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付録 Ⅰ. 調査対象国における木材の合法性証明 1. マレーシア木材の合法性を確保するツールとして マレーシアでは FSC または MTCC の森林認証の他に 木材合法性保証 ( 確認 ) システムを開発し 運用している マレーシアは 三つの木材合法性保証システムを地域別に運用している それらは サ

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【付 録】

Ⅰ.調査対象国における木材の合法性証明

1.マレーシア 木材の合法性を確保するツールとして、マレーシアでは FSC または MTCC の森林認証の他に、木材 合法性保証(確認)システムを開発し、運用している。マレーシアは、三つの木材合法性保証システム を地域別に運用している。それらは、サバ州のサバ州木材合法性保証システム(Sabah TLAS: Sabah Timber Legality Assurance System)、サラワク州のサラワク州木材合法性確認システム(STLVS: Sarawak Timber Legality Verification System)及び半島部のマレーシア木材合法性保証システム保証(MYTLAS: Malaysian Timber Legality Assurance System)である。

これら三つのシステムは、EU との VPA/FLEGT の交渉過程で策定し、改善を重ねながら運用している もので、伐採区域の設定から木材の流通の加工及び貿易までのプロセスに共通する六つの基準を設定し ている。 日本向けの木材の合法性証明は、サバ州及びサラワク州のシステムにより行われる。合法性の証明は、 両システムとも輸出申告書の裏面にスタンプと担当職員の署名を表示して行う。この輸出申告書は、合 法性を証明するシステムに設定した全ての基準への適合を示すもので、両州以外の国や地域に所在する 輸入業者は、この書類によりサバ州またはサラワク州から輸入した木材の合法性を証明できる。 本事業の現地調査では、行政機関、林業会社、加工業者及び税関においてシステムの厳格な運用を確 認した。 なお、マレーシア木材合法性保証システムの合法性証明は、EU 向け木材製品に限り行っている。 (1)サバ州木材合法性保証システム サバ州木材合法性保証システムの輸出林産物の合法性証明は、裏面に州森林局のスタンプと担当職 員の署名を表示した輸出申告書でなされ、全ての州外バイヤーに発行している。この合法性証明書は、 サバ州木材合法性保証システムの全ての基準の達成を証明している。同システムは、州森林局、営林 署、森林局 FLEGT 担当部署、第三者監査機関及び林産企業により運用している。 サバ州木材合法性保証システムの基準及び標準は、30 頁の表7に掲載した。 図1-1 合法性を証明するサバ州の輸出申告書(表面)

(2)

305 図1-2 合法性を証明するサバ州の輸出申告書(裏面)

(3)

306 (2)サラワク州木材合法性確認システム サラワク州木材合法性確認システムの輸出林産物の合法性証明は、裏面に州森林局のスタンプ と担当職員の署名を表示した輸出申告書によりなされ、全ての州外バイヤーに発行している。こ の合法性証明書は、サラワク州木材合法性確認システムの全ての基準の達成を証明している。同 システムは、州森林局、サラワク林業公社、サラワク木材産業開発公社、ハーウッドティンバー 社(第三者機関)、マレーシア税関及び林産企業によって運用している。 サラワク州木材合法性確認システムの基準及び標準を 66 頁の表 23 に掲載した。 図2-1 合法性を証明するサラワク州の輸出申告書(表面)

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307 図2-2 合法性を証明するサラワク州輸出申告書(裏面)

サラワク州の場合は、合法性証明として、輸出申告書の裏面に STIDC のスタンプと担当職員の署名を 表示する。

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308 (3)マレーシア木材合法性保証システム マレーシア木材合法性保証システムの輸出林産物の合法性証明は、輸出ライセンス及びゴムの 木の合法性証明書によりなされ、マレーシア木材産業庁(MITB)に登録した半島マレーシアに所 在する企業及び同じく登録した EU のバイヤーに限り発行している。これらの書類は、マレーシ ア木材合法性保証システムの全ての基準の達成を証明している。 輸出ライセンスは、マレーシア木材産業庁が輸出林産物に荷口別に発行する。 ゴムの木を原料とした製品の合法性証明には、輸出ライセンスと併せてゴムの木の合法性証明 書が必要である。ゴムの木の合法性証明書は、法令が規定しているゴムを伐採するときのゴム農 園経営者の同意書の取得及び原料にした丸太が樹液採取を終えた廃材である確認の完了を証して いる。同システムは、マレーシア木材産業局(MITB)、州森林局、労働安全衛生局、労働局、社会 保証機構、マレーシア税関及び林産企業により運用している。 なお、マレーシア木材合法性保証システムの基準及び標準を 106 頁の表 34 に掲載した。 図3-1 合法性を証明する半島マレーシアの輸出ライセンス この輸出ライセンスは、マレーシア木材産業庁が EU 向けに輸出する荷口別に 審査した上で発行し、合法性証明書を兼ねている。

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309 図3-2 合法性を証明するゴムの木の合法性証明書

ゴムの木を原料とした製品の合法性証明のためには、図4-1の輸出ライセンスに加えて、このゴムの木の合 法性証明書が必要である。この証明書は、法令に基づきゴムの木を伐採するときにゴム農園経営者の同意を得て いること、原料のゴム丸太は樹液の採取が終わった廃材であることを証明している。

(7)

310 4.ベトナム (1)木材の合法性証明書について ベトナムは、EU と VPA/FLEGT を交渉しているが、現在、木材合法性保証システムの開発・運用は行 われていない。このため、生産国(ベトナム)による木材の合法性証明書は発行されていない。 (2)法令に基づき伐採されたことを示す書類 ベトナムでは、木材合法性保証システムがないため、木材の合法性を確認するためには、現行法令上 の条項と手続書類によって確認することになるが、法令の条項と手続書類が多数にのぼるために、これ らをすべて確認することは、木材事業者にとって現実的に不可能である。 このため、法令の手続書類の中でも、木材が法令に基づき伐採されたことを示す手続書類として、森 林所有者が署名する次の書類を木材供給者から入手することが、木材事業者にとって現実的な対応方法 である。特に、国内の人工林の場合は森林所有者名が具体的なため、書類確認がしやすい。 ① 2016 年農業省通達第 21 号(NO.21/2016/TT-BNNPTNT) (商業伐採、林地転用に係る木材伐採及び自然災害による倒木・枯死木等の回収に関する通達) 本通達が定めている手続書類のうち、次の書類をベトナムの木材供給者から入手・確認する。 付属資料1:伐採計画書(Phụ lục 1: Mẫu đề cương thiết kế khai thác)

付属資料2:林産物リスト(Phụ lục 2: Mẫu bảng kê lâm sản khai thác) 付属資料3:伐採許可申請書(Phụ lục 3: Mẫu giấy đề nghị cấp phép khai thác)

② 2011 年農業省通達第 35 号(NO.35/2011/TT-BNNPTNT) (木材伐採、自然災害による倒木、枯死木の回収及び特用林産物生産に関するガイドラインの公布に関 する通達) 本通達は、2016 年6月に 2016 年農業省通達第 21 号に改定されているが、ベトナムでは、当面の間、 新旧両通達に定められた手続書類が地方で併用されると推測されることから、ベトナムの木材供給者か ら本通達の次の書類の提示があった場合も、当面の間は上記①に準じて良いと考えられる。

付属資料1:伐採許可申請書(Phụ lục 1: Mẫu đề cương thuyết minh thiết kế khai thác) 付属資料2:伐採計画書(Phụ lục 2: Mẫu bảng dự kiến sản phẩm khai thác)

付属資料3:伐採登録書(Phụ lục 3: Mẫu bản đăng ký sản phẩm khai thác)

書類の様式の一例を次ページに示す。この書類はベトナム語で、書類の最上部に通達の法令ナンバー (凡例:NO.21/2016/TT-BNNPTNT)並びに付属書類番号及び名称(凡例:Phụ lục 2: Mẫu bảng dự kiến sản phẩm khai

thác)が記載されているので、これらにより書類を判断する。

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(書類例)

2016 年農業省通達第 21 号

(NO.21/2016/TT-BNNPTNT)

(9)

312 5.チリ チリには木材合法性補償システム(TLAS)のような木材の合法性を証明するための森林認証以外 の特別なスキームはなく、林産物の合法性証明書類も発行していない。 チリでは、森林法1及び林業振興法2並びにこれらの関連法令の規定に基づく農務省及び国家森林 局の管理・監督により、森林経営及び林産物の合法性を確保している。これらの法令の規定により、 国家森林局は森林適地指定及び森林の利用計画書の承認を行い、林業事業者には承認された利用計 画書に基づく林業活動が義務づけられている。国家森林局は利用計画書に基づく林業活動の実施を 監査・査察(現地調査を含む)し、同局の監督による適正な林業活動の履行により林産物の合法性を 確保している。 PEFC は厳格な国家管理下で生産された木材のリスクを「極小」と位置付けている。国家森林局 が厳正に管理しているチリ産林産物の合法性は、同局の監督により確保されていると判断できる。 チリでは、丸太の取引は課税対象で、この税務処理のために丸太取扱業者は CoC 管理を行って いる。 なお、最大の対日輸出林産物であるチップは、日本の製紙メーカーが認証チップを要求している ため、全量が認証チップである。さらに、チリの林産物企業は、デューデリジェンスを義務づけて いる EU 及びデューケアを義務づけている米国のバイヤーから林産物の合法性証明に係る照会を受 けた経緯がない。 なお、林業振興法第2条では、「許可されていない伐採」(=違法伐採)として、利用計画書に掲 げられていない天然林の伐採、利用計画書が存在しない状態で行われる樹木の伐採並びに利用計 画書で許可を受けた場所よりも広い土地またはそれとは異なる土地への干渉及び指定区域外での 伐採及び利用計画の技術要件に違反して行われる伐採を掲げている。

1

国土入植省 1931 年最高法令第 4363 号森林法(Dercreto Supermo No. 4363, De 1931, Del Ministerio De Tierras Y Colonizacion, ApruebaTexio Definitivo De La Ley De Bosques)

2

(10)

313 ⑥チリの森林管理システム 第1段階 森林適地指定 第2段階 利用計画書承認 第3段階 林 業 活 動 森林所有者 林 業 活 動 予 定 地は、国家森林局 から「森林適地」 に指定されなけ ればならない。 林業事業者は、具体的な林 業活動、施業のタイムスケジ ュールその他の必要事項を 記載した森林の利用計画書 を森林局に提出し、承認を受 ける。 承認後 10 年を経過してか ら実施する施業等について は、実施前に再度利用計画書 を提出し、承認を受ける。  主要な施業は、利用計画書に基づき実施。 利用計画書の変更には、変更申請が必要。  造林、伐採及び再造林には、国家森林局 が監査・査察を実施。国家森林局は、この 他の施業についても随時査察を行う。  再造林は、林業事業者が伐採後2年以内 に達成する義務。国家森林局は、再造林 の達成を活着技術報告書及び現場での監 査により確認する。 国家森林局  書類審査  現地調査  書類審査  現地調査 主な関連法令  農務省 1998 年最 高法令第193号第 3 条、第 9 条の A 及び第 20 条  林業振興法第4条  農務省 1998 年最高法令第 193 号、第 9 条 B 号、第 29 条及び 第 36 条  林業振興法第 10 条、第 24 条 の2の B  (利用計画書変更)農務省 1998 年最高法令第 193 号第 30 条・第 31 条  (再造林義務)農務省 1998 年最高法令第 192 号第 15 条  (国家森林局監査)農務省 1980 年最高法令第 259 号林業振興法技術規則第 38 条  (先住民の権利)総務省 1994 年法令第 19300 号  (天然林材輸送時の合法証明)農務省 1998 年 最高法令第 193 号第2条  (利用計画書変更)農務省 1998 年最高法令第 193 号第 36 条 森林適地申請 書 技術報告書 利用計画書 造林 枝打 間伐 伐採 再造林 林道開設 山土場 開 設 監査・査察

(11)

314

Ⅱ.国内事業者が行っている合法性確保のための取組の優良事例

本調査の文献調査、アンケート調査及び聴き取り調査の結果から優良事例を整理した。

【社内の調達管理体制】

(委員会の設置、トップマネジメント)

〇 社内に、各調達部門責任者で構成される調達委員会を設置し、調達基準やリス

ク評価などを定期的に審議し、継続的に改善する。

〇 社内のトップレベルが、合法性を考慮し、自ら木材調達の可否を判断する。

(内部監査、外部審査及び公表)

〇 各段階の事業者の取り組み状況を現地視察により年1回以上監査し、公表す

る。なお、監査は第三者機関、または社内の環境関連主管部署にて実施する。

〇 取り組み状況について、定期的に内部監査および関係団体によるモニタリング

を実施し、概要をホームページなどで公表する。

【木材の調達基準の設定】

〇 木材の調達基準を設定する。

〇 木材の調達基準を企業のホームページに掲載し、積極的に情報提供する。

〇 取引先や専門家と協力し調達方針を定期的に見直す。

〇 毎年のレビュー、報告書、仕入先と合意した活動を通じて、方針遵守レベルを

継続的に上げていく。

【木材の調達基準として、伐採国、地域、樹種を選別する指標】

(伐採国)

〇 問題が報告されている国・地域から輸入される木材は取り扱わない。

〇 リスクが高い国の木材に対して、トレーサビリティを特に確認する。

(地域)

〇 保護価値が高い森林から伐採された木材は使用しない。

〇 天然林の伐採による木材を使用しない。

〇 合法的な森林管理によって生態系が守られている地域から産出された木材を

使用する。

(樹種)

〇 絶滅が危惧される樹種

(絶滅危惧種)

の木材を使用しない。

〇 植栽木

(人工林材)

を使用する。

【木材の調達基準として、森林認証材で選別する指標】

〇 調達対象の木材のすべてを森林認証材とする。

〇 原則として森林認証システムによる証明書の提出が可能なサプライヤーから

木材を購入し、その証明書を入手する。

〇 森林認証材の使用比率を計画的に高めていく。

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315

【海外のサプライヤーからの情報の確認】

〇 関連法規の遵守状況等について海外のサプライヤーから関係書類を提出させ

確認する。

〇 合法的な伐採であることの証明書

(政府機関が発行する伐採許可書等)

、加工・流

通段階での証明書 No.が記載された受け渡し伝票等、証明書 No.が記載された

船積み書類

(輸入の場合)

を都度入手し、内容を確認する。

〇 海外の主要な木材調達先国には従業員が駐在し、必要に応じ船積みに立ち会う

のか納入される原材料の品質を確認する。

〇 必要に応じ、職員が現地調査を実施して、サプライヤーからの情報が正確であ

るかを確認する。

〇 伐採地の動向の最新情報は現地環境 NGO が把握していることが多いため、国

際 NGO とのネットワークで伐採地の動向情報を捕捉し、現地サプライヤーと

早期に情報共有する。

〇 仕入先から提出される合法性の証明書類や駐在員による現地調査報告などを

もとに、取り扱う木材が各国・各地域の法制度に則り適正に管理・伐採された

ものであるかを企業内の調達委員会で確認する。

〇 取引仲間の起業間でリスクについて情報交換する。

〇 取引実績が長く信用力の高い現地サプライヤーのみから仕入れる。取引実績の

ないサプライヤーからのオファーには応じない。

【国産材についての対応】

〇 合法木材事業者認定制度、都道府県による地域材認証制度を活用する。

〇 各工場の原材料部門は、国産材の集荷を担当している子会社に対して、国産材

の合法性確認や納材業者の情報把握を適切に実施しているかを定期的に点検

する。また、同部門および上記子会社は、系列工場に対しても同様の点検を実

施する。

〇 製品に合法木材証明(木材表示推進協議会)

、原産地、ロットナンバー等を記載

する。ロットナンバーによって何月何日何番目に製造された製品か履歴を追え

る。

〇 地域材、地元材を使用する。地産地消する。間伐材を仕入れる。

〇 自社林から調達する。

〇 産地から直送する。システム販売で仕入れる。伐採現場に出向く。

〇 長年取引している・信頼のある森林組合、素材生産業者、製材・合板・集成材

工場、問屋、市場等から仕入れる。

〇 製品の品質を重視するメーカー、品質の良い製品を供給するメーカーから仕入

れる。

(13)

平成 28 年 12 月

一般社団法人全国木材検査・研究協会 〒100-0014

東京都千代田区永田町 2-4-3 永田町ビル

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