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トランスファー,技術進歩と実質為替レート-香川大学学術情報リポジトリ

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全文

(1)

トランスファー,技術進歩と実質為替レート*

井 上 貴 照

し は じ め に 筆者は,拙稿

[

1

9

8

9

J

において,為替レートと購買力平価との関係を実物的 要因と貨幣的要因との関連に注意しながら検討し,さらに為替レートの購買力 平価からの靖離が利子率感応的な国際資本移動や為替投機によってどのような 影響を受けるのかについても分析した。小論の目的は,拙稿においては検討さ れていなかったトランスファー,貿易財の外国価格の変化と非貿易財部門と貿 易財部門における技術進歩が実質為替レートに与える効果について吟味するこ とである。 第II節において基本モデルが与えられ,第四節において小論の目的のための 比較静学を行う。 II.基本モデル われわれは,議論を単純化するために次のような小国開放経済を設定する。 その経済においては,非貿易財と貿易財とが生産され消費される。以下では非 貿易財は

N

,貿易財は

T

によって表わされる。生産要素は完全に雇用されてい ると仮定する。貨幣および債券は存在するが,民間部門は外国の貨幣を保有し ない。また貿易制限や関税,輸送費のない自由貿易を仮定する。このような経 済の均衡は長期均衡として特徴付けられ,次のような方程式体系によって表わ 叶、論の作成にあたり香川大学経済学部助手上校朱美さんに原稿をワープロで作成していた だきお礼申し上げます。小論における誤謬は,私自身の責任であることは言うまでもありま せん。 (1) この基本モデルは,井上 (1989)の第II節のモデルを基礎としている。

(2)

される。

ω

ゐ = ゐ ( 与 , tN)

ω

XT

=

XT(

2

,サ

(主~)

(3)DN-DN PI ' P

ω

Dr

=

DI(

2

,予) (5) E

=

PNDN + PrDr 附

2=ε(yf

)

i

(7) Y

=

PNXN+PrXr (8) P

=

P(PN, Pr)

側主

=

t

(

F

)

i

(10) K

=

K(i, R -Re) (11) Re

=

Re(R) 白) XN

=

DN+GN T (13) P

t

:

(Xr-Dr-Gr)+ K一 一

=

0

R U4)

M

=

L

U5) Pr

=

R P

t

:

P U6)

Q

=予京 仰) μ =

記号の意味は次の通りである。 X;(i= N, T):財 jの産出量,P;(j = N, T):財 jの価格,t;:第 j財部門 における供給関数のシフトパラメ}ター

I);(j= N

T):財jに対する需要 量, E:民間総支出額,

Y

:

:

国民所得, T:自国通貨表示の自国より外国への

(3)

-391 トランスファー,技術進歩と実質為替レート 51 トランスファー,P 一 般 物 価 水 準 利 子 率 , L::名目貨幣需要量,K: 外国通貨表示の純資本流入,R 自国通貨建て為替レート,

R h

期待された為 替レート ,G

t

C

i

= N, T)::政府によって購入される財 jの量,M:貨幣供給 量,Pi 貿易財の外国価格, Q:購買力平価,P* 外国の一般物価水準,

μ:

実質為替レート。 (1)式と (2)式は,それぞれ,非貿易財と貿易財の供給量を示している。完全雇 用を仮定しているので,各財の生産量“は,その財の相対価格と,各財の供給関 数におけるシフトパラメーター

(

t

i

)

に依存している。 (3)式と (4)式とは,それぞ れ,非貿易財と貿易財に対する需要量を示し,その需要関数は

2

つの財の価格 と民間総支出額に依存すると仮定されているが,ゼロ次同次性より

2

つの財の 相対価格と民間の実質支出に依存している。

(

5

)

式は民間総支出額の定義式であ る。

(

6

)

式は民間の実質支出を示している。民間総支出額は,国民所得から自国 より外国へのトランスファーを引いた可処分所得と利子率に依存しているが可 処分所得に関して

1

次同次であると仮定しているので,その関数は実質可処分 所得と利子率に依存する。(7)式は,国民所得の定義式である。 (8)式は,一般物 価水準を定義している。 (9)式は実質貨幣需要を示し,その関数は,実質支出関 数と同様に,実質所得と利子率に依存すると仮定する。仰)1,

ω

式は,

N

i

e

h

a

n

s

型 の資本収支を表わしている。(10)式は,資本収支が利子率および為替レートと期 待された為替レートとの差に依存していると仮定されている。(11)式では,期待 された為替レートが現実の為替レートに依存すると仮定されている。ここで資 'T I=n=l' ') -r}"l. T 7 _

8K

本収支について説明しておこう。利子率九関しては,

K

=

v

a

i

>

0

と仮定す る。また,資本収支は為替レートにも依存している。もしR

>

Reならば,将

K 来為替レートが増価するだろうと予想され資本が流入するので ()(R-R":1fT ) n吉e) て

O

である。また期待為替レートは現実の為替レートほど変化しないと仮定する

'K ()K d(R-R

つ ふ

の で 夜 <

1

となるので,

K

R

=百 万 = 布 士 子 了 心 強

i ム

>0

となる。 ( 12)式は非貿易財市場の需給均衡を示し, (13)式は,国収支の均衡を表わしている。

(4)

左辺の第1項は貿易収支を示し,第2項は資本収支を表わしている。

ω

式は, 貨幣市場の均衡を表わしている。 (1日式は一物一価の法則を表わし, (16)式は購買 力平価の定義式であり,そして(17)式は,実質為替レートを定義している。

μ>

(<)

1

のとき,あるいはμが上昇(低下)するとき,為替レートは購買力平価に 対して過小(過大)評価されており, μ = 1あるいはμが一定のときは,購買 力平価説が成立する。 (l)~(17)式からなる方程式体系の中で(3)(4)(5)式のうち 1 つは独立ではないので 独立な方程式の数は16個である。外生変数(GN,Gl,

M

T

P

,f:

P

*

)

が与え られると, 16個の未知数(XN,X1, DN, Dl,

E

Y

L

K

, PN, P1, P,

i

R

, ReQ,

μ

)

が決定される。 (1), (2)式を全微分すると, ( 18)

X

N = eN(PN -Pl)

+

πN ( 19) X1 = el(P1-PN

)+

πT となる。ただし,変数上のハット(^ )は,その変数の変化率を示す

(eg

XN

'Xi

=写

ι)

。の

(

j

= N, T)は財 jの供給の価格弾力性を示し

e

j

_.1.

ケ官て(i

~N

X0

言)

( a

x

中 j;

i

i

= N,のである。また

π

'

i

¥

=玄詰め)(j

= N, T)は第 j財部門に おける供給関数におけるシフトパラメーターの変化による財

i

の生産量の変化

D'f, 一(PN/Pl)òD~.D'i=

一 一 副 P - DrO(PN/Pr)' ι Dt(./= N, T)は財 jに対する需要の代替弾力性であり ,D

f

!

.

j = N, T)は

(5)

-393ー トランスファー,技術進歩と実質為替レート 53 その支出弾力性である。D品 <0および1

>

Dk

>

0 (j=

N

T)

と仮定する。す なわち,非貿易財の相対価格の上昇は,非貿易(貿易)財に対する需要を減少 (増加)させ,実質支出の増加は,両財に対する需要を増加させるが実質支出 が増加するほどそれを増加させない。 (6)式を,初期均衡点において

T

= 0と仮定することにより全微分すると (22)式 になる。 dT (22)

E

-P

= ~K

y

-

u

y

-

P

)

+

e

i

Ya

ε

ia

ε

ただし,

~~=

E

a

(

Y

!

P

了および

e=

夜 間 百 。 ~~は実質支出の実質所得弾力性であり,計は実質支出の利子率弾力性であ る。

1

>

>

0

および許

<0

と仮定する。利子率の上昇は,実質支出を減少さ せる。実質所得が増加するとき実質支出は増加するが,その増加率は実質所得 のそれより小さい。 (7)式を全微分すると, (23)

Y

=

α

'N(A+x

N)+

(

F

T

+

X7)

P;X

となる。ただし,めは国民所得Yfこ占める財 jの比率を示す

(

α

(j

=

N

T))

P

を次のように定義する0

(

2

4

)

F

=

α

'N

FN+

α7

F

7

( 24)式は,一般物価水準の変化率は,非貿易財の価格の変化率と貿易財の価格 の変化率の加重平均であることを示している。初期均衡点において

G

;

=

o

U

=

PD

N, T)と貿易収支の均衡を仮定するので,め=~

E

j (j = N, T)となりウエ イトは,民間支出における各財の比率を示している。 側式と (24)式より, (25)式を得る。

(

2

5

)

Y

-

F

=

S(FN-F7)+

π,

ただし ,

S

α

'

N

e

N

αT

e

r

π=αNπ

'N

y

針。

π

は,経済全体における平均技術

(6)

54 第62巻 第4号 -394-進歩率を示している。 (25)式は, S

>

O(

<

0)ならば,すなわち非貿易財の供給が 貿易財の供給より相対的に弾力的(非弾力的)ならば,非貿易財の相対価格の 上昇は実質所得を上昇(減少)させることを示しており,また非貿易財の相対 価格が一定のときには,経済全体における平均的な技術進歩によって実質所得 が上昇することを示している。

5)式を(22)式に代入すると,

dT

(

2

6

)

E-P

=

S(?N-?1)+

π--y}+Efi

となる。

0),(2D式は,仰:), (19), (:泣:),側, (:お)および(26)式を用いることにより,それぞれ, (27), (28)式となる。 n fj ¥ I n N p.

E

EdT

(27) DN

=

(Dt!

+

Dlj~IfS)(?N -?1)

+

D'Uf

i

-

Dlj~}!!-γ + Dlj~If7r n fi ¥ I 7>1 FE:: 7>1 FE

dT

(28) D1 = (DJ,十 D~~íS)(?N-Pτ )+D1Çli-D~~íUy +DU

π 貨幣市場の需給均衡条件を(9),帥, (25)式に注意して全微分すると(29)式を得るo (29) M = (

α

N+

S)PN+(

α

T

ーごもS)P1

十計

i

+

~1r7r, Yot , ~T iOt ただし,許 =

L

o

(

F

and計=て

L

!

P

[0 許は実質貨幣需要の実質所得弾力性であり,許は実質貨幣需要の利子率弾 力性である。

1

> 許

>0

および出

<0

であると仮定する。すなわち,実質所得 の増加は実質貨幣需要を増加させるが,後者の増加率は前者の増加率より小さ い。利子率の上昇は,実質貨幣需要を減少させる。 仰)式より (30)式を得る。

ω

i

=

i

l

[

(

的+お)品

+(αT

ー が ) 的

π-

l

¥

I

I

]

= /NPN

+/

1P1

+/"

・π-/MM

ただし /N 昔助(同格), /1 =三十

ω

(1ーが), /π=

_

.

/M = 去 , た だ し , 内+/1=向。

(7)

-395- トランスファー,技術進歩と実質為替レート 55 偏微係数についての仮定より ,YN三塁 0,Yr妻0,y"ミOそして YM

>

0とな るo(30)式は,もし

S

>

(<)0

ならば,非貿易財(貿易財)の価格の上昇は,貿 易財(非貿易財)の価格が一定であり平均的技術進歩がなく貨幣供給量が一定 ならば,利子率を上昇させ,また非貿易財価格と貿易財価格とが一定ならば, 経済全体における平均的な技術進歩は利子率を上昇させ,貨幣供給量の増加は 利子率を減少させることを示している。 (30)式を町), (28)式に代入すると次の倒, (32)式が得られる。 (3]) IJN=

(D!f,+Dlj~~S+Dlj~fYN)PN 一 (D~+ Dlj~~S-

DljeYr )Pr 反

dT

n NF-F. lIA +Dlj~fQπ -Dlj~十y--D2577MM (32) IJr=

(一 DJ,+D'i~予S+DUfrN)P

N

一(一 DJ,十 DU予S-DUfYr)Pr

"dT

n 7F-F. iA 十 Dk~予Qπ -DU十y一一 D1~fYMM F-E

ユE ただし,

Q

=

1

一主語

~}~r

E

0 非貿易財の市場均衡条件(12)式と国際収支の均衡式制式は, (15), (18),倒)1,(3]), (32)式に注意すると,

ω

式のように表わされる。ただし ,G;(j= N, T)およびM は一定であり,初期均衡点において貿易収支の均衡

(X

r= Dr)および T=

0

を仮定する。(2) (33) A X = B ただし, Df-eN十Dlj,

f

S

+

DljeYN -[D

-

f

!

eN

+

Dlj~}S -Dlj~frr ]

Pt(er 一 DJ,+D'i~予S) -Pt(er-D

J

+DU

S)

一 一 A N

γ '

、 、 、 ‘ ,

t J ' 一 E e z 兵 片 ﹄ 3 q e a u - M

D

* T

P

低 一

L

j

j

/ 寸 ¥ { D U { R 一 一

X

/帥'l<

ーへ

RK

R

-

¥

PtDUf)yrー す 「 (2) Gj(j= N, T)および Mの変化の効果については,井上 (1989) 参照。

(8)

56 第62巻 第4号 -396-EdT D~~V'ý +(Dlj+D~~t8-D~~fYr-eN)PI 十 (1 一 α'ND~~お2)YN 一 αrDU予Q7[r 一 一

B

7(1-d

)dT+{PI(er-D'f,+D腕 )

(

-p

+{月(

1

一 叫 抑 ) + 事 } ゎ

行列式

I

A

I

の符号は,関数の偏微係数の符号についての仮定からは決定され ないので,比較静学を行うために経済体系の安定条件を求めることにする。経 済の動学体系は, f主'N εN[DN+CN-XN] ( 34)

止=中

I(Dr

+

Cr -Xr

)

-

K

1

0=

t

(

i

)

-

であると仮定する。ただし,変数上のドット (・)は,時聞に関する微分を示 す

(e.g

ト 舎 ) 。 ε

i

U

= N, T)師 場1の調整速度を表わし正であると仮 定する。 動学体系(34)は,財

i

(j

=

N, T)の市場における超過需要(供給)により財 j の価格は上昇(低下)し,貨幣市場は常に均衡していると仮定している。その 体系が初期均衡点において局所的に安定であるためには,行列式

I

A

I

の符号が 正であることが必要である。以下において,われわれは,

I

A

I

の符号が正であ ると仮定して比較静学を行う。

(9)

-397- トランスファー,技術進歩と実質為替レート 57 III.代替的な外生的撹乱と実質為替レート この節では,代替的な外生的撹乱が,どのような条件において為替レートの 購買力平価からの講離にどのような効果をもつかの検討を行う。 外国の非貿易財価格が一定であり外国の一般物価水準の変化率も帥式と同様 であるとすると実質為替レートの変化率は,肌式より, (35)ρ=α'N(R-PN)+(αN 一 αMP1= α'N(P1-A) 一 α~Pl となる。 (35)式によれば,外国の貿易財価格が一定ならば,為替レートの自国の 非貿易財の価格に対する比あるいは,自国の貿易財の相対価格の上昇は実質為 替レートを上昇させ,為替レートの自国の非貿易財の価格に対する比が一定の とき外国の貿易財価格の上昇は,もし助>(<)a}Jならば,実質為替レートを 上昇させる。また,自国の貿易財の相対価格が一定のときは,外国の貿易財価 格の上昇によって実質為替レートは低下する。実質為替レートの上昇(低下) は,為替レートの購買力平価に対する過少(過大)評価を意味する。 (32), (35)式から,外生変数の変化が為替レートと実質為替レートに与える効果 を分析できる。

[

1

]

自国より外国へのトランスファーの変化の効果 自国より外国へのトランスファーが非貿易財価格,為替レートおよび実質為 替レートに与える効果は,制,似),制式によって与えられる。 PN _ -1

r

Dlj~t ( n*f~_

1 1>1 p.E 0¥ , iKi _. , R KR

i

(36)

ヨ ナ = 官

t

l

i /

y

Y

l

P1(e1-D

J

-

DI~tS)+万円+ヲ:K

J

+

7{(1ー

ω

)(D

f

!

一 財 政 指)-D

1

J

R _ -1

r

Dlj~tr n*f~

1'1>1p.E0¥ (iKi n*n1p.E¥

( 却 万 =

I

A

.

1

l

1

U~p

{P1(e1-D

J

+

DUtS)

一得

-p

倒的

YN

+

(

1

-

a1DI~f:)(D~十D防S+ 叫んN ー向)J

Q =_~_JfD立ir iKi _ D'l'nIe:E¥__l_

(10)

+D~王立K

R

1

J

>

/

0 信 一

1

ー >

~

V ~ dT / dT (36), (37)式が示すように,自国より外国へのトランスファーの変化が非貿易財 価格および為替レートに与える効果は明らかではないが, (38)式は,その増大に よって実質為替レートが減価することを示している。つまり,自国より外国へ のトランスファーの増大によって為替レートは購買力平価に対して過小評価さ れることになる。自国より他国へのトランスファーは実質可処分所得を減少さ せるので2つの財に対する需要が減少し非貿易財価格の低下と為替レートの増 価をもたらす効果をもっ。他方,この

2

つの価格の低下は利子率を減少させる 効果をもつので

2

つの財に対する需要を増加させる効果をもっ。したがって非 貿易財価格と為替レートとがどのように変化するのかは不明確となる。実質為 替レートの減価については,次のように考える。いま自国より外国へのトラン スファーによって財の相対価格は変化しないが,国民所得に対するトランス ファーの額だけ非貿易財価格の低下と為替レートの増価が生じるとしよう。す v目 dT ;:; ;:; ;:; ると(幼式に注意すると次のような式か侍られる。 u,

y

= -PN = -R = -P。 このとき与えられた為替レートのもとでの国際収支は, (1~W ~7 d iK¥ I ~7~" Y ¥) dT 側

l

¥

P

t

D

Uf

一安

)

r

日 日 誠 一 五 五

)Jγ

となる。

1>

D-E

>

0

1

>

~予 >0 であるので1

>

DI~予>

0

,また

Y

>

P

r

X

r

より

D

的<長

7

と な る 。 し た が っ て , 倒 脚 { }内の符号は負となるの dT

---y一九

=

-R

=-P

ならば,自国より外国へのトランスファーに よって国際収支は赤字になる。この国際収支の赤字により為替レートが減価す るので,そのトランスファーによって実質為替レートは減価する。 次に国際資本移動と為替レートの購買力平価からの霜離との関係について は, (38)式の左側の式を

K

i

に関して偏微分すると,

側記長)=特時t[議7{(GN-D幻(1一 α1DI~}) 叫部}

(11)

-399- トランスファー,技術進歩と実質為替レート 59 D信号(~"'/ •

Y

N

R

K

R

1

1

ーと子

i

p

:

t

(

er一

D

J

)

附 今 門 │

となり,附式の右辺の符号は不確定となる。自国から外国へのトランスファー の増大によって非貿易財価格と為替レートの変動が不確定となるので実質貨幣 需要の変化が不明確となる。それゆえ,利子率の変動についても明確でなくな るので利子率感応的な国際資本移動が実質為替レートに与える効果は不明確と なる。 次に側式の左側の式の右辺を

K

Rで偏微分すると,

ω

s

g

n

去(長

) Z 1 4

となる。もし自国から外国へのトランスファーの増大によって為替レートが減 価(増価)するならば,投機的資本が流入(流出)するので為替投機の増大は, そのトランスファーの増大によって生じる為替レートの購買力平価に対する過 小評価を縮小(拡大)させる。 [ 2 ] 貿易財の外国価格の変化の効果 貿易財の外国価格の上昇が,非貿易財価格,為替レート,貿易財の自国価格 および実質為替レートに与える効果は,倒 仰)式によって与えられる。 PN _ -

RK

R

r

n N _ I nN(

t

;

1

.

_

I "'EC'r1 ¥

l

ω) 予~

=

I

A

'

i

'

xrlDit-eN+D

共和+柳川

f

?

RK

R

r

n N _ I nN(

t

;

7

¥

1

ω) 予「 -1 一首T玄lDít-eN+D%~ 一言的十 t;tS.Q)

J

>

-1

if S.Q

<0

ω

よ = 品

P

i

I

P

t

:

(er-D

,)D%

J

;

t

1

-

(

D

i

t

一向)(

P:tD~t;1-糾

い吐IL ¥ A r /

+D

附委]

<

0

if

S

<

0

倒 立

=1+

よ >

0

if

S

.Q

<

0

:

t

P

t

:

側 主

<1

if

S<O

P

t

:

(12)

仰)

ーム一一助

T

t一

:

RKRD

IAIX

'

U

hM T α,

t>

一α主 倒式は,為替投機が存在するかぎり,貿易財の外国価格の変化は非貿易財 価格に何らかの効果をもつが,その効果は不明確であることを示している。倒 式は,為替投機が存在するかぎり,

5

.Qく

O

ならば,為替レートは,貿易財の外 国価格の上昇率ほど増価しないことを示し,そして凶式は,為替投機が存在す るかぎり, 5

<

0ならば,貿易財の外国価格の上昇によって為替レートが増価 することを示してい

2

。附式民側式に注意すると,

5

.Qく

O

ならば,為替投機 が存在するかぎり,貿易財の外国価格の上昇は,自国の貿易財価格を上昇させ ることを示しているが,側式によれば,為替投機が存在し

5

<

0

ならば,自国 の貿易財価格の上昇率は外国の貿易財価格の上昇率より小さいことを示してい る。もし為替投機がない場合には,貿易財の外国価格が上昇すると与えられた 為替レートのもとでは貿易財の供給が増加する。いま

5<0

とすると貿易財の 供給が相対的に弾力的であるので実質所得が上昇するが, .Q

>

0より実質貨幣 需要は民間実質総支出より利子率に関して相対的に弾力的であるので利子率の 上昇は比較的に小さい。 したがって資本流入はあまり大きくはない。また民間 実質総支出は,実質所得に関して相対的に弾力的であるので利子率が上昇した としても実質総支出が増加し貿易財に対する需要を上昇させるが,貿易財の限 界支出性向は

1

より小さいので,貿易財の外国価格の上昇によって,貿易収支 の黒字と資本収支の黒字より国際収支は黒字になり為替レートは増価する。こ の為替レートの増価により自国の貿易財価格が元の水準に戻り新しい均衡が達 成される。為替投機がある場合には,為替レートが増価することから投機資本 の流出が生じ為替レートの増価が小さくなる。これより為替投機がある場合に は為替レートが外国の貿易財価格の上昇を相殺するほど増価しないので自国の 貿易財価格は上昇する。倒,附および陥)式より理解できるように, もし為替投 機がない場合には,貿易財の外国価格の上昇によって自国の貿易財の相対価格 (3) 為替投機がない場合には,制式の右辺はー1になる。

(13)

-401- トランスファー,技術進歩と実質為替レート 61 は変化しないので, (35)式より実質為替レートは増価する。しかしながら,為替 レートの増価は投機的な資本を流出させるので為替レートの増価がその為替投 機によって小さくさせられる。この効果が作用するので閉式において示されて いるように為替投機がある場合には実質為替レートの増価は為替投機がない場 合よりも小さくなる。すなわち,貿易財の外国価格が上昇すると,為替投機が ない場合の為替レートの購買力平価に対する過大評価が為替投機によって小さ くなる。 次に利子率感応的な資本移動の変化と貿易財の外国価格の変化の実質為替 レートに与える効果との関係を求めるために,倒式の右辺を

K

i

で偏微分する と,

...a.(

f

1

i = aK

¥

P

1

'

α'NR'KRDlj~7rA{

i

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a

I

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I

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I A 12

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1=

(DIJ

一 目 的

5)。

5<0

側式によれば,為替投機がなければ実質為替レートは利子率感応的な資本移 動から独立である。 しかしながら為替投機がある場合には,貿易財の外国価格 の上昇によって貿易財の相対価格が上昇すると貿易財の供給が増加し,貿易財 の供給が相対的に弾力的ならば,実質所得が上昇し利子率を上昇させる効果を もっ。そこで利子率感応的な資本流入の増大は為替レートを増価させることに なる。したがって,貿易財の供給が相対的に弾力的ならば,利子率感応的な資 本移動の増大は貿易財の外国価格の上昇の実質為替レートに与える効果を小さ くする。 そして為替投機の増大が,貿易財の外国価格の変化の実質為替レートに与え る効果は,仰)式を

K

Rで偏微分すると,帥式に注意すれば,

sgR-LiJ

a

=-sgni

品 ¥

P

1

J

"'6"

P1

となる。側式が示すように,もし貿易財の外国価格の上昇によって為替レート が増価(減価)するならば投機的資本が流出(流入)して為替レートを減価(増 させる効果をもつので,外国の貿易財価格の上昇によって為替レートが増 価)

(14)

価する場合には為替レートの購買力平価に対する過大(過小)評価は小さく(大 きく)なり,また為替レートが減価するならば,為替レートの購買力平価に対 する過大(過小)評価は大きく(小さく)なる。 [ 3 ] 非貿易財部門における技術進歩の効果 各部門における技術進歩率が非貿易財価格,為替レートおよび実質為替レー トに与える効果は非常に複雑であるので分析を簡単化するために,利子率は一 定であると仮定する。そのためには,YN = Y1 η = 0および.Q= 1とおけば よしユ。 利子率が一定のときの非貿易財部門における技術進歩が非貿易財価格,為替 レートおよび実質為替レートに与える効果は, (50),倒および(52)式によって示さ れている。

側 十 拝[

(

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α

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1

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1

'

-~/,...

c

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>

0

た だ し , 利 子 率 が 一 定 で あ る と い う 仮 定 よ り ,IA

1

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1

'

c

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P

I

K

R

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IAI>

O

である。 (50)式および

ω

式は,それぞれ非貿易財部門における技術進歩は,利子率が一 定のとき,非貿易財価格および為替レートに与える効果は不明確であることを 示している。しかし, (52)式は非貿易財部門における技術進歩によって非貿易財 の相対価格が低下し実質為替レートが減価することを示している。与えられた 非貿易財の相対価格のもとで,非貿易財部門において技術進歩が生じると非貿 易財の生産量は加だけ増加するが非貿易財に対する需要は

D

'

1

c

予知だけ増加 する。

1

>

D

'

1

c

予であるので非貿易財市場は超過供給になるので非貿易財の相

(15)

-403- トランスファー,技術進歩と笑質為替レート 63 対価格は低下する。非貿易財部門における技術進歩は非貿易財の生産量を増大 させる効果と,その生産量の増大が実質所得を増大させ民間実質総支出の増大 を通じて各財に対する需要量を増大させる効果をもっ。また非貿易財の相対価 格の低下によって,各財に対する需要量とその財の供給量も変化する。このよ うな要因が各財の市場における需給に与える効果については明確なことが言え ないので, (50)式および(5])式において示されているように非貿易財部門における 技術進歩によって生じる各財の価格の変化について明確なことはいえない。 (52)式より, (53)

!

'

>手

JιN ILN となる。側式は,非貿易財部門における技術進歩は,利子率が一定の場合には, 為替レートを購買力平価に対して過小に評価させることを示している。 また, (52)式からわかるように,非貿易財部門の技術進歩が実質為替レートに 与える効果は,利子率が一定の場合には,為替投機から独立でトあることを示し ている。これは,利子率が一定の場合には非貿易財の相対価格は非貿易財市場 において決定されるので為替投機から独立になるからである。 また非貿易財部門の技術進歩が一般物価水準に与える効果は不明確であるの で,購買力平価も非貿易財部門における技術進歩によってどのように変化する のかについては不確定となる。 ところで,資本の完全移動性,すなわち,国際資本移動が利子率の変化に対 して無限に弾力的であると仮定すると,非貿易財部門における技術進歩の場合 には,

K

i

→∞とおくと, (33)式より,

(5~

lim

!

i

= α'Al 一 α'NDU予~>O

Kt叩 7rN e N -Df,-Dljc予

S

となり,これは, 側 lim

手 >

lim

K

→∞λN Kt司∞λ N を意味している。制式が示すように,資本の完全移動性の場合には非貿易財部 門における技術進歩によって生じる為替レートと購買力平価との関係は,利子

(16)

率が一定の場合と同じ結果である。

K

i

→∞の場合には,

ω

式におげる国際収支 の均衡式より di

=

0となる。つまり,利子率が一定となる。 di

=

0のとき

-Y

N

F

N

-

y

1

R

=

Y

"

π

が成立するので,資本の完全移動性の場合には各産業に おける技術進歩率によって非貿易財価格と為替レートとが利子率を一定にし国 際収支を均衡させるように変化する。 (55)式に示されているように,非貿易財産 業における技術進歩は資本の移動性が完全である場合には,為替レートを購買 力平価に対して過小に評価させる。 [ 4 ] 貿易財部門における技術進歩の効果 貿易財部門における技術進歩が,利子率が一定のとき,非貿易財価格,為替 レートおよび実質為替レートに与える効果は,それぞれ, (56), (57)および(58)式に おいて示されている。

刷会=書

r

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V

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Y;S 側および(57)式が示すように,貿易財部門における技術進歩は,利子率が一定 のときに,非貿易財価格,為替レートに与える効果は不明確であるので貿易財 部門における技術進歩の結果生じる一般物価水準の変化は不確定となる。よっ て,貿易財部門における技術進歩による購買力平価の変化も不確定となる。そ して, (58)式において示されているように貿易財部門における技術進歩は,利子 率が一定のとき,実質為替レートを増価させることを示している。さらに,貿

(4)帥および:(60)式の分母である eN-DIJ,-mç~S は,正である。惚 jtz(GN-DF

-D'iç~S)長?となるが,動抑制安定条件 IAI >0

よ い

r D,- DJI 'icfS> 0が得 られる。ただし,各部門における技術進歩率が非貿易財価格や為替レートに与える効果は 利子率が一定の場合とは異なっている。

(17)

-405ー トランスファー,技術進歩と実質為替レート 65 易財部門における技術進歩が実質為替レートに与える効果は,為替投機から独 立である。 (58)式より,

ω

手<手

d ι " 1 となる。すなわち,利子率が一定の場合には貿易財部門における技術進歩によっ て為替レートは購買力平価に対して過大評価される。 資本の完全移動性の場合には,貿易財部門における技術進歩が実質為替レー トに与える効果は,

K

i

→∞とおくと,側式より, ρ 一一 αNaTD'1t~

(

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0

)

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吋∞ 7[1 K

司∞1[1 である。側式および削)式に示されているように,貿易財部門における技術進歩 は,資本の移動性が完全である場合には,為替レートを購買力平価に対して過 大に評価させる。 以上の結論は,非貿易財部門における技術進歩の場合と同様の理由によって 得られる。 引 用 文 献 井上貿照 (1989)r国際資本移動と実質為替レートJr国民経済雑誌~ (神戸大学)第160巻第 5号(11月)pp..45-65

参照

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