105 (24) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位援引の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
アキ ヤマ イク ヨ秋山育代(昭和3
医学博士 鼻聾1023号平成元年5月19日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者) 前庭眼反射および固視に及ぼすアル:コールの影響 (主査)教授 石井 哲夫 (副査)教授 小山 生子,内田 幸男論 文 内 容 の 要 旨
目的 前庭眼反射(vestibulo・ocular reHex,以下VORと 略す)とは頭部の回転に際し眼球が頭部回転方向へ偏 僑する眼球運動の緩徐相を起こす反射である.その反 応の指標として用いるゲイン(利得)値は頭部回転運 動と眼球緩徐相成分の最大速度の比をあてる.VOR ゲインは固視によるVOR抑制機能と密接に関係して いることが明らかにされている.今回は正常者にアル コールを経口摂取させ,VORと固視機能に及ぼす影 響を調べた. 対象および方法 健康成人12名(21~31歳)に振幅40.,頻度0.2~0.85 Hzの振子様受動回転検査を,1)暗所開眼一暗算負 荷,2)壁上の1点固視(眼前1.5mにある固定視標を 固視させる),3)眼前の一点固視(眼前30cmにある頭 部回転と連動する視標を固視させる)の3条件下に, 視標追跡検査(eye-tracking test,以下ETTと略す) を定方向反復刺激,視標速度30ρ~70./seCで行った.ア ルコール0.43g/kg経口摂i取前後に各ゲイン値(口車云検 査では最大眼球緩徐相速度/最大頭部回転速度,ETT では最大追従速度/最大視標速度)を測定した.この状 態は呼気中アルコール濃度制定によれぽ“ほろ酔い” と判定された. 結果 1)暗所開眼一暗算負荷におけるVORゲインの平 均値はアルコール摂取による有意の変化はみられな かった.しかし,摂取前後のゲインの変動の大きさは 摂取前の値と高い相関を示し,アルコール摂取前値の 一707 小さい症例では増大し,大ぎい症例ではむしろ減少し た. 2)壁上の一点固視におけるゲイン(空間的視線固定 機能を示す)は,アルコール摂取により影響されなかっ た. 3)眼前の一点固視のゲインは呼気中アルコール濃 度の増加とともに増大した.即ち,固視によるVOR抑 制機能は低下した. 4)ETTのゲイン(smooth pursuit機能を示す)は アルコール摂取により低下した. 考察 これまでに本教室の研究班では,小脳障害例や小児は固視によるVOR抑制が不良でVORゲイン値が大
きく,健康成人は固視によるVOR抑制が良くVOR
ゲイン値も小さいことを報告してきた.アルコールが smooth pursuit機能や固視抑制機能に影響を与える ことは報告されている.本研究より,通常の摂取量で は,固視によるVOR抑制および視標追跡はアルコー ルにより明らかに障害されるが,空間的視線固定は影 響されなかった.一方,暗所のVORゲインは平均値で は有意の変化はみられなかったが,ゲインの変勤の大 きさは特徴的であることが明らかになった.これより 考察すると,空間的視線固定および固視抑制機能は暗 所のVORゲインに影響することは確実である.暗所 におけるVORの増幅機序が抑制機序よりも大きな個 体はアルコール摂取前大きなVORゲイン値を示し, 摂取後値の減少を示すと考えられる. 結語.106 このアルコール摂取の実験により,VORゲインは 迷路機能の他に固視機能,特にsmooth pursuit機能に 大きく影響されることが明らかとなった.
論 文 審 査 の 要 旨
前庭眼反射は固視によって抑制されることは知られている,本研究は正常者にアルコールを摂取させ,その 前後の前庭眼反射と固視機能を検査し,相互に及ぼす影響を調べた,この実験により前庭眼反射利得は迷路機 能の他に固視機能,とくにsmooth pursuit機能に大きく影響されることを明らかにgた.価値ある研究であ る. 主論文公表誌 前庭眼反射および固視に及ぼすアルコールの影響 日本耳鼻咽喉科学会会報 第92巻 第2号 239-245頁(1989年2月20日発行) 副論文公表誌 1)Adriamycin動注による上顎洞癌治療成績 耳鼻臨床 78(5):661-667,1985 2)難治であった前口蓋弓癌の1例 耳鼻臨床 79(12):2055-2059,1986 3)高頻度頭部運動における前庭眼反射と固視 Equilibrium Res 46(2):155~159,1987 4)Evaluation of the vestibulo-ocular reHex by gaze function(固視機能による前庭眼反射の 評価)Acta Otolaryngol(Stockh) 105(1-2):
7-21, 1988
5)Pursuit and saccadic eye movements in
response to unpredictable constant velocity
亡argets(不規則定速度視標運動による滑動性
眼球運動とsaccadeの研究)
Acta Otolaryngol(Stockh) 477(Suppl):
73-80, 1988
6)Vestibulo-ocular reflex and gaze functions in apatlent with congenital inner ear anom・
alies(先天性内耳奇形症例における前庭眼反 射と固視機能)
Arch Otorhinolaryngo1 245(4):255-258,