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地域商業近代化と彦根小売商業の対応
岡 田 千 尋
1 はじめに 近年中小小売商業をとりまく環境は大きく変化しているが,その一つに, 郊外への大型店の出店,それに伴う新しい商業集積の形成や中心商業地の移 動等により,従来の中心商店街の衰退が全国的な現象となってきていること があげられる。さらに,1990年5月24日付で通達の出された大規模小売店舗法 の運用緩和策によって今後大型店の出店がより容易になるとすれば中心商業 地の移動や都市間及び地域の商業集積間競争が一段と激しくなることが予想 1) される。 しかし,いかに状況の変化がおころうと,多くの中小小売商業は容易にこ うした環境の変化に対応できず,自らの属する商店街のなかで経営活動を展 開しているのが現状である。とはいえ,全てがすべて成行きに任せているの ではなく,各地で商店街の再開発や活性化策がとられ,商店街全体として何 等かのかたちで住みよい街づくりや快適な商業空間を形成しようとしている のもまた事実である。こうした商店街の再開発や活性化策は,一面では大型 店への対抗でもあるが,なかには大型店と一体となって地域商業を活性化さ せるという側面もあり,必ずしも一様に展開されているわけではない。 1)規制緩和によって大型店の出店戦略の変更が予想されるが,日本経済新聞社の行った 調査によると,大型店の今後の重点出店地域は「地方都市の近郊」が69.7%,「大都市の 近郊」が54.2%,「地方都市の中心部」が30.3%と,地方都市及びその周辺がターゲット となっているようである。詳しくは「日経流通新聞』1990年6月30日号。また,今後の 出店計画はスーパー,百貨店で260以上と伝えられている。詳しくは『週間ダイヤモンド』 1990.7.7号参照。2 彦根論叢 第265号 このような商店街の再開発や活性化策は68年の『流通近代化の展望と課題』 (以下『展望と課題』とする)以降の一連の流通近代化策に盛り込まれてき ている「地域商業近代化政策」によって裏付けられており,事実,これに基 づいて全国各地で「商業近代化地域計画」が次々と策定されてきている。 彦根市においても89年度にこの地域指定をうけ基本計画が策定されたが, こうした地域商業活性化は多くの地域で試みられているとはいえ,必ずしも 一様な地域計画でもなくモデルがあるわけでもない。従って各地域で,その 地域の現状に即して計画は立案され,実行されるのが普通である。そこで, 本稿では彦根市の小売商業の現状と,その現状ゆえに計画策定された地域計 画についてみてみることにする。 II地域商業近代化政策の展開 一般的に「商業近代化」とは,1.変化する生活者のニーズへの適合,2. 商業者の長期的,安定的経営基盤の確立,3.社会的流通の合理化,4.まち づくりの視点,都市計画における商業の位置づけ,を内容として含むものと 2) 理解されている。そして,これら4つの項目は互いに相容れないものも多いと しながらも,「”商業近代化”の目的とは,ある意味でこの互いに矛盾すること 3) もある4つのポイントの調和点を求めることにある」とされている。これら の意味や目的の是非はともかく,68年の『展望と課題』以降の流通近代化路 線の中で地域商業(主として商店街)近代化政策がすすめられてきている。 その主なものの経緯について概観すれば次のようになる。 まず『展望と課題』では流通近代化の基本的課題として「①流通機能担当 者の強化と近代化,②市場条件の整備,③物的流通の合理化,④これらの課 4) 題を果たすための共通の前提となる環境の整備」をあげている。そして特に 2)この4項目について詳しくは日本商工会議所『商業近代化のために』1988年5月,PP,
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3)同上書,P.3。 4)通産省『流通近代化の展望と課題』1968年8月,P.78。地域商業近代化と彦根小売商業の対応 3 重視されねばならない項目の1つとして立地条件の適正化をあげ,種々の流 通関連施設が建設される場合にそれら諸施設の適正配置計画を定めて各プロ ジェクトの調整を図ることが必要であるとし,「従来都市計画や総合開発計画 の策定にあたって,流通関連施設とくに商業施設の整備計画は副次的にしか 考慮されていたにすぎないうらみがあるので,今後は,この点を改め,総合 5) 的見地からこれらの適正配置を考えることが望ましい」と述べ,商業関連施 設と都市計画との整合性の重視を強調している。 これに続く70年の『地域経済と流通近代化』では地域商業近代化に関する 6) 施策として6項目があげられているが,その中で「都市を中心とする商圏に ついて具体的な流通近代化施策を実施するに当たっては,それぞれの商圏に おける人口分布,消費性向,産業構造,交通条件および都市施設,文化施設, レジャー施設の整備状況に即し,都市計画等との整合性のある商業活動のガ イドライン,および商業施設の開発に関するきめ細かい計画が策定されるこ とが有効である。このため,商業近代化地域計画の抜本的な拡充強化を図る 7} ことが必要である」として,商業近代化地域計画策定の推進が求められてい る。そしてこの70年には,旭川,高崎,岡山,大分の4都市で第1回の地:域 商業近代化の基本計画策定事業が行われている。 そして『70年代における流通』では消費者ニーズの充足,消費者利益の増 進という側面が明確に示されているが,このような観点から地域商業がいか にあるべきかを示している。それによると,「住民の日常生活に直結する商業 は,その性格上,地域の発展に左右される立地産業としての特性を有してい るにもかかわらず,従来,地域社会における商業に関するビジョンまたは政 策が必ずしも十分でなかったため,都市再開発をはじめ,各種の地域対策, 8) 流通対策上,:重大な支障となって」おり,快適なショッピングを求める地域 5)同上書,P.88。 6)詳しくは通産省『地域経済と流通近代化』1970年8月,PP.65∼70参照。 7)同上書,P.69。 8)9)10)通産省『70年代における流通』1971年10月,P.79。
4 彦根論叢 第265号 消費者のニーズには応えていない。それ故に「地域社会の発展・変貌に対応 9) した地域商業の近代化が望まれ」るのであり,各地で種々の都市再開発事業 が展開されているが,「都市の再開発においては,道路,公共施設等の杜会資 本の整備はもちろん,商業施設,とりわけ商店街・問屋街が都市機能の重要 な一翼をになう点から,これら施設を地域商業の近代化の方向に沿って社会 資本の拡充とあわせて一体的に整備し,地域ぐるみの均衡のとれた住みよい 10) まちづくりを進めることが必要」であり,「地域社会の発展に関する長期的展 望にもとづき,広域市村圏・地方生活圏等の関連諸地域計画との連携を確保 しつつ,明確な指針を示し,これに即して,総合的・計画的に商業施設・同 11) 関連施設の整備をすすめることが必要」であるとしている。そして70年度よ り開始されている「商業近代化地域計画」を一層拡充,強化,推進すること が求められている。 そして『80年代の流通産業ビジョン』における地域商業近代化策では「都 市商業政策の推進」というサブタイトルに表れているように,小売商業は都 市の重要な構成要素であり「都市計画の推進に当たっては商業集積のあり方 について十分な配慮が必要である。……都市計画と商業集積のあり方とは相 互に密接な関連があり,関係官庁,特に都市計画当局との連絡を密にした『都 12) 市商業政策』を推進することが求められている」とし,「小売業者がまちの核 となる商店街等の整備の方向について長期的なビジョンを持ちうるよう体制 13) を一層整備することである」との観点から「商業近代化地域計画等の地域商 業計画の策定は,小売業者,地域住民等が一体となり中・長期的視野に立っ たまちづくりを行い,将来の繁栄,成長の方策を立案する上で有効である。 このため,策定地域の拡大,計画のフォローアップの実施等制度の拡充を図 っていくことが必要である。コミュニティ・マート構想は,このような地域 14) 商業計画の策定を強力に支援するものである」としている。つまり「商店街 を単なる買物の場から地域住民が生活上必要な様々なニーズを充たすために 11)同上書,PP.79∼80。 12)13)14)通産省『80年代の流通産業ビジョン』1984年1月,P,94。
地域商業近代化と彦根小売商業の対応 5 rs) 集い,交流する『暮しの広場』へとその社会的機能を高めることが必要」に なってきているという地域社会のニーズに対応するためである。この考え方 は『90年代の流通ビジョン』にも受け継がれており,商店街一体となっての 活動,商店街活動のリーダーの必要性のほかに「商店街整備には市町村等地 16) 方公共団体の積極的な関与が望まれる」として,官民一体となった街づくり の視点からの地域商業近代化計画が望まれている。 このように,地域商業近代化政策は,流通近代化政策の主要な柱の1つと して捉えられ続けてきているのであり,88年度までに延べ339地域で商業近代 17) 化地域計画策定事業が行われてきているのである。 III彦根市小売商業の現状 1 滋賀県における彦根市小売商業の位置 彦根市小売商業の滋賀県における位置を明らかにするために示したのが1 表である。これでみると,小売商業の店舗数は1,328店,従業員数は5,522人, 年間総販売額は8,789,219万円,売場面積は114,975m・となっている。これら の県全体に占める割合は,店舗数では9.4%,従業員数では10.1%,年間販売 額は11.1%,売場面積は11.8%であり,全ての項目について大津市についで 第2位となっている。つまり,彦根市は県内第2位の商業都市として存在し ているのである。 彦根市小売商業の推移についてみてみると,店舗数では82年まで増加傾向 をたどりながら85年には全業種で減少し,88年でも家具・建具・什器小売業, その他の小売業は若干ながら減少しているが,それ以外の業種では増加に転 じている。従業員数でも,85年に4業種で10%台の大幅な減少をみたが,88 15)同上書,P.91。 16)通産省『90年代の流通ビジョン』1989年8月,P.152。 17)その内訳は70年度から始められた「基本計画策定事業」か215地域,75年度から始めら れた『実施計画策定事業」が83地域84年度から始められた「m一リング事業」と「フ ォローアップ事業」が各々22地域,19地域である。詳しくは日本商工会議所,前掲書, 参照。
6 彦根論叢 第265号 1表 滋賀県内7市の小売商業比較 行政人口 @(人) 店 舗 数 従業員数 @(人) 商品販売額 i万円) 売場面積 @(m2) 大 津 市 246,107 2,711 11,542 18,314,100 191,529 彦 根 市 97,088 1,328 5,522 8,789,219 114,975 長 浜 市 55,324 959 4,037 5,295,665 79,534 近江入超市 65,103 814 3,601 5,403,246 58,407 入日市市 40,261 623 2,201 3,736,877 46,924 草 津 市 90,812 812 3,527 5,983,666 68,368 守 山 市 56,218 625 2,524 3,955,367 52,096 市 部 計 650,913 7,872 32,954 51,478,140 611,833 県 計 1,187,576 14,093 54,449 79,108,607 975,837 ダ 1店舗当り
フ売額
i万円) 従業貝1人 魔阡フ売額 i万円) 1m2当り フ売額 i万円) 人口千人当 闢X舗数 人口1人当 阡フ売額 i円)1
、業人口 支持人ロ 流出人率 大 津 市 6,755 1,587 96 11.02 744,152 274,931 1.44 1.12 彦 根 市 6,618 1,592 76 13.68 905,282 131,944 1.15 1.36 長 浜 市 5,522 1β12 67 17.33 957,216 79,497 1.00 1.44 近江入幡市 6,638 1,500 93 12.50 829,946 81,113 1.39 1.25 八日市市 5,998 1,698 80 15.47 928,169 56,098 1.20 1.39 草 津 市 7,369 1,697 88 8.94 658,911 89,827 1β1 0.99 守 山 市 6,329 1,567 76 11.12 703,582 59,378 1.14 1.06 市 部 計 6,539 1,562 84 12.09 790,860 772,789 1.26 1.19 県 計 5,613 1,453 81 11.87 666,135 } 一 一 (注>1 2 3 (出所) 行政人口は1988年6月1日現在の滋賀県企画部統計課の資料による。 店舗数,従業員数,商品販売額に自動車小売業および燃料小売業を除く。 売場面積に燃料小売業を除く。 滋賀県『昭和63年商業統計調査結果報告書』より作成。地域商業近代化と彦根小売商業の対応 7 年目は増加率鈍化の兆しはみえるものの織物・衣服・身の回り品小売業の30. 2%を最高に,全体としては増加傾向に転じている。年間販売額や売場面積に ついても,減少している業種が若干あるが,大体において88年調査では二業 18) 種において回復傾向が窺われる。 85年から88年への増減について県全体と比較してみると,県全体では店舗 数で0.2%の増加であり,その内訳は各種商品小売業が34%,織物・衣服・身 の回り品小売業が5.0%,飲食料品小売業が0。9%の増加となっているのに対 し,家具・建具・什器小売業が1.2%,その他の小売業が2.2%の減少となっ ている。これに対し彦根市の場合は,県と同じように家具・建具・什器小売 業で4.2%,その他の小売業で0.4%の減少となっている他はすべて増加して おり,各種商品小売業の倍増など,各業種で県全体の増加率を上回っており, 19) 小売業全体では2.9%の増加となっている。 『 ㌧ その他,従業員数,年間販売額,売場面積に関しても飲食料品小売業を除 いて増加傾向にあり,85年調査では減少したものの88年調査では若干の項目 を除いて減少傾向に歯止めがかかり増加傾向に転じたとみることができるよ うである。 では,販売効率の面ではどのようになっているのであろうか。1表にみる ように,県平均と比較して小売商業全体で1店舗当り販売額,従業員1人当 り販売額では高いが,売場面積1㎡当り販売額では県平均を下回っている。 各業種別にみてみると,織物・衣服・身の回り品ノ」・売業,飲食料品小売業, 家具・建具・什器小売業では一部の項目を除いてほぼ県平均を上回っている 20) が,他の業種ではほぼ下回っている。 このような彦根市小売商業の位置をより明らかにするために県内の他都市 と比較してみよう。2 A−D表にみるように,店舗数,従業員数,年間販売 額,売場面積など,いわゆる構造を示す指標では全ての項目において県内第 18)詳しくは通産省『商業統計表』各年版及び滋賀県『昭和63年商業統計調査結果報告書』 参照。 19)20)詳しくは滋賀県,同上書,参照。
8 彦根論叢 第265号 2位の地位にある。85年と比較してみると店舗数で2.9%,従業員数で9.4%, 商品販売額では23.6%も上昇している。この増加率は県平均をいずれも大き く上回っており,7市平均の増加率と比較してみても,従業員数で1.0ポイン ト低い他は店舗数で0.アポイント,年間販売額では6.4ポイント上回っている が,店舗数の伸び率では近江八幡市,草津市についで第3位,従業員数では 近江入山市,草津市についで守山市とともに第3位,年間販売額では近江八 幡市,守山市についで第3位,売場面積では第4位となっている。これらの 指標の増加率をみるかぎり他都市と比較して発展が緩やかであることが窺わ れる。 次に1表にもどって,小売商業の活動状況等の指標についてみてみよう。 まず,商業人口は131,944人で大津市についで県内第2位であり,行政人口 をはるかに上回っている。次に支持人口をみてみよう。彦根市の小売商業の 総売場面積は114,975m2であり,支持人口は1.15人となり県内7市では5番目 である。流出入率は1.36であり,長浜市,近江八幡市についで第3位である。 これらを85年と比較してみると,支持人口は0.12人の減少であるが,商業人 口は11,782人,9.8%の増加,流出入率は0.アポイント,5.4%の増加となって 21) いる。 次に販売効率についてみてみよう。彦根市では行政人口1人当り販売額は 90万5千円,1店舗当り販売額は6,618万円,売場面積1m・当り販売額は76万 円,従業員1人当り販売額は1,592万円となっている。県平均数値は各々66万 6千円,5,613万円,81万円,1,453円である。県内7市平均の数値は各々79万 円,6,539万円,84万円,1,562万円となっておD,県平均,7市平均と比較 して売場面積1m・当りの販売効率が低いが,他の指標では比較的高くなって いる。 21)詳しくは彦根地域商業近代化委員会『彦根地域商業近代化地域計画報告書(基本計画)』 1990年3月,P.39。
9 地域商業近代化と彦根小売商業の対応 2表 県内7市小売商業構造の推移 単位:店,% 数 店 A.商 79年 82年 伸び率 85年 伸び率 88年 伸び率 大 津 市 2,879 2,854 △o.9 2,679 △6.1 2,711
12
彦 根 市 L292 1,376 6.5 1,290 △6.3 1,328 2.9 長 浜 市 998 1,004 0.6 959 △5.0 959 0.5 近江入幡市 785 813 3.6 761 △6.4 814 7.0 八臼市市 656 685 4.4 624 △8.9 623 △0.2 草 津 市 785 819 4.3 784 △4.3 812 3.6 守 山 市 586 623 6.3 609 △2.2 625 2.6 市 部 計 7,981 8,174 2.4 7,701 △5.8 7,872 2.2 県 計 14,380 14,880 3.5 14,059 △5.5 14,093 0.2 単位:人,%B.従業員数
79年 82年 伸び率 85年 伸び率 88年 伸び過 大 津 市 10,089 10,351 2.6 10,742 3.8 11,542 7.4 彦 根 市 4,249 5,008 17.9 5,046 0.8 5,522 9.4 長 浜 市 3,220 3,576 11.1 3,509 △1.9 4,037 15.0 近江八幡市 2β74 2,565 8.0 2,743 6.9 3,601 31.3 八日市市 2,266 2,306 1.8 2,232 △3.2 2,201 △1.4 草 津 市 2,936 3,182 8.4 3,258 2.4 3,527 8.3 守 山 市 2,049 2,304 12.4 2,308 0.2 2,524 9.4 市 部 計 27,183 29,292 7.8 29,838 1.9 32,954 10.4 県 計 45,395 50,212 10.6 50,824 1.2 54,449 7.1 単位:百万円,% C.年間商品販売額 79年 82年 伸び率 85年 伸び率 88年 伸び博 大 津 市 116,242 144,341 24.2 116,132 11.6 183,141 13.7 彦 根 市 49,762 63,947 28.5 71,102 11.2 87,892 23.6 長 浜 市 36,350 46,984 29.3 50,638 7.8 52,957 4.6 近江八幡市 24,986 31,452 25.9 38,360 22.0 54,032 40.9 八日市市 27,255 32,105 17.8 33,131 32.0 37,369 12.8 草 津 市 40,552 47,346 16.8 53,106 12.2 59,837 12.7 守 山 市 22,701 28,573 25.9 31,749 11.1 39,554 24.6 市 部 計 317,848 394,748 24.2 439,218 11.3 514,781 17.2 県 計 473,932 602,432 27.1 676,877 12.4 791,086 16.9 単位:m2,%D.売場面積
79年 82年 伸び率: 85年 伸び率 88年 伸び率 大 津 市 164,274 166,561 1.4 173,282 4.0 191,529 10.5 彦 根 市 80,976 94,631 16.9 94,817 0.2 114,975 21.3 長 浜 市 61,177 64,610 5.6 62,682 △3.0 79,534 26.9 近江入山市 36,930 39,172 6.1 45,845 17.0 58,407 27.4 入日市市 43,323 45,198 4.3 43,621 △3.5 46,924 7.6 草 津 市 54,658 53,223 △2.6 58,119 9.2 68,368 17.6 守 山 市 39,537 42,274 6.9 41,364 △2.2 52,096 25.9 市 部 計 480,875 505,669 5.2 519,731 2.8 611,833 17.7 県 計 774,239 824,122 6.4 856,862 4.0 975,837 13.9 注)1 2 出所) 商店数・従業貝数・年間商品販売額については,自動車小売業,燃料小売業を除く。 売場面積については,燃料小売業を除く。 通産省『商業統計表』各年版および滋賀県r昭和63年商業統計調査結果報告書』より作成。。径母O妬粟無溢耀如H擢騨髄︵養羽︶ 。二樋帰蔦蕪翻迎螢R耀騨逃迎運.O慮彰勲麗拠潔︵想︶ 彦根論叢 第265号 10 ︵トミキヤロ︶ ヨ8。。、副+ 3簿盤捌海盆 oう
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隷 榔軽e細迎狸婆騨髄粥。。地域商業近代化と彦根小売商業の対応 11 2 彦根市の小売商業集積の現状 彦根市の旧市街地は彦根藩の城下町として都市形成が行われ,それにとも ない商業地域も形成,発展してきているが,現在彦根市には15の商店街があ り,このうち,いわゆる旧市街地に12の商店街がある。旧市街地以外の高宮 商店街,河瀬駅前商店街,稲枝駅前商店街の3商店街は周辺商店街として位 置づけられている。それ以外に,商店街組織としては未組織であるが,新興 住宅街を背景に,大型店を中心として後三条,大藪,小泉地域に新興商業集 積が形成されつつあり,おおまかに現在の商業集積を捉えると,彦根市では 銀座ブロック,駅前ブロック,大藪ブロックの3つの大きな集積と高宮,河 瀬,稲枝という周辺地域の集積とで小売商業構造が形成されているとみるこ とができる。これら商店街等の概要は3表のようになっている。 このうち銀座ブロックは彦根市旧来の伝統ある商業集積であり,その中心 である銀座商店街(総:店舗数98)では61年に全国に先駆けて防災街区事業に 着手し,当時としては最:も近代化された商店街を構築,長い間彦根市小売商 業の中核として存在してきたが,この銀座商店街を中心に市場商店街,中央 一番街,登り町商店街,上えびす商店街,橋本商店街がつながっている。市 場商店街,中央一番街へは本町三栄会がつながり,登り町商店街,中央一番 街へは駅前ブロックの京町商店街がつながっており,京町商店街は駅前ブロ ックだけではなく,銀座ブロックへの入口的存在ともなっているが,このブ ロックだけでも7商店街があり,彦根市のみならず湖東地域の消費者にとって 代表的な商業集積として捉えられており,このブロックの商業力は彦根市の 核であり,最も繁華で,且つ店舗構成もバラエテ4一に富んでおり中心商業 集積地として顧客吸引力を高めてきていた。 ところが,駅前地域の整備が進むとともにショッピングセンター(アル・ プラザ)が進出,これを核として駅前ブロックも施設面での近代化がすすみ, さらに,駅前という好立地をいかして顧客吸引力を高めてきた駅前商栄会を 中心として佐和町商店街,京町通り商店街,京町商店街とつながる駅前ブロ ックの商業集積や,新興住宅地として人口が急増しているだけではなく道路
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14 彦根論叢 第265号 舗数だけでみれば全国平均の地域型商店街をはるかに上回り広域型商店街を も上回る店舗数を有している。その業種構成比率は最寄品店比率20.4%,買 回り品店比率60。2%,飲食・サービス店比率19.4%となっており,業種構成 比率でみても地域型商店街よりはむしろ広域型商店街に近い。駅前商栄会は 店舗数64でその業種構成比率は各々34、4%,20.3%,45.3%となっており, 駅前,しかも官庁街の一角という地理的条件のわりには買回り品店よりも最: 寄品店比率が高い。新興住宅街を背景にもち,またV一ドサイド型商業集積 を形成しつつある大藪地域(大藪)では総店舗数66でありながらその業種構 成比率は各々22.7%,59.1%,18.2%であり,銀座商店街同様,地域型商店 街よりはむしろ広域型商店街に近い業種構成になっているとみることができ る。しかしながら,店舗数だけからみても銀座商店街以外は広域型とは捉え にくく,また店舗数の割にはアンバランスな業種構成であるなど,複雑な商 業集積であることが窺えるが,この3地域には各々核となる大型店があり, 今後も彦根市小売商業集積の中核として存在するであろう。 3 彦根市小売商業の商圏 それでは彦根市小売商業の商圏はどれくらいなのかみてみよう。89年に行 われた滋賀県の『消費者購買実態調査』からみた商品分類毎の彦根商工会議 所地域(以下,彦根地域,とする)の小売商業の商圏は1A−F図のようにな っている。5表は83年以降の彦根地域への消費者の流入構造の推移である。 22) これらをもとに彦根地域の小売商業の商圏についてみていこう。 全商品でみると89年では彦根地域消費者の89.7%が流入しており,83年以 降の推移でみても地元購買率に大きな変化はなくほとんどの消費者が地元で 購買していることがわかる。第1次商圏には甲良町,多賀町があるが,甲良町 からの流入には顕著な増加傾向がみられ,83年と比較して10ポイント増加し ている。第2次商圏以下についてみても,秦荘町からの流入が7.9ポイント, 山東町からも5.ユポイント増加しているが,全体的にみて,湖東地域各町から 22)各商圏の大きさなど詳しくは,同上書,P.44参照。
葭垣k退C椥薔薇eぐ賢碧志耀姻H髄駆髄 蝋頃 地域商業近代化と彦根小売商業の対応 15 1 1 O,O 一 1 O,O 1 1 H,O 1 1 O,O 一 1 O,O 一 1 O.O 蛍 貿 廉 一 IH,O ーー O.01 IH,O ーー O,011 lI O,01 1一 IH,O N,01 Il lH,O O,O一 一1 lO,O O,O一 蛍田副︵里︶根魁釈︹里︶ 可,窃 O,oD 崎の α,寸 寸,O O,㊤ O,= N.① H,卜 ㊤,= ①.① 一,嶋 O,◎う円 卜,コ eq po O.6う ON ゆ.O 盧 桜 羅 ゆ,め ㊤.蛉 伺,N O.pっ 州,寸 O,N ①.寸 ゆ,卜 ゆ.oっ N.σっ H,卜 卜.H O,鴎 σq.卜 ㊤、N 鵡,O 卜,O O,O 旨 桜 照 賢 ト,のN,H eq,卜寸.H 寸.寸r ぐ,oつQo,O O.ゆト。O の,σっ一 ゆ,卜QO,O 寸.αD寸,O め,寸一 O,oD頃,◎っ O.H円H,Qり 岬.ゆ一 ゆ.卜O,一 N,①寸,H ゆ。ゆ一 N.HO,O oつ,一〇,H 頃.H1 旨撰軍園旨榊駆瀬 碧 ゆ,OΦ,O 寸,O寸.H 的.Oト,O 吟,OQo,O ゆ.OO,H N,O㊤,O ①.ON,H の.O卜.H 鳴,O寸,O O.HH.H O,Hoう,N の.OO,寸 鴎,O瞬,H N.Oゆ,H め.O寸.同 O.OO,O [. n目,O O、OO,O 旨 猷 田富 肩 歯 鍛 ㊤,一 O.N O.N oう.目 寸,N 円,N O.N 阜う,N 目.N 肖,N σ○.N α,N O,N N.N の.N 寸.O ㊤,O O,H 悔毎ロく 丹 ①,O ト,O ゆ,O Qo,O め,O eq,O Qo,O O,一 Φ,O O,H 卜,O り,O H,円 ゆ,O 卜.O 卜,O の.O 。り,O 槌寒く屓製 ①,eq oう,eq α,H ︻,H oO,eq oD,O αD,⇔q oう,σっ ㊤,H 円、寸 O,oっ αD m 円,oう N,N 自う.oう 寸,eq 頃,O め,O 富開申圓 ゆ,H σっ.N 卜.H O.O 州.H O,O ゆ.H ㊤,N ゆ.。勺 H,寸 ゆ.H ①,H H.H H,N oう.H O,O O,の O.O 旨 蝋 蘇 Do,HO,oり 噂。○うσり,N O,Nゆ,H 寸,Hσっ,N め,Noう,H ゆ,N①,O ㊤.Hoり,pう ㊤,N㊤,N 寸.N卜,H 卜,N①,寸 マ.りO.寸 ①,oっ。うN H.σう①.のっ H,鴎①,N N.寸N,囚 O.OO.O 寸,ON,O O.OO,O 富終N目凹 皿 恒 賢 寸,N卜.oq N,αつゆ,◎う oo,H卜,O 可,Hoう,目 O,N◎う,H O,一〇.O oo,Nσう,oう 頃,OΦ,寸 O,N④,O 祠,寸寸,oっ 頃,O︻N,め αっ,cq㊤,O O,的oD。寸 寸,コ◎つ,寸 O,。っト.H O,OO,O 卜.oうト,O O,O祠,O 霞 £ る蛍 斧 理 碧 ト,Noう,寸 卜,H卜.oっ O,N一 寸,Hゆ,oう O,OO.N 寸.H一 寸,Noっ,寸 卜.O鴎,σつ H,N一 H,寸卜。㊤ 卜,σうH,O ゆ.◎っ一 H,頃ゆ,嶋 Qo,oうト.ゆ 寸.NI O,ON,目 O.Oト.O じq.Ol 旨 寒 選盧 無 鋸 幹 Ob口恥,の O,Oeoeq,ゆ 頃,6っHN.N O.NH寸.め oっ,eqNの,N マ,舘oD.H マ,州N◎○,寸 マ,寸σqゆ.寸 αっ.望め,φっ HゆNの,卜 oO.囚◎う㊤,oO O.ONN,囚 卜.oDHeり,OH ﹃めσ心噂,卜 ゆ,㊤円O,N ト,円肖,O H,HH,H N,寸σD,O 旨 屓 蝦盧 碁 阜 罵 鴎,OH 卜.卜 寸,鴎 O.QD 寸.め QO,寸 N.臼 卜,卜 晩ゆ oう.ゆH ㊤,巽 冒.Qo QO,○っH ⑪.〇一 oり,卜 ①,O α,O ト,O 富 恢 ヨ 寸,卜 oっ,O 頃,O ◎D,卜 oっ,卜 “う,卜 αD,㊤ 目.㊤ H,O H,9 卜.① eq.QO Qo,DO ①.ト 肖.卜 寸,寸 ①.σう ト,マ 笹 聴 略 肖,φN O,頃6っ 寸。っ6っ 寸.卜N N,卜。っ O,6っ。っ ト,Dooっ oo,①的 ゆ,卜。っ O,卜的 州,oつ寸 一、O寸 σq,①N ①ド。う O卜6う 印う.O円 肖,卜H ゆ,ooH 蛍 瞳 来 O,解同.躊 , O.㊥寸頃,守頃 N,躬卜,ト寸 卜.Oめ㊤,⇔うゆ ㊤.㊤ゆト,トゆ 頃.めゆゆ.心心 H.O㊤O,お 卜,トゆト,oDゆ 寸,トめ冒.鴎瞬 O,O㊤鴎,oっ㊤ O,卜岨囚.一ゆ ㊤.①鴎◎う.寸ゆ Qっ,鑓O.卜O ト.。D頃H,O㊤ O,麗日㊤.㊤ゆ Φ.OoっαD.H寸 6う,卜N①,ゆ。っ ト,NoっΦ.eqN 富 題 楡富 超 肝 督 H,ρっ◎う﹄,αDHの.㊤N N.寸。っ。う.OHゆ,NN ㊤,oう。う畑,頃H“.oQH ゆ,Noう①,旨卜.OH 野.O守①.頸寸,凶凶 寸,寸。う寸,㎝︻卜,oっH 卜,奪O,HNσっ.卜N N.①○っ。◎.頃H門ゆeq O,卜。っト,㊤HoD,ΦH 鴎,O寸ト,㊤eqO,寒 寸,H寸寸,寸㎝ゆ,Hσっ ①.頃マO.拓地.寸囚 ①,頃ひつの,NN卜,ゆσっ 晩ゆ。う。う,ONゆ.ゆN ゆ,鴎○っ円,O︻①,齢N N,巽㊦,鴫ぜ.寸 ト.雲寸.O卜,卜 qD,雪N,OO,寸 旨 薫 馴蛍ミ田富盧 撰 懸 碧眠 。う.め州H,騨ooっ 寸,NHり,O寸 O.コO.①。う σつ.OH卜.ゆσっ 寸,目QD,O寸 瞬.コト,qっ。っ N.卜H⑰,N寸 O,寸一〇D,守 QD.コαっ.O寸 H,卜目寸,寸寸 ①.卜H卜.卜寸 鴎.卜H回り寸 刷.雪ゆ.尋 ト,oっHH,㊤寸 O,。っH﹃ゆ寸 鴎,○りO,寸じq 円,寸噌ト㎝ 斡.マ炉う.eっN 旨ミ嗣詔旨撚繹︵里︶ 寒 ﹄,㊦op oo.卜αp の,ooQo N,①αp O.Ooっ N,⑪oo ひq,♂ ㊤,O① 一.O① oう,○うoD N.OQO ㊤,目QQ ㊤,oDoO ㊤,㊤oD 円,卜oO 寸,6う① ①,囚① 軌,oう① 笹駆髄︵里︶ ①。D ㊤。o ○っ no ①Qo ㊤QD ○り 盾 ①oQ ㊤oD φっ BQ ㊦◎D ㊤QO φっ Bo OQO O。o 。う B○ ㊦○○ ⑩QO 。っ BQ ︵曜擢畑︶ 舵φ 卍巴旺螺猟 照暗齪翠靱 鞍 唱莫穏 顕曙餌遡O回e轍 賑 暗蕪超 。握拳O%息塾叶ゆ﹃細加辮綱麗僅憲瞑盤概津﹄蝶無輝 ︵志翌︶
16 彦根論叢 第265号
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滋賀県『消費購買動向調査報告書』1989年度版より作成。 11羅町・ 割 .鍵
地域商業近代化と彦根小売商業の対応 17 の流入は若干の減少はあるものの,ほぼ横ばいもしくは増加傾向にあるとみ ることができる。これに対して,83年と比較するとたいした減少ではないが, 86年調査まで順調に増加傾向にあった米原町や近江町の5∼6ポイントの減 少や,減少傾向の目だつ地域の存在など,一部では彦根市商業の影響力が次 第に小さくなっていく傾向が窺われる。 次に個別商品毎にみてみよう。食料品類は商品特性や消費者の購買行動に 影響を受け地元購買率が高くなるのは当然であり,彦根市外に第1次商圏は 見あたらず,食料品類の彦根市の商圏は狭いと考えられる。それでも,全食 料品で甲良町から41.8%,多賀町からも30.6%の流入があり,第2次商圏の うちでも比較的高い数値を示しているとみることができる。 身の回り雑貨品では甲良町,多賀町を第1次商圏として持ち,第2次商圏 には湖東地域のうち能登川町を除く全町と,近江町,第3次商圏としては能 登川町,湖北地域の長浜市,山東町,伊吹町,浅井町,虎姫町,中部地域の 五個荘町,愛東町,湖東町にまでわたる広い商圏を有している。特に甲良町 からは68%もの流入があり,第3次商圏の中でも能登川町,山東町,湖東町 では高い数値を示している。 衣料品類では第1次商圏として甲良町,多賀町,第2次商圏として湖東地 域全町と近江町,第3次商圏は湖北地域の長浜市,山東町,伊吹町,浅井町, 中部地域の湖東町,五個荘町と,これも身の回り品類と同様に広い商圏を有 しているが,身の回り品類と比較すると,各地域からの流入ポイントは概ね 高い。これらのうち,中部地域の各町は八日市市の商圏下にあるが,近江入 幡市の影響は弱く,むしろ彦根市への流入が目だっている。それとともに京 都・大阪への流出も彦根市への流入と同程度あり,これらの地域を第2次商 圏レベルに引き上げるためには京都・大阪と同程度の品揃えが必要になろう。 また湖北地域の山東町,伊吹町では彦根市への流入よりも大垣・岐阜への流 出の方が遥かに高く,浅井町でも彦根市への流入と同じくらいの消費者が岐 阜県へと流出している。これらからみると,彦根市の衣料品類の品揃え形成 はごく一部の地域を対象にしているものと考えられ,買回り品としての性格
18 彦根論叢 第265号 を強くもつ衣料品の品揃えとしては非常に貧弱であり,消費者のブランド志 向,ファッション化志向というニーズには対応が遅れていると考えられる。 全商品の中で彦根地域消費者の地元購買率の最も低いのがこの衣料品類であ り,近江町や米原町からの流入が86年度調査と比較して各々7.アポイント,5. 5ポイント減少しているなど,今後の彦根市商業を考える際には非常に重要な ポイントとなる商品類であるといえよう。 文化用品類も甲良町,多賀町が第1次商圏であり,第2次商圏が湖東地域 全町と近江町,第3次商圏が長浜市,山東町,湖東町,五個荘町となってい る。米原町,近江町からの流入に若干の減少がみられるが,それ以外の地域 からの流入は概ね2∼3ポイントの増加傾向にあり,愛知川町からの流入は 86年と比較して5.2ポイント増加している。 家庭用品類では,第1次商圏は相変わらず甲良町,多賀町,第2次商圏は 能登川町,愛知川町を除く湖東地域全町,第3次商圏が能登川町,愛知川町, 長浜市,山東町,近江町となっている。この商品類の大きな特徴は,86年と 比較して若干の地域を除いてほとんどの地域からの流入が減少していること である。特に減少の著しいのが米原町の9.8ポイント,近江町の9.4ポイント, 豊郷町の7.9ポイントなどである。特に近江町は86年では第2次商圏と位置づ けられたのに対し,89年調査では第3次商圏の地位にまで落ち込んでいるの である。米原町,近江町の場合には米原駅西口に進出した大型店や長浜楽市 の影響を受けたものであろうと推察されるが,この商品類だけ影響を受ける とは考えられにくく,その他の要因もあろうが,はっきりしていない。 以上簡単に彦根市小売商業の商圏構造をみてきたが,従来彦根市小売商業 は湖東地:域はもちろんのこと,湖北,中部地域の一部にまで商圏を拡大し, 長い間この地方の中心として存在してきた。しかし,米原駅西ロへの大型店 平和堂の進出や88年の長浜楽市の進出,彦根市内に通じる各幹線道路沿いへ の大手チェーン量販店やコンビニエンスストア等の著しい進出は,自動車利 用による購買行動半径の拡大,若年消費者層の市外への流出を促進し,彦根 旧市街商店街の顧客吸引力を絶対的に低下させている。さらに,高速道路を
地域商業近代化と彦根小売商業の対応 19 廻重落潔e㌍寵知糎餐最曄髄 懸㊤ O. nOH O.W洲 O. nOH O。
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地域商業近代化と彦根小売商業の対応 21 今後も鳥居本町は米原町の影響を強く受けるであろうことは確実であり,そ れは彦根市旧市街商店街の商圏が小さくなることを意味しているのである。 それでは彦根地域の消費者は主にどの商業集積で購買しているのであろう か,近代化委員会がおこなった消費購買動向調査,来車者調査からこれをみ てみよう。両調査でも基本的には駅前ブロック,銀座ブロック,大藪ブロッ クでの購買比率が極めて高く,彦根地域小売商業がこの3つのブロックを中 心として形成されていることをものがたっている。もちろん,この3ブロッ クにはそれぞれ核となる大型店があり,それに対応するようによく利用する 商店街のベスト3を占めている。来街者調査でこれを裏付けると,不明,非 該当を除いて駅前商店街が25.0%,銀座商店街が30.0%,大藪地区商店街が 20.0%と,3商店街で75.0%となっている。これに続くのが高宮,河瀬,稲 23) 枝等の周辺地域商店街であり,これらの商店街の地元密着がうかがえる。 では商店街の利用理由はどのようなものであろうか。「近くて便利である」 が圧倒的に多く60.0%,次いで「商店・業種が揃っている」22.0%,「駐車場・ 24) 交通の便」と続いている。 次に,主な購買品目をみてみると,食料品が中心となっており一般的な消 費者の購買行動と大きな変化はないが,商店街での滞在時間は1時間以内が 72%もあり,欲しいもの,必要なものを購入したらそれ以上は商店街にはと どまっていないという,いわゆる“ショッピング”とは程遠い必要最低限の 購買行動であるとみることができる。 IV 彦根市小売商業近代化の方向 以上のような彦根地域小売商業の現状をふまえて彦根市では「1.地域密着 重視の活性化,2.既往商店街の再開発,3.自然と歴史文化の取り込みと活 用,4.商業経営・商店街経営の近代化と意識改革,5.彦根らしさと風格・ 独自性の尊重と近隣商業地との差別化」の5項目を基本方針として彦根地域 23)同上書,P.92。 24)同上書,P.91。
22 彦根論叢 第265号 商業近代化計画策定を進めることとし,既存の商業集積をブロック別に分類 し対応策をそれぞれ立案している。つまり彦根市では旧市街地の既存商業集 積を中心に商業活性化を求めることにしたのであるが,それは「彦根小売商 業のめざすべき方向性は,この伝統ある都市としての商業の中心的な意義を 再び回復し,それを実現することによって,湖東・湖北地域における彦根市 の存在を再びより強力なものに復活させることである。郊外や新たな地域に 商業を散在化させることは,そのスクラップ&ビルドの点から考えてもより 簡単な道である。しかし,その歴史的裏付けのない,日常的機能性を重視し た商業の方向性は,一定の住民ニーズを充足するとはいえ,彦根市商業の中 25) 心性回復とは別の方向であることを考えねばならない」という基本的共通認 識があったからである。 このような方針のもとに提唱されている各ブロック別の機能,役割分担と 近代化の方向性について現在の主要な商業集積である前記3ブロックについ て大まかにみてみよう。 まず駅前ブロックはJR,近江鉄道の彦根駅,バスターミナルという交通の 拠点としての立地条件を有しているところがら,彦根駅を中心とする特性を より強く発揮させ,駅ビルもしくは新商業施設の建設や駅前に現存するショ ッピングセンターと彦根駅との一体化などを通して再販機能を強化する。さ らに,このブロックの中心となる商店街には毒魚業以外に多くの情報サービ ス関連企業が現存するところがら,これらと共により一層情報発信力の強化 が,すなわち,彦根市の情報コアとしてより広範囲な商圏拡大を目指す方向 26) が望まれている。 中心商業地である銀座ブロックでは,アクセス道路の改善,駐車場不足と いう問題があるとはいえ,現在の彦根市においてはこれらは早急に整備,改 善されるのは困難である。そこで,このブロックでは従来の物販を中心とし た「商業機能とは別の異質的な機能を商店街に集積し,それにより他地域と 25)同上書,P,183。 26)同上書,PP183∼184。
地域商業近代化と彦根小売商業の対応 23 27) の差別的有利性を図る」との観点から文化,アミューズメント,ウェルネス などの要素を付加し,「銀座地域全体をショッピング・パークとして,広場と 28) 路地を絡みあわせラビリンス性を演出した快適な生活リゾート空間の創出」 が望まれている。 新興商業集積地としての大藪ブロックでは,現在すでに果たされている消 費者のワンストップショッピング・ニーズへの対応をさらに高め,自動車利 用購買の中心地としてその便宜性,多様性をより一層高めることが望まれて 29) いる。 その他種々の施設建設や整備など,いわゆるハード面での近代化の提言が なされているが,ソフト面での近代化の提言について次にみてみよう。まず 商店街活動の促進策である。これは消費者ニーズの個性化,多様化,消費の サービス化傾向など,小売商業の環境要因の変化に対応するために必要な側 面であり,同店の対応とは別に“商店街組織”という集団での対応策である。 このために,従来の商店街活動の他に,商店街全体として(1)品揃え,品質管 理の研究,(2)ファッション化,専門化のための研究,(3)情報収集管理システ ムの研究,(4)イベント事業の研究,(5)商業機能発揮のための研究,に取り組 30) むことが必要であるとされている。それは,商店街活性化のためには商店街 組織が「当該商店街を取り巻く競争環境を分析し,商店街として対応すべき 戦略的なプランを作成する。そのうえで,そのプランの実現に向けてコミュ ニティ施設の整備等積極的な商店街整備及び多様でソフトな商店街活動を進 30 めていくことが重要である」という,単なる物思の場から社会的,文化的機 能を高めたコミュニティ・マートへの転換のためには是非とも考慮されるべ き重要な課題だからである。ソフト面での近代化がi提言されるのもここに理 由がある。 27)同上書,P.184。 28)同上書,P.229。 29)同上書,P.185。 30)詳しくは同上書,PP.232∼233。 31)通産省,90年代の流通ビジョン,P.152。
24 彦根論叢 第265号 その他に「街づくり会社構想」にもふれている。これは『90年代の流通ビ ジョン』でも提起されているが,中小企業庁が90年度から実施を計画してい る構想は空店舗をなくして商店街活性化を図ろうとするものである。3表に みるように,彦根市では旧市街地12商店街に625店舗あるが,この12商店街で 空店舗67,空き地36,しもたや258の合計361がいわゆる”歯抜け”の状態に なっており,これを解消し,近代化計画を順調に進めるためにも「街づくり 32) 会社」は是非とも必要だとして提言されている。 V おわりに 以上簡単にみてきたが,彦根市の場合には湖東・湖北地域における彦根市 小売商業の地位回復という観点から近代化計画が提言されている。しかしど のような地:域活性化計画であっても肝心なのは商業者の意識の改革であろう。 種々の計画や整備が個計での対応が不可能なために個々の商業者にはかなり 消極的な意識や態度がみられるが,個々の商店では無理だとしても商店街全 体で取り組むことは不可能ではないはずである。そうすれば意識改革は徐々 にではあるが進むであろう。特に彦根市の場合には城下町として形成されて きたことから保守的な意識が強く,従来は新規事業に踏み込むことに大きな 困難があった。しかしながら,本町地区の城下町風情の復活を目指した再開 発の進行や市場商店街の再開発が準備段階から一歩前進するなど近年再開発 が軌道に乗りつつあることも事実である。これらを契機として,またこの近 代化計画を一つの指針としてよりよい都市づくりが目指せるなら,湖東のみ ならず湖北や中部地域をも組み込んだ広域的な地域の中心商業地となること ができるのではなかろうか。 32)詳しくは彦根地域商業近代化委員会,前掲書,P.234。