第16号
2015
コラム
コラム
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当社の社名、インテック(英語表記はINTEC)は造語であり
4つのキーワードに由来する意味が込められている。当社ホー
ムページではその意味を図1のように説明している。
社名変更したのは1970年10月1日のこと。「富山計算セン
ター」から「インテック」に変わった。新社名には地方の計算
センターから国際的な情報産業へ大きく飛躍しようとする熱い
思いが込められていた。同年11月に社長に就任した金岡幸二
は外部での講演や入社式などで繰り返し、社名の由来から会
社のアイデンティティを語っている。例えば1973年の入社式で
の説明は命名時の思いを良く伝えていると思うので、やや長
いが引用しておく。
「インテックは一般に慣じみのない言葉でありますが、これ
はわれわれが作った言葉であります。
すなわちインフォメーション・テクノロジーという言葉があ
ります。情報技術と訳したらいいと思います。この情報技術
をもって世の中に貢献したいということでイン・テックの字を
とって社名としたのです。これが基本的なインテックの願いで
あります。また、この他にいくつかの願いがこめられています。
一つは、われわれの仕事はローカルなものではなく、日本全
体に対してサービスを施すのだあるいは日本だけでなく世界
に羽ばたくのだという願いもこのインテックの名称の中に込
められているのです。たとえば、インターナショナル・コンピュー
テーションという言葉がそれにあてはまりましょう。
第二は、インテックという言葉をインテーグレイテイッド・テ
クノロジーと理解すれば、総括的な技術、システム工学という
言葉を置きかえることもできます。すなわち、われわれの仕事は
コンピュータの片隅をつ〔 マ マ 〕づくのではなく、コンピュータと通信
回線を使って、経済、土木、建築、統計などあらゆる世の中の
現象を巾広く研究し、そして、われわれの技術により社会に貢
献していくということであります。
このようにインテックは情報技術をもち、それが国際的であ
り総括的であることが目標であります。そして、そこに集まった
社員はインテレクチュアル・エシュロン(知的集団)でありたい
ということもこの名前に込められています。」(1973年4月30日
発行インテックニュース第76号)
ところで、1970年の社名変更案内文書での説明は現在のも
のとは少し、異なっていた。図2を参照いただきたい。これは
当時の当社広報誌「広報計算センター」第45号(1970年9月
30日)に掲載された説明図である。上記4つ以外にあと3つ
のキーワードがあり、計7つで社名の意味を説明している。当
時の代表的業界専門誌「コンピュートピア」の1970年10月号、
11月号に掲載された社名変更広告でも図2と同一の図が使わ
れている。最初はこの7つのキーワードで社名の意味を発表し
たが、のちにキーワードを4つに絞った。
2015年(図1)と1970年(図2)を比較してみよう。アメーバ状
の図形は同じであるが、キーワードに違いがある。表1に各キー
ワードについて英語表記と日本語表記の両方で対比してみた。
1から4までのキーワードは表記が多少、異なるものの本質的
な意味は変っていない。5から7の3つのキーワードは1970年
の図にしかなく、その後の説明図からは消えている。
図1 社名の意味するもの(2015年の説明図)
社名に込められた意味
の社名はつぎのような意味を込めてつくられました。
● INFORMATION TECHNOLOGY(情報技術)
増大するデータから価値ある情報を創造し提供する技術
● INTERNATIONAL TELE-COMMUNICATION(国際情報通信)
ナショナルからインターナショナルへ、グローバルな情報通信技術
● INTEGRATED TECHNOLOGY(システム技術)
未来を予見する情報技術をベースとし、各種各様な科学・工学を包括する技術などの
略称であり、またそうしたすべての分野に意欲的に取り組む集団として
● INTELLECTUAL ECHELON(創造的知的集団)
を象徴するものであります。
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なぜ、3つのキーワードが消えたのか。その経緯を示す資料
は見つかっていない。推測するに、現在まで継続してきた4つ
のキーワードは当社の事業にとってより基本的であり、また、
お客さまや社会からも広く理解されやすい言葉であったから、
これらに絞ったのではないか。
では消えた3つのキーワードは顧みる価値はないのだろう
か。少し、考えてみよう。
(1)インテリジェンス・エコノミクス(情報経済学)
このキーワードは「情報の生産から消費までのあらゆるプ
ロセスを解明する」との説明がある。1970年当時、情報経
済学という用語が存在していたのか、あったとしてどのような
議論があったのかは不明であるが、当時、情報社会の到来を
めぐっての著作は出ていた。例えば、林雄二郎著:『情報化社
会』(1969年刊)、あるいはアルビン・トフラー著:『未来の衝
撃』(1970年刊)が代表的なものである。金岡幸二も情報の
生産、流通、消費の観点から情報産業の構造を論じている。
議論は情報経済学の領域に及んでいた。彼は1973年に議員
連盟情報産業研究会で「情報社会化計画と情報処理サービス
業」と題する講演を行い、情報産業のあるべき構造について
語っている。曰く「電子計算機とプログラムさえあれば、情報
化が進展するという考え方から脱却し、コンピュータ・ユーティ
リティの生産、流通、消費という視点からマーケティング機能
が効果的に働く体制を作る必要がある。」情報は社会で利用
されてこそ価値を生むと信じていた金岡幸二は情報経済学の
重要性を伝えたかったのであろう。
情報の量が爆発的に増え、また経済活動に大きな影響をも
つと認識されている現代において情報経済学は注目度の高い
研究領域であり、今日の情報産業に従事する技術者もその成
果を取り入れるべきであろう。
(2)インテリジェンス・エコロジー(情報生態学)
このキーワードは「情報の生誕から死滅まで、そのすべて
の生態を分析する」との説明がある。情報生態学も1970年
当時、どのような議論があったのかは不明であるが、梅棹忠
夫は1988年『情報の文明学』において情報とはひとつの環境
であり、人間と、環境としての情報の関係をとらえる情報生
態学の必要性を説いている。IoT(Internet of Things)によっ
て情報がいたるところで生成される今日、情報技術者は情報
生態学という社会学的領域にも関心をもちたいものである。
(3)インフォメーション・テクトニクス(情報構築学)
このキーワードは、説明が「イマジネーションによりシステ
ム化の世界をきづくエンジニア集団。その洞察と英知のシン
ボル」と書かれていて、情報構築学という名称と説明が合わ
ないなど不明点が多い。しかし、新たな説明によって蒙が開
かれるかもしれず、キーワードは頭の片隅においておきたい。
1970年当時、上の3つのキーワード領域で成熟した理論が
構築されていたとは思われず、まして企業において事業理念に
掲げるレベルではなかったであろう。そういう状況下でもこの
3つのキーワードを入れたところに未来に大きく伸びようとす
る会社の若々しさ、夢をみるロマンを感じる。翻って現代の情
報化社会をどう生きるかを考えるとき優れて現代的意義をも
つこれらのテーマについて、社名変更時の考え方に思いを致
すことも有益ではなかろうか。
図2 社名の意味するもの(1970年の説明図)
インフォメーション・テクトニクス
イマジネーションによりシステム化の
世界をきづくエンジニア集団。その洞
察と英知のシンボル 情報構築学。
インターナショナル・コンピューテーション
ナショナルからインターナショナルへ、ダイ
ナミックなネットワークを展開する
国際情報処理サービス。
インフォメーション・テクノロジー
情報爆発。その中から、価値ある情報
を選択する。情報化社会の基礎技術。
情報工学。
インテグレーテッド・テクノロジー
加速的変化の未来像を予見する情報技
術をベースとして、望ましき未来を創
造するダイナミックなインテグレー
ション 総合技術工学。
インテリジェンス・エコロジー
情報の生誕から死滅まで、そのすべての生態
を分析する 情報生態学。
インテリジェンス・エコノミクス
情報の生産から消費までのあらゆるプロセス
を解明する 情報経済学。
インテレクチュアル・
エシュロン
分 析・創 造 の 科 学を
モーティブ・パワー(原動力)
として、イマジネーション
の世界に飛翔する知的集団
(注:1970年のキーワードは原図ではカタカナ表記だが、ここでは2015年に合わせて英語表記とした)
1970 年の説明キーワード 2015 年の説明キーワード
(知的集団)
(情報技術)
(国際情報処理サービス)
(総合技術工学)
(情報経済学)
(情報生態学)
(情報構築学)
INTELLECTUAL ECHELON
INFORMATION TECHNOLOGY
INTERNATIONAL COMPUTATION
INTEGRATED TECHNOLOGY
INTELLIGENCE ECONOMICS
INTELLIGENCE ECOLOGY
INFORMATION TECTONICS
INTELLECTUAL ECHELON
INFORMATION TECHNOLOGY
INTERNATIONAL TELE-COMMUNICATION
INTEGRATED TECHNOLOGY
(創造的知的集団)
(情報技術)
(国際情報通信)
(システム技術)
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表1 キーワードの対比表