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便所における主要なハエ類とその季節的消長(四国地方における主要衛生害虫の生態学的研究 III)-香川大学学術情報リポジトリ

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第13巻第2号(1962)

便所における主要なハエ類とその季節的消長*

(四国地方における主要衛生害虫の生態学的研究.旺)

松 沢

寛 159 Ⅰ 緒 言 前掛:4)紅おいて筆者は,香川県三水町(高松市外)付近における人家内主要術生害虫の季節的消長についてその概 要な・報告したが,今回同地方の便所に発生またほ飛来するハエ類について調査を試みたので,以下にそのあらましを 報告する.従来四国地方におけるこの方面の調査研究資料はきわめて少なく,環境術生方面の諸業務にもかなり不使 を与えて−いる実情濫あるので,少なからずこの方面の参考になるところがあろうと思うが,不十分な点は将来年を追 つて補なっていきたい‖ Ⅱ 調 査 方 法 調査場所ほ香川県木田郡三木町,本学農学部構内便所および同町大宮本学都職員宿舎便所をえらび,なお2,5の 補助観察地を設けたが,環境的にほ水田の多い都碕郊外部といってもさしつかえない処であろう、1年間を通じての 調査であるので,数日おきに午前午後の定刻採集調査な・行なうことにより(採集時間20分),それらの季節的消長曲 線を描くことにしたい ただし,調査当日の個体数ほ,午前午後2匝【の調査の平均せもって示すこと紅した.なお別途 にトラップ憎通塾ハエ取瓶)を用いて野外人糞(新鮮物)に集まるハエ類を調査し,便所における場合との比較考 察に俊ずるよう紅した(叫h般にかかる研究は相関係数法その他紅よる統封的な解析,吟味が必要であるが,それには まずサンプリングが適正でなけれほならない‖ したがって,かかる吟味は今後に行なうことにする). Ⅱ 調 査 成 績 19占0年冬から19る1年にかけての調査結果を−蘭して示すと第1図の成緻のようであるが,前報(4)でも指摘したよう に,それぞれのグループでかなりことなった特有の消長曲線を描いたぃ すなわち,CαJ/古♪ん〃㌢αは4月下旬から7月上 旬(ピ−クは5月中旬),Fα邦乃よαは5月下旬から占月中下旬(ピークは占月上旬)であるのに,肋‘SCα(恐らく迷 入)ほ4月中旬から10月中旬(ビータは占月下旬から7月上旬頃),5α′C〃♪カ〃g‘7は4月下旬から1D月下旬(ピークは その間に数回)にわたってきわめて特長のはっきりした発生,飛来消長を示した.肋わ桝.γgαは今回は4月下旬から 5月下旬紅わたって約1カ月間のみ農学部構内便所で見られたが,これが正常の発生型であるかどうかについてほ, なお,今後の調杏観察が必要であろう. ところでこれら各群の種類であるが,財α5Cαは肱do∽♂ざf壱cα,ダα招待よαはダ.cα邦吉cαJαγ盲・SとF.5CαJαγよ・S,肋J− 0∽.γgαほ且.∽〃dβ・5而(現在昆虫分類学の方では再検討の要ありとされでいる)であったが,CαJJよ♪カ〃γαはC・ぴ∂一 例抽γ査αとC.gγαカα∽よ,Sα7C0♪んαgαほ5.√Sよ掴まJ壱ゞ.5.♪βγβg㌢よ〝α,5い椚βJα卵〝γ・αなどであった(その他の中に は若干の肋ざCわ‡α,Oj埠γ㌢・αがふくまれてこいる).いま全体的にみると,1年中でもっとも便所のハエの数崖の多い 季節は,当三木町附近でほ5月中旬頃から占月中旬頃の問であるが,この季節ははとんど大部分の種類がこの間にピ −クをもっていることが明らかであったこのことほ衛生的見地から非常に注目すべきことで,対策にも常に十分な 注意が払われなけれほならない.元来昆虫の発生消長の型ほ,八工類に限ったことなく,地方地力でずい分ことなっ た様相を呈するものであるが,とくに堀(1−8)の行なった仙台地方の研究結果(便所の場合ではない)と比較すると, 地域のちがいが大きいだけに非常にこ.となった実情がうかがい知られる,中でも,肋・SC・αdo弼β・S子吉cα(仙台地方では 5月頃から出現しほじめ10月頃がピ−クとなる)とダ止別扇αCα〝よcα/α′よゞ(仙台地方では巻から冬まで連続して発塵) の発生消長の状況それからハ.エ群全体についての消長の状況などは,香川県などとはずい分な相違がある.したがっ て,ここに気候条件との関係が問題視されぎるをえない.いまこの地方の1年間の気温のデーター・と農学部構内便所 におけるノ、エ群全体についての消長の状況を併せて示すと第2図のどとくであるが,この関係図から明らかに央夏の 高温がハエ類のはとんど各群(SαγC∂♪カαgαを除く)の発生を相当きびしく抑圧していることが考えられる. ≠香川大学農学部応用昆虫学研究室業敏No・49

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

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160 香川大学農学部学術報億

SJ亘nGIAl白岩I hO

巽購買岩岳

Figい11Seasonalprevalence ofsome species offliesappearedirl the!avatory at Mikicho,Kagawa PIef.(196O−1961).上

(3)

第13巻第2号(1962) 161 ︵UO︶出叫⊃↑司∝山d岩国↑ しかしながら,これらは香川県に限ったことでなく,西南日本の各地に共通した傾向であろうと思われるい ところで野外紅おける新鮮人糞に集まるハエ頬であるが,これはやはり季節によって相当に種類や数鼠をことにす る.また,これらは都心部,郊外部,純農村部,U」間部などといつた小地域的なちがいも関係をもって:いるり けれど も,ここでは本学農学部構内で各ノ、エ頬のもっとも多い季節に行なった調査の1例を示すことにするが,第ト2表 のようにこの場合にほ」加須加とSα・ ㌢(〃♪カαgαが圧倒的に多く飛来集合し た(順位ほ時に逆転することもあっ た)元来血路漬αは便所内で発生する ことほまずないし,人家内の便所に飛 来することも適確ははとんどないが, 野外では人糞への飛来はこの成絞のよ うに実に多い(時間の経過に伴う糞の 乾燥につれて,ノ、エの種類や数駁関係 ほ次節に変遷するのが普通ではあるが )とのちがいは勿論エαCよJ壷αなる ハエ群の行動性(広義)にもとずくも のであろうが,一応これらにも再三㍊を 払う必要があろう

Tablel.Fly・fauna on human excrementin the field. (Mikicbo,Eagawa,19占1)

Notes:Figure showing the number of flies flewinto the trap

Table2Fly−fauna on human excrement at different stationsin theiield (Mikicho,Kagawa,19くSl)

Notes:Figureshowingthe number offlies flewinto thetrap ateach stがion,

(4)

162 香川大学農学部学術報告 Ⅳ 考 察 香川県三木町付近匿おける便所のハエ類の季節的消長はおおむね以上のようであるが,衛生的見地からもっとも問 題になる主要なハエ顆の消長の実態ほ第1図にまとめた成絞のようである便所のハエ類全体としてはとに角本県で ほ,5月中旬から8月中旬頃がピークとなってこはいるが,それぞれの種類で若干ずつその発生型に固有性をもってい るので,これらの防除対策はやはり実情に即して適時適切に行なわなければなるまい少なくとも近代的な水洗便所 などでない限り,一般民家や学校などの普通の便所でほ,月1回程度の定期殺虫剤散布では到底十分な目的を達しえ ないことは,第1区lの成続からも明らかで,とくに5月一占月の2カ月間は相当に徹底した重点的対策が講じられな ければなるまいと考えられる‖ そのためには傲虫剤の選択,散布回数,施用法の合理化など,考慮しなければならな い問題が多く存するが,便所の改善や集落,町筋などにおける剛斉防除作菜などもきわめて層雲な問題であろうい住 民−・人山人の知識の向上をはかることは勿論基本的にもっとも重要なことにはちがいないが,もっとも効果をあげう る防除法の大綱を虐接の指導者側から一般に示すことも実際問題としてきわめて重要ではないかと思われる.初夏の 頃野外でほ人家の便所には見られないエ〟(汀拍が非常に数鼠的に多いことはすでにのペた.このことは非衛生的な人 糞を問題にする以上やはり同等に論議さるべきであろう Ⅴ 摘 要 香川県三木町村逓匿應ける便所のハエ類の季節的消長を知るために,19占0年から19占1年にかけてこの調査研究を行 なった.その成続は第ト2図にまとめて示したが,防除対策についての若干の私見も本文中に述べておいた 引 用 文 献 (1)掘克箋:資源科学研究所彙報,(14),5−19(1949)..(3)− :仝上,(19−21),25−52(1951),

(2)−

:仝上(15),17−27(1950) (4)松沢寛:香川大鹿学報,12,255−259(19る1)

Seasonalprevalence of some species of flies appearingin thelavator・y

(Ecologiealstudies on someimportantinsects from the sanitary viewin ShikokulⅡ) Hiroshi MATSUZAWA

SummaryInorder to knowtheactualstate oftheseasonalprevalenceofsomespeciesoiflies appea卜 1nginthelavatoryatMiki・Choin Kagawa prefecture,preSent preliminaryresearchwascarried out exten・

dingfrom19るOto1961Thoughtheresult oftheresearchwasshownin Fig.1・2,SOmeOfmy opinions regarding theiz controIweIe also describedin the pIeSent paper

(Received October51,19る1)

参照

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高村 ゆかり 名古屋大学大学院環境学研究科 教授 寺島 紘士 笹川平和財団 海洋政策研究所長 西本 健太郎 東北大学大学院法学研究科 准教授 三浦 大介 神奈川大学 法学部長.