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高信頼性パワーモジュール設計のための機械特性評価技術の開発

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Academic year: 2021

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高信頼性パワーモジュール設計のための機械特性評価技術の開発

[研究代表者]生津資大(工学部機械学科)

[共同研究者]中原 健,大塚拓一,若本恵佑,吉田夏弥(

ROHM 株式会社)

研究成果の概要 HV,EV や FCV の開発は近年大きく進んでおり,これに伴い,車載用パワーデバイスには高性能化ならびに高信頼 性化が求められている.従来のSi から高強度・耐熱性に優れる SiC へとデバイスチップ素材が変わりつつあり,接合 部には更なる耐熱性と機械的信頼性が求められている.デバイスの接合には元来はんだ接合が使われているが,デバ イスの高性能化に伴う高温動作にはんだが耐えることができず,代替となる接合法の開発が急務の課題である.本研 究ではAg ナノ接合に着目し,まずは単独膜での機械信頼性評価を行う技術の構築を目指した. 研究分野:ナノテクノロジ,材料工学,機能性材料 キーワード:車載用パワーデバイス,機械信頼性,Ag ナノ焼成膜,引張試験 1.研究開始当初の背景 近年,電力変換モジュールとしてのパワーデバイス開 発が盛んであるが,輸送機分野,とりわけEV/HEV に おけるIGBT パワーデバイスは,小型化・高機能化のト レンドの一途を辿っている.特に2020 年には従来の Si 素子の代替として SiC 素子の本格的な市場参入が見込 まれ,デバイスの熱設計は今後ますますシビアになる. しかしSiC 搭載の IGBT デバイスには,実装材料の高耐 熱化やデバイスパッケージの低熱抵抗化等の課題も多 い.例えば,SiC 素子は 300℃以上の高温で動作でき, システムサイズ・コスト・熱管理に対して有利だが,従 来の Si 素子向けダイアタッチ材や封止材を用いても SiC モジュールの長期高温動作を実現できない.SiC デ バイスの高速スイッチング・高耐圧・高温動作等の優れ た特性を活かす新たな実装技術が求められている. 2.研究の目的 SiC パワーモジュールに関連する材料,とくに,Ag ナノ焼成膜の機械的特性を評価し,故障を制御する設計 技術を高める.また,信頼性試験短縮化の手法を見出す ことを目的とする.これらの目的のため,愛工大生津研 究室で独自開発した薄膜用の引張試験システムを用い, 準静的引張試験ならびに疲労試験を行う. 図1 生津研独自の薄膜用引張試験システム 3.研究の方法 直径数十nm の Ag ナノ粒子からなるスラリーを引張 試験片形状の鋳型に流し込み,加圧下で高温焼成して引 張試験片を作製する.それに対して生津研独自の引張試 験システム(図1)で準静的引張試験を行い,機械物性 と試験片作製条件との相関を実験取得する.なお,ここ では準静的試験の結果は割愛し,疲労試験結果のみを掲 載する. 4.研究成果 銀焼成膜の疲労試験において疲労特性評価に向け,銀 焼成膜と引張試験専用のSi チップを貼り付けたものを 試験片とし,準静的引張試験結果をもとに評価を行った. 図2 は,疲労試験に使用した試験片と Si チップ構成 を示す.銀焼成膜は引張試験用に形状をレーザー加工し ており,試験片部の左右の凸形状は画像変位計測時のゲ 25

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図2 Ag ナノ焼成膜の引張試験片概要 図3 Ag ナノ焼成膜の SN 線図 ージマークである.銀焼成膜単体ではチャックが難しく, 本研究ではSi チップに貼り付けている.また,Si チッ プにはスプリング機構が組み込まれているため,試験片 部とSi スプリングの双方に付与された荷重から Si スプ リングのみに負荷される荷重を差し引くことで,試験片 部に作用した荷重を求める.貼り付けは光学顕微鏡を用 いて行い,試験片部の面内方向角度が1.5°以内のもの で試験を行った. 図3 に,銀焼成膜(加圧 60MPa)の疲労試験から得 られたS-N線図を示す.5点のデータ取得に成功したが, プロット間にばらつきがみられる.原因については空隙 の影響が大きく関係していると考えられるため,試験後 の破断面から空隙率を算出し,原因について現在調査中 である.また,低サイクル(103サイクル以下)と高サ イクル(106サイクル以上)のプロットをいくつか取得 する予定である. 図4 に,試験後の引張と疲労の破断面を示す.引張破 面では,全体的に脆性的な破面を示したが,拡大図から は延性破壊にみられるディンプルが全体に確認できる. 図4 破面観察結果例 一方,疲労破面において,破面左側にはディンプルのよ うな形状と,右側には粒界破壊のような形状の2 種類を 確認できる.これらの破面観察結果は,疲労破壊メカニ ズムの特定に向けた大きな手掛かりと言える. 5.本研究に関する発表

(1) K. Wakamoto, Y. Mochizuki, T. Otsuka, K. Nakahara, and T. Namazu, “Tensile Mechanical Properties of Sintered Porous Silver Films and Their Porosity Dependence”, Jpn. J. Appl. Phys., 58, SDDL08 (5 pages), 2018. DOI: 10.7567/1347-4065/ab0491. (2) K. Wakamoto, Y. Mochizuki, T. Otsuka, K. Nakahara,

and T. Namazu, “Influence of Porosity on Tensile Mechanical Properties of Sintered Porous Silver Films”, Proc. of 31th International Microprocesses

and Nanotechnology Conference, MNC2018, (Sapporo,

Nov. 2018), 15P-7-88. 26

図 2 Ag ナノ焼成膜の引張試験片概要 図 3 Ag ナノ焼成膜の SN 線図 ージマークである.銀焼成膜単体ではチャックが難しく, 本研究では Si チップに貼り付けている.また, Si チッ プにはスプリング機構が組み込まれているため,試験片 部と Si スプリングの双方に付与された荷重から Si スプ リングのみに負荷される荷重を差し引くことで,試験片 部に作用した荷重を求める.貼り付けは光学顕微鏡を用 いて行い,試験片部の面内方向角度が 1.5 °以内のもの で試験を行った. 図 3 に,銀焼成膜

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