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第5章 日越経済関係 図表 5-2 日本の対ベトナム輸出入の推移 億ドル 160 輸入 147 輸出

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(1)

ベトナムの投資環境

日越経済関係

第5章

日越の経済関係と貿易の概要

1.

日越両国間の経済交流は、1973 年 9 月 21 日に両国間で外交関係が成立して以来、拡大を続け てきた。公的部門では、日本は多くの経済協力を行っている。ベトナム軍のカンボジア侵攻に伴 い 1979 年度以降は対越経済協力を停止していたが、1992 年再開しており、日本はベトナムにと っての最大の援助国となっている。日本の ODA 供与額の国別順位でもベトナムは上位に位置する。 また、民間部門では 1988 年以降、外国投資法の制定や日本からの ODA が再開されたことなど を契機に投資が増加した。1997 年のアジア通貨危機や 2009 年のリーマンショックによる影響で 投資が減少したこともあったが、近年では輸出加工拠点としてだけでなく経済成長による内需の 取り込みを狙った投資も見られ、件数ベースでは増加傾向にある。 日本との輸出入は、ともに増加傾向にある。ベトナム税関総局の統計によると、2016 年のベト ナムの対日貿易額は、輸出が 146.7 億ドル、輸入が 153.3 億ドルである。2013 年以降、中国、米 国、韓国に次いで第 4 位の貿易相手国となっている。日本は 2004 年までベトナム最大の貿易国で あったが、経済発展に伴い中国からの輸入が急増し、韓国との自由貿易協定発効により韓国から の輸入も増加したため、順位の低下を余儀なくされた。対日貿易収支では、2015 年以降若干の貿 易赤字となっているが、他の主要相手国と比較すると、輸出入額の差は小さいことがわかる(図 表 5-1、5-2)。 図表 5-1 主要貿易相手国の輸出入額(2016 年) (出所)ベトナム税関総局より作成 0 100 200 300 400 500 600 中国 米国 韓国 日本 (10億ドル) 輸出 輸入

(2)

第 5 章 日越経済関係 図表 5-2 日本の対ベトナム輸出入の推移 (出所)ベトナム統計総局、ベトナム税関総局より作成 ベトナムの対日輸出品目は、縫製品、輸送機器・同部品、機械設備、同部品、木材・木製品海 産物(冷凍エビ・イカ、練り物等)と多岐にわたる。2016 年の輸出総額は 146.7 億ドルであり、 このうち縫製品が 19.8%の 29.0 億ドルを占めている。2000 年代までは、冷凍エビ・イカなどの水 産物が首位であり、ワイヤーハーネスをはじめとする電子機器用ワイヤー・ケーブルも輸出全体 の約 1 割を占めていた。2010 年以降は、日越経済連携協定(EPA)や日・ASEAN 包括連携協定(AJCEP) を追い風に縫製品が大幅に増加している。また、ベトナムは原油輸出国でもあり、2011 年の東日 本大震災の際には対日原油輸出が急増したり、2015 年には世界的な原油安を受け原油の対日輸出 額が前年比で大幅減に見舞われるなど、原油輸出の輸出額全体への影響は大きい。 2016 年のベトナムの日本からの輸入は 150.3 億ドルであり、機械機器・同部品が 41.6 億ドルと 全体の 4 分の 1 超を占める最大の輸入品となっている。コンピュータ・電子部品(18.7%)、鉄・鉄 鋼(7.9%)、自動車部品(5.2%)などの工業用部品・製品が続くのに加えて、プラスチック、生地・ 織布なども輸入している。尚、輸入品目の構成は、時系列でみて大きく変化していない(図表 5-3 右)。 47 62 82 68 90 104 116 116 129 144 150 52 61 85 63 77 111 131 135 147 141 147 0 20 40 60 80 100 120 140 160 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 輸入 輸出 (億ドル)

(3)

ベトナムの投資環境 図表 5-3 日本の対ベトナムの貿易品目構成比(2015 年) (出所)ベトナム関税総局より作成

ベトナムにおける日系企業

2.

外務省統計(2015 年 10 月時点)をみると、邦人が現地で興した企業を含めた日系企業総数は 1,578 社であり、うち製造業が 721 社と過半数を占めている。次に、卸売・小売業が 133 社、建設 業が 88 社で続く。 これまでの大規模な投資として、2008 年の出光興産による中北部タインホア省に製油所・石油 化学コンプレックス建設(62 億ドル)や、2012 年の東急電鉄による南部ビンズン省における都市 開発(12 億ドル)、北部ハイフォンでのブリヂストンによるタイヤ工場建設(5.7 億ドル)などが 挙げられる。近年、新規投資における製造業の割合は件数・金額ともに低下しており、大型投資 が一巡した感がある。他方、中小企業やサービス業など比較的小規模な投資が増加している。 地域ごとの特徴として、北部には OA 機器や複合機器などの大手セットメーカー(キヤノン、 富士ゼロックス、ブラザー工業など)、二輪車・四輪車の大手メーカー(ヤマハ発動機、本田技研 工業、トヨタ自動車)、及びそれらのサプライヤーが多く集積している。南部には、幅広い分野の 製造業(富士通、日本電産、パナソニック)が工業団地や輸出加工区に進出し、主に輸出業を営 んでいる。また、ベトナムの内需をターゲットとする食品メーカー(味の素、エースコック、ヤ クルト本社など)、小売業(イオン、ファミリーマート)やサービス業の進出も多い。 日本商工会の会員数を見ると、北部、南部とも日系進出企業数は引き続き増加基調にある。ま た、ダナンを中心とした中部への進出も増加しており、2016 年 9 月には、ダナン商工会の会員数 が 100 社を超えたとの報道があった(図表 5-4)。 縫製品 19.8% 輸送機器・同部品 13.6% 機械設備・同部品 11.1% 水産物 7.5% 木材・木材製品 6.7% 履物 4.6% その他 37.8% 2016年 輸出 146.7億ドル 機械設備・同部品 27.7% コンピュータ電子製 品・同部品 18.7% 鉄鋼 7.9% 自動車部品 5.2% プラスチック製品 4.4% 布製品 4.2% その他 31.9% 2016年 輸入 150.3億ドル

(4)

第 5 章 日越経済関係 図表 5-4 日本商工会の会員企業数の推移 (注)各年とも 4 月 1 日時点 (出所)ベトナム日本商工会、ホーチミン日本商工会、ダナン日本商工会より作成

日・ベトナム経済連携協定

3.

日本との関係においては、2003 年 4 月、日本政府とベトナム政府は日本企業による投資促進を 目的に、「競争力強化のための投資環境改善に関する日越共同イニシアティブ」(いわゆる「日越 共同イニシアティブ」)を立ち上げ、同年 12 月に、第 1 フェーズとして 44 項目からなる投資環境 改善のための具体的な行動計画を策定した。その後、2006 年 7 月から第 2 フェーズ、2008 年 11 月から第 3 フェーズがそれぞれ始動し、2010 年末に第 3 フェーズが終了したことを受け、2011 年 には第 4 フェーズが開始された。 また、2003 年 11 月には、日越投資協定が締結された。これはベトナムに投資する日本企業に 対する最恵国待遇・内国民待遇の付与及び一連のパフォーマンス要求の廃止に同意し、日本企業 の権利の保護を約束するものである。 更に、2005 年 12 月の日越首脳会談において EPA に関する検討会合立ち上げが合意され、2007 年 1 月以降交渉が開始された。その後 2008 年 9 月に開催された日越 EPA 交渉において大筋が合 意され、2009 年 10 月に日本・ベトナム経済連携協定(JVEPA)が発効された。 日越共同イニシアティブ (1) 日越共同イニシアティブは、2003 年 4 月の小泉・カイ(当時の日越首相)会談の合意に基づき、 ベトナムの外国投資促進戦略の構築・実施、投資関連規制の見直し、投資関連政府機関の能力向 上、投資関連ソフトインフラの改善、経済インフラの開発等を目的として設置された枠組みであ る。日本側の官民とベトナム側の関係官庁が共同して行動計画を策定し、実施後の進捗評価を両 国で実施する。進捗評価は、「◎(実施済み)」、「○(予定通り)」、「△(遅延)」、「×(実施せず)」 の4段階。同イニシアティブにより、ベトナム政府は、日本の支援の下で投資関連規制の見直し、 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (社) (年) ベトナム日本商工会(北部) ホーチミン日本商工会(南部) ダナン日本商工会(中部)

(5)

ベトナムの投資環境 投資関連ソフトインフラ等の整備、物流等経済インフラの整備、成長を支える人材の育成、国有 企業改革、中小企業・民間セクターの振興などの諸改革に取り組んでいる。 第 5 フェーズまでに、441 項目の行動計画を実施しており、そのうち 367 項目が計画通りの成 果として、日本からの短期滞在ビザの免除、個人所得税の最高税率の引き下げ(50%から 40%へ)、 電源開発の民間参入促進のほか、国際間陸路輸送の 24 時間通関体制、知的財産権侵害の取締強化 及び罰則の強化、融資の貸出上限規制の緩和、PPP(官民連携)スキームの導入、通関における「事 前確認制度」の明確化などが実現した。2017 年 1 月時点で実施中の第 6 フェーズでは、昇給率や 時間外労働の柔軟化、サービス業 10 業種におけるライセンス申請の手続き明確化などに向け協議 が行われている(図表 5-5)。 図表 5-5 日越共同イニシアティブの項目と進捗評価、達成率 (出所)在越日本国大使館、JICA ウェブサイト等より作成 日越投資協定 (2) 日越投資協定(2003 年 11 月調印、2004 年 12 月発効)は、日本の投資家、投資企業保護の法的 裏付けとしての意味を持っており、本協定では、①内国民待遇および最恵国待遇の原則供与、② パフォーマンス要求(輸出義務、現地調達義務、役員の国籍制限、技術移転制限、等)の原則禁 止、を定めている。また、知的財産権の保護や紛争解決のための手続きが規定されているほか、 通信、金融、タバコ等の例外分野もこの協定に盛り込まれるなど、ベトナムへの投資促進に向け て高いレベルの内容になっているとの評価がある。本協定により、不透明とされてきたベトナム 実施期間 要求項目 進捗評価 達成率 達成された項目 第1フェーズ 2003年12月~2005 年11月 44項目 ◎○ 85% 15日以内の観光・商用短期滞在ビザ の免除、個人所得税最高税率の引き 下げ、電気料金の二重価格制廃止、 四輪車産業における現地調達義務の 廃止など 第2フェーズ 2006年7月~2007 年11月 46項目 ◎○ 94% 二輪車産業マスタープラン作成、個 人所得税申告書類の提出期限の延 長、知的財産権の法定審査期限の遵 守、電源開発への民間参入促進など 第3フェーズ 2008年11月~2010 年12月 37項目 ◎○ 81% 国際間の陸路輸送の通関の24時間 化、知的財産権侵害に対する罰則強 化及び摘発のための制度改善、融資 貸出上限規制緩和、PPPスキームの導 入など 第4フェーズ 2011年7月~2012 年11月 70項目 ◎○ 87% 外資系小売業者に対する経済的必要 性基準の運用明確化、金型の国家技 能検定制度の導入、国家銀行ウェブ サイトでの経済指標公表など 第5フェーズ 2013年7月~2014 年12月 104項目 ◎○ 78% 外国人によるサブリース事業を可能 とする不動産経営法の改正、模倣品 の水際取り締まりの強化、通関の事 前確認制度の明確化など 第6フェーズ 2016年8月~2017年末 ‐ ‐ ‐ ‐

(6)

第 5 章 日越経済関係 の投資規制運用が明確になることが期待されている。 日越経済連携協定(JVEPA) (3) 日越経済連携協定は、2008 年 12 月に調印、2009 年 10 月に発効した。ベトナムにとって初の二 国間 EPA である。物品およびサービスの自由化、投資の円滑化、人の移動、知的財産等の幅広い 分野における協力について二国間で締約した協定である。本協定の発効により、物品の貿易に関 しては最終的に 2006 年当時の貿易総額の 92%相当分の関税が撤廃される見込みである。 具体的には、日本側は輸入額の 95%を 2018 年までの 10 年間で無税化(平均関税率は 2.8%) する。加えて、ほぼすべての鉱工業製品の即時関税撤廃、農産品の 7 年間での関税撤廃などのほ か、水産品ではエビや同加工品は即時、冷凍タコなどは 5 年間でそれぞれ関税撤廃することとな っている。これにより鉱工業製品の 97%、農林水産物の 86%が特恵関税率の恩恵を受けることに なる。 同様に、ベトナム側は輸入額の 88%を 10 年間で無税化する。具体的には、電気製品ではフラ ットパネル及び DVD 部品は 2 年間、デジタルカメラは 4 年間、カラーテレビは 8 年間でそれぞれ 関税を撤廃する。農林水産品の多くの品目は即時、または 10 年間で関税を撤廃する。平均関税率 は 2018 年までに 7%へ段階的に引き下げられる。 尚、日越経済連携協定には投資に係る章は設けられていないが、日越投資協定を準用する調整 規定が盛り込まれている。人の移動分野では、日本側は IT 技術者や看護師・介護福祉士の受け入 れを約束しており、2014 年以降、日本の人材不足の解消の期待を担って毎年 138 名~180 名の看 護師・介護福祉士候補者を受け入れている。

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