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外部認証機構と連携した動的なアクセス制御システムに関する一考察

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Academic year: 2021

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外部認証機構と連携した動的なアクセス制御システムに関する一考察

佐藤 大輔* 中原 慎一* * 日本電信電話株式会社 情報流通基盤総合研究所

1.はじめに

現在、Web 向けシングルサインオン(SSO)製品に代表されるよう に、保護対象リソースへのアクセス制御とユーザ認証を連携させた システムがイントラネットのみならずエクストラネットにも導入 されてきている[1]。現在は Web サービスがメインであるが、今後 ブロードバンドサービスの拡大が予想される中で、例えばエクスト ラネット上でVOD サービスやライブ配信といった動画配信サー ビスや各種コミュニケーションサービスなど多種多様なサービス を一纏めに提供するポータルサービスなどへのSSO の適用を考え た場合、現行の主な方式を適用しただけでは、多様なサービスを吸 収できる幅広い動作環境をカバーすることと、大容量データの流通 に伴う負荷を分散させることを両立させることができない。本稿で は、現行方式の比較検討を行うことで上記問題点を示し、その解決 案として、ルールベースの動的変更が可能なファイアウォール(以 下FW)と外部認証機構を連携させる新たなNW 上リソースへの動 的アクセス制御方式を提案し、考察を行う。ルールベースとは、 FW 上でのセキュリティポリシの実現手段である。 SSO の概念を実現するシステムは多数存在する[1]が、本論文で 述べるSSO のシステムは、複数のアプリケーションサーバへのア クセス制御を一元的に行う仕組みを持ち、管理者が設定したアクセ ス制御リスト(ACL)に基づいて、ユーザ毎に各リソース(サーバ)に 対して「ユーザ認証」と「アクセス制御」を行うシステムであると する。ここでは、「ユーザ認証」とは登録された利用者本人である ことを確認する手段を意味する。また「アクセス制御」は登録利用 者内での権限のチェックを行う「アクセス権限チェック」と、アク セス権を持たない第3 者からの不当なアクセスの防止を目的とし た「通過制御」の2 つの機能からなるものとする。特に「通過制御」 には、FW で実現される不特定多数を対象としたもの(以下、こち らを単に通過制御と呼ぶ)と、「アクセス権限チェック」によるチェ ックをクリアしたユーザのみについて通過を許可する「SSO 内通 制御」の2 つが存在する。 過

2.ユーザ認証とリソースへのアクセス制御方式

2.1.現行方式の比較

現行のSSO システムの実現方式は主に 2 タイプに分けることが できる。1 つは、プロキシサーバの仕組みを利用したリバース・ プロキシ方式であり、もう1 つはアクセスの対象とする Web サ ーバ(リソース)に専用のエージェントモジュールを組込むエージ ェントモジュール方式である。両方式の特徴を図1-A,B に示す。 2.1.1 リバース・プロキシ方式 図1-A に示すようにリバース・プロキシ方式では、登録された 利用者本人であるかどうかを判定する「ユーザ認証」と、ユーザの リソースに対する「アクセス権限チェック」と、そのアクセス権限 の有無を判断して行う「SSO 内通過制御」とを、すべて SSO サー バが担当する構成をとる。以上の処理がFW による「通過制御」 の後に行われる。この方式ではSSO サーバがプロキシサーバとし て一元的にアクセス制御を行うため、サービス内容や保護リソース の機種に依存しない制御ができる反面、保護対象サーバへのすべて のアクセスが集中し、かつすべての機能が直列に構成されているこ とから負荷の集中が問題となる。特にシステム構成においてSSO サーバを一台しか配置しない場合は別ドメインの保護対象サーバ に関するアクセスも集中する。ブロードバンドサービスの拡大が予 想される中で、映像データなど大容量のデータが集中することは重 大な問題となる。また、各ドメインに1 台 SSO サーバ、またはそ の機能を代行するバーチャルサーバを導入する構成をとる場合も あるが、この場合は各SSO サーバ間の同期、連携が必要であり、 構成が複雑化するという欠点を持ち、各ドメインのFW と直列に 配置されるため「通過制御」に関する通信ネックが全ドメインで2 に発生することになる。 重 2.1.2 エージェントモジュール方式 図1-B にエージェントモジュール方式の構成を示す。この方式で は、SSO サーバが「ユーザ認証」と「アクセス権限チェック」を 行い、クッキー及びリソースサーバに配置する専用のアクセス制御 モジュールを用いて「SSO 内通過制御」を行う。この方法では、「ユ ーザ認証」「アクセス権限チェック」と「SSO 内通過制御」、FW による「通過制御」が並列となり、リソースへのアクセス時にSSO サーバを経由する必要はないためリバース・プロキシ方式に比べア クセス負荷を分散し軽減する効果がある。しかし、各保護対象サー バすべてに専用のエージェントモジュールを組み込む必要がある ため、リバース・プロキシ方式に比べ構築と管理の負担が大きいこ とと、アクセス制御時にクッキーを利用するため、HTTP プロト コルを利用するサービスにしか対応できず、多様な動作環境をカバ ーすることができない、という欠点を持つ。 図1-B エージェントモジュール方式SSO 図1-A リバース・プロキシ方式 SSO ユ ー ザ 端 末 ユ ー ザ 情 報 A C L ユ ー ザ 認 証 機 能 ア ク セ ス 権 限 チ ェ ッ ク 機 能 保 護 対 象 サ ー バ (リ ソ ー ス ) プ ロ キ シ サ ー バ 外 部 ネ ッ ト ワ ー ク FW SSO 内 通 過 制 御 「通 過 制 御 」 ユ ー ザ 端 末 FW 認 証 サ ー バ 外 部 ネ ッ トワ ー ク A C L 保 護 対 象 サ ー バ (リ ソ ー ス ) 「SSO内 通 過 制 御 」機 能 (エ ー ジ ェ ン トモ ジ ュ ー ル ) ク ッ キ ー 「通 過 制 御 」 「ユ ー ザ 認 証 」+ 「ア ク セ ス 権 限 チ ェ ック 」 ユ ー ザ 端 末 認 証 サ ー バ セ キ ュ ア な 通 信 FW D A T A I/F ル ー ル ベ ー ス A CL FW -認 証 機 構 間 認 証 機 能 外 部 ネ ッ トワ ー ク FW -認 証 機 構 間 認 証 機 能 保 護 対 象 サ ー バ (リ ソ ー ス ) 「通 過 制 御 」 + 「SSO内 通 過 制 御 」 「ユ ー ザ 認 証 」 + 「ア ク セ ス 権 限 チ ェッ ク 」 外 部 認 証 機 構 ユ ー ザ ユ ー ザ 情 報 ユ ー ザ ユ ー ザ 情 報 リ バ ー ス ・ プ ロ キ シ 方 式 エ ー ジ ェ ン ト モ ジ ュ ー ル 方 式 F W ‐ 認 証 機 構 連 携 方 式 問 わ な い       ○ 制 限 あ り       × 問 わ な い       ○ 保 護 対 象 サ ー ビ ス 毎 に 設 定 が 必 要 ク ッ キ ー 使 用 の た め H T T P の み サ ー バ 条 件 問 わ な い       ○ 制 限 あ り       × 問 わ な い       ○ エ ー ジ ェ ン ト モ ジ ュ ー ル イ ン ス ト ー ル の た め S S O サ ー バ に 集 中 す る   × 各 ノ ー ド に 分 散 す る       ○ 各 F W 単 位 で 分 散 す る     △ 全 て の 接 続 が S S O サ ー バ 経 由 で 行 わ れ る た め S S O サ ー バ 1 台 な ら 容 易 ○ 保 護 対 象 サ ー バ す べ て モ ジ ュ ー ル 認 証 機 構 の 構 築 の み の た め 、 複 数 台 設 置 の 場 合 複 雑 × イ ン ス ト ー ル が 必 要     × 容 易       ○ シ ス テ ム 構 成 の 容 易 さ S S O 実 現 方 式 ア ク セ ス 負 荷 サ ー バ 種 別 プ ロ ト コ ル 図1-C FW-認証機構連携方式 SSO 表1 SSO 各方式比較

3−197

3D-5

情報処理学会第65回全国大会

(2)

以上のように、現行の方式では ①アクセス負荷の集中によるボトルネック ②保護対象リソースの提供形態や、サーバソフトなどの動作環 境に関する制限 の2 点が主な問題であり、上記 2 方式では両問題の解決がトレー オフの関係にあるため、双方を解決する新たな方式が望まれる。 ド

2

.2. ファイアウォール-認証機構連携方式

本研究では、「ユーザ認証」と「アクセス権限チェック」を外部 認証機構で行い、FW のルールベースをリモートかつ自動での編集 を可能にし、外部認証機構とFW との間にセキュアな通信機能を 設けることでセキュリティポリシの動的で安全な変更を可能とす る方式を提案する。これによって前述した問題について、以下のよ うに解決できる。 ①アクセス負荷の集中によるボトルネック FW のセキュリティポリシを動的に変更可能にすることにより 「通過制御」だけでなく「SSO 内通過制御」もまとめて FW で行 うことが可能となり、機能の並列配置による負荷分散が図れる。 ②保護対象リソースの提供形態、動作環境に関する制限 エージェントモジュール方式ではHTTP プロトコルにしか対応 しないエージェントモジュールによって実現していた「SSO 内通 過制御」を、プロトコルやアドレス、ポート番号など多数の情報に 対応できるセキュリティポリシが設定可能なFW を利用して動的 に行うことで、幅広い動作環境をカバーすることが可能となる。 本方式の構成を図1-C に、現行の 2 方式と本方式の比較を表 1 示す。 に

3.機能の検討

FW-認証機構連携方式を実現するには、認証機構と FW に図 2 に示すような機能が必要と考えられる。本システムにおいて特に重 要なのは、FW と認証機構の間でセキュアにデータのやりとりをす るためのFW-認証機構間通信での漏えい防止機能と、認証機構で ユーザ認証に成功したユーザに関してFW を通過させるようにル ールベースを変更し、接続終了後にルールベースを元に戻すことで ユーザに対するアクセス制御を行うルールベース編集関連の機能 であり、以下各機能について述べる。 送信元情報 取得機能 図2 FW-認証機構連携に関する両者の有する機能

3.1.FW-認証機構間通信に関する機能

本システムでは、外部からFW のルールベースを設定可能にす るため、外部認証機構とFW との間の通信は極めてセキュアに行 わねばならない。そこで、通信を暗号化する以外にも、ユーザ認証 とは別にFW-認証機構間についても相互間で専用の認証を行うこ とを特徴とする。 暗号化、認証の方式としては、現在市販されているFW の多く が対応しているIPsec による VPN を用いれば、認証機構側では FW 側に対して特に新しくアプリケーションのインストールなど を要求することなく実現が可能である[2]。その上で、サイトの目 的やセキュリティポリシに合わせ、公開鍵暗号方式によるデジタル 署名やワンタイムパスワードなどを追加することにより、なりすま しから情報漏洩、改ざんなどに対してよりセキュリティ強度を上げ ていくことができる。

3.2. ルールベースの編集に関する機能

3.2.1 ルールベース自動編集機能と通信状態監視機能 ユーザ認証に成功したユーザが目的のリソースを提供するサー ビスにアクセスしてきた際に、このユーザからのアクセスを指定し てきたサービスに関して許可するようにルールベースを自動的に 編集する機能をFW に付与する。また、ルールベースをある特定 のユーザからのアクセスを許可する状態のまま放置すると、そのユ ーザを詐称する「なりすまし」による攻撃を受ける危険がある。そ のため、不要なルールはルールベースから逐次削除する必要がある [3]。理想的にはユーザが該当サービスを受けている間のみ接続を 許可し、サービスの終了とともに該当ユーザの接続許可ルールを削 除することが望ましい。そのため、FW にはユーザとリソースの間 の通信状態を監視する機能を設ける。 本システムではユーザを特定する情報として送信元IP アドレス を仮定する。認証機構において初期ログイン時にユーザの送信元ホ ストのIP アドレスを取得し、ユーザ認証成功時にユーザのアクセ ス権限データとともにFW へと送信する。受信した FW 側では、 このIP アドレスからの指定サービスへのアクセスを許可するよう ルールベースを変更する。 に 3.2.2 サービス終了検知方法 次に、サービス終了までのサービス状態の検知について述べる。 サービスの開始は、ユーザからの最初のパケットが通過を許可さ れた際に検知される。ユーザがサービスへの接続を開始すると、ま ずタイマーがセットされタイマー処理がスタートする。 サービス継続を認識する方法として、接続中はFW はすべての 着信および発信パケットを捕捉し、パケット内部情報を取得、解析、 保存を行い、保存したパケット内部情報を時系列に従って累積させ ていくことで、通信状況を示す通信状態情報を構築する。この通信 状態情報を新たに取得したパケット内部情報と照合することで通 信の整合性を判断し、サービスが継続していると認識する。サービ ス継続と判断された時点で、タイマーは一度リセットされる。また 捕捉したパケットを適宜サンプリングし、ルールに一致しているか 検査する処理を組み込むことも考えられる。 受 信 デ ー タ 復 号 化 FW - 認 証 機 構 間 認 証 機 能 デ ー タ 送 受 信 機 能 ルールベース 自動編集機能 受 信 デ ー タ 解 析 機 能 通 信 状 態 監 視 機 能 アクセス制御機能 ルールベース FW サービス終了については、通信の終了を示すパケットを検知した 場合に認識し、通信状態監視機能はルールベース編集機能へ該当ユ ーザの送信元IP に対するアクセス許可ルール削除要求を出しルー ルベースを変更する。通信が異常終了した場合、基本的にはタイム アウト処理を行い、タイムアウトを以ってサービス終了と認識する。 認証I/F DB連携 機能 送信用 アクセス 権限データ 生成機能 ユーザ情報 ACL 送 信 用 デ ー タ 暗 号 化 FW-認 証 機 構 間 認 証 機 能 デ ー タ 送 受 信 機 能 本例では、アクセスユーザに対するルールベース変更を示したが、 同様にプロトコルやアプリケーションなどをキーに動的な通過制 が外部から可能となる。 御

4.まとめと今後について

本論文では、ブロードバンドサービスをはじめとする多様なサー ビスを対象としたSSO システムについて、現行 SSO 方式を比較 することで問題点を挙げ、その解決案としてルールベースを外部か ら動的に変更可能な機能を有するFW とユーザ認証機構を NW を 通して連携させることでSSO を実現する方式を提案し、その優位 性と実現可能性について考察した。 今後は、FW−認証機構間の認証方法についてより詳細な検討を い、各機能を実装し、評価を行う。 行 【参考文献】 [1]日経インターネットテクノロジー,2001.4,p190-199. [2]Checkpoint 製品 導入の手引き,2000. [3]小林他,ダイナミックフィルタリングを利用したパーソナルファイアウォ ールの設計, 情処学会研究報告,2002,No.12,pp151-156.

[4]中村他,IDS と Firewall を連携した Dynamic Firewall の実装と評価 ,信 学技報,Vol.101,No.649,pp35-40. 外部認証機構 FW-認証機構間通信に関する機能群 セキュア な通信 送信元情報 取得機能 ルールベース編集に関する機能群

“A study on the dynamic access control of SSO system using FW and external authentication mechanism”

Daisuke SATO, Shinichi NAKAHARA

NTT Information Sharing Laboratory Group ,Nippon Telegraph and Telephone Corporation

参照

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