じような手順で作成することができ、特に現場における帳票作成作 業を統合化した状態で行うことが可能です。

(17)

共通項目の入力 共通項目の内容 がすべての帳票 に自動的に表示さ れる 図-9 帳票型データベースの表示 現在、このソフトはスタンドアロンで行うことが余儀なくされますが、今後、ネットワーク を利用した帳票の作成・管理も視野に入れ展開する予定です。

(18)

3−2

事例−2(グループウエアの導入例)

本章では、前章の第四段階までを完了し、電子化された帳票が、どの様なかたちで運用され ているのかを、グループウェアーを例にとり、当該ソフトの導入当初の運用から今日の運用ま でを実例を交えながら紹介します。実際の、各段階のグループウェアーへの落とし込みについ ては、四章の要素技術で紹介します。 (1) グループウェアーとは 不特定多数を利用対象とするインターネットとは異なり、特定の組織内におけるネットワー クであるイントラネット上にて、情報を交換+蓄積+共有する為のソフトウェアーの総称で、 今までコンピュータにの載せにくかったコミニュケーションの分野をカバーしたソフトウェア ーで、各ソフトにより機能は違いますが代表的なものでは、ロータス社の Notes、マイクロソ フト社のExchangeServer、富士通の TeamOffice などがあります。 主な機能に以下のものがあげられます。 「電子掲示板」帳票をグループ内に公開する機能。 「文書(ファイル)管理」グループ内で共有できる情報を管理する機能。 「ワークフロー機能」帳票を任意のルートに乗せて回覧・承認する機能。 また、導入される範囲(グループ)も本支店内より、作業所も含めた社内まで拡大しているケ ースが多いようです。 以降は、NOTESを一例に取り紹介を進めます。 (2) グループウェアーの基本的な考え方 一つのデータ(帳票)がグループウェアーに登録されると、次の処理を促すメッセージをグ ループウェアーが関係者に電子メールとして発信し、各業務担当者が当該データに対し処理を する仕組みです。従って、当該データは、常に一つしかなく原本管理も容易になります。(個人 のパソコンにあるものはコピーで、原本はグループウェアーが持っています。) 図-10 帳票の流れ 作成 閲覧 承認 審査 業務担当者での電子化された帳票の流れ パ ソ コ ン の 中 で の 帳 票 の 流 れ ①必要な帳票の呼び出し ②帳票の登録(次処理の指示) ③審査依頼通知 ⑦必要に応じ閲覧通知 ⑤承認依頼通知 ⑥承認処理の登録   (次処理の指示) ④審査処理の登録   (次処理の指示) ⑧閲覧しにいく

(19)

(3) 導入当初(本支店間での運用) 本支店間の組織の情報の共有という位置付 けで、慶弔報告・通達文を始めとする、従来 は回覧形式で見ていたものを、グループウェ アーの「掲示板機能」を使い、パソコン上で 見る事ができる仕組みと、審査や承認行為が 伴う帳票についても、グループウェアーの「ワ ークフロー機能」を使い、パソコン上で処理 できる仕組みも導入しました。 この結果、各種情報をタイムリーに得る事 が可能になったり、承認されるまでの待ち時 間が短縮され、業務がスムーズに流れるよう になりました。 また、2 次的な効果として、紙資源の有効 利用が図れるようにもなりました。 更に、「電子掲示板機能」と「文書(ファイ ル)管理機能」等を組み合わせ、ISOに代 表される最新版管理が容易になり、社内規定 の改定や、ISO の文書管理にも使われていま す。 (4) 定着後(本支店間での運用) グループウェアー導入後、その利便性など が評価され、導入前までは、個人ベースで持 っていた業務の紙帳票や電子媒体のファイル が、添付ファイルと同様のイメージで組織内 において共有されるようになりました。 また、Q&AやFQA(よくある質問)な どを作成し、社内のクレーム対応などにも使 われています。 更に、一歩進み、直接データを登録する仕 組みをグループウェアー上で開発し、業務担 当者に直接記入してもらい自動集計機能と連 動させる使い方も、本店など集計作業が多い 組織では見受けられます。 反面、情報の共有が簡単にできる利便性が 先に立ち、全体として帳票のローカライズが 進んでしまい、全体の枠組みを跨ぐような帳 票が業務レベルで多発してしまいました。 その結果、仕事量が増加したり、既存帳票 の改廃が曖昧になってしまう傾向が強い。 電子帳票に直接登録し 集計させる仕組み 図-11 ISO 帳票の一覧と本文 図-12 電子帳票への登録と集計

(20)

(5) 中速インフラ整備後(本支店間+作業所での運用) 作業所のネットワーク 環境がISDNなどのイ ンフラを備えてきてから は、作業所より、支店や本 店の掲示板より必要な情 報を取りだし、ダウンロー ドして使うような運用が 増えてきました。また、こ の時点より、作業所に直接 入力してもらい、関連部署 に承認を得た後、全社展開 する仕組みを作り、作業所 発信型の情報も増えてき ました。 (6) ASPでの運用(本支店間+作業所+協力会社での運用) 以上の経位をへて、グループウェ アーは、本支店内の運用より作業所 も含めた社内での運用に成長してき ましたが、基本的には、作業所も含 めた組織内止まりの情報共有であり、 第三者を交えた情報共有には至りま せんでした。 これは、社内のコンピュータに外部 の利用者を入れることによる、セキ ュリティー確保の問題が残るためで す。 この問題を回避する意味も含め社 内のコンピュータによらないASP を利用した、第3 者を交えた情報共 有が徐々に具体化されています。特 に、作業所のような、発注者・協力 会社等と有期的に情報を共有する場 合、ASPの利用は有効的な道具立 てと考えられます。 更に、ASPの場合は、インター ネット上での情報の交換となるため、 WWWブラウザー+αのコンピュー タ環境で情報共有を可能としていま す。このため、ASP利用者は、新 たなソフト・ハードへの投資を最小限に押さえる事が出来ます。 ) 電子化された文書一覧表 提 供 さ れ た 雛 形(追加も可能) に ブ ラ ウ ザ ー で 入 力 し 帳 票 を完成させる。 帳票にワークフ ローを組み込み 処理。(メールア ドレス他の設定) 図-13 掲示板からのダウンロード 図-14 電子化帳票の運用例

(21)

3−3

事例―3(Web 利用のグループウエアの導入例)

(1) はじめに 第4段階の(2)の実例に相当するもので、システムの提供形態により大きく2 種類に分け ることができます。 ・ LAN利用:社内LAN(本支店まで)上でのグループウェアーを作業所レベルにまで 拡大して利用したもので、自社がシステムの提供をしている形態です。 ・ ASP利用:Webでの利用を前提にして作られたグループウェアーを利用したもので、 社外がシステムの提供をしている形態です。 1) LAN利用とは 一般的に、社内LAN上でのグループウエァーの利用は、専用回線を用い、社内情報共有サ ーバーと本支店の各部署を直接結んで情報共有していますが、このサーバーに作業所・営業所 からインターネットを経由してアクセスできる仕組みを作り込み、本店⇔支店⇔営業所・作業 所の情報共有(作成・承認・閲覧)を可能にする形態で、一般的には、システム提供・データ 管理は社内で行い、保存されたデータも全て、社内情報共有サーバに蓄積されます。 2) ASP利用とは ASPでのグループウェアーの利用は、LAN環境にある、本支店においては、社内LAN は通信回線としてのみ利用し、インターネット上にあるASPサーバーを介し、情報の共有を 行います。また、営業所・作業所は、一般の通信回線を利用し、インターネット上にあるAS Pサーバーを介し情報の共有を行います。システム提供は外部業者(ASP)、データ管理は社 内で行うのが一般的です。保存されたデータは全てASPサーバーに蓄積されます。 以上の特徴を表にすると下表のようにまとめられます。 表-4 LAN利用とASP利用 システム管理者 運用管理者 データの蓄積場所 専用アプリケーション LAN利用 社 内 利用者 社 内 不要か提供される ASP利用 ASP 利用者 ASP 不要か提供される (2) LAN利用 1) Webを利用したグループウェアーの特徴 あくまでも組織内(企業内)の情報共有です。 2) Webを利用したグループウェアーの導入目的 ISOなどの社内帳票の最新版管理を行うため、公開(閲覧)レベルでの情報共有を目的と して、グループウェアーをLANの世界(本支店内のみ)より、Webの世界(作業所を含め た本支店)へ展開します。 3) Webを利用したグループウェアーの導入経緯 グループウェアー導入当時は、LAN内のみ、つまり、部門内或いは、本支店間を含む部門 間の情報共有ツールとして、限られた範囲で情報共有を実施します。

(22)

しかし、ISDNに代表される中速インフラの整備に伴い、今までLANの外にあった営業 所・作業所に対しても、文書レベルでの情報共有が可能となり、第一弾として、テキストレベ ルでの情報の提供を始めます。 期間中、作業所よりの支店・本店への報告書なども「掲示板」などより雛形をダウンロード して添付メールで担当者に返し情報を共有する運用形態より、帳票形式の単純な社内帳票につ いては、インターネットブラウザーより直接入力し、情報を共有する運用形態に変更されてき ます。 今日では、特に、施工情報にかかわる社内帳票については、作成者レベルで「帳票作成」か ら、「審査(差し戻し)」、「承認、(差し戻し)」、までの一連のワークフローを背負った帳票が「現 場⇔支店⇔本店」で共有化することが可能となり、最終的には全社情報として閲覧可能となる 仕組みができあがっています。 4) Webを利用したグループウェアーの対象帳票 位置付けとして、社内LANの延長上にあるため、対象帳票もローカルな帳票(組織内帳票) となっています。 また、レイアウトを重視している帳票や押印が必要な帳票については、現状では対応が困難 なため検討課題の帳票となっています。 (3) ASP利用 1) Webを利用したグループウェアーの特徴 社内のサーバーへの接続がないため、情報の漏洩の心配も少なく、前者に比べ、利用範囲を 格段に広く設定することが可能です。つまり、組織内のみより、組織内外(発注者・協力業者・ 社内)での帳票の共有が可能になります。また、帳票の操作(作成・審査・承認)につては、 専用のソフトを購入する必要も少なく、特に有期的な企業体作業所などでは、取り扱いが楽と 考えられます。 2) Webを利用したグループウェアーの導入目的 第一に専用ソフトの購入がない(契約時に含まれる)ため、操作方法も特殊なものではない こと。一般的な帳票ならば予め、帳票の雛形が提供されていること。特殊なものでも、雛形帳 票の登録が出来ること(有料です)。などがあげられます。 しかしながら、承認印などの必要な帳票に関しては、ASP上でワークフローを回すことは 不可能ですが、下打ち合わせレベルの運用であれば(承認印を押す一歩手前)受注者と発注者・ 受注者と協力業者・受注者組織内のそれぞれの間で帳票を共有し、完成させることは可能です。 さらに、将来的には、携帯電話などからの端末機よりASPの接続も可能となり、例えば、 「重機関係の始業前点検簿を作成する」ことも可能になります。 3) Webを利用したグループウェアーの導入経緯 先にも述べた通り、現状では、全ての帳票をASP上で処理をすることは出来ず、運用方法 を間違えると、帳票の二重管理(電子データと紙データ)を余儀なくされます。 従って、承認をえる前段階までの帳票や、承認が不要な帳票をASPで運用します。 具体的には、安全日誌の場合、その作成までとなりますが、作成された安全日誌のデータは、 歩掛かりのデータや協力会社の稼働人員などの集計値として二次利用可能な形で残すことが可 能です。

(23)

また、社内審査等が必要な書類を考えた場合、社内審査パスまでをASPで作り込み、完成 後、出力して提出する形になりますが、社内審査をパスした書類は、サンプル帳票として、他 工事でも一部を書き直す或いは、参考資料として取り扱うことも可能になります。 4) Webを利用したグループウェアーの対象帳票 帳票の運用の仕方にもよりますが、概ね全ての組織内帳票と考えられます。 レイアウトを重視しているような帳票でもある程度、対応可能と考えられます。 5)Webを利用したグループウェアーの注意点 特に第3 段階での帳票の関係組織の関連把握が非常に大切になります。ASPの場合は、利 用者が左記を運用管理する必要があり、これが確実に実施できないと大切な帳票を誤って削除 されてしまったり、上書きされてしまったりする要因になります。 利用するASPで、ワークフローがどの様に扱えるのか、或いは、扱っていくのかを事前に 確認することが非常に大切です。

(24)

4 文書情報標準化の要素技術

アプリケーションの利用例ということで、それぞれの特色について紹介する。 4−1

アプリケーションの利用1(帳票型)

データベースの利用にあたっては、どのような形態で利用していくのかを検討し、それに最 適なソフトを選ぶ必要があります。現場内や支店内といった閉じた環境で利用するならば帳票 型のデータベース、複数のデータベースを作成しそれらを連携して利用する場合はリレーショ ナル型データベースの利用が効率的です。 (1) 帳票型データベース データベースソフトではひとつの書類 で入力した項目が他の書類に反映するこ とが可能です。そのため、共通項目の入 力の手間が省けるとともに入力(記入) ミスがなくなり、帳票作成に要する作業 が大幅に削減されます。 作成データの保存においては、データ ベースでは一枚の帳票が一件のデータと して扱えるため、数多くの書類を省スペ ースで保存することができます。(A4 帳票 1000 枚が1枚のフロッピーディス クに保存可能、ワープロソフトや表計算 ソフトでは帳票1枚につき罫線情報もも つためデータベースソフトに比べて容量 が大きくなります。)下の表は、1つの罫 線つきの帳票を Word、Excel、データベ ースソフトの1つである Filemaker Pro でそれぞれ作成し保存したときの容量を 示したものです。 表-5 帳票を保存するために必要な容量 A4帳票10 枚 A4帳票20 枚 Word 約 139 KB 約 265 KB Excel 約 38 KB 約 64 KB Filemaker Pro 約 16 KB 約 18 KB さらに各項目毎に検索やソートといった蓄積されたデータの操作が容易であるため、作成 した帳票の維持・管理が効率よく行うことができます。 所長        工事名  ○○工事 住所  ○○県○市  請負金額 ○○○円 工期 ○年○月○日 発注先 ○○○   ・  ・  ・  工事名  ○○工事 工事名  ○○工事 住所  ○○県○市  発注先 ○○○   一つの帳票で工事名、住所、 請負金額等を入力する。 その内容が他の帳票に反映され、 同じ項目を何度も入力する 手間がなくなる 図-15 帳票型データベース

(25)

1)書類の達人 作業所等で作成する書類を統括管理し、書類作成の効率向上を支援するシステムとして 株式会社ラインテックが開発したものです。帳票の電子化を行うにあたって時間のかかる 雛形がすでに用意されています。平成14 年 1 月現在、建築・設備関係書類・道路占有関係 書式等が約1500 種用意されています。 主な特徴は以下の通りです。 ・ 入力したデータは、必要な書類にすべて自動転記され再入力の手間を省き作業時間を大 幅に短縮することができます。 ・ 構築されたデータベースはcsv 形式であるため他の Windows アプリケーションで再利 用することができます。 ・ 「書類の達人」で作成した書類を メニュー画面より直接メール送 信できます。その際、受信者にメ ールビューワを付けて送信する 事で、受信者は「書類の達人」が なくてもその書類を閲覧する事 ができます。 ・ 項目入力画面と印刷プレビュー 画面を同時に見ることができる ため、記入ミス等をかなり抑える ことができます。 2)Filemaker Pro

Filemaker Pro は、Filemaker 社が開発した帳票型のデータベー スです。帳票1枚を1件のデータと して扱い、紙を保存しているイメー ジでデータの保存や検索・閲覧を行 うことができます。主な特徴は以下 の通りです。 ・ マルチレイアウト 必要に応じていくつでもレイア ウトを作成・追加することが可能 であるため、同じ情報を様々な形 で表現することができます。作成 方法も、帳票をイメージしたまま 行えるため、他のデータベースソ フトより容易にデータベースの構 築が行えます。 ・ マルチプラットホーム

Filemaker Pro には Macintosh 版と Windows 版があり、どちら でも使用することができるため、

図-16 書類の達人画面

(26)

データを共有し、一元管理することができます。 ・ Web公開機能

作成したデータを簡単な操作でWebに公開することができます。この機能を利用して データベースをWeb公開すると、ブラウザーを持っていれば、Filemaker Pro がなくて もデータの検索・閲覧・入力を行うことができます。

(27)

4−2

アプリケーションの利用2(リレーションDB型)

(1) リレーション型データベースとは リレーション型データベース(RelationDataBase)とは、各データを2次元の表イメージで 格納するデータベースです。 それぞれのデータ項目を関連付けて、すべてのデータを一つのデータベースとしてを登録し たり、検索したりすることが出来ます。 各データは図-18 のようにキーになる項目によって関連付けられています。 各データは個別の表として管理されているので、部署名に変更があった場合は、部署名ファ イルの部署名だけを変更すると、関係するすべてのデータが最新データに更新されます。 また、部署毎の名簿を作成する場合、部署名・氏名・年齢を問合せ項目にセットすると名簿 データを作成することが出来ます。 この様にリレーション型データベースは、表形式でわかりやすい事と、データの項目追加や 変更が簡単に出来るので普及してきました。 リレーション型データベースの代表的なものとして、Oracle(オラクル社)や SQLServer (マイクロソフト社)などがあります。 図-18 リレーション型データベース

(28)

(2) リレーション型データベースを操作するSQLの概要

リレーショナル型データベース(以下“RDB”)のデータを自由に取り出す命令言語として SQL(Structured Query Language)があります。

SQL は、データベースに対して追加・修正・削除・参照・検索などの問合せを英語の表現に 合わせているので、非常にわかりやすい言語となっています。 今までのデータベースは、いろいろな企業がそれぞれ開発する言語を作っていたので、開発 者はデータベース毎に開発言語を覚える必要がありました。 しかしRDB の命令言語 SQL は、ISO(国際規格)標準になっているので、問合せコマンド がどのRDB でも共通で使う事が出来るので、開発者の負担が軽減された。 図-19 SQL (3) リレーション型データベースを利用したWebシステムの例 1) Webの連携システムとは 図-20 のようにWeb連携システムでは、①RDBを処理するデータ層、②業務部分を処理 するファンクション層、③利用者のプログラムを処理するプレゼンテーション層の三層構造に なっています。 Web 連携システムは、プレゼンテーション層で WWW ブラウザを使うので利用者は特別な ソフトが必要なく、複数の利用者が使うシステムに向いています。 図-20 Web 連携システム

(29)

2) Web連携の概要 工事打合せ簿は、受発注者間の協議事項や報告事項等に使われます。 今までは紙の帳票を印刷し、その紙を発注者へ持って行き説明しましたが、Web 連携システ ムを利用して、いつでも何処でも工事打合せ簿を確認したり回答を返せるシステムを紹介しま す。 図-21 がシステムの簡単な流れです。 ① 受注者が打合せ簿を発議します。発議されたデータはDB に登録され ② 発注者側に新規発議があった旨のメールが届きます。 ③ それを確認した発注者は、発議事項について検討を行ない処理をします。 ④ 処理された発議についてそれぞれに処理内容がメールで届きます。 ⑤ それで一つの案件について処理が完了し、データが蓄えられます。 非常にシンプルな作りですが、各段階で認証を行なっているので、誰がいつ何を行ったか 何時でも確認できます。 図-21 システムの流れ

(30)

下図は、Web システムで使われているデータベースの例になります。 工事名や担当者名などが関連付けのキーになっていて、RDB と Web を連携しています。 利用者はブラウザ上から命令を与えるとSQLを通して RDB へ命令が行き、問合せの結果 をブラウザに返します。 図-22 データベース例 3) 画面イメージ 下図は、①の新規発議の登録画面になります。 ブラウザ上から工事打合せ簿の発議を行います。既存の帳票イメージで入力出来るので、利 用者は今までの紙イメージで発議が行えます。 図-23 新規発議の登録画面

(31)

下図が③の処理回答画面になります。 発議された打合せ簿を確認して承認者が承認を行います。 承認には“承認”、“指示”、“協議”、“通知”などの区分を選択します。 図-24 処理回答画面 下図が⑤の確認画面になります。 承認された打合せ簿は紙の書式のイメージで確定されます。 図-25 確認画面

(32)

4) まとめ 以上、説明してきたようにリレーショナルデータベースとWeb 連携することで、誰でも簡単 に情報を登録したり・閲覧したりできます。 インターネットの回線速度が速くなり、写真や図面など大きなデータもスムーズに交換や共 有が実現すると時間や場所に関係なく共同作業が出来るのようになり、今までの仕事のやり方 が変わります。 また、電子調達、電子入札、電子納品など時代の流れに沿ったシステムがRDB と Web 連携 システムで発達して行くことでしょう。

(33)

4−3

アプリケーションの利用3(グループウェアー)

前章の第四段階までを完了し、電子化された帳票について、グループェアー上でどの様に展 開されるのかを、グループウェアーの特徴を踏まえながら実際の運用も考慮しながら説明しま す。 (1) グループウェアーとは 3−2 の(1)と重複しますが、代表的な機能のみ再度、説明します。 「電子メール」帳票をグループ内の1 対 1(多)で交換する機能。 「電子掲示板」帳票をグループ内に公開する機能。 「電子会議室」任意の帳票に対する質疑応答や論議ができる場を提供する機能。 「スケジュール管理」スケジュールの登録・通知機能の他に、共有施設(会議室) の予約管理を提供する機能。 「文書(ファイル)管理」グループ内で共有できる情報を管理する機能。 「ワークフロー機能」帳票を任意のルートに乗せて回覧・承認する機能。 グループウェアーの各ソフトにより機能が違いますが、代表的なものでは、ロータス 社のNotes、マイクロソフト社の ExchangeServer、富士通の TeamOffice などがありま す。 (2) グループウェアーを利用した電子化された情報のメリット ・第1 に、「ワークフロー機能」で任意の帳票が、組織内をメールアドレスを元に飛び回 るため、組織内処理(機能)のスピードアップが図れます。(時間と場所を問いません。) ・第2 に、「文書(ファイル)管理機能」でISOに代表される、文書の最新版管理が容 易になります。 ・第3に、「電子掲示板機能」で情報を公開することによる、情報のスピード化とペーパ ーレスが図れます。 などがあげられます。 また、運用の範囲面では、当初の本支店内での運用より、その利便性・紙の省資源性が評価 され、作業所も含めた運用範囲にまで進んでいるケースが多く見うけられます。 (3) ワークフローによる帳票処理のスピードアップ 2 − 4 第 三 段 階 の ( 4 ) 帳 票 の 関 係 組 織 の 関 連 把 握 が的確になされていれば、この結果をグ ループウェアーに反映させることにより、任意の帳票に対して、時間と場所を問わず、「確認」・ 「審査」・「承認」行為ができます。 また、フローに、「理由を添付した差し戻し」などの機能も付加できます。 帳票の内容によりワークフローも以下のケースが考えられますが、いずれの場合も、ソフト ウェアー的には対応が可能ですが、運用面を配慮したものでなければ、利用者に対し、負担が かかりますので、見極めが大切です。 ■一定型のワークフロー 承認(決済)までの帳票の流れが常に一定の場合は、予め設定する事が可能です。 ■条件型のワークフロー 承認(決済)までの帳票の流れが条件によって変化するが、個々の流れは一定の場 合も、予め設定する事が可能です。

(34)

■不特定型のワークフロー 承認(決済)までの帳票の流れが随時変化するもので、予め設定する事は不可能で す。作成者が都度ワークフロー(全てを設定することはまれで、一部の設定をするこ とが多い)を決めなければなりません。 図-26 一定/条件型のワークフロー 図-27 不特定型のワークフロー 図-28 「理由を添付した差し戻し」の機能 (4) 文書(ファイル)管理機能と電子掲示板機能によるスピーディーな情報公開 2 − 4 第 三 段 階 の ( 3 ) 情 報 項 目 の 整 理 の 1 ) 管 理 情 報 が的確に設定されていれば、この結 果をグループウェアーに反映させる事により、的確な情報公開・検索が可能になります。 一般に、帳票を紙で持つと、後日、探し出す事を考慮し、何らかの形でバインダーに綴じま す。その綴じ方は、任意の一つのバインダーに綴じるか、コピーして複数のバインダーに綴じ、 差し替えなどがあると都度、バインダーの中身を更新し管理する方法をとります。 ワークフローは特定されています。 任意の人をワークフローに設定する。 差し戻し理由を明記できます。

(35)

電子化して綴じる(現物は一つ)

支店別

発注者別一覧 ====== JH:○× 国交省:△■ 日別 ======= 020201 :○× 020115 :△■ 支店別 ======= 東北:△ ■ 関東:○ × 管理情報 支店別:関東 日別:020201 発注者:JH 本文 ::::::::: 管理情報 支店別:関東 日別:020201 発注者:JH 本文 ::::::::: 管理情報 支店別:関東 日別:020201 発注者:JH ========= タイトル:○× 本文 ::::::::: コピーして綴じる(現物が複数) 発 注 者 別 日 別 支 店 別 管理情報 支店別:関東 日別:020201 発注者:JH 本文 ::::::::: 管理情報 支店別:関東 日別:020201 発注者:JH 本文 ::::::::: 管 理 情 報 支店別:関東 日別:020201 発 注 者 :JH ========= タイトル:○× 本文 ::::::::: しかし、帳票を電子媒体として持ち、上記の管理情報を持たせることにより、電子化された 1帳票は、日付別、発注 者別、部署別、承認状態 別など様々な見方が可 能となります。管理情報 とは、バインダーの背表 紙に相当するもので、電 子媒体では、一つのファ イル或いは、一帳票に対 し複数個持つ事が可能 ですので、電子帳票に対 し使いまわしの良い背 表紙(管理情報)を付け れば、必要な情報を的確 に得る事が可能となり ます。 図-29 紙帳票と電子化帳票 (5) 電子化帳票の作成と注意事項 紙帳票と電子化された帳票の一番の違いは「見た目」です。 電子化された帳票は、一定の大きさのコンピュータの画面に表示された部分しか確認できず、 紙の帳票のように、全体を一目して任意項目より記入する方法は不向きです。更に、任意の一 行に対し、文字を小さくして複数行書く事も出来ませんし、細かな記入欄の配置も不可能では ありませんが、コンピュータで扱うには検討が必要です。また、横方向に長い帳票もそのまま 電子化することは利用者の使い勝手から見ると検討が必要です。 図-30 帳票の電子化 紙帳票イメージ 帳票項目も組替え 電子化帳票での記入イメージ 電子化帳票での出力イメージ

(36)

紙帳票イメージ 電子化帳票での記入・承認イメージ 任意の人が必要とすべき項 目だけを表示させることが 可 能 上記のように、標準化された帳票を電子化する場合は、コンピュータの特質を配慮した利用 者の使い勝手を重視したものであることが大切です。 しかしながら、帳票内の記載項目全てに電子的な処理を掛けられる特徴を利用し上記の欠点 を補う事も可能です。記載項目のレイアウトを例に取れば、記入専用のレイアウト画面を作成 したり・確認用・承認用の画面・印 刷用の画面など、がかなりの自由度 を持たせることが可能です。 また、「帳票を電子化する」時には、 以下の配慮が必要です。 1.横長の(紙)帳票は、記載項目 を再配置し縦長の(電子)帳票に組 替える。 2.記載項目のうち、選択できるも のは、可能な限り選択できる仕組み を盛り込む。 図-31 紙帳票と電子化帳票のイメージ

(37)

5 おわりに

文書情報を標準化する取り組みとして、帳票に絞って整理を行いました。その中で、見えて きたことは、単なる帳票の標準化活動だけでなく、組織内の業務の見直しという視点が必要不 可欠であるということです。それぞれの章で留意する事項としてまとめた内容に、組織をどの ように動かすべきかという問題が散見しています。このことは、実務で携わった技術者が、単 なるシステム開発を行えば済むという分けではなく、組織内における業務をどのように整理す べきかリエンジニアリングに関わる問題に直面しているからです。ここに文書情報の標準化の 難しさが現れています。 今回のガイドラインは文書情報標準化の取り組みについてシナリオを提起して、それに沿っ て留意すべきことや事例、そして要素技術の紹介を行いました。まだ、ガイドラインとしては 不十分ですが、組織内、又は組織を超えて関係組織が文書情報を標準化する上での参考になれ ば幸いです。 ご協力いただいたメンバー 文書情報標準化WG(五十音順、敬称略) 有本 邦彦 ( (株)松村組 ) 一條 俊之 ( 西松建設(株) ) 伊藤 正喜 ( (株)本間組 ) 西牧 晋志 ( 西松建設(株) ) 野尻 三夫 ( 五洋建設(株) ) 星野 義弘 ( 前田建設工業(株) ) 牧野 正行 ( 前田道路(株) ) 商標について ・Windows、Windows NT は、マイクロソフト社の米国および他諸国での商標または登録商標 です。 ・その他記載の会社名、商品名は、それぞれの商標もしくは登録商標です。 ※無断で転載することを禁じます。 本書に関する問い合わせ先 (社)日本土木工業協会 E-mail : dokokyo@mx1.alpha-web.ne.jp

(38)

巻末資料

留意すべきこと

登場人物紹介 登 場 人 物 コ ン ピ ュ ー タ リ テ ラ シ ー (スキル程度) 現場所長 社内で書類の標準化を行うことになり、モデル 現場に指定された現場事務所所長。 低 技術者 現場所長の下で工務担当をしている中堅社員。 国土交通省の現場経験あり。 高 プロジェクトリーダー 社内で書類の標準化を行うことになり責任者に 任命された。 並 総務課長 社内で書類の標準化を行うことになった内勤部 門の担当課長。 並 担当者 総務課長の部下であり、今回のプロジェクトの メンバーでもある。 高

参照

関連したドキュメント

るエディンバラ国際空港をつなぐ LRT、Edinburgh Tramways が 2011 年の操業開 を目指し現在建設されている。次章では、この Edinburgh Tramways

当社は、お客様が本サイトを通じて取得された個人情報(個人情報とは、個人に関する情報

はじめに

生活のしづらさを抱えている方に対し、 それ らを解決するために活用する各種の 制度・施 設・機関・設備・資金・物質・

こらないように今から対策をとっておきた い、マンションを借りているが家主が修繕

Google マップ上で誰もがその情報を閲覧することが可能となる。Google マイマップは、Google マップの情報を基に作成されるため、Google

各サ ブファ ミリ ー内の努 力によ り、 幼小中の 教職員 の交 流・連携 は進んで おり、い わゆ る「顔 の見える 関係 」がで きている 。情 報交換 が密にな り、個

しかしながら、世の中には相当情報がはんらんしておりまして、中には怪しいような情 報もあります。先ほど芳住先生からお話があったのは