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特定原産地証明書発給申請マニュアル(案)

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Academic year: 2021

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Ⅰ.「特定原産地証明書」の取得に向けて

我が国から輸出される産品について、輸入締約国からEPAに基づく特恵税率の適用を 受けるためには、特定原産地証明書を取得する必要があります。 特定原産地証明書は、証明法第8条第1項の規定に基づき経済産業大臣が指定した発給機 関(指定発給機関)である日本商工会議所により発給を受けます。日本商工会議所は、特定 原産地証明発給の発給申請手続を全てコンピュータ・システムにより行うこととしています。 特定原産地証明書の発給申請を行うのは、我が国から輸出される産品の輸出者です(日 オーストラリア協定では生産者も申請できます)。発給申請者は、申請を行う前に、輸出さ れる産品について、相手国からEPA税率の適用を受けるためには、EPAに定められる原 産地規則に基づき原産資格を有していること(以下「原産性」と言います。)を確認する必 要があります。なお、輸出者がその産品の生産者でない場合、その産品の生産者が輸出者に 代わって原産性を確認することができます。 この章では、特定原産地証明書の発給申請を行う際に、輸出者や生産者が確認しなければ ならない事項や必要な手続を説明します。

1.特定原産地証明書発給申請の前に確認しておくべき事項

<ステップ1> 輸出産品のHSコードの確認(6ページ参照) <ステップ2> 特恵税率の有無、税率の確認(7ページ参照) 各EPAに定められた輸出産品 に係る規則等の確認(9ページ参照) <ステップ3> <ステップ4> 輸出産品に関する原産性の確認(10ページ参照) <ステップ5> 企業登録(44ページ参照) <ステップ6> 原産品判定依頼(54ページ参照) <ステップ7> 特定原産地証明書の発給申請(68ページ参照) 上記事項を確認いただいた後、 特定原産地証明書の発給手続きへ 特定原産地証明書発給手続きに入る前に各協定および証明法を入手し、 次のステップにしたがって確認してください。 ※発給手続きは、Web申請となります(企業登録は郵送いただく必要有)。 後半に発給システム画面を基に操作説明を掲載しています

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<ステップ1> 輸出産品の HS コードの確認

まず、EPA を利用するためには、輸出しようとする産品の6桁ベースの適切な関税分類 番号(以下「HS番号」または「HS コード」と呼びます。)の確認が必要となります。 EPA では、HS 番号をベースに、「EPA 税率」「関税撤廃スケジュール」「品目別の原産 地規則(品目別規則)」が規定されています。例えば、輸出産品がサングラスの場合、6桁 の HS 番号は 9004.10 となりますので、この番号をベースに EPA 税率等の有無を確認し ていくこととなります。 EPA 適用となる HS 番号は、輸入締約国における HS 番号となりますので、輸出産品の HS 番号を確認したい場合は、輸入者に確認するか、または、最寄りの税関にお問い合わせ ください。輸入締約国の税関と日本の税関の関税分類判断が異なる場合、「輸入締約国税関 の判断」が優先されますので、下記①の方法をお勧めします。 <確認方法> ① 輸入者を通じて輸入締約国の税関に問い合わせる。 ② 過去に輸出入実績があれば、許可された輸出申告書や輸入申告書に記載されている統 計品目番号(HS)を調べる。 ③ 近隣の税関に問い合わせる。※税関 HP(http://www.customs.go.jp/) ④ 税関の「関税率表解説・分類例規」で調べる。 http://www.customs.go.jp/tariff/kaisetu/index.htm <実行関税率表>http://www.customs.go.jp/tariff/ index.htm HS:85類 (電機機器 及びその 部分品)

HS:

HS:

8501

8501

(電動機)

HS:

HS:

8502

8502

(発電機)

HS:

HS:

8503

8503

(部分品)

HS:

HS:

8504

8504

・ ・ ・

HS:

HS:

8544

8544

(電気絶縁をした線、 ケーブル)

HS:

HS:

8544.11

8544.11

(銅の巻線)

HS:

HS:

8544.19

8544.19

(その他の巻線) ・ ・ ・ ・ ・

HS:

HS:

8544.60

8544.60

(その他の電子導体)

HS:

HS:

8544.20

8544.20

(同軸ケーブル) HS: HS:8544.60.0108544.60.010(自動車用) HS: HS:8544.60.0908544.60.090(その他用途) 7桁以降は各国によって自由 に決められています。日本は 9桁を採用しています。 一番大きい分 類は世界共 通で2桁の コードで1類 ~97類まで 存在します。 6桁までは全世界共通のコー ドが使用されます。 HSコードが細かくなるにつれ、品目が特定されます。 2桁(類) 4桁(項) 6桁(号) HS:85類 (電機機器 及びその 部分品)

HS:

HS:

8501

8501

(電動機)

HS:

HS:

8502

8502

(発電機)

HS:

HS:

8503

8503

(部分品)

HS:

HS:

8504

8504

・ ・ ・

HS:

HS:

8544

8544

(電気絶縁をした線、 ケーブル)

HS:

HS:

8544.11

8544.11

(銅の巻線)

HS:

HS:

8544.19

8544.19

(その他の巻線) ・ ・ ・ ・ ・

HS:

HS:

8544.60

8544.60

(その他の電子導体)

HS:

HS:

8544.20

8544.20

(同軸ケーブル) HS: HS:8544.60.0108544.60.010(自動車用) HS: HS:8544.60.0908544.60.090(その他用途) 7桁以降は各国によって自由 に決められています。日本は 9桁を採用しています。 一番大きい分 類は世界共 通で2桁の コードで1類 ~97類まで 存在します。 6桁までは全世界共通のコー ドが使用されます。 HSコードが細かくなるにつれ、品目が特定されます。 2桁(類) 4桁(項) 6桁(号)

【HS 番号のイメージ】

<EPA で使用する HS について> 日オーストラリア協定は HS2012、日スイス、日ベト ナム、日インド、日ペルー協定は HS2007、それ以外 の協定は、HS2002 を使用してください。

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日本貿易振興機構 HP「World Tariff」:http://www.jetro.go.jp/theme/export/tariff/

<ステップ2> 特恵税率の有無、税率の確認

輸出しようとする産品の税率を確認してください。日本貿易振興機構(ジェトロ)ホーム ページ「世界各国の関税率」(World Tariff)において、HS コードで特恵税率の有無や 税率を確認できます。 ※「World Tariff」利用には、登録が必要。氏名、住所等を入力するだけで登録可能です。 ○「World Tariff」とは

米国 FedEx Trade Networks 社が有料で提供している世界の関税率情報データベース です。ジェトロが同社と契約し、日本の居住者はどなたでも、同社のサイトから無料で 「World Tariff」をご利用いただけるようになっています。「World Tariff」を利用して得 たデータおよび印刷物は、著作物への利用、第三者への販売、その他再配布はできませんの で、ご注意ください。 <収録内容> 120以上の仕向け国の関税率が検索できます。 MFN 税率(WTO 協定税率)の他に、GSP(特恵税率)の税率も収録されています。 輸入時にかかる諸税(付加価値税・売上税など国により様々)も調べることができます。 ・輸入国/輸出国 ・HS 番号 ・輸入に課せられるその他の税(VAT 等)と税率 ・原産国毎の最も低い税率とそのために必要な適用協定・待遇(EPA or MFN) ※一覧表から「JAPAN」を選択すると、輸入国への日本からの原産品の輸入におけ る一番低い関税率と適用協定・待遇を確認することができます。

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譲許表(品目別関税撤廃スケジュール)

・各国との協定毎に異なる譲許表で対象産品の関税率を確認してください。 ・各国の譲許表は、付属資料(92 ページ)をご参照ください。

(例)日インドネシア協定 譲許表

Column 1 Column 2 Column 3 Column 4 Column 5 Tariff Item

Number Description of Good Base Rate Category Notes

(関税率表番号) (品名) (基準税率) (区分) (注釈)

70.14 Signalling glassware and optical elements of glass (other than those of heading 70.15), not optically worked.

7014.00.10.00 - For motor vehicles 5% B3 2

7014.00.90 - Other: A

7014.00.90.10 -- For lighthouse lamps, ships lanterns, locomotive and railway rollingstock lanterns, lamps for aircraft and beacons

7014.00.90.90 -- Other 5% B3 Column 4(区分) A 協定発効日に関税を撤廃 即時関税撤廃品目 Bn 協定発効日から(n+1 回)の毎年均等な関税引下げ 段階的関税引下げ撤廃品目 P Column5(注釈)に従って関税引下げ、撤廃 段階的関税引下げ撤廃品目 段階的関税削減品目 X 関税撤廃等の譲許なし 除外品目 <参考>関税の段階的引き下げによる撤廃の計算方法の例(日インドネシア協定 B10 の産品) 10.0% 発効前 発効 (Base rate) 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目 7回目 8回目 9回目 10回目 11回目 発効前 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目 8年目 9年目 10年目 11年目 2008/7/1 2009/1/1 2010/1/1 2011/1/1 2012/1/1 2013/1/1 2014/1/1 2015/1/1 2016/1/1 2017/1/1 撤廃 10% - 8 × (10% ÷(10+1))=2.7% (Base rate) 年数   1回の引き下げ幅 3.6% 2.7% 1.8% 0% 0.9% 9.1% 8.2% 7.3% 6.4% 5.5% 4.5% EPA税率の 算出の基と なる税率 関税の引下げ 撤廃の区分を 表示 「区分」が示す 内容の注釈を 数字で表示 即時撤廃 段階的引下げ

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<ステップ3> 各EPAに定められた輸出産品に係る規則等の確認

原産地規則および品目別規則の確認

(98 ページ参照) 原産地規則とは、物品の原産地(国籍)を決定するためのルールです。一般特恵関税、 EPA 特恵関税、WTO 協定税率、アンチ・ダンピング税等の関税の適用が物品の原産地 に依存する場合があり、原産地規則を用いて原産地の決定が必要となります。 EPA は、二国間や多国間(我が国の場合は日アセアン協定のみ)の取決めであり、迂 回貿易を防止し、協定に基づく特恵関税を適切に運用するためにも、「特定原産品である こと」を認定する必要があります。 輸出産品に関する各EPA上の「原産地規則」、「品目別規則」を確認してください。 各協定で品目別に規則(原産性の確認ルール)が決まっており、輸出産品が EPA 税率 を受けるためには、この規則を満たす必要があります。 日商 HP からも確認が可能です。

http://www.jcci.or.jp/gensanchi/3.html

※日アセアン協定は、原産地規則は1つです。輸出相手国ごとには存在していません。 日アセアン協定の「特定原産品」と認められた産品は、同協定発効国の全てに日本国 原産品として輸出することができます(特定原産地証明書に記載できます)。 ※非原産材料を利用する産品が「特定原産品」となるためには、品目別規則を満たしてい る必要がありますが、日アセアン、日スイス、日ベトナム、日インドの4協定には、「一 般規則」が存在しますので、ご注意ください。 <品目別規則と一般規則の見分け方> ・輸出産品のHS番号が「品目別規則」に存在するか確認ください。存在している場 合、その規則を満たしていることが特定原産品の条件となります。 ・品目別規則に輸出産品のHS番号がない場合が「一般規則」の対象となります。 利用する協定を選択 してください。

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<ステップ4> 輸出産品に関する原産性の確認

輸出産品について、輸入相手国税関でEPA税率の適用を受けるためには、各EPAに 定められる原産地規則に基づいた原産資格を有していること(「原産性」と言います。)が 前提となります。原産性を有する産品のことを原産品と呼び、原産地証明法では「特定原 産品」と言います。

○ 完全生産品 (詳細は14 ページを参照ください。

・締約国内で原材料レベルから全て生産・育成・採取された産品。 ・典型例は農水産品(動植物、魚介類等)、鉱物資源。

○ 原産材料のみから生産される産品 (詳細は 15 ページを参照ください。)

・(協定や品目別規則の要件を満たした)原産材料のみを用いて生産された産品。 ・最終生産品には非原産材料である材料は使用されていない。 ・「累積」により締約相手国の原産品を原産材料として使用することができる。 ※日インド協定には、原産材料のみから生産される産品の考え方はありません。

○ 非原産材料である原材料を用いて生産される産品で、品目別規則を満たすも

の (詳細は 18 ページを参照ください。)

・他国から輸入した原材料(非原産材料)を一部又は全部用いて生産され、以下のいず れかの基準を満たすもの。 ※関税番号変更基準、付加価値基準、加工工程基準等があります。 ※基準を満たすための救済規定もあります(累積、僅少等)。 ※日アセアン、日スイス、日ベトナム、日インド協定は、品目別規則に記載がない場合、 一般規則にて判定してください。 (以下は、日メキシコ、日チリ協定のみ) ○締約国において完全に生産される産品(HS番号第 61 類から第 63 類を除く。)で あって、その生産に使用される一又は二以上の非原産材料について、次のいずれか の理由により関連する関税分類の変更が行われないもの。ただし、附属書(日メキ シコ協定は附属書四、日チリ協定は附属書二)に別段の定めがある場合を除くほか、 域内原産資格割合が 50%以上(日メキシコ協定の場合。日チリ協定では、控除方式 の場合は 45%以上、積み上げ方式の場合は 30%以上)であり、かつ、当該産品が すべての関連する要件を満たす場合。 1. 当該産品が組み立ててないか又は分解してある状態で締約国に輸入される場合であっ ても、統一システムの解釈に関する通則2(a)の規定に従って組み立てられた産品とし て分類されること。 2. 当該産品の関税分類の項において、当該産品自体及びその部分の双方について規定し、 これらについて明示的に記述しており、かつ、当該項が関税分類の号に細分されてい ないこと、又は当該産品の関税分類の号において、当該産品自体及びその部分の双方 について規定し、かつ、これらについて明示的に記述していること。 (詳細は43ページを参照ください。)

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判定基準

◆二国間経済連携協定(日スイス、日ベトナム、日インド、日オーストラリア

協定を除く)

◆二国間経済連携協定(日スイス協定)

非原産材料を用いて生産された産品に、「一般規則」と「品目別規則」という2つの基 準が存在します。「品目別規則」として規定のない品目は、「一般規則」の適用となります。 (注)日スイス協定には、他協定と異なる表現があるので、注意してください。 Tolerance(許容限度)⇒ 他協定では De Minimis(僅少)- など

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◆二国間経済連携協定(日ベトナム協定)

日ベトナム協定 (WO)完全生産品 (PE)原産材料のみから生産された産品 非原産材料を用いて生産された産品 ※救済規定は「累積」(ACU) (一般規則) (品目別規則) 関税番号変更基準(CC/CTH/CTSH) 付加価値基準(LVC) 加工工程基準(SP) ※「僅少」(DMI)、「累積」(ACU) ※「累積」(ACU)、「同一の又は交換 可能な材料」(IIM) 非原産材料を用いて生産された産品の 場合、輸出産品のHS番号が品目別規 則に存在すれば、品目別規則の対象と なる。品目別規則で示された左記のい ずれかの基準を満たしていれば、特定 原産品となる。 付加価値基準(LVC) ※原産割合が40%以上 関税番号変更基準(CTC) ※CTH(4桁変更) 非原産材料を用いて生産された産品の場合、 輸出産品のHS番号が品目別規則になければ、 一般規則の対象となる。以下の2基準のいず れかを満たしていれば、特定原産品となる。 ※「累積」(ACU)、「同一の又は交換 可能な材料」(IIM) ※「僅少」(DMI)、「累積」(ACU)

◆二国間経済連携協定(日インド協定)

日インド協定 (A)完全に得られ、又は生産される産品 (B)非原産材料を用いて生産された産品 (一般規則) (品目別規則) 関税番号変更基準(CC/CTH/CTSH) 付加価値基準(QVC) 加工工程基準(SP) ※「僅少」(DMI)、「累積」(ACU) ※「累積」(ACU)、「代替性のある産品 及び材料」(FGM) 非原産材料を用いて生産された産品 の場合、輸出産品のHS番号が品目別 規則に存在すれば、品目別規則の対象 となる。品目別規則で示された左記の いずれかの基準を満たしていれば、特 定原産品となる。 関税番号変更基準(CTC)+付加 価値基準(QVC) ※CTSH(6桁変更)+原産資格 割合35% 非原産材料を用いて生産された産品の場合、 輸出産品のHS番号が品目別規則になければ、 一般規則の対象となる。以下の基準を満たし ていれば、特定原産品となる。 ※ 「僅少」(DMI)、「累積」(ACU)、「代替 性のある産品及び材料」(FGM)

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◆二国間経済連携協定(日オーストラリア協定)

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原産品判定の判定基準について

【完全生産品】

締約国(我が国)の領域において完全に得られ、又は生産される産品

<原産性の判断基準>

「完全生産品」とは、例えば、締約国において栽培され、かつ収穫される植物やこうした 植物から得られる植物性生産品(例:果物、野菜、切り花等)、締約国において生きている 動物から得られる産品(例:卵、牛乳等)、締約国において産出される天然の物質(例:原 油、石炭、岩塩等)というように、最初の原材料の段階から全て我が国で得られる産品をい います。 具体的には、以下のような産品を含みます。 ただし、協定毎に多少異なる場合がありますので、自らが輸出する産品が対象となる協定 において完全生産品に該当するかどうか、協定の原産地規則を参照し、確認してください。 ○我が国の領域において生まれ、かつ、成育された生きている動物 ○我が国の領域において狩猟、わなかけ、漁ろう、採集または捕獲により得られる動物 ○我が国の領域において生きている動物から得られる産品(例:卵、牛乳等) ○我が国の領域において収穫、採取または採集される植物および植物性生産品(例:果物、 野菜、切り花等) ○我が国の船舶により捕獲される水産物その他の産品 ○我が国の領海外において我が国の工船上で製造・加工される水産物その他の産品 ○我が国の領域において抽出され、または得られる鉱物その他の天然の物質(例:原油、 石炭、岩塩等) ○我が国が海洋法に関する国際連合条約に基づき、海底またはその下を開発する権利を有 する場所から得られる産品 ○我が国の領域において本来の目的を果たすことができず、回復または修理が不可能であり、 かつ、処分または部品もしくは原材料の回収のみに適するもの(例:走行不能の廃車等) ○我が国の領域における製造・加工作業または消費から生ずるくずおよび廃品であって、 処分または原材料の回収のみに適するもの(例:生産工程で得られる木クズ、金属クズ等) ○本来の目的を果たすことができず、かつ、回復または修理が不可能な産品から、我が国の 領域において回収される部品または原材料(例:走行不能の廃車から得られる古タイヤ等) ○我が国において、上記の産品のみから得られ、または生産される産品 ※ 農林水産品については、品目毎に必要な添付書類が求められます。 詳しくは、117ページ以降の付属資料を参照ください。

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【原産材料のみから生産される産品】

締約国の原産材料のみから締約国において完全に生産される産品 ※日インド協定には原産材料のみから生産される産品の考え方はありません。 「締約国の原産材料のみから生産される」とは、 ⇒ 最終生産品の生産に使用される材料そのものが特定原産品であり、 このような材料のみを用いて生産されることを意味します。 「完全に」とは、 ⇒ 生産に関する一連の行為が全て一つの締約国において行われることを意味します。 材料を製造する過程で、第三国(日本、締約相手国以外の国)からの輸入された原材料、 すなわち、締約国の非原産材料を用いている場合があります。この場合、この非原産材料 に「実質的な変更」を加える形での加工や製造が行われていれば、できあがった材料は 原産材料になります。このように締約国において加工が施され既に原産材料となった材料 のみを用いて生産された最終生産品がこのカテゴリーに該当します。 「実質的な変更」とは、 ⇒ 他の国を原産地とする部品や原材料等について、製造・加工を施して大きな変更を 加えることです。 具体的には、「非原産材料を用いて生産される産品」(C)で説明しますが、品目別 規則に基づいて、①関税番号変更基準、②付加価値基準、③加工工程基準等の規定を 満たす変更のことを意味します。 原産材料のみから生産される産品の例

累 積

A国(第三国)

日 本

実質的な変更

部品B

最終生産品

原産材料

部品A

部品C

原産材料 非原産材料 締約国へ輸出

締 約 国

部品D

原産材料

原 産 品

累 積

A国(第三国)

日 本

実質的な変更

部品B

最終生産品

原産材料

部品A

部品C

原産材料 非原産材料 締約国へ輸出

締 約 国

部品D

原産材料

原 産 品

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16 例えば、 ①鉄鉱石(HS番号:2601)は、輸入原材料(非原産材料)ですが、 ②それを我が国で製鉄してできた鉄のインゴット(HS番号:7206)やそれを圧延した 鉄の薄板(HS番号:7211)は、品目別規則で関税番号変更基準が条件のため、鉄鉱 石から関税番号変更基準を満たすような加工が既に施されており、我が国の原産材料に なっています(上記品目別規則は日メキシコ協定を想定)。 ③この原産材料となった鉄の薄板をさらに加工し、例えば、鉄のキャビネット(HS番号: 9403)を生産した場合には、できあがったキャビネットは、締約国の原産材料のみを 用いて生産された原産品となります。 「累積」(Accumulation) 最終生産品の生産過程でEPAの締約相手国の原産品を材料として使用した場合、 この原産品を我が国の原産材料とみなすことができます。これを「累積」と言います。 ※29ページを参照ください。救済規定の1つです。 ※ 最終生産品の生産過程で、「累積」を活用してEPA相手国の材料を原産材料として 用いた場合、その材料がEPA相手国の原産品であることを証する書類(相手国発給 の特定原産地証明書の写し等)を証拠書類として保存ください。 ※ 累積を活用した場合は、日本商工会議所への原産品判定依頼の際に「累積(ACU)」 を選択ください。 「原産材料のみから生産される産品」に該当しない例 最終生産品の生産過程で、締約国の原産材料のみを用いて生産された産品がこれに該当 します。従って、最終生産品の生産過程で一部でも締約国の原産材料と認められない原材料 (「非原産材料」と言います。)を用いている場合には、このカテゴリーには該当しません。 この場合、「非原産材料を用いて生産される産品」に該当する規則を満たしているかどうか が「特定原産品」となる条件となります。18 ページを参照ください。 <注意事項> ・産品に「Made in Japan」の刻印やラベルがあっても、それで原産品ということにはな りません。協定の基準を満たしている必要があります(証明資料が必要です)。 ・材料についても同様で、当該材料そのものを当該 EPA 相手国に輸出する場合でも、特定 原産品としての協定の基準を満たしている必要があります(証明資料が必要です)。 ・原産材料の証明資料として、仕入先から協定上の原産品と認定した根拠資料(エビデンス) を入手する場合、「日本で生産している」との理由だけで原産品とみなすことができませ ん。仕入先には、当該 EPA に基づく原産品であることを証明いただく必要があります。

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<原産材料のみから生産する産品に関する確認方法>

このカテゴリーに該当する最終生産品の生産者は、生産過程で用いた材料が全ての原産材 料であるかどうかを確認する必要があります。 ・輸出産品の材料について、日本で調達しただけでは原産材料とは言えません。その材料が 当該 EPA の特定原産品として証明できるものが原産材料となります。つまり、その材料 自体も特定原産品として EPA 相手国に輸出できるものが原産材料となります。 ・具体的には、輸出される産品毎に以下のような表を作成し、その産品の仕向国等の取引に 関する情報の他、利用する協定、輸出される産品の情報を記載するとともに、生産に用い た原産材料の情報、原産・非原産の判断に用いた基準(確認方法等)を整理して、このカ テゴリーに該当するかどうかチェックしてください(農林水産品については、以下のよう な表に代えて、品目毎に必要な添付書類が求められます。詳しくは、117 ページ以降の 付属資料を参照ください。)。 ・材料を他社から供給を受けている場合は、材料の供給業者からその材料が協定上の原産品 に該当する旨の確認を文書(例:念書や宣誓書による書簡、契約書や納品書上での記載) の形で提出いただき、証明資料として保存してください。証明資料は協定により、3年ま たは5年の保存義務があります。 ・最終生産品の生産過程で「累積」を活用してEPA相手国の材料を原産材料として用いた 場合、その材料がEPA相手国の原産品であることを証する書類(相手国発給の特定原産 地証明書の写し等)を証明資料として保存してください。 <確認方法の例>(以下のような表を作成、チェックしてください) ※判定依頼時の手持ち資料:判定依頼者が生産者でない場合、同様の資料を生産者から 受領してください。 平成   年   月   日 【協定名】日インドネシア協定 判定依頼者       印 HSコード 産品名 HSコード 部品名 単価 Electronic intergrade circuits (CPU) 原産材料 サプライヤー証明書、C基準VA60% calculating device 原産材料 サプライヤー証明書、C基準VA70% 半導体メモリー 原産材料 サプライヤー証明書、C基準CTH項変更 ハードディスク 原産材料 サプライヤー証明書、C基準VA60% 液晶画面 原産材料 サプライヤー証明書、C基準CTH項変更 産品 Portable digital automatic data processing machine (personal computer) 8471.30 【対象産品】 生産国:日本、製造場所:●●工場 【適用した原産地規則】 B 原産情報等 部材 サプライヤー証明書を出したサプライヤーも部 材の原産/非原産の区別をつけた上で同様の対 比表(VAを用いた場合は計算ワークシート)を作 成している必要あり。 原産材料のみ から生産され たことを証明 できる資料を 整理、保存し ておいてくだ さい。 記載は不要です 原産性確認のために作成いただいた表やこれらの書類は、日本商工会議所に対してご提出い ただく場合があります。また、輸入相手国での通関時または通関後に、輸入国の税関当局か ら当該産品の原産性の確認が日本政府に要請された場合、これらの書類の提出が求められた り、必要に応じて、実地確認を求められることもありますので、適切に保存しておいてくだ さい。

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18

【非原産材料を使用して生産される産品】

非原産材料を使用して締約国において完全に生産される産品であって、「品目別規則」 または「一般規則」(日アセアン、日スイス、日ベトナム、日インド協定に適用)およ びEPAの原産地規則におけるその他の関連する要件を満たす産品。 ※工業製品は、多くの場合この判定基準が適用となります。 ※日インド協定の場合、この判定基準に「原産材料のみから生産される産品」が含まれます。 我が国が締結した経済連携協定の多くが、全ての品目を「品目別規則」に記載しています が、日アセアン協定、日スイス協定、日ベトナム協定、日インド協定では、例外的な取り扱 いをする品目についてのみ「品目別規則」に記載し、それ以外は「一般規則」の対象となり ます。 ※「一般規則」では、下記の基準を満たす場合、原産品となります。 日アセアン協定 日ベトナム協定 日スイス協定 日インド協定 付加価値基準 (24 ページ参照) 原 産 材 料 割 合 (RVC)が輸出産 品(FOB 価額)の 40%以上 原 産 資 格 割 合 (LVC)が輸出産 品(FOB 価額)の 40%以上 非 原 産 材 料 価 額 (VNM)が輸出産 品(工場渡し価額) の60%以下 原 産 資 格 割 合 (QVC)が輸出産 品(FOB 価額)の 35%以上、かつ、 CTCにおいてH Sコード6桁の変 更が生じるもの 関税番号変更基準 (20 ページ参照) CTCにおいてHSコード4桁の変更が生じるもの 「非原産材料を使用して締約国において完全に生産される」 最終生産品の生産に使用される材料の一部または全部が非原産材料(日本または締約 相手国の原産品以外のもの)であり、このような非原産材料を用いて生産に関する一連 の行為が全て一つの締約国において行われることを意味します。 「原産地規則におけるその他の関連する要件」 原産資格を与えることとならない作業のみで生産を行っていないこと、代替性のある 産品や材料について適切な会計原則に従って在庫管理を行っていること等を指します。 「品目別規則」 ※ 日アセアン、日スイス、日ベトナム、日インド協定では、非原産材料である原材料 を用いて生産される産品に関して、限定された品目について適用される規則を「品 目別規則」に記載し、それ以外の品目は「一般規則」を適用します。 ※ 原産資格を与えることとならない作業に関する説明は 31 ページを参照ください。代 替性のある産品や材料に関する説明は、29 ページを参照ください。

(15)

19 五 二 ・ 〇 八 -五 二 ・ 一 二 産 品 が 浸 染 さ れ 、 若 し く は な せ ん さ れ る こ と 及 び 第 五 二 ・ 〇 八 項 か ら 第 五 二 ・ 一 二 項 ま で の 各 項 の 非 原 産 材 料 が い ず れ か の 締 約 国 若 し く は 東 南 ア ジ ア 諸 国 連 合 の 加 盟 国 で あ る 第 三 国 に お い て 製 織 さ れ る こ と ( 第 五 二 ・ 〇 八 項 か ら 第 五 二 ・ 一 二 項 ま で の 各 項 の 産 品 へ の 関 税 分 類 の 変 更 を 必 要 と し な い ) 第 五 二 ・ 〇 八 項 か ら 第 五 二 ・ 一 二 項 ま で の 各 項 の 産 品 へ の 第 五 二 ・ 〇 八 項 か ら 第 五 二 ・ 一 二 項 ま で 以 外 の 項 の 材 料 か ら の 変 更 ( 第 五 二 ・ 〇 四 項 か ら 第 五 二 ・ 〇 七 項 ま で の 各 項 の 非 原 産 材 料 を 使 用 す る 場 合 に は 、 当 該 非 原 産 材 料 の そ れ ぞ れ が い ず れ か の 締 約 国 又 は 東 南 ア ジ ア 諸 国 連 合 の 加 盟 国 で あ る 第 三 国 に お い て 完 全 に 紡 績 さ れ 、 又 は 浸 染 さ れ 、 若 し く は な せ ん さ れ る 場 合 に 限 る ) 又 は

<参考>品目別規則の「読み方」①

(例:日フィリピン協定の場合) 八 四 八 一 ・ 一 〇 -八 四 八 一 ・ 八 〇 八 四 七 九 ・ 九 〇 -八 四 八 〇 ・ 七 九 原 産 資 格 割 合 が 四 十 パ ー セ ン ト 以 上 で あ る こ と ( 第 八 四 八 一 ・ 一 〇 号 か ら 第 八 四 八 一 ・ 八 〇 号 ま で の 各 号 の 産 品 へ の 関 税 分 類 の 変 更 を 必 要 と し な い ) 。 第 八 四 八 一 ・ 一 〇 号 か ら 第 八 四 八 一 ・ 八 〇 号 ま で の 各 号 の 産 品 へ の 当 該 各 号 以 外 の 号 の 材 料 か ら の 変 更 又 は 原 産 資 格 割 合 が 四 十 パ ー セ ン ト 以 上 で あ る こ と ( 第 八 四 七 九 ・ 九 〇 号 か ら 第 八 四 八 〇 ・ 七 九 号 ま で の 各 号 の 産 品 へ の 関 税 分 類 の 変 更 を 必 要 と し な い 。 ) 第 八 四 七 九 ・ 九 〇 号 か ら 第 八 四 八 〇 ・ 七 九 号 ま で の 各 号 の 産 品 へ の 当 該 各 号 が 属 す る 項 以 外 の 項 の 材 料 か ら の 変 更 又 は

<参考>品目別規則の「読み方」②

(例:日フィリピン協定の場合) (C)非原産材料を用いて生産される産品の場合 ⇒ 協定附属書2の品目別規則を確認します 最終産品が該当する HS 番号が 8479.90 であり、 左記の附属書2の該当する関税番号に記載があった場合、 (例)Parts of Cutting Machine(断裁機の部分品)

第八四七九・九〇号から第八四八〇・七九号までの各号の産品 への当該各号が属する項以外の項の材料からの変更 = 関税番号変更基準 原産資格割合が四十パーセント以上であること(第八四七九・ 九〇号から第八四八〇・七九号までの各号の産品への関税分類 の変更を必要としない。 = 付加価値基準 ※この場合、関税番号変更基準、付加価値基準のどちらかの 要件を満たせば、特定原産品となります 原産品と認められます。 (C)非原産材料を用いて生産される産品の場合 ⇒ 協定附属書2の品目別規則を確認します 最終産品が該当する HS 番号が 5208.×× (例)Cotton textile(綿織物) 第五二・〇八項から第五二・一二項までの各項の産品への第 五二・〇八項から第五二・一二項まで以外の項の材料からの 変更(第五二・〇四項から第五二・〇七項までの各項の非原 産材料を使用する場合には、当該非原産材料のそれぞれがい ずれかの締約国又は東南アジア諸国連合の加盟国である第 三国において完全に紡績され、又は浸染され、若しくはなせ んされる場合に限る。) = 関税番号変更基準 産品が浸染され、若しくはなせんされること及び第五二・〇 八項から第五二・一二項までの各項の非原産材料がいずれか の締約国若しくは東南アジア諸国連合の加盟国である第三国 において製織されること(第五二・〇八項から第五二・一二 項までの各項の産品への関税分類の変更を必要としない。) = 加工工程基準 ※この場合、関税番号変更基準、加工工程基準のどちらかの 要件を満たせば、特定原産品となります 原産品と認められます。

(16)

20

関税番号変更基準(CTC:Change in Tariff Classification、以下、単に「CTCルー ル」と呼びます):非原産材料のHS番号とそれから生産される産品のHS番号とが異なる こととなるような生産が行われた場合、その産品を原産品とするものです。すなわち、使 用する部品や材料が第三国からの輸入品であっても、CTCルールを満たせば生産される 産品に原産資格が付与されます。 CTCルールにおいて比較の対象となるのは、産品の製造に用いられた非原産材料のみ であり、原産材料については確認する必要はありません(原産材料である旨の証明は必要 となります)。確認の方法は、非原産材料のHS番号と最終生産品のHS番号を調べて、そ れらが品目別規則に規定されている基準を満たしているかどうかで判断します。 CTCルールには、以下の3つがあります。 (i)HS番号の最初の2桁による変更(CC:Change in Chapter) 以下、単に「CC」または「類変更」と言います。)を求めるもの

(ii)HS番号の最初の4桁による変更(CTH :Change in Tariff Heading) 以下、単に「CTH」または「項変更」と言います。)を求めるもの

(iii)HS 番号の最初の6桁による変更(CTSH:Change in Tariff Sub Heading) 以下 単に「CTSH」または「号変更」と言います。)を求めるもの 関税番号変更基準の(例) ※日マレーシア協定、輸出産品はパソコン(HS8471.30)、CTSHの場合 <パソコン(HS8471.30)の原産地規則> ※非原産材料についてのみ適用となります。 第8401.10号から第8485.90号までの各号の産品への当該各号以外の号の材料からの変更 日本 液晶画面 HS8471.60 (原産材料) 半導体メモリ HS8542.21 (原産材料) ハードディスク HS8471.70 (原産材料) パソコン HS8471.30 台湾 CPU HS8542.21 (非原産材料) ※非原産材料の 台湾製CPUの 関税番号が 協定の変更基準 を満たしている 必要がある マレーシア 関税番号変更 CTSH(6桁変更) が行われている

【関税番号変更基準(CTCルール)

※非原産材料を用いた場合の基準

(17)

21

<参考>関税番号変更基準(CTC)の例

各協定および HS 番号により品目別規則が異なりますので、ご注意ください。以下は、 類変更(CC)、項変更(CTH)、号変更(CTSH)の原産資格を満たすか否かのイメージ。 輸出産品の生産に利用した非原産材料のみが対象。 (類変更)2桁レベルでの変更(CC)

例)HS2104.10(SOUP SEASONING POWDER)<日タイ協定の場合>

品目別規則は、第 2104.10 号から第 2106.10 号までの各号の産品への他の類の材 料からの変更

輸出産品

2104.10

非原産材料

2201.10

2桁(類)が変更していれば、OK (項変更)4 桁レベルでの変更(CTH) 例)HS8501.10(ELECTRIC MOTOR)<日タイ協定の場合> 品目別規則は、第 8501 項から第 8503 項までの産品への他の項の材料からの変更、 または VA40%以上

輸出産品

8501.10

非原産材料

8503.00

4桁(項)が変更していれば、OK (号変更)6 桁レベルでの変更(CTSH) 例)HS8504.32(TRANSFORMER)<日タイ協定の場合> 品目別規則は、第 8504.10 号から第 8504.50 号までの各号の産品への当該各号以 外の号の材料からの変更、または VA40%以上

輸出産品

8504.32

非原産材料

8504.90

6桁(号)が変更していれば、OK

(18)

22

<CTCルールに関する確認方法>

CTCルールにより原産性を確認するためには、最終生産品のHS番号とその産品の生産 に用いた材料のうち非原産材料のHS番号との間で、品目別規則に規定されている関税番号 の変更が起こっているかどうかを調べます。比較の対象となるのは、産品の製造に用いられ た非原産材料の部分のみであり、原産材料については確認する必要はありません。 ※輸出産品の材料について、日本で調達しただけでは原産材料とは言えません。その材料 が当該 EPA の特定原産品として証明できるものが原産材料となります。つまり、その 材料自身も特定原産品として EPA 相手国に輸出できるものが原産材料です。 CTCルールの確認方法の例(以下のような表を作成、チェックしてください) ※判定依頼時の手持ち資料:判定依頼者が生産者でない場合、同様の資料を生産者から受 領してください。 ※上記資料を含む保存すべき資料については、経済産業省「原産性を判断するための基本的考 え方と整えるべき保存書類の例示」を参照。 なお、投入された非原産材料の品目数が膨大で全てのHS番号を把握することが困難な場 合には、企業内の仕入・在庫管理に関するルールに従い、CTCルールを満たす範囲でまと めた形(例:部品一点一点ではなく、固まりとしての部分品、HS6 桁)のHS番号を調べ てください。 原産性を確認した際の非原産材料のHS番号と最終生産品のHS番号とを比較した結果およ び僅少の非原産材料(デミニマス)を利用した場合のこれを裏付けする資料(最終生産品にお ける非原産材料の価格割合を示すもの)などは、原産品判定や発給申請の際に日本商工会議所 に対してご提出いただく場合があります。 また、輸入相手国での通関時または通関後に輸入国の税関当局から当該産品の原産性の確認 が日本政府に要請された場合には、これらの書類の提出が求められたり、必要に応じて実地確 認を求められることもありますので、適切に保存しておいてください。 平成   年   月   日 【協定名】日インドネシア協定 判定依頼者       印 HSコード 産品名 HSコード 部品名 単価 8542.21 Electronic intergrade circuits (CPU) 非原産材料 台湾から輸入、インボイスあり 8470.30 calculating device 非原産材料 unknown

8542.21 半導体メモリー 非原産材料 unknown 8471.70 ハードディスク 非原産材料 unknown 8471.60 液晶画面 非原産材料 unknown 産品 部材 原産情報等 【対象産品】 生産国:日本、製造場所:●●工場 【適用した原産地規則】 関税番号変更基準:CTSH(号変更) 8471.30 Portable digital automatic data processing machine (personal computer) 全ての非原産材料が、輸出産品と比較して求められているレベル(この場 合は6桁)で変更していることを確認できればよい。 記載は不要です

(19)

23

<CTC ルールにおける救済規定>

※CTC ルールを満たせない場合、救済規定を利用できるか、検討してください。

僅少の非原産材料(デミニマス)

※日スイス協定では「許容限度」と言います 最終生産品と非原産材料のHS番号が同一の類、項または号であったために、関税番号変 更基準(CTCルール)を満たすことができない場合があります。この場合、最終生産品の 生産に使用される非原産材料が一定の割合以下のものについては、CTCから除いて考える ことができます。 EPA上、この救済規定を「僅少の非原産材料(De Minimis、デミニマス)」と言います。 具体的には、次のように定められています。 日インドネシア協定の例 (i)HS番号の第28類から第49類及び第64類から第97類までの各類に規定する産品に ついては、CTCルールを満たさない非原産材料の価格割合がその産品の価額の10%。 (ii)HS番号の第50類から第63類までの各類に規定する産品については、CTCルール を満たさない非原産材料の重量がその産品の重量の7%。

僅少の例

乳母車(HS 8715.00)の原産地規則 HS 8712.00号からHS 8716.90号までの各号の産品への当該各号以外の材料からの変更または、 原産資格割合が40%以上であること(HS 8712.00号からHS 8716.90号までの各号の産品への関税 分類変更を必要としない)。 (仮定)会社A社は乳母車が原産品であることを証明するために関税番号変更基準を選択。 乳母車は中国製の取っ手(HS 8715.00)、インド製のアルミ棒(HS 7604.10)から製造されている 中国製取っ手 (HS 8715.00 ) 700円 インド製アルミ棒 (HS7604.10) 1500円 乳母車 (HS 8715.00) 7500円 インド製のアルミ棒は原産地規則の関税番号変更に適合しているが、中国製取っ手は適合して おらず、関税番号の変更がなされていないため、乳母車は原産品とならない。 ただし、中国製取っ手の価額は乳母車の価額の10%以下、 (700/7500)×100=9.3%≦10% であるため、僅少の規定を適用することで乳母車は原産品となる。 デミニマス規定は、非原産材料のみが対象となりますが、副資材(例えば、アパレル製品に おけるボタンやワイヤーといった繊維と関係ない材料)は、品目別規則の対象ではないため、 デミニマスの対象として計算する必要はありません。 非原産材料を使用して いるので、品目別規則 を満たす必要がある。 関税番号変更基準では 6 桁変更(CTSH)が必要 CTSH を 満たさず 僅少を 利用 CTSH を満たしている 僅少(デミニマス)の例 関税番号変更基準で条件を満たせなかった場合の救済規定 <日マレーシア協定>

(20)

24

<参考>付加価値基準の例

【付加価値基準(VAルール)

※非原産材料を用いた場合の基準

付加価値基準(VA:Value Added、以下、単に「VAルール」と呼びます):産品の 生産過程において十分な価値(経費や利益を含む)が加えられるような加工が行われた場 合、その産品を原産品とするものです。

※日メキシコ協定、日アセアン協定では、RVC:Regional Value Content と呼びます。 ※日ベトナム協定では、LVC:Local Value Content と呼びます。

VA40%、RVC40%、LVC40%の場合、原産資格割合が 40%以上という意味です。 ※日スイス協定では、VNM:Value of Non-originating Materials と呼びます。

VNM60%の場合、非原産材料比率が 60%以下という意味です。 原産資格を得るために必要な輸出される産品に対して付加された価値の割合(「原産資格 割合」と言います。)は、品目別規則をよくご確認ください。 ※EPAによって、また産品によっても若干異なりますが、多くの場合、「40%以上」と いう閾値(しきいち)を設定しています(日スイスでは非原産材料価額が 60%以下)。 原産資格割合を計算する方法は、多くのEPAで「控除方式」が採用されております。 日チリ協定では、「控除方式(閾値45%以上)」「積み上げ方式(閾値30%以上)」の 両方が採用されています。 ※我が国では、運用上、いずれのEPAにおいても、「控除方式」、「積み上げ方式」およ び後に説明する「非材料費からのアプローチ」のいずれの方法によっても原産資格割合 を計算することを認めています。 ※日マレーシア協定、輸出産品は乗用車(HS8703.24)、原産資格割合は 60%以上の場合 <乗用車(HS870324)の品目別規則> 原産資格割合が 60%以上であること(第 8703 項の産品への関税分類の変更を必要 としない)

(21)

25

<VAルールに関する確認方法>

VA ルールにより原産性を確認するためには、①控除方式、②積み上げ方式、③非材料費 からのアプローチのいずれかで原産資格割合を計算します。 ※輸出産品の材料について、日本で調達しただけでは原産材料とは言えません。その材料 が当該 EPA の特定原産品として証明できるものが原産材料となります。つまり、その 材料自身も特定原産品として EPA 相手国に輸出できるものが原産材料です。 VA ルールの確認方法の例(以下のような表を作成、チェックしてください) ※判定依頼時の手持ち資料:判定依頼者が生産者でない場合、同様の資料を生産者から受 領してください。 ※上記資料を含む保存すべき資料については、経済産業省「原産性を判断するための基本的考え方と整えるべ き保存書類の例示」を参照。 ※上記例の HS8471.30 の原産資格割合(閾値:付加価値基準)は、40%以上 ①控除方式:(輸出産品の価額-非原産材料の合計価額)/輸出産品の価額 ②積み上げ方式:原産材料と非材料費の合計価額/輸出産品の価額 ③非材料費からのアプローチ:(輸出産品の価額-材料費合計価額)/輸出産品の価額 ①控除方式:(輸出産品の価額-非原産材料の合計価額)/輸出産品の価額 (200,000 円-30,000 円)/200,000 円=85% (閾値 40%以上) ( ① - ②+③ )/① ②積み上げ方式:原産材料と非材料費の合計価額/輸出産品の価額 170,000 円/200,000 円=85% (閾値 40%以上) ④+⑤+⑥+⑦/① ③非材料費からのアプローチ:(輸出産品の価額-材料費合計価額)/輸出産品の価額 (200,000 円-100,000 円)/200,000 円=50% (閾値 40%以上) ( ① - ②+③+④+⑤+⑥ )/① 閾値のギリギリで判定依頼すると、当該産品の輸出時に原産性を逸している場合 がありますので、ご注意ください。その場合は、判定の取り直しになります。 【協定名】日インドネシア協定 平成   年   月   日 【対象産品】 生産国:日本、製造場所:●●工場 判定依頼者       印 【適用した原産地規則】 付加価値基準:VA 原材料等の構成 (HSコードの記載は原則不要) (HSコード) 部品名 原産/非原産 単価 原産情報 価額情報 (8542.21)半導体メモリー 原産(インドネシア) ¥20,000 ④特恵COあり 累積利用、締約国発給特恵COあり (8471.70)ハードディスク 原産(日本) ¥20,000⑤サプライヤー証明書(○○㈱▲▲工場)付加価値基準80% (8471.60)液晶画面 原産(日本) ¥30,000⑥サプライヤー証明書(○○㈱△△工場)在庫出庫記録、取引契約書、請求書 原産材料価格合計 ¥70,000

(8542.21)Electronic intergradecircuits (CPU) 非原産 ¥20,000 ② 台湾から輸入、インボイスあり

(8470.30)calculating device 非原産 ¥10,000 ③ 単価算出のワークシート、数字を裏付ける台帳・伝票、購入インボイス、在庫出庫記録 非原産材料価格合計 ¥30,000 生産コスト・経費 - ¥40,000 製造原価明細 - ¥30,000 製造原価明細 - ¥30,000 製造原価明細、国内輸送取引明細、通関業者取引明細等 非材料費合計 ¥100,000⑦ - ¥200,000① 取引契約書、インボイスの写し, 工場出荷記録等 外国為替レート US$1 = ¥90 $2,222 利益 輸送コスト・チャージ FOB価格 協定上のVA計算式には原産材 料の価額は出てこないのでこ の方式である限り単価の立証 は不要。但し、日本または EPA相手国原産材料が輸出製 品の製造に使用されているこ とを示す証拠が必要。 協定に基づく原産資格割合を 満たしていることが条件。 例:原産材料の合計価額は輸 出産品のFOB価額の40%以 上 HSコード 産品名 FOB価格(出荷価格) FOB価格(円換算) 付加価値 非原産材料価格 原産資格割合 閾値 8471.30 Portable digital automatic data processing machine (personal computer) $2,222 ¥200,000 ¥170,000 ¥30,000 85% 40%

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26 ・VAルールに基づき原産資格割合を計算する場合、自社で、産品毎に前ページのような表 を作成(例:総部品表や原価管理表などを代用)し、利用する経済連携協定、輸出産品の 情報(6桁のHS番号、産品名(英語)、取引価額等)を記載するとともに、生産に用い た原産材料の情報(6桁のHS番号、産品名(英語)、取引先、取引価額等)、原産・非原 産の区別、原産・非原産の判断に用いた基準(確認方法等)を整理した上で、EPAに定 める閾値を超えているかどうかチェックしてください。 産品や原材料に関する価格情報、非原産材料を輸入した場合は、その非原産材料に関する 輸入時のインボイス、および原産性を確認した際に用いた計算過程や結果などは、原産品判 定や発給申請の際に日本商工会議所に対してご提出いただく場合があります。 また、輸入相手国での通関時に輸入国の税関当局から当該産品の原産性の確認が日本政府 に要請された場合は、これらの書類の提出が求められたり、必要に応じて、実地確認を求め られることもありますので適切に保存しておいてください。 <留意事項> ①VAルールに基づく原産資格割合の計算において、輸出産品の取引価格は、原則として、 その産品の輸出における「FOB価格」(日スイス協定は「工場渡し価格」)を用います。 また、産品の生産に用いられる非原産材料の価格は、非原産材料は通常輸入されるケース が多いため、原則として、非原産材料の輸入における「CIF価格」を用いることとなっ ています。しかし、非原産材料を国内から仕入れたためその非原産材料のCIF価格が分 からない場合は、納入先との間の取引価格で代用しても差し支えありません。 ②原産資格割合を計算する場合に用いる価格(原価)は、輸出産品の生産に用いられる原材 料や費用の実際の価格(実際原価)を用いることがより正確であり望ましいと考えますが、 製品の特性上、部品の種類や数が膨大、原材料の価格変動が大きい、あるいは、製品自体 の価格変動が大きい、といった理由により、輸出される産品の付加価値基準を計算するに 際し実際原価を用いることが困難である場合は、自社が採用する会計基準に基づき作成す る標準原価や予定原価を用いても構いません。ただし、この場合、自社が採用する会計基 準に基づき定期的に実際の発生額との間の差異をチェックし、EPAに定められた閾値を 常に超えていることを確認してください。 ③原産資格割合がEPAに定められる閾値を超えていれば原産品ということになりますが、 閾値ギリギリで原産資格割合を超えている場合は、一部の原材料について取引先が国内か ら海外にシフトしたり、価格が大きく変動したりすると、閾値を下回る可能性があります。 閾値を超えなくなった場合には原産品ではなくなりますので、このような場合は速やかに 日本商工会議所に原産品判定の取消しを申し出てください。そのため、原産資格割合の算 定に一定期間の平均値を用いるのではなく、閾値ギリギリにならないよう基準値プラス1 0%~20%の社内基準を設けたり、閾値を常に超えているか定期的に(毎月等)確認し たりする等、原産資格割合の管理を行っている企業もあります。

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27

<VA ルールに関する考え方>

※産品や原材料に関する価格情報、非原産材料を輸入した場合にはその非原産材料に関 する輸入時のインボイス、および原産性を確認した際に用いた計算過程や結果などは、 原産品判定や発給申請の際に日本商工会議所に対してご提出いただく場合があります。 ※輸入相手国での通関時に輸入国の税関当局から当該産品の原産性の確認が日本政府に 要請された場合には、これらの書類の提出が求めたり、必要に応じて、実地確認を求め られることもありますので、適切に保存しておいてください。

①控除方式(産品の価格から非原産材料の価格を差し引く方法)

締約国内における生産・加工等に伴い形成された付加価値を価額換算し、その付加価値 が一定の閾値を超えた場合、その産品に原産資格が付与されます。 FOB - VNM QVC(%) = × 100 FOB ※QVC(又はRVC): 原産資格割合(締約国における付加価値) FOB: 産品の取引価額(本船渡し価額) ※日スイス協定では、工場渡し価格 VNM: 非原産材料(第三国からの輸入部品等)の合計価額 ※QVC の閾値(最低ライン)は40%が多い。ただし、協定や品目によって異なるので 注意が必要です。 ※非原産材料の価格は、非原産材料は通常輸入されるケースが多いため、原則として、 非原産材料の輸入における「CIF価格」を用いることとなっています。非原産材料を 国内から仕入れたため、その非原産材料のCIF価格が分からない場合、納入先との間 の取引価格で代用しても差し支えありません。 ※原産材料の価格は、EPAに定められた原産資格割合(例:40%以上)を超えるまで 計算すれば十分であり、必ずしも全ての原産材料の価格を把握する必要はありません。 ※日スイス協定では、VNM が工場渡し価格の何%を超えないという基準となっています。 VNM60%は、非原産材料価額が工場渡し価額の 60%以下ということになります。 原産材料か非原産材料か分からない場合は、非原産材料としてカウントしてください。 ※原産材料とは、その材料自体を輸出しても、当該協定の基準を満たす「特定原産品」 となるものであり、材料の原産性を確認できる書類が揃っていることが条件となりま す。例えば、EPAの基準を満たすことを確認した資料等で裏付のとれているものが 原産材料となります。裏付資料のないものは、全て非原産材料の扱いとなります。

(24)

28

②積み上げ方式(原産材料や生産コストの価格を積み上げる方法)

FOB価額に対する原産材料費の割合が、品目別規則で定められた原産資格割合(40% のケースが多い、ただし、日チリ協定の場合の積み上げ方式による閾値は30%)以上とな るまで、原産材料や生産コストを積み上げる方式によっても計算できます。企業においては、 最終生産品の名称、価格(FOB価格または取引価格)、原産材料の名称、価格を調べ、原 産材料の価格や生産コストが原産資格割合を超えるまで積み上げてください。 ※原産資格割合は、当該産品の輸出時に基準をクリアしている必要がありますので(クリア していない場合は原産地虚偽となりますので)、閾値 40%の場合、相当程度上回る水準 まで積み上げてください。例)50%、60%など ※日スイス協定における VNM60%(非原産材料割合 60%以下)の場合、原産材料割合 が 40%を上回ると読み替えて、40%以上になるように原産材料を積み上げてください。

③非材料費からのアプローチ(材料費以外の付加価値の部分で計算する方法)

原産材料、非原産材料の価格(材料費)を除いた経費や利益等(非材料費)の部分で計算 する方式によっても原産資格割合を計算することができます。これは、最終生産品に投じた 原材料費以外の経費や利益等をその産品に対する付加価値と見なし、この付加価値が産品の 価格(FOB価格又は取引価格)に対して品目別規則で定められた原産資格割合(例:40%) 以上となっているかを確認する方式です。(非材料費からのアプローチの例①)。 この付加価値部分のみで原産資格割合(例:40%)を超えない場合、原産材料の価格を 調べて原産資格割合を超えるまで追加できます。(非材料費からのアプローチの例②)。 我が国で全く生産(製造、組立、加工等)が行われていない、あるいは、協定で定める 原産資格を与えることとならない作業しか行われていない場合、原産品となりません。

非材料費からのアプローチの例①

輸出される産品のFOB価格から、材料費(原産材料および非原産材料)を引いた残りの 部分(非材料費部分)、すなわち、その産品の生産に係る経費や利益等が協定で定めた閾値 (例:40%)を超える場合。

非材料費からのアプローチの例②

上記の計算をした結果、非材料費の部分では閾値(例:40%)を超えられない場合、原 産材料の価額を足りない分だけ加える場合。 閾値 ( 40%以上の場合) FOB価格 材料費 非原産材料 非材料費 (FOB-材料費)/FOB=30% 原産材料 10% 閾値 ( 40%以上の場合) FOB価格 材料費 非原産材料 非材料費 (FOB-材料費)/FOB=30% 原産材料 10% ※材料費を除いた部分が 40%以上あれば、原産品となりますが、 40%に届かない場合、材料費の原産材料部分から不足する分 を加える方法。加えた原産材料は裏付となる資料が必要です。 FOB価格 閾値 ( 40%以上の場合) 材料費 原産材料 非原産材料 非材料費 (FOB-材料費)/FOB>40% 原産性有り FOB価格 閾値 ( 40%以上の場合) 材料費 原産材料 非原産材料 非材料費 (FOB-材料費)/FOB>40% 原産性有り ※材料費を除いた部分が 40%以上あれば、原産品

(25)

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<VAルールにおける救済規定>

※救済規程についてご不明な点は判定事務所にご連絡ください。

(1)累積(Accumulation)

最終生産品の生産過程でEPAの締約相手国の原産品を材料として使用した場合、 この原産品を我が国の原産材料とみなすことができます。これを「累積」と言います。 『相手国で作ったモノは、自国で作ったモノ』とみなす考え方 (「モノ」の累積 ) (例)日タイ協定の場合 タイ 日本 タイの 原産材料R 原産材料R 日本原産とみなす =累積 産品A 協定を満たし 日本国内で 完全に生産 輸出 日タイ協定に 基づく原産品 ※日アセアン協定の累積に関しての留意事項は 32 ページを参照ください。

(2)代替性のある産品および材料

在庫において、原産地は異なるものの、その特性においては全く同質の産品や原材料が 混在して保管されるような場合、それらを物理的に区別して原産品であるかどうかを確認 するのは極めて困難です。例えば、加工食品に用いられる小麦や機械類等の生産に用いら れるボルト・ナットの類です。こうした産品や材料は見かけ上の区別がないため、協定上、 「代替性のある産品または材料(FGM)」(日スイス協定では、会計の分離)と言います。 このような代替性のある産品や材料の原産性を判断するためには、物理的に確認をする のではなく、一般的に認められている会計原則に基づく在庫管理方式(例:先入れ先出し 方式、後入れ先出し方式、平均方式)に従って決定することが認められています。 ※日ベトナム協定および日アセアン協定では、当該規定は「同一の又は交換可能な材料」 と言います。

(3)ロールアップ

最終生産品を生産する過程において日本で生産された原産材料(下図の部品B)である 材料を使用した場合、その材料を製造する過程で第三国から輸入された非原産材料を用い ていたとしても、最終生産品についての原産資格割合を計算するに当たっては、その材料 に含まれる非原産材料(同部品A)の価格は考慮しなくてもよく、その材料の価格全体を 原産材料の価格として取り扱っても構いません。 ロールアップの例 A 国(第三国) 日 本 実質的な変更 部品B ($300) 最終生産品 ($1000) 原産材料 部品A ($100) 部品C ($100) 原産材料 非原産材料 締約国へ輸出 締 約 国 部品D ($300) 非原産材料 原 産 品 $1000 $1000 -$300 最終生産品のQVC = ×100=70% 最終生産品 ($1000) 原産材料 原産材料 部品D ($300) 非原産材料 ※部品Bに用いられた部品A(非原産材料)の価格は考慮しません。

参照

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