昭 和36年7月(1961) 43一
食 品 中 の ビ タ ミ ンの 研 究(第
三 報)
納 豆 製 造 中 に お け る ビ タ ミ ンB1の 消 長工
藤 豊
遠
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小 松 初 子≒
勢 →←今← 器 柘 緒 言 大 豆 は 中 国 を 原 産 地 と し中国 本 土,満 州,日 本,朝 鮮 お よび イ ン ドネ シ ア を 含 む 地 域 で古 くか ら 栽 培 され て 来 た 。 穀 物 を 主 食 と し,ま た 菜 食 の 多 い 束 洋 人 に と つ て 農 作 物 の な か で特 に 蛋 自質 と脂 肪 の の 多 い 大 豆 は 栄 養 上 重 要 な 価 値 を もつ て い る。m方 食 物 と して の 大 豆 の 大 き な 欠 点 は 組 織 が 硬 い た め に 普 通 の 調 理 で は 消 化 が 悪 い こ とで あ る。 この 問題 を解 決 す る方 法 と し て 粉 砕,加 熱,膨 化 な どの 機 械 的 方 法 や 微 生 物 に よ る 発 酵 加 工 法 が 工 夫 され て き た 。 前 老 に は 黄 名 粉,豆 腐 な どが あ り,発 酵 加 工 に は み そ,し よ うゆ,納 豆 な どが あ る。 わ が 国 の 大 豆 発 酵 食 品 の うち で 生 産 量 の 多 い も の は み そ,し よ うゆ で あ るが,こ の 他 に 糸 引納 豆,塩 納 豆 類 が あ るが,納 豆 の 歴 史は 鎌 倉 時 代 の 末 か ら見 え 室 町 時 代 には 唐 納 豆,江 戸 時 代 に 入 る と浜 納 豆 の 名が 文 献 に 見 られ るが これ らは 大豆 に 食 塩 を 加 え た もの に 麹 菌 を 作 用 さ せ て 作 つ た もの であ り,今 口納 豆 とい う の は 系 引 納 豆 の 事 で 大 豆 に 納 豆菌 を 作 刑 させ て作 つ て い る。 糸 引納 豆 が 大 量 生 産 され る よ うに な つ た の は 大 正 以 降 で,純 粋 培 養 菌 に よ る衛 生 的 な 生 産 方 式 が 始 め られ て か らの こ と で あ る。 糸 引納 豆 の よ うに 蒸 煮 大 豆 に細 菌 を 繁 殖 させ て生 菌 の ま ま 食べ る食 品 は 口本 が 独 特 の もの で外 国 に そ の 例 を み な い。 発 酵 加 工 法 は 大 豆 の 硬 い 組 織 を 軟 化 させ て成 分 の 消 化 性 を増 大 し,さ ら に 原 料 大 豆 に 全 くな い 風 味 を もた せ た り,ビ タ ミン 類 お よび 人 間 の 代 謝 に 必 要 な未 知成 分 の 生 産 な ど も期 待 され る点 で 有 利 で あ る。 しか し本 法 の 問 題 点 の 一つ と して 発 酵 の た め の 浸 漬,蒸 煮 な どの 前 処 理 や 微 生 物 の 生 育 に と もな う栄 養 成 分 の 損 失 な どの 欠 点 が あ る。 (1) 今 納豆 の文 献 をみ るに林氏等に よつ て納 豆 製造 工程 中に おけ る発酵時 問 と納豆 成分の変 化等種 々研究 が試 み られ て い るが,著 者 らは 納 豆 製 造 中 に お け る総 ビ タ ミンB1お よび 遊 離 型,結 合 型Bコ が どの よ うに 変 化 す るか を 知 るた め に本 研 究 を 試 み た 。 (?) 定1111は藤 原 氏 の 螢 光 度 ビ タ ミ ンB1定 量 法 を 川 い, い ず れ も乾 物1009中 の 総 ビ タ ミ ンB1量 お よ び 遊 離 型, 結 合 型 ビ タ ミ ンB1冠 を 算 出 し た 。 実 験 の 部 〔1〕 試 薬 1) Q.1N H2SO4 2)4M酢 酸 ソ ー ダ 3ノ 酢 酸 緩 衝 液 4) 4%タ カ ジ ァ ス タ ー ゼ 5) 25%KCI液 6) 3%IIAぴ 7)パ ー ム チ ソ ト(B1定 量 川60∼100メ ッ シ ュ) 8) 25%KC1・Hα(脱 着 用) (0.1NHCl) 9) ::51118,°oL'1貯 蔵 液 10)B1添 加 液(1γ/cc) 11) 34,0NaOH 12) n-BuOH紐 13) 硫 酸 キ ニ ー ネ 貯 蔵 液10.8mg/1(0.1NHコSO↓) 14)無 水 芒 硝 15) 螢 光 標 準 液 1 検 夜 の 調 製 (a)総 ビ タ ミ ン $1の 検 液 の 調 製 蒸 溜 水 約20m1に 原 料 大 豆(北 海 道 産 中 粒 大 豆)5g (約22粒)を 入 れ, ホ モ ゲ ナ イ ザ ー で 粉 砕 後 こ れ を 100rn1の メ ス コ ル ベ ン に 移 す 。 つ い で0.1NH2SO4 45mlを 加 え て 沸 騰 水 中 で30分 間 加 熱 す る 。 加 熱 は 当 初5分 間 は よ く ふ り ま ぜ,以 後5分 毎 に144一 回 ふ り まぜ る。 つ ぎに500C以 下 に 冷 却 後4M酢 酸 ソ ー ダ液 を3ml加 え る とpHが4 .5∼4.7と な る。 これに 5°oジ ァ ス ター ゼ 液 の6m1を 加 え て45∼50QCの 温 浴 に とき ど きか き まぜ な が ら約2時 間 保 持 す る。 室 温 に 冷 却 後 蒸 溜 水 を 加 え て 液 量 を100m1と し遠 心 沈 澱 を 行 な う と透 明 な浸 出 液 を 得 る。 ㈲ 遊 離 型 ビタ ミンBコ の検 液 の調 整 蒸 溜 水 の 適 量 を沸 騰 さ せ,こ れ に 検 体 を 磨 砕 せ ず に 投 入 し,引 続 き15分 間 加 熱 す る。 これ を ホ モ ゲ ナ ィザ ーで 粉 砕 後0 .1NH2Sqを 加 え てpH4.5と し,液 量 を 100m1と した の ち 遠 心 沈 澱 を 行 な うと透 明 な 浸 出液 を 得 る。 皿 吸 着 pH約4、5の 上 記 浸 出 液10∼20mlを ホ ール ピペ ッ トに とつ て カ ラ ムに 注 ぎ こみ,1分 間1mlの 流 速 で吸 着 さ せ る。さ らにpH4.5の 水5mlで カ ラ ムの 内 部 を 洗 い な が ら同 じ流 速 で完 全 に 吸 着 さ せ る。 皿 水 洗 沸 騰 水 を 用 い て1分 間 に3∼4mlの 速 度 で洗 浄 す る 。 N 脱 着 カ ラ!・が あ つ い うち に 沸 騰25%KCI・HC1液 を カ ラ ム に 注 ぎ水 洗 と同 じ速 度 で 通 す 。こ の脱 着 液25mlを メ ス シ リン ダ ーに 集 め る。 冷 後25°oKCI・HCI液 で正 確 に 25mlと す る。 V 酸 化(赤 血 塩 反 応) 脱 着 液5m1ず つ を ホ ール ピペ ッ トで共 栓 遠 心 沈 澱 管 に と り,そ れ ぞ れ 次 の よ うに 反 応 さ せ る。
一
脱 着 液 B1添 加 液 酢 酸 緩 衝 液 30°o NaOH 1% 赤 血 塩 5ml o,a 3 5rnl O.2 3 0.2 5m1 0.2 3 0.2 つ ぎに こ の 各3本 に ブ タ ノ ー ル20m1を 加 え て100回 ふ りまぜ た 後,無 水 芒 硝29を 加 え て 再 び100回 ふ り ま ぜ た 後 遠 沈(1000γpm約3分)を 行 な い,上 清 の BuOH層15mlを 試 験 管 に と る。 Vl測 定 コ タ キ光 電 比 色計 に 付 属 したB1定 量 用 補 助 装 置 を 用 い,キ ュペ ッ トに 上 記BuOH層15m1を 入 れ て 盲 検, 主 検,添 加 の 順 に 測 定 す る。 〔皿〕 計 算 本 実 験 で は 次 式 よ り乾 物1009中 の ビ タ ミンB1量 を 食 物 学 会誌 ・第10号 算 出 した。 ∫E-∫ 丹 Mr=cx 7 fE-fH o:添 加B1量 ∫η:盲 検 の 読 み ∫E:主 検 の// ∫刃:添 加 の 〃 Mγ:主 検 中 のB1量 従 つ て試 料 中 のB1量 は -M× N V η% -Xloor o -X-- P A V:稀 釈 倍 数 A:吸 着 液 量 N:脱 着 液 量(25m1) P:酸 化 に 用 い た 脱 着 液 量(5ml) 〔皿〕 実 験 結 果 (1)原 料 大 豆 北 海 道 産 中 粒 大 豆 を 供 試 大 豆 と して 用 い た 。 供 試 大 豆 の一 般 成 分 お よび ビ タ ミンB1量 は 第1表 お よび 第 2表 の 通 りで あ る。 第1表 試 料 分 析 値 原料大豆 水 分 jO 13.0 灰 分 蛋 白 質 CO I pO 5.0 33.0 脂 肪 jO 16.5 炭 水 化 物 00 33.0 第2表 試 料 中 の ビ タ ミン含 有 量 原料大豆 総V.Bl r°o 42Q 遊 離V.Bコ 結 合 型V. Bゴ r°o r,o 170 250 (北 海 道 産 中 粒 大 豆 100gは 約420粒) ブ イ ル タ ーUVB1.,20mm吸 収 液 槽 使 用 (2)浸 漬 大豆 の組 織 を 軟 化 し,蒸 煮 を 容 易 に す る た め に 浸 漬 して 水 分 を充 分 に 吸 着 させ る。 吸 水 の 適 量 は 大 豆 の 重 量=が浸 漬 前 の2.1∼2.2倍 に な る程 度 で,大 豆 を 切 断 し た場 合 い つ ば い に 吸 水 して 左 右 の 子 葉 が ピ ツ タ リとつ い て 空 間 の な い状 態 で あ る。 この 時 の 浸 漬 時 間 と ビ タ ミンB1量 の 関 係 は 第3表 の とお り で あ る 。 3 蒸 煮 蒸 煮 に よつ て 大 豆 の 炭 水 化 物 は あ る程 度 加 水 分 解 さ れ,蛋 白 質 は 熱 変 性 を うけ て 納 豆 菌 の 繁 殖 が 容 易 に な る 。 蒸 煮 方 法 に は 煮 熟 法}無 圧 蒸 煮 法,加 圧 蒸 煮 法 な どが あ るが 著 者 らは この うち の 加 圧 蒸 煮 法 を 用 い た 。 1気 圧30分 間 蒸 煮 時 の ビ タ ミンB1量 は 第4表 の 如 く昭 和36年7月(1961) で あ る。 第3表 浸 漬 時 間 と ビ タ ミン$1の関 係 浸 漬 時 間 (hrj 0 10 20 40 総肌B洲 遊 」'°o 420 170 375 100 360 340 85 60 結 合 型 v.s, r,% 250 275 275 280 浸 漬 温 度 室 温(18。C∼20QC) 第4表 蒸 煮 と大 豆 中 の ビ タ ミンB1の 含 有 量 1気 圧30分 間 蒸 煮大 豆 総 「凱Bコ rro 84