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乳幼児における鉄欠乏性貧血の有病率

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344 第49巻 日本公衛誌 第4号 平成14年4月15日

乳幼児における鉄欠乏性貧血の有病率

ワタナベ ツギオ 渡邊 次夫 アサイ ヤスヒロ 浅井 泰博 コヤマ ノリオ 小山 慎郎 カワべ タカシ 河邊太加志 目的 乳幼児期の鉄欠乏性貧血は精神運動発達の遅れの原因となるが,早期発見し治療すること で精神運動発達が改善することが示されている。しかし日本における乳幼児期の鉄欠乏性貧 血の有病率は明らかでなく,スクリーニングを検討する価値があるほど多いかどうか不明で ある。本研究の目的は,地域の乳幼児における鉄欠乏性貧血の有病率を調べることである。 方法 [デザイン]横断研究。[設定]愛知県新城市,南・北設楽郡の一部(稲武町,東栄町,設 楽町,津具村,豊根村,作手村),岩手県東磐井郡藤沢町で実施した初回の乳幼児期の鉄欠 乏性貧血のスクリーニング。[対象者]各市町村のスクリーニングで,参加を呼びかけた6 ∼18か月児。[測定項目]皮膚穿刺により毛細血管血を採取し,ヘマトクリット値を測定し た。ヘマトクリット値が低値(スクリーニングの初期[岩手県東磐井郡藤沢町,および南・ 北設楽郡の一部の東栄町と稲武町]においてはヘマトクリット値36%以下,その後はヘマト クリット値34%以下)の場合は要精査として静脈採血を施行し,ヘモグロビン値を測定し た。ヘモグロビン値が11.0 g/dl未満の場合を貧血とし,保護者の希望する医療機関に紹介 し,鉄剤処方を依頼した。1か月の鉄剤投与でヘモグロビン値が1.0 g/dl以上上昇した場合 を鉄欠乏性貧血とした(治療試験)。 結果 161人がスクリーニングに参加した(参加率57%,161/283)。毛細血管血のヘマトクリッ 卜値の平均値±標準偏差は35.9±2.2%であった。貧血の有病率は8%(13/161,95%信頼区 間,4∼13%),治療試験による鉄欠乏性貧血の有病率は4%(7/161,95%信頼区間,2∼ 9%)であった。各市町村開で,ヘマトクリット値の平均値,貧血と鉄欠乏性貧血の有病率 に有意差はなかった。また,ヘマトクリット値の要精査基準値の変更の前後でヘマトクリッ ト値の平均値と貧血の有病率,鉄欠乏性貧血の有病率に有意差はなかった。 結論 本研究の対象市町村では乳幼児の貧血,鉄欠乏性貧血は多く,スクリーニングの導入を検 討する価値がある。乳幼児において鉄欠乏性貧血が多いことが,日本で一般的にもみられる かを調べるためには,より大規模な代表性のある乳幼児を対象とした研究が必要である。 Key words : 乳幼児,有病率,疫学調査,鉄欠乏性貧血,スクリーニング,治療試験

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