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嚢破裂せる臍帯「ヘルニア」の一治験例

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Academic year: 2021

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(1)

嚢破裂ぜろ環帯「ヘルニア、の一治験例

高知市 宮 地

回 榮

1 緒

言 膀帯「ヘルニア.1は比較的稀有な先天性崎形として報告せられ・G.B. Gruberによ れば5000,H. martinsは3000, NVildegans ..は17000の分娩に1同の割に見られる と云ふも,しかし稀有ではないやうである。余はこの例に遭遇し内2例はKermauner 分類の第3類に囑する高度なもので何れも護育不全な死産免であった。こ玉に報告し やうとするは朝露可良な蔚産児でKermaunerの第1類に属し遽切な早期虎置により 全治したものである。

2 實 験 糊

松○かO,32歳,初産婦,炭商の妻 容馨摩 特記すべきなく・響往準.t生來健康であったが24歳の夏腹部に腫瘤あるに 氣付き同年11月卵巣嚢腫の診圓の下に手術されたと云ふ。初経工5歳3月,爾來不順, 書聖5乃至6日,中等量,経時下腹痛がある。結婚,22歳,夫は健康で性病の既往 症なしと云ふ。道面月維,昭和12年4月15日,6月中旬より中等度悪阻あり,10月上 旬より羊水過多となり腹部緊張あり,電電10月16日(6ヶ月)84糎,111月89糎,12 月9『糎・「アルワヂン・其他利聯により1.2月以後は響せす殆ど麟となるも1月 初旬より全身浮腫を面し,2,3日前よ砂頭痛烈しく昭和13年1月28日來翻した。 現症艦格,乱丁中等,燈温37・1。C,脈搏80,全身浮腫あり殊に顔面下肢に著し り 乳量著色は著明にて僅かに初乳を塵出する,腹壁は麟と恥骨結合の聞に約12糎の手術 疲痕がある,浮腫甚しきため子宮底を明かに燭れす,胎児は獲育頗る可良にて第2頭 位,頭部は骨盤内に固定し児心晋は右膀棘線中央で正張に聞く,膝蓋灘反射や2元進多 少の覗力障碍あり,Y氏反慮陰性,尿中蛋白は妊娠3ケ月までなく,6ケ月に痕跡あ り,1月28日に末吉氏計で2%あり,血墜,妊娠第2ケ月最高114,最低78,7ケ月11Q −78,1月28日,190・一124,同日入院,直ちに「マグロ・一一ル」20耗注射し経過を襯察 せるに頭痛釜々烈しく最高血墜下降せす,兇は獲育可良にて豫定日を過ぐることすで に六日,而も高年初妊娠なるを以てやがて來らんとする危瞼を慮り入工分娩を決意し 一第9巷 76一一一

(2)

宮地=嚢破裂せる孤山「ヘル:アJの一治瞼例 77 同日午後五時「ブジー」を挿入し,29日午前1・時早期破水あり,時に子宮口僅か2指 示大のみ,以後陣痛塘強し午前5時全開溢し陣痛強烈なるも鬼頭下降せす,心音に異 常なきも母艦の疲労甚しきため鉗子により1第2頭位で頭部娩出,前論娩出潮困難にて 漸く腹部に至るやこれ叉弧き抵抗あり容易ならす,音部の外陰を出つるや同時に小腸 が恰も扇を開v・た如く脱出し意外の事に驚くうちに残部は事なく娩出した,時に午前 6時30分,30分後に胎盤娩出,後出血やN多量であったが適當塵置により大事に至ら す以後順調に経過した。 娩出物所見 獲育可良なる男性,身長55糎,髄重4200瓦,膀部の他に異常なし,第 む くき 1度の暴死なりしも皮膚刺戟により蘇生す。膀精の長さ,25糎,卵膜附著しそこより 6糎及び12糎の2ケ所に小豆大の静脈瘤あり,18紅まで細く周圏3糎,これより次第 に大さを壌し腹壁附虫部に於ては8糎となり左捻蒋する。卵膜に磨損其他の異常なし 胎盤iは22×18糎,最:厚面3糎,重量900瓦,≧石衣前著其他を認めす。 胎兇局所所見 年輪に相當して優に指を通じ得る裂孔あり,この周團は透明菲薄な り む る り 膜帥ち膀帯鞘が附著し其右上方に約5糎の破裂あり,こXを通じて小腸の大部分及び 大腸の一部が露出して児の腹壁を被ふ,膀帯はこの裂孔の右下方にある。 前置 浩毒を嚴重にして下聞藏器を復心し手指で墜亡して暫時経過を見るに呼吸は り の 次第に整調となり「チアノーゼ」も減す;,こ具こ於て「ヘルニア」嚢を縫合しやうと した時高齢に暗醸したため怠納した臓器が再び脱出す,嚢は脆弱で針を通した虚から 破れ,こ玉からも臓器脱出す,やむなく助手をして脱出を防ぎつ玉裂孔皮膚を出立も 共に潔く固く結紮し以て腸脆出はまぬがれたが,腹壁は裂孔部で巾着状に縛られ書く 緊張した,沐浴後満面を充分にし裂孔皮膚と「ヘルニア」嚢との境界嚢部を新たに結 紮し初めの皮膚結紮を除去して観察せるに哺航するも更に脱出の傾向なく,腹壁の緊 張も去れるため纐帯をやM堅迫する如くなし塵置を絡り,傳染豫防の目的で「ゲリゾ ン」0.2蛇を皮下注射し其後の沐浴を中止した。 其後の観戦第ユ日・最高艦温37・8つC,呼吸整調・胎糞敷設多量排出,10%「キ り り ノミール」10暁・5彩葡萄糖液100藍投與,膀部より多少の出血あり,「ゲリゾン」 02耗注射。第2日,最融寒露37.5。C,嚇し全量「キノミH一ル」40暁,「ゲリゾン」 2.0蛇注射,結面部やx壌死少量出揃hあり。第3日最高艦温37.5。C,哺乳全量40G 靖,.朝より黄色瓢粒を混じた移行便となる。簾4日,最高礎温37.5。C∼贋部出lti1. tg くやs乾燥す,「キノミール“少量,母乳を数同哺孚しす。第5日母乳分泌多:量となり母 乳のみ。第10日,丁丁脱落す,脱落面は丁丁にて直径3・3糎,沐浴す,以後二日沐浴 一一第9巻 77一

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78 宮地=i甕破裂せる一帯「ヘルxア」の一治験例 示重44525瓦,第/6日,隣帯脱落面直径22糎に縮小し膿重4500瓦。第22日,母兇 共に全治無事退院。第40日,数日前より右鼠瞑「ヘル=ア」を起して來院,「ヘルニア」 帯を施す。・この頃より児は常に舌を口外に出し正常より・大きい感あり,小見出にて亘 舌症と診定さる。第ユ99日,艦重8475瓦,身長75糎,獲育可良,鼠践「ヘルニア」 は存在するも舌は正常よりや瓦大なるも口内に納む。第70Rより笑ぴ第6ケ月よ! 「ウマゥマ」の片言を話す。

3 考

案 本症は膀輪或は其附近に於ける先天性騎形にて其被膜は羊膜株膜より成り後天性に 躍り皮膚を以て被はる隣「ヘルニア」とは別個のもので腹壁敏損の程度に慮じて臓器 脱出度に差があって輕度のものは腸管大網膜に過ぎなV・が高度のものは腹腔臓器の全 部,時に心,肺,にも及ぶことがある。Schulteの173例による観察によれば腸管78.9 %,’ フ66.4%胃23./%,;ll孕2L4%ジ心4・6%,腎3・・5%,膵,子宮,肺各k6 %であるとし和氣,由田帰帆は卵菓卵管の脱出を見たと云ふ。 Kermaunerは本症を分類して第1朗朗純性膀帯破裂,第2類腹部破裂,第3類内 臓露出,とした。余の例並この第1類に属するもので小腸の大部分,大腸の一部脱出 して居た。 本症は他の弓形を合併すること多く脊椎の破裂,:又は前及び側轡,下室静脈鉄損, 謄「ヘルニア」,直腸肛門の訣祖,肝臓の肥大,先天性横隔喋発育不全,大腸及び小 腸の稜育不全等が墨げられて居る。本流に於ては:巨財症及び断書右鼠践「ヘルユブ」 の他に異常を認めなV・。 獲生時期に闘してはAschoffは生理的に脱出せる腸管は胎生第10週に於て再び腹腔 り 内に復納すと云ひ,Keibe1は第2ケ月宋乃至第3ケ月初め, Winkel“は3ケ月,Stoe− ckelは第2ヶ月に撃て何れも膀輪閉鎖すと云ふ。これ等諸家の読を綜合するに本症 は胎生3ヶ月初め以前に護生するものx如くである。 成因につv・ては未だ定詮なきも次の如き假設があるQ ロ リ !,胎生期に於ける生理的麟幣「ヘルニア」の治癒機蒋障碍,卵黄嚢の退行不全によ るもの,(Ahlfeld)

2,腹壁の原稜性獲育不全,或は欲損によるもの,(Ruysch, Richiter, Fr oster)

3,腹壁及び腹腔内臓器の獲育不均衡によるもの,(Berhald♪ 4,原脊椎の襲育障碍に基因するもの,(K:ermauner) 一第9巻78一・一一

(4)

宮地二瀬破裂ぜる瞬帯「ヘルニア」の一治験例 79 5,羊膜の病的關係に基因するもの,(Winkel, Sejtz,:Furst.) 本例は妊娠7ヶ月頃より羊水過多あり或は妊娠初期より羊膜に何等かの病塗あIVし にあらざるかを思はしめる。 豫後(d「ヘルニアJの程度,合併押形の有無,分娩後の経過時聞等により著差あり,、 り 一般に腸,大網膜等を内容とする程度のものは二三で∫肝其他多勢臓器の脱出するは不 良である。01shausenは15例を手術して1例のみ治癒を見たとし』, Macdnardはユ9倒 中/7例の治癒を:,大槻氏は5例中2例を治癒せしめ,其他鈴木,小林,」.Jarcho, T. Oberhalzer等の治癒例がある,Zeitlin.は文獄中より手術例を集めユ77例中118例 (67%)の治癒を見たと報苦して居る。余の實験例に於ては嚢は破裂して内容は外部 に曝露され著しい危瞼に遭遇したが脱出臓器は大腸及び小腸のみにて他に大なる騎形 なく,分娩直後に塵漏して治癒したもの,其後の獲育歌態殊に智能的には文獄中其報 告を見高,余は本症が身命他部の宇島を件ふ如くこれとも何等かの關聯あるべきを思 ひ其後の経過を興味を以て凝察しつsある,生後70日にて笑ひ6ケ月より片言を話す を見れば今日までは特別の異常なきものの如し。

4 結

論 本例はK:ermauner分類の第1類に属するものにて「ヘルニア」内容は小腸の大部 分大腸の一部にて,:巨舌症を律ひ,生後40日より鼠践「ヘルニアsを賦した,嚢破 裂して内容は外氣に曝されたるも分娩直後の適切塵置により季:治し,其後健全に震虚 しつx’ ?閨B 母鳥に1側の卵集嚢腫あり,妊娠中に羊水過多を合併せるは注目に値する。 上筆に臨み御校閥を絹ばりし白木教授に深謝す。 交 献 1) 大槻正治:日本外科學會i雛誌,第3年第10號 2) 山田麺;臨床産科婦人科,第10谷第2號・S・ユ39 3)小林彰=臨床児科難誌,第3年10月號,S.85 4)大村久榮=日本女早界難誌,第68號,S。17 5)藤江無樂=臨床産科婦人科,第10巻,第8號,S・721 6)鈴木嘉六:臨床産科婦人科,第11巷,第4號JS・235 7)山室利夫:臨床讐學,24年・10月號・S・1430 8) 田口,齋藤:名古屋醤學會薙誌,第44巷第5號S・951 9)和氣笑一1産科婦人科,第5巻第工號,s・77, 10)藤原,深田,蟻塚1産科婦人科,第6巻第1號S・・32

一第9雀 79一

(5)

80 宮地ご畿破裂.せる膀帯「ヘルニア」の一治験例 11)家常敏雄:東京讐事新誌,No.3063,.S.:39. ロエ2)御馬舎,島本;産科婦人科,第6巷第5號$.26 13)太田牧:臨床産科婦人科,第12巻第8號S.26 14)堀田,近藤・産科婦人爾曄,.第21巻第4號S,119 .ユ5).0.Lippmann:ZbL f。 Gynak.1937, Nr.9 16) .Aschoff:Lehrbu6h d,][)ath:Anat. Bd., II S,848 .. 17) T.Ober,h al zer :ZbL f, Gyn毎k.1935, Nr 35, S.2062 .18) H.Grettne :. Zbl. f. Chirqrg.1934, Nr 30, S.1761

19)A。Reussin,Halban Seiz:Biel.&Pathl d. XNTeibes. VHI Btmd 2 Tei1 20)H。Martins in Halba阜Seiz;Bi61.&Path.9d. Weibes. VII Band 2 Tei1

21) S。Pascali :7b1. f. Gy畷k。1935, Nr。311 S。1864 .22)Flr.T・U4r・K・1P−h ・1・ZbU G叫・1934・N・22・S・1324 23)}1..0,.K1・至…A・ch.. f. Gy・Ek. Bd,ユ35・1929, S,495 24♪xB.. Bergglass:Arch。 f. Gynak. Bd,1昌卑,1933, 25)J.Iarcho:Sug..(}ynec。&Obsち65巻.5號s・593 一一

謔X巻80一

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