連絡先加藤 健(かとう けん) 〒3501165 埼玉県川越市南台112 雪印メグミルク株式 会社ミルクサイエンス研究所 (Fax0492428157, E-mailk-kato@meg-snow.com) 2012年 2 月10日 受付 2012年 4 月23日 受理
Milk Science Vol. 61, No. 2 2012
原著論文
チーズの経口摂取によるラットの肝臓における脂質代謝改善効果
日暮聡志・奈良貴幸・松山博昭・細谷知広・門岡幸男・加藤 健
(雪印メグミルク株式会社ミルクサイエンス研究所)
The improvement of fat metabolism in liver by cheese consumption in rats
Satoshi Higurashi, Takayuki Nara, Hiroaki Matsuyama, Tomohiro Hosoya, Yukio Kadooka, and Ken Kato (Milk Science Research Institute, Megmilk Snow Brand Co., Ltd., 112 Minamidai, Kawagoe, Saitama 3501165, Japan)
Abstract
Increasing reports suggest that cheese intake lowers the risk of developing metabolic syndrome (MS). However, the mechanism by which cheese prevents MS is poorly understood. In this study, we investigated the eŠect of cheese on im-provement of lipid metabolism in liver using a fatty liver model induced by high fat plus cholesterol diet. Rats were fed for 28 days as followed; high fat diet (Hfat), high fat plus cholesterol diet (Control), or cheese plus cholesterol diet (Cheese). Then hepatic and fecal lipid were analyzed. The results showed that, in the cheese fed group, liver triglyceride and cholesterol as well as liver weight were signiˆcantly lower than those of control group. In addition, the fecal lipid lev-el in cheese fed group was signiˆcantly higher than that of control group. These results suggest that the beneˆcial eŠects of cheese on metabolic syndrome may be due to lowering the fat deposition in liver and increasing fat excretion from feces. 緒 言 近年,我が国では肥満や糖尿病,高血圧症,高脂血 症,動脈硬化症などのメタボリックシンドローム(MS) の罹患率が増加しており,特に心血管系疾患と脳血管系 疾患は死因の約 3 割を占めている1)。MS を治療および 予防するためには,運動療法や食事療法など日々の生活 を見直すことが重要と考えられている2)。そこで,日常 的に摂取でき,長期間摂取しても安全で MS の予防に 有効な食品が望まれている。 チーズなどの乳製品は栄養成分を豊富に含むことか ら,日々の食生活で不足する栄養成分をバランス良く補 うことのできる食品である。また,乳製品は有史以来人 類が摂取している安全性の高い食品である。一方,乳製 品はカロリーや脂質含量が高く,飽和脂肪酸やコレステ ロールを含むため,MS を予防するためには敬遠される 傾向がある3,4)。しかし,欧米ではチーズの消費量と循 環器疾患による死亡率には負の相関があることが知られ ている5)。Elwood ら6,7)は,牛乳や乳製品の摂取には循 環器疾患や糖尿病,MS を予防する効果があると報告し ている。また,上西ら8)は8659名を対象とした調査で, MS の予防に牛乳や乳製品を摂取することが有効である ことを示している。乳製品の中でも,チーズは発酵,熟 成という過程を経て質的な変化を遂げた食品であり,多 種多様な種類が存在するため様々な栄養生理効果が期待 で き る 。 実 際 , チ ー ズ を 摂 取 す る こ と に よ り 血 清 の HDL コレステロール濃度が上昇し,MS を予防するこ とが報告されている9,10)。また,ラットを用いた動物実 験ではチェダーチーズが血清のトリグリセリド(TG) 濃度や総コレステロール(TCHO)濃度を低下させてい る11)。さらに,Higurashi ら12)も Lactobacillus helveticus
を使用して調製したチーズが,高脂肪飼料を摂取させた ラットの腹腔内脂肪重量の増加を抑制することを見出し ている。しかしながら,チーズを摂取することにより得 られる栄養生理効果の詳細やその作用メカニズムについ てはほとんど知られていない。 近年,肝臓における脂肪蓄積は異所性脂肪として注目 されており,肝臓への過剰な脂肪蓄積はインスリン抵抗
Table 1 Composition of experimental diets ()1. Component HFat Control Cheese Cheese powder2 ― ― 37.88 Casein3 20.00 20.00 ― Butter oil4 19.90 19.90 3.65 Cellulose 5.00 5.00 5.00 Sucrose 49.61 48.96 46.99 DLmethionine 0.30 0.30 0.30 Cholesterol ― 0.50 0.50 Sodium cholate ― 0.15 0.15 Vitamin mixture (AIN76) 1.00 1.00 1.00 Mineral mixture (AIN76) 3.50 3.50 ― Mineral mixture (for cheese)5 ― ― 3.50
NaCl 0.690 0.690 ― CaHPO4 ― ― 0.158 KH2PO4 ― ― 0.792 K2CO3 ― ― 0.008 MgO ― ― 0.053 FeC6H5O7 ― ― 0.015 1 The experimental diets were modiˆed from AIN7620,21),
which contained 17.5 protein and 20.0 fat.
2 Cheese powder: 46.2 protein (N×6.38, IDF recommend-ed conversion factor for milk protein), 43.2 fat, 6.2 ash and 1.0 water.
3 Acid casein (Oriental Yeast Co., Ltd., Tokyo, Japan): 87.5 protein (N×6.38), 0.9 fat, 1.8 ash and 9.8 water. 4 Butter oil (Murray Goulburn Cooperative Co., Ltd.,
Mel-bourne, Australia): 99.6 fat. 5 Mineral mixture (for cheese): 5.2 K
2SO4, 0.35 MnCO3, 0.16 ZnCO3, 0.055 CrK(SO4)2・12H2O, 0.03 CuCO3 Cu(OH)2・H2O, 0.001 Na2SeO3・5H2O, 0.001 KIO3and 94.203 sucrose. 第巻 性を高め,高インスリン血症を惹起して全身性の代謝障 害を引き起こすことが知られている13)。また,肝臓へ の脂肪蓄積は MS を構成する要素と強く相関すること が示されており,肝臓における代謝障害が MS の中心 的な位置を占めると考えられている14)。 コレステロールを配合した高脂肪飼料はラットを含む 種々の動物を使用した試験において広く用いられてお り,高コレステロール血症および脂肪肝が迅速に誘導さ れることが知られている15,16,17,18)。そこで,本研究では チーズの摂取が肝臓の脂肪蓄積に及ぼす効果を短期間で 明確に調べるために,コレステロールを配合した高脂肪 飼料を投与した脂肪肝のモデルであるラットにゴーダタ イプのチーズを経口摂取させる動物実験を行った。 材料および方法 . チーズパウダーの調製 実験には,7ヶ月間熟成した市販のゴーダタイプの チーズ(芳醇ゴーダ,雪印メグミルク株式会社)を使用 した19)。チーズを凍結乾燥した後,コーヒーミルで粉 砕してチーズパウダーとし,タンパク質と脂質,ナトリ ウム(Na),カリウム(K),カルシウム(Ca),リン (P),マグネシウム(Mg)および鉄(Fe)の含量を測 定した。 . 動物実験 実験飼料 実 験 飼 料 の 組 成 を Table 1 に 示 す 。 飼 料 は , AIN 7620,21)を改変し,高脂肪群(HFat)では,飼料中のタ ンパク質含量が17.5,脂質含量が20になるようにカ ゼインとバターオイルをそれぞれ20,19.9配合し た。高脂肪高コレステロール群(Control)では,HFat 食にコレステロール(和光純薬工業株式会社)とコール 酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社)をそれぞれ0.5 と0.15配合して,高コレステロールになるように調 製した15)。また,チーズ群(Cheese)では,飼料中の タンパク質含量と脂質含量,脂肪酸組成が HFat 食や Control 食と同様になるようにチーズパウダーとバター オイルをそれぞれ37.88,3.65配合し,Control 食と 同様の高コレステロールにするためコレステロールと コール酸ナトリウムをそれぞれ0.5と0.15配合し た15)。なお,主要なミネラルである Na, K, Ca, P, Mg および Fe は 3 種類の飼料で同一になるよう調製した。 実験動物 実験には,4 週齢の Fischer 系雄ラット(日本チャー ルス ・リバ ー株 式会 社) 18匹 を使 用し た。 ラッ トは NIH のガイドライン22)に従い,1 匹ずつステンレス製 のケージに入れ,温度と湿度をコントロール(温度23 °C,相対湿度50±5)した12時間毎の明暗サイクルで 飼 育 し , 飼 料 お よ び 脱 イ オ ン 水 を 自 由 摂 取 さ せ た 。 HFat 食を 1 週間与えて予備飼育した後,ラットを 6 匹 ずつ HFat 群,Control 群,Cheese 群の 3 群に分け,28 日間飼育した。飼育 0 日目,7 日目,14日目,21日目, 28日目に,17時間の絶食後頚静脈から採血し,遠心分 離により血清を分離した後,生化学自動分析装置(富士 ドライケム5500 V,富士メディカルシステム株式会社) に よ り 血 清 の TG 濃 度 な ら び に TCHO 濃 度 を 測 定 し た。また,飼育28日目にエーテル麻酔下で腹部大動脈 から採血することにより屠殺し,肝臓を摘出して重量を 測定した。 肝臓の脂質分析 Folch らの方法23)に従って肝臓から脂質を抽出した。 凍結乾燥後に重量を測定して粉砕した肝臓0.1 g に 5 mL の Folch 液(クロロホルムメタノール=21)を加 え,超音波を用いて40°Cで30分間,脂質の抽出を行い, 2 時間放置した後,3000 rpm で10分間,遠心分離して 上清を回収した。この操作を 2 回繰り返して,肝臓か ら脂質を抽出し,4 mL のイソプロパノールに溶解し
Table 2 Body weight gain, food intake and food e‹ciency. Parameters HFat Control Cheese Body weight gain
(g/day) 2.48±0.05 2.60±0.19 2.50±0.13 Food intake
(g/day) 8.50±0.03 8.51±0.05 8.44±0.17 Food e‹eciency1
() 29.19±0.62 30.51±2.33 29.64±1.34 Values represent mean±SD, n=6.
1 Food e‹eciency=body weight gain (g/day)/food intake (g /day)×100.
Fig. 1 Changes in the serum concentrations of triglyceride (A) and total cholesterol (B) for 4 weeks.
Values represent means+SD or means-SD,n= 6.
Signiˆcantly diŠerent from the control group (P
<0.05).
#Tend to be diŠerent from the control group (0.05<P<0.10). 第号 た。この溶液を用いて,肝臓の TG とコレステロールを それぞれトリグリセライド E テストワコー(和光純薬 工業株式会社)とコレステロール E テストワコー(和 光純薬工業株式会社)を用いて測定し,肝臓の重量を用 いて肝臓の TG とコレステロールの含量と濃度を算出し た。 糞中脂質排泄量の測定24) 飼育25日目に,ラットを代謝ケージに入れ,72時間 の糞を採取した。凍結乾燥後に重量を測定して粉砕した 糞 0.3 g に 塩 酸 3 mL を 加 え , 50°C に て 30分 間 加 温 し た。その後,室温に戻し,エーテル30 mL を加え,転 倒撹拌した後10分間静置させて上清の脂質画分を回収 した。この脂質画分から真空乾燥により溶媒を除去した 後,重量を測定し,凍結乾燥後に測定した糞の重量を用 いて糞中脂質排泄量を算出した。 . 統計処理 データの統計処理は,Control 群と Cheese 群の 2 群 に対する t 検定により行った。また,血清の TG 濃度な らびに TCHO 濃度は週ごとに層別に t 検定による比較 を行った。なお,HFat 群はコレステロール摂取による 影響を確認するために用いたことから,解析には含めな かった。 統計ソフトは PASW Statistics 17.0(SPSS 社)を使 用し,P<0.05を有意差あり,0.05<P<0.10を傾向あ り,とした。 結 果 . 体重増加量,飼料摂取量および飼料効率 体重増加量,飼料摂取量および飼料効率には差は認め られず,成育状態はすべて良好であった(Table 2)。 . 血清のTG 濃度および TCHO 濃度 血清中の TG 濃度は,Control 群では HFat 群に比べ 低い値を示し,Cheese 群では摂取 3 週目で Control 群 に比べ有意に高い値を示した(Fig. 1A)。また,血清 中の TCHO 濃度は,コレステロールを負荷した Con-trol 群では HFat 群に比べ高い値を示した(Fig. 1B)。 一 方 , 飼 育 1 週 目 の Cheese 群 の 血 清 TCHO 濃 度 は Control 群に比べ低い傾向を示した(P=0.06, Fig. 1B)。 . 肝臓重量および肝臓のTG,コレステロール 肝臓の重量はコレステロールを負荷した Control 群で HFat 群 に 比 べ 高 い 値 を 示 し た ( Table 3 )。 一 方 , Cheese 群の肝臓重量は Control 群に比べ有意に低い値 を示した(Table 3)。また,コレステロールを負荷した ことにより肝臓の TG やコレステロールが高い値を示し たが,Cheese 群では Control 群に比べ有意に低い値を 示した(Table 3)。
Table 3 Liver weight and amounts of triglyceride and cholesterol in liver after 28 days.
Parameters HFat Control Cheese
Liver weight (g wet weight) 4.35±0.35 7.25±0.42 5.79±0.33 Liver TG content (mg) 99.67±13.83 712.91±36.95 341.91±23.38 Liver TG concentration (mg/g wet weight) 23.01±3.61 98.68±7.99 59.10±3.62 Liver CHO content (mg) 23.83±2.10 475.80±58.04 271.18±27.55 Liver CHO concentration (mg/g wet weight) 5.50±0.66 65.56±5.73 46.77±2.81 Values represent mean±SD, n=6.
Abbreviations: TG, triglyceride; CHO, cholesterol. Signiˆcantly diŠerent from the control group (P<0.05).
Table 4 Fecal fat excretion from 26 days to 28 days. Parameters HFat Control Cheese Fecal fat
excre-tion (mg/day) 84.55±35.97 47.74±10.70 93.88±30.34 Values represent mean±SD, n=6.
Signiˆcantly diŠerent from the control group (P<0.05).
第巻 . 糞中脂質排泄量 糞中脂質排泄量はコレステロールを負荷した Control 群で HFat 群に比べ低い値を示した(Table 4)。一方, Cheese 群では糞中脂質排泄量が Control 群に比べ有意 に高い値を示した(Table 4)。 考 察 肝臓重量,肝臓トリグリセリド量および肝臓コレステ ロール量はコレステロール摂取により著しく増加してお り,これまでの報告15,16,17,18)と同様にコレステロールを 配合した高脂肪飼料により脂肪肝が誘導された(Table 3)。一方,チーズを摂取した場合には,肝臓重量,ト リグリセリド量およびコレステロール量が減少してお り,コレステロールを配合した高脂肪飼料を摂取したこ とによる脂肪肝の誘導が抑制された(Table 3)。肝臓に おいて脂肪が蓄積する過程には,肝臓への脂肪酸の流入 の増加や肝臓における脂肪酸合成の亢進,脂肪酸異化の 低下,肝臓から血中への脂質排泄の低下などがあり,こ れらが単一または複合的に作用することによって肝臓に 脂肪が蓄積すると考えられている25)。本研究では,凍 結乾燥したチーズを飼料に配合しているため,チーズを 製造する際に添加した乳酸菌や発酵や熟成等の過程で生 成したペプチドなどの様々な成分が作用し,肝臓での脂 質代謝改善効果を発揮していることが考えられる。 Higurashi ら12)は,ゴーダチーズをラットに経口摂取 させた結果,内臓脂肪の蓄積が抑制することを報告して いる。また,今回の実験ではチーズの摂取により糞中の 脂質が増加しているため(Table 4),体内への脂質の吸 収が抑制されることが考えられる。これらのことから, 今回の実験で認められたチーズ摂取による肝臓の重量, トリグリセリド量およびコレステロール量の低下の要因 の一つとして,内臓脂肪および食餌由来の脂肪酸の肝臓 への流入が減少したことが示唆される。一方,脂質の吸 収に関わる因子として,Zemel ら26)や Teegarden ら27) は,乳製品に含まれるカルシウムが脂質の吸収を阻害し て肥満を抑制すると報告している。本試験では,飼料中 のミネラル含量を群間で同様になるように調整している ため,カルシウムの量ではなく乳に含まれるカルシウム の特徴的な構造や存在形態28,29)がチーズ摂取による糞中 への脂質排泄の促進に関与しているかもしれない。ま た,ある種の乳酸菌はコレステロールの吸収を抑制す る30,31)ことから,今回の実験で使用したチーズを調製す る際に添加したスターター乳酸菌がコレステロールの吸 収を抑制,あるいは遅延させた可能性が考えられる。実 際,今回の実験ではチーズ摂取により飼育 1 週目の血 清コレステロール濃度が低下している(Fig. 1B)。 Zulet ら16)や Mawatari ら17)は , ラ ッ ト に コ レ ス テ ロール配合飼料を摂取させた場合,血清のトリグリセリ ド濃度が有意に低下することを報告している。これは過 剰なコレステロールの摂取によりリポタンパク質の合成 が影響を受け,血中へのトリグリセリドの放出が減少す ることによるものと推察されている16,17)。今回の実験に おいても,コレステロールを摂取することによって血清 トリグリセリド濃度が低い値を示したが,チーズ摂取に より血清トリグリセリド濃度が有意に高い値を示した (Fig. 1A)。このことから,チーズはコレステロール摂 取による影響を緩和し,肝臓からの脂質の放出を正常に 維持したと推測される。これは肝臓における過剰な脂肪 の蓄積を抑制したことの一因になるかもしれない。 なお,チーズ摂取による肝臓における脂質代謝改善効 果を詳細に検証するためには,肝臓そのものの脂質代謝 機能を調べることが重要であると考える。そのために は,脂肪酸合成に関わる因子やミトコンドリアにおける β酸化活性,VLDL 産生能などの評価を行う必要があ る。また,チーズに含まれる肝臓の脂質代謝を改善する 効果を有する成分を特定することも今後の重要な研究課
第号 題であると考えている。 チーズは,栄養価が高く安全性の高い食品であるが, 飽和脂肪酸やコレステロールを含有するため,脂質代謝 を改善するためにはその摂取が避けられる傾向がある。 しかし,日常の食生活に基づき脂質代謝を改善して MS を予防するためには,好き嫌いを避けてバランスのとれ た食生活をすることが重要であると考えられている。 チーズには,高脂肪かつ高コレステロールの脂肪肝を誘 発する条件下で,肝臓での脂質代謝を改善する効果があ ることが示唆された。したがって,脂肪やコレステロー ルの摂取量が増加する傾向がある今日では,食生活に チーズを取り入れることによって,肝臓での脂質代謝を 改善し,MS を予防することができるかも知れない。 要 約 近年,肝臓における脂肪蓄積は異所性脂肪として注目 されており,MS に関連する病態の発症に深く関わるこ とが知られている。一方,チーズが MS に対して保護 的な作用を示すことが種々の研究により明らかになって きている。しかしながら,チーズが肝臓の脂質代謝に及 ぼす影響についてはほとんど知られていない。そこで, 市販のゴーダタイプのチーズを,高脂肪かつ高コレステ ロールの飼料を投与した脂肪肝のモデルであるラットに 28日間経口摂取させ,肝臓での脂肪蓄積に及ぼす効果 を調べた。その結果,チーズの摂取により血清コレステ ロール濃度が低下し,肝臓の重量やトリグリセリド量, コレステロール量が減少した。また,チーズの摂取によ り糞中の脂質排泄量が増加した。したがって,チーズを 経口摂取することにより,高脂肪,高コレステロール摂 取に起因する脂肪肝を予防することができる可能性が示 唆された。 謝 辞 本研究を進めるにあたり,ご指導頂きました共立女子 大学大学院家政学研究科 教授 川上浩 博士に,心よ り御礼申し上げます。 引用文献 1) 厚 生 労 働省 「 平 成 22年 人口 動 態 統 計 月 報年 計 (概数)の概要」,厚生労働省,東京,pp. 813 (2011) 2) 矢 崎 義 雄 「 メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム up to date」,日本医師会,東京,pp. S242S244 (2007) 3) Hegsted, D. M., Ausman, L. M., Johnson, J. A., and Dallal G. E.: Dietary fat and serum lipids: An
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