放射伝熱解析のための豚体のサーフィスモデルと
コンピュータグラフィックス*
蓑輪 雅好
THREE−DIMENSIONAL SURFACE−MODEL AND COMPUTER
GRAPHICS OF A PIG FOR THE ANALYSIS OF
THERMAL RADIATION HEAT TRANSFER
MasayoshiMINOWA
A pig body was reconstructed by sma11triangular patches as a polyhedric
Surface−mOdeland then was stereo−graphically displayed with the perspective
pro5ection A contourline of the surface,mOdelwas easily detected with the
edge−SearCh technique
The model’s con董iguration factor董or radiant heat exchange was related to the area bounded by the contourline o董the surface−mOdelthat was trans董ormedwith the
SOlid angle projection Direct solar radiationincident on the modelwas dependent on
thevisible patchesof the surfaceLmOdeltransformedwith the parallelprojectionThe
polyhedric surface−mOdelreconstructed byusing the3−dimensionalshape data ola pig
is usefulfor the analysis of radiant heat transfer at the pig body surface
キーワード:豚体のサーフィスモデル,3次元コンピュータグラフィックス,放射伝熱 緒 豚体表面の形状に基づいた熱・物質移動現象の解明を究極の目的として豚体の形状測定を行い, 豚体表面の3次元座標データベースを作製した(1) 本研究ほ豚体表面形状に基づいた放射熱交換畳の算定を目的として,豚体の3次元座標データに 基づいて豚体を3角形面素から成る多面体でサーフィスモデル化し,サーフィスキデル豚の放射伝 熱解析への適用をコンビ。L・−・タグデフィックス手法を用いて試みたものである‖ なお,本研究は平 成元年度,2年度文部省科学研究費補助金(−般研究C,課題番号01560276)の交付を受けて行っ たこと,本研究用のコンビュl−タブログラムほFORTRAN言語で自作したことを付記する
解 析 方 法
1 豚体のサーフィスモデル化 豚体のサ・−フィスキデル化においては豚体の3次元座標(l)ほ次のようなボディ座標系(2)に変換し たいすなわち,ボディ座標系のⅩ軸の原点は豚体の最大幅の中点,Y軸の原点は最大高さの中点, *平成2年度農業施設学会大会で発象香川大学農学部学術報告 第46巻 第1号(1994) 12 Z軸の原点は全長の中点とした右手座標系において,豚はZ軸の正の方向を向いているものとし た 本研究では豚体のサ・−・フィスモデルは3角形面素から構成される多面体とした豚体の輪切り断 面外周点の3次元座標からサーフィスキデルを作製する方法ほ以下のとおりである ①豚体を胴体部,耳巽部,前脚部,後脚部に分割する ②胴体部ほ垂直な輪切り断面外周で,耳巽部と脚部は水平な輪切り断面外周で構成する ③図1伍)に示すように輪切り断面において−・定角度で外周点を補間(サンプリング)する ④断面を−・定間隔で補間する. ⑤図1㈱に示すように隣接する断面間において3角形面素を作る / ・−第k断面 第(k+1)断面 12)4 (功 図1 3角形面素作製法 胴体部においては断面外周点の補間角度は5歴とし,断面分割数は27短豚で55(断面間隔1い66 00),65kg豚で80(断面間隔1.51cm),88kg豚で85(断面間隔1.7cm)とした‖脚部と耳翼部において は補間角度は10度,断面分割数は脚部で15,耳興部で5とした‖ 断面外周点や断面の補間にはB− スプライソ関数(3)を用い,さらにN−スプライン関数(3)により断面形状を平滑化した 各部位(胴体部,右側耳巽部,左側耳巽部,右側前脚部,左側前脚部,右側後脚部,左側後脚 部)ごとにサーフィスキデルに関するデータファイルを作製した データファイルは(D頂点デー・タ フアイル(頂点番号,頂点座標),②稜線データファイル(稜線番号,稜線始点の頂点番号,稜線終 点の頂ノ点者号),③面データファイル(3角形面素番号,3角形面素を作る頂点の番号,3角形面素 を表す平面式の係数)である 2 サーフイスモデル豚の表示法 21透視投影変換 ボディ座標系に記述された3次元物体の透視投影変換手順を図2に示す,本研究ではボディ座標 系とワ・−ルド座標系は同一・とし,モデリング変換は行わなかった ワールド座標系 モデリ ング変換 透 視 変 換 視 野 変 換 スクリーン座標系 ビュ、−ポート変換 図2 透視投影変換手順
211 視野変換
図3にワt−ルド座標系と視点座標系の関係を示す‖ 視点座標系の原点(Oe)ほ視点に相当する図3 視野変換におけるワールド座標系(Ow−XwYwZw)と 視点座標系(Oe−ⅩeYeZe)の関係
ヮ・−ルド座標系における視点の位置を(ⅩいyいZf)とし,図3に示すように視線の中心軸(視
軸)と水平面とが作る角を¢(仰角を正,僻角を負とする),視軸の方位角を∂(反時計回転方向を
正とする)とすると,ワールド座標系の点(Ⅹw,.yW,Zw)は視野変換マトリクスT,により視点座標
系の点(xe,ye,Ze)に変換される
[xw yw zwl]Tv=[Ⅹe ye Zel] ただしAllA12A13A14
A21A22A23A24
A31A32A33A34
A41A42A43A44
T,= A12=Sin(∂)sin(¢)A14=O
A22=COS(¢)A24=O
A32=COS(∂)sin(¢)A34=0
A==COS(∂) A13=LSin(∂)cos(¢)A2l=O
A23=Sin(¢) A3l=一Sin(∂) A33=−COS(∂)cos(¢) A41=−XfCOS(∂)+zfSin(∂) A42=−ⅩfSin(∂)sin(¢)−yfCOS(¢)−ZfCOS(6)sin(¢) A43=ⅩfSin(∂)cos(¢)−yfSin(¢)+zfCOS(∂)cos(¢)A44=1
212 透視変換視点座標系の点(x。,ye,Ze)は正規透視変換マt・リクスTpにより正規透視座標系の点(xp,
y。,Z。)に変換される
[Ⅹeye Zel]Tp=[Ⅹ。y,Z,W,]
香川大学農学部学術報告 第46巻 第1号(1994) 14
00k一h O
O O k一b k 0 0 0 0 ここで b:視点(ze=0)から投影面までの距離 k:正方形投影面の1/2サイズ h,kは透視図形の奥行きに影響を及ぼし,視角βと次式の関係にある tan()= 213 ビューポート変換 正規透視座標系の点(x。,y。,Zp)はビヱ・−ポート変換マTIリクスTsによりスクリ1−ン座標系 の点(Ⅹs,yS,Zs)に変換される[Ⅹ。y。Z。W。]Ts=[Ⅹs ys Zs Ws]
ただし 0 0 0 1 S O O V O y Vノ S C O V O V X S C V O O V X ここで Vsx,Vsy,Vsz:ビュ・−ポー・ト空間のⅩ軌Y軸,Z軸方向の大きさ Ⅴ。X,Ⅴ。y :ビュ・1−・ポ・−トの中心座標 透視投影図を2次元で表示する場合にはスクリーン座標系のZ座標ほ無視され,またVsx=Vsy, Vsz=1とするのが一般的である(2) スクリーン座標系のⅩY平面はコンビ,ユ.・一夕のディスプレイ画面やⅩYプロッタの作図面に対応す る.また,ビュ.−ポ・−・ト空間のⅩY平面ほディスプレイ画面の表示領域やⅩYプロッタの作図領域に 対応する 22 隠面処理 透視投影変換や後述する平行投影変換において3角形面素が前方面(可視)か後方面(不可視) かは,視線がすべて平行となる座標系(透視投影変換における正規透視座標系や平行投影変換にお ける視点座標系)で3角形面素が視点側を向いているか否か,すなわち3角形面素を表す平面式の Zに関する係数が正か負かで判定できるい Zの係数が正であれば後方面であり,負であれば前方面 である.後方面は不可視であるが,前方面は他の面素からの干渉がなければ可視である 前方面が他の前方面により全部あるいは一・部を隠される場合の可■視面ほ,可視稜線相互の交差判 定や可視稜線上の点と前方面とのデブステスト(depthtest)などを用いて抽出できる(24) 3 サーフィスモデル豚の放射伝熱解析への適用方法 31 平行投影変換 平行投影は透視投影において視点の位置を無限遠とした場合であり,すべての視線は平行であ る“太陽からの直射光は平行光線であることから,平行投影図は直射光が直接到達している物体表面を表すことになる 図4に平行投影変換におけるワ・−ルド座標系と視点座標系の関係を示す図4に示すように視線 と水平面とが作る角を¢,視線の方位角を∂(¢,∂は国中の矢印方向を正とする)とすると, ワー・ルド座標系の点(xw,yW,Zw)は次式により視点座標系の点(xe,ye,Z。)に変換される [Ⅹw yw Zwl]T,,=[Ⅹe ye Zel] ただし
sin(8) −COS(∂)sin(¢) −COS(∂)cos(¢) 0
0 cos(¢) −Sin(¢) 0
−COS(∂) 一Sin(∂)sin(¢) −Sin(∂)cos(¢) 0
0 0 0 1 T;・= 上式において二¢を太陽高度,∂を豚体に対する太陽方位角とすると,サ−フィス1モデル豚の平行 投影図は直連日射が直接入射する豚体表面を・表す Yw 図4 平行投影変換におけるワールド座標系 (Ow−ⅩwYwZw)と視点座標系(0。− Ⅹ。YeZe)の関係 32 立体角投射図 体表面形状に基づいた豚体の形態係数ほ立体角投射法則(5)から求めることができる図5は立体 角投射法則の原理である‖すなわち微小面dFを視点,微小帝の法線方向nfを視軸としたときに見 える豚体をdFを中心とする半径Ⅰ・の半球面で切り取り,これを半球底面に正射影した図は立体角
投射図であり,半球底面の面積(方r2)に対する正射影された豚体面贋(SA”)の比率ほ豚体(放射
側)に対する微小面dF(受射側)の形態係数であるい有限大面に対する豚体の形態係数はこの微小 面の形態係数から算定できる(6) 豚体の立体角投射図は微小面dFを視点,微小面の法線方向を視線方向としたときに見える豚体 の輪郭線上の点を立体角投射法則に基づいて変換することにより求めることができる.図6は立体 角投射図を作製するときの座標変換法である図6の㈹に示すように0⊥ⅩYZ座標系における豚体表面上の点P(X。,Y,,Z。)は平面上の点dF(XF,YF,ZF)を中心とする半径Ⅰの半球底面上
P”に写像される.また図6の(B)に示すようにdFを原点とし,dFの法線方向をy軸とする0−XyZ座標系においてPの座標を(Ⅹ。,y。,Z。)とすると,P”の座標(Ⅹ。,y。,Z。”)は次のようにな
る xp=rXpα ̄lyP=O zp=rZpα
−1香川大学農学部学術報告 第46巻 第1号(1994) 16 ただしα=(Ⅹp2+yp2+zp2)l/2である10−ⅩYZ座標系と0−ⅩyZ座腰系は3次元座標変換で関 係付けることができる nF y Ⅹ Z 一−−−−−− (B) 図6 立体角投射図作製用座標変換 結果および考察 1豚体のサーフィスモデル表示 1トー・フィスモデルとして多面体表示した豚の透視投影図を27kg豚を例として図7に・示す.図7は
豚体の右側前方(Ⅹf=−50cm,yf=−5cm,Zf=100cm,¢=00,∂=−300,0=350)から見た
場合である∫.また,27kg豚サーフィスキデルの頂点数,稜線数および3角形面素数を表1に示す スプライン関数による補間処理の結果,27kg豚は胴体部が3890点,耳興部が432点,脚部が2304点の 図7 透視投影図(27kg豚)表127kg豚サ1−フィスモデルの頂点数,稜線数,3角形面素数 部 位 頂点数 稜線数 面素数 体︶︶︶︶︶︶ 左右左右左右 ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ 巽巽脚脚脚脚
胴耳耳前前後後
3 00 2 2 5 5 5 5 9 1 1 7 7 7 7 0 6 6 6 6 6 6 7 4 4 1 1 1 1 7 2 2 4 4 4 4 6 8 8 8 8 8 8合計6626点から構成されている.これは光切断線の合成画像から得た20111点(1)の約1/3である
図7に示したように,任意の位置から見た豚体ほ本研究で作製したサ・−フィスモデルに関する データファイルから立体的に再構成できることが確認できた.しかし平滑化処理,部位間の相互干 渉による隠面処理および部位間の接続処理に問題が残されている 2 サーフィスモデル豚の放射伝熱解析への適用 21 豚体表面に入射する直達日射量算定への適用 図8は豚の全長方向に対して45度の位置から僻角60度で平行投影した27kg豚の平行投影図であ る,.すなわち,図8は太陽高度が60度のときに直連日射が直接到達している豚体表面である..平行 投影図においても部位間の干渉問題や接続問題などが検討課題として残されている 豚体表面を構成している3角形面素の面積と直射光に対する傾きは3角形面素の法線ベクレレから求めることができる(2).また,3角形面素が他の面素により−・部が隠されて3角形以外の形状で
あるとき,その面積ほ頂点座標や稜線の交点座標を用いて算定可能である.直連日射が到達してい る面素の傾きと面贋が既知であれば,面素に入射する直連日射畳は数理解析的に算定でき,各面素 における直連日射畳の合計値は豚体表面に入射する直連日射盈になるけ このようにして求められる 直連日射畳は豚体表面形状に基づいた値である 図8 平行投影図(27kg豚)香川大学農学部学術報告 第46巻 第1号(1994) 18 22 放射伝熱に関する豚体の形態係数算定への適用 図9は図7の透視投影図において輪郭線を抽出したものであるい 図10は,図9における輪郭頂ノ点 の3次元座標(ワ−ルド座標系)を立体角投射法則に基づいて変換した図,すなわち立体角投射図 であるけ 図10の立体角投射図においても部位間の干渉問題や接続問題などが検討課題として残され ているが,円の面積に対する輪郭線で囲まれた面積の比率は豚体に対する微小面の形態係数にな る 二・l二‡:二三二 図9 輪郭線図(27kg豚) 図10 立体角投射囲(27kg豚) 図11は正射影魚眼レンズを装着したカメラで27kg剥製豚を撮影した立体角投射図であるぐ7).図11 の撮影位麿と同じ条件で27kg豚のサ1−フィスキデルから求めた立体角投射図を図12に示す“サーー フィスモデルから求めた立体角投射図の定量的な精度評価はまだ行っていないが,図12は実測の立 体角投射図(図11)と非常に類似しているい したがって,放射伝熱に関する豚体の形態係数はサ・− フィスモデルを用いることにより体表面形状に基づいて算定可能であると言える 図11立体角投射カメラによる立体角投射図 (27】由豚) 図12 サーフィスキデルによる立体角投射図 (27kg豚)
摘 要 光切断法で測定した豚体形状の3次元座標デー・タから豚体のサ・−フィスキデルを作製し た..サー・フィスモデルは3角形面素から成る多面体であり,頂点,稜線および面に関する 情報を記述したデー タフ1アイルで構成されている. サー・フィスキデルの表示においては臆面処理などの問題点が残されているが,豚体はコ ンピュータ内で立体的に再構成できることが透視投影変換から確認できたまた平行投影 変換と立体角投射変換から,サーフィス・モデルは豚体表面形状に基づいた放射伝熱解析に 有効であることが示唆できた,