<論文>会計利益とキャッシュ・フロー・プロフィッ
トをめぐる若干の問題 : 企業利潤と企業家利潤と
の関連において
著者
亀川 俊雄
著者別名
Kamekawa Toshio
雑誌名
経営論集
巻
21
ページ
1-20
発行年
1983-03-20
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00005804/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja会 計 利 益 と キ ャ ッシ ュ・ プ1===
・− ・
プX=tフ ィ ット を め ぐる 若 干 の 問 題
一 企業利潤と企業家利潤との関連において亀 川 俊 雄
1 [1] 問 題 意 識 犬 企業経 営に おけ る利 潤 の問 題 は, さ まざ まな観点 から 広範 囲な 議論 が, そ の本質,測定 , 帰属, 原因 な どを め ぐり,多 くの権威 者に よって 長 く闘わさ れて きた 。そ れだけ に , こ の問題 の奥 行きの深 さ とそ の拡 が りは 計 り難い も のがあ る。し かし, こ の問 題を 避げ て通 るこ とは でき ない よ うに 思 われ る。 それは, 資本主義 社 会あ るい は 市場経 済シ ステ ムにお い て, 生 産的 機 能を 担 当し てい るのは, 営利 企業 が主力を なし てい るからであ る。 ド イツの経 営経済 学 の成立以 来, こ の問題を め ぐって多 く の研究 が行われ てお り, わが国 の経 営学 や実 務 界へ の影 響は 相当 根深い と思 われ る。そ れは 単に利 潤の技 術的問 題に 限定 さ れ るば か りでぱ な く, 学問 の性 格づけ,し た がって学間 の認識 対象 さらに は概 念形成 にいた るまで関 連づけ られ る。筆 者 なりに 整理し て, 利 潤 との関連 事 項を ひろいあげ てみ る と1),犬 十 (1) 学問 の性格 は, 規範経 営経 済学 か没価値論 かあ るい は技 術論 か,さら に は, 隣接 科学 であ る経済 学 との関 連に おい て, 経営経 済学 は経済学 の 一部 なのか, 独立し てい るのか。 十 犬 (2) 認識対象 は企業 か 経営 か。 つ (3 ト 企業 とす れば, 企 業家 の利潤 か, 企業 自体 の利 潤追 求か。 バ4) 利 潤原理 か収 益 性原理 か, あ るい は企業 成長か 。 十 ・・ (5) 収益 性 とす れば, 自己 資 本利 益 率か総 資本利益 率か。 ■ ㎜ ■ (6) (2)と関連し て, 研究 対象 は, 財務問題 か生 産問 題 か,後 者 に つ い て は,経営 の経 済性 との関連 は ど うか 。経 営経済学 の研 究対 象は, 企業 ま たは企業家 の利 潟 ・収益 性で は なく,経 営 の経済 性であ るとい う主 張。2 (7) 国民 経済 と企業( 私経済)の関 連, す なわ ち, 共 同経済 的 経済 性あ るい は生産性 と, 企業 の利 潤 また は経営 の経 済性 とのか かお り合い 。そ の背 後に は,利 潤 か賃 金か とい う選択問題 も含 まれ よう。 そし て, 大 室かにい うならば ,利潤 ・収益 性につ い て肯定 論 ・否定論 がい り乱れ て闘わさ れ てい るよ うに 思わ れ る。 一 方, 経済 学におけ る企業 経済理 論は, 原則 とし て, 利利 最大 化原理を仮 説にし て, 企業 の行動 原 理を 説明し てい る。 とくに , 短 期静態 利潤 関数に も とづい て, 限 界収入MR と限 界費用MC 一 致 とい う条件 のも とで操業 量 ま た は産 出率 の決定を 説 明す る。そ こ では ,多 く のパ ラ メータ ーを 設定し た上 で, 連続変数 の形態 で,MR =MC の原 理に も とづい て, 利 潤 最大化 の経済 的 規準を 説 瞬し てい る。 この問題を め ぐ って 乱 さ まざ まな問 題 が提 起され る。そ の一つ とし て, 費用 の範 囲が間題 とさ れ る。 他人 資本や 自己 資 本の利 子費を どの よ うに 扱 うか とい う問 題であ る。 これ は, たんに 計 算上の問題で はな ぐ,分 析概 念 とかかお り合いを もつ。 利 子費を 考 えない とい うことは, 資 本し た が って資 産の存在 がない。 そ のそめ, 瞬 間的に 生 産が 行なわ れ ると い う, 時間を 含 まない 瞬間生 産の理論 が前提 とされ る。 逆に い えば, 利子 費 を 加 え るとい うことは生 産には時 間が かか るとい う時 間を含 め た理論を 前提 とす ること とな る') い わゆ る,後 者の場 合に は,貸 借対 照表 の存在 が暗黙 裡に 仮定さ れ る。 これは, た んに ,他人 資本 のみ な らず 自己 資 本の利子を 加 えた 全体 の計 算利子 費,す なわち資 本 の費 用 がチ ャージさ れ るこ とに な る3)。 そ れは, 瞬間生 産理 論 よ り,一 歩現実に 近づい た説 明力 を もつ ことに な る。 か くし て,会 計理論 の立 場からい えば, 利子費を 加 え る とい うこ とは, 損益 計 算書 と貸借 対照 の結合問 題を ,多 く の パラ タータ ーを 前 提 とし た上 で説明 し て くれ るのが, 短 期静態利潤関 数 とみて差 支え ない。 それ ならば, こ の計 算 利子 費控除 後 の経済利 潤economic profit が最大化 さ れ るとい うことに な るが, こ の利 潤 はい かな る意味を もつ ものか。そ の背後 に あ る貸 借対照表問 題 と損益 計算 書,あ るい は, 財 務(資本)と生 産 と 市場(生産物の販売価格・要素 価格・利子率がパラ/.ーターとし て含まれている。)と が, 利 潤に 反映し てい る の で はない だろう か とい う疑 問 が生じ て くる。 この よ うか事実 は,前 記のド イツ経営 経済学 の論 争 とい くつ かの部 分に く い 違い があ るの ではないだ ろ うか。 ド イツ経営 経済学0 伝 統論, た とえば,
会計利益とキャッシュ・フロー・プロフ-t ヅトをめぐる若干の問題 3E. Schmalenbach の 技 術 論 で は ,財 務 諸 表 等を 前 提 とし た 絶 対 量 また は 平 均 値 の経 営 分 析・比 較 が ,利 潤 問 題 と の 関 連 で 取 扱 わ れ るが ,こ こ で の利 潤 は 経 済 学 でい う短 期 静 態 理 論 と 異 な り, パ ラ ノ ― タ ーを 前 提 とし な い 解 釈論 と 結 合 す る と 思 わ れ るか ら , よ り一 層 実 践 的 性 格を も っ て い る。( パラ ターターの 変化を解釈す る方が,実 践にとっては より一層重要であ ると思わ れる。) そ れ に し て も, 利 潤 概 念 は 本 質 的 に 同じ で あ るべ き も の と考 え ら れ る。 こ の利 子 控 除 後 の 利 潤 は , 販 売 , 生 産 , 仕 入, 雇 用 , 技 術 , 投 資 , 財 務 , 市 場( 生産物,生産要素, 資本等の市場) に お け る経 営 者 の 意 思 決 定 に か か お る 企 業 経 営 の す べ て の 活 動 領 域 の反 映 であ る よ うに 思 わ れ る。 そ う と す れ ば , 企 業 と 経 営 , 財 務 と生 産 , 利 潤 と収 益 性 , 私 経 済的 経 済 性( そ の概 念も多 様で あ るが) の 概 念 上 の区 別 を 行 う こ とは , 経 済 理 論 の 側 か ら み れ ば , 問 題 が あ る の で は ない だ ろ うか4)。 犬 筆 者 は 素 朴 な 疑 問 と ビ ジ ョ ソ に も とづ い て , 企 業 経 営 の利 潤 は , 収 益 性( 成員性を含め て), 経 済性 , 生 産 性 , 回 転 率 性 産時間問題 の尺度), 市 場 価 格 の ツ ス テ ムを 統 合 す る も の と考 え , 前 記 の諸 間 題((1)∼(8))に つ い て は , 漠 然 と し た ビ ジ ョン で は あ る 執 「 ∼ か ∼ 」 で は な く ,「∼ と∼ 」 とい うふ うに 取 扱 よ う心 が け て い る 。 こ こ で は(3)の 問 題 を 中 心 に 検 討 を 試 み た い 。 十 利 子 費 控 除 後 利 潤 は , 企 業( たとえば 株式会社) 自体 の 利 潤 な の か , 企 業 家 体 とえば,株主) の 利 潤 な の か , 両 者 の関 連 は ど の よ うに な るの で あ ろ うか 。 資 本 と 経営 の分 離 に よ っ て , 会 社 の 経 営 者 は 株 主 に の み 利 害 を 考 え る の で は な く, よ り多 く の利 害 関 係 者 と くに 労 働 者 の 支 配 が 強 ま っ て い る こ とは 事 実 と思 わ れ る。 し かし , 経 済 制 度 とし て は 市 場 競 争 に お い て , よ り 企 業 利 潤 が 高い 方 が 成 長 力 ・生 存 力 が 強 い 。 こ の 場 合 株 主 の 所 得 は ど の よ うに な るか が 問 題 とな る5)。 こ こ で 関 連 し て く る のが , 経 営 財 務 論 に お い て 取 扱 わ れ る, 株 価 最 大 化 原 理 もし くは 株 主 の 経 済的 富 最 大 化 の問 題 で あ る。 こ の 種 の 条 件 は , 株 主 の利 益 最 大 化 を 前 提 とし た も の で あ る。 こ の 場 合 の利 潤 と, 前 記 の 短 期 静 態 関 数 に お け る利 潤 は ど の よ うに か か お り 合 う の か , こ の 問 題 を 解 決 す る とい う こ と は , 企 業 利 潤 か 企 業 家 の利 潤 か とい う問 題 を 解 決 す る上に お い て も重 要 な 手 が か り と な る と思 わ れ る か ら で あ る。 [2] キャッシュ・フロー・プロフ ィットと短期の経済利潤
4 筆 者はか ね て, 短 期の利 潤最大 化条 件 と経済的 富 の最大化条 件 とは 矛盾す るこ とはない とい う一応 の結論をR.W. Scapens O 論 旨にし たが って結論づ け た6)。 同 様の問題を 正面から 取扱 ってい るD. Bordenhorn の論文に 依拠し つ つ こ の摺 題を 再度取上げ るこ ととす る7〉。 企業( 株式会社)と企業 家(株主)と の関 係 が, 株主 の経済的 富の最大化 条件 と短 期利 潤 の最大化 条件 との関連 の もとに 両者 の関係につい て, 緻密な 証 明 がなさ れ てい るから であ る。 もし , 企業 自体 が 高い 利潤を あげ れば, 原 則 とし てそ れ は株主 の 富を 増 大し , 株主 の所 得を 高 め るこ とが指摘さ れ る。 そ のさい , キ ャッシ ュ・フ ローとし ての・ 利潤 概 念の吟 味 と, 利潤 最大化 と富 との関連に つい て, か れ のモデルが多 く め説 得 力を も ってい ると思 われ る。 (1) キ ャッシ ュ・フ ローの概 念一 現 金残 高理 論- 株 価や経済的 富 は,キ ャッシ ュ・フpi ―分析に も とづい てい ることは周知 の とお りであ る。企業 の経営上 の重 要な 仕事 とみら れ る, 在庫投 資や設 備投 資 の 意思 決定問 題 が, キ ャッシ ュ・フ ロ ―分析に も とづい てい ることは財 務 論 の教科 書に指 摘さ れてい る。 前 者力足 企業 全体 の評 価問題を 取 扱 ってい る のに 対し ,後 者は,生 産上 の規模を 決定し た り, 新製品 投 資 の基 準を 決定す る等 の経営上 の個別 計画 への指針を なす こ とは よ く知 られ てい る。こ の個別 計画や 企業評 価にさいし て は, 将来 の キ ャッシ ュ・フ1==・一すな わち現金収支 の差 額 の流列を 割引 く とい うこ とか ら, 各期 の キ ャッシ ュ・フ ロ ―の概 念が い ろい ろ な観点 す なわち モデル設 定 の条 件 のも とに 用い ら れてい るが,無限 期間 の 場合には, 通常 は,営業 収支 ・負 債利子 ・税金 等損 益計算 書項 目との・ 関連 で, 利益や 配当 金の期待 流列を キ ャッシ ュ・フa ーと 想定し たモ デルが 使 わ れ る。 あ るい は, 有限期 間の場 合に は, 会計 償却 費 十税引利 益を 現 金収 支 の 流列 と想定し た モデ ルが使わ れ る。 Bordenhorn は,そ れに 加え て,会社 が掛売 ,掛買す る場 合は,企業間 信用に おけ る投 資 や財務 の間題 ,あ るい は, 会 社が 取 引先そ の他に資 金を 貸 付 け た り,さ らに は, 流動 性確 保のため の 現 ・\預 金を 増加あ るい は減少す る措 置を と る場 合を 含 めた, キ ャッシ ュ・フ ロ ―を 想 定し , これら の財 務取引を 含 めた , キ 十ッ・シ ュ・フ= −を用い る8)。 会社 が, 営業取 引に よって,た とえ ば, 現金 の売 上収 入 があ り,そ れが支 払 費用 を こえた とすれば,当 然, 現 ・預 金残 高 の増加 とな る。 往来のキ ャッ シ ュ・ フ ロ ー分 析 では,売 上収入 は, 現金収 人 とな り, 支 払費用 は現金支 出
会 計利益 と キ・V ッシ ュ・フa ― .プpi フ ィットを め ぐ る若干 の問題 5 と し て, 犬純 キ ャ ッ シ ュ ・ フpj ― が 測 定 さ れ る 。 こ の よ う な 仮 説 は 単 純 化 し た モ デ ル に す ぎ な い 。 こ の 場 合 , 現 ・ 預 金 残 高 の 増 加 は , 株 主 に 配 当 金 と し て 支 払 わ れ な い か ぎ り , 株 主 に と っ て は 現 金 の 流 入 と ぱ な ら な い し , 一 方 , 会 社 側 か ら み れ ば , 現 ・ 預 金 の 残 商 を 増 加 さ せ る こ と は , 流 動 性 確 保 へ の 投 資 と な り , 在 庫 投 資 や 設 備 投 資 と 同 様 に , 企 業 と 株 主 と の 関 係 か ら み た キ ャ ッ ツa. ・ フp ー 概 念 の 立 場 か ら み れ ば , こ の 現 ・ 預 金 残 高 の 増 加 は , 株 主 の 現 金 支 出 み な さ れ る べ き で あ る 。 現 ・ 預 金 残 高 を 変 化 せ し め る , こ の よ う な 財 務 取 引 は , 実 際 の 取 引 で は 多 様 で あ る 。 た と え ば , 売 掛 金 や 貸 付 金 の 回 収 や 借 入 は , 現 ・ 預 金 を 増 加 せ し め る か ら , 一 方 は 収 入 と な り , 他 方 , 現 ・ 預 金 残 高 の 増 加 は 支 出 と み な さ れ る し , ま た , 買 掛 金 の 支 払 や 借 入 金 の 返 済 , 利 子 の 支 払 は , 現 金 の 支 出 で は あ る が , 現 ・ 預 金 残 の 減 少 す な わ ち 流 動 性 へ の 投 資 資 金 の 回 収 と い う こ と に よ っ て , 収 入 ・ 支 出 は 相 殺 さ れ る こ と に な る 。 こ の 現 金 残 高 理 論 に し た が う と き , キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー の 測 定 は , 通 常 の 営 業 取 引 に よ る 収 支 の み な ら ず , 財 務 取 引 お よ び 現 ・ 預 金 残 高 の 変 化 分 を 含 め る べ き で あ る と さ れ る 。 し か し な が ら , こ の よう な キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ― の 把 握 は , 結 局 , 利 益 留 保 相 当 部 分 に よ る 現 ・ 預 金 残 高 変 化 の 間 題 に も つ き あ た る 。 こ の 利 益 留 保 相 当 分 の 現 金 残 高 の 増 加 分 乱 流 動 性 投 資 の た め の 現 金 支 出 と み な さ れ る か ら で あ る 。 こ の 理 論 に も と づ く な ら , 企 業 か ら 株 主 へ 支 払 わ れ る 現 金 , 逆 に い え ば 株 主 の 現 金 収 入 の み が , 純 キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー と み な さ れ る 。 そ れ は , 配 当 金 の 形 態 の み な ら ず , 会 社 が 株 主 に 株 式 を 売 却 し た 場 合 に は , 株 主 の 現 金 収 入 と し で 純 キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ― の 加 算 要 因 と な る し , 株 主 が 増 資 資 金 を 支 払 い 現 金 残 高 が 増 加 す る と き は , 流 動 性 確 保 の た め 現 金 の 支 出 と み な さ れ る こ と と な る 。 こ の 現 金 残 高 理 論 に も と づ く な ら , 企 業 と 株 主 間 の 現 金 取 引 の み が キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー の 測 定 対 象 と な る 。 こ の 期 待 値 の 流 列 に つ い て の 資 本 還 元 問 題 を 取 扱 う 企 業 評 価 を 高 め る 政 策 は , こ の 現 金 取 引 に つ い て で あ る か ら , 企 業 と 株 主 と の 利 害 関 係 が , キ ャ ッ シ ュ ・ フa ―を め ぐ っ て , 利 害 は 一 致 す る こ と が 明 ら か に さ れ る 。 な お , こ の 意 味 の キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ― の 現 在 価 値 も 伝 統 的 な 現 在 価 値 も 一 致 す る こ と は 明 ら か で あ る 。 (2 ト キ ャ ッ シ ュ ・ フ= − と 株 価
6 −
株 価は , 周知 のよ うに,一 般に は無 限期 間 モデル とし て, 将来 め各丿期 ひ 期 待配当 金 £r・.jの現金収支( 会社側からみれば現金支出となり,株主側からみれば 現金収入=配当所得となることはいうまでもない。)の流列を , 自己資 本 の コ ス ト す なわ ち株式投 資に対 す る正常利 益 率a return of normal profit を 割引 率 とし た 現在 価値 とし て と ら え ら れ る。 この配当 金) 。.jのフ ロ ーは , 純 現 金フp 一net cash flow であ り, 株主 側か ら みれば 純現金 の収入流 列であ る こ とは 指摘し た とお りで あ る。 もし , 企業 が各期に あげ た利 益 弓( 企業会計 上の「税引利益」もし くは「当期利益」に対応)をす べて配当 金に引当 てる と仮定 すればi D・・j =り とな るから ,配当 流列 £)。。丿よ利 益流 列Tり に 判きか えられ る。 こ の流 列は , 非成長におけ る株 価モデ ルの典型的 タイプ とし て用い られ る。 あ る期始to におけ る株 価 八 は ,資 本 コ スト ゐ。を 割引率 とし て, 純現金 収 入流 列を割引い た現 在価値 であ るか ら, 周知 の方程式 とし て次式 に よって 表現 され る。 ま た , と し て , 八 = Σ J=0 "^l+j (1A) na 十 ゐ。。1+r) 瓦 の期待値を 一定 とすれ ば, (lA )式 は, も っとか んた んな モ デ ル 次式 が用い ら れる。 ‥ ^■=1 (1 +]j蕉 ‥…… ……… …… ………… …… …… …………(1B) 以 下 の説明では, (lB )式を 用い て, キ ャッシ ュ・フp・− ・プ ロフ ィットの・ 本 質を さ ぐること とす る。 \ この よく使わ れ る株 価方程式 の7り は, か れ のい う, 現 金残 高理論 とも一 致 す る。 また,経 営 者 の投資 ・財 務上 のプ ロジ ェ クト の計 画におけ る決定基 準は ,会 社全体 の企業 評価 理論に 吸 収され る のであ るから, 企業評 価 理論 と 投 資 決定基 準 とも矛 盾し ない こ とに な る。 また, 成長 モデ ルとし て,し ばし ば用い られ る株価 モデ ル, 几 =jズ ^,・1 (1テ万な云し におい て も, 企 栞 と株主 の利 害 は一 致 す る は ず で あ る。す な わち, 資 本 と経 営 の分 離に よ って, 株主 は 会社に 対 す る支 配力を 失 った とし て も, 株主は 資本 市場を とおし て, 自 由に 株式を 取 得 または 処分す る ことがで き るか ら, 会社 のあげ た利益 は配 当金 のほかに キ ャヒフタル・ ゲイ ン の形態 で享受 され うる。 す なわ ち, 成 長 モデ ルの株価 は,j 期に おけ る株
会計利益とキャッシュ・フp ―・プp フ4 ツトをめぐる若干の問題 7 価 弓 も成 長 し て い る の であ る か ら, こ の モ デ ル の諸 前 提 条 件 を み たし て 聊 れ ば , 実 際 の 資 本 市 場 に お い て 株主 が え ら れ る キ ャピ タ ル ・ ゲイ ン 乞 こ の モ デ ルは 示し て く れ る 。 け だ し , 株 主 は , 税 金 の 問 題 を 考 慮 し な け れば , 配 当金 収 入 と キ ャピ タ ル ・ ゲ イ ン のい ず れ に つ い て も無 差 別 だ か ら で あ る' 。 (3) キ ャ ッシ ュ ・フp ―に よ る利 潤 概 念 に つ い て す で に か か げ た よ うに , 特 定 期 間 の 経 済 利 潤 八 。パ ま, 正 常 利 益 す なわ ち , 自己 資 本 の利 子 費 控 除 後 の利 潤 で あ る。 こ の )。.Jと , キ ャ ッシ ュ ・フ ロ ―・ プ ロフ ィ ッ トcash flow profit す な わ ち 経 済 利 潤 と は ,よど の よ うな関 係 に た つ の であ ろ うか 。 第1 式 の 株 価 モ デ ルに も とづ い て , 第1 期 の 利 潤 八 。1に 焦 点 を あ て て 考 察 し て み る こ と と す る。 こ の 耳 。1は , 当 該 期 間 の 会 社 の 包 括 的 な 業 績 の 水 準 を 決定 す る こ と は いう ま で もな い 。 ◇ さ て, 株 主 はto 期 に お い てた て た 予 想 が そ の ま まtl 期 に お い て も 変 化 し 一一 ない とす れ ば バ1 期 に お け る か れ の経 済的 富W は ,t エ期 に 獲 得 さ れた 利 益 とh 期 に 成 立 せ る 株 価 八 と の合 計 額 ど な る。 い ま,to 期 に お け る こ の期 待 値 − − の・合 計をE(W) と す れ ば, £(W^) は 次 式 に よ って 示 す こ とが で き る。 E(W,) ゛Po(l十島)゛゛r十二応^ 十(F7k)2 十“ ゜ =7tx十八T征↓;Ey 戸^ =クtx十八 ・‥・・… ……・ (2) も し , 会 社 の 経 営 の 結 果 や 市 場 環 境 の 変 化 が 生 ず れ ば ,tl 期 に お い て え ら れ る 利 益 はTTi で な く , 異 な る 値Ci と な る か も 知 れ な い し , ま た , ・tl期 に 成 立 せ る 株 価 瓦 は 八 と 異 な る こ と と な ろ う 。 こ のP; が 成 立 す る さ い の 期 待 利 益7t' の 流 列 はT ・ の 流 列 と 異 な る だ ろ う し , 資 本 コ ス ト へ の 期 待 値 も 変 化 す る か ら で あ る 。 い ま , 資 本 コ ス ト は 一 定 と 仮 定 す れ ば ,tx 期 犀 お け る 株 主 の 富 は 次 式 に よ っ て 表 わ さ れ る 。 I ・ ・ I ㎜■ ■ ■ W.=c, 十 八 ゜ ゛1十 二ぶ 五? 瓦 一十  ̄拝 で ミしiT + ・ ¨ ‥ ‥ ‥ ‥‥ ‥‥1 十 万………2 万 j 〒Ci 十 石T て にyk 戸 サ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥"゛.'.(3) いま・tl 期における経済利潤すなわちキャッ-y ュ・フロ ― ・プ ロフ4 ツト
8 △ ”I ・ ユPr.l を 求 め よ うとす れ ば √ そ れ は, (3 )式 か ら(2 )式 を 差 引 く こ とに よ っ て え ら れ る こ と に な る。lす な わ ち, ニ
し 瓦,=呪
あるいは,
Pr.l=(ごl 71・l)十{Pi二?1)‥‥‥・・……・・………… … …… …… ……(4b) 会 社 の業績 と\し ては, u 期におい てCi>7riであ り, 弓 > 八 であ れ ば, 予 想 以上 の好業 績をあげ た こ とにな る。い ま,簡 単化 のため, Pi =八 とい う特 別 な 条件を 想定 すれば,・ クTiは正常 利 益 相当 分に ほかなら な い か ら, Ci −7?! =耳丿 よ明らかに 正常 利 益を こえ た超過 利潤excess profitを 示す こ と と な る。 この場合に。は, tl 期 の会 社 の包括 的業 績( 販売・生産・財務等)は, TtxよりCi の方が 優れてい るこ とは 明らか であ る。 また, 弓 >八 であ るこ とは , 市場 の会 社に対 す る期待 度 が よ り一層 高 まった ことを 示 す6 すな わ ち, 純 キ ャッ シ ュ・フp ーの期待 が よ り高くな って きた こと, よ り具 体的にい え ば, 現在 実 施 中 の事業( 販売・生産・財務等を含め七)が 一層好転 す る で あ ろ うし , 将来 実 施 され るプ ロジ ェ クトの計 画 へ の評 価 も高 まってい る ことを 示し てい るこ と,加え て将来 資 本市 場 で成 立 され る利 子 率 も会 社に と って よ り低利 に獲得 さ れ るであろ うこと の集 計的 な 結果 が, キ ャッシ ュ・フ=r − ・プ ロフィ ット に反 映さ れ るこ とを 意味す る。 丿 二 方, 株主側 からみ れば, Ci>7riであれば よ り高い配 当金を 受 取 るか,あ るい ぱ よ り 高い利 益留 保 が獲得 され ,そ の結果 将来 の収 益へ の貢献 が増加し て, 市 場 の好転 とともに 一 層 の 鳶 を 高め るこ とにな るか ら, p ド 八 の格差 は 拡 大し , 株主は よ り高い キ ャピ タル・ ゲ イソ を 獲 得す るこ とが でき る。 こ り 意 味 で, C^>7t^,Pi >Pl の状況 下 では, 会 社は包 括的 に好 まし い業 績を獲 得し た ことにな るし , 株主 も高い 所得 を えた こ とに な り,両 者 の利 害関 係は 一 致し た ことを示し てい る。 こ のこ とは , 企業 の経営 目標は企業 利 潤か企業 家 利潤か とい う選択的 な 問題 ではな く, 企業 が企業 利潤 を 追求す る ことは, 経営 者が 株主 のため の利 益を 追求す る動 機を もつ , もた ない にか かわ らず, 企業 家利潤を 追求 す るこ とに な るとい うの が市 場経済シ ステ ムの基 本的 性 格 と考 えら れ る。 なお, Ci =7tエで あ り, 7tとIt' の 流列が 等し く,資 本 コ ストも変 らな い よ うな 確実 性下 の条件 では, 八,i=O とな る。 このケ ー不では,\会 社 の業 績は会 計利 益と キ ャッシ ュ・ブ ロ ―・プ ロフ ィット をめ ぐ る若 干 の問題 9 以 前 と 変 ら な い し , 株 主 は 正 常 利 益 相 当 分 の 配 当 金 を 受 取 る こ と に な る 。 い ま ,(4 )式 の キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー ・ プ ロ\フ ィ ッ ト は ,二 で あ る か ら , 次 式 に よ っ て も 示 さ れ う る 。 レ ニ ノ −- 一 耳.l =W^ 一Pod 十 島) =w. こ の 耳 。1 は ,Wi が 投 下 資 本 几 と そ の正 常 利 益Poke を こ え た 金 額 であ る こ とが, (5)式 に よ っ て 示 さ れ る。 こ の1 式 か ら5 式 ま で よ り , わ れ わ れ は つ ぎ の よ うに √ キ ャ ッシ ュ ・ フ ロ ー・ プ ロ フ ィ ッ ト の 性 格 を ま と め る こ と が で き よ う。 ダ(1)Bordenhorn の利 潤 概 念 は , 時 価 ベ ー ス す な わ ち 株 価 を ベ ー ス とし て, 各 期 間 の 資 本 費 用 が 割当-こら れ , 良 い 湖 定 さ れ る ぷ ニ(2) 期 始to に お い て , 企 業 が 株 式 投 資 家 か ら 調 達 せ る 資 金 ,逆 な 立 場 か ら い え ば , 株 主 の 出 資 金 で あ る 簿 価 す な わ ち 自己 資 本 の 簿 価 £o は , 純 キ ャ ッシ ュ ・フ ロ ―め 還 元 価 値 で, 期 始 の 八 と は , 一 致 す る こ と もあ れ ば , 不 一 致 とな る こ と もあ るo 八 >Eo で あ れ ば , 会 社 も 株 主 も利 潤 れ 。0 を え た こ と に な る。 逆 な 場 合 す な わ ち 几 <E, の 場 合に は , 損 失( すなわ ち株主は正常利益以下 の所得を うるにすぎな くなる。)を 蒙 り, 弓 ―Eo と 等し い と き に は , 期 始 の 時 点 に お い て 損 得 が な い こ と に な る 。 こ れ は , 市 場 が 企 業 の 将 来 の純 キ ャ ッシ ュ ・フ=r ―と 資 本 コ ス トを 評 価し た 結果 に ほ か な ら な い 。 そ れ は , 企 業 の 経 営 計 画 と そ の実 施 の可 能 性 に つ い て 市 場 の 評 価 と もい え る。 同 時 に , 経 済的 に み れ ば , 市 場 は 企 業 の プl==iジ ェ ク ト 計 画 が , 独 占 ・ 寡 占 ・ 独 占 的 性 格 を も っ てい る た め, た だ ち に 資 本 参 入 が な い と い う事 実 か ら , 企 業 の 経 営 計 画 の 収 益 性 さ ら に は 現 在 進 行 中 の 諸 活 動 の収 益 性 に 対 す る評 価 の結 果, 八 >£o と い う事 実 が 生 ず る も の こ と 解 釈 さ れ る 。 犬 犬(3) そ こ で , 時 価 ペ ー ス で は , 期 始 £。に お け る 株主 の資 金 の拠 出 時 点 で, キ ャ ヅシ ュ・ フa ー ・ プ ロフ ィ ッ ト 八 。。=jPo一篇) が 計上 さ れ る こ と に な る。 こ の 八 。,は £,に お い て 出 資 家 の う る キ ャピ タ ル ・ ゲ イソ 相 当 分 に ほ か な ら な い 。 ■ ㎜ ■ ・ I s 。。 八(4) 各 丿期 に お け るPr. バ ただし, iキ0 すなわちバo の経済利潤は 含 まない。以 下同じ) は , 市 場 の変 化 が な く , 経 営 の 内 部 努力 に つ い て の 業 績 も予 想 通 りな ら , す な わ ちZ.oに お い て 期 待 さ れ た とお りの 将 来 の純 キ ャ ッシ ュ ・
10 ・二 上 フ ロ.,' , -, ^の 流 列 が 実 現 さ れ る な ら, Pr.パ よつ ね に-ピ ロ と な る 。 こ の 場 合 に は , 会 社 は 株 主 に 正 常 利 益 相 当 分 の 所 得 を 給 付 す る こ と に な る 。 (5) も し , 市 場 変 化 等 の 理 由 で , 実 績 値 ら な り , 将 来 の 純 キ ャ ッ シ ュ ・ フ1==・− の 期 待 が 変 化 し た り 資 本 コ ス ト の 期 待 が 変 化 ず る と す れ ば, 削 ≠O と な る 。 こ の 場 合 , 株 主 は 期 待 利 益 と 実 際 利 益 と の 差 額 な ら び に キ ャ ピ タ ル ・ ゲ イ ソ 相 当 分 の 両 者 を 受 取 る こ と と な る6 (4 ) 経 営 利 益 と 経 済 利 潤 利 益 の 概 念 に は , そ の 使 用 目 的 に よ っ て , そ の 本 質 も 測 定 方 法 も 多 様 な 次 元 で 整 理 さ れ う る 。 経 営 者 や 会 計 士 が 用 い る 利 益 は ふ つ う 「 経 常 利 益 」「 税 引 利 益 」「 当 期 利 益 」 な る 名 称 が 用 い ら れ , こ れ ら は , 正 常 利 益 す な わ ち 自 己 資 本 の 利 子 費( 費 用 )を 差 引 く 前 り 利 益 を 指 し て い る 。 こ の 自 己 資 本 の 費 用 控 除 前 の 利 益 を 仮 に 「 経 営 利 益 」 と 名 づ け る こ と と す る 。 こ の 経 営 利 益 の 測 定 を め ぐ っ て ,3 つ の 分 類 が 可 能 と 思 わ れ る 。 す な わ ち , (1 ) キ ・ヤ ッ シ ュ ・ フ ロ ― 分 析 を 基 礎 と し て , 経 営 利 益 も し く は 経 済 利 潤 す な わ ち キ ャ ッ シ ュ ・ フFt ― ・ プ ロ フ ィ ッ ト を 測 定 す る 場 合 ① 毎 期 始 の 自 己 資 本 を 時 価 で 計 上 し , こ の 時 価 す な わ ち 株 価 を 基 礎 と し て , 毎 期 の 経 営 利 益7tj お よ び 経 済 利 潤 尽 丿 等 を 測 定 し よ う と す る 場 合(ち は も は や 蜀 と 等 し い と は か ぎ ら な い ー 後 述 一 ) ② 簿 価 す な わ ち 株 主 の 出 資 金 額E を 基 礎 と し て , 毎 期 の 経 営 利 益 ち お よ び 経 済 利 潤Pr.J 等 を 測 定 し よ う と す る 場 合 。( 牡 耳 。バま ち ・ 瓦.^ と 等し い と は か ぎ ら な い 。 ― 後 述 − ) (2 ) 企 業 の 公 表 財 務 諸 表 の 慣 習 を 前 提 と せ る 簿 価 に も と づ く 自 己 資 本 石 を 基 礎 と し て , 経 営 利 益7t j, 残 余 利 潤Pr. バ 費 用 の 範 囲 に つ い て い え ば 経 済 利 潤 に 対 応 す る 。し か し , キ ャ ッシ ュ ・ フ ロ ー ・ プ ロ フ ィ ッ ト で は な い 。)を 測 定 し よ う と す る 。K ダ弓 。バ ま,it・ち 瓦, ダj ‰ と 等 し い と は か ぎ ら な い 。― 後 述 一 ) 最 初 に, ① の 時 価 基 準 に も と づ く 経 営 利 益 ・ 経 済 利 潤 を め ぐ る 諸 指 標 の 測 定 と 関 連 す る 問 題 を 取 り あ げ , つ ぎ に(2 )の 慣 習 的 財 務 諸 表 を 前 提 と せ る ケ ー ス を , 最 後 に ② の ケ ー ス を と り あ げ , そ れ ぞ れ を 比 較 対 照 す る こ と と す る 。 い ま, ① お よ び(2 )に つ い で の 特 性 を, BordenKorn の 論 文 に 依 拠 し つ つ 明 ら か に す る こ と か ら 始 め る 。 犬 経 営 利 益 そ・ π の い ず れ も , 正 常 利 益 控 除 前 の 利 益 で あ る 。 し た が っ て ,
会計利 益 と キャッシ ュ・フp ー・ プ13フ ■i -y トを め ぐ る若干 の問題 11tr 期 の 恥 を 測 定 す る た め に は, (5 )式 に 正 常 利 益 八 孔 を 加 え れ ば よ い の で あ る か ら , を1 耳.l あ るい は ー
分i =Wi −E(Wi) 十
7ti=八.i+Eo 恥 し たが って, 瓦.l ='^l −J^o 恥 ?r. =(K^l− 恥 こ の(6)式 お よび(7) 式 から, 分^・耳 。1・耳アlは , 平行し て い るこ とが分 る。 万^ が高け れば, 剌 もPr. エも高 くな ることが 明白に 読 みとれ る。い ずれ も, 企業 経営 の業 績を示 すし , また, 投資家 の利益 もこれ に ス ライドし てい るこ ともまた 明ら かであ る。 ㈲ 式 の方 程式 は, ただ ちに 公表 せる財 務諸表 の場 合に もあ ては ま る。 す なわ ち, ‥‥‥‥‥(8) ・(9) (6)式 と 異 な る の は, 正常 利 益測定 のさい の資 本費 用が 八 を 基 礎 と す る のではな く, 簿価 のE, を 基 準にし てい ること,し た がって, 各 期 のPr.l と-f*r.l) 分iと フz・と の値は 異た って くる。 この関 係をBordenhorn は 明らかにし てお り, 大変 示 唆に 富む よ うに 思われ る。 なお,(9) 式 の企業 経 営の情 報を もっ と実 り多 くす るために , 筆者は か ね てから, T・iを 加工し て, これを 自己 資本利益 率K (D変数 を導 入す る 方 法 を 提案し て きた 。 すな わちtl 期 の自己 資 本利益率/CiはTT・i/jEoであ るから, とい りモデ ルを使 った 方 が, は るかに有 意義 な情 報 がえら れ るの みな らず ,g を さらに 発 展し た形 態 の情報を うるよ うな分 析シ ス テ ムを 展開 す ること が 可能 となるか ら であ る10)。(10) 式 か ら,瓦 ,恥 が一定 であ るか ぎ り, 八 。^はKl の大きさに 依存し てお り, Kiの期間比 較 ・経営回 比較 の実 践性を 考え ると き, この モデ ルは 高い 技術的 価値を もつ よ うに思 われ る。 (5) 経済的 利 潤 時m ベース)氏 ,と残余 利潤 八 。に の関 連
制 度会 計士 の利益 は慣 習的 会計利 益conventional accounting profit とい われ るよ うに ,各 種 の公 準にし たが って, 期 間利益 が 測定さ れ る。 意思決定 の基準 とな るべ き利 潤は, 前述 の経 済利潤 であ るが, 実用 上では 多 くの制rn
12 があ り,筆 者は キ ャッシ ュ( フ=・−. プ ロフ ィ ットは 理論的 な 概 念と関連づ け を 認 識す る道 具であ り,そ れに 対応し て, 慣習 利益 の分 析に よって実用化 が 図ら れ ると考 えら れる。これ ら の分 析シ ステ ムは技 術論 の 領域に 属し てい るが ,慣 習的利 益を 理論的 眼鏡を とおし て,解 釈・評 価す るとい う意味で, 両 者を 関 連づけ な がら, そ れら の性格を とら え るこ とが有 意 義 と思 われ る。 両 者 の関 連を, 単純化 され た2 期間 モデ ルの設 例に もとづい て吟 味す るこ と とす る。 い まあ る企業家( 株主)が 特定 の企業(事業)の みに 投資 す るこ とを 想 定 す る こ ととす る。か れは1,000 万 円 の資 金をto 期に 投 入, 会 社は1,000 万 円の資 金 で各種 の資 産Ao をた だちに 調達し , プ ロジ ェ クトの投 資 計画に 入った。 このプ ロジ ェ クトは2 年 間で完 了, 会社 は精 算さ れ ると仮定 す る。( 継続事業 の場合でも原理は同じ。)2 期間の損益 計算書 にょ って簡 単な慣 習利益 を 想 定 し てみ る。 (項 目) 売 上 収 入 支 払 経 費 会 計 償 去p 費(£)) 経 常 利 益 税 金 税 引 利 益(π) 会 計 償 却 費(D) 償 却 前 利 益(R) 〈現金純流入〉 ( 項 目) 資 負 自 株 己 資 (^ .=10 %) 産 債 本 価 損 益 計 算 書 (h ) 犬 2,000 −1,160 −600 240 −120-120 600-720 貸 借 対 照 表 (to) A 1,000 -£ 0 E 1,000 ご ? 1,131 (見 積) (t2) 2,100 −1,348 −400 352 −176 176 400-576 ( 見 積) ㈲ 0 0 0 (*l) 四- 0 400-524
会計利益とキャッシュ・フl=・一・プロフィットをめぐる若干の問題 13 こ の 事 例 の も と で は , 株主 は ,tx 期 に お い て , 税 引 利 益7 ・l20 万 円 と 償 却 費 相 当 分D, の600 万 円 計720 万 円 の現 金 を 受 取 った 。 720 万 円 の うち , 玖 の600 万 円 は 出 資 金 £o の一 部 が 返こ済 さ れた も の と み な さ れ るか ら,tl 期O 出 資 金 残 高 民 は400 万 円 とな る。 か れは , 同 様 の こ と 力'^ to期 に も 行 わ れ ,t2 期 の 出 資 金 残 高 は ゼl==1と な る。 さ て , 期 始u に お け る 経 済 利 潤 耳 。0 (― -M)−i^o) は 耳.o =l,131 万 円 −1,000 万 円 =131 万 円 で, 株 主 はZ 。期 に , キ ャ ッシ ュ・ フ ロ ―・ プ ロ フ ィ ッ トを 受 取 った こ と に な る。 か れ が, to期 に 株式 を 売 却 す れ ば131 万 円 の キ 十ピ ク ル ・ ゲ イ ソを うる こ とが で き るか ら であ る。 もし ,Ci 瓦 凡 が予 想 通 り であ るな らば , 表1 の よ うに,.-fr.li Pr.2と も ゼ ロ と な る。 ( 表1) 孔=10 % Z ①? ②R ③ 分 ④-D ⑥? 。 0 1 2 ⑨1,131 ⑥ 524 0 -720 576 -⑥113 -⑥607 524 ⑩131 ① 0 0 (注)(3) 1,131 (Po) ゜ご7ご十ノぎレ , ⑤131 (八.o)=1,131 (Po)−l,OOO(£o) c
524 (Pi)=ia31 (Po)−607 (^o) ⑥113 (彦1)=1,131 (Po)×0.1 (ん。) ⑥607(玖)=720(i?i)−113(到) ①O(Pr。i)=113(*i)−1,131 (八)×0.1 ん。 この計算表 に よ っ七, 株主 は 期始に131 方 円 の経済 利 潤, すな わち純現在 価値 ・キ ャピ タル・ ゲイソを 受 取 り, 以後 の キ・ヤッシ ュ・ブ ロ ―が期待通 り であ るた め, 第! 期 ・第2 期 とも 八 =o 会 社 の業 績は , 株主 に対し 正常利益 を 補 償す る程度を あげ た ことを 示し てい る。 これに対し ,会 社 利益 の場 合 は どのよ うな 経過を た どる であ ろ うか。 い ま 前記 損益 計算書 の数字に もとづ い て, この経過を 数表 に まとめ 乙 と,表2 (r> とお りであ る。 犬 残 余利潤 八 は, 経済 利潤 八 と比 較し て, 期間 へ の配 分額 力洽 く異 な って い る ことが こ の例示 で示 され る。 残余利 潤は過 去 の投 資 の結果を基 礎とし て 利益 が測定 さ れてあ り,将来 のキ 十ッシ3. 'フ ロ ―が反 映 され てい ない のに
i4 (表2) Z A =E π D 弓・ g 0 1 2 1,000 400 0 -120 176 -600 400 0 ⑨20 (B 136 -⑥12 % ④44 %
(注)@ 20 (Fr.i)=120 (πi)−1,000 Uo)×0.1 (/b.) ⑤136(Pr.2)=176(π)-400(Ai)×0.1 (た。) ⑥12%(Ki)=120(n:i)/l,000(Eo) (3)
44% (/ca)=176 (,i)/400 (£i)
対し,経済利潤は過去の投資支出と将来のキャッシ ュ・フローから測定され た値であるから,当然の食い違いが生ずる。 │。 ・ 意思決定基準からすれば,経済利潤に もとづくものであ り,それに対応す る業績評価の尺度も同じことがいえる。モれならば,会社利益 πはこの経済 利 潤と無関係な のだろ うか。将来 のキャッシ ュ・フ ロ―の変化がないとすれ ば 両者の間に重要な関連があることが, Bordenhorn に よって例示さ れ てい る。すなわち残余利潤Pr.l, Pr.2の現在価値は, 経済利潤Pr.O と一致す るこ とが証 明される。前例を用い ると, j 一n一可 平瓦ア十耳平瓦Y.l χ Pr.2U の式 がえ られ る。 前例をあ ては め れば, + -l.V136 …… ………(11) と な り, こ の例解 でも, 残余 利潤 の現在 価値が131 万円 とな り> 八.O 131 万 円 と一 致す るこ とが分 る。 こ の一 致は, (11)式を 変 形す るこ とに よって証 明され る。い ま, 八.O は次 式に よ って求 められた。 八 。 ― 八 −TT 。― -^1 +帽 タレ ーA (12) また, (11) 式 の 八.l,弓.2 は 八.l=πl−^o 恥=瓦 一仙 −Ao 恥 -F*r.2 ― 7^2 ― Ai恥 Rz −Dz −Å高 十 こ れを(n) 式に あ てはめ, 両辺 が等しけ れば よい こ とに な る. す なわち,
会計 利益 と キャッシ ュ・フ=・ ―・ プ ロフ ィットを め ぐる若 干 の問題 15
尺i R2 公 一R^  ̄D^  ̄A^ゐ’ R.  ̄£o ̄A.恥 で「ニ回汀 十百 二隨 罪 − °= (1 十島) + {1十島)2 両辺の 尺^とR2 は消去することができるから,
−A 十Aoゐ £,十Ai を・ … ……… …… …… …… …・・………(13)A ― ^-^l 十島) 十(1 十島)2 し となれば よい。(13) 式 を整理 す ると, A 。(1十島)2≡(i>x十Åλ)(l 十島)十j])2十Å高 …… ……… ……・ ・…(14) Åi=L)2,λo=フ:)1十五, であ るから, 両辺は 相等し い 。 こ の(14)式 から,両 辺が等し い こと の理 由は 明らか であ る。左辺 のAo(l 十島)2は ,期 始to に投資 された ふ が, 第2 年 末 ら にお い て, 資 本 コス トに よ る複利利殖 せ る場 合を 仮定し た 複利 合計 であ る。 右辺 の第1 項は ,£1におい て, 株 主が 出資金額 の 返済を うけ た 償却 費 相当分)^( 自己資本の償還分^ £l)と正常 利 益 人)恥 の合 計 につ い て,ち まで の1 年 間 の元利 合 計を 示す 。 また, 第2 項(7)2十A 恥)は,i2 期末に 償還 を うけ た £. と正常 利益A^ 恥 の合計 であ り, 両者を 合算 す れ ば,*2 期末 の元利 合 計 であ るか ら, (14)式 が成 立す る こ ととな る11)。 との よ うに ,特定 条件 のも とであ っ ても, 財 務諸表 か らえ られた残 余利 潤 の現在価 値は, キ ャッシ ュ・フ ロ ーのPr.O と一 致す る。 こ の よ うな 事 実 と 前提条件を 理 解し てお くこ とは ,財 務諸表 上 の利 益あ るい は 自己 資 本利 益率 を意思 決定 基 準, もし くは,業 績 評 価の尺度 とし て応 用し ,解 釈す るさいに 肝要 であ ろ う。 り6) 経 済利 潤におけ る時 価ベ ースと簿価 ベ ース キ ャッシ ュ・フp ー分 析に おい て, われわ れは, (6)にお い て, 時 価ベー ス に もとづ く経済利 潤 八 を想定し てきた。 そこ では, 特定 条件 の もとに, 期 始におい て,八.O=八 −£Oが実 現し , 以後 はNCF の期待 値に変化 が ない と すれば, 八 。=八 。2=0 であ るこ とが分 った。 こ のシ ス テ ムでは, 以後 の各期 間におい て, 株主 は正 常利益を 受 取 るに す ぎない 。 一 方におい て, キ ャッシ ュ・フl==・一分 析 のもとに, 簿 価ベ ー スに もとづい V y て, 税引利 益 ち 経済 償却 費 フ:), 経済利 潤 耳 の概念 が導 かれ る。 これら の 値は,時 価 ベ ースに もとづ く, 分,A 耳 と異な る。 また ,各期 へ の正常利 益, す なわち 資本 の費用 の割当は , これら の値 との関 連に とづいた 簿価 ふ または 元 に もとづ い て測定 きれ る。 経済 償却 費j は ,時 価 のそれ と異な り,
16 もはや 利子 費が含 まれ て い な い 。一方 ,公表 財務諸表 と異な り, キ ャッシ ュ・フa ―に おけ る簿 価に も とづ く自己 資本 利益率 応は ,そ の キ ャ ッシ ュ・ フ ロ ―の期待値全 体 から 割出さ れ る利回 りであ るから, そ の期 待値 が変 化し ない か ぎり一 定 であ る。 また ≫。。 こ の 斟t 将来 のキ ャッシ ュ・フp ―と関 連づ け ら れる のであ る か ら, 公表 財務 諸表に もとづ くTT, ), Pr, A, L, E, K と も異 なった値を とる。 これ らの経過を ,前 例に もとづ い て まとめた も のが表3 であ る。 こ のヶ− スの経 済利潤 瓦 の現 在 価値 も, 残 余利 潤 耳 の ときと同 様に , 期 始u に お い ては,八.O=八 −EO と一 致す る。 131 = (表3) 100 1.1 4.8 一一l.p Z y ∼A=召 R 老 乃
耳
/ぐ 0 1 2 1,000 ⑥480 0 -720 576 一 旬200 96 一 c 520 480 0 ④100 48 0 ⑥20% 20 % (注)R 1,000=で720 十576 こおいて,方程式を満足する値は,≪=20% ⑤200 (#i)こ1,000 (Å,)X0.2(≪r) c 520(Di)=720(i?i)−200 (≫)④100 (Fr。i) =200 (そi)−1,000 (Ao)>く10%(た。) (e) 480 (λi)=1,000 ノo)−520 (玖) 期 間業 績 評 価 とし て ,Pr に よ る べ き か, 瓦 が 適 当 な の か, 背 後 に あ る両 者 のシ ステ ムの 検 討 を 必 要 と す る の で, こ れ 自 体 研 究 課 題 と 思 わ れ るが , 小 稿 の範 囲 で は な い の で , 将 来 の 研 究 課 題 とし た い 。 い ず れに せ よ, 八 の場 合 と 同 様 ,Pr が 大 で あ れば , 八 −Ec, が 高 い の で あ るか ら , 大 であ るほ ど , 会 社 に と っ て も 株 主 に と っ て も 有 利 で あ る こ と は , 公 表 財 務 諸 表 の場 合 と 同 様 で あ る。 ・。 [3 ] ま とこ め ト ド イツ経営 経済 学にお い ては, 選択 原理 とし て,利潤 肯 定論 と否定論 に 分 れ る。 そ れに 加え て, 私 経済 の営利 原理 とし て, 利潤か 収益 性か の選択 原理 も大 き な課 題 とし て,多 くの人 々から さ まざ まな 選択 が なさ れてい る。また,
会計利益とキャヅシュ・フp ―・プ9 フィットをめぐる若干の問題 17 利 潤 を 選 択 原 理 とし て 取 上 げ るとし て も, そ れ は 企業 自体 の 利 潤概 念 を 認 識: 対 象 と す る の か , 企 業 家 の利 潤 概 念 を 認 識 対 象 と す る の か , 議 論 の分 れ る と ころ で あ った 。 また , 同じ く利 潤 を 想 定 す るに し て 乱 経 済 的 利 潤 概 念 な の か, 会 計 利 益 を 想 定し た も の か( 技術論では会 計利 益を想定し たものとみられる) , また 経 済 的 利 潤 概 念 とは い か な る概 念 な のか , 会 計 利 益 の 経 済 的 意味 は い か な る も のか な ど不 明な ま ま で あ る。 つ ◇ 十 こ れ に 対 し , 企 業 の経 済 学 に お い て は) 般 に , 企 業 は 利 潤 最 大化 に よ り 行 動 す る と仮 定 し た 分 析 が 用 い ら れ る 。 こ れ は 同 時 に , 企 業 家 の 所 得 最 大 化 原 理 で もあ る とい う立 場 を と る。 そ れ な ら ば , そ の 経 済 的 利 潤 が な ぜ 株 主 の 所 得 最 大化 と 連 結す る のか , そ れ は,しむ し ろ , 経 営 財 務論 で 取 扱 う, 株 価 最 大化 とか , 経 済 的 富 の 最 大 化 の 方 が 明 白 に 説 明 さ れ て い る 事 項 であ る 。 そ こ で, こ こ こ で 扱 わ れ る長 期 動 学 理 論 とし て の 経 済 的 富 と短 期 の利 潤 と の関 連 を とら え る こ と に よ り, 往 来 ル ー ズに 扱 わ れ が ち で あ った 利 潤 概 念 が 明白 な も の とな り う る。 Bordenhorn の論 文 は そ の 一 つ の 研 究 と 思 わ れ る。 ◇ こ こ で の 結 論 は , 伝 統 的 企 業 経 済 論 に お け る限 界 収 入 = 限 界 費 用 は, 正 常 利 益 控 除 後 の利 潤 八 を 最 大化 す る こ とを 意 味 す る 。また ,経 済 的 富 最 大 化 の
条 件 も 結 局 ,限 界 現 金 収 入marginal cash receipt と 限 界 現 金 支 出marginalcash payment が 相 等し い とい う条 件 で み た さ れ , 限 界収 入 =限 界 費 用 の原 理 と本 質 的 に 異 な る こ とが ない 。 同 時 に , そ れ は , 企 業p 価 値 最 大 化 と, 企 業 家 の所 得 最 大 化 と, 原 則 的 に は 一 致 す る こ とが 明 ら か に さ れ た 。 また , 利 潤 最 大 化 原 理 で 用 い ら れ る利 潤 分 の最 大 化 で は な く , 瓦, り 最 大 化 の政 策を とる べ き こ とを 意 味 す る。 し た が って , 経 営 者 が あ ら ゆ る政 策 決 定 に さ い し , 理 論 的 に はPr.O を , また , 会 計 附報 に も と づ く とし て も ,7t づで は な く 八 を 決 定 基 準 に 用 い る 方 が, よ り理 論 的 に 正し い 解 が え ら れ る。TT は 八 の 手 段 とし て と らえ る べ き も の と考 え ら れ る。 また , 会 計 的 測定 か ら 導 か れ る7t や 耳 は , そ れ な りに 経 済 的 意義 を もつ こ と が 明 ら\か に さ れた 。 経 済 的 に , 利 子 率 と タ イ ミン グを 正 し く評 価 す る こ と に よ っ て , 財 務 分 析 上 重 要 な 理 論 的 基 礎 づけ も な さ れ る。 犬 ト ニ
な お, こ の よ うな 事 実 か ら, Bordenhorn は 経 済 償却 費economic deprecia-tion を 論 ず る こ と は , 余 力 意味 が な い と も い う。 ま た, 財 務 論 の 文 献 に 表 わ れ る, 利 潤 と収 益 性 問 題 は, 土二 律反 背 では な く, 収 益 性 は , 利 潤 の下 位 指
18 ・。 ・ ・ 標す なわち 戦 略変数 とし て モデ ル化さ れ てい る。 単純な(10) 式 の モ デ ル で も, 利 潤 と収 益性 との関 連を 示し てい る。 犬 この株主 の利 益最大 化は誤 解さ れや すい。 それ は, 労働 者の賃 金 と株主 の 利 益 との相克関 係を 示し た もの では ない と考 えら れ る。賃 金 も 株価 も市場 で 決定さ れ るとい うこ とを 前 提 とし た もの であ り, た とえ不 完全 市場 が 支配的 な 現在の市場に おい て, た とえ ば, 経営 者団体 対総 労働に よる賃 金決 定は 明 らかに, 不完全 市場にお け る 価格 決 定 の1 例 であ るが, 基 礎的に は, 市場 で 成 立す るとい う前提 のも とに , 利 潤 とか 株価最 大化条件 が 理論的 に問 われて い るも のと思わ れ る。 さら に, 利 潤 と国民 経済 との関連 は, よ り一 層難解 で はあ る。 株主 の利 益 最大化 す なわち, 八.0>0 のときは, モ の企業 な り,業 種に資 本(源)が参 入し, Pr.0<0 の ときは資 本(源)が退 出 す る。 また, 氏O =O とい う均 衡状 態の とき は, 株主 は正常 利益( 純粋利子十a) を受 取 るにす ぎ ない。十これは 原則的 には マ クl==・の観点 か ら みれば ,資 源利用に つい て の社 会 経 済的 な指 令が利 潤 であ る と解さ れ る。 それは,い つ, どの位 の規模で資 源 を 利用し て よい かを, 資 本 市場 を とおし て 指令が与 えら れ るとい う社会的機 能を もつ も のと解 さ れ る。 そ の 意味 で,国民 経済 的生 産性 と私経済 の利 潤追 求 は原 則的に一 致す るとい うのが 経済学 の取扱い と思 われ,基 本的 には, こ の考え に組 みし たい12)。し かし , これは 小稿 の課題では な く, 筆 者のい だい てい る問題 意識 で もあ る。 (1982 年10月8 日) 1) ド イツ経営 経済学 の史的発展過程につい て,つ ぎの著書に負 うて問題 をとり ま とめた。 中村常次郎著『 ドイツ経営経済学』東京大学出版会,昭和57年10 月。 犬小 島三郎著『戦後ド イツ経営 経済学 の展開』慶応通信,昭和43年9 月。2 ) 池田一新訳『 ハイソ リッヒ ・フ ォン ・シ ュタッケルペル グ 理論経 済 学 の 基 礎』文雅堂,昭和32年,99 ∼102 頁。3 ) 山川 ・大和瀬訳『E ・ シ ュナイダー・経済理論入門 I 』ダイヤモン ド社,昭 \和39 年, 129頁。 ニレ4 ) ド イツの経営経済学におい て最 も重要な論争の一つに「 企業」と「 経営」 の概 念上 の区別がある。 論者口 よって多 様な主張があるが,一つ の有力な概念上 のと りまとめとし て,「企業」は法律的 単位・財務単 位・利 潤 または収益性 追 求 の 単 位 とみなされ,「経営」は技術的・物理的(生産)の単位であ り, 経済性追求 の単 位であ,るとされる。こ れら の問題 が広 範に 根深 く討 朧され てい る過程が,前掲書
会 計利 益と キ ャッシ 。。・フ= ―・プFtフ ■i ットを め ぐる若干 の問題 19 で 明ら か に さ れ て い る 。 こ の た め , 企 業 の 概 念 で とら え た 場 合 に はレ 利 潤 と か 収 益 性 の 場 とし て の 認 識 の 対 象 とし て 経 営 経 済 学 が 成 立 し , 一 方 パ 経 営 の 場 とし て 認 識 す る 場 合 に は 経 済 性 追 求 の 場 と す る 経 営 経 済 学 が 成 立 す る と い う。 こ の よ うな 概 念 上 の 区 分 に 対 し , 企 業 経 済 学 は , 利 潤 の 背 後 に 生 産 が あ る よ う に 体 係 づ け ら れ て い る 。 そ れ は 関 数 形 態 で は あ る が , 利 潤 関 数 の 背 後 に 生 産 関 数 が 存 在し て い る 。 そ こ で は 。 技 術 一 定 , と い う 条 件 下 で 物 的 生 産 量 と 要 素 投 入 量 の 変 数 関 係 と し て 結 合 し て い る の で あ る か ら , 利 潤 と 生 産 は 結 合し て い る よ う に 取 扱 わ れ て い る。 そ の 意 味 で , 財 務 と 生 産 を 別 個 に 区 別 す る こ と は , 営 利 企 業 の 経 営 に つ い て の 説 明 力 を 減 殺 す る の で は な い か と 思 わ れ る 。 企 業 経 済 理 論 の み な ら ず , 財 務 論 に お い て も , 生 産 関 数 を 内 包 せ る , 株 価 ・利 潤 ・ 収 益 性 ・ 生 産 等 の 関 数 を 統 合 せ る モ デ ル が 次 第 に 増 加 し つ つ あ る。 た と え ば, Viekers, Gordon, Marris ,Erikson, そ の 他 多 く の モ デ ル で 示 さ れ て い る 。 こ の 意 味 で 両 者 の 間 に は 著 し い 対 照 を な し て い る と 思 わ れ る 。 も っ と も ,E ・ グ ー テン ベ ル クは 企 業 と 経 営 に つ い て の 概 念 上 の 区 分 に つ い て 積 極 的 主 張 は み ら れ な く な っ た とい う 。 中 村 著 , 前 掲 書 ,448, 594頁 。
小 島 著 , 前 掲 書, 384, 423, 471頁 。 Erikson Goran, Growth and Finance, 1978,
pp.25 ∼31, 。・ 1 Scapens, R 八W., A Neoclassical Measure of Profit, The Accounting Re- view, April pp.
448∼469 .5
) 経 営 学 に お い て , 経 営 理 念management philosophy, 利 害 関 係 者 理 論Stake holder's theory, 経 済 理 論economic theory が そ れ ぞ れ 対 決し た 形 態 で 討 論 の 俎 上 に の せ ら れ る 。 こ れ ら の 理 論 は 認 識 対 象 の 差 に も と づ く も の で あ り, 経 済 理 論 が 利 潤 最 大 化 の 問 題 を 取 扱 う と い う こ とは , 賃 金0 抑 制 を 意 味 す る も の で は な く , 賃 金 は 市 場 で 決 定 さ れ る とい う 前 提 の も と に , 利 潤 問 題 が 取 上 げ ら れ て い る と 思 わ れ る 。 も と も と, 経 済 理 論 の み な ら ず 科 学 は 人 間 に と っ て の 認 識 の 道 具 で あ る か ら , 経 営 経 済 理 論 も 経 営 者 の 経 済 的 意 思 決 定0 道 具 で あ り , 経 営 者 が 政 策 決 定 を 下 す さ い に は , 倫 理 的 要 因 を 組 み こ む こ と は 当 然 と 思 わ れ る 。6 ) 拙 稿 「 経 済 的 富 の 最 大 化 と 経 済 利 潤 最 大 化 」 東 洋 大 経 営 論 集 , 第14, 15 号 , 1980 年3 月 。7
)Bordenhorn a, Cach-Flow Concept of Profit, The Jornal of Finanee, Vol. χL χ. No. 1. (March, 1964 )pp.16 ∼31.8 )ibid.. p. 17∼18. 上9 ) こ の 株 価 モ デ ル の 教 示 に よ り , 株 主 は キ ャ ピ タ ル ・ ゲ イン と 配 当 金 の両 者 を 受 取 る こ と と な る 。 もし , 株 主 が 株 価 を 売 却 し な け れば , 現 在 の 配 当 金 と 成 長 せ る 配 当 金 の 両 者 を 永 久 に 受 取 る こ と を モ デ ル は 示 し て い る 。 こ の モ デ ルを 現 実 に あ て は め る な ら ば 配 当 金 の 形 態 が 配 当 金 の 絶 対 額 の 成 長 の み な ら ず , 株 式 の 分 割 な ど で , 表 面 上 配 当 額 が 減 額 し た とし て も , 株 式 数 の 増 加( た と え ば , 無 償 交 付 )に よ り, そ れ に 応 じ た 実 質 的 配 当 の 増 額 を 受 取 る こ とに な る 。 実 質 的 に 株 主 が 配 当
毎 20 ’・ の増 加を受取る場合は,それらを含めた配当利回 りを受取 ることとな る。現実は, この配当金と キャピ タル・タ イソCD両 方から,株主 の受取 る実質的利 回 りが決定 される。し た がって, 1 株当 りの配当 率の多 寡に よって, 経営現 象 の結論を導 く ことには問題 があるのではないか。昭和40∼54 年 のダウ平均 の成長 率は(これit., 日本株式会社[上場会社]全体とし ての, 株価の成長率g に当 る。), 年12.5 %で あ り,かつ,株価 一配当利回 りは,年1.4 ∼4.3%で,単純平均 で2.46% であった。 し たがっ て,株主 が受取 る利回 りは,約年15 顛とい うことにな る。 (ただし ,取 引手数料 ・税金問題を 除 く。)これに対し , 同年間 の賃金 の上昇率は, 年U.1 叫 であ り,両者はほぼ等しい。 なお,昭和35∼54 年では,両 者ともほぼ年13% の上 昇 率であ った。 経済企画庁調査 局編『経 済要覧』昭和56年版, 204, 252頁。 日経『会社情報J '82- Ⅲ夏 号, 999∼1001 頁。10 ) この会計上 におけ る自己 資本利 子控除後の利潤は,残余所得residual income, 残余利潤residual profit と名づけら れる。 また, 残余利潤と収益性 との関連を 拙著におい て提案し ておいた。 Shwayder,
K. ,A Proposed Modification to Residual Income-Interest ゝ Adjusted Income, The Accounting Review April 1970, p. 299.
拙著『体系 経営分 析論』白桃書房,昭和41年,47 ∼49, 57∼59 頁。11 ) なお, Bordenhorn は,負 債 £ を含めた場合の一般解に つい ての恒等式が成立 することの証 明を行ってい る。 Bordenhorn, D., op. cit., pp.26 ∼27.12 )E. Schmalenbach が共同経 済的経済性概念から私経済 の利益追求を評価す る とい う立場をと り,後にこの概念は共 同経済的生産性へと転化された とい う。 こ ごの概念は国民 経済的生産性に該当し, 労働者1 人 当 りの実質GNP 等に当るもひ と思われる。 車 村著,前掲書, 126, 251, 612∼617 頁。 小島著,前 掲書, 444頁。