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2017年度税制改正大綱 資産税関連の主な改正点

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2017 年度税制改正大綱

資産税関連の主な改正点

Issue 18, December 2016

In brief

自由民主党・公明党両党は、2016 年 12 月 8 日に、平成 29 年度税制改正大綱(以下「2017 年度税制改正 大綱」)を決定しました。企業オーナー及び富裕層に関連する主な項目として、取引相場のない株式の相続 税評価の見直し、相続税又は贈与税の納税義務者区分の見直し、広大地の相続税評価の見直し、非上場 株式等にかかる相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し、相続税の物納に充てることができる財産の順位 及び範囲の見直し、外国子会社合算税制の見直し、があります。 今後は、改正法案が 2017 年 1 月に開催が予定される国会に提出され、2017 年度税制改正の内容が確定 することになります。なお、今後の審議等の状況によっては、内容に変更がある可能性がありますのでご留意 ください。

In detail

2016 年 12 月 8 日に、2017 年度税制改正大綱が公表されました。 以下では、2017 年度税制改正大綱のうち、企業オーナー及び富裕層に影響のある主な改正項目を中心に 解説します。 1. 取引相場のない株式の相続税評価の見直し 2. 相続税又は贈与税の納税義務者区分の見直し 3. 広大地の相続税評価の見直し 4. 非上場株式等にかかる相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し 5. 相続税の物納に充てることができる財産の順位及び範囲の見直し 6. 外国子会社合算税制の見直し

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1. 取引相場のない株式の相続税評価の見直し 取引相場のない株式の相続税及び贈与税の評価について、相続税法の時価主義の下、実態を踏まえて見 直しが行われる見込みです。 (1) 類似業種比準方式の見直し 類似業種比準方式の類似業種の上場株価、上場会社の決算対象(連結または単体)、配当・利益・簿価純 資産の比重について見直しが行われる見込みです。 この改正は、2017 年 1 月 1 日以後の相続等により取得した財産の評価に適用される予定です。 <現行:類似業種比準方式> 1株あたり 類似業種 比準価額 = 類似業 種の 株価 【※1】 × 評価会社の 配当 + 評価会社の 利益 【※3】 ×3 + 評価会社の 簿価純資産 ×斟酌率 × 1株あたり 資本金等の額 類似業種の 配当【※2】 類似業種の 利益【※2】 類似業種の 簿価純資産 【※2】 5 50円 【※1】 類似業種の上場会社の株価について、現行の規定に、「課税時期の属する月以前 2 年間平均」加わります。 【※2】類似業種の上場会社の配当金額、利益金額及び簿価純資産価額が、「連結決算を反映させたもの」とされます。 【※3】配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重について、現行の「1:3:1」が「1:1:1」に変更されます。 (2) 会社規模区分の大会社及び中会社の範囲の拡大 取引相場のない株式の原則的評価において評価方式を決定する際に用いる会社規模区分の基準について、 大会社及び中会社の適用範囲が総じて拡大される見込みです。 この改正は、2017 年 1 月 1 日以後の相続等により取得した財産の評価に適用される見込みです。 <現行:適用される評価方式決定のための会社規模の判定> 【※1】 上場株価の対象 【※2】 上場標本会社の決算対象 【※3】 配当:利益:簿価純資産の比率 現行 課税時期の前月、前々月、 前々月の前月、前年平均 連結決算を反映しない 1:3:1 改正案 課税時期の属する月以前2年間 平均を追加 連結決算を反映する 1:1:1 <改正案> 大会社及び 中会社の 適用範囲が 総じて拡大 される見込み どちらか下位の区分

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(3) 株式保有特定会社の判定基準の見直し 株式保有特定会社の判定について、現行通達では、「株式及び出資」の価額の合計額を分子にカウントする 旨の内容となっていますが、「新株予約権付社債」は株価と連動して価額が形成されるものであることから、上 記の判定上の分子に「新株予約権付社債」が新たに加えられる見込みです。 この改正は、2018 年 1 月 1 日以後の相続等により取得した財産の評価において適用される見込みです。 2. 相続税又は贈与税の納税義務者区分の見直し 相続税又は贈与税の納税義務者の判定について、下記の改正が見込まれています。 国内に住所を有しない者であって日本国籍を有する相続人等にかかる相続税又は贈与税の納税義務につ いて、国外財産が相続税又は贈与税の課税対象外とされる要件が、被相続人等及び相続人等が相続開始 又は贈与開始前 10 年(現行:5 年)以内のいずれの時においても国内に住所を有したことがないこととされま す。 <相続税又は贈与税の納税義務者区分> なお、上記の改正の他、一時的に日本に住所を有する外国人同士の相続等(下記の例①②③参照)に ついては、国外財産を相続税又は贈与税の対象外とする旨の改正の行われる見込みです。これにより、 高度外国人材等の受け入れの促進につながることが期待されています。 例① :日本に企業内転勤等により単身赴任で在留している外国人が在留中に死亡した場合 例② :日本に企業内転勤等により家族帯同で在留している外国人が在留中に死亡した場合 例③ :日本に企業内転勤等により在留している外国人の親族等が外国で死亡した場合 一方で、国内に住所を有せず、かつ、日本国籍を有しない相続人等が、過去 10 年以内に日本に住所を有 していた者(一時的滞在をしていた外国人(日本国籍のない者で、過去 15 年以内において国内に住所を有 していた期間の合計が 10 年以下の者)を除く)から相続又は贈与により取得した国外財産が課税の対象に 追加されます。 上記の改正は、2017 年 4 月 1 日以後に相続もしくは遺贈又は贈与により取得する財産にかかる相続税又は 贈与税について適用される見込みです。 相続人・受贈者

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3. 広大地の相続税評価の見直し 広大地の評価について、相続税法の時価主義の下、現行の面積に比例的に減額する評価方法から、各土 地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直されるとともに、適用要件が明確化される見込み です。 現行 改正案 広大地の評価方法 路線価×面積×広大地補正率(注1) 路線価×面積×補正率(注2)×規模格差補正率 (注3) (注 1) 広大地補正率=0.6-0.05×広大地の面積/1,000 ㎡(下限値は 0.35) (注 2) 形状(不整形・奥行)を考慮した補正率 (注 3) 面積を考慮した補正率 上記の改正は、2018 年 1 月 1 日以後の相続等により取得した財産の評価に適用される見込みです。 4. 非上場株式等にかかる相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し 経営承継相続人等が、相続等により非上場会社の株式等を先代経営者である被相続人から取得し、その会 社を経営していく場合に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、以下のとおり見直しが行われる見込 みです。 (1) 相続時精算課税制度に係る贈与の追加 相続時精算課税制度に係る贈与は、現行では贈与税の納税猶予制度の適用対象外ですが、贈与税の納税 猶予制度の適用対象に加えられる(併用を認める)見込みです。なお、適用の詳細については現時点では明 らかにされていません。 (2) 雇用確保要件の緩和等 災害による被害を受けた場合や主要取引先の倒産等により売上が減少した場合の雇用確保要件が免除・緩 和されます。さらに、被害を受けた会社が破産等した場合には、経営承継期間内であっても猶予税額が免除 されることとなる見込みです。 (3) 贈与者死亡時の要件の緩和 非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予制度における認定相続承継会社の要件につ いて、中小企業者であること及び当該会社の株式等が非上場株式等に該当することとする要件が撤廃される 見込みです。 現行 改正案 相続時精算課税適用者の 納税猶予制度の適用 相続時精算課税制度にかかる贈与 は贈与税の納税猶予制度の適用対 象外 相続時精算課税制度にかかる贈与は贈与税の 納税猶予制度の適用対象に加えられ、併用が 可能となる 雇用確保要件 災害等についての手当なし 災害等により会社の総資産の 30%以上が被害 を受けた場合や、被災した事業所で雇用されて いた従業員数が全体の 20%以上である場合等、 被害の態様に応じて雇用確保要件が免除され る また、一定の災害等(主要取引先の倒産等を含 む)の発生後 6 か月間の売上高が 70%以下に 落ち込んだ場合にも、雇用確保要件が免除・緩 和される。

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上記(1)(2)(3)の改正は、2017 年 1 月 1 日以後に相続もしくは遺贈又は贈与により取得する財産にかかる相 続税又は贈与税について適用されるとともに、所要の経過措置が講じられる見込みです。 5. 相続税の物納に充てることができる財産の順位及び範囲の見直し 相続税の物納に充てることができる財産の順位について、株式、社債及び証券投資信託等の受益証券のう ち金融商品取引所に上場されているもの等を国債及び不動産等と同順位(第一順位)とし、また、物納財産 の範囲に投資証券等のうち金融商品取引所に上場されているもの等が加えられ、これらについても第一順位 とされます。 なお、2017 年度税制改正大綱では、本改正の適用開始時期については明確に触れられていません。 <物納財産の種類と順位> 物納に充てる順位 物納に充てることができる財産の種類 現行 改正案 第1順位 ・国債・地方債、不動産・船 舶 ・国債・地方債、不動産・船舶 ・株式、社債及び証券投資信託等の受益証券のうち金 融商品取引所に上場されているもの等 ・投資証券等のうち金融商品取引所に上場されているも の等(J-REITなど) 第2順位 ・株式、社債、証券投資信 託または貸付信託の受益 証券 ・社債、株式、証券投資信託または貸付信託の受益証 券(上記第1順位以外のもの) 第3順位 ・動産 ・動産 6. 外国子会社合算税制の見直し 我が国の現行の外国子会社合算税制の仕組みは、2010 年度税制改正により導入された、従前の法人単位 の課税(エンティティアプローチ)に資産性所得課税制度を取り入れたハイブリッド型(法人単位の課税制度を ベースに所得種類による課税を取り込む)といえるものです。 2017 年度税制改正では、外国子会社の所得の種類等に応じた合算課税により重心をおいた制度とする大 幅な改正が行われる見込みです。 具体的には、合算課税の所得を、①会社単位の合算制度、②特定の外国関係会社に係る会社単位の合算 課税制度、③一定所得の部分合算課税制度の 3 つに区分して計算し、①及び③の適用については、納税 者の事務負担軽減措置として子会社の居住地国の租税負担割合の基準が設けられています。 上記の改正は、外国関係会社の 2018 年 4 月1日以後に開始する事業年度から適用される見込みです。

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