原 著
〔書軸薦79第臨3確言〕
肝内結石症の成因についての臨床的検討
一難として,胆管像と臨床像より一
東京女子医科大学 消化器外科学教室(主任 ハラ ダ マサ ヒロ原 田 昌 弘
羽生富士夫教授) (受付 昭和62年10月5日)Clinical Study on Etio藍ogy of Intrahepatic Cholelithiasis Masahiro HARADA
Department of Gastroenterological Surgery(Director:Prof. Fujio HANYU) Tokyo Women’s Medical College
As for an etiology of intrahepatic cholelithiasis, no de且nite conclusion has been reached to date, since it is so complicated, and closely associated with pathology on the treatment and it is primarily an important problem to be solved.
Thus, we.have classified the etiological types of this disease in 174 patients with intrahepatic choldithiasis in accordance with their cholangiograms and clinical images in an attempt to clarify the causative factors. In our classi丘cation, intrahepatic cholelithiasis due to congen圭tal cholangiectasis currently being considered as“hereditary”was defined as“congenital factor”, and the same with intrahepatic cholangiograms being similar to that of this congenitral cholan− giectasis and clinical images showing cystoid or localized dilatation of the intrahepatic bile duct alρne and suggesting at the same time juvenile development was defined as“strongly suspected congenital factor”.
Intrahepatic cholelithiasis derived from this congenital factor was observed in 44(25.8%)of 174patients. For radical treatment of such intrahepatic cholelithiasis, we considered in the且rst place an appropriateness of indicating hepatectomy and then alternative the rapeutic methods. Intrahepatic cholelithiaSis other than the above was classified by the acquired factors ・attributable to ektrahepatic calculi such as(1)type of calculi transmigrated in the liver,(2)type
of calculi blocked in the liver and(3)type of calculi piled up to an intrahepatic level and those caused by operation. 緒 言 肝内結石症は,良性疾患とはいえ他の胆石症と 比べ,その複雑.な病態を反映して,治療に難渋す る例も少なく.ない..とくに,複雑な.胆管狭窄や形 態異常が,結石の遺残.や胆汁うっ滞,胆道感染を 惹起し,木症の治療を,さらに困難なものに.して ・いる1).・ このような症例に対して,結石の可及的除去と, 狭窄部の解放を目的として,積極.的に粁切除を行 なってきた2)3).その経験の中で本症に何らかの先 天性成因が存在するのではないか,という疑問が いつも念頭にあった4)5),本症の成因は複雑多彩で あり,胆管形態と密接な関係を持っており,その 成囚の解析が治療のために必要不可欠である. 最近,経皮経.三三胆管造影(PTC)や内視鏡.的 胆管造影(ERC)などの直接造影法に加え,超音 波法,.胆道内視.鏡6),CTなどの導入で,より確実 な診断が行なわれるようになってきた.そこで,
本稿では,肝内結石症をPTC・ERC等の直接胆道 造影所見と臨床所見から,嘘字分類し本症の複雑 多彩な成因について,考察を加えた. 対 象 東京女子医科大学消化器病センターにおいて, 1968年1月から1986年12月まで過去19年間に経験 した肝内結石症174例を対象とした.この174例の 肝内結石症を,発症年齢・臨床症状と,胆管造影 所見(PTC・ERC等の直接造影による)から成因, 形態を検討した. 成因分類 まず,現在「先天性」と考えられている肝内結 石症は,先天性胆管拡張症に合併した肝内結石症 である.この先天性胆管拡張症を「先天性成因」 の肝内結石症として分類し,さらに以下のごとく 分けた(図1). 「先天性胆管拡張症」:まず先天性総胆管嚢腫の 肝内外型に合併した肝内結石症を,先天性成因と した.膵胆管合流異常を伴い,胆管像で肝内胆管 の碁聖葉に及ぶ嚢腫状拡張と肝外胆管のi嚢腫状拡 張を示す.次に,先天性肝内胆管多発性拡張症と いわれるものに合併した肝内結石症も先天性成因 とした.これは膵胆管合流異常を伴わず,胆管像 で肝内胆管に多発した孤立性嚢腫状拡張を示す. 次に,上記の先天性胆管拡張症と類似の胆管像 と臨床症状を示すもの,すなわち結石の存在する 肝内胆管が嚢腫状に拡張を示し,それが限局性で あり,末梢まで一様に及ばない胆管像を呈し,幼 少時・若年時に腹部症状あるいは発熱等の症状発 現をみたものを「先天性を強く疑うもの」として 以下のように規定した. 「先天性を強く疑うもの」:上記の先天性胆管拡 張症のごとく胆管像として結石の存在する肝内胆 管が嚢腫状拡張を示し,それが限局性で末梢まで は全体に一様に及んでいないもので,同時に,臨 床所見として幼少時・若年者に上腹部痛(胃ケイ レソ様発作・回虫症など)・発熱の既往がみられて いるものを「先天性を強く疑うもの」とした.こ れらを「先天性成因」としたいが,その確たる証 拠がないため,あえて「先天性を強く疑うもの」 として分類した.その他,胆管走行異常あるいは 先天性成因 1:先天性阻管拡張症 Q膵胆管合流異常を伴うもの ○膵胆管合流異常を伴わないもの II:先天性成因を強く疑うもの ◎肝内胆管のみの嚢腫状拡張 あるいは限局性拡張 Q幼少時より症状が発現 ○胆管走行異常あるいは血管走行異常 ○合併奇型を伴うもの 後天性成因 1.肝外胆石に起因するもの O移入型……肝外胆石が肝内胆管に移入したと考えら れるもの o陸封型……肝外胆石が肝内胆管に封じ込められたと 考えられるもの ○重積型……肝外胆石が肝内胆管に積み上がったと考 えられるもの II.手術に起因するもの ○術中胆管損傷・T一チューブトラブル等 ○不適切な胆道消化管吻合術 ○胆道再建に伴う吻合部狭窄 図1 肝内結石症の成因 血管走行異常,合併奇形を伴うことも考慮にいれ た. 以上の肝内結石症以外のものを後天性とした. すなわち後天性成因として,結石生成の主部位が 肝外にあるものを「肝外胆石に起因する」肝内結 石症として以下のごとく分類した. 「肝外胆石に起因するもの」:園外胆石が肝内に 移入したと考えられるものを「移入型」とした. また,肝外胆石が肝内に封じ込められたと考えら れるものを「陸封型」とした.そして,肝外胆石 が肝内まで積み上がったと考えられるものを「重 積型」とした. 「手術に起因するもの」:さらに,後天性成因と して,術中胆管損傷や不適切な胆道消化管吻合や 胆道再建に伴う吻合部狭窄などによる肝内結石症 を「手術に起因するもの」として分類した. 成 績 1.先天性成因 「先天性胆管拡張症」による肝内結石症は10例 (5.8%)あった(表1).そのうち,膵胆管合流異 常を伴うものが8例で,全例先天性総胆管嚢腫・ 肝内外型であった.胆管像で肝内胆管が両葉に嚢
表1 肝内結石症の成因別頻度と肝切除例 (東京女論蝉鱗轟ンタつ 成 因 症例数 肝切除例 頻度(%) 先天性胆管拡張症 10(5.8%) 5 先天性を強く疑うもの 34(20%) 29 50 W3.3 移入型 46(26.5%) 0 後天性成因 肝起 O因 _す Aる
Q
陸封型 23(13%) 14 :i::極 重積型 50(28.5%) 14 手術に起因するもの 11(6.2%) 0 0 計 174 62 34.3 牢韓羅 驚麟跳、
写真1 先天性胆管拡張症.膵胆管合流異常を伴う もの 腫状拡張を示し,総胆管も嚢腫状に拡張していた. 臨床像で初発年齢は2∼18歳で平均12.3歳で,黄 疸・腹痛・発熱等の症状があった(写真1). 膵胆管合流異常を伴わないものは2例あった. 1例は胆管像で肝両葉に及ぶ多発性肝内胆管嚢腫 状拡張を示し,臨床像で幼少時に黄疸が出現して いた.他の1例は!胆管像で右肝内胆管が多発性 嚢腫状拡張を示し,既往に21歳で胆摘術を施行さ れていた(写真2). 次に「先天性を強く疑うもの」は34例(20%) あった.その内,肝左葉の肝内結石症は20例(60%) で,右葉6例(17.5%),二葉8例(23.5%)であっ た.初回手術例は20例中4例で,右葉6例中3例, 写真2 先天性胆管拡張症膵胆管合流異常を伴わな いものr ∫ 写真3 先天性を強く疑うもの 両葉8例中1例であった.再手術あるいは多次手 術にわたるものが20例中16例で75%を占めた(写 真3,4).胆管像の特徴は,肝内胆管の嚢腫状拡 張が,それに続く末梢胆管で,連続性にびまん性 拡張とならず,おたまじゃくしの尻尾のごとく先 細り状となっていた.臨床像で,若年時発症(29 歳までに発症)は,34例中18例(53%)で平均32.2 歳であった.臨床症状は右季肋部痛・心窩部痛を写真4 先天性を強く疑うもの 含む上部痛が一番多く27例(80%)であった.発 熱は15例(44%)で黄疸は10例(30%)であった. 2.後天性成因 「肝心胆石に起因するもの」は119例(68%)で あった.その内,移入型は46例(38%)であった. 陸封型は23例(20%)で,肝内胆管に嚢腫状拡張 を認めるが,肝内胆管のかなり末梢に拡張した胆 管が孤立してブドウの房のごとく存在すること と,臨床像で若年時発症が確認できなかったこと により肝心胆石が肝内に封じ込められたと考え た.この内,結石分析が施行できた8例中5例は コレステロール系石(含有量80%以上)であった. 重積型は50例(42%)あった(写真5,6). 「手術に起因するもめ」は11例であった.全例肝 面部の吻合部狭窄であった(写真7). 3.成因分類と胆管狭窄の比較 肝内結石症174例を今回の成因分類(表1)と胆 管狭窄で比較してみた. 膵胆管合流異常を伴う「先天性胆管拡張症」で は,肝内外の胆管嚢腫状拡張で肝門部に狭窄がみ られた.膵胆管合流異常を伴わない「先天性胆管 拡張症」では,肝内に多発している胆管拡張部に 一致して狭窄がみられた. 「先天性を強く疑うもの」では嚢腫状拡張のある 肝内胆管に狭窄がみられ,他の肝内・肝外胆管は ほぼ正常であった.狭窄部位は肝内胆管の中枢側 が多く,末梢側に孤立しているものは,後天性成 因の陸封型であった.後天性成因の移入型では, 狭窄胆管はみられなかった.重積型では,1/3に二 写真5 陸封型 写真6 重積型 次性の胆管狭窄がみられ,残り2/3には,胆管狭窄 はみられなかった.「手術に起因するもの」では肝 門部胆管に吻合部狭窄がみられた. 4.成因別発症年齢と年次推移 各成因別発症年齢では,図2のごとく,先天性 あるいは先天性を強く疑うものに,幼少時・若年 時発症が多く,先天性胆管拡張症の初発年齢と同 じ分布を示し,後天性では,胆石症と同じ分布を 示している.’ 謫V性胆管拡張症の平均発症年齢は
写真7 手術に起因するもの 年令 ●● ● 3● 70 ●● ● ● 60 …. ● ● 50 33 ● ● 40 ● 2 ● ●● 30 o ::. R. ;・ 8 20 ● 3 i● … ● 10 ● ● 先 先 肝原 手 天胆 天強 外因 術す 性管 性く 胆と にる 拡 を疑 石考 起も 張 う がえ 因の 症 も る の もの 図2 肝内結石症の成因別発症年齢分布(1968.1 ∼1986.12) 14.5歳であった.先天性を強く疑うものの若年時 発症(29歳までに発症)は約半数(18例,53%) で平均発症年齢は32.2歳であった. 成因別年次推移は図3のごとく,野外胆石によ る肝内結石症は,昭和51年以前では,年別平均 70∼80%を占めていたのに,それ以後は40∼50% に減少した.そして,「先天性を強く疑うもの」は, 昭和51年以前で年別平均で10%しか占めていな 症例数 5455565758596061年度 図3 肝内結石症の成因別年次推移(1968.1∼ 1986.12) かったのが,その後の年別平均は,約30%と上昇 している. 考 察 肝内結石症は,一般にみられる胆嚢・胆管結石 症と異なり,その病態と成因に不明な点が多い. 厚生省でも近年,特定疾患に指定し,肝内結石症 調査研究班6)7)で,その成因および治療との関連を 鋭意追求中であるが8)9),現在なお,その成因は解 明されていない10》噌12}. 胆道の発生は,現在では肝内胆管は肝細胞から 分離して形成されるといわれ13),最初は肝門部よ りその形成は始まり,次第に肝の末梢に広がり, その後に論外胆管と結合すると考えられており, 肝外胆管は内胚葉由来で,肝内胆管は中胚葉由来 とみなされ,その形成時期に多少のずれがあるこ とが知られている14).したがって,肝外胆管が完全 に正常で,肝内胆管のみ嚢腫状拡張がみられる肝 内結石症は,肝内外の胆管の形成過程で発生した 形成異常,すなわち先天性成因が強く示唆される. 今回,著者らは胆管像と臨床像より肝内結石症 を分類し,肝内結石を生成した肝内胆管の形成異 常のうち,肝内外の胆管嚢腫状拡張を示した先天 性総胆管嚢腫と,肝内の多発性胆管拡張を示した 先天性多発性肝内胆管拡張症を「先天性」とし, そして,肝内胆管のみ嚢腫状拡張を示し,同時に 若年時に症状があったものを「先天性を強く疑う もの」とした.胆管の拡張を,特に石がある場合, その形態のみで臨床的に「先天性」と判定する根 拠は常にあいまいであるが,古味ら:5)は,胆管狭窄
部で全周性に胆道壁に存在した虹彩状のヒダを先 天性としたが,何故,胆道の拡張が限局性に起こ り全体に一様に及ばないのか,どうしても説明が つかないとしている.後天性に肝内胆管が拡張す る場合,結石が存在する胆管がびまん性に末梢ま で拡張するはずである.実際,総胆管結石が総胆 管末端で閉塞した場合,総胆管から肝内胆管まで 胆管がびまん性に一様に拡張する.したがって, 肝内胆管の嚢腫状拡張・限局性拡張は,後天的な 原因で生じた胆管形態異常とは考えにくい. 「先天性胆管拡張症」の胆管像の特徴は,胆管が 限局性に嚢腫状に拡張することであって,決して 全体にびまん性に拡張はしない.また,拡張胆管 に連続する末梢胆管が拡張のない胆管で正常に近 い胆管である.臨床像の特徴としては,幼少時・ 若年時発症を示すものが多いことである.今回, 先天性胆管拡張症に極めて類似した胆管像を呈 し,同時に臨床像で,幼少時・若年時に腹痛・発 熱などの症状を示すもので,先天性の肝内結石症 と考えたいが,その確たる証拠がないものを,著 者らはあえて「先天性を強く疑うもの」とした. 幼少時・若年時の上腹部痛が胆管刺激症状であり, 肝内に何らかの本症の素因になるものが存在して いたことを示すのではないかと考えるのである. 病理的に種々の角度より様々な報告が多年にわ たり発表された16)17).太田ら18)は,肝内結石症・剖 検例に正常に比して付属腺が増加し,特に,粘液 腺が多く酸性中性粘液の結石への関与を推定し た.山本ら19)は,胆管の拡張病変部に肝外胆管に類 似する構造を見出し,また胆管内腔を半周性に仕 切るようなseptum様組織を認め形成異常と考え ている.我々の教室においても,切除肝の胆管内 幕に突出した弁状構造物を認めた.この症例は, 我々の考える「先天性を強く疑う」肝内結石症で あり,その弁状構造物は胆管の形態異常と考えら れているが,病理学的に「先天性」とは認められ ていない.確実に「先天性」を裏づけるにたる病 理組織学的所見は,未だ見出されていない.もは や,病理学的には結論を出し得ないとまで思うの である.実際先天性胆管拡張症は胆管像と臨床像 より現在では「先天性」と考えられているのであ り,病理学的に証明されたわけではないのであ る20>21>.大藤ら22)は,一山の胆嚢・胆管に結石がみ られず肝内胆管のみに結石を認めるものを,原発 性肝内結石症とし,発症年齢が20歳台に最も多く, 胆管像として肝内胆管の限局性・嚢状∼円筒状拡 張を特徴としている.Tsuchidaら23)は,小児期に すでに,肝内胆管に嚢胞状や限局性拡張を示す先 天性胆管拡張症を報告しており,土屋ら24)は肝内 結石のない左肝内胆管拡張症を経験している. 我々のいう「先天性を強く疑うもの」の中には, このような症例が相当数含まれている可能性があ る. 最近,胆道鏡等の非観血的切石術6)が発達し注 目されているが,胆道の狭窄部位によっては結石 除去が,はなはだ困難な例も少なくない.また, たとえ結石が除去されても,胆汁うっ滞と上行感 染を除去しない限り,結石の再発は必至であり, 結石遺残・胆汁うっ滞・感染・結石増加など悪循 環をくり返し,死の転帰をとることもある25).この ような例は,「先天性」あるいは「先天性を強く疑 うもの」に多く,不十分な手術により長期間治療 を余儀なくされたり,死の転帰をとることもある. 著者らは,このような肝内胆管嚢腫状拡張を示し 限局性で,同時に幼少時・若年時に発症している もの,すなわち本稿で規定した「先天性」あるい は「先天性を強く疑うもの」に対して,根治的治 療として,肝切除の適応の有無をまず第一に考え, ついでそれ以外の治療を考えている26)27).肝内結 石症の治療方針には,胆管形態のみならず成因も 考えに加えた分類が必要である.今回著者らは, 成因を考慮に入れ肝内結石症を分類し,その成因 について考察を加えた. 結 語 肝内結石症174例を,胆管像と臨床像より病型分 類し,本症の成因について検討した.現在「先天 性」と考えられている先天性胆管拡張症に因をな す肝内結石症を「先天性」とし,先天性胆管拡張 症に類似する胆管像と臨床症状を示すものを「先 天性を強く疑うもの」とした. 1.先天性成因 1)先天性胆管拡張症:10例
膵胆管合流異常を伴うもの8例,膵胆管合流異 常を伴わないもの2例であった.肝内胆管像は, 嚢腫状拡張を示し,臨智計は初発年齢で2∼18歳, で平均12歳半あった. 2)先天性を強く疑うもの‘:34例 先天性胆管拡張症と類似の胆管像と臨床像を示 すものを「先天性を強く疑うもの」とした.肝内 胆管像は嚢腫状拡張を示し,幼少時・若年時に発 症しているもの.臨床症状は,上腹部痛27例・発 熱15例・黄疸10例であった.若年時発症(29歳ま でに発症)が34例中18例(53%)で平均32歳であっ た.これらを,先天性としたいが確たる証拠がな いので「先天性を強く疑うもの」とした. 上記以外の肝内結石症を後天性成因とした. 2.後天性成因 1)肝外胆石に起因するもの:119例 移入型:肝外胆石が肝内に移入したもの46例 あった, 陸封型:肝外胆石が肝内に封じ込められたもの 23例あった.コレステロール系石が半数以上あっ た. 重積型:肝外胆石が肝内にまで積み上がったも の50例であった. 2)手術に起因するもの:11例 術中胆管損傷・不適切な胆道消化管吻合術・胆 道再建に伴う吻合部狭窄は11例あった. 3.「先天性」あるいは「先天性を強く疑うもの」 に対して根治的治療として,肝切除の適応の有無 をまず第一に考え,ついでそれ以外の治療を考え る. 稿を終えるにあたり,直接ご指導ならびにご校閲を 賜った羽生富士夫教授に深甚なる感謝を捧げるとと もに,鈴木博孝教授,中村光司助教授,大井 至講師, 膵胆道グループの方々に深謝いたします. 文 献 1)羽生富士夫,高田忠敬,谷村 弘ほか:座談会一こ の肝内結石症をどうするか.胆と膵1:1487 −1498, 1980 2)羽生富士夫,中村光司:肝内結石症における肝切 除の意義.外科Mook 26:98−!04,1982 3)中村光司,羽生富士夫,原田昌弘ほか:肝内結石 症に対する肝切除術の意義,日消外会誌 16: 236−236, 1983 4)羽生富士夫,原田昌弘,中村光司ほか:肝内結石 症の成因について.厚生省特定疾患肝内結石症調 査研究班,昭和58年度研究報告書,89−96,1984 5)羽生富士夫,中村光司,原田昌弘ほか:肝内結石 症の外科治療の長期予後.厚生省特定疾患肝内結 石調査研究班,昭和57年度研究報告書,89−96, 1983 6)山川達郎:肝内結石症に対する付加療法.消化器 外科 4:547−555,1982 7)中山文夫:肝内結石症の魚病型分類.胃と腸 19:375−379, 1984 8)厚生省特定疾患肝内結石症調査研究班,昭和57年 度研究報告書 9)厚生省特定疾患肝内結石症調査研究班,昭和58年 度研究報告書 10)高橋 渉,佐藤寿雄:肝内結石症の成因一感染胆 汁の面から.胆と膵 5:1615−1618,1984 11)谷村 弘,高橋 裕,日笠頼則ほか:先天性胆管 拡張症と胆石の関連について.胆と膵 3:343 −350, 1982 12)小野慶一,佐々木睦男,森 達也ほか:胆汁うっ 滞の基礎的研究,肝胆道scintigraphyによる肝内 胆汁排出機序の観察.厚生省特定疾患肝内結石症 調査研究班,昭和58年度研究報告書,183−189, 1984
13)Elias H:Origin and early development of the liver in various vertebrates, Acta Hepat 3:
1−9, 1955 14)松本由朗,真下六郎,上山泰男ほか:胆道形成異 常と原発性肝内結石症.日消病会誌 78:2151 −2159, 1981 15)古味信彦:胆道形成異常からみた肝内結石症.肝 胆膵 4:343−348,1982 16)中沼安二,太田.五六,松原藤豆ほか:肝内結石症 の病理形態像.日消会誌 78:874−882,1981 17)Yamamoto K: Intrahepatic periductal grands and their signi丘cance in primary lntra。 hepatic Hthiasis. Jpn J Surg 12:163−170, 1982
18)太田五六,中沼安二,寺田忠史ほか:正常大型肝 内胆管および孤立性のう状肝内胆管拡張症の付属 腺の形態.厚生省特定疾患肝内胆管障害班,昭和 55年度研究報告書,42−48,1981 19)山本賢輔,土屋涼一:肝内結石症の成因と病理. 胆と膵 1:1429−1436,1980
20)Caroli J: Diseases of intrahepatic bile duct.
Islael J Med Sci 4:2}35,1968
21)土田嘉昭,斎藤純夫,本名敏郎ほか:肝内胆管拡 張症の臨床と位置づけ.小児科Mook 5:107 −117, 1979
の診断.胆と膵 1:1437−1447,1980 23)Tsuchida Y, Ishida M: Dilatation of the intrahepatic bile ducts in congenital cystic dilatation of the common bile ducts. Surgery 69:776−782, 1971 24)土屋涼一,太田信吉,山本賢輔ほか:特集。先天 性胆管拡張症とその類似疾患一胆石を伴わない肝 内胆管拡張症.外科 47:664−670,1985 25)原田昌弘,羽生富士夫,中村光司ほか:治療困難 な肝内結石症.日本胆道疾患研究会プロシーディ ソグス 19:l16−117,1980 26)中村光司,羽生富士失,原田昌弘ほか:肝内結石 症の成因ならびに肝切除の意義.日外会誌 85: 1119−1122, 1984 27)原田昌弘,羽生富士夫,中村光司ほか:左肝切除 が好個の適応であった肝内結石症.昭和58年度厚 生省特定疾患肝内結石症調査研究班,第2回総会 抄録