186 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(77) スギ タ キ ヨ コ記代子(昭和
博士(医学) 乙第1423号平成6年1月21日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
小児白血病におけるCD45分子の発現様式とその臨床的意義
(主査)教授 福山 幸夫 (副査)教授 溝ロ 秀昭,白坂 龍膿論 文 内 容 の 要 旨
目的 Cluster designation(CD)45は全ての白血球に発現 するリン酸化チロシン脱リン酸化酵素(PTPase)であ り,機能的には血液細胞の増殖・成熟などへの関与が 想定されている.本研究では,小児白血病における CD45の発現様式を解析し,病態との関連を検討した. 対象および方法 1)1985年6月より1992年9月までに国立小児病院 小児医療研究センター病理研究室に集積された小児白 血病115例(初発87例,再発28例)におけるCD45発現 様式について検討した.さらに,初発症例中CD10陽性 57例につき,病態と生存率を検討した.2)患者より得た骨髄穿刺液または末梢血液を
Ficoll-Conray比重遠心法で分離した単核細胞につい て,間接蛍光抗体法にて免疫染色を施しフローサイト メーターで解析した.細胞表面分子の検出はモノク ローナル抗体,CD1, CD2, CD3, CD4, CD5, CD7, CD8, CD10, CDllb, CD13, CD14, CD19, CD20, CD22, CD24, CD33, CD34, CD41b,抗HLA-DR, 抗immunoglobulin M,およびCD45を用い,2次抗体 としてHuorescein isothiocyanate(FITC)標識家兎 抗マウス抗体を使用した. 結果 小児白血病(115例)におけるCD45発現様式の検討 結果で以下の特徴が明らかとなった.1)症例はCD45 陽性率61%以上の群(CD45陽性群,69例)と陽性率40% 以下の群(CD45減弱群,46例)に大別された.2)CD45 減弱群の大部分(43例)はB細胞系白血病であり,そ のほとんどがCD10陽性precursor B-acute lympho- blastic leukemia(ALL)であった.3)CD10陽性pre- cursor B-ALL初発57例におけるCD45発現様式は, CD45減弱群(29例)とCD45陽性群(28例)に分類さ れた.4)CD45減弱群は,陽性群に比べ低年齢(p< 0.01),低白血球数(p<0、.01),低血清LDH値(p< 0.05)を示した.5)3年無病生存率(平均観察期閲は 35カ月)は,CD45減弱群で65.3%, CD45陽性群で 42.4%であった. 考察 小児白血病症例にはCD45発現の減弱,陰性化を示 す一群が存在し,そのほとんどが,小児白血病で最も 頻度の高い病型であるCD10陽性のprecursor B-ALL であることが特徴的であった.CD10陽性のprecursor B-ALLにおけるCD45発現率は,臨床的予後因子とし て重要視されている年齢,白血球数,および血清LDH 値と相関した.さらに無病生存率はCD45陽性群に比 べて減弱群が高い傾向が得られた.このことより CD45発現率が治療も含めた病態と密接に関連してい ると推察された. CD45は,がん遺伝子であるチロシンキナーゼとの相 互作用で細胞増殖に深く関連することが明らかにされ つつある.本研究により白血病細胞表面でのCD45の 量的変化が病態と関連することが明らかにされ,PTP- ase活性量の変化が結果として細胞の腫瘍性性格を修 飾している可能性が予想される.今後このような分子 機能の発現による分類法の開発が治療成績をさらに向 上させるために重要と考えられる. 一792一187 結論 本研究によりCD45発現様式が小児白血病の新たな 予後因子であることが示唆された.