ベ ンチ ャー ビジネスの増強 と企業家
I は じめに 今 ,我 が国経済は不況か ら脱却すること,社 会 ・経済構造 を情報化 ・ソフ ト 化 ・サービス化等の流れに対応で きるように構造転換 を推 し進めること,グ ロー バルな市場で競争優位 に対応で きる企業 に転換 してい くこと,新 産業を創出 ・ 育成 し将来の経済発展の柱 を育てること,等 々の課題の解決に迫 られている。 これ ら各種課題の解決 に応 えてい く一つの有力な方法がベ ンチ ャービジネス (以後ベ ンチ ャー と称する)の 続出 ・成長であろう。 しかるに1993年頃か ら産 官学あげての大合唱の もとに始 まった第三次ベ ンチ ャーブーム も今や風前の と もしびである。実際,銀 行の貸 し渋 りによる資金調達難 を背景 に1998年のベ ン チ ヤー倒産件数が過去最高の82件を数 え,そ の中にはテス コン,カ ンキ ョーと 1 ) いったベ ンチャーの雄が含まれている。 そこで本稿は,も う一度ベンチャーの意義を問い,ベ ンチャTを どうすれば 勢いづかせることが出来るかを示 してみようとするものである。このためには, ベ ンチャーの誕生の増加をどのようにして図るのか,ベ ンチャーの成長促進を どうするのか,ベ ンチャーの倒産 。没落をいかに予防 ・回避するのかが重要と なろう。そこでこれらの論点について, もっとも肝心要のベンチャーを担 う企 業家の視点から,そ してこれまで倒産 した多数のベンチャーの過ちからも学び 取って,改 めてベンチャー増強の条件を再整理 してみようとするのが本稿の目 的である。 エ ベ ンチャーの意義 と貢献 一般 に,ベ ンチャーは独 自の優れた技術や経営ノウハウを武器 として,積 極 彦 俊 田 一戸 1)帝 国データバ ンク調べ。58 吉 田修教授退官記念論文集 (第317号) 的に経営拡大 しようとい う企業家精神旺盛 な自主独立の中小企業 (あるいは中 堅企業)と 理解 されていることが多い ようである。本稿 は基本的にこの定義 に 従 い,さ らにベ ンチ ャーの発掘,育 成,振 興 といつた問題 に十分対応可能なよ うに,出 来 るだけ幅広 くかつ柔軟 に把握する。特 に企業家精神旺盛 な指導者 に よ り何 らかのイノベーシ ョン (独自の技術や経営手法等)を 遂行 して生 まれ変 わった新生企業 をその中に含みたい と思 う。 これ らこそが,大 企業が見落 とし ていた分野 を開拓 し,ソ フ ト化,サ ービス化 に貢献する役害Jが大 きい し,多 数 の雇用や経済の活性化 に貢献するところが大 きい し,ま た我が国が短時 日の う ちに近代化 を達成することが出来た背景 にその存在が大 きい とみるからである。 アメ リカの現在の経済の活性化 も純然たるベ ンチ ャーの多発 によるとい うより も,零 細企業 まで含め実 に多 くの企業が生 まれて くるそのダイナ ミズムにある と思 うか らで もある。 このベ ンチ ャーの貢献 としては,労 働,マ ネジメン ト,技 術革新,中 小企業, D 大企業,産 業,地 域,全 体経済,社 会,へ の貢献等々実 に幅広 くかつ深い。 こ れ ら貢献が着実 に果たされるとすれば冒頭 に記 した今の我が国が迫 られている 多 くの課題が相当程度解決 される といって もよいであろう。 それだけに,ベ ンチ ャーの誕生 は少 な く,成 長 もさほど高 くな く,あ る程度 の規模 まで長年かけて成長 して も倒産 ・崩壊の道へそれる企業があま りにも多 い今のベ ンチ ャーの実態 を問題あるもの として,以 下の考察 を進めてい きたい。 皿 ベ ンチャー続出の条件 それではこうしたベ ンチ ャーの数 を増やすにはどうすればよいのかを,ま ず 我が国でベ ンチ ャーが生 まれ活躍 しに くい理由を指摘 し,つ いで我が国でベ ン チ ャーを興隆,発 展 させて きた理由を指摘 し,そ れ らを踏 まえて,こ れか らべ ンチ ャーを増やす方策 には何が考 えられるかをみていこう。 2)中 小企業庁編 『ベ ンチ ャー ビジネスヘの期待 と課題― ベ ンチ ャービジネス研究会中間報 告一 』東洋法規 出版 ,1984年,は じが き。 3)戸 田俊彦 「ベ ンチ ャー ビジネスの倒産 と成功」 「彦根論叢』 1987年1月 ,55頁 の図表 4 を参照の こと。
ベンチャービジネスの増強と企業家 59 ( 1 ) ベンチ ャー活躍 の制約要 因 我 が 国でベ ンチ ャーが生 まれ活躍 しに くい理 由 と して これ まで指摘 され て き た もの を列挙 してみ よう。 ① 保 守的な風土の問題 官や大企業 を尊 び人材が偏在 し流動性が ない こと,失 敗が許容 されない社会 であること,オ フィス ・工場 など格好 を付 けない と相手 にされず イエシャル ・ コス トが懸か りす ぎること,戦 略的な思考が不得手な民族であること,企 業売 買 をタブー視す ること,各 省庁の許認可や縄張 り規制が働 くこと,な ど保守的 な風土があることである。 ② 企 業家意識上の問題 官依存 やバ ブル後遺症 な どで創業の精神 を忘れ新 しい発想や技術で挑戦する 気概 が薄れて しまったこと,ベ ンチ ャーその ものが創業後間がなければ余計の こと,危 険に満 ち,小 規模で格好悪い と敬遠 されること,ベ ンチャー企業成功 者であって もその社会的評価が低 い こと,多 くのベ ンチャーが新市場,新 技術, 新組織 をこなせず,成 功 ・成長す るものは限 られ,倒 産 ・吸収合併 された過去 の経緯か ら,ベ ンチ ャーにつ きまとう悪評が強 く意識づけられたこと,す でに 我が国にはいろいろの ものが揃 っていて レベルが相当高い とい う実状があ り, 技術 ,経 営,商 品,サ ー ビス等 よほど突出 したベ ンチ ャーでなければ入 り込め ない こと,な ど企業家意識上の問題があることである。 ③ 教 育制度の問題 教育が画一化 ・標準化 してベンチャー企業家に必要な自主性や個性,創 造性 を伸ばすことにむいていなかったこと, とりわけ大学がベンチャー教育の不在 でサラリーマン養成所になっていること,な ど教育制度に問題があることであ る。 ④ 既 存の会社 ・組織の問題 終身雇用 ・年功序列制度による大企業従業員のベンチャーヘの非移動性,大 企業や官庁の購買担当者の継続取引の重視,な ど既存の会社 ・組織に問題があ ることである。
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⑤ 金 融 ・税制 ・市場公開の問題
銀行やベ ンチ ャーキヤピタルが将来性や技術 で資金 を貸 さないなどス ター ト ア ップを支援 し成長 を加速する仕組みになっていないこと,年 金基金や生損保, 郵貯 などの資金がベ ンチ ャーキヤピタルやベ ンチャーヘ向かうのに制約が多い こと, リスクマネーを投資するエ ンジェル投資がほとんど見 られないこと,キ ヤ ピタルゲインに対する大幅な減税措置 などが無 く,儲 けて も持 って行かれるだ けで報 われない こと,店 頭市場 を含め株式公 開力串1真重かつ困難であること,株 式売却制限があること,な ど金融 ・税制 ・市場公開に問題があることである。 ⑥ ベ ンチ ャー支援組織の問題 ベ ンチ ャーキヤピタルです ら金だけ出すあ り方 に問題があ り,状 況 に応 じて きめ細か く育てる意識 にかけ,ア ドバイスや役員や人材の派遣,販 売支援等経 営指導 ・支援が不十分 なこと,大 学やその他 の研究機関 も制度的制約が多 く, イ ンキュベイター としての機能 を果 た していない こと,な ど支援組織 に問題が あることである。 (2)ベンチ ャー活躍の促進要因 一方これまでベ ンチャーを興隆,族 生 させた理由としてあげられたものを整 理すれば次の諸点 を指摘 で きよう。 ① 社 会的な側面 ベ ンチ ャ■への注 目度 ・期待度が高 まって きたこと,研 究開発,創 造性 に対 す る意識の高揚 ,企 業売買 に対す るタブー視の希薄化,新 ヒーロー待望の高ま り,成 功者物語の浸透,様 々な人の生 き方 を認める社会的風土の醸成,な ど社 会的な側面がある。 ② 技 術 ・生産の側面 技術革新の進行 と先端 。新 ・応用改良技術分野の拡散・増大,技 術の小型化, 集積化,高 性能化,複 合化,輸 送 ・宅配システムの充実 と多様な部品供給を可 能にする社会的分業,外 注生産システムの存在,独 自の技術開発への期待・要 請 と研究開発投資の増大,な ど技術 。生産の側面がある。 ③ 市 場の側面ベ ンチ ャー ビジネスの増強 と企業家 61 消費需要の多様化,個 性化,高 級化への移行によるマスマーケティングの終 焉,消 費者の価値観のめまぐるしい変化,グ ローバル化による市場の拡大,ソ フ ト化 ・情報化 ・少子高齢化の進展によるハー ドよリソフ ト,量 産品より専門 品 ・顧客密着型商品 ・サービスの重視,流 通 ・サービス業の分野の拡大,な ど 市場の側面がある。 ④ 人 の側面 雇用関係の変化による技術者 。人材の移動の容易化 と転職の普遍化,技 術者 確保難による自前での育成の進展,企 業の倒産やリス トラ,定 年により企業を 離れたものの増大,企 業内での企業家的人材の輩出,な ど人の側面がある。 ③ 既 存の会社 ・組織の側面 中小企業では円滑な事業継承 と新たな成長戦略や新規事業分野への進出の模 索が盛んになされていること,積 極的な事業再編成が進められていること,マ ネジメントバイアウ トの手法がそれらに関わ り利用 されだしたこと,規 模の経 済が働 く余地の縮小,産 業 ・企業の集積が進み参入障壁の低下,身 軽な事業転 換による新事業機会の追求,企 業家的能力の発揮のしやすさ,イ ノベーション ヘの適応性の高さといった中小企業の有利性が増 したこと,な ど既存の会社 ・ 組織の狽l面がある。 ⑥ 金 融 ・税制 ・市場公開の側面 ベ ンチャーキャピタルの質 ・量の向上,銀 行,公 共団体,一 般投資家による ベ ンチャー投 ・融資の進展,直 接金融に大 きく道を開いた証券市場の整備,M &Aの 活性化,な ど金融 ・税制 ・市場公開の側面がある。 ② 経 済政策の側面 経営指導,助 成の充実,規 制緩和,産 官学の連携の進展,な ど経済政策の側 面 が あ る。 ( 3 ) ベ ンチ ャー続 出 ・発展 条件
したがってベンチャーを続出 ・発展させるには制約要因を取 り払い,促 進的
要因が働 きやすいように仕向けていくことである。この点をやはり箇条書きで
示 してみよう。
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① 社 会的条件
さまざまな人の生 き方や失敗 を認める社会的な風土の醸成,企 業家たちのサ クセスス トー リーの続出 とそれ らの ものを社会的に正当に評価す ること,も っ と積極的に成功者 に大 きな名声 を与 え,ス ター作 りをすること,失 敗者には小 さな汚名 と再挑戦の可能性 を高めること,マ スコミ報道でベ ンチ ャーを社会的 に高 く評価す ること,誰 もや らなかったことや新 ビジネスに挑戦することやイ ノベー ターに価値 を置 く社会であること,な ど社会的条件 を整えることである。 ② 企 業家的条件 商売や事業をしている人が身近にいたり,ス モールビジネス環境での経験を 富ますこと,企 業家形成を促進すること,整 合的な事業計画を作る能力の向上, 内部管理,特 に利益管理や資金管理,計 数面からの経営管理 とマーケテイング の重要性の認識,数 字で明確なビジネスの日標を設定 して起業意欲を高め,精 力的に働けるようにすること,既 存の企業のベンチャー化の促進,と りわけリ ス トラの一環で売却 ・縮小の対象 となった部門の人たちがマネジメントバイア ウ トして独立すること,な ど企業家的条件を整えることである。 ③ 人 的条件 企業側 も流動性ある労働市場を確立するべ く退職金制度,企 業年金制度の見 直 し,製 品分散組織,有 能経営者,技 術者に株式の一部を提供 し受け入れるこ と,人 の流動性 を高めうるオープンな組織をめざすこと,大 学,公 的研究機関 による技術シーズの提供促進はもちろん,人 材そのものが往来する産官学連携 を押 し進めること,研 究者,発 明家,技 術者,経 営者,セ ールスマン,投 資家 等ベ ンチャーに関連する人の輪,ネ ットワークが機能すること,ア イデアを広 く一般にアピールできる場の常設化,な ど人的条件 を整えることである。 ④ 教 育 ・啓発的条件 自主性 を重んじ個性 を生かす教育であること,大 学教育で,ベ ンチャーを身 近に感 じられる,ビ ジネスセンスや体系的な経営教育が養成 ・実践 され起業を 奨励する教育であること,企 業 と大学の生 き生 きとした連携を図つて企業家精 神 を教育現場で伝えうる多層な指導者を置 くこと,な ど教育 ・啓発的条件を整ベ ンチ ャー ビジネスの増強 と企業家 63 えることである。 ③ 金 融 ・税制 ・市場公 開的条件 制度金融の拡充,生 損保や郵貯の資産のベ ンチ ャーキャピタルやベ ンチ ャー ヘの振 り向け促進,創 業直後の企業に対する評価能力,経 営支援能力 を高める ことと,特 定分野 に特化 して大型かつ融資先の経営 にも積極的に参加するベ ン チ ャーキャピタルが存在すること,高 率の税制 などハイリター ンを阻む制度上 の改善,キ ヤピタルゲイン課税の低減;数 年の間は新設企業の所得 ・留保利益 に対す る税 を免除すること,エ ンジェル税制の見直 しも含めた優遇税制の創設 ・拡充,店 頭市場の改革や株式公開基準の一層の緩和,な ど金融 ・税制 ・市場 公 開的条件 を整 えることである。 ⑥ 政 策的条件 あ くな き自由競争環境 こそ企業家精神発露の基盤であるか ら,規 制 を緩和 ・ 撤廃 し,規 制の枠組みを原則 自由 ・例外禁止 に転換 し,経 済構造の流動化 を促 進すること,特 に手続 きの簡素化 ・迅速化を進め,膨 大な報告届出からベ ンチャー を解放すること,情 報 ネ ッ トワークを主体 にベ ンチ ャーを育てるインフラス ト ラクチ ャーを構築 ・整備すること,取 引先の紹介 ・斡旋 を図るソフ ト的な政策 が運動す ること,な ど政策的条件 を整 えることである。 Ⅳ ベ ンチャー企業家創出の条件 ここではベンチャーを担う企業家を様々なタイプに分類 し,そ れぞれのメリッ ト・デメリットをみる形で,ベ ンチャー供給源そのものに追ってベンチャーの 増強のあ り方を考えてみたい。 ① 男 性企業家 男性企業家は,職 務の不満足,副 業,解 雇,買 収を機に創業することが多い。 資金調達先が幅広 くかつ協力的である,ビ ジネスや技術での教育 レベルが高 く, スペシヤリス トとして,あ るいは管理者 として多様かつ深い職業経験を持つ, 人脈が広 く法律家や会計士等専門的知人を持つ,な どのメリットがある。 4 ) しか し反面で, 自 説 に固執 しがちで, ボ スでなければならず, 理 想主義 に傾
‖
64 吉 田修教授退官記念論文集 (第317号) くこともあ り,ベ ンチャーを倒産 させた場合その影響が大 きい とい うデメリッ トがある。 ② 女 性企業家 女性企業家は,職 務 フラス トレーシ ョンや職務の関心や機会認識,個 人的境 遇の変化 をきっかけに創業す ることが多い。柔軟性,寛 容性 に富み現実主義的 で環境対処能力がある,配 偶者の安定収入があ り,生 活が保障 され リスクヘ ッ ジとなっている,女 性特有の きめ細かなサービス,女 性 同士のネ ッ トワーク, 生活者の視点 もあって地域 に密着 している,育 児 ・介護 などの現代社会のニー ズ をキャッチ し,ニ ュービジネスに進出 しやすい時の利 もあってその増勢は男 性企業家以上であ り,世 界的傾 向で もある,な どのメリッ トがある。 しか し反面で,金 融機関か らの借 り入れ困難,仕 事への信頼度が低い,甘 く 見 られる等 の差別や偏見があって,と りわけ資金調達源は個人的貯蓄や融資 に 限 られる,職 業経験 はサービス関連 を中心 に狭 く中間管理職経験 までであって 事業経験のノウハ ウを学ぶのに恵 まれていない,サ ー ビス業,小 売業,飲 食店 中心である,人 脈が限 られ家族や配偶者が中心である,事 業経営 と家事,育 児, 介護等家庭生活 との両立 を迫 られが ちである,小 規模事業の開業者ではあって も企業家 とはいえないケースが 日立つ,な どのデメリッ トがある。③ 若 年企業家
成長分野で新事業を始めようとする志向が強い,リ スクヘの挑戦志向が強い,
支援す る側が若い人の方 を助 けやすい,な どのメリッ トがある。 反面で,自 己実現 を図る,能 力発揮 といつた自分の夢や理想 を追求する傾向 があ り,資 金計画やマーケテイングなど入念 な起業準備が無 く,現 実離れで倒 産 しが ちであること,社 会的貢献 とかけ離れがちとなること,な どのデメリッ トがある。 ④ 中 高年企業家 中高年企業家は起業資金の高額化や リス トラや脱サラ,定 年退職 したことを きっかけに増えているタイプである。将来の市場拡大,事 業化シーズの存在,ベンチャービジネスの増強と企業家 6 5 社 会貢献 とい った現 実 を冷静 に直視 した上 で よ り具体 的かつ明確 な ビジ ョンを もって創業 を図 つてい る特徴 が見 られ るこ と1急 激 に高齢化す る 日本社会 を先 取 りした動 きであ り,新 しい人生へ のチ ャ レンジ,自 己実現 を果 たす,老 後 の 生 き甲斐 や経 済的 自立 な ど前 向 きで,企 業側 も長年 の経験 や知識 ・人脈 を有効 利用 しようと積極的に送 り出す傾向 もあること,過 去 に見せた実力や実績 を提 示 した り,周 到 な事業計画 を練 り上げて資金 を引 き出す老練 さとリスクをおそ れない大胆 さを兼ね備 えていること,人 材,資 金,管 理 などの面で ビジネス人 生で蓄 えたノウハ ウ,専 門的知識,経 験 を生か し,経 営者 として手堅い手腕 を 見せ ること,幅 広い人脈や取引先関係 を基 にネッ トワークにす ぐれていること, 最悪 の シナ リオを常 に頭 に置いて経営すること,な どのメリッ トがある。 反面で,情 報通信やバイオ等先端的分野が不得手である,リ スクに敏感 にな り企業家 になるのに二の足 を踏んで しまう,失 敗すれば年齢的にや り直 しが難 しい,終 身雇用が原則の 日本では中高年の起業 に障害が多 く,企 業家 としての 熱意 に表 えがみ られる,な どのデメリッ トがあると ⑤ 社 外ベ ンチ ャー企業家 社外ベ ンチ ャー企業家は もとの会社か ら飛び出 して創業するものである。独 立責任の 自覚,既 存事業の風土,制 度,意 思決定 プロセスか らの隔離,外 部の 資源,特 に既存事業 には集 ま りに くい人材の積極的活用,失 敗の際の本体への 波及 を最小 限に くい止めること,な どのメリッ トがある。 反面で,既 存事業 とのシナジー (相乗効果)が 十分生かせない,新 事業の管 理や将来の統合が難 しくなる,優 秀な人材が社外ベ ンチ ャーに出たが らない, 7 ) などのデメリットがある。 ⑥ 社 内ベ ンチャー企業家 社内ベンチャーは企業内の事業部やグループを自社内に独立させてベンチャー 化するものであ り,硬 直化 した組織に風穴をあけたり,機 動的な製品 ・技術開 中小企業庁編 F平成10年版中小企業白書」大蔵省印刷局,1998年,309頁。 「日本経済新聞」1998年9月 24日号。 「日本経済新聞」1985年2月 23日号,伊 丹敬之寄稿。
66 吉 田修教授退官記念論文集 (第317号) 発 をね らって創業 される ものである。財務力,マ ーケテイングカ,生 産力等々 の経営資源 を活用で きる,社 内で創造性豊かな人材や大組織の中で沈潜 してい た組織が活性化 される,な どのメリッ トがある。 反面で,一 貫 した統合戦略や厳密 なプランエ ングが強調 されす ぎると創意や 自由な発想 を制限 し,一 貫性無 き姿勢では不確かな地位 に甘ん じざるをえない こと,企 業家精神あふれるリーダーの発掘 と参加者の処遇及びキヤリアの問題 が困難で成功率が低 いこと,動 機 ・理念 ・事業 コンセプ トが曖味で先例 を参考 に しす ぎ,計 画者 =実 践者でない場合粘 りにかけること,生 産 ・販売組織 を作 り上げるための投資が会社 にとって過大にな りがちなこと,自 主独立性 を損なっ ていれば もはやベ ンチ ャー とは言えないこと,な どのデメリッ トがある。 ② 倒 産 ・失敗経験 を持つ企業家 人脈や顔の広 さを活用でき,経 営者経験を生かせ,失 敗の経験がバネとなり, 失敗 を生か した経営を進めている,失 敗の経験 こそ成功の原因となる,な どの メリットがある。 反面で,借 金返済などの信用回復 に時間がかかること,失 敗者に対する厳 し い視線を跳ね返す執念に近い情熱が不可欠なこと,な どのデメリットがある。 ③ 国 立大学教授ベ ンチャー企業家 1 9 9 7 年4 月 ,文 部省が営利企業での研究活動 に関する規制 を大幅に緩和 した の をきっかけに国立大学の教授で も自ら出資 してベ ンチ ャー企業 を設立 してい る。論文 を書 くだけでな く,大 学や教授主導で研究成果 を起業 して実用化 し社 会 に貢献す る,社 員は大学院生契約社員 などで活用 し実質無報酬で人件費がか か らないこと,仮 に実用化困難 となって も清算 してお しまい と明快 なこと,研 究成果の社会利用の透明性が増す こと,な どのメリッ トがある。 反面で,未 だ国家公務員法の規定で社長や役員 になれず,技 術顧間の立場で しか関与で きないこと,教 授個人の出資 に頼れば規模の拡大 に限界が生 じるこ と,教 員の起業 に否定的な大学関係者 も多 く障害 となっていること,営 利第一 8 ) の民間企業 との隔た りが大 きい こと, な どのデメリッ トがある。 8)「 日本経済新聞」1998年9月 28日号。
ベ ンチ ャー ビジネスの増強 と企業家 67 ③ そ の他の企業家 その他 に,障 害 を持つ企業家,学 生企業家,ボ ランテイア企業家,外 国で旗 揚 げ した企業家等 々それぞれの立場 を生か した企業家 も出て きている。 ⑩ 既 存企業の経営者のベ ンチ ャー企業家化, 事業継承や事業転換,事 業再編成等 をきっかけに既存の経営者が企業家 とし て再出発す るものである。企業その もの も新規事業進出が図 られた り,経 営革 新が進め られ,再 生 してベ ンチ ャー化するものである。 この場合,経 営者 とし ての豊富 な知識 ・経験が生かせ る,既 存の製品 ・サービス,資 本,人 材,技 術, 市場,販 売網 などの経営資源 を活用で きる,企 業 としてはすでに認知 され信用 も築いていてゼロか らの出発ではないこと,な どのメリッ トがある。 反面で,こ れまでの惰性 に流 されがちなこと,特 に従業員の意識変革 には骨 が折れること,余 力 を持 ったそ して先見性 を踏 まえたタイ ミングの良い転換が 困難であること,既 存企業 を企業家的にするのはイノベーシ ョン合の抵抗が大 きい場合,あ る面ではゼロか ら始めるよ り困難なことも多い,な どのデメリッ トがある。 以上みて きたように,企 業家の供給源が広が り,異 質多元な経験 ・経歴 をもっ た企業家が増 えて きたことは,世 間の注 目を引 きつけること,イ ノベーシ ョン につ なが りやすいことなどで,ベ ンチ ャー増強 に沿 つた動 きといえる。 これを踏 まえさらに,今 後ベ ンチ ャーを増や してい くには,そ れぞれの企業 家のメ リッ ト,デ メリッ トを十分 にわ きまえ,そ れに見合 った企業家教育や経 営資源の提供 などきめ細かな政策 を展開 してい くこと,企 業家同志が手 を結び 合 うこと,マ ネジメン トバイアウ トといった手法 などを駆使 して企業家への道 を開いてい くこと,な どが企業家創出のためには必要であろう。 とりわけ家業 的な中刀ヽ企業の経営継承 に二の足 を踏んでいる二世経営者によるそのベ ンチャー 化が図 られるな ら,我 が国のベ ンチ ャーは一気 にその立場 を強化できるであろ う。
― 68 吉 田修教授退官記念論文集 (第317号) V ベ ンチ ャー成功 ・発展 の ために企 業家が なす こと せっか く誕生 したベ ンチャーが倒産 ・崩壊への道にそれないで,成 功・発展 を遂げてい くことがベンチャー増強にはきわめて大切なことであろう。そこで この点を,紙 幅の制約があるので,ベ ンチャー経営全般に関わる基本的なもの にしぼ り, しかもベンチャー企業家がなすべ きことだけに限定 して,ポ イント のみを指摘 してみよう。 ① す ぐれた企業家精神 を存分に発揮すること ベンチャーをベ ンチャーたらしめ成功をかちうる最大の要素はす ぐれたパー ソナリテイに基づ く旺盛な企業家精神あふれる行動にあることはいうまでもな いところであろう。その際,ベ ンチャー経営は外部資源活用 ・依存型 となりが ちであるから,利 害者集回の絶大な協力を引 き出しうる企業家の人柄 (特に人 を魅了できる能力)と 実行力,展 開力 (特にアイデアや行動を数値化,計 画化 する能力)に 注意を払 うことが大切である。 ② 企 業家精神 を評価 し見直すこと ベンチャーの倒産を回避 しこれを成功に導 くためには,企 業家精神の存否の 確認が問題 となる。この点で図表 1に ,ベ ンチャーの成長段階と成功企業家 ・ 倒産企業家をあげておいたので,こ れを参考にしつつ,創 業を志す ものはもち ろん,現 在経営者の座にあるものも,謙 虚に自己採点をし,さ らに他者による 評価を受けてみることが必要であろう。自己評価こそがベンチャー開始に当たっ てもっとも主要なことといつてもよいであろう。 採点 ・評価結果が思わしくない場合には創業をあきらめるなり,迷 惑のかか らぬ退出を考慮することである。 ③ 企 業家の弱点を補強 ・強化 してい くこと 評価結果が思 わ しくない場合, さ らにはベ ンチ ャー成長 とともに思わしくな くなって きた場合,す く`れた補佐役や他の経営幹部 によつて早急 に弱点 を補強 す ることが必要であろ う。理想家肌の技術者 と現実感覚 に富 む営業マ ンの絶妙 な組み合わせが起業成功の一つのポイン トなのか もしれないのである。
ベ ンチャービジネスの増強 と企業家 69 図表 1 . ベ ンチ ャーの成長段 階 と成功企 業家 ・倒 産企業家 <出 所 >戸 田俊彦 「ベ ンチ ャーを伸ばす企業家 。つぶす企業家」『調査 月報 (国民公庫)』 1997年12月,41頁。 急成長 を呆たすベ ンチ ャーの場合,企 業家精神が不足 ・欠落 ・喪失 してい く ことは リスクに無防備 とな り,経 営上の ミスを呼ぶが故 に,そ れに絶えず磨 き をかけてい くことが必要である。 また,企 業家の役割や,他 との関係が,容 赦
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寧
先見 ・洞察力 創造性、独創性 挑戦心、勇気、 したたか さ 臨機応変のオ、実行力 構想 ・提示力 決 断力 、 機 動 力 強 い達 成 欲 求 ね あ か 、 人望 カ リスマ性 人脈 、情 報 力 先率 力 、指 導 力 ユ討 力 丑容 力 ∃制心 、 自己規律 建康 D豊 かな人生経験、人生観、哲学 を もつ ことが トップとしての資質 ・ 能力 を支えた の私財 をかけたビジネスヘの思い入 れ とロマ ンが人、金、情報 を引 き つけた D買 い手へ気持 ちを入れ込み、市場 に焦点を合わせユーザーを自社フア ン化 した D資 金、在庫、債権の管理に目を配っ た Dト ップの不得手分野にパー トナー やア ドバ イザーの参加 ・協力 を得 た のバランス感覚にす ぐれ、無理 をし なかつた Э優れた経営セ ンス、計数感覚 を備 えていた Эリスク対応力 にす ぐれ、失敗か ら 学んだ Dコ ミュニケーション能力にすぐれ 一丸となって集中力を発揮した 9有能な後継者を確保 ・育成した 9組織の柔軟性を維持した ⊃資金 ・資本を巧みに運用管理した議
甘 さ、無 計 画性人 の 意見 に左 右 され や す じ あ きっぽ い 、感 情 不 安 定 横 柄 、 自己 中心 的 過信 、理 想 主 義 優 乗不 断 人 を信 頼 で きな い 、疑 い深 い 変 化 に鈍 感 聞 く耳 を もた ない ワ ンマ ンル ー ル 、独 善 的 慢心 、 油 断 、細 心 さ力Sな い 度量 の狭 さ 老齢 化 、不 健 康 公私 混 同、見 栄 っ張 り、 派 手 企業 家精 神 の喪 失 Dト ップとしての資質、能力、経験 が不足していた の創業準備が不十分だった D商 品化、ユーザー確保に失敗した Э資金、在庫、債権の管理不能に陥っ た Э経営者の独走、背伸び経営がみ ら れ組織 も不備だらた の技術偏重など経営のアンバランス、 部下 まかせがみ られた Э過大投資 に走 つた ④リスク・マネジメントカS欠如 していた D経営陣が対立 ・衝突した の経営継承に失敗した D組織管理体制が不備だった Э会計 ・財務 ・情報システムに不備 欠陥力`あった70 吉 田修教授退官記念論文集 (第317号) な く変 わ って, 成 長段 階の危 険や落 と し穴 が待 ち伏せ , そ の ままで突 っ走 れる 期 間 は短 く, 個 人 の努力 に よる資 質 ・能力 の向上 や質的変換 に限界が急速 に訪 の れ る こ とに な る か ら, ト ップ経 営 陣 を早 め に構 築 す る こ とが不 可 欠 で あ ろ う。 そ の 際 , 役 割 分 担 に基 づ き他 の経 営 者 に任 せ きる度 胸 が大 切 とな ろ う。 ④ 勝 って兜の緒 を締めること ベ ンチ ャー企業家の資質故 に初期の成功が もたらされた場合,そ の成功が失 敗 を呼 び込 むことに注意が必要である。 自己過信 ,自 信過剰,背 伸 び経営,油 断,希 望的観測への傾斜がそ うである。
③ 企 業家精神を発揮しやすくしておくこと
同族性 は原則 として排 除 し, トップ間の対立 を避けるべ く公私混同を厳 に戒 めること,常 識 を越 えたモノ作 りに強い情熱 を燃やすため,ま た,あ ま りにも 恵 まれた条件 により企業家の精神 ・意欲 をスポイルされぬため,ハ ングリー精 神 を心がけること,こ の意味でガ レージはアイデアを生む場所 としては,費 用 が安いこと,簡 素な仕事の環境が新 しいチームに成功への刺激 を吹 き込むこと, 1 0 ) そこを出るには成功する以外 にないことから理想的であるとの見解 もある。パー トナーとは経営哲学 を共有 し忠実に実践する努力 を惜 しまないこと,ベ ンチャー 経営 に推進力 と結集力 をつけるため大いなるロマ ンが必要不可欠であるが,あ くまで もソロバ ン (計算)と ネッ トワーク (人脈)や フッ トワーク (現場主義) に裏打 ちされていること,バ ランス感覚 をもち技術者である前 に経営者である ことが必要であろう。 ③ 市 場 ・顧客に焦点を合わせ競争優位に立つこと 持ち前の明るさ,陽 気 さ,暖 かさを生か し,人 的接触,丁 寧なサービスを売 り物にし,顧 客の信頼 を高め,あ くまでも市場に焦点を合わせ,顧 客満足を追 求 してい くこと,変 化の激 しい市場で変わ り身の速さ,機 動性,小 回 りを生か 9 ) D r u c k e r , P . F . , あ% ουa けあοt t a t t αの 竹物θ切容んの,1985.小林宏治監訳, 上 田惇生 ・ 佐々木実智男訳 r イノベーションと企業家精神』 ダイヤモンド社, 1 9 8 5 年, 3 4 1 頁。 10)Hanan,M.,Venturing corporations― think smali to stay strong,万atta?句β循づ%θssR の あθ切, M a y t t u n e , 1 9 7 6 . 津田達男訳 「新成長 を鼓舞するベ ンチャー戦略」『D I A M O N D ハーバー ド・ビジネス』1976年10月,28頁。
ベンチャービジネスの増強と企業家 71 すこと,見 つけだ した課題や矛盾にアマチュアの日で見た り,大 胆かつ柔軟な 発想をして,誰 も出さなかった答えを探 し出し,独 自性やユニークさを追求 し, オンリーワン企業化 して競争を超越 してい くことである。 ⑦ 洞 察力 ・先見性を発揮すること 洞察力 ・先見性 をきかせて,時 代の追い風 を受けるポジションにベンチャー を置 くこと,時 間感覚を鋭敏化 し,環 境対応の的確性 と微速性を追求すること である。 ③ 企 業家本来の仕事に焦点を当てること なすべ き仕事があまりにも多いにも関わらず些末なことにとらわれ重要事項 を見逃 した りぞんざいにしないこと,こ のため企業家 として決定的な仕事に努 力を焦点づけるべ く,例 外処理や経営戦略策定に絞ることである。 ③ ゆ とりとしたたかさを発揮すること 倒産は資金繰 りのショー トにより発生するから資金におけるゆとり (スラッ ク)を もつこと,理 想の深追いは避け撤退をも辞さぬ柔軟な対応力を持つこと, 危機の兆侯をいち早 く発見 し,有 効な対策を早めに講 じること,他 企業 との提 携 ・連携 を積極的に図つてい くことである。 ⑩ 失 敗や成功に学ぶこと 他企業の失敗や自らの失敗,さ らには成功企業のノウハウから学ぶこと,オ ー プンマインドで企業内外の人々の意見や助言を素直に受け入れてい くこと,な どはベンチャーのリスクを減 らしその安全性を高める重要なポイントであるが, これには企業家の陽気 さ,率 直さ等の資質が裏打ちされる必要があろう。 Ⅵ む すび 以上,我 々はベ ンチ ャーがその期待 に十分 に応 えることもな く,倒 産 ・挫折 を多発 させている現状 を眼前 にして,ベ ンチャーが果たすべ き貢献は何 なのか, そ もそ もベ ンチャーが生 まれて くるその条件が どうなっているのか,ベ ンチャー を創業する企業家は誰で どの ようなメリッ ト・デメリッ トをもっているのか, ベ ンチ ャーを倒産 ・挫折の道か ら成長発展の道へ導 く方策は具体的には何 なの
72 吉 田修教授退官記念論文集 (第317号) か を,と りわけベ ンチ ャーを担 う企業家の視点か ら考察 を加えた。 そ こでの合意は,技 術やアイデアをもってス ピンアウ トするだけでは不十分 であ り,む しろ既存 の中小企業が厳 しい環境変化 をチャンス と受け取 り,車 の 根 的にベ ンチ ャー化 してい くことこそ近道ではないか とい うことである。 何 となれば,ベ ンチ ャーの成功条件 を満たす企業家の資質 ・能力は一朝一夕 に してなるものではない し,何 よ りもベ ンチ ャーの経営は,大 きなリスクを伴 う技術開発 を経営活動の中心に据え,精 通 していない市場 を対象に販売チャネ ルにしても一から作 らなければならず,資 金,人 材,組 織に関わる難問に一斉 に直面するだけに,経 験が大きくものをいうからである。そして,ま たベンチャー を興隆 ・族生 させた外生的な諸条件の多 くはこれからきいて くる側面も大 きい と思 うからである。 もちろんベ ンチャーの数を単純に増やそうとするだけでは問題であろう。多 産 ・多死の傾向が強まって経済全体が不安定化 ・非効率化するようではかえっ て不幸であろう。ベ ンチャー倒産から学びベンチャーを多産 ・少死 とし,ゴ ー イングコンサーン化 して長期の維持 ・発展を図ることが必要不可欠であろう。
大企業マ中小企業から技術者等がスピンアウトしベンチャー化してより成果が
上が るならばベ ンチ ャー促進 を言い立てることは大変結構である。 しか し,ス ピンアウ トして もその技術者 を支援する制度や政策等 に問題があって多大のコ ス トを負担 させ る倒産 。合併 に至 るならベ ンチャー促進は間違った方策 となろ う。む しろ小企業や個人の技術者が大企業の経営資源の傘の中で活躍する方が よいのか もしれない。 もっともっとベ ンチ ャー成功 ・失敗の実態 を明 らかにし てその点 まで踏み込んでベ ンチャー増強の考察 を精級化 してい く必要があろう。 今後の課題 としたい。ベ ンチ ャー ビジネスの増強 と企業家 73 主要参考文献 浅井武夫 「ベ ンチ ャーキ ャピタルか ら診 る―失敗 の事例 に学ぶ もの」 『企業診断』1991年 6 月,37∼ 45頁 。 千葉浩一郎 「第 3次 ベ ンチ ャーブームの行方」 FIBJ経 済 ・産業 の動 き』1998年 7月 ,19 ∼54更。 伊藤邦雄 「VCと の ゴール共有 によるベ ンチ ャー ビジネスの成長戦略」 『DIAMOND0 ハーバ ー ド ・ビジネス』1986年 8・ 9月 ,53∼ 63頁。 加護野忠男 「ベ ンチ ャー企業の経営」 F調査 月報 (国民公庫)』1984年11月,37∼ 44頁。 清成忠男 「ベ ンチ ャー ビジネスの可能性」 『日本労働協会雑誌』1985年 5月 ,30∼ 36頁。 松 田修一監修 ・早稲 田大学 ア ン トレプ レヌール研 究会編 「ベ ンチ ャー企業の経営 と支援』 日 本経済新 聞社 ,1994年 。 百瀬恵夫 『日本 のベ ンチ ャー ビジネス』 白桃書房 ,1985年 。 森下正 「ベ ンチ ャー型企業の企業家 に関す る研究」 『政経論叢』1998年 1月 ,37∼ 79買。 中村秀一郎 ・石井威望編著 「ベ ンチ ャー ・マネジメ ン ト』 日本経済新聞社,1983年 。 野 田一夫 「い ま,ベ ンチ ャー ・ブームを考 える」 「金融 ジャーナル」1984年 6月 ,57∼ 62頁。 小 川英次 「ベ ンチ ャー ・ビジネスのマネジメン ト」 『組織科学』1984年 1月 , 2∼ 13頁。 大滝精一 「成長 とリス クマ ネジメ ン ト」 F企業診断』1991年 6月 ,25∼ 30頁。 大坪秀 人 「起業家社会の構築 をめ ざ して」 『商工金融」1994年 8月 , 3∼ 18頁。 清水龍笙 「ベ ンチ ャー企業の成長要因」 F三田商学研究』1985年 4月 ,50∼ 69頁。 末松玄六 「ベ ンチ ャービジネス経営の問題点」 「経営会計研究』1984年10月,67∼ 90頁。 瀧澤菊太郎 「ベ ンチ ャー中小企業の意義 と問題点」 「エ コノミックス (桜美林)』1985年 3月 , 21∼29買 。 戸 田俊彦 「ベ ンチ ャービジネスの倒産要因 ・成功要因」 「商工金融』1987年 9月 , 3∼ 37頁。 戸 田俊彦 「ベ ンチ ャー ビジネスの興亡起伏 と中小企業」 「中小企業 しが』1987年 3月 , 2∼ 3頁 。
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