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<論文>コンツェルンの経営的性格 利用統計を見る

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著者

柿崎 洋一

著者別名

Kakizaki Youichi

雑誌名

経営論集

43

ページ

19-36

発行年

1996-03-15

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00005659/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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J ン ツ ェ ル ソ の 経 営 的 性 格 柿 崎 洋 一 はじ めに1. コ ンツ ェルン の意義1 ) 基 本的 性格2 ) 経 営的 視点2. コンツ ェルン と コンツ ェルン企業3. コンツ ェルン経 営の 性格4. 持株 会 社の経営 的役 割 お わ りに コン ツェルン の経営的 性格19 は じ め に 企業 は 単 独で 企業 活 動を 展開 する だけ で な く、 他 の企業 と の間 に 意図 的 で支 配 的 な結 びつ きを 形 成 し て活 動す る こ とが あ る。 も と よ り、 企 業 間の 意図的 で 支配 的 な 結合 関 係 のな い 企業 も 存 在す る ので あ る。 し た が って 、 こ の ような 企業 間 の 結合 関 係は、 企業 の不可 欠 な 本質 的 特 質 では ない の で あ る。 企業 間 の 意図 的 で支 配 的 な関 係ぱ 、 企業 間 関 係の一つ であ る。 企業 間に は支 配 的 な 関 係以 外に企 業 の経営 的 生産 過 程に も とづ く機能 的 な取 引 関 係、 金 融的 な 関 係さ らに 協 調的 な 関 係も 見ら れる の であ る。 し かし 、企 業 間 の意図 的 で支 配的 な 関 係は、 企業 発 展 の一つ の基 本的 な 方 向 であ り、 また 企 業 の基本 構造を 変 え う るこ ともあ る の であ る。 そ れゆ えに 、企 業 間 の 意図的 で 支 配 的 な関 係は 、 企 業 の発展を と りあげ る場 合に は 是非 とも 検討 され なけ れば な らな い 課題 とい え る のであ る。 企 業 間 の意図 的 で 支 配的 な 関係形 態 は 、 コン ツ ェルン(Konzern ) に おい て典 型 的に 具 現 化 さ れ る ので ある。 また 、 コ ン ツ ェルン は、 企業 結合 の形 態 の うち 最 も 包括 的 な性 格を も ち、 組織 化 の能 力 が高い こ と から 企業 発展 の有力 な形 態 と 理解 され てい る ので あ る。 し かし 、経 営学 の領 域で は、 こ れ まで コン ツ ェル ン の 計算 制度 に 関す る 研究 が中 心 であ った とい え る ので あ る。 そ こで、 こ こで は コ ン ツェル ンを 企 業 に おけ る経 営(Management ) の主 体 的 な立 場 から とりあ げ て 、 コン ツ ェル ンに おけ る経営 の基 本 的 な性 格に つい て検 討す るこ とに し たい のであ る。

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1. コ ン ツ ェ ル ン の 意 義1 )基 本 的性 格 コン ツ ェル ン の概 念 は、ド イ ツの株 式法(Aktiengesetz,1965 )に よれ ば、法 律 上つ ぎ の よ うに規 定 され てい る1)。 第17条 従 属的 お よび 支 配的 企業 (1) 法 律上 独 立 の企業 で あっ て、 こ れに対 し 他 の企業 ()支配的 企 業) が 直 接 また ぱ間 接に支 配 的影 響 を 行 使す る こ と がで きる も のは、 従 属的企 業 で あ る。 (2)多 数 参加 を受 け る企業 で あ るこ とか ら、 そ の企業 が 自已に 対 し多 数 参 加を す る企 業に 従 属 し てい ると推 定 さ れ る。 政 府 草案 第16 号第1 項 お よび第2 項:1937 年 株式 法 第15条 第2 項 第18条 コン ツ ェル ンお よび コン ツ ェル ン企業 (1) 一 個 の支 配 的企 業 と一 個 ま たは 数個 の従 属的 企 業 と か支 配的 企業 の 統一 的指 揮 の下に 統 括 さ れて い る と きは 、 そ れら の企業 は ー の コン ツ ェル ンを成 し 、 そ の 各企 業 は コソ ツェル ソ企業 であ る。数 個 の企 業 の間 に支 配契 約(第291 条)が存 在 し または そ の うち の一 の企業 が他 の企 業 の 中に 編 入 さ れてい る と きは (第319条 )、そ れら の企 業 ぱ 統一 的指 揮 の下 に統 括 さ れ た もの と認 め ら れ なけ れば なら ない 。 従 属的 企業 で あ る こ とか ら、 そ の企業 は 支配 的 企業 と一 の コン ツ ェル ンを成 す る もの と推 定 さ れる。 (2) 一 の 企業 が 他 の企 業 に 従属的 で あ るこ とな しに 、 法 律上 独 立 の数個 の企 業 が統一 的 指揮 の下 に 統括 さ れ てい ると きは、 そ れ ら あまた 一 の コン ツ ェル ンを 成 し 、そ の各企業 は コン ツ ェル ン企 業 で あ る。 政 府草 案 第17条 ;1937年 株式 法 第15条 第i 項 (出所)慶応義塾大学商法研究会訳『西独株式法』慶応通信株式会社、1969年3 月、23、25頁。 ドイ ツ の株 式 法に おけ る コ ンツ ェ ルン の概 念規 定 の基 本的 な 要 素は 、(D 二つ 以 上 の 法 律 的 に 独 立 し た 企 業 の 統 括 (Zusammenfassung )、(2 )コ ン ツ ェ ル ン 企 業 の 統 一 的 指 揮 (einheitlicheLeitung) で あ る2)。 コ ンツ ェ ル ンでは 、 法律 上 の独立 性 を 有す る企 業 が 存 在し て い ること が 前提 と な って い る ので あ る。 そ し て、 法 律 上の 独立 性を 有 す る企業 が 統一 的 指 揮に よっ て統 括 さ れてい る 場 合に 、 コ ン ツ ェル ン と よば れる ので あ る。 コン ツェ ル ンを 構成 す る 各企 業 は、 コン ツ ェルン 企業 (Konzernunternehmen ) と よば れ る の で あ る。 な お、 経 済 生活 上 にお い て 一 般的に みら れ る「支 配 企業 と、一 個 ま たぱ 数 個 の従 属企 業 とが、 支 配的 企業 の統 一 的指 揮 の 下に 統 括 され てい る」 場 合に は 、上 下 コン ツ ェルン

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(Unterordnungsko-コンツ ェル ンの経営 的性格21 nzern) と よば れ てい るの であ る。 ま た、「一つ の企業 が他 の企業 に 従 属的 で あ る こと な しに 、 法 律 上 独 立 の数 個 の企業 が統 一 的指揮 の 下に 統 括 され てい る」 場 合に は、 対 等 コ ン ツ ェ ル ンCGleicho-rdnungskonzern ) と よば れてい る ので あ る。 なお 、 ここ では 、こ とわ りのな い 限 り、 上下 コン ツェ ル ン を と りあげ る こ とに す る。 コン ツ ェル ン企業 に 対 す る統一 的 指揮 は、 上下 コツ ッ エル ソ の場 合、 原 則 とし て 支 配的 な影 響 が 事 実 上、 発揮 さ れ る こと を 前提 とし てい るので あ る。 し たが って 、 コン ツェ ルン は 、 単な る 従属 関 係 と は区 別 され る こ とに な るので あ る。 支 配権 の行 使 は、 経 済的 な 統一 体 の形 成 を 意 図す る もの で あ り、さ らに 統 一的 な 指 揮 が行わ れ る ことに よっ て具 現化 さ れ るこ とに な る ので あ る。 統一 的 指揮 と いう こと は 、「個 々 の コン ツ ェルン 企業 の業 務 執 行全 体に 対 し、 あ る い は そ れ の重 要 な 部分 に対 し て決 定 的 な 影響 が計 画的 に 行使 さ れる 場合 に 、 存 在 す る」3)こ と を 意 味 す る の で あ る。 こ の場 合に 統一 的 指 揮 が他企 業 へ の資本 参 加 (Kapitalbeteiligung) に も とづ く もの か、契 約、 さ ら に金 融 機関 な ど の貸 付 信用な どに もとづ くも のか は 問わ ない のであ る。 し かし 、 株式 法 では 、 統 一的指 揮 の 程度 や方 式に つ い て規 定を 設け てtヽない ので あ る。 政府 草 案 理 由 書は 、「統一 的 指 揮に つ いて 定立 さ れ るべ き要 求 の立 法的 な 確定 につ い て 、 経 済 が コ ン ツ ェ ル ン の 指揮 につ い て作 り出 し た形式 の多 様 な こ とに 鑑 みて、 可能 な こ と では ない よ うに 思 われ る」4)と 説明 して い る。 株式 法 に おけ る コン ツェル ン の法 律的 な 概念 規定 は 、 コ ンツ ェ ル ンの 経 済的、 実 際 上 の多 様 性に 対 し て形 式 的 な性格 を もつ もの であ る とい え るので あ る。 コン ツ ェルン の経 済的 な 性格は 、 財務 的 方法 、 と くに資 本 参加 に よる企業 の結 合 に も とづい て 形 成 さ れ る経 済組 織 であ る こ とに求 め ら れてい る。 ここ で の資 本参 加 は、 支 配を 目的 と して 他 の企業 の 持 分 とくに 株 式を 継 続 的 に保有 す る こと であ る5)。 さ らに 、資 本 参加 に もと づく支 配 は、し 般的 無 内容 で あ り、 特 定 の 目的 や 領域 に 限 定 されなト 弾 力 的 で発 展的 な 性格 を も つ もので あ る。 た とえ ば、 金 融的 (資 本 的)、 生産 的 、 商業 的 な 目的 な ど、 さ らに さ まざ ま な事 業 領 域 (同業 種、 異業 種な ど) で も資 本 参加 に よる支 配 が利 用 さ れ うる ので あ る。 し た が って 、 コ ン ツ ェルンは 、弾 力 的 で発 展的 な 経 済組 織 とし て の性 格を 備 え て い るとい え る の で ある。 そ し て、 財 務 的方 法 、 と くに 資 本 参加 に よる企業 の結合 は 同時 に コン ツェ ルン 企業 に対 す る統一 的 指揮 を 可能 に す る経 済 的 な基盤 で もあ る。 また、 契 約に よる コン ツ ェル ン の形 成 は、 多 く の場 合 「す でに持 分所 有に もと づ いて存 在 して い る事 実上 の力を 適 法化 す る もの で ある 」6)と され る ので あ る。 し た が って 、 コ ンツ ェ ルン の経 済的 な特 質 は、 財 務的 方 法、 と くに 資 本参 加 に よる企業 結 合に も とづ く経 済組 織 とい うこ とに な る ので あ る。

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2 ) 経営 的 視点 コン ツ ェル ンは 、 外部 的 圧力 に よる編成 ( 解体 )を 別 に す れば、 企業 の経 営 的 で主 体的 な発 展活 動に よって 形成 さ れ る もの で あ る。 し た がっ て、 コン ツェ ル ンの経 営 的 研究 は 、 支配 的 企業 だけ で な く従 属企 業を も含 め た結 合 主体 で あ る企業 自 体 の性格 を と りあげ 、 経 営主 体 の立場 か ら 検討す る こ とに な る ので あ る。 企業 は 市 場競 争 のな か で利 潤獲 得 を 目指 して 、 継続的 な 事 業を 営 ん でい る。 また 、企 業 は、利 潤 獲 得 のた めに 事 業 規 模、 事業 の対象 領 域お よび対 象地 域 の拡 大 な どの 量的 お よ び質 的 な企 業 の発展 活 動 を展 開 す る ので あ る。 企 業 の発 展 活動 に は、 内部資 源の蓄 積 と開 発に よる 内部 発展 と外部 資 源 の利 用 に よる外 部 発展 が あ る≒ そし て 、財 務的 方 法 、と くに 他企 業 へ の資 本参 加に よ る企業 結 合に もとづ い て形 成 さ れる コ ンツ ェル ンは 、企 業 発 展 の視 点 から 、外 部資 源 の利 用に よる 企業 の 外 部発 展 の一 形 態 とし て位置づ け ら れ るの であ る。 た だし 、 コン ツェ ル ンは、 企 業 の分 割(Spaltung,Ausgliederung ) お よび 新 たに 別 会社 を設 立す る こと(dieGrijndungvonTochtergesellschaft )に よって も 形成 さ れ るの であ る8)。た とえ ば、企業 の 個別 事業 単 位を 別 会 社 とし て 分離 独立 さ せ るこ と、 また新 規事業 を 別 会 社で 行 うことに よって も コンツ ェル ンを 形成 す る こ とが で きる ので あ る。 企 業 分割 お よび 別 会社 の設立 に よる コソ ツ ェルソ め 形成 は、 内部 資 源の 蓄 積 と開 発に よる内 部発 展 の一 形態 と し て位 置づ け るこ と がで きる ので あ る。 経 済組 織 とし て の コン ツ ェル ン の形成 は 、 他企業 への資 本 参 加 とと もに 企業 分割 に よっ て も形成 さ れ る。 し た がっ て、 経 営 的な 視点 か ら は、 企業 の主 体的 な活 動 とし て コ ン ツ ェル ンを検 討 す ると、 企 業 活動 の外 部化(Externalisierung)と 他企 業活 動 の 内部 化(Internalisierung)とい うコン ツ ェル ン形 成 の特 質 が 明ら かに な る ので あ る。 企 業 活動 の外 部化 は 企業 の内部 活 動を 合 理化 す る もので あ り、 他 企業 を 内部化 す る ことは 企業 活 動 の対 外的 諸 条 件を 整 備 す るも ので あ り コン ツ ェルン 形成 の 方 向 が異 な る もの であ る とい え るので あ る。 し かし 、 い ず れの 方 向に も とづ くに せ よ、 形成 さ れた コン ツ ェル ン は、 法律 的 に独 立し た企 業 を 前提 とし て統一 的 な 指 揮 の もとに 統括 さ れ るとい う特 質を もつ ので あ る。 さ らに 、形 成 さ れた コ ン ツェル ン は、 基 本的 に 支 配を 目的 として 他 企業 へ資 本 参 加す る こ とに よって 特質 づけ ら れ るこ とに な る ので あ る。 企 業 発展 の 一 形態 とし て形 成 され る コン ツ ェル ンは 、個 別 企業 の経 営的 で主 体的 な 立場 から 、企 業 の対 外 関 係活 動を 含 んでい るとい え る ので あ る。 とくに 、 コン ツ ェル ンは 、 法律 的 な独 立性 を も つ 企業 を 前提 とし て形 成 さ れ るも ので あ り、 企業 間 の関 係活 動 と い う性 格を もつ も ので あ る。 し かし 、 コン ツ ェル ンは 、支 配を 目的 とし て 他企業 の持 分、 とくに 株 式を 保 有 す るこ とに よって

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コン ツェルン の経営的性格23 特 質づ け ら れ 、 構成 企 業 へ の統一的 な 指揮 力を 発揮 す る こ とで 統括 す る も のであ る。 し た がっ て、 コ ンツ ェ ル ンは 、 企業 間 の関係活 動で はあ る が、 協調 活動 とい っ た企業 の法 律的 、 経 済的 な 独立性 に もとづ く場 合 と異 な り、 企業 の経営的 で 主 体的 な性 格 と基 本 的 構造 を変 え うる もの であ る。 こ の 意 味で も、 コ ン ツ ェル ン の形成は 、企 業発 展 の一 形 態 とし て企 業 の経 営 的 で主 体 的な 視点 か ら検討 さ れなけ れ ば なら な い の であ る。 コ ン ツ ェル ン の形 成 は 、経営的 に は企業 発 展 の一 形 態で あ り、 企業 活 動 の 合理 的 な遂 行 のた めに 内 部活 動 を 合 理 化し 、対 外的 諸条 件を 整備 す る もの であ る。し た が って、コン ツ ェル ンの 形成 は、企 業 活 動を 合 理 的 に遂 行 す る ための一 つ の手 段 であ る ところ に 経 営的 意 義 があ る とい うこと がで きるム さ て、 コン ツ ェ ルン を 形成す る経 営上 の利 点 とし て は、つ ぎ の ように 指摘 さ れ てい る ので あ る≒ ① 企 業 構 造 の より高 い弾力 性(Flexibilitat) ② 個別 の事業 領域 に おけ る利点 の 強化 ③ 分 権的 な 自主 性 (Autonomiegrad ) の拡大 ④ 部 分的 に 自主 的 な 事業 領域を 形 成す るこ とに よ る危険 の限 定(Risikobegrenzung ) ⑤ 分 権化 と経 営 者 負担 の軽 減 ⑥ 経 営成 果 に 対 す る 責任 と統 制 の強化 \ コン ツ ェル ン は、 企 業活 動の多 様な 展開 (多 角化 、 国 際化 な ど) に 対し て 、個 別 企業 に 比べ て よ り弾 力的 で 簡 素 化 した 企業 構造を特 質 とし て い るので あ る。 こ の より高い 弾 力性 と簡 素化 とい うコ ン ツェ ル ン の特 質 は、 他 企業 へ の資本 参加 と い う財務 的 方法 の一 般的 無 内容 性に よるも のであ る。 さ らに 、 経 済 的 な ( とく に、資 本 合理性 の) 観 点 から は、 資 本 投下 に おけ る危 険 の分散 と 限定 、 企業 結 合 のた め の支 配資 本 の節約 とい う効 果 を あげ るこ と がで き る ので あ る。 また 、 コン ツ ェル ン企 業 の法律 的 な独 立性 は、 事業 領域 活動 の分 権的 な 自主 性 の 強化を 徹 底す る こ と がで き る ので あ る。 と くに、 事 業 領域活 動 におけ る企 業家 精 神 の発 揮 と い う要 求に 応え る もの で あ る。 さ らに 、 事 業 領 域活動 の成 果お よび評 価 が明 確化 さ れ る こ とに な る ので あ る。 コン ツ ェル ン は、 個 別 企業 の経営 活動 か ら み ると、 他 企業 へ め外 部 関 係活 動 とい うことに な る の で あ る。 こ の点 で は、 コソ ツ ニル ソに 固有 の法 人 格を 付 与し て い ない 法 律的 な 見 解と一 致 して い る とい え る ので あ る10)。 し かし、 経営学 の組織 論的 な 観点 か ら み ると、 コ ン ツェル ンを 経 済 的 に 一 体 化 し た 単一 組 織 体 の ように とらえ る こと もで き るの であ る。 ゴ ン ツ ェ ル ソ め 経 営 的 研 究 は 、 コ ン ツ ェル ン企 業 の内 部 性 と外 部性 とい う二 重性に よっ て特 質づ け ら れ てい るとい え る であ ろ う。 こ う し た コン ツ ェ ル ンの 二重 性 は、 まさに 統一 的 指 揮 の程度 と 方式 に 関 す る もので あ り、 コン ツ ェルン にお け る 経 営活 動 の焦 点 とい うこ とが でき るで あろ う。 コン ツ ェル ン企 業 の外 部性 と内 部性 は、 コンツ ェル ン の形 成 が個 別 企業 の 意 思決 定に ど の よ うな

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影 響を 与 え る のか を知 るた め の手 掛か り とい うこ と がで き る ので あ る。 こ れに よ って 、個 別 企業 間 に 形成 さ れる 複雑 な 結 びつ き につい て の理 解を 深 め るこ とが で きる の であ る。 コン ツ ェル ンの経営 的 研 究は 、全 体 とし て の コ ンツ ェル ン(KonzernalsGanzes) と コン ツ ェル ン企 業 の経 営活 動 の性 格 を 検討 す る こ とに よっ て、 コン ツェル ン の多 榛旨 と弾 力 性 を 明ら かに す る こと であ る とい え る ので あ る。 2 。 コ ン ツ ェ ル ン と コ ン ツ ェ ル ン 企 業 コン ツ ェル ン は、主 に 、株 式 会社制 度 に も とづ く資 本参 加 と い う財 務的 方 法で 他企 業 を支 配し 、そ の支 配的 な 影 響力 を 発 揮す るこ とに よっ て形成 さ れる も ので あ る。し た が って、コン ツ ェル ンは、企 業 の資本 的 結 合 と支 配 とい う資本 体的 な 性格 を もつ の であ る。し か し、他企業 の資本 的 な統 一 は、そ の他 の企 業 活 動 の統 一を 伴 うとい え るの であ る。し た がっ て、企 業 の 経 営活 動 から み ると、コン ツ ェ ル ンは単 に 資 本的 な 統一 体に と どま らず 、統一 的 な 経営 活 動 体 と理 解 す るこ とが で きる ので あ る。 さらに 、 コン ツ ェル ン はそ れ 自体、 法 人格 を もつ も ので は ない。 し かし 、 コン ツ ェル ンは 、単 な る企業 の集 合 で はな く、資 本 的な 統一 体 とし て の経 済組 織 で あ る。 そ して 、 コン ツ ェル ン の組織 的 な側 面か ら多 数会 社 企業(Mehr-Firmen-Unternehmung )と 理 解さ れ る ことに な る呪 コン ツェル ン の経営 的 研 究 は、 コン ツ ェル ン企業 と 全体 とし ての コ ンツ ェ ルン の 関 係形態 と い う視点 から検 討 す るこ とに な る ので あ る。 コン ツ ェル ン企 業 と コン ツェ ルン の関 係形 態は 、 こ れ まで 企業 の 生産 過 程に し た がっ て、 水平 的 コ ンツ ェ ル ン(horizontaleKonzern)と垂 直的 コン ツ ェル ン(vertikaleKonzern)を 主 に対 象 とし て きた とい え る。 しか し 、 コ ンツ ェル ンの 基本 的な 標 識 は、 コン ツ ェル ン企業 へ の統一 的 指揮 にあ る ので あ る。 し た がっ て 、 コ ンツ ェル ン企業 と コン ツ ェル ンの 関 係形 態 は、 企業 の生産 過程 とい う視 点 に と ど まら ず、 経 営 の機 能 的な 視 点か ら検 討 さ れ るこ とに な る ので あ る。 コン ツ ェル ン の組 織 的 な構 造は 、KnutBleicher に よれば 、図 一1 の よ うに機 能 的視 点 から 頂点 単 位(Spitzeneinheit)、中 間単 位(Zwischerトeinheit)お よび 基礎 単 位(Grundeinheit)とい う構成 要 素 に よっ て 特 質づ け ら れ る ことに な るの であ る。 基 礎単 位 とは、 コ ン ツェ ルン の実質 的 な事 業遂 行 の課題 、 た とえ ば 調達 、 生産 、販 売お よびそ の 他 の現場 で の課題 を 実 行 す る単 位で あ る。 頂 点単 位 と は、 コン ツ ェル ン の指揮 お よび 主要 な 経 営機 能 を 包含 す る単位 で あ る。こ の頂 点単 位 か法 律的 に 独立 性 を もつ 場 合に は 持株 会 社(Holdinggesell-schaft) の形 態 を と り、 法律 的 な 独立性 を もた な い場 合 に は、 い わ ゆる 本店 一支店 型 コ ン ツ ェ ル ン (Stammhauskonzern ) の形 態を と る ことに な る ので あ る。 中 間単 位 とは 、 調整 階層 に よっ て 基 礎 単位 の統 括 を 行 う単 位 で あ る12)。

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図 一1 . コ ン ツ ェ ル ン 組 織 の 構 成 要 素 コ ソ ツ ェ ル ン の 経 営 的 性 格25 法 律 上 の 独 立 性 を 有 す る 法 律 上 の 独 立 性 を 有 し な い 一 頂 点 持 株 会 社 〔 純 粋 持 株 会 社 / 経 営 的 持 株 会 社(geschaftsfiihrend)] 一 親 会 社 の 頂 点 機 関 − コ ン ツ ェ ル ン の 管 理 事 務 機 構(Hauptverwaltung) 一 中 間 持 株 会 社 〔 純 粋 持 株 会 社 / 経 営 的 持 株 会 社] 一業 務 領 域 一対 象 領 域 一地 域 一 子 会 社[ 多 数 資 本 参 加 / 小 数 資 本 参 加 〕 一工 場 支 店 販 売 所 ( 出 所 )KnutBlicher,"GedankenzurGestaltungderKonzernorganisationbeifortschreitenderDiversifizierungin:ZeitschriftFuhrungundOrganisation, χ.Teil ,5,1979 ,S.244、 コン ツ ェル ンを 構 成 す る コンツ ェル ン企 業 は、基 本 的に は 、 機能 階層 的 に コ ン ツ ェル ンの 指揮お よび 経営 機 能を 担 当 す る単 位 と現場 の実行 機能 を担 当 す る単 位 から 理 解 さ れる。 そ し て、 コ ン ツェ ル ンの 規模 や 複雑 性 な ど の要求 にし た がっ て、 経営 機 能を 担 当 す る頂点 単 位 と実 行 機能 を 担当 す る 基 礎 単位 の 間に 、 調 整 お よび執 行 機能を 担 当す る中 間単位 が 形成 さ れ る こと があ る の であ る。 図-2. 業 務 領域、 対象 領域( 事業 領 域)お よび 地域 の調 和 対象領 域(事 業 領域) A B C 業 務 領 域 研究開 発 調達 生 産 販売 管 理 事務 ( 出所)KnutBlicher,"GedankenzurGestaltungderKonzernorganisationbeifortschreitenderDiversifizierungin:ZeitschriftFuhrungundOrganisation,1.Teil,5,1979,S.244.

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コン ツ ェル ン の機能 階 層 的な 要 素分 析で は 、中 間 単位 の 機能 内容 とし て執 行 機能 だけ でな く、対 象( 事業 ) 領 域 と地 域 とい う視点 から の調 整 機能を 規定 す る こ と も あ る の で あ る 。 つ ま り 、対 象 (事業 ) 領域 の調 整 は 企業 活動 の多 角 化、 多 楡 既に 対応 す る も ので あ り、地 域 の調 整 は 企業 活動 の 国際化 な どの 地理 的 な 広が りに 対 応 する も の とい え る ので あ る。 こ の 意味 では 、 コン ツ ェルン の機 能階 層的 な 組 織 構造 は 、図 一2 の よ うな 企業 の複雑 な マト リ ッ クス型活 動 形態 を 展 開す る ため の組 織 構造 で もあ る とい うこ とが で きる であ ろ う。 つ い で 第二 に 、 コンツ ェル ン の機 能階 層 的な 構 造は 、頂 点 単 位、 中 間単 位お よび 基 礎単 位 の法律 的 な独 立 性 の有 無に よっ て特 質づ け ら れて い るこ とで あ る。 コン ツ ェル ンを 構成 す る 機能 階層 的な 単 位 の法 律的 な独 立性 の 有無 は 、 コ ンツ ェル ン と コン ツ ェル ン企業 の関 係を 規定 し 、 さら に 統一的 な 指揮 の方式 と程 度に 多 様性 を 生 み 出して い る のであ る。 コン ツ ェル ン の機能 階 層的 な 組 織構 造を 構 成す る頂 点 単 位、 中 間 単位 お よび 基礎 単 位 の機 能 内容 は、 個別 企業 の事業 部制 組 織や マ ト リ ッ クス型 組織 に おい て も みら れ るも ので あ る。 コン ツ ェル ン の機 能階 層 的 な組 織 構造 が 個別 企 業 の組 織 と異 な る点 は、 構 成単 位 の機 能 内容 が 法律 的 な 独立性 を もち 、企 業 間 関 係が 形成 され るこ と であ る。 さ らに 、 コ ン ツ ェル ンの 組織 構造 は 、 個別 企業 と異な り、 基 本的 に 構 成単 位 の 間 の資 本 参 加 とい う財 務的 な 支 配関 係 とし て形 成 さ れ るも の であ る。 コ ンツ ェル ン の組 織 的 構造 は、 頂 点 単位、 中 間 単位 お よび基 礎 単位 とい う機 能 分 析 と構成 単 位 の 法 律的 な 独立 性 の 有無 に よ って 、基 本的 に 本店 一支店 型 コン ツ ェル ン( 図 一3 ) と持 株会 社型 コン ツェル ン ( 図 一4 ) に 区 分 す るこ とが で きる ので あ る13)。 図 一3 中間 単位 のない 分 離( 本店 一支店 )型 コン ツ ェルン形 態 親 会 社 頂 点 単 位 −

基81

II

子 会社 ( 出 所 )KnutBlicher,"GedankenzurGestaltungderKonzernorganisationbeifortschreitenderDiversifizierungin;ZeitschriftFuhrungundOrganisation,1.Teil,5,1979 ,S.244.

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コ ソ ツ ェ ル ソ の 経 営 的 性 格27 図 一4 法 律 的 に 独 立 し た 中 間 単 位 を も つ 統 合 ( 持 株 会 社 ) 型 コ ン ツ ェ ル ン 形 態 頂点持株 会社 中間持株会社 二] 口 頂 点 単 位T 中 間 単 位

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( 出 所 )KnutBlicher,"GedankenzurGestaltungderKonzernorganisationbeifortschreitenderDiversifizierungin:ZeitschriftFuhrungundOrganisation,1.Teil,5,1979,S.245. 本 店 一支店 型 コ ン ツェル ンは、頂 点 単 位が 法 律的 な 独立 性を もた ずに 、中 間単 位 と基 礎単 位を 直 接的 に 指 揮 す る コ ン ツェル ンの組 織的 構 造で あ る。 し た がっ て、 本 店 一支店 型 コ ン ツ ェル ンで は、 集 権的 な経 営 ない し 指 揮が 行わ れる こ とにな る の であ る。 そ こ では 、 中 間単 位と 基礎 単 位 の 自主的 な 意 思 決定 が 極 め て限定 さ れた もの にな る ので あ る。 持 株 会 社型 コン ツ ェル ンは、 頂点 単 位が 法律 的 に 独立 し て、 中 間 単位 と基 礎単 位 に 意 思決定 の権 限 委 譲 が行 わ れる 組 織的 構造 であ る。し た が って 、持 株 会 社型 コン ツ ェルン は分 権的 な経 営 ない し 指 揮 が 行 わ れ るこ とに な る のであ る。 さ ら に 、 コン ツ ェル ン企業 の自主 的 な 意思 決定 の範 囲は 、 コン ツェル ン の組織 的 構 造を 構 成す る 単位 の機 能 内容 に よって 規定 され る といえ る の であ る。 た とえば 、 中 間単位 の機 能 内容 に もとづ く なら ば、 事 業 領 域な いし 地 域内 の自主 的 な 意思 決定 が中 間単 位 の コン ツ ェル ン企業 の自 主的 な 意 思 決定 の範 囲 とし て規 定 され るこ とにな る ので あ る。 し かし 、 コン ツ ェル ン企業 の特 質 は、 法 律的 な 独立 性を もつ も ので あ り、会 社 組 織 とし て固 有 の 経 営 ない し 指 揮 機能 と機関を 本来 的に 備 え てい る こ とであ る。 し たが っ て、 コ ン ツ ェル ン の 組織 的 構 造 に おけ る 分権化 は、 個別企業 とは 異な り、 構 成 単位 が 法 律的 に固 有 の経 営な い し 指揮 機 能 と機 関 を 本 来 的に もっ てい る こ とを 前提 と してい るこ とであ る。 コン ツェ ル ン の組 織的 構造は 、 コン ツ ェル ン と コン ツ ェル ン企業 の二重 性 とい う関 係形 態を よ り 合理 的 に 形 成 す るこ とで あ る。 企業 活 動 は、 事業 領域、 経 営 的生 産 過 程 の領域 お よび 地 域に よって 特 性 や 複 雑 性 が 異な る のであ る。し た が うて 、 コ ン ツェル ン は、 全 体 とし て の統一 的 指揮 とい う側 面 と コン ツ ェル ン企 業 の 異なる特 性や 複 雑性 とい う側 面を もつ こ とに な るの であ る。 そ し て、 コン ツ ェル ン企 業 の 法律 的 な独 立性は 、 コ ン ツェル ン 企業 の 企業 活 動に おけ る特 異性 や 複雑 性 が著 しい

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ほ ど、そ の意義 が 高 まる といえ る。 この 意味 で も、 全 体 とし て の コン ツ ェルン と コ ン ツ ェル ン企業 の合 理的 な 形成 に よる コン ツェル ン の弾力 的 で 簡 素化 し た経 営 構 造 の構築 は、 企業 活 動 の 合理 化を さ ら に進 める こ とにな る。 そし て 、 コン ツ ェル ン の こ うし た二重 性 は、 機 能階 層 的な 組 織 構 造の形 成 に よって 基 本的 な枠 組 みを与 え ら れる とい え る の であ る。 そ こ では、 頂 点単 位 と中 間 単 位 の設定 と 機 能 内容 が 重要 な役 割を 果 たし てい る こ とを 知 る こ とが で きる ので あ る。 3 . コ ン ツ ェ ル ン 経 営 の 性 格 コ ン ツェル ン の経 営的 研究 で は、 コンツ ェル ンの 統一 的 な指 揮 に焦 点 が当 てら れ る ので あ る。 コ ン ツ ェル ン の統一 的 な指 揮 は、 全 体と して の コ ソ ツェ ル シにお け る 固有 の経営 的 意 思決 定 を 意味 す る も のとい え るので あ る。 固有 の経 営的 意 思 決定 と は、 他 に委 譲 す るこ と がで きな い 意思 決 定 ない し 機能 とい う ことで あ る。 つ ま り、 全 体 とし て の コン ツ ェル ンに 固 有 のも ので あ り、 不可 欠 な機 能 と い うこ と がで き るの であ る14)。 コ ン ツ ェル ンの経 営 機能 は、K.Blicher に よれば、 頂 点 単 位 の機能 分 析に よ って 規定 さ れ る の で あ る。 頂 点単 位 の機 能 は、 経営 機能(Fiihrungsfunktionen )、 助 言 機 能(Beratungsfunktionen )、 サ ービ ス機能 (Servicefunktionen)、 調和 機 能(Harmonisationsfuntion)、 連結機 能(Kopplungsfu-nktion

)、 頂 点 単位 自 体 の管 理 事務 機能 (Eigenfunktion) から 構成 さ れる ので あ る15)。 ま ず、経 営機 能 とは 、頂 点 単位 におけ る固 有 の企 業 政 策的 な 意 思決定 機能 で あ り、 コン ツ ェル ン の 目的 と コン ツ ェルン 企業 の 目標 を調 和 さ せ る機能 とい うこ とで あ る。 助 言機 能 とは 、 企業 政 策的 な 機 能 の遂 行に おい て 最 高経営 機 関を 援 助す る機能 で あ る。 助 言 機能に は 、 コン ツ ェ ルン の最 高経 営 機 関 の意 思決 定に つ い ての実 質 的な 貢 献 と 日常的 な 活 動 の作 業的 な 軽減 を行う も の があ る。 サ ー ビ ス 機能 とは、 頂点 単 位 が実行 課 題 の うち集 権 的に 引 き受 け るこ とに よっ て経 済 的 であ る ような幾 つ か の機 能 をい うの であ る。 た とえ ば、 集中 的 な 購 入、 集中 的 な 情報 処理 な ど があ る。 調 整機 能 と は 、 コン ツ ェル ン指揮 が 同 じ ような業 務 遂行 −、 対象 ( 事業 領域) −なしヽし地 域 活動 に 対 して 、地 域 的に 異な る販 売 戦略 の調 和 な ど の統合 お よび 調 整を 行 うこ とで あ る。 コ シツ ェル ソ指 揮 は、 調 整 機 能に よって潜 在 的 な節 約 と市場 機 会を 実 現 す るこ と がで き るの で ある。 連 結機 能 とは 、 中 間− な い し 基 礎単 位 の経 営者 が 上位 の経 営 機関 に も 属す る こ とに よって 、実 行的 な戦 略 と 全 体的 な戦 略 を 連 結 す る こと であ る。 連 結機 能 は、 組織 的 な階 層 の 節 減 と官 僚制 の 進展を 防 ぐ こ とに役 立つ も ので あ る。 管理 事 務機 能 とは 、頂 点 単位 に 帰属 す る課 題 か ら 派生 す る 日常的 で特 有 の間 接的 な 課題 を 遂 行 す るこ とで あ る。 た とえば 、主 要 業務 の 従業 員 につ いて の人事 部 門、頂 点 単 位そ れ 自体 の 事務 的 な 業 務 な ど があ る。 こ の ような諸 機能 の編 成 に よって 、図 一5 の よ うな頂 点 単 位 の最 小形 態 と 図 一6 の よ うな拡 大形 態 が示 さ れ るの であ る。

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コンツ ェル ンの経営的 性格 図 一5 頂点 単位の 最 小形態 :経 営−お よび サービ ス 機能 を担 当

□ 経営機能 △助言機能 ◇ サービス機能 ▽ 調整機能

<]自己の管理事務機能[a]連結機能

( 出 所 )KnutBlicher,"GedankenzurGestaltungderKonzernorganisationbeifortschreitenderDiversifizierungin:Zeitschr 示FuhrungundOrganisation,2.Teil,6 ,1979,S.329. 図 一6 頂点単位 の拡 大形 態: 経営− サービ ス ーお よび調 和機 能を 担当 ( 出所)KnutBlicher,"GedankenzurGestaltungderKonzernorganisationbeifortschreitenderDiversifizierungin:ZeitschriftFiihrungund 〇Organisation,2 ・Teil,6 バ979,S.330. 29

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コソ ツェルソ め 経 営 機 能 分 析 は 、コン ツェルン の 組 織 的 構 造 に 関 係 づ け て 理 解 さ れ な け れ ば な ら な い の で あ る 。 コンツェル ン の 再 編 成 、本 店 一 支 店 型 コン ツェル ン か ら 持 株 会 社 型 コンツェルン へ の 移 行 で は 、 コ ン ツ ェ ル ン の 最 高 単 位 の 機 能 変 化 が 重 要 な 課 題 と な る の で あ る 。最 高 単 位 の 最 小 形 態 は 、コ ン ツ ェ ル ン の 統 合 形 態 に み ら れ る と い え る。 持 株 会 社 型 コ ン ツ ェ ル ン で は 分 権 的 な 経 営 な い し 指 揮 が 行 わ れ る こ と に な る の で あ る 。し た が っ て 、コ ン ツ ェ ル ン 指 揮 の 権 限 委 譲 に よ り 、最 高 単 位 の 機 能 は 軽 減 さ れ る こ と に な る 。し か し 、コ ン ツ ェ ル ン の 分 離 型 、つ ま り 本 店 一 支 店 型 コ ン ツ ェ ル ン で は 、最 高 単 位 は 基 礎 単 位 と 結 合 し て 親 会 社 の 指 揮 と コ ン ツ ェ ル ン 指 揮 の 二 重 性 に よ っ て 特 質 づ け ら れ て い る 。 し た が っ て 、最 高 単 位 に は 、親 会 社 と コ ン ツ ェ ル ン 企 業 の 結 合 機 能 が 加 わ る こ と に な る の で あ る 。し か し 、 コ ン ツ ェ ル ン の 再 編 成 、 本 店 一 支 店 型 コ ン ツ ェ ル ン か ら 持 株 会 社 型 コ ソ ツ ェ ル ソ ペ の 移 行 で は 、 最 高 単 位 の 拡 大 形 態 か ら 最 小 形 態 へ の 移 行 が み ら れ る こ と に な る の で あ る 。 最 高 単 位 の 拡 大 形 態 か ら 最 小 形 態 へ の 移 行 は 、 コ ン ツ ェ ル ン の 経 営 活 動 に お け る 合 理 化 と い うこ と が で き る の で あ る 。RolfBuhner は 、経 営 機 能 を も つ 持 株 会 社 と い う経 営 的 持 株 会 社(Management-Holding) に よ る コ ン ツ ェ ル ン の 組 織 的 形 態 を 提 示 し て い る の で あ る16)。 経 営 的 持 株 会 社 型 コ ン ツ ェ ル ン は 、 事 業 領 域 別 組 織(Geschaftsbereichsorganisation ) で あ る 。経 営 的 持 株 会 社 型 コ ン ツ ェ ル ン で は 、経 営 活 動 を 戦 略 的 な 課 題 (strategischenAufgabe ) と 事 業 領 域 ( 作 業 ) 的 な 課 題 に 分 離 す る の で あ る 。 な お 、 こ こ で の 戦 略 的 な 課 題 と は 、 コ ン ツ ェ ル ン 全 体 の 目標 と 戦 略 の 決 定 、 財 務 的 資 源 の 配 分 、 子 会 社 の 売 却 と 買 収 、 研 究 開 発 や 経 営 者 人 事 ( 経 営 者 育 成 ) の 調 整 と 計 画 な ど で あ る 。 そ し て 、 各 事 業 領 域 は 、 法 律 上 の 独 立 性 と 事 業 領 域 に 関 す る 経 営 的 な 自 主 性 を も ち 、 事 業 ( 作 業 ) 活 動 を 行 わ な い コ ン ツ ェ ル ン 指 揮 の 上 位 企 業 に よ る コ ン ツ ェ ル ン 戦 略 を 踏 ま え て 経 営 さ れ る の で あ る 。 し た が っ て 、 経 営 的 持 株 会 社 型 コ ン ツ ェ ル ン は 、 個 別 企 業 の 事 業 領 域 別 組 織 か ら も 、 ま た 財 務 機 能 の み を も つ 純 枠 な 持 株 会 社 型 コ ン ツ ェ ル ン か ら も 区 別 さ れ る こ と に な る の で あ る 。 そ し て 、 経 営 的 持 株 会 社 型 コ ン ツ ェ ル ン は 、 事 業 領 域 別 の コ ン ツ ェ ル ン 企 業 に 事 業 領 域 指 揮 を 委 譲 す る こ と に よ っ て 本 店 一 支 店 型 コ ン ツ ェ ル ン か ら 区 別 さ れ る の で あ る 。 経 営 的 持 株 会 社 型 コ ン ツ ェ ル ン は 、 多 角 化 や 国 際 化 に と も な う 企 業 活 動 の多 様 化 と 複 雑 性 に 対 応 す る コ ン ツ ェ ル ン の 経 営 方 式 と い え る の で あ る。 し か し 、 持 株 会 社 に お け る 経 営 機 能 の 制 度 的 位 置 づ け に つ い て は 、EdwinRuhli の よ う に 持 株 会 社 の ス タ ッ フ 機 能 (Stabsfunktion ) を 担 当 す る 経 営 会 社 (Managementgesellschaft ) と し て 位 置 づ け る 方 向 性 も 提 示 さ れ て い る1≒ コ ン ツ ェ ル ン の 経 営 機 能 を 持 株 会 社 の ス タ ッ フ 機 能 と し て 位 置 づ け る 方 向 性 ぱ 、K.Buhner が 実 施 し た 調 査 結 果 か ら も 窺 う こ と が で き る で あ ろ う18)。 持 株 会 社 型 コ ン ツ ェル ン に お け る 経 営 機 能 の 位 置 づ け は 、 企 業 活 動 の 多 様 化 と 複 雑 性 の 増 大 に と も た っ て 、 ま す ま す 重 要 に な っ て き た と い え る の で あ る 。 と く に 、 コ ン ツ ェ ル ン の 経 営 機 能 を 持 株 会 社 自 身 が 担 当 す る の か 、 ス タ ッ フ 機 能 と し て 位 置 づ け る の か が 問

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コ ン ツ ェル ン の 経 営 的 性 格31 題 で あ る。 持 株 会 社型 コン ツェル ンにおけ る経 営 機能 の位 置づけ は、 持株 会社 が 本 来的 に備 えて い る株 式 所 有に よる支 配、つ ま り資 本 参加 の管理(VerwaltungvonBeteiligungen) と い う性 格を 検討 す る もの であ るとい え る のであ る。 コ ン ツ ェル ン の経営 活動 は、そ の基本 的 な 標識 を資 本 の支配 に も とづ く統一 的 指 揮に もと め る限 りに お い て、 個 別 企業 と 同様に 内部 統制 的 で 内向 き 指 向的 な権 限 に よる調 整、 い わ ゆ る 内部 管 理的 な 思考 が強 く 出て く るこ とに なる であ ろ う。 他方 、 コ ン ツ ェルン 企業 の経 営活 動 は 、 法律 的 な 独立 性 か ら本 来的 に 派生す る 固有 の機能 で あ る。 コン ツェ ル ン企業 の視点 か ら みる と、 個 別企 業 の 対外 的 な 関 係活 動 とい う思考 が 強く出 て くる こと に な るの で あ る。 こ うした 内部 管理 的 な 思考 と対 外的 な 関 係活 動 と い う思 考に コンツ ェル ンの 経営 活動 の特 質 があ る とい うこと がで き る ので あ る。 言らに 、 全 体 とし て の コンツ ェル ンそ の もの 経営 問 題 の独 自 の意味 に 留 意す る必 要 が あ る。 つ ま り、 コン ツ ェル ン の経営 問題に ぱ 、 ①支 配会 社 とし て の 持株 会社 や 親会 社 の立場 から そ の 他 の コン ツ ェル ン企 業 と の結 合関 係を 経営 問題 と して と りあげ る 、 ②被 支配 会 社と して の子 会 社 や 従属 会 社 の立 場 から 支 配 会社 と の結 合関 係を 経営 問題 とし て と りあげ る視点 が考 え ら れる。 こ れら は、 コン ツ ェル ン の経 営 問題 をそ れ ぞれ の個別 的 な立 場 か ら、 い ず れか一 方 に 重点 をお い て追 求 す る とい う 態 度 で あ る とい え るであ ろ う。 し か し、 支 配 会社 とし て の持株 会 社や 親会 社 を含 む コン ツ ェル ン企業 間 の関 係 そ の もの 、つ まり ③第 三 の別 途 な 視点 か ら全 体と して の コソ ツ ェル ソ モ の もの の経 営問 題 が考え ら れ る ので あ る。 こ の こ とは 、 コン ツ ェル ン の経営に とって 、 コン ツ ェル ン企業 間の 関連を 考 慮し な が ら も、 む しろ そ れ以 外 の圧 力 集 団や 環 境変 化や将 来 へ の構 想 な どを 容 れた コン ツェ ルン の全 体的 な 経営 的 対応 を と りあげ るこ とで あ る。 つ ま り、 コ ン ツェル ン 企業 間 の関 係におけ る変 化 と外部 環 境 の変 化 へ の即 応 行動 を 全 体 とし て の コン ツ ェル ン が一 体的 な 行動 に よって 展 開す る こと が決定 的 な 意 味を もつ ので あ る。 し た がっ て、 コン ツ ェルン の経 営活 動 は、 内部管 理 的 な思 考や コン ツェ ル ン企業 間 の 対外 的 な 関 係活 動 とい う思考 を考 慮し な がら も、 さ らに コン ツ ェル ン の全 体的 な経 営対 応 と い う独 自 の意 味を 含 む の でな け れ ばな らない とい え る ので あ る19)。そ し て 、E.Ruhliの提案 す る 経営 会 社 とい う構 想 も、 第 三 の別 途 な 視点 か ら全 体 とし て の コソ ツ 土ル ソそ の ものの 経営 問題 、つ ま り コン ツ ェル ン の 全 体的 な 経営 的 対応 の 必要性 を示 す も の と理 解 で きる であ ろ う。 コン ツ ェル ン企 業に 対 す る統括 機能 は、 単 な る資 本 的 な統一 体か ら 内部管 理的 な統一 的 指 揮 が結 果 す るだけ で な く、 コンツ ェルン企 業 の 自主 的 な 経営 機 能 と全 体 として の コン ツ ェル ンに おけ る全 体 的 な 経営 的対 応 とい う要 請を ふ ま えた 経営 的 、つ ま り主 体的 で機 能的 な性 格を もつ 点 が 明ら かに な る の であ る。 コ ンツ ェル ンの経 営的 な 統括 機 能 は、 持 株 会社 型 コン ツ ェルンに おけ る 経営 機 能 の 位 置づ け に よっ て よ り明確 にさ れる とい え る ので あ る。

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4. 持 株 会 社 の 経 営 的 役 割 持株 会 社 とは 、一 般 的に 広義 で は他 の 会 社 の株 式 を保 有 し てい る会 社で あ り、 狭義 で は 他 の会 社 の株式 保 有 に よって 、これを 支 配し て い る会 社 をい うの で ある20)。し たが って、持 株 会 社に は、投 資 会 社(Kapitalanlagegesellschaften)や 固 有 の支 配 会 社(Kontrollegesellschaften)な ど があ る こ とに な る。 コン ツ ェル ンと の関 係 では、 他 の 会 社 の株 式保 有 に よって、 こ れを支 配 し てい る持 株 会社 に 限定 さ れ る こ とに な る。 持 株 会 社 の主要 な 目的 は、 他 企業 へ の 資本 参 加 の管 理 であ る。 この持 株会 社 の主要 な 目的 には、 つ ぎの二 つ の前提 があ る21)。 ① 資本 参加 の 管理 が会 社 の定 款 (Gesellschaftsstatuten) で主 要 な 目的 とし て 起 草 さ れ て い なけ ればな ら ない の であ る。 ② 事実 上、 資本 参 加 の管 理 が会 社 の主 要 な 活動 と認 め ら れなけ ればな ら な い ので あ る。 他 企業 へ の資本 参 加 の管理 とは、 支 配を 目的 と した 資本 参 加活 動 と支 配資 本 の 節約 活 動 が含 ま れ る ことに な る。 支 配を 目的 とし た資 本 参加 活 動 は、 支 配資 本 に本 来的 に備 わ っ て い る支 配 統制 の機 能 を 組 織化 す る もの であ る。 支 配資 本 の節 約 活 動 は、 コン ツ ェルン形 成 に必 要 な 支配 資 本を 証 券代 位(Effektensubstitution)に よっ て節 約 す る もの で ある。つ ま り、証 券代 位 と は、「一 般 に一 会 社 が 自己 の証 券 ( 株式 また は 社債 ) の発 行に よっ て得 た資 金を 、 他 の会社 の発行 す る証 券 の取 得に 用い る活 動を い う」 の であ る22レ 持株 会 社 の 副次 的な 目的 は 、持 株会 社 の性 格 から 活 動 とし て考 慮さ れ る ので あ る。 つ ま り、 子会 社 の資 金 調 達、そ して 特許 管 理、 マ ーケ テ ィン グ、 広告 ・ 宣 伝 の規格 化、 コタ ツ ェルフ 持 株会 社 と し て の コ ンツ ェル ン企業 の指 揮、 さら に 生 産、 購 買 お よび 研究 開 発 の調整 、持 株会 社 と コ ン ツ ェル ン 商標 の 供 託な ど があ る とさ れ る。 他 企 業 へ の資 本 参加 の 管理 を 目的 とす る財 務的 持 株会 社で は、 コン ツ ェル ン企業 の指揮 は 副 次的 な 目的 に す ぎな い 点に 留 意す べ きで あ る。 ま た、 持 株会 社は 、 コ ン ツ ェル ン の頂 点に 位置 す る場 合 、屋根 会 社(Dachgesellschaft)とい うの であ る。そ し て、屋 根会 社 は、 経 理、 人 事そ の 他の 現場 活 動を 補 助 す る諸 職 能を 引 き受 げ る管 理 会 社 (Verwaltungsgesell-schaft ) と も よば れ るこ と があ る23)。し か し 、ここ で問 題 とし て い る持株 会 社は 、コ ン ツェ ル ンの経 営構 造 に も とづい て 、階層 的 な機能 を 引 き受 け るこ とで あ る。 つ ま り、 コン ツ ェル ン の特 質 であ る 統一 的 な 指揮 に も とづ く経 営機 能を 持 株 会 社 が担 当 す るこ と が問題 で あ る。 持 株 会 社 の基本 的 な 目的 は、 他企 業 へ の資 本 参 加 の管 理 であ る。 他 企業 へ の資 本 参加 の管 理 とは 、 より合 理的 な 他企 業 へ の資 本 参 加に よる 他企 業 へ の 支配を よ り効果 的 で効 率的 に 行 うこ とで あ る。 し か し 、 コ ンツ ェル ンの経 営 活 動を め ぐ る 経営 環 境の変 化 は、 支配 統制 の機能 を 果 たす 持 株 会社 に つ い て 、全 体 とし て の コソ ツ ェル ンに おげ る経 営 機能 の遂 行 とい う視点 か ら再 検 討を 求め て い る。

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コ ン ツ ェ ル ン の 経 営 的 性 格33 この こ とは 、 持 株会 社 の役 割を資 本 参加 の管 理 的 な機 能に と どまら ず 、 コ ンツ ェル ンの 経 営活 動を よ り合理 的 に 遂 行す ると い う視点 から再 検討 す る こ とで あ る。 大企 業 の多 くは、 今 日、 株式保 有 に よっ て他 企業 を 支 配し 、 コン ツ ェル ンを形 成 して い る ので あ る。 こ め親 企 業 が コ ン ツェ ルンの中 核 とな って 自己 を 膨 張し て い くに し た がっ て、そ の保 有株 式 が 増 加 す る場 合 、 そ れ は持 株会 社に 移行 す る傾向 か あ る。 な ぜな ら、 持 株 会社 的 な性 格 と事 業会 社 的 な 性 格 と ぱ 異な る視点 を 有 するか ら、 矛盾 や衝 突 を招 く こ と があ る。 さ らに 、 膨大 な コン ツェル ン を 支 配 統制 す るた めに は 、 個別事業 会 社 の経営 と は全 く 異 な ると ころ の支 配統制 機 構を 必 要 とす る ので あ る。 し た が っ て、 親 企業は、 そ の発 展過 程 にお い て、 別 個 の持 株 会 社をつ くり株 式 保 有を こ れに 譲 る か、 また は 自己 の事業経 営を 他に 譲 り 自ら は持 株 会社 に 転化 す るに 至 る ので あ る。 こ の際、 株 式 保 有 に よる支 配 が、 積 極的に広 範 に急 速に 遂 行 さ れる 場 合ぱ 前者 の過 程を と り、比 較 的徐 々に 発 展 す る 場合 に は 後 者 の過 程が とられ る と考 えら れ る ので あ る24)。 持 株 会 社に よる他 企業 の支配統 制は 株式 保有 を そ の基 礎 と す るも ので あ り、 資 本の支 配 そ の もの であ る。し か し 、コ ン ツェル ンの経 営は 資本 の 支配 と は 異な り、コン ツ ェル ン の組織 的 な活 動に おけ る合 理 化 の 直 接的 な 役 割を 担 う機 能そ の もの であ る。し た がっ て、経 営的 な 視点 か らは 、持 株 会社 は、 まず 、利 子 、配当 な どの財 務 的な成 果を 獲得 す るだけ で なく 、まさに コン ツェル ン全 体 の指 揮、言い 換 え れば 統一 的 な指 揮 の担 い 手とし て位 置づけ ら れ るの であ る。こ の場 合 に は、資 本 参加 の管 理 と コン ツ ェル ン の 経 営 の機 能的 分 離が 求めら れ る ことに な る。ま た、全体 とし て の コンツ ェル ンに おけ る経 営 機能 の 遂 行 とい う視 点 から経営 会社 は 、経 営的 持 株会 社 の ス タ ッフ 機関 とし て 位置づ け ら れ る こ とに な る。し か し、持 株 会社 が財務 的持 株 会社 と して 他企 業 へ の資 本 参 加 の管理 機 関に 留 ま る場 合に は、 経 営 会 社 は コ ンツ ェ ルンにおけ る全 体的 な経 営 的 対応 の 中核 機 関に な る と考 え るこ と がで き る。 全 体 と し て の コ ンツ ェルン の経営活 動 は、 コン ツ ェル ン企業 の最 高 経営 機能 に 関す る 機能 で あ り、 会計 、 人 事 、 購買 な どの 共通部 分を 集中 七だ 共同 的 な業 務 遂 行 とい っ た管 理会 社 の 機能 と 異な る も の であ る。 ま た、 経 営 的 な統括 機能 は、 資本 参 加に よる資 本 的 な支 配 統制 の機 能 と 異な り、 全 体 と し て の コン ツ ェル ンの 合理 的な 形成 と運 営 とい う経 営 的 な視 点 から 位 置づけ られ るも ので あ る。 し た が って 、 経 営的 な 統 括 機能は、 コン ツ ェルン の全 体 的 な経 営 的対 応 と コン ツ ェル ン企業 の経 営機 能 とい う二 重 性 から 特 質づけ ら れてい るので あ る。 コン ツ ェル ン の全 体的 な 経営 的対 応 の必 要性 は 、 持 株会 社 の 役 割を よ り経 営的に 特質づ け る も ので あ るとト え るで あろ う。 お わ り に コン ツ ェル ン の形 成 は 企業 の経営 的、 自主 的 な 必要 性に も とづ く もの であ る。 この こと は、 コン ツェ ルン の 形 成主 体 が企業 であ る ことか ら も明 白 であ る。

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また 、 コン ツ ェル ンは 、 経 済的に は、 とくに 資 本 参加 に よる経 済的 な 統一 体 とし て 規定 さ れてい る のであ る。 し かし 、今 日、企業 を め ぐる 環 境変 化 の なか で は、 コン ツェル ン に よ り経営 的 な視 点 から 検討 が くわ えら れ る よ うに な って きプことい え る。 こ のこ とは 、資 本 参加に も とづ く 支配 の合 理 性 を 追 求 する 視 点か ら だげ でな く 、 よ り経 営 的 な必 要性 つ まり コン ツ ェル ン企業 間 の 関 係変化 と外 部変 化 へ の全 体的 な経営 的 対応 とい う視点 か ら とら え てい る こ とを 意味 す ると いえ る。 と くに、 経 営 的 な 機能 を 備 え た持 株会 社 は、 企業 活動 の多 様性 、 国際 性 と弾 力性 の要求 に 応え る 企業 発 展 の形 態で あ り25)、 経 営 的 な機 能を より明 確に す る もの とい え る。 さら に、 コン ツェル ン の経営 問 題は 、 支配 会 社 とし て の持 株会 社 や親 会 社の 立場 、 ま たは 被 支配 会社 とし て の子 会 社や 従 属会 社 の立場 から そ れ ぞ れ個 別的 に 、い ず れか一 方 に 重点 を おい てと りあ げ るこ と がで き る ので あ る。し か し、 支配 会 社 とし て の 持株 会 社や 親会 社を 含 む コン ツ ェル ン 企業 間 の関 係そ の もの、 つ ま り第三 の別途 な 視点 か ら全 体 と して の コ ン ツェル ンそ の も の の経営 問題 が 考え ら れ る ので あ る。 こ のこ とは 、 コン ツ ェル ン の経 営に とっ て、 コン ツェル ン企 業 間 の 関連を 考 慮 し な がら も、 むし ろ そ れ以 外 の圧力 集 団や 環 境変 化 や 将来 へ の構 想な どを 容 れた コ ソ ツェノレソ の 全 体的 な 経営 的 対 応が 必 要に なっ て きた から で あ る。 こ こ では、 全 体 とし て の コン ツ ェル ンそ の も の の経 営 とい う独 自 の意味 を 強調 し てお きた い の であ る。 コン ツ ェル ン の形 成 と 運営 は、 単 なる 支配 資 本 の管 理 ない し 節 約とい うだけ で な く、 コン ツェ ル ン企 業 の 事業 発 展 と コン ツ ェル ンの全 体 的な 経 営 的対 応 の 視点 から 経営 的 に と りあげ ら れ る よ うに な っ て きた ので あ る。 こ うし た コン ツ ェル ン企 業 の事 業 発展 と コン ツ ェル ン の全 体的 な経 営的 対 応 は、 こ れま で の コン ツ ェノレンの統 一 的指 揮に 関し て、 内 部管 理 的 な思 考か ら経 営 的な 統 括 思考 へ の 展 開を 求 め る よ うに なる の であ る。 さら に、 こ うし た経 営 的な 統 括思 考 は、 コ ン ツェ ル ン企業 の事 業 発展 に おけ る 多 榛 胞と 複雑 性 が進 むに つ れ て強 く求 め ら れ るこ とに な るとい え る の であ る。 (注)1. 慶 応義塾 大 学商 法研 究会 訳 『西独株式 法 』慶 応 通 信 株 式 会 社 、1969 年3 月 、23 、25 頁 。Bruno,Krupff, (Zusammengestellt)ノ"Aktiengesetz,TexausgabedesAktiengesetzesvom6.9 、1965 (Bundesgetzbl.IS.1089)unddesEinfuhrungsgesetzeszumAktiengesetzvom6.9.1965(Bundesgetzbl.IS.1185)mitBegrundungdesRegierungsentwurfs' ≒BerichtdesRechtsausschussesdesDeutschenBundestags,VerweisungenundSachverzeichnies.Dusseldorf1965. 支 配企業 と従 属企業 の関 係、さらに コ ンツ ェル ンと の関 係につ い ては、「コン ツェル ンに とっ ては 、指揮 が 事実 上 行 われ るこ とが、 概念 上本質 的な も ので ある のに対 し て、従 属関 係に つい ては 、影 響を 及ぼ す 可能 性を もっ て足 りる のであ る」 とし てい るの であ る( 慶応義 塾大 学商 法 研究 会訳、 同上 書 、24 −25 頁 )。 な お、 ここ では、zusammenfassen を 「統括す る」 と訳 し、「別 々にな ってい る ものを ま とめ てく くる こ と」 の 意味 に 理解し てい る。

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コンツェルン の経 営的 性格35

2.Zweifl,Martin ドHoldinggesellscha μundKonzern"Zurich,1973,S.61 ・3.

ハ ン ス・ヴ ュ ル デ ィ ンガ ー,河 本 一 郎 編 『 ド イ ツ と 日 本 の 会 社 法 』㈹ 商 事 法 務 研 究 会 ,1969 年2 月 ,287 頁 。4. 慶 応 義 塾 大 学 商 法 研 究 会 訳 , 前 掲 書 ,27 頁 。5. 大 隅 健 一 郎 『新 版 株 式 会 社 法 変 遷 論 』 有 斐 閣 ,1987 年9 月 ,119 頁 。6. ハ ソ ス ・ ヴ ュル デ ィ ソ ガ ー , 河 本 一 郎 編 , 前 掲 書 ,301 頁 。7.Penrose,EdithT,"TheTheoryoftheGrowthoftheFirm ≒BasilBlackwell,1956,1980,p.201. ( 末 松 玄 六 訳 『会 社 成 長 の 理 論 』( 第 二 版 ), ダ イ ヤ モ ン ド 社 , 昭 和56 年n 月 ,198 頁 。)8.Vgl.Buhner,Rolf,"GestaltungsmoglichkeitenundrechtlicheAspekteeinerManagementholding",in:ZeitschriftFuhrungundOrganisation,1990,5,S.30 ト303 ・9.Vgl.Holtman,Michael パBetribswirtschaftlicheUberlegungenumKonzernvordemHintergrunddesEG

−Binnenmarktes1992"in:Albach,Horst /Klein,Gunter,"Har 枇onisierungderKonzernrechnung 一slegung 緬Europa"Wiesbaden,1990,S.17 −18.Bleicher,Knut,"DasKonzeptIntegriertesManagement"Frankfurt

/NewYork,1991,S.127 −128.10.Kuting,Karlheinz

ドKonzern"in:E.Dichtl&0.Issing (Hrsg. ),Wirtschaftslexikon パ987,S.1072. ◇大 隅 健 一 郎 , 前 掲 書 ,143-147 頁 。11.Theisen,ManuelRene,"DerKonzern",1991,Stuttgart,S.21.12

トBlicher,Knut,"GedankenzurGestaltungderKonzernorganisationbeifortschreitenderDiversifizierungin:ZeitschriftFuhrungundOrganisation,1.Teil,5,1979,S.244.13.Blicher,Knut,a.a.O.,S.245.14.

固 有 の 経 営 的 意 思 決 定 に つ い て は ,Gutenberg,Erich “'Unternehmensfuhrung −○rganisationundEntsc ‰idung 一”Wiesbaden,1962,S.59 −61.( 小 川 冽 ・ 二 神 恭 一 訳 『 企 業 の 組 織 と 意 思 決 定 』 ダ イ ヤ モ ソ ド 社 ,1964 年 ,65 −67 頁 ) を 参 照 し た 。15.Blicher,Knut,"GedankenzurGestaltungderKonzernorganisationbeifortschreitenderDiversifizierungin:ZeitschriftFuhrungundOrganisation,2.Teil,6,1979,S.329 −335. 上16.Buhner,Rolf,"Managemen トHolding",in:DieBetriebswirtschah,47,1987,S.40-49.Buhner,R., “GestaltungsmoglichkeitenundrechtlicheAspekteeinerManagementholding"in:ZeitschriftFuhrungundOrganisation,1995,5,S.299 −308.17.RiJhli,Edwin,"ZeitgemaBeKonzernfiihrungund −gestaltung",in:ZeitschriftFiihrungundOrganisation,59,1990,S.310 −314. な お ,E.Rijhli は , 経 営 会 社 の 制 度 化 を つ ぎ の 図 で 示 し て い る 。 経 営 会 社 の 制 度 化 業 務 会 社

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18.Biihner,R.,"Management −Holding −einErfahrungsbericht"in:DieBetriebswirtsch 可t,51,1991,S.14 レ151. な お , こ こ で は , つ ぎ の 図 に 示 さ れ た 経 営 的 持 株 会 社 型 コ ソ ツ ェレレ ソ で の 調 整 手 段 の 意 義 に 関 す る 調 査 結 果 を 参 照 し た 。 調 整 手 段 の 意 義 | 集 権的 な 財務 活 動 :: 朧 誼:: E : E : E : E : E : E : E : E : E : E : E : E : E I E : E : │ョ :ョ : I E : E : E : E : E : E I E I E I E I E I E I E I E I E I E I E : E I E : E I E I E I E I E I E I E I E : E : E : E : E E E E E E E E E E E E E E E E E E E E E E E : i 四 | 人 的 結 合 皿 | 企業 契 約 E E E E E E E Eモ E E I E E E E E E E E E I E Iョ E E E E E E E E I E E E E E E E E E E E I E E Eョミョミ E E E E E Eミ E E E I E E E E E E E E Eョ Eョ Eョ E E E E E E E E E E I E E E E E E E E E E E E E E E E E E E E E E E E E E E E Eョ E E E E‐ | | そ の他( 意見 交 換な ど ) 函 m 友 : : :※祐 : 治 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 2 : : : : 沁 ;専 a : : : 召 > 必 吹 : : ; i S : W : : s 訟 :::: 誤 認 頴 § : 難 誤 聞 § : 圖llMiMMli 020406080100 E涸 重 要で あ る ■ あ まり重 要でない[ 二] 重要で ない ( 出 所 )R.Buhner,"Management −Holding-einErfahrungsbericht"in;DieBetriebswirts-chaft,51,1991,S.144. 19. 山 城 章 「 関 連 会 社 集 団 の 最 高 意 思 決 定- そ の 日 本 経 営 論 的 実 践 」、 山 城 章 編 著 『 関 連 会 社 の 経 営 』中 央 経 済 社 、1977 年 、69 −80 頁 を 参 照 し た 。20. 大 隅 健 一 郎 、 前 掲 書 、174-179 頁 。21.Zweifl,Martin,"HoldinggesellschajtundKonzern"Zurich,1973,S.61.22. 大 隅 健 一 郎 、 前 掲 書 、175 頁 。23. 高 宮 晋 『 企 業 集 中 論 』 有 斐 閣 、1942 年4 月 、475 頁 。24. 高 宮 晋 、 同 上 書 、468 −470 頁 。25.Vgl.Gomez,Peter,"NeueTrendsinderKonzernorganisation",in;ZeitschriftFuhrungundOrganisation,3,1992,S.I66 −172ン (1995 年11 月30 日 受 理 )

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