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カダヤシ親魚の子魚補食行動-香川大学学術情報リポジトリ

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カダヤシ親魚の子魚捕食行動

篠 原

〒760 高松市錦町2丁目14−−1 高松市立二番丁小学校

BehavioralPatternin Cannibalism of GaTnbusia qffinis

Nozomu SHImA,Ⅳ孟わα花Cゐo f〉rimαrγScゐ00Z,Ⅳ£sよゐ孟−mαCゐi2−J4−J,

7bゐαmα£β弘 7即,ノ叩α花

実 験 方 法

塑塑 実験にほ,香川県高松市摺鉢谷川にお いて採集(1981年8月18日)されたカダヤシの ♀(特に妊娠斑のほっきりしたもの,体長34∼ 41mm)が用いらゎた。カダヤシの♀(以後カダ ヤシと記す)は,8∼9月の間ほ,ガラスビン (4.7×4.7×方×19cm)で個体別に隔離飼育さ れた。また,10∼12月においては,ガラス水槽 (29×44×29cm)内に吊るされた6個のブラ ンクトンネット製バスケット(13×13×方× 26cm)で隔離飼育された。 以下に飼育条件について記述しておく。ガラ スビンの水ほ,3日ごとに24時間以上くみ置き の水道水とかえられ,室温を280C前後にク1−ラ ・−・で調節した。また,ガラス水槽の水ほ,水中 ヒ・−・タ・−で28∼300Cに調節され,エアポンプで 通気された。餌は,乾燥飼料(Tetora 九4in), 同教室で培養しているミジンコ(βdpゐ花王αSp.), イトミミズ(Tubificidae)及びユスリカ(Chiron− omidae)の幼虫であった。なお,これらほ,朝 夕2回投与された。 飼育中のカダヤシは,産仔後,麿ちに母魚と 子魚(体長7∼8mm)が分離され,ガラスビン で,それぞれ親子がわかるように飼育した。 飼育中の水温は,ク1−ラ・−とパネルヒ・一夕1− で250C前後に調節された。餌は,乾燥飼料及び ミジンコであった。なお,これらは,1日1回 午前中に与えられた。 選畳 実験にほ,24時間以上くみ置きの水道 水(水温22.2∼26.90C)を深さ約10cmまで入れ は じ め に メダカ目の摂食行動についてほ,これまで多 くの研究がなされて−いる。例えば,メダカ(Or− ッgiαぶgα毎es)について■は,小野(1948),植 松・斉藤(1973),植松・小川(1975),植松・ 高森(1976),末広・植松(1976)などがあ る。‘また,グッピ・−(Poeeiヱiαre亡わ捉払とα)に ついてほ土肥(1967)が摂餌初期に関する研究 を行い,植松(1971a・b・C)が摂食行動の社会 的促進について報告している。これらはすべて 底生動物(イトミミズ)ヤプランクトン(ミジ ンコ)を被描食老として用いているが,これま で子魚のように個体が比較的大せく,描食老と 近い形態を持ち,運動性に富むものを被捕食者 として摂食実験を行った例はない。 ここでは,カダヤシ(Gαmわぴぶiαq//言乃is)の 母親がその子魚を他の親から産れた子魚と区別 するかどうかを調べる基礎資料を得る目的で実 験が計画された。今回ほ,母親カダヤシによる 子魚捕食行動について,その行動型と行動展開 の順序を報告する。なお,描食行動ほ,子魚が 産出後4日目,8日目及び30日以後の3つの場 合について調べた。 実験は,1981年8月の予備実験に続いて,19 81年8∼12月に.かけて行った。 なお,この報告をまとめるにあたって,終始 御指導いただいた香川大学教育学部生物学教室 の植松辰実数授,また,御協力くださった生物 学教室諸氏にたいし深く感謝する。

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たプラスチック製水槽(10×10×21cm)を用 いた。上記実験水槽は,暗箱(55×40×60cm) の中に置かれた。なお,観察用のぞき窓(5× 4cm)が,暗箱前面右端(下から7cm)に設け られている。照明としてほ,水面直上約20cmの 15w蛍光灯が用いられた。 至埠 実験は,カダヤシを実験用水槽に移し, 1時間装置に順応させたのち,子魚を10個体投 入して開始された(カダヤシと子魚ほ親子であ る)。行動の観察記録は,子魚投入直後から20 分間行われ,記録用紙は,1分単位∵で区切られ ている。観察ほ,のぞき窓から肉眼によって行 い,20分間にみ.られる全ての行動を記号を用い て記録した。 カダヤシは,24時間以上絶食したものが用い られた。子魚は,生後4日(体長7∼8mm),

8日(体長8∼10mm)及び30日以後(体長12∼

15m)の3種類について観察した。それらは, 順に,実験1,2及び3と呼んで区別する。 実験中ほ,室温をク−ラ1−とパネルヒ1一夕1− で調節することによって,水温を22.2∼26.90C に保った。全実験終了後,体長と体重が測られ た。なお,実験は,1981年8月29日∼12月30日 にわたり,観察は,14:00∼18:00の間に.行った。

実 験 結 果

ここでほ,カダヤシの掃食行動に・ついて,単 位行動型,捕食行動展開の順序,単位行動発現 の時間的推移,行動発現頻度による3額型及び 捕食数の時間的変化について報告する。 1.単位行動型 実験1,2及び3におけるカダヤシの捕食行 動を観察し,行動型が分類記録された。

1)定位 Orientation(0)

カダヤシが水槽の−・定位∵匿に静止し,限球 を動かすことによって,子魚の位∵匿をとらえ るか,体全体を動かすことに.よって,子魚の 方向に向き,子魚の動きに合わせて動く行動 を言う。一・定位置は,水槽の底,中位,水面 下1∼2cmの3部域に区分した。また,体の 動かし方から,頭を上げる,頭を下げる及び 水平の一ままの3型に.分けることができる。こ の行動に続いて,以下の8行動型が発現する。

2)浮き上がり Flootingup(F)

カダヤシが水面に浮き上がり,水面に定位 する行動を言う。なお,浮き上がって直ちに 潜るもの,水面に2秒以上静止してから潜る もの,浮き上がって水面を泳いだのち潜るも のの3型に.分けることができる

。また,浮き

上がって水面を泳くヾものほ,子魚を追いかけ ることが多く,跳ねたり,激しく泳いだりす ることもある。観察でほ,これらを区別して 記録した。 3)攻撃 Atack(A) 子魚に対して2∼3cmの距離をおいて,後 ろから頭を少し下げて,すくい上げるように とびつく行動を言う。この行動は,1回で終 わることが少なく,何度も連続する。なお, 発現する場所によって,水槽の底と中位の2 型に分けられる。 4)描食 PT・edation(P) カダヤシが子魚に対して攻撃し,捕食に成 功した行動を言う。なお,位膚によって,水 面,水槽の中位及び底の3型に分けられる。 また,1庶子魚にかみつくが,口に入りきら ず逃げられるか,1度口の中に入ったが,吐 き出すことも数回みられた。

5)底つつき Bottom pecking(Bp)

水槽の底に口をつけて後退するか,ただ口 をつける行動を言う。これは,2∼3回連続 して起こることが多い。

6)上下運動 Up and down(Ud)

水槽の壁面を上下する泳ぎを言う。なお, 上下する際の頂ノ点が水面下1∼2cm程度のも のと,中位のものとがある。この行動も連続 して起こり,5回以上の場合もある。

7)Z活動 Z activity(Z)

水槽の底で体を左右に揺すりながら横忙移 動するか,場所の移動ほなく頭を上下に動か す行動を言う。体が小刻みに速く動くのが特 徴である。

8)口あけ Yawning(Y)

カダヤシが水槽の中位またほ,底で口を大

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られる。そこで,これらをひとまとまりの行動 とみなし,Z活動群と呼ぶ。 浮き上がり(F),定位(0)も同様に近接 して発現し関連が深いため,これもひとまとま りとみなし,定位行動群と呼ぶ。 また,攻撃(A),描食(P),口あけ(Y) は,定位行動群に付随して近接しているため, これらもひとまとまりとみ.なし,描食行動群と 呼ぶ。 次に3群の関係について記す。実験1∼3で は,Z活動群と定位行動群の問に差ほ認められ ない。しかし,定位行動群と描食行動群では, 実験2で弱くなっており,実験3でほ,捕食行 動群がZ活動群との関連を強めている。 3単位こ行動発現の時間的推移 捕食行動展開の順序からは,各単位行動が時 間とともに,いかに増減しているかを見ること ができない。そこで実験別に泳ぎ行動以外を3 群に.まとめ1分ごとの発現頻度が図2に示され ている。 きくあける行動を言う。人のあくびを連想さ せる行動型である。

9)泳ぎ Swimming(S)

通常の遊泳で,各行動塾の前後でみ.られる。 関連のある外的刺激が観察者に認められない ときに,す・−と浮き上がることが多い。この 泳ぎから,後方の子魚に攻撃を加えることも ある。 2捕食行動展開の順序 捕食行動に.おける各単位行動型の発現順序を 実験1∼3別に示したのが図1である。矢印の 太さは,頻度を示し,各行動塑の出現頻度が実 験例数の1.5倍以上は,実線で示し,1.5倍以 下のものの中で,行動の発現した例数が0.5倍 以上の場合ほ,点線で示した。但し,実験2, 3では,例外的に口あけと描食は,上記水準に・ 満たないけれども表示してある。 図1を見ると,今回観察された単位行動型の

うち,Z活動(Z),上下運動(Ud),底つ

つき(Bp)ほ,近接し密接な矢印の関係がみ

図1−1い 捕食行動展開の順序 (実験1:4日目の子魚と親魚).N=18

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図1−2∧ 捕食行動展開の順序 (実験2:8日目の子魚と親魚).N=12

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行動群平均発現頻度

8 5 18 15 雄 図2.行動群平均発現頻度の時間的推移. (□:Z活動群 +:定位行動群 ◇:描食行動群)

図2は,実験2(8日目の子魚),実験3

(30日以上の子魚)で捕食行動群が全体として 低く,10分以後で低下している。実験3では, Z活動群が高水準を示している。 4.個体別行動発現頻度による個体差の3炉型 描食行動展開の順序,単位行動発現の時間的 推移では,子魚の違いごとでまとめて表現した が,それぞれの描食個体ごとに1分間隔で行動 の発現頻度をみると,そこにほ,大きな個体差

がある。例えば,実験1,個体番号2でほ,Z

活動,上下運動が毎分3回以上あるが,実験1, 個体番号13 においては,それが全くみられな い。そこで,捕食行動を3つに類型した。Z活 動,上下運動が必ず毎分でるものをA(前描食 型),Z活動,上下運動が間欠的にでるものを

B(中間型),Z活動,上下運動が時に1分1

回でて,定位,攻撃が優先するものをC(捕食 型)とした。これらを1煩型ごとにグラフ化し たのが図3に示されている。

(6)

︵酎華蟹︰割U ︵枯裔史郎蟹⋮◇ 耐圧甘︰割田 劃華窯彊︰酎亘︶ 鈷裔起せ掴︰+ 鈷轟婁Z︰□︶ .嵐翼副賞の将吊りふ雌喋密楳密計鈷轟貯.の区 (♪l′〉 1■ m n」−・d】 ◆− ふ 00 の ト Q − N の ヾ の め

(7)

考 察 今回の実験は,母親カダヤシによる子魚描食 行動について,その行動型と行動展開の順序に ついて調べた。その結果,全体を通していえる ことほ,次のことである。 行動型は,内的不安定を示すZ活動群,子魚 の位置「をとらえる定位行動群,子魚を捕食しよ うとする描食行動群の3群に分けることができ る。行動展開の順序からは,子魚の産出後の日 数で大きな変化がみられた。実験1(4日目) でほ,捕食行動群がZ活動群をおさえ.,捕食欲 求がきわめて高いことを示している。実験2 (8日目)でほ,措食行動群がきわめて低い水 準であり,何らかの内的抑圧が働いていると考 えられる。実験3(30日以後)でほ,高い描食 欲求に.対し,子魚の運動能力の発達により,描 食行動が妨げられている。そのため,内的不安 定が増大し,Z活動群が高い水準になっている。 また,定位時間が長くなっていることからも, 母親カダヤシが,子魚を描食対象とほ別の物と して認識しているようでもある。 次に,各結果からの細かい論議を試みる。 1.単位行動型 観察の際,行動型を20に分けて−細かく記録し た。しかし,行動の発現順序をマトリックスに 作製することに.よって,浮き上がり(F),定 位(0),攻撃(A),Z活動(Z),上下運 次に,上記3類型に.,各実験ごとで,どのよ うな特徴が存在するかを比較検討した。図3を 見るとA型(前備食塾)では,次のことが言え る。実験1,3にノ各行動群の頻度差ほ認められ ない。しかし,実験2では,捕食行動群の頻度 が低下している。 B型では,描食行動群と定位行動群にやや変 化がみられる。実験2,3で捕食行動群が間欠 的となり,特に実験3でほ,13分以後全く発現 しない。また,定位行動群に.おいてほ,実験3 で,特に浮き上がりが高水準である。 C型では,実験3にこの型が全くみられない のが特徴である。実験1,2では,変化はほと んどないが,A型同様実験2でやや捕食行動群 が低水準である。 5描食数の時間的変化 ここでは,実験別に時間ごとの捕食数にどの ような変化がみられたかを知るために比較を行 った。各実験ごとに2分ごとの絵描食数を,実 際に捕食した個体数で割、つたものをグデフ化し たものが図4である。 描食畳は,初期2分に3実験とも高く,実験 1∼3の順序で少なくなっている。また,実験 1は,6分以後でほぼ平たんとなっているが, 実験2(6分を除く),実験3(10分を除く) とは,はぼ似た変化を示しており,10分すぎで 捕食数0となっている。 平均柵∵企∵子 魚数 28分 18 図4.捕食数の時間変化. (□:実験1 +:実験2 ◇:実験3)

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実験3で,定位行動群からの捕食行動群への 展開の他に,Z活動群からの揃食行動群への展 開が強まっているのは,子魚の成長に.よって遊 泳能力が増大し,簡単に.描食できないことに原 因があるのではないだろうか。 3.描食行動の時間的推移 実験2で捕食行動群の頻度が低下し,実験3 で浮き上がりと底つつきがきわめて高い頻度を 示した。このことは,行動観察中においても, はっきり見られたことである。 実験2では,観察時間20分間すべてにおいて, 描食行動群の頻度が低下した。これほ,4日前 の描食実験による学習効果(捕食技術の習熟) や4日間の子魚の成長(捕食の困難性の増大) からだけでほ,この捕食行動回数の低下は考え られない。したがって,わずかな可能性として− ほ,4日から8日に成長した子魚を仲間として (餌としてではなく)認知できるようになった ことが考えられる。本実験の最終目的は,母親 による子魚の認知であるから,今後,他個体の 子魚と並存して選択させる実験笹進むためのよ りどころができたといえる。しかし,仲間とし て認知する刺激が他の実験例(小野・植松,19 68)からみて,単純であり,メダカやグッピ1−・ など他種との弁別さえも困難であることが予想 されるので,この段階で完全に仲間として認知 したとほ考えられない。

実験3での,浮き上がり(Ud)ほ子魚が水

槽の底にいるにもかかわらず多く発現し,捕食 を休止しているようである。また,底つつきが 描食行動の妨げられたとき多く発現することか らも,捕食欲求がより強まっていることが分か る。つまり,描食がより困難となり運動量が他 実験に比べ増大して−いることが浮き上がりの増 加の一原因とも考えられる。 4。個体別行動発現頻度による3炉型比較 実験1でほ,3型に全てで措食行動群の頻度 の時間的な変化がなかった。つまり,捕食行動 の発現にほ,Z活動群が関係しないことを示し ている。このことから,実験1の母親に内的描 動(Ud)及び底つつき(Bp)を水槽の位置 や小さな型の違いで分けることは,あ■まり意味 のないことであることがわかった。そこでこれ らを9の行動型と3の行動型群に統合した。 描食行動において,子魚は,攻撃をうけると 高い運動性をみせるため,カダヤシはその影響 をうけやすい。また,カダヤシと子魚のそれぞ れに個体差があり,その2著聞の関係ほ,より 複雑となっている。そのため,各行動型の中に, 変異が多くみられたのであろう。 個々の行動型をみると,上下運動と浮き上が りの区別の難しい場面もあり,後方の子魚に対 するカダヤシの攻撃など,より高度の捕食行動 が行われることもある。定位もよく注意してカ ダヤシの眼球を見ていないと,単に静止してい るだけの行動と見まちがうこともある。 2.捕食行動展開の順序 実験1∼3で実験例数が,18,12,5例とま ちまちであるため頻度の少ない行動型の順序性 については,不安が残る。しかし,各単位行動 型は,大まかに3群に分けることができる。そ の中でも,Z活動群は,Z活動と上下運動がま とまって発現し,同じ機能を持った行動型であ ることが分かる。すなわち,外に現れた行動に は,変化が存在して−も,その行動が発現する原 因となった内的要因には差がない場合もあると いうことである。 次に,Z活動群と同じように.定位行動群の浮 き上がりと定位も同じ機能を持った行動型とい える。すなわち,浮き上がりほ,子魚がより多 く水面にいたことと対応した結果である。 捕食行動群の攻撃と描食ほ,−・連の行動であ り,捕食に失敗したものが攻撃であると考えた 方がよい。また,ロあけは,数は少ないが多く の個体でみ.られることから無視できず,描食行 動阻害による代佑行動と考えられる。 実験1∼3を比較すると,捕食行動群の発現 に変化がみられる。実験2で全体として捕食行 動群が他の2群との関係を弱めているのほ,カ ダヤシが4日前の実験1で描食行動を行ったこ との学習の現れであろう。

(9)

食率に差がないことは,捕食欲求を阻害する要 因を考え.ねばならない。実験3における描食数 の変化は,これによって,先に述べられた遊泳 力の増大が補強されている。 残された課題としては,他種の仔魚を用いた 実験によって,仔魚識別がカダヤシに可能か, また,行動に変化ほみられるか,みられるとし たらいつからかなどを明らかにすることが上げ られる。 摘 要 カダヤシ(Gαmわ弘Siαq//王花£s)の母親が,そ の子魚を他の親や他種から産された仔魚と区別 するかどうかを調べる基礎資料を得る目的で実 験を試みた。子魚ほ,産予後4日目,8日目及 び30日以後のものが用いられ,母親カダヤシに よる子魚捕食行動が観察された。実験は,光条 件が統一・された水槽に母親カダヤシを1時間順 応させたのち,各子魚を10個体投入し直後から 20分間の行動観察が行われた。得られた結果ほ, 次の通りである。 1)描食行動ほ次の単位行動型に■まとめられ る。 定位Ori孤tation(0),浮き上がりFlooting

up(F),攻撃Atack(A),描食Predation(P),

底つつきBottom pecking(Bp),上下運動Up

and down(Ud),Z活動Z activity(Z),口

あけYawning(Y),泳ぎSwimming(S) 2)単位行動型は,定位行動群(定位,浮き 上がり),描食行動群(攻撃,捕食,口あけ) 及びZ活動群(底つつき,上下運動,Z活動) の3群にまとめられる。 3)描食行動群ほ,定位行動群にひきつづい て発現する。 4)措食行動が妨げられると,Z活動群の頻 度が高くなる。 5)Z活動群は,内的不安定をあらわすもの である。 6)口あけは,捕食行動阻害による代償行動 である。

7)実験1(4日目の子魚)では,捕食欲求

食欲求がきわめて高いことが分かる。 実験2では,3型に全でで描食行動群の頻度 が低く,描食欲求が低下していることが分かる。 ただ,Z活動群の頻度が低下すると,描食行動 群の頻度が増大していることから,Z活動群と 捕食行動群ほ,内的要因が反対の性格のもので あることが分かる。 実験3では,C(描食型)がみられないこと から,内的不安定がより高まっていることが分 かる。また,定位行動群の頻度も全体的に高い。 これほ,子魚の遊泳能力が実験1,2よりも高 いので捕食行動に∴使うェネルギ−が多いため休 んでいると考えるべきか,子魚をカダヤシが認 知してカダヤシの子であるとみなしたためか, これだけからほ分からない。 これら実験1∼・3を総合すると,Z活動群ほ, いくらか異なった機能を持った2つに.区分でき そうである。1つほ,Z活動と上下運動で,描 食欲求を妨げる内的葛藤を現し,他の1つは, 底つつきで,措食行動が妨げられたときに起こ る内的不安定状態を示すものと考える。定位行 動群の浮き上がりも,子魚がただ水面にいたた めに.起こる定位とみなす場合と,休止のために 浮き上がり水面の他の捕食物を探すために起こ る場合の2つが考えられる。 5.描食数の時間変化 初期に.描食数が多く,その後なだらかに減少 しているのは,当然のことながら摂食に.よる飢 え欲求が減少した結果である。 実験2の行動観察からほ,実験1と実験2の 子魚とほ,大きさでは目だった変化はみられな いが,遊泳力が増大している。このことほ,遊 泳力がより大きい個体が描食を免れることを示 唆している。また,実験3では,子魚が大きく なり遊泳力が増大することと,成長によって, 仲間として認知しやすくなることで捕食衝動が 低下させられているのではないか。 また,描食率(描食数/攻撃回数)を出して

みると,実験1が20%,実験2が21%,実験3

が12小5%となる。このことから,実験2で遊泳 力にはっきりした差があるにもかかわらず,描

(10)

が高く,実験2(8日目の子魚)でほ,捕食行 動が抑圧されている。また,実験3(30日以後 の子魚)では,子魚の成長によって捕食行動が 妨げられてこいる。 8)個体には,個体特有の生得的性質(個体 差)が強く,行動に影響を与える。 9)カダヤシは,産子後8日日で個体差があ らわれ,母親を含めてその差異が大きく,行動 解析を困難にしている。 文 献 土肥昭夫.1969.グッピ、−の摂食行動(摂餌初 期に.関する実験的研究).日生腰会誌19: 62−・66. 小野嘉明.1948.メダカの食餌行動における社 会的容易化.動心年報 2:37−44. ・植松辰美.1968.メダカ性行動のサ イン刺激の実験的分析.日生腰会誌18:65 −74. 末広喜代−‥植松辰美.1976.ヒメダカに・おけ る摂食行動の社会的促進Ⅰ.社会的促進率 の経時変化の再検討.日生態会誌 26:213 −220. 植松辰実.1971a.グッピ・一における摂食行動 の社会的促進Ⅰ.社会的促進現象の確認. 日生態会誌 21:48−・51. 1971b.グッピ仙における摂食行動 の社会的促進 Ⅱ.社会的促進の機構.日生 態会誌 21:54−67. 岬− .1971c. グッピーにおける摂食行動 の社会的促進 Ⅲ.社会的促進と運動・呼吸 ・生長との関係.日生態会誌 21:96−103. ・小川幸子.1975.淡水魚における摂 食行動の社会的促進(3). ヒメダカ.動心年 報 25:57−64. ・斉藤恵子.1973.淡水魚における摂 食行動の社会的促進(2). メダカ.勒心年報 23:43“47. ・高森順子.1976.ヒメダカにおける 摂食行動の社会的促進Ⅰ.摂食初期の連続 観察.日生態会誌 26:135−140.

参照

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