43 (東京女医大誌第26巻第4号頁207−218昭和31年4月)
カブトガニ単一光受容器に関すろ電気生理学的研究
(第1報)細胞内誘導法による活動電位についての考察
i 緒 東京女子医科大学生理学教室(主任冨田恒男教授) 言 下 上 中 ナカ イチ郎
ロウ(受付 昭和31年2月25日)
一般に感覚受容器が適合刺激を受けた際その求 心線維にみられる興奮については,過去2⑪∼30年 にわたってAdrianをぱじめ多くの研究者1)”一8)に より詳細に研究されて来た。しかし受容器が刺激 を与吏られた際,どの様な機構で求心線維に一連 の反復興奮がおこるかということにつbては明ら かにされていなv・。例えば比較的研究の進んでい る光受容器についても視神経放竜の頻度9)∼12)は 光刺激の強度に依存することは明らかにされ,受 容器は光刺激に際して神経放電の原因を生ぜしめ る特殊性を有しているということになるが,光受 容器における第一過程と考えられる光化学反応工5) ∼15)と,そこにみられる電位変動との関係は未解 決である。勿論この過程ぽそれぞれの受容器につ いてさまざまであるに違いなく一義的には論じ得 なV・が,これらを電位変化という面からのみ観察 すると,近年各受容器についてかなり共通な現象 が見出された様に感じられる。即ち筋張力受容器 についてKatzi6)!7)及びKuffler等18)は筋運動に 際しごこにます緩やかな電位変動が発生して,こ れによって求心線維に伝導性の反復興奮(刺棘放 電)が生することを確認し,類似の現象が圧受容 器であるパチニー氏小体におv・てもGray及び佐 藤19)20),Alvarez−Buyllatg2i)によって明らかに された。蝸牛殼22)一一24)及び鼻粘膜嗅部25)等でも適 合刺激に際して緩かな電位変化を生することが知 られており,網膜においてもHolmgrenの発見 以来広く研究されているいわゆる網膜活動電位12) 26)の存在があるし,光受容細胞自身におけるもの 27)28)も最近報告されている。つまり受容器一般に この種の緩電位の存在が推測されるのであり,各 受容器に刺激が加えられると所属する求心線維末 端に非伝播性で,悉無律に従わないところの緩か な電位変動が発生して神経放電の原因をなしてい ると考えられる。(これは最初にGranit12)が網膜 につV・て考えたgenerater potentiaiに相当する ものといえよう。) ただし網膜の興奮過程と密接な関係があると思 われる網膜活動電位については脊椎動物の網膜か ら誘導されるものはGranit 12),冨田等29)一’52’56), Svaetichin響5’54汲びNoe11珂が論じている様に 波形が複雑で,その発生機構についても種々の問 題があり,これが一一L義的に視鉢叩放電の原因であ るとは考え難い。しかし簡単な構造を有する無脊 椎動物の網膜において2ア・57)’‘59)1ま,光刺激に際し て受容細胞の末梢遊離端が,神経線維を生する端 に対して電気的に陰性となり,視神経における伝 導性の興奮はこの局在性緩電位に関係すると考え られる。この局在性毛電位と放電との関係は,光 受容機構のみならす,前述した様に一般の感覚受 容器における伸経放電の発生機構の解明の点から も:重要な問題であると思われるが,これについて 最:も注目すべきものはHartline等,冨田,其の 他27)4。)41)lcよるカブトガニ(Limuslus polyphem− US)の光受容器についての研究であるQここでこ の研究を中心としてカブ1・ガニ側眼の構造と機能 の概要を述べてみよう。 カブFガニの義眼は複眼で平均約600の光受容 単位である個眼を含んでおり,個眼内に神経上皮 Ichiro Tanaka : Electrophysiological investigations of single ommatidium of Tachypleus. Part 1.Studies on the action potentials recorded from inside a cell of the ommatidium.
第1図カブトガニの側眼半載標本における単 一視神経線維よりの誘導を示す模型図
瞳 ↓騨
Plexus
搾::ll乱
teral effect”又はNlateral inhibition/i と呼}よ才し ている。この様な光照射時における単一視神経の 反応からみた興奮及び制止現象について,冨田は 一連の実験結果から光受容単位の興奮時には,そ の視神経線維末端部の形質膜に脱分極がおこり, 制止を受ける二合にはそこに復分極がおこると結 論している。 第2図 カブトガニの義眼における単一個眼視神 経標本を示す模型図(Hartline et aL27))
Optie nerve
Lead elect.Singie fibep
性で光受容機構に関係があると思われる細胞が2種類ある。1つはret iユula cellと呼ばれる比較
的大きな細胞で,これが個眼の長軸を中心として ミカンの実の様な形に10∼20配列し,その基底か ら求心性に走る神経線維を出してv・る。又この細 胞は個眼の長軸にそって色素を有しておる。他の 1つはeccentric ce11と呼ばれるもので各個眼の 中枢端の近くに通常1つあってやはり神経線維を 中枢に向って出しているが,色素は無く双極細胞 様である。かくて各個眼の後極からはretinula ce11及びeccentric ce11からの10叉はそれ以上の 線維が1つの束となって出るわけであるが,間も なく他の個眼から出たものと交錯して走行が不明 となり(この部をplexusと呼ぶ),ここを出た線 維は再び円錐状に集って視神経をなしてV、る。以 上の関係を摘出した側眼を半裁して,その断面で 示すと第1図の様になる。 しかし刺激に際して,1本の神経の束(1つの 個眼より発したもの)より誘導される刺棘放電は 典型的な単マ神経線維の活動を示すことが認めら れ,これは各神経放電の総てが同期している故か も知れ’ないが,1つの個眼を照射したとぎにみら れる放電は悉無律的で単一線維の活動と思われる こと等からeccentric cellの軸索の活動のみが記 録されるものと考えられている。1つの個眼に光 照射を与えている閥に,その線維からは一連の放 電が記録されるが,この放電は近傍の個眼に照射 を加えること(第1図参照)によって放電頻度の 減少がみられ,この現象はHartlineにより”la一 !jei!L
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2 8 年 ヨti 畠 !K , fmm j Hartline等は第2図tc示した様な分離した光受 容単位について光刺激時に神経線維(第2図の2, 3)からは陰性刺棘放電が記録されるのに対して個 眼を挾んでおいた電極の(第2図1,2)からは時 に純粋な緩やかな電位変化(ommatidial action potential)だけが得られ,超微小電極を個眼内 に進め細胞内よ1))と愚われる誘導では陽性の緩電 位と陽性刺棘放電が得られることを報告している が,更に冨田は個眼内に微小電極を進め細胞外と 思われる点よりの誘導により陰性の緩電位と陽性 刺棘放電を得て,これ等の関係から緩電位に関し ては受容器形質膜の内外で位相が反転するから形 質膜のactiveな脱分極を考え,刺棘は同位相で あることから細胞外にその発生部位を考え,それ は視神経末端部であろうと推論した。 ここに於て,著者はこの光受容単位について細 胞内と思われる点よりの電位変動を誘導し細胞体 形質膜の性質,緩電位と刺棘放電の発生機構及び 両者の関係等について研究を進めるごとにし,カ ブトガニ(Tachypleus tridentatus)の側眼を用45 いて実験を行った次第である。この細胞内電極法
はCurtis&Cole(1940)A2)及びHodgkin&
Huxley(1939)45)等によって■カの巨大線維に適 用され・ftのに初まりHodgkin及び共同研究者44) ∼46)によIP神経膜の電気的性質が分析されいわゆ る”sodium hypothesis”カ§提出されて,現在我 々が種々の被刺激性細胞の興奮を理解する上に重 要な基礎的考え方を与えたが,更にGerard等4わ は巨大線維に較べてはるかに小さい筋線維につい て形質膜を介しての電位変動を得るべく努め, Ling&Gerard(1949)48)は尖端直径0.5μ以下の 毛細管電極を用VOて之に成功し, Nastuk&Ho− dgkin49)によってこれが確認,発展されるに至っ たものである。其の後この方法に広く用いられ2・ 3の感覚器27)28)5D’5!)につV・てもその報告があり, Hartline二等27)52..も前述した様にすでにカブトガ ニの個眼に適用しているが,これについての詳細 な研究は未だなされていない。n 実験力法
第3図 実験装置ブPツク線図1稟∠
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i一一e¢一”C−e¢ti−t.一一一一一”一一v一一一一一一一一一一,一1一一一’一一; Op.sの P.A.:前置増巾器, M.A.:主増巾器, S.S.:音 響中巾器及び拡声器,B..0.1二現象ブ湧ウン管オーY・T4スコープ, T.M.:time marker, D.:遅延回
路,op.S.:光刺激系(第4図参照, LV:バ7レブ, PT:光電管), P. :ポテンシヨメー Pt r一(細胞内 直流通電用),St.:出力絶縁型刺激装置(逆向き刺 激用) 瀬戸内海産のカブトガニ(Tachypleus tridentatus) の視神経をつけて切り出した側膳の半拍標本を,カブ トガニ用生理的塩類溶液を満したplastic製陶懐中に 載面を上にして固定し,笑劇顕微鏡で約30倍に拡大し てみながら(第1図及び第2図参照)表面のommat・ idiaの1つに細胞内誘導(及び必要に応じては細胞内 通電)に用いるための前置増巾器に固定された関電極 を数功奏塁によ.り挿入した(不謁電亟は常に容液中に おいた)。この関電極はLing&Gerard48汲びNas− tuk&Hodgkin49)による尖端直径0.5μ以下の起微小 電極で,著者は外径1.Omrn,内径0.5mmの硬質硝子 管(SB24)をマイクmバ・・ナ聖上で引き,高倍率水 浸顕微鏡下で尖端を検べ,3mol KCI溶液中で煮沸し て内部の空気を立読した後電気抵抗を測定し1その値 が15∼30MΩのものを使用した。 第4図光刺激装置
an Lv
一S一一 .x ts LS:タングステンランプ, LV:パフレブ, SL: 及びSR:スリット,M1:小鏡, PT:光電管, M2:反射鏡, L:レンズ, E:誘導電極,0:カ ブトガニ心眼 外液に対する細胞内の電位変化はこの電極から第3 図に:示す様に細胞内微小電極用前置迫出器(P・A.)及 び主増巾器(M.A.)を通して,拡声器(S.S。)及び二 現象用Braun管オシmグラフ(BtrOe)の片方の縦軸 (1)に入れ,観察及び記録を行った。tの際Braun管 の他の一方(2)は必要に応じて細胞外液の電位に保っ て常に細胞内外の電位差が示され,かつtime marker (T.M.)よりのtime mark,及び光電管(PT)より の光刺激のsignが入る様にした。ここに用いた増巾 器は,米満等55)による初段に6BE6を通常より低い 陽極電圧及び線条電圧で働かせgrid電流10−12amp. 入力抵抗10i2aを得たもので,その後に5AK5及び 12AT7の直結合回路を施し,抵抗が20MΩ程度の超 微小電極を接続してduration 1/1000sec。の矩形波を 殆んど歪なしに増回するaとが出来たものである。光 刺激はBraun管の掃引に連動し適当な配点で任意の 時間与えられる様な遅延回路(D)を通して光刺激系 のパフレブ(LV)の開閉により行われる様にした。第 4図はこの光刺激系を示すもので,刺激の時間はミラ ー(M)の反射光を光電管(PT)に受けてそのsign がBraun管に入る様にし7’刺激強度の変化は光学系 にneutral filterを挿入することによって行った。 第3図における逆向き刺激装置(St.)及び細胞内通 電装置(P.)は続報54)55)における笑験に用いるため のものである。 なお,カブトガニ用生理的塩類溶液は菊地及び田中 一20. 9一56の分析結果に従い次の様な組成のものを使用した。 NaCl ・・・・…一・…420 mM KCI ・一・一・・・…J・ 10 mM CaClo ・・一・…一・… 10 mM MgCi 2・・・・・・・・・… 25 mM 実験時の温度はS ・V12Q Cであった。 皿 実験結果 1)静止電位と活動電位 第5図 静止電位と刺棘電位(自発放電)との関係 認 40 三 e 婁 屋3。 & 婁 壽 20 10
/
o le Eo 3e 40 so mv
Resttne 一nbttne pettntttl t ft.1
半裁標本(第1図参照)の表面に照明をあて実 体顕微鏡下で個眼内に超微小電極を進めてゆく と,ときに陰性の電位飛躍が生じ同時に反復性の 陽性刺棘放電が観察されるが,このとぎ電極が細 胞内に挿入されたものと老えられる。この状態で 照明を消すと陰性度(膜電位)は増大し,刺棘放 電は消失するか.著しくその頻度を減する。この 際の膜電位が静止電位であるが,光刺激がなV・と きになお刺棘放電が存在することは細胞外よりの 誘導では認められないから細胞内に電極を挿入し たことによるものと思われる。得られた静止電位 と刺棘電位の分布を両者の関係において示すと第 5図の様で,静止電位は総て50mV以下で10∼30
mVのものが多く,刺棘電位は殆ど全例が15mV
を超えす静止電位の%以下とV・う関係にあった。 しかし静止電位が大きい揚合,その電位に較べて 比較的大きな刺棘電位が得られたことがある。 光照射を与えた際は膜電位は減少(脱分極)し, 同時に陽性の刺棘放電を生する。この様に光刺激 に際して二種類の活動電位が生するわけである が,このうち前者は非伝導性の光刺激の存在して 第6図細胞内より誘導された活動電位 u..TIME O,1+t SEC.
SεN引’『’ 5mV ] 上部の横線は細胞外液の電位を示し,tの線上の2 つのsignは光刺激の011及びoffを示す。上向きが 陽性(以下の図においても同様) いる間持続する緩やかな電位変動であり,後者は これによって生すると考えられる伝導性の速い変 ’化である。ある時間持続する光刺激に際しての反 応の1例は第6図の様であって,緩電位は刺激を 始めてからある潜時の後,漸次上昇して短時間の うちに極大(「初期極大」)に達し上昇時より緩やか にある点迄下降(復分極)した後,再び徐々に上 昇(「二次上昇」)して「一定の脱分極状態」に留 まるが,条件によっては(後述,第12図参照)初 期極大から漸次下降して「一一fEの脱分極状態」に 至り,二次上昇を欠く。刺激を除くと潜時を経 て,膜電位は漸次指数函数的に(第10図A.C.)復 分極し静止電位に至りわすかに静止電位に対して overshoot(過分極)を示した後回復する。とき にこのovershootは認め難v・二合もあり,二二 に刺激後に脱分極状態が持続し,いわゆるafter− dischargeを示した例も認められた。緩電位の大 きさは次項に述べる様に刺激光の持続時間,強 度,及び受容器の光に対する順応の状態等で異な るが,暗順応の状態で比較的強い持続光刺激で得
47 た「初期極大」の大きさと静止電位との関係を示 すと第7図の様で細胞外液の電位に対するover− shootは認められ,ない。 刺棘放電は第8図に示した様に徐々に進行する 脱分極に続いておこり,後に陽性緩電位が続くも 第7図 静止電位と緩電位(初期極大)との関係 aY 4e :・ ご ヨ3。 蒼 曇 三 婦 20 10
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e 20 2“ 30 4b 50 mv
飛儲報㌶・謙龍r鋤ゆpotentg㊤i{R.) 第8図 細胞内より誘導された刺棘電位の波形 7酔客1 蚤en SEC. ∈§ε開s撃丁。: 雪enV ] のであり,波形については一般に上昇率が下降率 よりも大きく,持続は10∼15m sec,で■カの巨 大線維n4)45),蛙の筋線維49)57),有髄線維58)59)及び 前角細胞(猫60),蛙61))等のものに較べて長く, 又大きさは著しく小さくてovershootのない点 が特長である。 これらの結果は冨田のV・うように緩電位は現在 誘導している所の膜に発生し刺棘は他に発生部位 があってそこからpassiveに受けている変化とす ると理解し易b。緩電位の大きさは条件によって 異なるが常1(:overshootはな㌔(ものであり,刺 棘放電はその発生部位においてはより大きな変化 が生じているはすで,あるいはovershootがあ るかもしれないと懸隔られる。更11C待山62)の報告 にみられる様な大きさが異なり,各々独立した放 電聞隔を有する2種類の刺棘放電を同時に認める 例もしばしば観察され,緩電位の発生部位が発火 していないごとは確実であると思われる。 2) 刺激の持続時間及び強度と活動電位 第9図 刺激時間による活動電位の変化A
B
] TIME OA−1SEC gENSIT.: Sfnv Aは閃光刺激時の活動電位で,緩電位の回復後にみ られる刺棘は自発放電,Bは周一強度の持続光刺激 時の活動電位を示す ある強度で持続する光刺激を与えたときの活動 一211 一電位については前項で述べたが,刺激時間を非常 に短かくする(閃光)と緩電位は初期極大に達し 第10図 緩電位下降期 蓄・▼ 鵠 20 ゆ 劉 蓑、。 §、 =・ 2 5 ヨ 弩 蓑 表 ユ 乱 c o.s o.e see.
B
’ilatera1 inhibition”も関係するものと考えられ る。 次に一定時間持続する異なった強度の光刺激に 対する活動電位の変化は第11図及び第12図に示す 様に,、刺激強度を減少せしめると緩電位(特に 「初期極大」)は減少し,刺激を始めたときの潜時 (第12図A),「初期極大」迄の時間(B),刺激を 切ったときの潜時(C),及び静止電位に復する迄 の時間(D)が延長する(第12図)。叉刺棘放電の頻 度は緩電位の減少に伴なって減少することが認め 第12図 刺激強度と緩電位との関係“ O.1 O.2 O.S O.l T二国● A及びCは持続光刺激時の下降期(off一効果), は閃光刺激激時の下降期で,共1と指数瞬数的である ことを示す。下降の時定数は約O.2秒。 た後,比較的速く指数函数的に下降して静止電位 に復する(第9図A)。同じ刺激強度で持続時間を 漸次長くするとそれに伴ってある点まで初期極大 は増大し,その下降脚が延長するが,その時間以 上では刺激を長くしても下降脚は延長せす「一定 の脱分極状態」へ移行する(第9図B)。閃光によ る刺激時の緩電位の下降脚は持続刺激を切ったと きの変化と同様に経過は第10図(B)に示す如く指 数函数的であるが,刺激時間が長い場合の初期極 大の下降脚は:V・わゆる明順応に対応する現象で, 時聞的経過も前者と異なり何等かのactiveな機 制を伴う変化と思われるし,この際Hartlineの 量 1000 : 訪 謡 eoo 整 i
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]TIME・ O, 1+1 SEC.
sENsldr.: lomv
4g られる(第11図)。 以上の実験は充分暗順応の状態においてから行 ったものであるが,明順応の状態における活動電 位(緩電位)は明順応の程度に応じて減少し,こ の場合の減少も「初期極大」に著明であった。持 続光刺激時において刺激強度の弱い場合,明順応 の揚三等一般に「初期極大」が比較的小さいとき には緩電位は漸時「一定の脱分極状態」に移行し 「二次上昇」は認められない。文一定強度の持続 光刺激中に刺激強度を増すと緩電位に相加が認め られた。 3)緩電位と刺棘放電との関係 持続する光刺激に際して,刺棘放電は緩電位が 上昇を始めた直後から始ま「)漸時頻度を増して 「初期極大」よりわずかに先行して最大頻度を示 してから減少し,緩電位下降脚の変曲点附近で最 低頻度となった後,再びやや増加して「一定の脱 分極状態」に至って大体定頻度となる。ただし緩 電位が「二次上昇」を示す例では緩電位が上昇し てV・る間頻度も増加し,その後一定となる。又刺 棘放電の大きさは,緩電位の上昇に密なつて減少 し下降によって増大を示すが,その最小は緩電位 の極大よりややおくれる傾向を示す。 第13図 緩電位と刺棘放電(電位及び頻度)との関係 Pe Vs os fie e . 40 so 2e 10 o 慧 ユ。 5 e
?reqtaoncy ot epSke potenttei
「いて示すと第14図の様であり,同じ膜電位でもそ の時聞に対する変化率が問題で,一般に上昇時と 下降時とでは頻度は前者の方が多く,大きさは後 者のがが小さい。このことは頻度については刺棘 放電発生部位の「強まり要素」が関係するためで あろうが,いつれにせよ緩電位の波形で刺棘放電 のpatternが全く決定されるという関係にある。 又大きさにつbては細胞の膜抵抗が問題で,静止 時もしくは緩電位上昇の初期に較べてその後は膜 抵抗が減少するため誘導される刺棘放電が小さく なるのであろうと考えられる。 wア考 察 第14図 緩電位及び刺頼放電の発生 磯制を示す膜型物(富田64))
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Aは緩電位発生時。Bは刺棘放電発生時を示す。上 部(晴円形0)部分)は受容器。下部は視神経を表し, 破線は各々の発生部位とし,矢線はその時の電流と する。 Spike potenセユ。コL 3玉佃POtentisl .一一bl MtuE”pprlket−uamu一一 pm’{一一一velt一一L−L一“v一一 )一〇 .1 2 5 aeC.
時間軸は刺激開始時よりの秒数を示し,刺激時間は O,5秒である。破線は緩電位極大値の時点を示す。 この様に刺棘放電の頻度及び大きさは膜電位に よつて概ね決定される様に思われる(膜電位によ って決定されることは細胞内直流通電による実験 で明らかにされた55)駒)が,この関係を一例につ 以上の実験結果からも緩電位は誘導している部 位の形質膜で発生し,細胞内に刺入した電極は直 接その変化を記録していると考え,刺棘放電は少 し離れた別の揚所に発生し,電極はその変化を passiveに受けたものに過ぎ“ないと考えること, 及び緩電位の発生によって,即ち受容細胞におけ る形質膜の脱分極が原因となつで刺棘放電を生す ると考えることは妥当である。第14図は緩電位及 び刺棘放電の発生部位(破線の部位)と発生に際 して生ずる電流の方向及び密度(矢線)を示すた めに冥田戸4)が提出した模型である。・Aは緩電位の 発生時を示し破線の部位が電位を発生している受 容細胞の形質膜で,かかる形質膜の脱分極により 視神経末端部は外向ぎ電流(矢線)を受けること によρて放電を生ずる。又Bは刺棘放電発生時で 一 2i.g 一視神経末端部(破線の部位)に脱分極がおこり, 受容器はこれによる薄められた外向き電流(矢線) を受けるが受容器そのものは放電をおこさないこ とを示している。 第15図 緩電位及び刺棘放電発生時 の形質膜の仮定等価回路
A
Re
B
R、C
RlR、
C
噛 R亀E
ε、R 鐘 Aは緩電位発生部位,Bは三三放電発生部位で,図 の上部を細胞外,下部を細胞内とする。(本文参照) この2種類の活動電位のうち,緩電位に関して はその大きさが刺激の強度に平行し相加現象も認 められるが,尖端電圧は常に細胞外液の電位に対 してovershootがなく,かつその発生時には膜 抵抗の減少が考えられるものであって,これ等の 面から考えると発生部位形質膜はFatt及びKatz 等65)∼69によって詳しく研究された脊椎動物端板 における電位(端板電位)発生時の膜の性質と類 似するものといえよう。端板はacetylcholineに より特異的に脱分極がおこり,それによって筋線 維に伝導性の刺棘放電が発生するが,この端板電位についてFatt及びKatzぼ端板における非選
択性の■オンの透過性の増大によって生すると考 え,その部の膜抵抗の減少のみで等価的に説明出 来ることを示しているが,カブトガニ光受容器に みられる緩電位についても一応この様な等価回路 で説明し得る可能性がある。これに対して伝導性 の刺棘放電については,この実験では発生部位形 質膜を介しての誘導は不可能であるが,Hodgkin・ Huxley,及びその他の研究者45)46)49)70)∼75)によっ て神経線維及び筋線維について定量的に検べられ て結論された様1’C,放電の尖端電圧は一種類のイ オンの特異的の透過性の増大によって決定される 一定の値を示し,その際静止電位に対して逆向き の電池を考えることにより等価的に示されると考 えるべきであろう。 緩電位及び刺棘放電の各々について以上のこと を仮定した等価回路が第15図であって,Aは緩電 位発生部位形質膜を,Bは刺棘放電発生部位形質 膜を示し,E,とR1は静一時における膜電位と膜 抵抗,Cは膜容量であり,活動時にはAに於ては R2が, Bに於てはE2とR2がこれに並列に加わる。Ri及びRoはAiとBi及びAoとBoとの間に介
在すると考えられる抵抗である。(但し,Ai,A・ はAにおける形質膜の内側と外側,Bi, B。はB における形質膜の内側と外側とする)。この図につ いて光刺激でますAにおいて膜抵抗が減少し脱分 極がおこるが特にEi以外の電池を考える必要ぼ なく,:BはAの脱分極によ!7 E2及びR2/R,で決 まる新たな電位に向うことになるが,Aにおける 脱分極は光刺激の持続してbる闇続ぎ,Bにおけ る放電は短時間に経過する変化が反復し,その反 復の頻度がAの脱分極により受ける外向き電流の 強さによって決まると考えるわけである。以下 Ai, Ae及びB。におv・て誘導される活動電位を中 心として,それ等からこの等価回路を検討するこ とにする。 第16図 細胞外より誘導された活動電位(冨田40)) 増聴器の時定数約0.5秒。照射後直ちに現われてい る陰性の振れば電極中の銀線の光電効果によるart− ifacto 時間0.1秒o Aiにおける緩電位については直接その絶対値 が得られるわけで,これは実験結果の項に述べた51 様に上向き(陽性)でありovershootを示さない し,刺棘放電については上向き(陽性)でBにお ける一過性電位変化をpassiveに受けてv・るわけ であるからその大ぎさは小さく,特にAにおける 膜抵抗が著しく減少するとき(緩電位の極大附近) は小さい変化として誘導される。Aoにおv・て誘 導された(個眼内で細胞壁誘導による)活動電位 を示すと第16図の様で,ここでは緩電位はA、と逆 向ぎ(陰性)になりpassiveに受けているところ の刺棘放電はAiと同じ向き(陽性)にあらわれる が,その大きさを緩電位の極大附近におけるもの と緩電位が志んど恢復した附近(「一定の脱分極状 態」)のものとを比較してみると,Aiにおけるも のと逆に前者の方が大きいという結果を示してい る。このことはAにおりる膜抵抗の減少を考える と説明し得る。Beにおいて誘導された(視神経 末端外部誘導による)活動電位は第17図に示され る様に,Aoにおけるものに較べてpassiveに受 ける緩電位は小さく上向き(陽性)で,刺棘放電 は下向ぎ(陰性)で趣きV・。 第17図 視神経末端外部誘導による活動電位(冨騨。))
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閃光に伴う活動電位の2回反覆記録。時闘1+10msec・ さらにBiにおけるものを想定してみるとAiに おけるものに比べて緩電位は上向き(陽性)で小 さく,刺棘放電は上向きで大きく,E2及びR2/R, で決まる陽性の値(絶対値)を示すと考えられる わけである。これ等のことから第17図の等価回路 は実験結果を説明し得ると思われるが,ここで注 意せねばならぬことは緩電位の立上りの初期にお いては実験結果で述べた様に膜抵抗の減少は著明 でなく,ここでは特殊のイオンの透過性の増大を 考えねばならなV・かもしれなV・し,又緩電位計生 時に逆向き電池E2を考えなくてよいということ については受容器に直流通電を行い膜電位を変化 せしめた際の緩電位尖端電位の変化をしらべ,両 者が全く比例して消長することを確める必要があ るが,これについては続報55)で検討する予定であ る。更に緩電位についてはその発生部位形質膜の 非選択性のイオン透過性の増大を,心志放電は特 定のイオン(Na“)の透過性の増大を仮定したわ けであるが,これ等を主な陽4オンの活動電位に 対する効果から検討するべきであると考え,これ に関する実験を行なったので続報54において結果 を報告する。 終に,緩電位の癸生部位と刺棘放電の癸生部位 について今まで前者が受容細胞であり,後者が視 神経線維末端である様に記載して来たが,これば 今までの実験結果からそう考えられ,かつ全体と して結果を説明する上に矛盾を生じないがらで, 他に可能性が全くないというわけではなく,実際 はどの様な形態学的位置に対応しているかとV・う 売分な組織学的検討を行ってV・ないので,この問 題についての決定は今後の研究にまち固い。 V 結 語 カブトガニ(Tachypleus tridentatus)の側 眼における光受容細胞内より電位変動を誘導し次 の様な結果並に考察を得た。 1)静止電位は概ね10∼30mVであり,光刺激 により膜電位は減少(脱分極)し,同時に陽性の 刺棘放電を生する○このうち前者は刺激の存在す る間持続する緩やかな電位変化であり,後者は速 い伝導性の変化(持続時間は10∼15m/sec)であ 一 21S 一
つて,両者共細胞外液の電位に対するovershoot は認められない。 2).光刺激の時間を非常に短がくすると緩電位 は極大値に達した後指数函数的に下降しで静止電 位に復する。持続時間を漸次長くするとそれに伴 ってあるとごろま.では極大値は増大し下降脚は延 長す.るが,それ以.一ヒになうと下降脚は延長サすに 刺激強度によって決旧る一定cp脱去極状態へ移行 する。刺激の持続時間を一定とし強度牽増してゆ くと,.それに伴って緩電位は増大し,潜時,極大 迄の時間は減少する。 3).緩電位の上昇により刺棘放電め頻度は増加 し,大きさは減少して,共に緩電位の大きさ(脱 分極の程度)によって決定される直な関係にある が,緩電位の上昇期と下降期とでは差が認められ る。 4)以上の結果と細胞外誘導による記録とか ら,緩電位は誘導してV・る部位の形質膜に発生 し,刺棘放電の発生部位はそれ以外のとと.ろにあ って電極はその変化をpassiveに受けていると考 え,叉緩電位の発生が原因となって刺棘放電が発 生すると.考えることは妥当である。 5) 緩電位は受容細胞の膜抵抗の減少によって 発生する形質膜の脱分極であり,それより中枢側 の部位に生する刺棘放電とは,発.生機構を異にす るものと考えて,それについて考察を行った。.樹 この点に関.しては続報におV・て検討す為こととす る。 墨筆するに当り御懇篤な.る御指導と御校閲とを賜つ た冨田恒男教授,並に終始御協力を頂いた菊地錬ご動 教授に深甚め謝意を表す。 :交 献
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