標準新演習 理科中2
指導のポイント
学 習 内 容
1 炭酸水素ナトリウムの加熱 (P.20) ⑴ 炭酸水素ナトリウム…白色の粉末で,重そうともよばれる。ベーキン グパウダーなどのふくらし粉に含まれている。熱を加えると炭酸ナ トリウム,二酸化炭素,水に分解する。 暗記 ①炭酸水素ナトリウム…水に少 し溶け,弱いアルカリ性を 示す。フェノールフタレイ ン溶液を加えるとうすい赤 色を示す。 ②炭酸ナトリウム…水によく溶 け,強いアルカリ性を示す。 フェノールフタレイン溶液を加えると濃い赤色を示す。 ③二酸化炭素…石灰水を白くにごらせる。 暗記 ④水…青色の塩化コバルト紙を赤色(桃色)に変える。 ⑵ カルメ焼き…ザラメを湯でとかし,煮詰めて炭酸水素ナトリウムを加 えてふくらませた菓子。 2 酸化銀の加熱 (P.21) ⑴ 酸化銀…黒色の粉末。加熱する と銀と酸素に分解する。白い 物質(銀)が残る。 ①銀…みがくと光る。たたくとの びる。電流を流す。 ②酸素…線香を激しく燃やす。 3 化学変化と分解 (P.21) ⑴ 化学変化……元とは違う別の物質ができる変化。化学反応ともいう。 ⑵ 分解… 1 つの物質が 2 つ以上の物質に分かれる変化。加熱によって起 きる分解を熱分解という。 暗記 ・炭酸水素ナトリウム→炭酸ナトリウム+二酸化炭素+水 暗記 ・酸化銀→銀+酸素 暗記 4 水の電気分解 (P.22) ⑴ 電気分解…分解反応の一種で,電気を利用して分解する。 ⑵ 電極…電源の+極につないだ電極を陽極 電源の-極につないだ電極を陰極 ⑶ 水の電気分解…水酸化ナトリウムを加 えた水を,電気分解装置を使って電 流を流す→水素と酸素が発生する。 理解 陰極(-極)…水素が発生 陽極(+極)…酸素が発生 気体の体積…水素:酸素= 2:1 ・水酸化ナトリウムを加える理由…純粋な水は電気を通しにくいので, 少量加えることで電気を流れやすくしている。 理解 5 水以外の電気分解 (P.23) ⑴ 塩化銅水溶液の電気分解…塩化銅水溶液 (青色)に電流を流す→銅と塩素が発生 陰極…銅が陰極に付着する 陽極…塩素が発生 ①塩化銅…青色の結晶。水によく溶け,青色 の水溶液になる。 ⑵ 塩酸(塩化水素水溶液)の電気分解…うす い塩酸に電流を流す→塩素と水素が発 生する。 陰極…水素 陽極…塩素 発生する気体の体積…水素:塩素= 1:1 (ただし,塩素は水に溶けやすいため,実際 に集まる気体の体積は塩素の方が少なくな る。) 炭酸水素ナトリウム 二酸化炭素が発生 内側に水滴 がつく 炭酸水素ナトリウム 二酸化炭素が発生 内側に水滴 がつく 酸素 水 酸化銀 酸素 水 酸化銀 ゴム栓 酸素 火のついた線香 を入れると,激 しく燃える。 水素 マッチの火を近 づけると,音を 出して燃える。 目盛り 電源装置 (6V) 正面 陰極 陽極 ゴム栓 酸素 火のついた線香 を入れると,激 しく燃える。 水素 マッチの火を近 づけると,音を 出して燃える。 目盛り 電源装置 (6V) 正面 陰極 陽極 塩素 黄緑色の気体で, 水にとけやすい 水素 無色の気体 で,水にほ ぼとけない 陰極 陽極 塩素 黄緑色の気体で, 水にとけやすい 水素 無色の気体 で,水にほ ぼとけない 陰極 陽極 陰極 (−極) 陽極 (+極) 陽極付近の水 をとって,赤 インクの中に 入れると,色 が消える。 塩素が発生 (刺激臭) 銅が付着 (赤かっ色) 塩化銅 水溶液 陰極 (−極) 陽極 (+極) 陽極付近の水 をとって,赤 インクの中に 入れると,色 が消える。 塩素が発生 (刺激臭) 銅が付着 (赤かっ色) 塩化銅 水溶液補足知識・留意事項など
<導入 1 > 菓子を作るときに,ベーキングパウダーを 混ぜて加熱すると,ふっくらと焼き上げることができる。 ベーキングパウダーを加熱したときに何が起こっている のだろうか。 1⑴ 実験の注意点。 ・試験管の口を少し下げる…発生した水が加熱部分を 急激に冷やして試験管が割れるのを防ぐため。 ・ガラス管を取り出してから火を消す…火を消して試 験管が冷えると内部の圧力が下がり,石灰水が逆 流して試験管が割れるのを防ぐため。 2⑴ 銀の 3 つの性質は金属共通の特性である。 ①みがくと光る…金属光沢 ②たたくとのびる…展性・延性 ③電流を流す…伝導性 ・酸化銀の熱分解では液体が発生しないので,試験管 の口を下に傾ける必要はない。 ・酸素は水に溶けにくいので,水上置換法で集める。 <導入 2 > これまでに学習した,炭酸水素ナトリウムの 加熱や,酸化銀の加熱のように,元の物質とは別の物質 ができることを化学反応という。化学反応とはどういう ものか学習していこう。 3⑴ 化学変化とは,元の物質とは違う別の物質ができる ことなので,別の物質ができない場合には化学変化と はいわない。 ・化学変化の例…塩酸と水酸化ナトリウムを混ぜると 塩化ナトリウムと水が発生する。 ・化学変化でない例…水と砂糖を混ぜて砂糖水を作 る(水の粒子の間に砂糖の粒子が散らばっただけ), 小麦をすりつぶして粉にする等。 ⑵ 分解も化学変化の一種である。 ・熱分解でない例…水を加熱すると水蒸気になる。 4⑶・水素…マッチの火を近づけると音を出して燃える。 ・水酸化ナトリウムを加える理由…他の電解質を代用 した場合,水素と酸素以外の物質が発生してしま う。例えば水酸化ナトリウムの代わりに塩化ナト リウムを入れた場合,陽極から塩素,陰極から水 素が発生してしまう。 ・電流を流すときにピンチコックを開く…気体が発生 することで,H型ガラス管内の圧力が高くなるの を防ぐため。 5⑴ 銅…赤褐色の金属。みがくと光る。たたくとうすく のびる。電流を流す。 塩素…刺激臭のある黄緑色の気体。漂白作用がある。 水によく溶ける。有毒。 P.23 確認問題⑵ ①陰極 ②塩素 塩化銅水溶液の電気分解では,陰極に銅,陽極に塩 素が発生する。炭素棒は電気を通すため,電極として はたらくことができる。塩化銅水溶液の電気分解が進 むと,水溶液中の銅イオンが減っていき,水溶液の色 がうすくなっていく。 【指導のねらい】 ★分解反応について具体例を通じて学ぶ。 ★電気を使った分解反応について学ぶ。1
物質の分解
◆指導ページ P.20 ~ 25 ◆
第 1 章 物質の成り立ち
標準新演習 理科中2
指導のポイント
補足知識・留意事項など
<導入 1 > 中学 1 年のときに,物質は非常に小さな粒子で できていると習ったが,その粒子は原子や分子といったも のから成り立っている。原子や分子とはどういったものか 学習しよう。 1⑴⑶ 原子は 19 世紀はじめにドルトンによって提唱され, 周期表は,19 世紀後半にメンデレーエフが発見した。 ⑵ テキストに書かれている基本的な元素記号はよく使う ので暗記させる。 ⑶・原子の種類のことを元素と呼ぶ。このことから原子の 記号を元素記号という。 ・周期表の左側と右側の部分は縦の列で性質が似ていて, 真ん中の部分は横の列で性質が似ている。 ▼周期表 1 1 3 11 19 37 55 87 H 1.0079 Li Na K Rb Cs Fr 6.941 22.990 39.098 85.468 132.91 (223) 2 4 12 20 38 56 88 Be Mg Ca Sr Ba Ra 9.0122 24.305 40.078 87.62 137.33 (226) 3 21 39 57 ∼ 71 89 ∼ 103 Sc Y * ♯ 44.956 88.906 4 22 40 72 104 Ti Zr Hf Rf (261) 178.49 91.224 47.867 5 23 41 73 105 V Nb Ta Db 50.942 92.906 180.95 (262) 6 24 42 74 106 Cr Mo W Sg (266) 183.84 95.94 51.996 7 25 43 75 107 Bh Re Tc Mn 54.938 (98) 186.21 (264) 8 26 44 76 108 Fe Ru Os Hs (277) 190.23 101.07 55.845 9 27 45 77 109 Co Rh Ir Mt 58.933 102.91 192.22 (268) 10 28 46 78 110 Ni Pd Pt Ds (281) 195.08 106.42 58.693 11 29 47 79 111 Cu Ag Au Rg 63.546 107.87 196.97 (272) 12 30 48 80 112 Zn Cd Hg Uub 65.409 112.41 200.59 (285) 13 5 13 31 49 81 113 B Uut Tl In Ga Al (284) 204.38 114.82 69.723 26.982 10.811 14 6 14 32 50 82 114 C Uuq Pb Sn Ge Si (289) 2087.2 118.71 72.64 28.086 12.011 15 7 15 33 51 83 115 N P As Uup Bi Sb (288) 208.98 121.76 74.922 30.974 14.007 16 8 16 34 52 84 116 O S Se Uuh Po Te (291) 117 Uus (209) 127.60 78.96 32.065 15.999 17 9 17 35 53 85 F Cl Br At I (210) 126.90 79.904 35.453 18.998 18 2 10 18 36 54 86 118 He Ne Ar Kr Xe Rn Uuo (294) (222) 131.29 83.798 39.948 20.180 4.0026 ・水素原子 1 個はおよそ 1 cm の 1 億分の 1 の大きさしかな く,水素原子を 1 g 集めるには,6000 万× 1 億× 1 億個 もの数が必要。 2⑴ 分子の存在は 19 世紀前半にアボガドロが提唱した。 時系列的には,ドルトンの原子→アボガドロの分子→メ ンデレーエフの周期表となる。 ⑵ 状態変化とは,物質が固体,液体,気体の状態を行き 来することである。 ⑶⑷ よく使う化学式は暗記させておくとよい。 P.27 確認問題⑵ ①ア… H2,イ… O2,ウ… H2O ②ア…水素,イ…酸素,ウ…水 この他にも,二 酸 化 炭 素(CO2),塩 化ナトリウム (NaCl)などの基本的な物質については化学式を書ける ようにしておきたい。 3⑴・日常的に目にする物質はほとんどが混合物で,特別に つくらなければ純粋な物質を目にすることはほとんど ない。 ・水道水は,消毒に使われる塩化物などが微量に含まれ ているため混合物となる。化学実験などで使う水には そういった不純物を取り除いた純水が使われる。 <導入 2 > 物質には分子をつくる物質と,原子同士が集 まってできている物質がある。どのような物質が分子をつ くり,どのような物質が分子をつくらないのかを学習する。 4⑴・一般的に分子同士が集まる力より,原子が結びついて 分子をつくる力の方が強い。このことから,分子をつ くる物質の沸点や融点は低いことが多い。 ・水は例外的に,分子同士で集まる力の他に分子間で電 気的な引力がはたらくため,分子同士の間隔が離れに くい→沸点や融点が高い。学 習 内 容
1 原子 (P.26) ⑴ 原子…物質をつくっている最小の粒子。 暗記 ①それ以上分割することができない。 ②種類によって質量や大きさが決まっている。 ③他の種類の原子に変わったり新しくなったりしない。 ⑵ 原子の記号… 1 文字か 2 文字で書き,最初 の文字は大文字で,2 文字目は小文字で 書く。(例酸素 O,炭素 C,銅 Cu) ⑶ 原子の性質 ①原子の大きさと質量…種類によって異なる が非常に小さい。 ②周期表…原子を原子番号の順番に並べた表。 ③原子番号…原子の構造に基づいてつけられた番号。 ④原子量…炭素原子を基準にして,それと比べた値で表される原子の 質量。 2 分子と化学式 (P.27) ⑴ 分子…いくつかの原子が結びつ いた粒子。物質の性質を表す 最小の粒子。 暗記 ⑵ 状態変化と化学変化 理解 ①状態変化…原子や分子の集まり 方だけ変わる。 (例水の蒸発 水→水蒸気) ②化学変化…原子の結びつきそのものが変わる。 (例水の電気分解 水→水素+酸素) ⑶ 化学式…原子の記号で,物質のつくりを表したもの。 ⑷ 化学式が表すこと 理解 ①原子の記号…物質をつくる原子の種類 ②右下の数字…物質をつくる原子の数 ③化学式を書くときは金属を先に書く。 非金属は C →N→H→ Cl → O の順に書 く。(例:◯ NaCl × ClNa) 3 単体と化合物 (P.28) ⑴ 物質の分解… 1 つの物質から,化学変化で 2 つ以上の物質ができる こと。(例炭酸水素ナトリウムの熱分解 炭酸水素ナトリウム→ 炭酸ナトリウム+二酸化炭素+水)理解 ⑵ 単体と化合物 ①物質の分類…物質は純物質と混合物に分けられ,純物質は単体と化 合物に分けられる。 ②単体…それ以上は別の物質に分解できない物質。1 種類の原子だけ からできている。(H2,O2,Ag など) ③化合 物 … 別 の 物 質 に 分 解 で き る物質。2 種類以上の原子か ら で き て い る。(H2O,AgCl, NaHCO3 など) 4 分子をつくる物質・つくらない物質 (P.29) ⑴ 分子をつくる物質・つくらない物質 理解 ①分子をつくる物質…分子が集 まってできた物質。非金属 の原子だけでつくられてい る物質が多い。 ②分子をつくらない物質…原子 が決まった割合で集まっ てできている物質。金属 原子を含むものが多い。 ⑵ 分子をつくる単体・つくらない単体 ①分子をつくる単体… O2,H2,N2,Cl2 など 暗記 ②分子をつくらない単体… Ag,Fe,Cu,Mg,Na,C,S など 暗記 ⑶ 分子をつくる化合物・つくらない化合物と化学式 ①分子をつくる化合物… H2O,CO2,NH3,HCl ②分子をつくらない化合物… Ag2O,CuO,MgO,FeS など 金属 カルシウム 銀 鉄 銅 ナトリウム マグネシウム Ca Ag Fe Cu Na Mg 非金属 硫黄 塩素 水素 酸素 炭素 窒素 S Cl O H C N 金属 カルシウム 銀 鉄 銅 ナトリウム マグネシウム Ca Ag Fe Cu Na Mg 非金属 硫黄 塩素 水素 酸素 炭素 窒素 S Cl O H C N H H 水素分子 水分子 アンモニア分子 酸素分子 二酸化炭素分子 H O H O O O C O H H H N H H 水素分子 水分子 アンモニア分子 酸素分子 二酸化炭素分子 H O H O O O C O H H H NO₂
酸素 二酸化炭素CO₂
酸素原子 2 個 酸素原子 2 個 炭素原子 1 個(1 は省略)O₂
酸素 二酸化炭素CO₂
酸素原子 2 個 酸素原子 2 個 炭素原子 1 個(1 は省略) 物質 純粋な物質(純物質) 混合物 単体 化合物 物質 純粋な物質(純物質) 混合物 単体 化合物 分子をつくる物質 分子をつくらない物質 水素 H₂ 酸素 O₂ 水 H₂O 二酸化炭素 CO₂ 銅 Cu 炭素 C 酸化銅 CuO 硫化鉄 FeS 単体 化合物 H H O O H O H O C O Cu Cu Cu Cu Cu Cu C C C C C C Fe S Fe S Fe S O Cu O Cu O Cu 分子をつくる物質 分子をつくらない物質 水素 H₂ 酸素 O₂ 水 H₂O 二酸化炭素 CO₂ 銅 Cu 炭素 C 酸化銅 CuO 硫化鉄 FeS 単体 化合物 H H O O H O H O C O Cu Cu Cu Cu Cu Cu C C C C C C Fe S Fe S Fe S O Cu O Cu O Cu 【指導のねらい】 ★物質を構成している原子と分子について学ぶ。 ★物質ごとの化学式が書けるようにする。2
原子・分子
◆指導ページ P.26 ~ 31 ◆
第 1 章 物質の成り立ち
標準新演習 理科中2
指導のポイント
学 習 内 容
1 化合 (P.32) ⑴ 化合… 2 種類以上の物質が結びつき,別の種類の物質ができる化 学変化。 ⑵ 化合物…化合によって できた物質。化合前 の物質とは異なる性 質を示す。 ①水素と酸素の化合 …水素と酸素の体積 比が 2:1 の混合気体に点火する。→水ができる。 暗記 水素+酸素→水 ②鉄と硫黄の化合…鉄と硫黄の混合物を加熱すると,熱と光を出し て反応する。→黒色の硫化鉄ができる。 暗記 鉄+硫黄→硫化鉄 ③銅と硫黄の化合…硫黄の蒸気に銅線を入れる。→黒色の硫化銅が できる。 暗記 銅+硫黄→硫化銅 2 酸素と結びつく反応 (P.33) ⑴ 酸素と結びつく反応…結びついた酸素の量だ け質量が増える。 ⑵ 酸化…物質が酸素と結びつく反応。 ①銅(赤褐色)+酸素→酸化銅(黒色)暗記 ⑶ 燃焼…激しく光と熱を出して酸素と結びつく 反応。 暗記 さび…金属が酸素とゆっくり結びつくとできるさびもある。 理解 ①鉄+酸素→酸化鉄(黒色) ②マグネシウム+酸素→酸化マグネシウム(白色) ③炭素+酸素→二酸化炭素 空気 スチール ウール ①加熱後の質量をはかる。 →加熱前よりふえている。③電流を通す。 加熱前→電流が流れる。 加熱後→電流が流れない。 加熱前 ↓ 気体が発生する。 加熱後 ↓ 変化なし うすい 塩酸 ②うすい塩酸に入れる。 3 化学変化を表す式 (P.34) ⑴ 化学反応式…化学変化を,化学式を用いて表したもの。 理解 例 2H2 + O2 → 2H2O ①式の左側は反応前,右側は反応後の物質を表している。 ②「→」は反応の前後を表しているので,「=」ではない。 ③係数はその化学式の数を表している。2H2 なら,H2 が 2 個ある ことを示している。 ④式の左側と右側で原子の数は等しくなる。 ⑤式の係数は最も小さな整数を用いる。 4 いろいろな化学反応 (P.35) ⑴ いろいろな化学反応 ①水素と酸素の化合 2H2 + O2 → 2H2O ②鉄と硫黄の化合 Fe + S → FeS ③銅と硫黄の化合 Cu + S → CuS ④銅と酸素の化合 2Cu + O2 → 2CuO ⑤マグネシウムの燃焼 2Mg + O2 → 2MgO ⑥木炭の燃焼 C + O2 → CO2 ⑦酸化銀の分解 2Ag2O → 4Ag + O2⑧炭酸水素ナトリウムの分解 2NaHCO3 → Na2CO3 + CO2 + H2O ⑨水の電気分解 2H2O → 2H2 + O2 ⑩塩化銅の分解 CuCl2 → Cu + Cl2 点火装置 水素と 酸素を 2:1 の 体積の 比で入 れる。 ビニルの袋 ここから 花火が出る。 塩化コバルト紙 →赤色に変化 (水ができた) 点火装置 水素と 酸素を 2:1 の 体積の 比で入 れる。 ビニルの袋 ここから 花火が出る。 塩化コバルト紙 →赤色に変化 (水ができた) 銅の粉末 ステンレス皿 銅の粉末 ステンレス皿
補足知識・留意事項など
<導入1> 熱分解や電気分解など,1 つの物質が 2 つ以上の 物質に分かれる化学反応を習ってきたが,2 つ以上の物質が 1 つの物質に変化する化学反応にはどんなものがあるのだろう。 1⑵①・水素と酸素の体積比は 2:1 で混合気体を作る。 ・点火すると音と光を出して一瞬で反応する。 ②・鉄と硫黄は質量比で 4:7 の割合で混ぜる。 ・反応が始まれば,自身の反応熱で反応が進むため,加 熱をとめる。加熱を続けると,熱で試験管が割れる恐 れがある。 ・硫化鉄…黒色,磁石につかない,塩酸に溶けて特有の 刺激臭のする気体(硫化水素)を発生させる。 ・硫化水素…特有の刺激臭(腐卵臭)がする。 ③・硫化銅…黒色,電気を通す。 2⑶ 鉄は赤さびと黒さびの 2 つのさびがある。 赤さび(Fe2O3)…赤く,非常にもろい。 黒さび(Fe3O4)…表面を黒さびでコーティングすれば,内 部が赤さびとなるのを防げる。 ①・酸化鉄…黒色,電気を通さない,塩酸に溶けない。 ・反応前の鉄は塩酸に溶けて水素を発生するが,反応後の 酸化鉄は塩酸と反応しないので注意する。 ②・酸化マグネシウム…白色,電気を通さない,塩酸に溶 けるが気体は発生しない。 ・マグネシウムは塩酸に溶けて水素を発生するが,酸化 マグネシウムは塩酸に溶けるが,気体を発生させない ので注意する。 ・マグネシウムは燃焼の際に非常に強い白い光を発する。 <導入 2 > これまでに様々な化学変化について学んできたが, これらを化学式で表現することで化学変化をより深く理解す ることができる。 3⑴ 化学変化の書き方は今後とても重要な基礎知識となるの で,しっかりとマスターさせたい。 ・化学反応式の間違った例 (誤)H2 + 12 O2 → H2O 式の係数は最も小さな整数となるようにする。 (誤)2H2 + O2 → H2O 式の左側と右側で原子の数を同じにする。 (誤)2H2 + 1O2 → 2H2O 係数の 1 は省略する。 4 各物質の化学式を確実に書けるようにし,化学反応式を書 けるようにしっかりと指導したい。 ・化学式を書く順番…金属→ C → N → H → Cl → O の順に 書く。 ・それぞれに出てくる物質の性質をここでおさらいしておく。 水素(H2)…非常に軽い気体。燃焼すると水ができる。 硫化鉄(FeS)…黒色の固体,塩酸に溶けて硫化水素を出す。 硫化銅(CuS)…黒色の固体,塩酸に溶けて硫化水素を出す。 酸化銅(CuO)…黒色の固体。 酸化マグネシウム(MgO)…白色の固体,塩酸に溶けるが 気体は発生しない。 酸化銀(Ag2O)…白色の固体。加熱すると銀と酸素に分解。 炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)…白色の固体。加熱すると 炭酸ナトリウムと二酸化炭素と水に分解。 【指導のねらい】 ★物質の化合を,具体例を通じることで理解する。 ★化学変化を化学式で表した化学反応式で書けるようにする。3
化合
◆指導ページ P.32 ~ 37 ◆
第 1 章 物質の成り立ち
標準新演習 理科中2
指導のポイント
学 習 内 容
1 酸化 (P.38) ⑴ 酸化…物質が酸素と結合すること。燃焼のように激しい酸化反応もあれ ば,金属がさびるなどゆっくり進む酸化反応もある。 理解 ①激しく光や熱を発する酸化…マグネシウムや鉄の燃焼,木やガス,ガソ リンなどの有機物の燃焼。 例マグネシウムを空気中で加熱すると,激しく熱と光を発して白色の酸 化マグネシウムになる。 2Mg + O2 → Mg2O ②おだやかな酸化…銅の酸化や鉄のさび,化学かいろなど。 例銅を空気中で加熱すると,熱や光は出さずに酸素と化合し黒色の酸化 銅になる。 2Cu + O2 → 2CuO ⑵ 酸化物…酸素と結合した物質。 暗記 ⑶ 酸素を用いない酸化反応…別の化合物から酸素原子を取り去って酸化す る。 理解 例火をつけたマグネシウムをドライアイスに入れると,マグネシウムが 酸化され,酸化マグネシウムと炭素が発生する。 2Mg + CO2 → 2MgO + C 2 有機物の燃焼 (P.39) ⑴ 有機物…炭素を含む化合物。砂糖や木材,ロウ,エタノールなど。 暗記 ①おもな構成原子…炭素,酸素,水素,窒素など ⑵ 有機物の燃焼によってできる化合物…主に二酸化炭素と水ができる。 暗記 ①二酸化炭素…必ず発生する。石灰水を白く濁らせる。 ②水…ほとんどの有機物から発生する。塩化コバルト紙を青色から赤色 (桃色)に変える。 ③その他…窒素酸化物や硫黄酸化物など。 3 還元 (P.40) ⑴ 還元…酸化物から酸素を除く化学反応。酸化と還元は同時に起きている 場合が多い。 暗記 ⑵ 酸化銅の還元…酸化銅を銅よりも酸化しやすい物質と加熱すると,酸化 銅から酸素が奪われ,還元される。 ①炭素による酸化銅の還元…酸化銅と炭素を混ぜて加熱する。酸化銅は還 元され銅に,炭素は酸化され二酸化炭素になる。 理解 ②水素による酸化銅の還元…酸化銅に水素を送りながら加熱する。酸化銅 は還元され銅に,水素は酸化され水になる。 理解 ① ② 2CuO + C → 2Cu + CO₂ 還元 酸化 CuO + H₂ → Cu + H₂O 還元 酸化 4 酸化(さび)と金属の製錬 (P.41) ⑴ 酸化(さび)…おだやかな酸化により生 じる。 ①鉄くぎのさび…鉄+酸素→酸化鉄 ② 10 円硬貨のさび…銅+酸素→酸化銅 ⑵ さび(酸化)を防ぐ方法…金属に空気が 触れないように膜を作るなどの工夫 をする。 ①塗料(ペンキなど)を塗る…金属が直接 空気に触れないようにする。 ②金属表面に被膜をつくる…アルミニウ ムの酸化被膜など,内部に空気が触 れないようにする。 ③酸化しにくい合金をつくる…数種類の 金属を混ぜることで性能が変わるこ とがある。 ④めっき(金属表面に別の金属を塗る)… トタンやブリキなど。 ⑶ 金属の製錬…鉱物を還元して金属を取 り出すこと。 例鉄の製錬…鉄鉱石(主成分:酸化した鉄)をコークス(主成分:炭素)とと もに高炉で 1500℃以上に加熱する。 鉄鉱石,コークス,石灰石 高炉ガス コークス 鉄鉱石 熱風 熱風 不純物 石灰石 酸素がのぞかれた鉄 とり 出し口 酸素 不純物 銅 高炉でつくられた 鉄は不純物を多く ふくんでいて,も ろくてかたいので, 転炉とよばれる炉 で純度を高め,鋼 となる。 鉄鉱石,コークス,石灰石 高炉ガス コークス 鉄鉱石 熱風 熱風 不純物 石灰石 酸素がのぞかれた鉄 とり 出し口 酸素 不純物 銅 高炉でつくられた 鉄は不純物を多く ふくんでいて,も ろくてかたいので, 転炉とよばれる炉 で純度を高め,鋼 となる。補足知識・留意事項など
<導入 1 > 物質が酸素と化合することを酸化と呼ぶ。 酸化には燃焼のように熱や光を伴う激しいものと,鉄 がさびるようにおだやかなものがある。 1⑴・生物のからだの中でも,おだやかな酸化が起こっ ている。炭水化物を酸化して二酸化炭素と水に変 化させるときにエネルギーを得ている。 ・有機物の燃焼の際は二酸化炭素や水が発生する。 ⑶・酸素分子を用いなくても酸化が起こる点に注意する。 ・空気中の二酸化炭素濃度は 0.05%以下なので,空 気中で加熱しても二酸化炭素とはほとんど反応し ない。二酸化炭素と反応させたい場合はドライア イスを用いる。 2⑴・無機物と勘違いしやすい有機物。 例酢,プラスチック,天然ガス,メタン,尿素など。 ・炭素を含むが無機物として扱うものがある。 例炭素(単体),炭,ダイヤモンド,二酸化炭素, 一酸化炭素,炭酸,炭酸カルシウムなど。 ・有機物は古くは生物にしかつくれない化合物を表 す言葉だったが,人工的な合成方法が発見されて から現在の分類に変わった。 ⑵ 有機物を燃焼した際に発生する窒素酸化物や,硫 黄酸化物などは酸性雨の原因となったりして,大気 を汚染する物質の代表例である。 <導入 2 > 金属が酸化してさびついてしまうと,もろ くなったり,見栄えが悪くなったりと良くないことが 多い。酸化を防いだり酸化した物質を元に戻す方法は 無いのだろうか? 3⑵ 酸化銅の還元の際の注意点 ①ガラス管を石灰水から引きぬいてから火を消す…石 灰水が逆流してガラス管が割れるのを防ぐため ②火を消した後,ゴム管を目玉クリップでとめる… 酸素が中に入り込んで,銅が再び酸化されるの を防ぐため。 4⑵・トタン…金属表面を酸化されやすい金属でめっき する。めっき部分が先に酸化されることで内部 の酸化を防ぐ。(例トタン屋根) ・ブリキ…金属表面を酸化されにくい金属でめっき する。内部が空気に触れるのを防ぐ。(例ブリ キ缶) ・雨水や海水,体液は鉄の酸化を加速させるので, それらに触れないようにするのも酸化を防ぐこと につながる。 ⑶ アルミニウムの製錬では,アルミナに氷晶石を加 えて融点を下げた後融解させ,それから電気分解を 行なって純粋なアルミニウムを取り出している。こ の方法を溶融塩電解と呼ぶ。 【指導のねらい】 ★酸化と還元について,具体例を通じて理解を深める。 ★鉱物から鋼鉄を製錬する方法を学び,金属の酸化を防ぐ工夫について学ぶ。4
酸化と還元
◆指導ページ P.38 ~ 43 ◆
第 1 章 物質の成り立ち
標準新演習 理科中2
指導のポイント
学 習 内 容
1 化学変化と質量の保存 (P.44) ⑴ ふたの開いた容器で行う化学変化の前後の質量 理解 ①気体が発生する反応…気体が空気中に出て行く分軽くなる。 ②沈殿が生じる反応…反応の前後で質量は変化しない。 ③空気と化合する反応…化合した空気の分だけ重くなる。 ⑵ 密閉した容器で行う化学変化の前後の質量…物質の出入りがないの で,質量は変化しない。 理解 ⑶ 質量保存の法則…化学変化の前後で物質全体の質量は変わらない。 ⇔化学変化の前後で原子の種類と数は変化しない。 暗記 2 質量変化の規則性 (P.45) ⑴ 金属の酸化…金属の質量と,で きた酸化物の質量は比例する。 理解 ⑵ 化学変化にかかわる物質の比率 …化学変化では反応に関わる 物質の質量は常に一定である。 理解 ⑶ 生成する化合物の量…反応に関わ る物質を 1 つだけ増やしても,できる化合物の質量は変わらない。 理解 例銅を加熱したときの質量変化…酸素の量をいくら増やしても,でき る酸化銅の質量は一定。 ⑷ 金属の酸化にかかわる物質の比率 理解 ①銅と酸素は質量比 4:1 で反応する。 ②マグネシウムと酸素は質量比 3:2 で反応する。 3 発熱反応 (P.46) ⑴ 発熱反応…熱の発生する化学反応。発生する熱を反応熱という。 ①化学かいろの反応…鉄の酸化反応。鉄+酸素→酸化鉄+熱 ②鉄と硫黄の化合…少しの加熱で,反応熱によって反応が起こる。 鉄+硫黄→硫化鉄+熱 ③酸化カルシウムと水の反応…非常用・携帯用の食事を,火を使わず に温める。酸化カルシウム+水→水酸化カルシウム+熱 ④塩酸と水酸化ナトリウムの反応…中和が起こると熱が発生する。 塩酸+水酸化ナトリウム→塩化ナトリウム+水+熱 ⑵ 発熱反応でのエネルギー…発熱反応では 化学エネルギーの一部が熱エネルギー に変化して外に放出している。 理解 反応前の物質→反応後の物質+熱 ⑶ 人の呼吸…有機物を酸化させて得た反応 熱で体温を維持している。 有機物+酸素→二酸化炭素+水+熱 4 吸熱反応 (P.47) ⑴ 吸熱反応…熱を吸収する反応。吸収される熱も反応熱という。 ①塩化アンモニウムと水酸化バリウムの反応 塩化アンモニウム+水酸化バリウム+熱 →アンモニア+塩化バリウム+水 ②硝酸アンモニウムを水に溶かす…冷却パックに利用される。 硝酸アンモニウム(固体)+水+熱→硝酸アンモニウム水溶液 ③炭酸水素ナトリウムとクエン酸の反応 炭酸水素ナトリウム+クエン酸+熱 →クエン酸ナトリウム+水+二酸化炭素 ⑵ 吸熱反応でのエネルギー…吸熱反応で は熱エネルギーを外部から受け取っ て化学エネルギーを増加させている。 理解 反応前の物質+熱→反応後の物質 ⑶ 化学変化の起こりやすさ…以下の 2 つの 要素が影響する。 理解 ①反応熱…物質の化学エネルギーが下がる量が大きいほど化学変化は 起こりやすい。→吸熱反応は起こりにくい ②散らばりの度合い…粒子が散らばる反応ほど起こりやすい。 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0 0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 酸化マグネシウムの質量 ︹ ︺g マグネシウムの質量〔g〕 B A B−A=酸素の質量 A=マグネシウムの質量 B=酸化マグネシウムの 質量 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0 0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 酸化マグネシウムの質量 ︹ ︺g マグネシウムの質量〔g〕 B A B−A=酸素の質量 A=マグネシウムの質量 B=酸化マグネシウムの 質量 反応前 反応後 反応熱 発熱 化学エネルギー 反応前 反応後 反応熱 発熱 化学エネルギー 反応後 反応前 反応熱 吸熱 化学エネルギー 反応後 反応前 反応熱 吸熱 化学エネルギー補足知識・留意事項など
<導入 1 > 第 2 課の原子・分子の範囲で,原子は種類ごと に質量が決まっていると習ったが,化学変化が起こった場 合の質量はどのように変化するのか調べてみよう。 1⑴①例炭酸水素ナトリウムにうすい塩酸を加える →二酸化炭素が発生し,空気中に出て行く→質量が 減る 炭酸水素ナトリウム+塩酸→塩化ナトリウム+二酸 化炭素+水 ②例硫酸と水酸化バリウムを混ぜる →白色の硫酸バリウムが沈殿→質量が増える 硫酸+水酸化バリウム→硫酸バリウム+水 ③例空気中で銅を加熱する →銅と酸素が化合し,化合した酸素の分質量が増える 銅+酸素→酸化銅 2⑴ P.45 確認問題⑵ ① 7.5g 銅の質量と酸化銅の質量は比例関係にある。 ② 4:1 ③銅と化合する酸素を x g とすると,10:x = 4:1, x = 2.5[g]となる。 ⑵ 化学変化にかかわる物質の質量の比率の例 ①鉄と硫黄の化合 化学反応式 Fe + S → FeS 質量比 7 : 4 : 11 ②銅と硫黄の化合 化学反応式 Cu + S → CuS 質量比 2 : 1 : 3 <導入 2 > 化学かいろや,吸熱シートは加熱や冷却してい ないのにもかかわらず,熱が変化する。これは一体どうい うことなのだろうか。 3⑴ P.46 確認問題⑵ ①鉄粉 鉄粉を磁石などで取り除くとまったく発熱しなくなる。 ②酸素(,と水) 化学かいろは鉄の酸化反応による発熱を利用している。 現在のかいろは単純に酸化鉄ができるのではなく,酸素と 水が同時に鉄と反応し,水酸化鉄ができる反応を利用して いる。Fe + 34 O2 + 32 H2O = Fe(OH)3+ 96 kcal/mol この問題でのかいろの成分ごとの役割。 ・鉄粉…これが酸化して発熱する。 ・活性炭…表面の微孔に空気を取り込んでいる。 ・食塩…酸化の反応を促す。 ・バーミキュライト…いわゆる保水土。水分を蓄える。 ・水…鉄がさびるのを助ける。 4⑶ 粒子が散らばる反応…気体が発生する反応,化合物の 種類が増える反応,水にとける反応など。 ・吸熱反応は粒子が散らばる反応であることを確認して おく。 ①アンモニア(気体)が発生した。→粒子が散らばった ②固体から液体(水溶液)になった。→粒子が散らばった ③二酸化炭素(気体)が発生した。→粒子が散らばった 【指導のねらい】 ★質量保存の法則を理解し,化学変化における物質ごとの質量比は一定であることを理解する。 ★化学変化に伴う熱の出入りについて理解し,具体例を学ぶ。