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営業店担当者の具体的
役割の概要とは?
●営業店は、中小企業者に対する信用供与についての対応
について、主導的な役割を担います。
●営業店は、中小企業者からなされた負担軽減の申込み等
に対する具体的な対応において、主導的役割を担います。
●営業店は、住宅資金借入者からなされた負担軽減の申込
み等に対する具体的な対応において、主導的役割を担い
ます。
中小企業者に対する信用供与についての対応
金融機関は、中小企業者に対する信用供与について、当該中小企業者の特性およびそ
の事業の状況を勘案しつつ、できる限り、柔軟にこれを行うよう努力することが求めら
れています(法3条)。
中小企業者からなされた負担軽減の申込み等に対する対応
金融機関は、当該金融機関に対して事業資金の貸付けに係る債務を有する「中小企業
者」であって、当該債務の弁済に支障を生じており、または生ずるおそれがあるものか
ら当該債務の負担の軽減の申込みがあった場合には、当該中小企業者の事業についての
法令には、かかる信用供与についての対応について、具体的な内容は明示されて
いません。その内容は、各金融機関の規模、特性その他の個別の状況を踏まえて決
定されることになります。金融検査マニュアルの金融円滑化編チェックリスト等に
おいて、各対応をとるにあたって考慮すべき事項が例示されています。
参 照 マニュアル26P
P002-021_01-10_金融1編_1_五校 10/03/11 13:34 ページ 12
住宅資金借入者からなされた負担軽減の申込み等に対する対応
金融機関は、当該金融機関に対して住宅資金の貸付けに係る債務を有する「住宅資金
借入者」であって、当該債務の弁済に支障を生じており、または生ずるおそれがあるも
のから当該債務の負担の軽減の申込みがあった場合には、当該住宅資金借入者の財産お
よび収入の状況を勘案しつつ、当該債務の弁済に係る負担の軽減に資する措置をとるよ
う努めるものとされています(法5条)。
営業店担当者が主導的役割
基本解説で説明しました、信用供与または負担軽減の申込み等に対する各対応は、基
本的に各取引先と日常的に取引を実行している営業店の担当者が主導して実施する必
要があります。
本部との連携
上記のとおり、説明された各対応措置の実施にあたっては、営業店の担当者が、本部
が整備した金融円滑化管理方針や管理体制に従って、主導的役割を担う必要がありま
す。
しかし、取引先との間で講じるべき具体的措置が金融円滑化管理方針や管理体制に抵
触しないか否かについては、その趣旨を明らかにするために、本部の意見を聞く必要が
生じることがあります。この点で本部と営業店の連携を十分にとることが重要となりま
す。
信用供与についての対応と同様、法令には、かかる負担軽減の申込み等について
の対応について具体的な内容は明示されていません。
その内容は、各金融機関の規模、特性その他の個別の状況を踏まえて決定される
ことになります。金融検査マニュアルの金融円滑化編チェックリスト等において、
各対応をとるにあたって考慮すべき事項が例示されています。
信用供与に対する対応等と同様、法令には、かかる負担軽減の申込み等について
の対応について具体的な内容は明示されていません。
その内容は、各金融機関の規模、特性その他の個別の状況を踏まえて決定される
ことになります。金融検査マニュアルの金融円滑化編チェックリスト等において、
各対応をとるにあたって考慮すべき事項が例示されています。
ケース1
X信用金庫x支店の渉外担当者が、少額の預金取引のみの顧客
であった製造業者A社を訪問したところ、業容拡大に伴う運転資
金としての融資の検討依頼を受けた。A社の財務諸表を検討した
ところ、前々期の遊休資産売却で債務超過に陥っており、また前
期は急激な景気悪化の影響で不良在庫が発生、その処理に伴って営業、経
常、当期、すべての段階で赤字となっている。本部に諮る前に事情を聞い
たところ、代表者からの借入れを資本とみなすと資産超過に転じること、
また、不良在庫は前期に処理済みで、今期の在庫は適正な範囲で推移、決
算も黒字を確保できそうとのことであった。
しかし、X信用金庫の本部は、債務超過、赤字という形式面を重視し、詳
しい説明を聞くことなく、融資を拒絶するよう担当者に指示した。
ケース2
Y銀行y支店の取引先であるB社は、自動車部品の下請メーカーであ
る。昨年の自家用車の販売不振の影響を受け、売上高が急激に落ち込み、前
期決算は赤字に転落した。
B社は、高級車向け部品から、比較的販売が堅調なハイブリッド車・軽
自動車向け部品へのシフトにより売上の回復を計画し、その旨をy支店に
説明したが、y支店の融資役席はB社の説明に懐疑的であった。
加えて、Y銀行のB社に対する融資は保全が不十分で、本店審査部より
再三保全強化を要請されていたことから、今回の赤字転落を契機に、例年
対応していた賞与資金の融資申込みについては謝絶することを決定した。
申込謝絶の判断をする際
の判断材料と判断手続
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ケース例題では、財務諸表上の赤字転落が謝絶の理由の1つとなっています。謝絶の
判断をするうえで、財務諸表の記載をどの程度重視するかがポイントとなります。
財務諸表の評価
ケース1、2とも、債務者から将来的な黒字化の話が出ています。将来的予測を織り
込む場合に、どの程度客観的に認定することになるかがポイントとなります。
黒字化の“見込み”
ケース1、2とも、営業店担当者と本部とは必ずしも認識が一致していません。判断
材料の話とは別に、営業店と本部との関係がポイントとなります。
判断における営業店担当者と本部の関係
支店長
いずれのケースでも、財務諸表上は業績が芳しくなく、正直なとこ
ろ、新規融資に躊躇を感じざるをえません。金融円滑化法がある以上、
謝絶は許されないのでしょうか?
支店長
財務諸表以外の個別事情としては、将来の業績予測が挙げられま
す。顧客側からは景気のよい話を聞かされるのが常ですが、どのよう
に判断材料とすればよいのでしょうか?
参 照 マニュアル26P
参 照 マニュアル26P
弁護士
いえ、そのようなことはありません。金融円滑化法は手放しの与信
緩和を求めるものではなく、また、金融機関の業務の健全性を犠牲に
してまでそれを求めるものでもありません。
財務諸表の内容を判断材料とすること自体はむしろ適切といえる
面もあります。ただ、財務諸表のみで一刀両断に判断するのではなく、
顧客ごとの個別の経営実態を幅広く把握したうえでの判断が求めら
れるということです。
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申込謝絶の判断をする際の判断材料と判断手続
では、申込みを受けた場合の判断のプロセス
を簡単に説明してください。
支店長
支店長
ところで、上記のいずれのケースでも、営業店担当者と本部との間
に認識の違いが生じており、適切な判断がなされているかどうか懸念
があります。望ましい形はどのようなものでしょうか?
弁護士
営業店担当者は顧客対応の主導的役割を果たし、本部は各営業店に
共通の一般的方針を提供すべき立場にあるのであって、両者の連携に
より充実した体制整備が実現できます。
個々のケースの情報収集および検証を経たうえで、本部に具体的事
情を説明して当該ケースならではの対応をすることについての理解
を得るため努力するのが、営業店担当者の役割といえます。
弁護士
金融円滑化法が一律の基準を定めているわけではなく、経営実態に
つき適切に情報収集し、検証するという一般的な指針に尽きます。具
体的な話は、ケース・バイ・ケースでしょう。
弁護士
申込みへの対応としては、①受入れ、②代替提案、③謝絶という3
パターンが想定されています。
第一に、顧客の経営実態を十分に把握したうえで、経営判断も考慮
して、受入れの可否を検討します。第二に、受入れが困難である場合、
別の形で顧客のニーズを充たすことができる代替提案の可能性を検
討します。第三に、受入れも代替提案も困難である場合には、謝絶す
ることになります(提示した代替提案を顧客が受け入れられない場合
も、謝絶することになります)。いずれの対応についても、顧客に対し
て合理的説明をすることが重要です。
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営業店の担当者が独断で新規融資の申込みを謝絶
Z銀行の「融資説明に関する規程」では、顧客からの融資申込みを謝
絶する場合、必ず役席者が面談し、謝絶の理由を説明する旨定めている。
ところが、渉外担当者zは、C社からの赤字資金の融資申込みを受け
た際、C社の業況および保全状況から新規融資は困難と判断し、役席者
に相談することなく謝絶した。
その後、渉外担当者zは謝絶した旨を担当役席に報告したが、担当役
席もこれ以上の新規融資は困難と考えていたので、当該報告を受け流し
た。
☆営業店担当者が単独で判断することの問題点
このケースでは、渉外担当者zが役席者に相談することなく謝
絶をしています。営業店と本部との役割分担については前述しましたが、営業
店内部でも、事柄の性質上、判断の適切性や正確性を確保する仕組みが望まれ
ます。Z銀行の「融資説明に関する規程」で、面談に役席者の同席が定められ
ていたのですが、この“仕組み”の1つと考えられます。
渉外担当者zと役席者の行動は、不適切といえるものでした。
☆謝絶の際の“説明”の必要性
担当者が行うか役席者が行うかは別として、謝絶の際に、顧客の知識・経験
の程度に応じて柔軟に、具体的に“説明”をし、顧客の理解と納得を得るよう
心がける必要があります。特に、長期の取引関係があるような場合には、その
信頼関係の点から、できる限り速やかに十分な説明を行うべきです。
Z銀行の「融資説明に関する規程」は、この“説明”を定めるものです。
なお、このような“説明”は、謝絶をする場合にのみ問題となるものではな
く、顧客から負担の軽減の申込みがあった場合には、常に必要とされます。
☆新規融資の申込みを受けた際の開示・報告の義務
新規融資の申込みを受けた際の対応については、法令上の開示・報告の対象
外です。ただ、金融円滑化編チェックリストに基づき、記録を作成・保存する
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金融円滑化編チェックリスト(金
融検査マニュアル「金融円滑化
編」)について確認しましょう!
●金融検査マニュアルの「金融円滑化編」を構成する「金融
円滑化編チェックリスト」の概要、内容を確認しましょう。
金融円滑化編チェックリスト(金
融検査マニュアル「金融円滑化
編」)について確認しましょう!
金融検査マニュアルの改定
金融円滑化法が制定されたことに伴い、金融円滑化法の実効性を担保するべく、金融
検査マニュアルが改定されました。
金融検査マニュアルの一部である「金融円滑化編」の冒頭に標題として掲げられてい
るとおり、「金融円滑化編チェックリスト」は「金融円滑化編」の具体的中身です。
金融円滑化管理態勢を整備・確立するための金融円滑化管理全般を統括する
責任者として金融機関に設置される者をいいます。
金融円滑化管理責任者
金融円滑化管理責任者が定める、金融円滑化管理に関する取決めを明確に定
めた内部規程をいいます。
金融円滑化管理規程
金融機関の業務内容および方法に応じた、融資審査、顧客説明等に関する具
体的手続きを網羅した、詳細かつ平易なマニュアルをいいます。
金融円滑化マニュアル
参 照 マニュアル18P
P134-153_01-10_金融3編_1_五校 10/03/11 13:41 ページ 142
確認して総仕上げ! 「金融円滑化法の重点再チェック」
び適切性の観点から極めて重要です。
このような観点から、金融検査マニュアルの「金融円滑化編」においては、「方針の策
定」として、取締役会が金融円滑化管理方針を定め組織全体に周知させているか等が検
証されることになっています。また、「内部規程・組織体制の整備」として、取締役会等
が、金融円滑化管理責任者の責任および権限を明確化し、適切な役割を担わせる態勢を
整備しているか等について検証されることになっています。さらに、「評価・改善活動」
として、取締役会等が、態勢上の弱点や原因を検討し、改善の実施を行っているか等に
ついて検証されることになっています。
管理責任者による態勢の整備・確立状況~金融円滑化編の内容②
金融円滑化管理責任者の役割責任についても、チェック項目が定められています。た
とえば、金融円滑化管理責任者が、金融円滑化管理規程および金融円滑化マニュアルを
策定し、その内容の適切性について確認しているかが検証されます。
また、金融円滑化管理責任者による管理の実施についても、①管理態勢を整備してい
るか、②各部署に散在する金融円滑化関連情報を適時かつ効率的に収集・管理・分析し
ているか、③営業店における金融円滑化の状況をモニタリングしているか、④金融円滑
化マニュアルを職員に周知徹底しているか、などのチェック項目が定められています。
個別の問題点~金融円滑化編の内容③
金融円滑化編では、上記に加え、個別具体的な問題点について検査官が検証するため
の多くの事項がチェック項目として記載されています。たとえば、新規融資や貸付条件
の変更等の相談に対し、財務諸表等の表面的な計数や特定の業種であることのみに基づ
いて判断する等、機械的・画一的な判断を行うのではなく、顧客の事情をきめ細かく把
握したうえで対応しているか、などの事項がチェック項目として挙げられています。
また、中小零細企業に対しては、経営相談、経営指導、経営改善計画の策定支援等を
通じて積極的に企業・事業再生に取り組んでいるかなどの事項が挙げられています。住
宅ローンについては、特定の業種や中小・零細企業等に勤めている顧客に対して一律に
謝絶する等、不適切な対応を行っていないかなどの事項が挙げられています。
金融円滑化編は、時限立法である金融円滑化法について期限が
到来した後においても適用される恒久的措置として位置づけら
れています。金融円滑化法自体が時限立法であるからといって油
断せず、金融検査マニュアルの内容をしっかりと把握することが
期待されます。