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小売業におけるマルチメディア・マーケティングとマネージメントの展開方法--デジタル時代を迎えた小売業のマルチメディアへの戦略的対応---香川大学学術情報リポジトリ

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香 川 大 学 経 済 論 叢 第 70巻 第 3号 1997年12月 65-100

小売業におけるマルチメディア・マ』才ティング

とマネージメントの展開方法

デジタlレ時代を迎えた小売業のマルチメディアへの戦略的対応、

原 田

成 田 顕 彦

(2) I は じ め に デジタル社会の本格的な到来によって,社会システム,経済システム,企業 システムのみならず,生活システムのパラダイムまでが,グローパルなレベル で根本的な転換を要請されている。とりわけ,企業経営においては,成熟経済 下において企業の存続を賭けるため,マルチメディアに象徴される情報・通信 技術を活用した経営戦略やマーケティング戦略が模索されはじめている。 小売業においても,規制緩和による外資の本格的な参入,プロシューマ}化 に代表される消費者行動の変化,業種・業態を超越したシステム発想でのコー ペティーションへの対応のために,企業戦略におけるマルチメディアの導入が 強く期待されている。言い換えれば,

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世紀を直近に控えた現時点においては, マルチメディアの戦略的な導入による小売業のマーケティングとマネージメン トの革新が重要な戦略課題なのである。 そこで,本稿では,このような問題意識に立脚して小売業におけるマルチメ ディア・マーケティングとマネージメントの展開方法についての提言を1Tうこ とにした。具体的には,第1にはデジタノレ社会へ向けたマルチメディア化の進 (1) この論説は,筆者が「オフィス・オートメーション」のVoL17, No..5に出稿した「先 進小売業のマルチメディア・マーケテイング」を,同時期に出版された同友館の「デジタ 1レ流通戦略」とともに,マルチメディアの戦略的展開に発展させたものである。したがっ て,本稿の2章と3主主についてはデジタル流通戦略」からの引用が含まれている。 (2 ) 成田顕彦は,日本アイ・ビー・エム株式会社における流通・サービスマネジメント・コ ンサルテイング部門のコンサルタントである。

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-66-- 香川大学経済論叢 426 展,第2には小売業におけるマルチメディア・マーケティング戦略,第 3には エージェントのマルチメディア・マーケティングへの活用,第

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にはマネージ メント革新へのマルチメディア活用,第

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には百貨庖情報システムの革新への マルチメディア活用,についての言及である。 II デジタノレ社会へ向けたマルチメディア化の進展 1 .マルチメディアの持つ意味の睡昧さと導入の経緯 マルチメディアのマーケティングやマネージメントへの戦略的な活用を論述 するにあたって,最初にまずマルチメデ、ィアの意味と導入の経緯について触れ ておく。マルチメディアという言葉は,そもそも字句通りに受け取るならばま さにメディアをマルチにしたものであり,広辞苑(第四版)によるならば情報 を伝達するメディアの多様な状態なのである。また同時に,これはコンピュー ターによって映像,音声,文字などのメディアを複合しながら一元的に取り扱 うことでもある。このように,あえてコンピューターでという明記があるのは, 一般的には,マルチメディアという言葉が使用される場合には,単にメディア をマルチにしたことを意味するだけではなく,コンビューターなどの新しい情 報機器との関係が前提になっているからである。またさらには,情報社会の実 現へ向けた先進的な情報・通信の技術・手段の総称としても使用される場合が あるが,この場合には,とりわけ抽象的な概念としての使われ方が主流である。 しかしながら,昨今では情報のデジタル化に伴って,従来別々に取り扱われ ていた文字,音声,映像などの情報が一元的に扱えることから,ネットワーク を利用した,いつでもどこからでも情報が発信できたりアクセスできる技術を, 総括的に表現する場合が多いようである。もちろん,この様な使われ方は,我 が国における独特の用法であって,マルチメディアという言葉を誕生させた米 国では,すでにマルチメディアなどとはいわないようで,もっと具体的にたと えばディジタル技術とか,ネットワークとか言うような表現を行っている。こ のように,マルチメディアには,未だ誰もが認められる定義などは確立してい ない。しかしながら,マルチメディアという言葉が現実に多用されているのは,

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427 小売業におけるマルチメディア・マーケティングとマネージメントの展開方法 67-ー 現在進行中の情報技術による急速な変化をマルチメディア以上に適切に表現す る言葉がないからなのである。そう考えてみると,現在のマルチメディアのシ ンボリックな使われ方は,実はかつてのニューメディアの使われ方と同様のよ うでもある。 ちょうど 1980年の中頃に,電電公社の民営化に相前後するように,ニューメ ディアのブームが巻き起きたのは未だ記憶に新しい。先進的な情報・通信技術 が仕事や生活など社会システムを大きく変えると喧伝されて,産・宮・学が相 まった大規模な実験やニューサービスの発表も行われた。しかしながら,この ときのブームにおいては,ほとんど成果を出せずに消滅したという残念な結果 に終わってしまった。このように,ニューメディアブームの際にはあまりに多 くのことを約束したのにもかかわらず期待外れに終わったのだが,その反動も あってなのか,現在では一般の人々が先進的な情報・通信技術に対してはやや 懐疑的な態度を見せているのである。この様な事情があるために,かつての ニューメディアとのイメージ的な区別をするためにも,マルチメディアという 暖昧な言葉が使用されるようになってきたのである。 このように,そもそもマルチメディアという言葉そのものが暖昧なもので あって,そのためにマルチメディアの意味の把握を困難なものにしている。そ こで現時点においては,マルチメディアに対する共通の認識は,先進的な情報・ 通信技術の戦略的な活用によって産業構造や企業戦略を根本的に変革させる期 待感と理解すればよい。それでは,まったくニューメディアの時と同様という ことになるが,今回のマルチメディアの方が,ニューメディアよりもカバーす べき課題の領域が格段に広いようである。すなわち,以前のニューメディアは, 当時の先進的なシステムであるといっても,たんに従来のマスメディアの延長 線上にあるメディアにすぎなかった。一方,今日のマルチメディアは,ワンウェ イのメディアであるとかインタラクティブなメディアという従来の形態区分を 超えて,情報の記録,複製,伝達,変換を,高度にかつ効率的に実現できる文 字どおりのマルチでニューなメディアなのである(図表1)。

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-68 香川大学経済論叢 図表1 マ ル チ メ デ ィ ア を 支 え る 技 術 環 境

e

高速データ配信寸一一衛星データ放送 ドー衛星通信サービス 」ーI 地上波データ放送

え占竺S-J--マルチメディアの利用環境の整備 Oプットワークからヰットワ クへ Oバーチャルな社会でのビジヰス戦略 ネチズン革命へ 無 線 系 ・PHS 有 線 系 ・CATV、ISDN電話 OCN,インターネット

高性能磁気媒体の倒発 +DvD-ROM CD-ROMエンハストCD 2.マルチメディアの発展段階と個人生活に対する影響 428 コンピューターとネットワークを軸にしたマノレチメディアの飛躍的な発展 は,情報社会の本格的な到来を促進させている。すなわち,工業社会から情報 社会へと産業社会のパラダイムを転換させ,このため産業構造の根本的な革新 が誘発されはじめている。このような状況下において,マルチメディア社会に 相応しい企業戦略としてのマーケティングとマネ}ジメントの方向性を確認す ることがきわめて重要な課題になりつつある。また,このマルチメディア社会 とは,とかく情報・通信網の発展に伴って現出するものと考えられるが,決し てそういうものではなし社会や経済の成熟化に起因する人間の自己表現欲求 の高伸から,すなわち外側からだけではなく内側からも湧き起こることに,そ の本質があると理解すべきものである。 金子郁容によるならば,社会の情報化の本質とは人間の聞に以下のような二

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429 小売業におけるマルチメディア・マーケティングとマネージメントの展開方法 -69--点の認識が高伸していく過程なのである。すなわち第

1

には,重要な情報は一 人ひとりの内から湧き出るという認識が高伸することである。第 2には,人と 人の関係のなかで意味が生まれ価値が認められて発生するという認識が高伸す ることである。 また,犬田充によるならば,今日のマルチメディア化については,情報ビッ グパンとの関連で以下のように歴史的な理解をすべきものである。まず,最初 の情報ビッグパンとは, 15世紀のグーテンベルグ革命として知られている文字 の大量複製のための印刷術の発明であった。なかんずく情報ビッグパンは, 19 世紀の有線電信,とりわけ電話をスタートにした電気通信の進化であって,こ のことによって情報の伝達に新たな次元が切り拓かれてきた。次の情報ビッグ パンは,

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世紀におけるラジオ,テレビという大衆メディアの普及であり,こ のことによって情報の伝達はいよいよクライマックスを迎えたのであった。 そして,今回のビッグパンにおけるコンピューター,とりわげパソコンの出 現が,情報変換の機械化,自動化,外部化,個人化を現出させ,この結果今世 紀で最大とも言うべき社会的な衝撃をもたらした。そして,これらを網羅する 新たな概念として,言い換えればデジタノレ化の技術によって,文字,音声,画 像の記録,複製,伝達,変換,さらにネットワーク化などを含む統合的な概念 としてマルチメディアが登場してきた。すなわち,今世紀の終盤になって,す べての情報・通信の技術が出揃い,すべてのテクノロジーが融合化し,最後の ビッグパンを誘発したのである。 個人は,情報ビッグパンの登場によって自在に情報を受発信できるパーソナ Jレ・メディアに固まれるのだが,同時に無限に拡散する情報空間に存在するわ けである。このような状況下では,各個人は,それぞれが持っている自己表現 欲求を従来に比べて少し余分に満たせるのではなく,逆にますます自己表現へ の欲求の高伸を希求することになる。 3 • パーソナルメディアによるマーケティング戦略の転換 そもそも自己表現とは,他人に認められたいとか他人と繋がりたいという表

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7β一 香川大学経済論議. 430 明なのである。そこで人聞はず、っとこの欲求を満足させるため,メディアを使 いこなす能力,つまりメディア・リテラシーを高める努力を行ってきた。すな わち,マルチメディア社会を支えるインフラとは,このようなメディア・リテ ラシーとデジタル技術の相互触発作用によって築かれるのである。 従来から,すでにメディアのビジネス利用の方法論については多様なアプ ローチが行われてきた。すなわち,

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世紀以降の急速な産業化の進展によって, 今日の生産体制(大量生産体制)の基礎が確立し,同時に企業のメディアへの 活用目的はマーケティングP戦略へと進化してきた。マルチメディア・マーケティ ングを考える場合には,とかくインタラクティブとか,オンデマンドとか,リ アルタイムといったデジタル技術の恩恵に目が向きがちである。もちろん,こ のようなことが原動力であることは確かなのだが,同時に前述の利用者サイド の意識の進化とメディア・リテラシーの向上がマルチメディア・マーケティン グのポテンシャリティーを高めるということも強く意識する必要がある(図表

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。) 図表2 マルチメディアのマーケティング下

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用 へ の ポ テ ン シ ャ リ テ ィ プロパイダー

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コーザー デジタル技術の進化 メディアリテラシーの進化

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生産者

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431 小売業におけるマルチメディア・マーケティングとマネージメントの展開方法 71-このようにメディア・リテラシーの進化によって,マーケティング戦略にお ける生活者の捉えかたを,従来の受容や消費をする人々から情報や消費を創り 出す人々へと転換させたわけである。 最近のマーケティング研究においても,従来のマーケティング戦略モデルの 解体が叫ばれており,またニューパラダイムとして

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o

One

マーケティン グが注目されていることなどからも,このような現象は充分に理解できるはず である。ところで

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One

マーケティングの本質は,顧客をマスとしてで はなく個として捉える発想と戦略にある。この提唱者であるドン・ペパーズは 自著において,

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マーケティングについて,マス・マーケティングと 対比しながら以下のような説明を行っている。 マス・マーケティングには,一つの製品をできるだけ多くの顧客に売りつけ るプロダクトマネジャーが必要であるが,

OnetoOne

マーケティングにおいて は,一人の顧客にできるだけ多くの商品を売る顧客マネジャーが必要なのであ る。このような観点から,マス・マーケッターと

Onet

o

One

マーケッターの 差異を要約すると以下のようになる。第1には,マス・マーケッターは製品の 差別化に努めるが,

One t

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One

マーケッターは顧客の差別化に努める。第

2

に は,マス・マーケッターは絶えず、新規顧客の獲得に力を注ぐが,

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One

マー ケッターは既存の顧客から絶えず、新しいビジネスを獲得することに努める。第

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には,マス・マーケッターは規模の経済を重視するが,

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マーケツ ターは大企業よりも中小企業にとって有利と考えられる範囲の経済を重視す る。 このように,

One t

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One

マーケティングを実践するためには,顧客とのリレ イションシップが重視されてくる。たとえば,苦情の言いやすい関係,ダイヤ ローグの成立する関係,顧客の要求を聞ける関係,その上で提案を受け入れて もらえるコラボレーションが可能な関係なのである。技術的には,コンピュー ターを利用した顧客データベースの存在が,このリレイションシップを支える ための前提条件になる。そこでまた,このような関係を持続するためには,リ レーションシップ・マーケテイングという新たなマーケティング戦略が必要に

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72- 香川大学経済論叢 432 なる。このリレーションシップ・マーケティングにおける市場対応は,すべて の戦略が顧客要求の探索からスタートすることが特徴なのである。そして,顧 客との良好なリレーションシップを形成することは,ダイヤローグに基づいて サービスを含む商品の価値を顧客との間でコラボレートすることなのである。 つまり,ここにおける商品価値とは,プロパイダー(企業)とユーザー(顧客) のコラボレーションによるリレーションシップから創出される価値なのである(図 表

3

。) 嶋口充輝は,従来のマーケティングを競争型,そしてこの顧客とのリレーショ ンシップで成立するマーケティングを恋愛型と呼んでおり,リレーションシッ プ志向のマーケティングへの期待の背景について以下のような整理を行ってい る。すなわち,第

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には企業を取り巻く環境全体が複雑かつ不透明になって, そこにおいて安定的な成長を目指そうとするならば,信頼に基づく長期関係づ くりこそが最も基本的なビジネス活動なのである。第2には, 20対80の法則に 図表 3 マーケティングにおける商品の価値構造 ノ、、ードウェア (機能) ず プロパイダーがつくる価値 ユーザーがつくる価値

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433 小売業におけるマルチメディア・マーケティングとマネージメントの展開方法 -73 基づいて,安定的な20%の顧客との長期的な関係を築いて,まぐれのヒットを 狙うよりは息の長いロングセラーを求めるほうが企業成長により大きな貢献が できる。第

3

には,商品が高度化してシステム化したものが増えるにしたがっ て,メンテナンス,保証,アフターサービス,ソフトなど,顧客と継続的,か っ長期的にリレーションを持たざるをえなくなる。したがって,買い換えの促 進などが必要になる高自己関与型の商品分野においては,とりわけリレーショ ンシップへの重要性が高まってくる。第

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には,リレーションシップを構築し うるコンビューターなどの顧客データベースの利用を可能にするインフラスト ラクチャーの発達や情報技術の進展があげられる。第

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には柾会変化の速さに つれて商品のライブサイクルが短縮化して,企業は商品陳腐化の対策として顧 客との安定的な関係に基づいてモデノレチェンジや新商品の対応を行うことが, 継続的な安定成長のためには必要になってくる。第6には,近年ではサービス 商品が増大しており,その特徴は生産と消費が同時に行われ,それゆえに在庫 ができないというものである。だからこそ,顧客のニーズに合わせた受注型の 取引サービスが一般的になって,顧客との関係性の構築が大きなメリットに なってくる。第

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には,売り手と買い手の関係が暖昧になっており,

PB

商品な どではメーカーと流通が一体となって売り手になるなど業種の境界はすでに一 律ではなくなっているため,リレーション概念で捉えることによって包括的 マーケティング行動へ適切な対応が可能な場合が多いことである。 昨今注目されている顧客満足や顧客そのものへの精通を志向するカスタ マー・インティマシー,また顧客への個別対応を志向するカスタマイズド・マー ケティングやエンパワーメント・マーケティングなどについても,このような 背景の中で議論されるべき概念なのである。そして,このような状況下におい ては,マルチメディアはリレーションシップを構築しうるインフラとして,多 大な効力を発揮することが期待されているのである。また,レジス・マッケン ナの提唱するリアルタイム・マーケティングも,マルチメディアという情報基 盤によって,顧客とのリレーションシップの構築やそれに伴う企業の製品開発 や生産活動のリアルタイム化が現実化する考え方と規定することができる。

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74- 香川大学経済論叢 434

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.

情報・通信技術のマルチメディア・マーケティングへの活用 現時点においては,マルチメディア・マーケティングについて正確に定義す ることはきわめて困難な課題である。なぜならば,マルチメディア・マーケテイ ングは情報技術の革新によって進化したメディアが引き起こす新たなマーケ ティング概念であって,その根元の情報技術自身が今もなお進化し続けている からなのである。したがって,ここではマルチメディア・マーケティングとは 以下に論述する情報・通信システムが持つ

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つの特徴の応用で実現させること ができる戦略と規定しておく。 (1) バーチャルな顧客との接点の創出 情報・通信技術の発展に伴って,供給者と需要者の双方が,時間,空間,そ して人脈や組織の制約を受けずに多様な接点、を模索することが可能になってき た。すなわち,インターネットなどのネットワークを利用して,ユーザ}たる 消費者は,自宅のパソコン上であたかも庖頭にいるように商品情報を獲得する ことができる。一方,プロパイ夕、ーたる供給者は,情報ネットワークを通じて, 顧客が求める商品の情報を世界中から収集することができ,かつ一番有利な値 段での商品の提供が可能になってくる。また,従来人聞が価値の交換を行うに は不可欠であった庖舗やカタログなどの物理的な商業空間,交換道具としての 貨幣,また取引の成立を証明する証癌書類等が,すべてデジタノレ化することで ノTーチャノレ化が可能になって,このため世界中の消費者をターゲットにする ノてーチャルモールの構築さえも瞬時に実現するわけである。 (2) ダイヤローグ型商業メディアの日常化 このことは,新聞やテレビに代表されるマスメディアのように情報が一方的 に伝わるのではなく,インタラクティブな情報交換が可能になる状態を意味し ている。ユーザーとプロパイ夕、一間の情報交換は決して目新しくないが,最近 の情報技術の進歩によって,リアルタイムのマルチメディアの状態で,つまり 各種情報(データ,テキスト,音声,映像等)の統合状態で行われるのである。 たとえば,アメリカの3大テレビ・ネットワークのABCでは,アメリカン・ オンラインのネットワーク上で,定期的に1時間ABCのゴールデンタイムの

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435 小売業におけるマルチメディア・マーケティングとマネ}ジメントの展開方法 -75-番組について,社長自らが視聴者とインタラクティブな意見の交換を試みてい る。統計的に見れば不完全なものかも知れないのだが,あたかもフォーカス・ グループをアメリカの全土でリアルタイムに行うようなもので,これらの結果 情報から視聴者が持っているニュアンスなどはほとんど理解できることにな る。また,国際宅急便のフェデラル・エクスプレスでは,全世界の顧客(荷主) に対して

2

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時間受付ができる問い合わせセンターをインターネット上に開設 している。さらに,百貨庖のノードストローム,アパレルのリーパイス・スト ラウス,花の配送業者のPCフラワーズなどは,ユーザーとプロパイダーの接点 をインタラクティブに統合化することで,よりカスタムメイド化する型態で商 品の提供を行っている。このことを可能にしたものこそが,インターネットを 含む電子メーノレなどにかかわる技術の急速な進化なのである。

(

3

)

デジタル化による情報処理力の向上 コンビューターで取り扱える情報は,全てOか1というピットの組み合わせ で表現されている。当初は,コンビューターの性能面の制約によって数字や文 字といった情報のみしかデジタJレ化されていなかったが,現在ではグラフ,画 像,音声などもすべてデジタル化が可能である。さらに,通信ネットワークも デジタル化されたことで,情報の搬送,複製,加工も,以前とは比較できない ような次元で行われている。また,多様な情報処理ソフトウェアのパッケージ やツールを活用することによって,必要とされる情報収集や情報精度の向上や 分析なども格段に速く容易にできるようにもなった。また現在では,マーケティ ング情報は, POSに代表される各企業の基幹システムからデジタル情報として 容易に収集でき,マーケティングの担当者が市場を把握するために必要な情報 は着実に増大している。また昨今では,これらの膨大なデータを処理するため の技術としては,とりわけデータウェアハウジングとデータマイニングという 技術がおおいに注目されはじめている。 (4) 水平的なコラボ、レーションの確立 マルチメディア社会におけるマーケティング戦略は,個人を重点ターゲット に設定している。そして,各顧客との良好なリレーションシップを維持・強化

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-76'ー 香川大学経済論叢 436 し顧客が望む価値を最適な形で提供することにより,顧客の満足度の最大化を 狙うのである。そのためには,市場情報,商品情報,営業情報,顧客情報,生 産情報,販売実績を駆使して,企業の全般にわたるそして企業聞にもまたがる 業務プロセスを,より高効率なデマンド型プロセスに再構築することが必要に なってくる。このようなテゃマンド型プロセスの最大の特徴は, リアルタイム性 と柔軟性なのである。すなわち企業の組織活動においては,各部門が水平的な 連携体制を確立しそして他部門とのコラボレーションを構築し,その上で統合 視点に立脚した多様な判断を行うことが大切になる。 従来では,電話,社内メモ,ファクシミリなどに頼っていたが,昨今のボイ スメーノレ,電子メーノレ,グループウェアの普及によって,より速く正確に関連 部門や部門のメンバーが情報を共有化でき,このために統合視点に立脚した全 体最適志向の判断が適切に行えるようになってきた。この統合化された連携体 制は,商品開発のための複数事業聞のコラボレーション,

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を推進するためのメーカーやサプライヤーとの関係の構築,共同 商品開発にかかわる業務プロセスのメーカーとの調整,などを実現するために は不可欠になるわけである。 このように,企業は最新の情報や通信のテクノロジーにサポートされたリア ノレタイムなマーケティングを継続的に展開することで,顧客とのリレーション を良好な状態に維持することができ,この結果次第に顧客のロイヤルティを強 固なものにすることができるのである。このようなロイヤルティの獲得に向け たマルチメディアによって可能になる顧客と企業間とのダイヤローグの仕組み は,不確実性の時代ともいわれている現在では,従来のマス・マーケティング の限界を超えたマーケティング戦略のニューパラダイムを提供することにな る。このようにして,次第にではあるが,確実にマルチメディア・マ}ケテイ ングが主流になる時代が到来しつつある。

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437 小売業におけるマルチメディア・マーケティングとマネージメントの展開方法 旧 小売業におけるマルチメディア・マーケテイング戦略 1 .リアルショップ再構築へのマルチメディア活用 -77-企業がマルチメディアの利用を志向する場合,実際のビジネス展開の局面で は,かなり広範囲な業務の領域で暖昧要因の排除などすでにデジタル化の洗礼 を受けている。しかしながら,このことで社内の責任体制と意思決定プロセス の明確化が図られるわけで,結果的にはフラットな組織体制が確立できること にもなる。また,今後さらにマルチメディア化が進展するならば企業における 組織形態や雇用形態をも大きく転換させることも可能になってくる。また,企 業内における情報ネットワーキングのターゲットも組織から個人へと大きく転 換するし,ますます成果主義の思想が浸透することにもなる。さらには,次第 にではあるが通勤や勤怠管理等に代表される付帯的な要素は不要にもなってく る。こうして,伝統的な企業構成の要素としての,オフィス,組織,勤務の形 態や企業慣習などは,次第にそれらの存在意義が希薄なものになっていく。そ してこのことからも,個人と企業のリレーションについても,企業に従属する 個人から企業から独立した個人へというように,契約関係をベースにしたもの へと転換することになる。 小売業のマルチメディアの活用では,必ずやオンライン・ショッピング、やバー チャルショップが話題になる。しかしながら現状では,そこまで一足飛びに行 く前のプロセスとして,まずマルチメディアによるリアJレショップの再構築へ の取り組みも大切なのである。これについては,パソコン関連商品の販売大手 であるソフマップの事例がたいへん参考になる。このソフマップでは,すでに

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年の秋にサイパースペース上にバーチャルショップを構築し終えている。 ここのバーチャノレショップにアクセスする大半のネットサーブアーたちはい わゆるパソコンマニアで,ソフマップのリアルショップにもきわめて良く精通 している。したがって,当然ながらバーチャノレショップに対しでも, リアノレ ショップと同水準のサービスや情報の提供を要求することになる。そこでソフ マップでは,これらのニーズに応えるべく,ノてーチャルショップにおける品揃

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78 香川大学経済論叢 438 えについてもリアルショップと同規模の約

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アイテムにしたのである。し かしながら,バーチャルショップの品揃えは,コンテンツや情報システムのみ によって顧客から発進される質問に十分な回答ができることが前提なのであ る。そのため,ソフマップではきわめて精度の高い商品情報データベースの構 築を行ったわけである。このような対応もあってか現状では最も熱心にこれら のデータベースを利用していメンバーは,実はリアルショップの販売員達なの である。 またマルチメディア対応によって,商品情報データベースの効率的な運用や 経営情報へのダイレクトなアクセスを望む消費者への効率的な対応を志向すべ く,パイイング業務をはじめとする多様な関連業務についてのフローや手続き の見直しについても自然と行われてくる。これらの一連の同時並行的で無意識 のBPRの実践によって,結果としてはリアルショップのオペレ}ションもき わめて効率的なものに転換することになるのである。つまり,ソフマップにお いては,マルチメディアによるバーチャルショップの展開を行うことによって, リアルショップ自体の競争力がより強固になったということなのである。 2.マルチメディア・マーケティングを支えるマーケットの誕生 マルチメディアを活用したマーケティングは,取引先と販売店そして顧客を まで含む通信ネットワークの拡大によって,多大な可能性を持つようになった。 しかしながら,実際にネットワーク上でビジネスを展開するのはそんなに容易 なことではない。そこで以下において,マーケットにおける価値交換とメディ アのマーケティング活用を捉えた小売業のマルチメディア・マーケティングの 方法論についての検討を行う。 人聞は,言葉によるコミュニケーションを行う以前には,言葉を持たずにお 互いの意思を伝えあっていた。旧石器時代には,物々交換が行われていて,身 振りや手振りも初期のメディアであった。やがて,音声言語が発せられ文字が 生まれたのである。こうしてメディアは急速に進化して,メディアによる人間 と人間とのリレーションも 1対1から 1対NへそしてN対Nへと,さらなる複

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439 小売業におけるマルチメディア・マーケティングとマネージメントの展開方法 -7 9-雑な形態へと変化した。つまり,進化したメディアの使用が前提になるマルチ メディア・マーケティングでは,人間と人間とのリレーションが従来の小売底 、では見られない形態になるのである。 マルチメディアを活用したビジネス展開の代表的な事例としてインターネッ ト活用ビジネスがある。具体的には,インターネットを利用したオンライン・ ショッピングとホームページ上での情報公闘をあげることができる。すでに

W W W

のサイトの中には,商品をオンラインで注文できるショッピング・サイ トが多数あって,このことからサイバービジネスの急成長を窺い知ることがで きる。また野村総合研究所では,インターネット上のサイバービジネスのデー タをインターネット上で公表している。これによると,

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月時点の登録 ショップ数は

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庖舗だ、ったものが

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ヶ月後には

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庖舗にも増加 したそうである。 米国においては,インターネットやパソコン通信などを含むオンライン通販 の市場はすでに

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億円を超えている。また我が国においても,パソコン通 信,インターネットといったネット上での通販の売上高は年間約

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億円以上と 想定されている。一方紙ベースのカタログやテレビを使った通販の売上高は, この約

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倍の規模と想定されている。また,圏内でのパソコン普及率は

Windows 9

5

の発売を契機に急速な伸びを見せている。しかしながら,このパ ソコンを使用したビジネスで,どのくらいの売上高が実現するかはまったく未 知数である。米国では,すでに自宅のパソコンを使って在宅勤務を行うまでに なっている。しかしながら,我が国においては未だに在宅勤務は本格的に展開 されるまでにはいたっていない。

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9

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年度の野村総合研究所の調査報告によると,パソコンユーザーのデモグ ラフィックデータは以下のとおりである。インターネットの利用については, 調査・研究目的の利用者が約

22%

,システムエンジニアが約

21%

,大学生・大 学院生が

20%

であった。つまり半数以上が仕事や教育のために用いられている のである。しかしながら,

1

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9

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月における電通の消費実感調査によると, はじめてパソコンが消費者の欲しい商品ベストスリーに登場した。調査対象が

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80ー 香川大学経済論叢 440 東京

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圏内に住む

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歳から

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歳の男女であったことから,パソコンが家電 製品の一部であるという意識も窺いしれるわけである。しかしながら,現時点 においては,パソコンが家電製品として各家庭に普及するには未だ克服すべき 課題が山積の状態である。 したがって,学者や専門家を除いて,顧客対象になりうるパソコンユーザー としては,第1には若年齢層とりわけ学生層が想定されるのである。また,す でに大学等での授業におけるパソコンの使用は日常化されつつあり,このよう な背景もあってか,たとえば通販会社のフェリシモの事例では,パソコンで実 際にアクセスしてきた顧客の約

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割が女子大生であったそうである。このよう な現象は,インターネットにおける従来とは異なったユーザ一層を創出した好 事例ということができる。また学生に続くインターネット愛好者は,意外にも 余暇への消費欲求の強い企業等からの退職者層なのである。なぜならば,これ らの退職者層は退職するまでの長期間ある種のコミュニティとしての会社で過 ごしてきたため,退職後においても自らが蓄積したネットワークを維持し続け ようとするからである。さらにまた,百貨庖や量販屈における庖頭の顧客は主 婦層やOL層が多いのだが,紙ベースのカタログの通信販売やテレビショッピ ングのユーザーについては若い主婦層が多くなっている。このことは,小さな 子供を連れた状態での底舗におけるショッピングがきわめて困難なことをもの がたっているのであろう。 いずれにしても,インターネットの愛好者に見られる共通の特徴は知的でゆ とりがあるということである。ここでいうゆとりとは,もちろん物理的な時間 のあるなしではなく積極的に楽しみや知識を求めるパワーなのである。とりわ け豊富な人生経験を持つ者は個人ベースで価値を創出する。そして,これらの 人達こそが,マルチメディア・マーケティングの戦略ターゲットであるマルチ メディア・カスタマーなのである。 3 .デマンド型バリューチェーンによる眠らない唐の構築 ここでは,マルチメディア・カスタマーが求めるショッピング形態について

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441 小売業におけるマルチメディア・マーケティングとマネージメントの展開方法 -81-考察を行う。彼らの生活は1日 1週間 1ヶ月という形式的なスケジュール に様めきれない行動であり,実に多様な生活形態なのである。やりたい事やら ねばならない事,欲しいもの知りたい事などが溢れており,一方では必要なだ げの充分な休息の取得についてはきわめて巧みに行っている。一般的には,消 費者が,物理的な欲求を満たすためには,特定の時間に特定の場所に行くのが 前提になっている。しかしながら,欲求は時聞を選ばずに喚起されるのだし, また必ずしもず、っと継続するとも限らない。だからこそ,マルチメディア・コ ンシューマーは,時間や空間にまったく制約を受けずに,かつレスポンスのよ いアクセス環境,すなわち眠らない庖を求めることになる。 また,いつでもだれでも各種の情報については有料・無料で容易に入手する ことができる。したがって,インターネット上のホームページからも現実の庖 舗と同様の商品や情報を入手することができる。たとえば,画像を取込んだイ ンターネット通販やデータベース化した情報サ}ビスは,遠隔地のたとえば都 会の百貨庖へ行けない人達にとってはきわめて有効なチャネノレなのである。し かしながら,このようにインターネット上で現実の庖舗とまったく同じ商品を 扱うだけでは,ただ単なる}吉舗からの取り寄せの代替行為にしかすぎないので ある。当然ながらとてもこのような水準では,マルチメディア・カスタマーの 先進的な感性を満足させることは不可能なのである。なぜならば,こんな程度 では彼らの高水準な知的欲求やこだわりの気分を充分に満足できないからであ る。 なぜならば,ユーザーがインターネットやパソコン通信に求めている商品や 情報は,個人的な要素が完全に反映できる商品や情報だからなのである。たと えば,仕事や趣味に必要な商品や情報,オンライン同好会での人脈を広げるた めの情報の入手,小説の応募やアートの発表,そして自らのホームページを作 成したビジネスの展開などなのである。ここに求められるものは,たとえば時 であったり場であったり人であったり,そして彼らのアイデンティティーをア ピールできる商品や情報なのである。そこでは,求める側の個人が同時に与え る側の個人にもなるという関係が成立している。

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82 香川大学経済論叢 442 図表4 プロシューマー型の流通ネットワークシステム

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流通システムの イ メ ー ジ フ ロ } サ イ バ ー モ デ ル ネットワークの生産性 プロシューマ~,型 ネ ッ ト ワ } ク シ ス テ ム ①生活局面対応の システム活用 ②多様な役割の自在な 選択 ラ イ ブ デ ザ イ ナ ー このように,マルチメディア・マーケティングでは,売り手と買い手のリレー ションは従来の小売店のそれとはまったく異なっている。現実の庖舗において は,顧客(個人)は常に消費者であり店舗は常に販売者であって,これらの位 置関係は普遍的なものである。しかしながら,マルチメディア・マーケティン グにおいては,消費プロセスがリアルタイムでフィードパックされるため,消 費が次々と商品を進化させて新たなヒット商品を創ることなどはごく日常的な 事なのである。このようなことは,消費者が企業における製品の企画プロセス から参画したり消費者が製品のカスタマイズを行うなど,いわば消費者と生産 者が同居したような状態,言い換えればアルビン・トフラーのいうプロシュー マーの登場を意味しているわけである(図表 4)。 プロシューマーの現実化の兆候は,情報マガジンであるじゃマールの発刊や 公募専門雑誌の売上高が順調な伸長を示していることから容易に読み取ること

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443 小売業におけるマルチメディア・マーケティングとマネージメントの展開方法 -83 ができる。個人的な情報の受発信ニーズがディジタル革命に遭遇すると,マノレ チメディア・マーケティングというニューパラダイムが現出するのである。こ のように,インターネットというものは,マルチメディア・マーケティングを 展開するためには理想的なフィールドなのである。 眠らない屈においては,データベースを活用することによって,現実の庖舗 とは異なる新たな顧客の獲得ができる。そして,これらのデータベースの上手 な運用によって,顧客との強固な関係が構築できる。こうして,各顧客(個人) ごとにカスタマイズされた営業企画や商品開発の展開が実現する。一方では, 現実の庖舗でも,このニューチャネルを通じて刻々と変化する顧客ニーズをタ イムリーに捉え,価値交換の場としての機能への価値創出の場としての機能の 付加が可能になる。すなわち,現実の庖舗がマルチメディア・マーケティング を展開することで,小売業が長年の間標梼しながらも決して成就できていな かったデマンド型ノfリューチェーンの構築が可能なのである。

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エージェントのマルチメディア・マーケティングへの活用 1. 人工知能から発展したエージエントの意味 もともとエージェントとは,本人(または当該企業)の代わりに物事の処理 を行い,その代理業務に対する報酬を受けとる機能なのである。このエージェ ントは,サービス業務のー形態として発展し,現在までに取扱い商品やサービ ス形態によって多様なエージェントが誕生した。たとえば,旅行のためのエー ジェント,不動産のためのエージェントなどはエージェントの代表的な事例な のである。また,すでに成功を勝ち得ている収益事業については企業の形態を とるまで発展して一般的にはエージェンシーと称されている。一般的には,こ のエージェンシーは代理業務を専門に扱う代理屈を意味しており,たとえば旅 行商品を扱う旅行代理店とか土地や建物を扱う不動産業者ということになる。 現在,このエージェント機能の発展が成熟期を迎えつつある。このような状 況下において,また情報・通信網の発展と社会・経済の成熟化に伴って,人間 の自己表現への欲求もおおいに高まりをみせている。そして多種のメディアは

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84 香川大学経済論叢 444 統合されつつあり,確実にマルチメディア化の方向に進んでいるようである。 そうなると,いかにメディアを使いこなせるかというメディア・リテラシーと デジタノレ技術の相互触発作用がとりわけ大切になってくる。また同時に,企業 におけるメディア活用の目標についても,マーケテイングへの戦略的な利用へ と転換することになる。そして,メディア活用の方法がマーケティングを進化 させ,またマーケティングの進化がメディアを進化させるというスパイラノレ現 象を現出させている。このように,社会や企業,そしてマーケティング戦略ま でが多大な変化を遂げてくると,当然ながらエージェントに対しでも新たな役 割が要請されてくる。このようにして,コンピューターや通信のネットワーク の中を自在に走り回れるデジタノレ時代に相応しいエージェントの発想が生まれ たのである。 このエージェントという概念は,人工知能

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の研 図表5 サイパースペースにおけるエージェント機能 小売業 サーピス業の mサ ー ノ や ー エージェント 機能拡張

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445 小売業におけるマルチメディア・マーケティングとマネージメントの展開方法 85 究者の問では20年以上も前から研究課題になっていた。研究者達は,すでにこ の人工知能をエージェントと呼んでいたのである。このエtージェントの持つ特 徴的な機能は,あたかも実際の代理人や秘書のようにオペレーターの代わりに コンビューターの内部で作動することである。技術的には,善玉のコンビュター ウイルスを創り上げて,これに代理人の役目を与える仕組みなのである。たと えば,ネットワークの監視や情報の収集などを,人的に行うのではなくエージェ ントに行わせるのである。このような場合に,エージェントは,もし故障を見 つけたら,管理者の無線呼び出し装置のベルをならすという命令を遂行するの である。こうして,命令を受けた複数のエージェントは広域のネットワークに 解き放たれることになる。そして,エージェントは通信回線の中を自ら移動し, 故障に遭遇したら最寄りのコンピューターに立ち寄り,同時に管理者に対して 報告も行うのである。そして,もうすでに複雑な命令にも対応が可能な多くの エージェントが実際に開発されている(図表5。) 2.インテリジエント・エージエントのマーケテイング活用 現在,ネットワーク上の新鮮でかつ有能なエージェントとしては, とりわけ インテリジェント・エージェント(知的代理人)がおおいに注目されている。 このインテリジェント・エージェントは以下の能力を装備している。第

1

に業 務命令を受けたエージェントはネットワークの中を自在に動き回れ,同時に指 示された情報を発見した後にこれらの情報を持ち帰れる。第2にエージェント 自身がネットワーク・ユーザーの個人的な趣味や噌好に合わせる適応能力を備 えている。第3にエージェントは決定権を持っており同時に提案も行える。第 4にエージェントは環境を認識できこの認識に基づいた決定もくだせる。第 5 に特定分野用にプログラムされるエージェントはそれぞれの対応分野の専門的 なサポートも行える。 このインテリジェント・エージェントは,商業的なネットワークの上におい ても活用が可能なものである。たとえば,インテリジェント・エージェントを, 顧客ニーズへのレスポンス機能として事業化することも充分に可能な発想なの ではある。また,昨今ではスマート・ネットワークと呼ばれる商業エージェン

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86'- 香川大学経済論叢 446 ト型のネットワークも積極的に開発が行われている。もし,このスマート・ネッ トワークに希望の業務指示を与えた(プログラミングされた)エージェントを 解き放つならば,多くのエージェント・ビジネスが誕生することになる。この ような観点から,以下にインテリジェント・エージェントの活用可能な事例の 紹介を行うことにする。 (1) 個人間での活用(デートのケ}ス) たとえば, Aさんがデートの計画をたてるとしよう。コンサートに誘って食 事をごちそうしようと, AさんはポケットからPDA(携帯情報通信端末)を取 り出す。そしてデータを入力する。さっそくエージェントが通信ネットワーク を走り回る。チケットショップのコンピューターにまずアクセスしてこ席の予 約を行う。一席1万円で合計 2万円である。次にフランス料理屈のコンビュー ターにアクセスする。ところが,あいにく改装中なので別の庖に予約する。二 人分で4万円で,これでは予算オーバーになる。そこでフルコースはやめて3 万円の庖にする。ところが翌日になると,急に土曜日の接待ゴルフが決まって しまう。そこで,車で一時間のゴルフ場を探し予約を入れる。同時にデートの ほうは日曜日に変更する。このケースにおいては, PDAのエージェントは予約 から変更まですべての業務を行っている。

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ビジネスでの活用(バーチャルモールのケース) NTTデ}タ通信は,仮想、商庖街でネットワークユーザーに代わって商品を 見つけるエージェントの開発を手掛けている。この計画においては,エージェ ントに一定期間だけ探し続けたり価格交渉したりする能力も持たせている。 ネットワークユーザーが,中古車

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が欲しいとパソコンでサービスのホーム ページに入力すると,エージェントは庖舗の種類や所在地の情報を持つディレ クトリー・エージェントと連絡をとって仮想、商店街へと飛ぶことになる。もし, この段階で該当車がなくても,エージェントは商庖街に残って後で、見つかれば メールで連絡を行う。 このように,今回一般の流通マーケットで取り扱われる商品に対して,現実 とは異なる時と場を与えることでビジネスの可能性が拡大する。言い換えれば,

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447 小売業におけるマルチメディア・マーケティングとマネージメントの展開方法 -87-ー 有能なエージェントを開発してこれらのエージェントに活躍の場を与えれば, ノてーチャノレモールのインタラクティブ・マーケティングなども容易に実体化す る。すなわち,エージェントが持っている発想は,従来のマーケティングモデ ルの解体,つまり顧客をマスではなく完全に個として捉ることなのである。こ のように,情報技術の発展とメディアの発達は顧客に自分だけの差別化された 商品の欲求を喚起させ,一方においては従来の1対 1のエージェント・ビジネ スの

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のエージェント・ビジネスへの進化をも可能にした。このように, インテリジェント・エージェントの開発が,従来の流通システムを根本的に変 革させ,同時にインタラクテイ‘プもなパーソナル・マーケティングを実体化させ ることになるわけである。 3.エレクトロニック・コマースへのエージエント活用 昨今,企業と消費者との聞の経済活動を電子化できるエレクトロニック・コ マース

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が,インターネットの発展に伴って地球規 模での広がりを見せている。この現象は,誰もが自宅に居ながらにして買物が 可能になるという時や場の壁を超えた経済環境の創出なのである。そこで,こ の企業と個人間の

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,そして企業と企業聞の

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の双方の

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を進化させるべ く,エージェントの

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への戦略的な活用方法についての提言を行う。 そこで,まず最初に企業と企業との取引における

EC

へのエージェントの活 用方法を検討する。インターネットというオープンなネットワーク上の取引が 行われるようになると,誰でもが簡単に取引活動に参加することができる。す なわち,従来の資本系列を超えた新しい関係がメーカーと小売業との聞でも構 築されてくる。このような関係が,昨今では

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といわれている製販同盟というネットワー クなのである。ここでは,小売業の

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から入手された販売データをメーカー に引き渡すことで,メーカーの生産計画の作成,修正,原材料発注の最適化な どを容易にする。 この製販同盟に前述したエージェントのもつ第2から第5の役割を利用する

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-88- 香川大学経済論議ー 448 ならば,予測を含めて売れ筋商品を瞬時に検索して受注生産の商品とほとんど 同様なシステム構築が可能になる。すなわち,メーカーは,顧客からの情報に 基づいて売れ筋をタイミング良く市場に投入することができる。この結果,メー カーにおいては在庫の削減やコストの削減が実現する。このように,製販同盟 のネットワーク上にエージェントを活用すると,新製品の開発,欠品の防止, 流行商品の投入などの適切なサービスの提供が可能になる。さらに,これに翻 訳エージェントを投入するならば,インターネットを通じた世界的な規模での 製販同盟の構築が可能になる。 続いて,企業と消費者とを結ぶエージェントの活用策についての検討を行う。 これは,言い換えればパーソナル・マーケティングの展開へのエージェント活 用なのである。インターネット上には,コミュニティ・オブ・インタレスト

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という世界に共通の趣味や関心を持った人々が集合している。たとえば,旅行 の

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がとりわけ有名なのであるが,この旅行

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における中心的な関心事 項は以下のごつの領域についてなのである。第1の関心領域は,ホテルや航空 会社の案内,旅行のガイドブ、ツクや旅行商品そのものである。第2の関心領域 は,ネットワーク・ユーザー自身が作り出すディスカッション・フォーラムな のである。このフォーラムでは,会員が,自らの旅行体験に基づいて宿泊ホテ ノレや滞在リゾート地のアドバイスなどが行われている。このような組織などに エージェントを活用するならば,

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が期待する商品開発が容易に実現するこ とができる。このように,

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にエージェントを活用するならば,インタラク ティブなコミュニケーションが実現でき,これを戦略的に利用したマーケティ ング活動も可能なのである。 4. パーソナル・マーケティングへのエージエント活用 ノfーソナル・マーケティングの本質は,あくまでも顧客をターゲットに置く マーケティングである。このパーソナル・マーケティングにおいては,一つの 商品をより多くの顧客に販売するプロダクト・マーケッターではなく,一人の 顧客により多くの商品を販売する顧客マーケッターが必要とされ,このプロダ

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449 小売業におけるマルチメディア・マーケティングとマネージメントの展開方法 -8少ー クト・マーケッターと顧客マーケッターには多くの相違点があることについて は前述したとおりである。 このように,パーソナル・マーケティングを実践するには顧客との関係が重 視されるようになる。たとえば,苦情の言いやすい関係,対話の成立する関係, 顧客の要求を聞ける関係,提案を聞いてもらえる関係などが,きわめて大切な 条件なのである。すなわち,パーソナノレ・マーケティングの本質は,マーケッ ターと顧客とのコラボレーションによって,サービスシステムを進化させるこ となのである。そして,このパーソナル・マーケテイングに欠かせない情報・ 通信のインフラが顧客データベースとグローパル・ネットワークであり,サイ パースペースはこれらによって構成されている。 このサイパースペースでは,無限の情報空間の中を縦横無尽に動げ,必要な 情報を効率良く収集できるエージェント機能は不可欠である。具体的には,サ イパースペースには三種類のエージェントが要請される。第1のエージェント は顧客エージェントである。これは,顧客マーケッターとして顧客との対話を

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の関係で行うため必要である。第

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のエージェントはコマースエー ジェントである。これは,サイパースペースで展開される商取引の管理を行な うため必要でトある。たとえば,商品発注,電子決裁,商品授受,ユーザー登録, 保証書発行等の販売付帯業務などを一手に受け持つている。第3のエージェン トはプロダクトエージェントである。これは,商品やサービスの分類や編集の 単位で商品やサービスの提案や調達等を行うため必要である。 これら三つのエージェントの中では,最もパーソナル・マーケティングにとっ て重要なエージェントが顧客エージェントなのである。この顧客エージェント は顧客とのダイヤローグを専門的に請け持っているエージェントである。そし てまた,顧客データベースを基本にしながら業務を行うエージェントでもある。 そこで以下に,顧客データベースが管理する情報について概括的な整理を行う ことにする。第

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の情報については顧客の基本的な情報である。これは,予め 住所,職業,家族構成等の属性情報や,商品の購買履歴,購買ポイント

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などのヒストリー情報のデータ項目

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90- 香川大学経済論叢 450 を設定した上でデータベース化したもので,これらの情報はすべて全ての顧客 に共通している情報である。第 2の情報については顧客とエージェントとのリ レーショナルな情報である。言い換えれば,顧客とエージェントとのダイアロー グゃから蓄積される顧客ごとの行動ノfターンに関する情報なのである。第1の情 報についてはすでに多くの企業が顧客データベースとして手がけているが,第

2

の情報については未だ開発途上でありこれには人工知能の応用技術が必要と されている。 この応用技術の代表的なケースが学習機能なのである。この学習機能とは, 過去の顧客とのダイヤローグの記録や商品等の購買履歴から顧客の行動や曙好 傾向を学習する機能である。具体的には,バスケット分析による商品の購買動 向,購買履歴に基づいた顧客アティチュードの特定やコーザルデータとの関連 性の解析,アクセス時間帯の顧客行動のパターン分析などを,顧客とのダイヤ ローグを通じて学習する機能なのである。この学習機能の導入によってもたら されるサービスは,顧客にとって長年親しんだアテンダーのサービスを受ける ことと同程度のサービス水準なのである。 顧客へのサービス水準の向上のためには,エージェントの持つ情報力やス ピードのさらなる強化が不可欠である。そのためには,顧客エージェントが, コマースエージェントやプロダクトエージェントと効率の良い連動を行うこと が期待されてくる。言い換えれば,エージェント同士のチームワークが必要に なるのである。したがって,顧客エージェントにはいわばプロジェクトリーダー としての組織マネージメント力が要請されている。現在,プロジェクトマネー ジメント技術やリスクマネージメント技術を応用して,この様な機能をもっ エージェントの開発が急速に進められている。 ノTーソナノレ・マーケティングの本質とは,顧客ごとに異なる潜在ニーズの発 掘と創出であって,その効果性については状況に応じた変化への適用能力に大 きく依存している。そしてまた,この変化への適用能力こそ顧客エージェント に付与されている基本的な能力なのである。この顧客エージェントはオブジェ クト志向の活動を行うべく次々と学習成果を他のエージェントにスパイラノレ的

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451 小売業におけるマルチメディア・?ーケティングとマネージメントの展開方法 -91ー に引き渡し,顧客の潜在欲求を顕在化して具体的な行動に結びつけていく,い わばインタープリター的な役割も担っている。 V マネージメント革新へのマルチメディアの活用 1 .コラボレーション志向のネットワーク経営への転換 情報・通信技術の進化へ向けた課題は多くの組織戦略が抱える課題とも重な りあっている。したがって,情報・通信の進化が組織戦略上の課題解決に多大 な貢献を果たす場合が結構多いのである。振り返って見ると,我が国において は,通産省の指導のもとに,すでに

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年代の初期には第

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世代コンビュー ターのプロジェクトが開始されていた。この第

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世代以前のコンピューターは すべて

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(中央処理装置)での情報処理を行っていた。また,第

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世代コン ビューターの特徴は並列処理型であって複数の処理ユニット聞のネットワーク 化の進展なのである。すなわち,この第

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世代のコンピューター技術とネット ワーク技術がコラボレーションという新しい業務形態の方法論の道を切り聞い たわけである。そして,コラボレーション志向のネットワーク経営が次第に組 織戦略上の課題になってきた。 ネットワーク経営とは,組織に対して形の変化ではなく質の変化を要求する 経営である。質の変化とは,言い換えれば,命令や統制からコラボレーティブ な課題調整へという変化なのである。このことは,単に組織をフラット化する ことだけではなく,顧客の複雑なニーズを捉えたフレキシブルなタスクチーム を部門横断の形態で結成する変化を意味している。現在では,電話やFAX,社 内

LAN

上の電子メーノレ,インターネットなどの活用によって,このようなタス クチームを結成するためには,わざわざ組織,庖舗,地域の選択などを行うこ とはまったく必要とはされていない。 2.モパイル・コンビューティングと

SOHO

によるオフィス革新 昨今では,パソコンを利用したネットワークの導入によって組織横断型のタ スクチームの結成や全社的な活動はきわめて容易になっている。そして,ネツ

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-92- 香川大学経済論叢 452 トワーク技術の発展は業務の形態そのものをも根本的に変化させてしまった。 我が国では,すでに

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年における産業構造審議会の答申において,分散型オ フィスの普及が提示されていた。しかしながら,この時の導入目的は遠隔地域 の、活'性化や女性の仕事への参加などであったのである。しかしながら,この分 散型オフィス構想、は,現在のネットワークの発展によって戦略的な視点に立脚 したオフィス革新を可能にしている。小売業においても,各庖を結ぶ社内

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を活用した分散型の業務形態が真剣に検討されはじめている。たとえば,従来 では本柱の宣伝部において集中的に行われていた宣伝業務についても,パソコ ンネットワークの利用によって印刷工程の一部は庖舗に分散された。データの 共有化と送信・受信の簡便さもあって,業務の軽減と同時に時間も大幅に節約 され,この結果経費などの大幅な軽減も可能になったのである。このように, 固定化された大組織を現場に分散させることによって,業務がよりフレキシブ ルになり,そして同時に組織の活性化が進展する。 世界で最初の南カリフォJレニア大学による分散型業務形態の実験が,ロサン ゼ、ルスの保険会社において

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年に実施された。これは,いわゆるテレコ ミューティングと呼ばれる通信通勤の実験であった。このテレコミューティン グテの実験の狙いは,遠距離通信およびコンピューターで通勤労働を代替させる ことであった。当時ロサンゼノレス市では,地下鉄も公共鉄道網もなく自動車が 交通の主役であったため排ガスによる大気汚染が深刻化していた。そこで自治 体は,

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人以上の従業員がいる企業に対して自動車道勤を制限し在宅勤務を 奨励する条約を制定したのである。もちろん,

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世紀を目前にした現在ではエ ネルギーや環境問題への対応も重要なのだが,とりわけビジネス社会において は,個人のライフスタイルと経済的な利益追求のウェルバランスを遡及する対 応も重要なのである。このような状況下で,マルチメディア社会の到来に伴っ て在宅勤務や分散型オフィスの普及に基づく

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の実体化がいよいよ加速化されている。

実際に,多くの百貨庖や量販庖などで行われている業務はすでに分散型オ フィスを採用できる状態になっている。たとえば今でも,パソコンと電話回線

参照

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