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ータの比較が難しかった また 詳細なデータを把握したい場合に 5 分平均の値までしか参照できなかった このため 柏市教育委員会から より詳細なトラフィックの変動を把握したいという要望が高まった そこで本研究では RRDtool ( Round Robin Database tool)[6][7][8

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柏市教育用イントラネット「はやて」における

ネットワークの総合監視ツールの開発

遠藤啓介

麗澤大学 国際経済学部国際経済学科 Endou Keisuke kendou18@cs.reitaku-u.ac.jp 概要:千葉県柏市では、柏市教育委員会によって広域Ethernet サービスを用いた教育用イントラ ネット(通称「はやて」)の運用が行われている。柏市の教育用ネットワークは市内のデータセンタで 管理されており、データセンタ内の基幹ルータと各学校に置かれる Layer3 スイッチングハブを介 して校内 LAN と接続されている。現在、各学校のトラフィックは、2004 年に大塚香織が開発した 「ポート単位のトラフィック測定システム(Pinga )」によって監視されている。これは、MRTG (Multi Router Traffic Grapher)を用いてグラフ化され、記録されているものである。しかし、柏 市教育委員会から、より詳細なトラフィックの変動やプロトコル別の利用率、アクセス回線の速度を 把握できるツールが欲しいという要望が高まってきた。そこでこれらの要望をふまえ、本システムで はRRDtool(Round Robin Database tool )を用いたツール群を開発した。本システムの主な機 能は、(1)トラフィックの測定(2)プロトコル別の利用率の測定 (3) アクセス回線の速度の測定 (4)Google Map を用いたクリッカブルマップの開発、の 4 つである。 データセンタに設置したサーバでは(1)と(2)の機能が、また柏市の各学校に設置されている「ネッ トワーク監視システム(ANNEX2)」では(1)から(3)の機能が稼動している。また、分散稼動している 各サーバの情報を(4) の地図情報表示機能を用いて集約することにより、学校ごとのネットワーク の状態と位置の把握を容易にできるようにした。本報告では、これらのネットワークの総合監視ツー ル群(Pingo)について報告する。 キーワード:RRDtool,柏市教育委員会,はやて,MRTG,L3-SW,Netperf,ANNEX2,GoogleMap 1. はじめに 千葉県柏市では現在、柏市教育委員会に よって教育用イントラネット「はやて」が運用さ れている。ネットワークの管理者にとって教育 用イントラネットを安全に運用する事は、市内 の小中学校で職員や生徒が安心して授業を 行えるようにするためにも重要である。そのた めに、ルータやスイッチが正常に稼動している か、異常なトラフィックが流れていないかどうか を把握する事は欠かせない事のひとつであ る。 現在、「はやて」では「ポート単位のトラフィッ ク測定システム(Pinga)」[1][2][3]によって柏 市の全小中学校で MRTG(Multi Router traffic Grapher)を利用したトラフィックの監 視が行われている。しかし、MRTG のグラフは 図1 のようにトラフィックの量によって最大値が 自動的に変化してしまうため、現在と過去のデ

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ータの比較が難しかった。また、詳細なデータ を把握したい場合に 5 分平均の値までしか参 照できなかった。このため、柏市教育委員会か ら、より詳細なトラフィックの変動を把握したい という要望が高まった。 そ こ で 本 研 究 で は 、RRDtool ( Round Robin Database tool)[6][7][8][9]を利用して、 「Pinga」よりも詳細なトラフィックの変動を監視 する事を目的とした。また、ネットワークを総合 的に監視するために、トラフィックの測定記録 の他に、全小中学校のプロトコル別利用率とア クセス回線の速度を監視する機能も追加し、ネ ットワークの状態を総合的に監視する事を可 能とする、ネットワーク総合監視ツール Pingo ( Penguin IP Network Graphical

Observation tools)の開発を行う事となった。 2. 「はやて」の構造とPinga ここで、先行研究となっている Pinga と柏市 教育委員会の教育用ネットワーク「はやて」に ついてまとめる。 2-1. 「はやて」の構造について 「はやて」とは柏市教育委員会によって運営 されている教育用のイントラネットである。 市内の 62 ヶ所にある小中学校と柏市教育 研究所のネットワークは、同じく市内にある KDDI のデータセンタで管理されている。デー タセンタには「はやて」の基幹となるルータや 上位L3SW(レイヤ 3 スイッチングハブ)、サー バ群が収容されている。データセンタにある上 位 L3SW は市内の小中学校のネットワークを 集約しており、各小中学校からインターネット にアクセスする時は必ずこのスイッチを経由す る。「はやて」の構造をまとめると図2 のようにな る。 各小中学校の教室や職員室からインターネ ットにアクセスする時は、まず各小中学校に設 置されている L3SW を経由する。この L3SW は各学校の上位スイッチとなる。そして、この L3SW からデータセンタにあるさらに上位の L3SW へと接続される。この上位 L3SW から 「はやて」の基幹ルータへと接続され、そこから インターネットへと接続される(図2 参照)。 図.1 MRTG によるトラフィックのグラフ 上と下のグラフは異なる日のグラフである。このよう に、トラフィックの量によって縦軸の値が自動的に変 化してしまうため、2 つのグラフを単純に比べることは 難しい。 図.2 「はやて」の構造 柏市の小中学校と柏市教育研究所のサーバやPC は各組織の LAN の上位となる L3SW へと接続されている。 このL3SW を介してデータセンタにある上位 L3SW と接続される。そして、同じくデータセンタにある基幹ルータ を経由してインターネットへと接続される。 サーバや職員室・教室のPC 柏市の各小中学校 校内LAN L3SW 柏市教育研究所 L3SW 研究所のサーバやPC データセンタ 研究所の LAN サーバ群 上位L3SW 基幹ルータ はやて インターネットへ

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2-2. Pinga について

Pinga は 2004 年度大塚研究室卒業生大 塚香織によって開発された「ポート単位のトラ フ ィ ッ ク 測 定 シ ス テ ム 」 で 、 正 式 名 称 は 「Penguin Intra Network traffic Grapher All port observations」である。

現在 Pinga は、データセンタの基幹ルータ と上位L3SW、また柏市の 62 ヶ所の学校と柏 市教育研究所でMRTG を利用したトラフィック の監視を行っている。L3SW の全ポートのトラ フィックを測定しているので、何か異常なトラフ ィックが観察された場合に、それがどの学校の どのポートからのトラフィックかを調べることが できる。 3. Pingo の仕組みと構成 次に、Pingo の機能について詳細をまとめ る。 3-1. Pingo の基本構造 Pinga の機能を拡張し、またネットワークの 状態を総合的に監視するために本研究で開 発するシステムでは RRDtool を利用する事と した。

RRDtoolとは、Round Robin Database t oolの略で、スイスのTobias Oetiker氏によっ て作成された。その名の通りラウンドロビンデ ータベース1を利用して、監視をしたい機器のト 1 ラウンドロビンデータベースとはあらかじめデータを 格納する領域を決めておき、その領域の中に測定するデ ータを順に格納していくデータベースである。最後の領 域までデータが格納されると、再び一番最初の領域が再 ラフィックやディスクの容量といった時系列の データを格納し、それをグラフ化するツールで ある。RRDtoolには時系列のデータを取得す る機能はないため、SNMP2(Simple Networ k Management Protocol)などでデータを取 得する。 ここで、Pingo の主な機能について列挙して 整理する。 (1)「はやて」の基幹ルータと上位 L3SW のトラフィック測定機能 (2)柏市の全小中学校のプロトコル別利用率 の測定機能 (3)アクセス回線速度の測定機能 (4)Google Map を利用したクリッカブルマップ これらの機能の詳細とPingo の構成につい て、次項から順に説明する。 3-2. Pingo の構成と動作環境

Pingo サ ー バ は Pingo/R 、 Pingo/N 、 Pingo/A、Pingo/E に別れてそれぞれが稼動 している。その構成を図式化したものが図3 で ある。また、運用開始日時と設置場所につい て表1 にまとめた。 Pingo は分散稼動しているので構成がやや 複雑である。そこで、Pingo の構成について、 動作環境をふまえながら説明する(詳細につ 利用される。この際、古いデータが自動的に要約される。 このため、データベースのサイズは一定である。 2 SNMP は管理する機器(マネージャ)と管理対象となる機 器(エージェント)で構成される。マネージャからエージェント に、機器の情報を要求し、エージェントは要求された情報を 取得してマネージャに応答するという仕組みになっている。 麗澤大学 Pingo/R データセンタ 柏市教育研究所 土南部小学校 Pingo/N Pingo/A Pingo/E はやて 図.3 Pingo サーバの稼動の構造

Pingo はこのように分散稼動している。麗澤大学では Pingo/R、「はやて」内部ではデータセンタで Pingo/N、 柏市教育研究所でPingo/A と Pingo/E、土南部小学校で Pingo/A がそれぞれ稼動している。

Pingo/A インターネット

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いては次章以降で適宜解説する)。 ま ず 、1 つ目は麗 澤大学 で 稼動 してい る Pingo/R(Pingo/Reitaku)である。Pingo/Rは アクセス回線の速度を測定する際に利用する。 Pingo/R のスペックは表 2 のようになっている。 2 つ 目 は デ ー タ セ ン タ で 稼 動 し て い る Pingo/N(Pingo/NOC)である。Pingo/N は 「 はやて 」基 幹 ルータ と全小 中学 校の 上位 L3SW のトラフィックを測定している。また、全 小中学校のプロトコル別利用率の測定も行っ ている。 3つ目は柏市教育研究所と土南部小学校 で稼動している Pingo/A(Pingo/ANNEX2) である。これは 2006 年度大塚研究室卒業生 七社耕造によって開発された「ネットワーク監 視システム(ANNEX2)」[4][5]に Pingo の機能 を追加したサーバである。 Pingo/A は各組織の LAN 内部の L3SW に 接続されており、トラフィックとプロトコル別利用 率、アクセス回線速度の測定を行っている。 4つ目は柏市教育研究所で稼動している Pingo/E(Pingo/Education)である。 Pingo/Eは土南部小学校の Pingo/Aとの間 でアクセス回線速度の測定のために利用す る。 上記のPingo/N、Pingo/A、Pingo/E のス ペックは共通であり、表3 のようになっている。 以上が分散稼動する Pingo の構成である (図3、表 1、表 2、表 3 参照)。 3-3. トラフィック測定機能 Pingo の 1 つ目の機能はトラフィックを測定 する事である。Pinga が提供しているトラフィッ クのグラフよりも詳細で見やすく、長期変動を 監視できるようにすることが目的である。 データセンタのPingo/N では「はやて」の基 幹ルータと上位L3SW のトラフィックを測定し、 柏市教育研究所と土南部小学校ではそれぞ れの L3SW に接続されている Pingo/A で L3SW の全 24 ポートのトラフィックを測定し、 RRDtool でグラフ化している。 3-3-1. トラフィックの取得方法 トラフィックデータの取得には SNMP(具体 的にはsnmpwalk コマンド)を利用する。 まず、データセンタで稼動しているPingo/N は、基幹ルータと上位 L3SW に対して毎分 SNMP で情報を取得する。 また、柏市教育研究所と土南部小学校で稼 動しているPingo/A は、各組織の L3SW の全 24 ポートに対して毎分 SNMP を実行し、 L3SW の全ポートに流れるトラフィックの情報 を取得する。 3-3-2. トラフィックのグラフ化 Pingo はトラフィックを取得後、5 分間隔でグ ラフを作成する。 Pingo では、過去 12 時間、 30 時間、8 日 間、14 日間、1 ヶ月、1 年間、2 年間までのトラ フィックの変動をグラフ化している。グラフには 図.4 過去 12 時間のトラフィックのグラフ Pingo が毎分 SNMP で取得したルータやサーバのト ラフィックの値をRRDtool でグラフ化したもの。 機種 Fujitsu FMV 6766CL7c

CPU Celeron Processor 766MHz

メモリ 256MB HDD 30GB OS FreeBSD4.9 RRDtool rrdtool-1.2.23 SNMP net-snmp-5.2.3 apache 2.0.58 表.3 Pingo/N、Pingo/A、Pingo/E のスペック 表.1 Pingo サーバの運用開始日時と設置場所 運用開始日時 設置場所 Pingo/N 2007.11.14 KDDIデータセンタ Pingo/R 2007.9.13 麗澤大学 Pingo/A 2007.7.11 柏市教育研究所 土南部小学校 Pingo/E 2007.8.27 柏市教育研究所 機種 Fujitsu FMV-E600 CPU Pentium 4 2.0GHz メモリ 512MB HDD 40GB OS FreeBSD6.2 RRDtool rrdtool-1.2.23 SNMP net-snmp-5.4 apache 2.0.59 表.2 Pingo/R のスペック

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最大値、最小値、平均値、現在値が表示され る。また、過去 12 時間のグラフでは毎分の実 測値がプロットされる(図4 参照)。 3-4. プロトコル別利用率の測定機能 Pingo の 2 つ目の機能が、プロトコル別利用 率の測定である。これは小中学校でどのプロト コルがどの程度利用されているのかを測定す ることで、トラフィックが増加している時に、利用 の詳細を把握できるようにすることが目的であ る。 図 5 は、プロトコル別利用率の測定の構成 について説明したものである。 データセンタではPingo/N で柏市の全小中 学校の利用率を測定している。また、柏市教 育 研究 所と 土南部 小学 校 ではそ れ ぞ れの LAN でのプロトコル別利用率を Pingo/A で測 定している。 3-4-1. プロトコル別利用率の測定方法 ① データセンタでの測定 データセンタには全小中学校の上位L3SW が収容されている。このスイッチには10 個のポ ートがあり、うち 2 ポートが各小中学校の上位 ポートとなっている。上位の 2 ポートに流れる パケットを監視することができれば、全小中学 校のプロトコル別の利用率の測定が可能にな る。このため、10 ポートのうち 1 ポートをミラー ポート3に設定した。 図6 のように、ミラーポートに Pingo/N を接 続する事で、スイッチを通過する全てのパケッ ト を 監 視 す る こ と が で き る 。 こ れ に よ り 、 Pingo/N で全小中学校の上位の 2 ポートを通 過するパケットが監視できることになる。 ② 柏市教育研究所と土南部小学校での測定 各組織のLAN からインターネットにアクセス する際には L3SW を通過しなければならない。 このL3SW には元々ミラーポートが設定されて いる。このポートにPingo/A を接続することで、 L3SW を通過する全てのパケットを監視するこ とができる。 Pingo/N、Pingo/A を各スイッチのミラーポ ートに接続後、UNIX のパケットキャプチャコ マンドであるtcpdump を実行し、スイッチに流 れるパケットを全てキャプチャする。 3 ミラーポートとは L3SW の他のポートを通過する全てのデ ータを複製して通過させるポートである。 インターネットへ Pingo/N 上位L3SW 基幹ルータ データセンタ 土南部小学校 Pingo/A 校内LAN 教育研究所 Pingo/A 研究所の LAN 図.5 プロトコル別利用率の測定の構成 データセンタでは、上位 L3SW に流れるパケットを Pingo/N で監視する。土南部小学校と教育研究所で はそれぞれのL3SW に流れるパケットを Pingo/A で 監視する。 L3SW L3SW 各小中学校 図.6 データセンタ内の「はやて」上位 L3SW 図の①が「はやて」の上位L3SW である。 このうち、②の2 ポートが柏市の小中学校の上位ポー トとなっている。また、③のポートがミラーポートで、こ のポートに④のPingo/N が接続されている。Pingo/N は②の上位2 ポートに流れるパケットを監視している。 ① ② ③ ④

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図.7 パケットの記録ファイルの分析方法 ① 測定を行うプロトコルに対応した変数を用意して初期化する。 ② tcpdump によって過去 1 時間にキャプチャされたパケットの記録ファイルを分析する。 UDP、ICMP、ARP、IPX、NetBEUI のいずれかが利用されていれば、④のようにプロトコル名を数え、 TCP が利用されている場合は⑤、⑥のように、送信元と送信先ホストのポート番号を数えて、①で用意した 各変数に1 ずつ足していく。 ③ 最後まで数え終わったら各変数の値と全てを合計した値をグラフ化し、同時に数値で表す(⑧)。 なお、⑦がPingo で測定を行っているプロトコル、⑨が利用率である。 ① ② ③ Pingo サーバ ※パケットの記録ファイルの一部 ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ 3-4-2. パケットの記録ファイルと分析方法 tcpdump でキャプチャされたパケットの記 録ファイルは1 時間に 1 度更新される。そして、 過去1 時間のファイルを Perl で作成したプロ グラムで分析する。パケットの分析方法につい て図7 にまとめた。 Pingo で測定を行うプロトコルは TCP の各 プ ロ ト コ ル と UDP 、 ICMP 、 ARP 、 IPX 、

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NetBEUI である(図 7 参照)。 3-4-3. プロトコル別利用率のグラフ化 プロトコル別利用率のデータは過去12 時間、 30 時間、8 日間、14 日間、1 ヶ月、1 年、2 年 までをグラフ化し参照できるようにした。 グラフでは、プロトコルごとに、過去1 時間に 測定されたパケット数と 24 時間の平均値、現 在までの最大値と最小値を表示させる。また、 それぞれのプロトコルの利用率を求めた。 利用率の算出方法はグラフによって異なっ ている。過去 12 時間、30 時間のグラフでは 「あるプロトコルの過去 1 時間に測定されたパ ケット数÷全プロトコルのパケット数」で算出す る。過去 8 日間、14 日間、1 ヶ月、1 年間、2 年間のグラフでは「あるプロトコルの過去24 時 間の平均パケット数÷全プロトコルのパケット 数」で算出する。利用率の値もグラフに表示し ている(図7 参照)。 3-5. アクセス回線速度の測定 Pingo の 3 つ目の機能は、アクセス回線速 度の測定である。これは、2 台のサーバ間で 回線速度を測定し、その目安を提供するもの である。 現在は Web のサービスを利用して回線速 度を測定することができる。しかし、Web ペー ジにアクセスして回線速度をいちいち測定しな くても、現在の回線速度の目安を把握するた めに、Pingo ではフリーのベンチマークソフト であるNetperf[10]を用いてアクセス回線速度 の測定を行う。 この測定を継続的に行うことによってアクセ ス回線の状況を常に把握できるようにする。 3-5-1. アクセス回線速度の測定方法 Netperf は、クライアントからサーバにファイ ルを転送し、サーバからの応答速度を測定す るという仕組みになっている。 Pingoではクライアントからサーバに、1時間 に1 度、ファイルのサイズを1MByte、バッファ サイズを 227KByte に設定して 10 秒間転送 する。そして、サーバからの応答速度を測定す る。 3-5-2. アクセス回線速度の測定地点 Pingo では図 8 と図 9 のように、以下の 2 地 点で測定を行っている。 ① 柏市教育研究所の Pingo/Eと土南部小学 校のPingo/A での測定 ② 柏市教育研究所の Pingo/Aと麗澤大学の Pingo/R での測定 柏市教育研究所 データセンタ はやて Pingo/E 土南部小学校 ① ② Pingo/A 図.8 「はやて」内部でのアクセス回線の測定 ①Netperf クライアント・Pingo/A から Netperf サー

バのPingo/E にファイルを転送 ②Pingo/E は Pingo/A から送られたファイルに対し て応答 ③Pingo/A で応答速度をグラフ化 ③ インターネット 図.9 インターネット経由でのアクセス回線の測定

①Netperf クライアント・Pingo/A から Netperf サーバの Pingo/R にファイルを転送 ②Pingo/R は Pingo/A から送られたファイルに対して応答 ③Pingo/A で応答速度をグラフ化 麗澤大学 Pingo/R はやて 柏市教育研究所 ① ② データセンタ Pingo/A ③

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①の測定は、土南部小学校のPingo/A から 柏市教育研究所のPingo/E にファイルを転送 し、Pingo/E からの応答速度を Pingo/A が測 定し、グラフ化する。これは「はやて」内部の回 線 速 度 を 示 す 。 な お 、 学 校 間 の 速 度 は 10Mbps である(図 8 参照)。 ②の測定は、柏市教育研究所の Pingo/A から麗澤大学のPingo/R にファイルを転送し、 Pingo/R からの応答速度を Pingo/A が測定し グラフ化する。これはインターネットアクセスの 回線速度を示すことになる。インターネットアク セス回線の速度は 100Mbps である(図 9 参 照)。 3-5-3. アクセス回線速度のグラフ化 グラフ化は回線速度の測定が終わった後に クライアント側で1 時間に1度行う。 アクセス回線の速度のグラフは、過去 30 時 間、8 日間、14 日間、1 ヶ月、1年、2 年までの データをプロットして作られる。 過去 30 時間のグラフを参照すれば、直近の 測定結果が把握できる。また、過去8 日間、14 ① ② ③ ④ ⑤

図.10 Pingo Google Map の画面推移

①プルダウンメニューから閲覧したい学校を選択する。

②選択後、自動的に地図が移動し、マーカーをクリックするとその学校の写真と Pingo、Pinga、それぞれの学校 のHP へのリンクが表示された吹き出しが現れる。 ③Pingo の情報へ ④Pinga の情報へ ⑤学校の HP へ

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日間、1 ヶ月、1 年、2 年のグラフを参照するこ とで長期の変動がわかる。 3-6. GoogleMap によるクリッカブルマップ 前述のように、Pingo は分散稼動しているの で記録データも分散してしまう。 そこで、Google Map を利用して、各記録デ ータへのリンクを1つに集約した。これにより、 各サーバの記録データが把握しやすくなるよう になった。これをPingo Google Map と名付け た。

図10 は Pingo Google Map の仕組みにつ いてまとめたものである。 まず、プルダウンメニューから閲覧したい学 校を選択する。学校を選択すると、その学校の 位置へと地図が自動的に移動する。地図上の 各学校の地点にはマーカーをつけたので学 校の位置が把握しやすい。 その学校のマーカーをクリックすると、学校 の外観の写真が表示され、Pingo、Pinga と各 学校のHP へのリンクが表示される。 3-7. グラフのバックアップ 既に述べたように、Pingo では監視対象の 情 報 を RRDtool で グ ラ フ 化 し て い る 。 RRDtool はラウンドロビン形式で過去のデー タを自動的に要約してしまう。このため、Pingo では、過去のある時点のデータは過去1 年と 2 年グラフでは表示されるが、30 時間グラフのよ うな詳細なデータを表示する事ができなかった。 例えば、2008 年 1 月 3 日に 2007 年 9 月 3 日の30 時間のグラフを参照したいと思っても、 2007 年 9 月 3 日の詳細なデータは要約され ているために過去30 時間のグラフを参照する ことができなかった。 そこで、Pinga で開発された手法で Pingo では毎日23 時 59 分にその日の過去 30 時間 のグラフを保存するようにした。これはトラフィッ ク、プロトコル別利用率、アクセス回線の速度 のグラフの全てにおいて適用される。これによ り、先程の例で挙げた2008 年 1 月 3 日でも 2007 年 9 月 3 日の詳細データを参照する事 が可能となった。 4. 運用結果 現在までの運用結果について以下にまとめ る。 (1) トラフィック測定機能 表4 と図 11 で Pinga と Pingo の機能とグラ フを比較した。 表4 と図 11 のように Pingo は、Pinga と比 べてより詳細なトラフィックの変動を監視し、同 時に図12 のように長期的なトラフィックの変動 も監視することが可能となった。 ただし、Pingo はグラフの最大値を固定して いるために、最大値を超える大きなトラフィック が測定された場合にグラフの上部が表示され なくなってしまう。しかし、トラフィックの測定値 がグラフ内に書かれているため、この点は特に 問題はない。 (2) プロトコル別利用率の測定機能 これまでの運用結果に基づき、グラフの上 限を 1000 万に固定している。プロトコル別利 用率の合計値が増えるのは、図13 のように小 中学校で授業が行われている時間帯であり、 この内一番多く利用されているプロトコルは Web である。音声や動画などをリアルタイムに 配信するためのRTSP も多く利用されている。 このように、プロトコル別利用率を把握するこ Pinga Pingo 過去のグラフの表示期間 1日・1週間・1ヶ月・1年 12時間・30時間・8日間・14日間 1ヶ月・1年・2年 グラフに描画される値 5分平均・30分平均 毎分の値・5分平均・30分平均 2時間平均・1時間平均 1時間平均・12時間平均 グラフの縦軸 自動的に変化 最大値を固定 グラフに表示される値 最大値・平均値・現在値 最大値・最小値・平均値・現在値 入出力の表示形式 同一方向 上下に分けて表示 測定地点 データセンタ データセンタ 柏市教育研究所 柏市教育研究所 市内の62ヶ所の小中学校 土南部小学校 表.4 Pinga と Pingo の比較

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とで、授業がない時間帯に Web が多く利用さ れているなどといった問題点を発見することが できる。 また、図 14のようにプロトコル別利用率のグ ラフと比例するようにトラフィックのグラフも大き くなる。よって、トラフィックが増加している時に、 プロトコル別利用率を監視することによってそ れがどのようなアプリケーションによるものかの 図.11 Pinga(上)と Pingo(下)のグラフ それぞれの5分平均のグラフを比べたものである。Pinga ではトラフィックの入出力が同一方向に表示されている が、Pingo では入力を上に、出力を下に表示させた。 また、Pingo では最大値と平均値を色分けして同じグラフ内で表現している。このため、Pinga よりも見やすいグ ラフを作成することができた。 図.12 過去 2 年間のトラフィックのグラフ Pingo ではこのように過去 2 年までのトラフィックをグラフ化する事ができ、長期変動の監視を実現した。

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推測が可能となった。 (3) アクセス回線速度の測定機能 図 15 は現在までのアクセス回線速度の変 動の記録である。このように、「はやて」内部の 回線(10Mbps)では、0.6~9Mbps までの速 度 を 観 測 し 、 イ ン タ ー ネ ッ ト ア ク セ ス 回 線 (100Mbps)では、5~68Mbps の速度を観測 している。 1 時間に 1 度の測定であるため目安ではあ るが、アクセス回線速度がどの時間帯にどの 程度の値を示していたかを把握する事ができ るようになった。 (4) Google Map によるクリッカブルマップ Pingo/A は柏市教育研究所と土南部小学 校の 2 地点のみで稼動している。Pingo/A が 稼動する ANNEX2 は順次退役する。このた め、必要となる学校のみで測定される。今後、 全学校で測定する場合には同様のサーバが 必要になる。以上の事から、Pingo は市内の 全小中学校のデータを記録するという事はで きない。 そこで、現在62 ヶ所の全学校でトラフィックの 測定を行っている Pinga の記録データへのリ ンクをつけた。これにより、全小中学校のネット ワークの情報をPingo Google Map から閲覧

することができるようになった。 5. ポータルサイト Pingo のポータルサイトは http://pingo.pen guin55.net/index.html である(図 16 参照)。 ここから以下の各 Pingo の情報へアクセスが できる。 ① Pingo/N 柏市の小中学校のネットワークの状態が監 視できる。 ② Pingo/R 麗澤大学のトラフィックのページや Pingo Google Map が参照できる。 ③ Pingo/A 柏市教育研究所や土南部小学校からそれ ぞれのネットワークの状態が参照できる。 6. 現状と今後の課題 今 後、 新た な監視 対象 を増や し た時に 、 Pingo サーバへの負荷を考えなければならず、 負荷が高くなる場合にはサーバに保存される ファイルを圧縮するなどの方法をとらなければ ならない。また、本システムでは、外部メディア へのバックアップを行っていない。今後、何ら かの方法で定期的なバックアップを行う必要が ある。 図.13 プロトコル別利用率の推移 学校が休みの日曜日や祝日は利用数が減り、学校がある平日は利用数が増える。中でもWeb や RTSP の利用 が増加していることがわかる。

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7. その他の機能 ここで、前章の主な機能でとりあげなかった その他の機能について紹介する。紹介するサ ーバはPingo/R である。 麗澤大学のマシンルームに置かれている Pingo/R では、麗澤大学の基幹ルータのトラフ ィックを測定している。トラフィックの測定方法 はPingo/N と同様に、SNMP を利用して毎分 基幹ルータのトラフィックを取得し、それを5 分 間隔でグラフ化する。 また、同じくマシンルームにあるゼミ同期生 黄 炎晟のシ ステム 「電 子メー ル で投稿 する Blog システム PLOG」のトラフィックやアクセス 数・メール投稿数・CPU 負荷率なども測定して いる。こちらもトラフィックの測定は前述した方 法で測定している。 アクセス数・メール投稿数の測定について は、Pingo/R が PLOG からアクセス数・メール 投稿数が書かれたファイルを wget(ファイルを Web サーバからダウンロードする UNIX コマン ド)でダウンロードする。そして、そのファイルに 書かれた内容を基に1 時間に 1 度、PLOG の アクセス数とメール投稿数をグラフ化する。 これらの記録データは、Pingo/Rで稼動す るWebサーバからアクセスする事ができる。 URLはhttp://pingo.penguin55.net/web/i ndex.htmlである。 図.14 プロトコル別利用率とトラフィックのグラフの比較 プロトコル別利用率とトラフィックは比例するように変動する。トラフィックが大きくなっている時は Web や RTSP が多く利用されていることがわかる。このように、トラフィックの増加時にプロトコルの利用の詳細が把握できる。

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8. まとめ 本研究では、柏市教育委員会が運用する教 育用イントラネット「はやて」においてネットワー クを総合的に監視する Pingo の開発を行っ た。 このシステムは RRDtool を利用して、トラフ ィックとプロトコル別の利用率、アクセス回線の 速度の結果を監視し、Google Map を利用し て、学校ごとの記録データを容易に閲覧できる ようにしたものである。 現在、本システムは「はやて」を運用するた めのツールとして活用されている。今後、本シ ステムを安定的に運用するための設備の追加 が期待される。 参考文献 [1] 呉東哲・久保美和子・大塚秀治「校内トラフィック記録シ ステムの試作」(2003 麗澤大学国際経済学部 大塚研究室 卒業論文集 第 3 巻). [2] 大塚香織「校内LANにおけるポート単位のトラフィック測 定システム」(2004 麗澤大学国際経済学部 大塚研究室 卒 業論文集4 巻) [3] 大塚香織・柴田昌彦・久保美和子・大塚秀治「校内 LAN におけるポート単位のトラフィック測定システム」(第 25 回 KIU インターネット教育研究フォーラム 実践・研究発表資 料集) [4] 柴崎恭一郎「学校単位に設置する不正侵入検知システ ムの構築」(2004 麗澤大学国際経済学部 大塚研究室 卒 業論文集4 巻) [5] 七社耕造「学校単位に設置するネットワーク監視シスム の開発と運用」 (2006 麗澤大学国際経済学部 大塚研究室 卒業論文集第6 巻) [6] RRDtool について http://oss.oetiker.ch/rrdtool/ [7] RRDtool 1.2 系を使う http://www.bonz.squares.net/~takuro/rrdtool1.2-ver 1.0.pdf#search='RRDtool' [8] RRD マニュアル訳 http://cc.ii2.cc/~fors/sysworks/data/rrdtool/ [9] RRDtool チュートリアル (network traffic)

http://www.jp-z.jp/linux/rrdtool.html [10]Netperf について http://www.netperf.org/netperf/ 謝辞 実験環境やサーバ設置において土南部小 学校と柏市教育研究所の先生方に多くのご協 力をいただきました。また、サーバの構築にお いて多くのヒントを残して下さった呉東哲先輩、 大塚香織先輩、七社耕造先輩、ロゴを作成し て下さった新井可乃子先輩を始めとする諸先 輩方、ありがとうございました。いつも支えてく れた黄炎晟君、後輩のみんな、牧野研究室の 皆様、久保美和子先生、ありがとうございまし た。その他多くの皆様にご協力いただきました。 この場をお借りして心より御礼申し上げます。 図.15 回線速度の測定結果 ①、②は土南部小学校と柏市教育研究所間の測定 である。①は過去30 時間のグラフ、②は過去 1 年の グラフである。最高 10Mbps の回線で、現在までに 0.6~9.2Mbps までの速度が測定されている。 ③、④は柏市教育研究所間と麗澤大学間の測定で ある。③は過去30 時間グラフ、④は過去 1 年のグラ フである。最高100Mbps の回線で、現在までに 5.3 ~68.7Mbps までの速度が測定されている。 グラフの緑の推移が回線速度の実測値、赤が平均 値である。 ① ② ③ ④ 図.16 Pingo ポータルサイト http://pingo.penguin55.net/から各 Pingo の情報へ アクセスする事ができる。

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図 10 は Pingo Google Map の仕組みにつ いてまとめたものである。  まず、プルダウンメニューから閲覧したい学 校を選択する。学校を選択すると、その学校の 位置へと地図が自動的に移動する。地図上の 各学校の地点にはマーカーをつけたので学 校の位置が把握しやすい。  その学校のマーカーをクリックすると、学校 の外観の写真が表示され、Pingo、Pinga と各 学校の HP へのリンクが表示される。  3-7

参照

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