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ペロブスカイト太陽電池の高性能化に関する研究

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Academic year: 2021

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ペロブスカイト太陽電池の高性能化に関する研究

[研究代表者]清家善之(工学部電気学科)

[共同研究者]森

竜雄 (工学部電気学科)

川野伸一、

船越孝雄 (野村マイクロ・サイエンス㈱

) 研究成果の概要 ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト結晶構造の材料を用いた新しいタイプの太陽電池であり、シリコン系 太陽電池や化合物系太陽電池に匹敵する高い変換効率に達している。ペロブスカイト膜は、塗布技術で容易に作製で きるため、既存の太陽電池よりも低価格と見込まれている。さらにフレキシブルで軽量な太陽電池が実現できるため、 シリコン系太陽電池では困難なところにも設置が可能となる。National renewable energy laboratory (NREL)によると、 2019 年現在、セルベースで発電効率 24.2%のペロブスカイト太陽電池が報告されている。現在、ペロブスカイト太陽 電池の実用化に向けての課題は更なる発電効率の向上、耐久性(安定性)、発電層となるペロブスカイト結晶に含ま れる鉛の人体への影響、フレキシブル基板への対応、低コスト化など数多くの課題がある。 本研究はペロブスカイト太陽電池の実用化に向け、低コストで安定した太陽電池の製作を行うことを目的とし、発 電層となるペロブスカイト層中のヨウ化鉛(PbI2)の純度がペロブスカイト太陽電池の特性にどのような影響を及ぼす か、さらにヨウ化鉛中の他金属イオンを、高密度ポリエチレン樹脂をベースとした微量金属イオン除去フィルタで、 微量金属分を除去することによる太陽電池特性の向上を狙い、ペロブスカイト太陽電池素子を試作し、評価を行った。 実験結果より、高純度のヨウ化鉛を使用した場合は低純度のものを使用した場合よりも高い発電効率を得た。 研究分野:電気電子材料、有機デバイス、品質工学 キーワード: ペロブスカイト太陽電池、微量金属、X 線解析 1.研究開始当初の背景 ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト結晶構造の 材料を用いた新しいタイプの太陽電池であり、シリコン系 太陽電池や化合物系太陽電池に匹敵する高い変換効率に 達していると見込まれている。ペロブスカイト膜は、塗布 技術で容易に作製できるため、既存の太陽電池よりも低価 格になると見込まれている。さらにフレキシブルで軽量な 太陽電池が実現できるため、シリコン系太陽電池では困難 なところにも設置が可能となる。National renewable energy laboratory (NREL)によると、2019 年度現在、セルベースで 発電効率 24.2%のペロブスカイト太陽電池が報告されて いる。現在、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けての 課題は更なる発電効率の向上、耐久性(安定性)、発電層 となるペロブスカイト結晶に含まれる鉛の人体への影響、 フレキシブル基板への対応、低コスト化など数多くの課題 がある。 2.研究の目的 本研究はペロブスカイト太陽電池の実用化に向け、低コ ストで安定した太陽電池の製作を行うことを目的として いる。具体的には、発電層となるペロブスカイト層中のヨ ウ化鉛(PbI2)の純度がペロブスカイト太陽電池の特性にど のような影響を及ぼすか、さらにヨウ化鉛中の他の金属イ オンを、野村マイクロ・サイエンス社が提案する高密度ポ リエチレン樹脂をベースとした微量金属イオン除去フィ ルタで除去することによって、太陽電池特性の向上を狙い、 実験によって確かめた。 9

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3.研究の方法 (1) 実験方法 図1 に試作したペロブスカイト太陽電池の構造を示す。 素子は逆構造型として、フッ素ドープ鈴(FTO)付きのガラ ス基板に / ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ (スチレンスルホナート) (PEDOT:PSS) / ペロブスカイ ト層(CH3NH3PbI3) / [6,6]-Phenyl C61 butyric acid methyl

ester (PCBM )/ 銀の順で製膜した。 ペロブスカイト層はヨウ化鉛(pbI2)、ヨウ化メチルアミ ン(MAI)を溶媒 1-Methy-2-pyrrolidinone で混合し、前駆体 としてスピンコートで製膜する。その後、ジエチルエーテ ル(C4H10O)に浸漬させて結晶化し、その後、ソルベントア ニールで結晶を成長させた。今回実験では、前駆体として のヨウ化鉛を①高純度のものを使用した場合、②低純度の もの使用した場合、③低純度のものに金属除去フィルタで フィルタリングした場合の3 水準で溶液を作り、実験を行 った。 (2) 実験結果および考察 それぞれの条件で作製したペロブスカイト太陽電池の 電流密度-電圧特性を図 2 に示す。ヨウ化鉛の純度の違い で発電効率を比較すると、高純度のヨウ化鉛を用いた場合 の方が低純度のヨウ化鉛用いた場合よりも約5%高いとい う結果になった。また、微量金属イオン除去フィルタのろ 過の有無で発電効率を比較すると、低純度のヨウ化鉛を用 い微量金属イオン除去フィルタでろ過した場合の方がし なかった場合よりも約1%低いという結果になった。 図3 にヨウ化鉛の純度、微量金属イオン除去フィルタの ろ過の有無による X 線解析結果を示す。キャリア輸送面 である(110)面のピーク値を代表に、高純度のヨウ化鉛を 用いた素子が高いピーク値を示した。また低純度のヨウ化 鉛を用いた場合には、フィルタの有無の差異は見られなか った。これは低純度のヨウ化鉛中の不純物が結晶内でトラ ップされたためと考えている。 4.研究成果 本研究においては、ペロブスカイト太陽電池において、 活性層となるCH3NH3PbI3ペロブスカイト層をヨウ化鉛の 純度による影響を調査した。その結果、高純度のヨウ化鉛 を使用した場合は低純度のものを使用した場合よりも高 い発電効率を得た。今回、微量金属フィルタのよる太陽電 池特性の向上は見られなかった。 5.本研究に関する発表 (1) 林 亮磨, 酒井 涼伍, 森 竜雄, 清家善之,逆構造型ペ ロブスカイト太陽電池におけるヨウ化鉛の純度における 影響評価, 第 66 回応用物理学会春季学術講演会, 2019 年. (2) Yoshiyuki Seike, Daiki Tangiku, Hirohito Katsuta, Taichi Ishikawa, Tatsuo Mori, Influence of Metal Contamination in the Organic Active layer of the Organic Thin Film Solar Cell, Asia-Pacific Hybrid and Organic Photovoltaics Conference (AP-HOPV 18), (2018). 図1 試作したペロブスカイト太陽電池の構造 図2 試作したペロブスカイト太陽電池の J-V 特性 図3 ヨウ化鉛の純度、微量金属イオン除去フィルタの ろ過の有無によるX 線解析 10

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